JP2005105877A - 筒内噴射型火花点火式内燃機関 - Google Patents

筒内噴射型火花点火式内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐久信頼性と出力性能を両立させつつインジェクタと点火プラグを理想的な位置にレイアウトさせ、さらにスプレーガイド方式を採用可能な筒内噴射型火花点火式内燃機関を提供する。
【解決手段】 3つの吸気弁と2つの排気弁を備えた5弁構造の燃焼室上壁(7)の中央部に、インジェクタ(20)の噴射口(21)と点火プラグ(30)の電極部(31)とを、電極部が噴射口 よりも燃焼室内方且つ燃料噴霧稜線(40)中に位置するようにレイアウトする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、筒内噴射型火花点火式内燃機関に係り、詳しくはインジェクタと点火プラグのレイアウト技術に関する。
燃焼室内にインジェクタにより燃料を直接噴射する筒内噴射型火花点火式内燃機関が知られている。この筒内噴射型火花点火式内燃機関では、熱効率、ノック抑制、HC低減の観点から火炎伝播を燃焼室のボア端から等距離とし、且つ燃料を噴射することによるライナ付着燃料の抑制を図るため、点火プラグとインジェクタとを極力燃焼室のボア中心に配置するのが理想とされている。
また、筒内噴射型火花点火式内燃機関において、燃焼室上壁の中央部にインジェクタからの燃料噴霧中または燃料噴霧稜線近傍に位置するよう点火プラグの電極部をレイアウトし、燃料噴射中または直後に燃料噴霧に直接点火を行うスプレーガイド方式と呼ばれる技術が知られている。このスプレーガイド方式によれば、燃費の向上、HCの低減、スモークの抑制等の効果を得ることができる。
しかし、現在主流の吸気2弁、排気2弁の4弁構造の筒内噴射型火花点火式内燃機関についてインジェクタと点火プラグのレイアウトを考えてみると、燃焼室上壁の中央部分のスペースは狭く、ここにインジェクタと点火プラグの両方をレイアウトするのは耐久信頼性上困難である。そこで、吸・排気弁の小型化が考えられるが、これでは吸入空気量が減少し出力低下を招き好ましいことではない。またインジェクタや点火プラグの小型化も考えられるが、元々小型であるインジェクタや点火プラグをさらに小型化させるのは困難である上、それほどの効果は得られず好ましいことではない。
一方、最近では、吸気3弁、排気2弁の5弁構造を用いた筒内噴射式エンジンが開発されており(特許文献1参照)、当該5弁構造を用いた筒内噴射式エンジンによれば、吸入空気量を減少させることなく且つ燃焼室上壁の中央部分に広大なスペースを備えることができ、耐久信頼性を十分に確保しつつ、燃焼室上壁の中央部にインジェクタと点火プラグをレイアウトすることが可能である。
特開2000−18090号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された筒内噴射式エンジンでは、インジェクタの燃料噴射口が点火プラグの電極部よりも低い位置に配設されており、このような構成では、インジェクタの先端が火炎に曝されることになるため、先端温度が上がりやすい上、カーボンデポジットに起因して噴射口が詰まりやすく、燃料の噴霧特性を変質させやすいという問題がある。
また、この構成ではインジェクタからの燃料噴霧中または噴霧稜線近傍に位置して点火プラグの電極部をレイアウトすることは不可能であり、スプレーガイド方式を採用することができない。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、出力性能と耐久信頼性を両立させつつインジェクタと点火プラグを理想的な位置にレイアウトすることによって熱効率の向上、ノックの抑制、HCの低減とともにインジェクタと点火プラグの耐久性の向上を図り、さらにスプレーガイド方式の採用により燃費の向上、スモークの低減をも実現可能な筒内噴射型火花点火式内燃機関を提供することにある。
上記した目的を達成するために、請求項1の筒内噴射型火花点火式内燃機関では、燃焼室に燃料を直接噴射するインジェクタと点火プラグとを備えた筒内噴射型火花点火式内燃機関において、前記燃焼室の上壁に、該燃焼室の周縁に沿って3つの吸気弁と2つの排気弁とを配設するとともに、前記上壁のほぼ中央部に位置して前記インジェクタの噴射口と前記点火プラグの電極部とを設け、該電極部が前記噴射口よりも相対的に前記燃焼室内方に位置するよう配設したことを特徴としている。
請求項2の筒内噴射型火花点火式内燃機関では、前記インジェクタの噴射口から噴射される燃料噴霧中若しくは該燃料噴霧近傍に位置するよう前記点火プラグの電極部を配設したことを特徴としている。
請求項3の筒内噴射型火花点火式内燃機関では、前記上壁の中央部に錐状の凹部を形成し、該凹部の底部に前記インジェクタの噴射口を、該凹部の斜面部に前記点火プラグの電極部を配設したことを特徴としている。
請求項4の筒内噴射型火花点火式内燃機関では、請求項3において、前記上壁の内部に前記インジェクタの噴射口と前記点火プラグの電極部との間に位置して冷却水通路を設けたことを特徴としている。
請求項5の筒内噴射型火花点火式内燃機関では、前記インジェクタの噴射口を前記吸気弁寄りに配設したことを特徴としている。
上記手段を用いる本発明の請求項1の筒内噴射型火花点火式内燃機関によれば、5弁構造により燃焼室上壁の中央部に広大なスペースを形成でき、このスペースにインジェクタの噴射口と点火プラグの電極部とを良好にレイアウトすることができる。
これにより、火炎伝播を燃焼室のボア端から略等距離にするようにして熱効率の向上、ノックの抑制及びHCの低減を図ることができ、且つボア中心から燃料噴射を行うようにしてライナ付着燃料の抑制を図ることができる。
また、点火プラグの電極部はインジェクタの噴射口よりも燃焼室内方に配設されることからインジェクタの噴射口は燃焼室の上壁寄りに配置されることになるので、インジェクタの噴射口周辺はエンドガスとなり、これによりインジェクタの噴射口部分が直接火炎に曝される期間を短縮でき、噴射口部分の温度上昇を抑制することができ、インジェクタの耐久性を向上させることができる。
請求項2の筒内噴射型火花点火式内燃機関によれば、スプレーガイド方式を採用することにより、さらに燃費の向上やスモークの抑制を図ることができる。
請求項3の筒内噴射型火花点火式内燃機関によれば、インジェクタの噴射口と点火プラグの電極部とを共に燃焼室のボア中心により近づけることができ、熱効率の向上、ノックの抑制、HCの低減、ライナ付着燃料の抑制の効果をさらに高めることができる。
また、インジェクタの噴射口は点火プラグの電極部よりもさらに上方にレイアウトされることになるので、スプレーガイド方式を採用した場合にあっては、点火プラグの燃焼室への突き出し量を少なく抑えるようにでき、点火プラグの耐久性を向上させることができる。
また、インジェクタの噴射口は燃焼室空間中心からさらに遠い位置に配設されることになるので、インジェクタの噴射口部分の温度上昇を抑制することができ、インジェクタの耐久性をより一層向上させることができる。
請求項4の筒内噴射型火花点火式内燃機関によれば、請求項3において、点火プラグの電極部が斜面に配設されることでインジェクタと点火プラグとをある程度の開き角度を有した状態にできるため、燃焼室上壁の内部にインジェクタと点火プラグとの間に位置してスペースを形成できるが、このスペースに冷却水通路を設けることにより、当該スペースを有効に利用しながらインジェクタの冷却を促進することができる。
請求項5の筒内噴射型火花点火式内燃機関によれば、比較的低温となる吸気側にインジェクタの噴射口をレイアウトでき、インジェクタの噴射口部分の冷却をさらに促進させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
まず、第1実施例について説明する。
図1を参照すると、本発明の第1実施例に係る筒内噴射型火花点火式内燃機関の縦断面図が示されており、図2を参照すると、図1の燃焼室を下方から見た平面図が示されている。以下図1、図2に基づき説明する。
図1に示すように、筒内噴射型火花点火式内燃機関(以下、直噴エンジンという)1は、例えば4サイクル5バルブエンジンであり、シリンダブロック2にシリンダヘッド3が載置され、シリンダブロック2内の円筒状のシリンダ4にピストン5が上下摺動自在に嵌挿されている。これより、上記シリンダヘッド3の下面を燃焼室上壁7、上記シリンダ4を燃焼室側壁、上記ピストン5の頂面を燃焼室底面とした燃焼室6が形成されている。
燃焼室上壁7の面はフラットに形成され、図2に示してあるように、当該上壁7には、周縁に沿うようにして、3つの吸気弁11、12、13及び2つの排気弁14、15が配設されている。つまり、当該直噴エンジン1の吸・排気弁は5弁構造をなしており、吸気弁11、12、13の弁径がそれぞれ排気弁14、15の弁径よりも小径に形成されている。なお、これら吸気弁11、12、13及び排気弁14、15は吸気ポート及び排気ポートをポペット弁で開閉するように構成されるが、その構成は公知であり、ここでは説明を省略する。
また、燃焼室上壁7の中央部には、インジェクタ20の燃料噴射口(以下、噴射口)21と点火プラグ30の電極部31とが、電極部31の方が噴射口21よりも相対的に燃焼室6の内方寄り(図2中、下方)に大きく突出するようにレイアウトされている。
図1の符号40はインジェクタ20の噴射口21からコーン状に噴射される燃料噴霧の稜線を示しており、詳しくは、点火プラグ30の電極部31とインジェクタ20の噴射口21とは、電極部31が当該燃料噴霧稜線40中に位置するように配設されている。即ち、当該直噴エンジン1は、燃料噴射の終盤または直後に燃料噴霧に直接点火を行う所謂スプレーガイド方式を採用可能に構成されている。
以下、このように構成された、本第1実施例に係る筒内噴射型火花点火式内燃機関の作用について説明する。
当該直噴エンジン1では、吸気弁11、12、13が開弁して吸気ポートから新気が燃焼室6に入り込むと(吸気行程)、ピストン5が上昇することにより新気が圧縮され、さらにインジェクタ20から燃料が噴射されるとともに燃料噴射中あるいは燃料噴射直後に点火プラグ30により点火が行われ(圧縮行程)、これにより燃焼が生起され、ピストン5が押し下げられる(膨張行程)。
この際、吸気弁11、12、13は、一つ一つの径は小さいものの吸入空気量に関しては吸気2弁からなる4弁構造の吸入空気量と同等またはそれ以上となっている。
また、5弁構造を採用しているため、燃焼室上壁7の中央部のスペースが広くなっており、インジェクタ20の噴射口21と点火プラグ30の電極部31と各吸排気弁11〜15間の距離を十分に確保しながら、これらが当該中央部に良好にレイアウトされている。
即ち、当該直噴エンジン1では、4弁構造と比べて出力性能を減少させることなく、耐久信頼性を確保させた状態で、インジェクタ20の噴射口21と点火プラグ30の電極部31とが共に燃焼室上壁7の中央部という理想的な位置にレイアウトされている。
これにより、火炎伝播が燃焼室6のボア端から略等距離となり、熱効率を向上させ、ノックを抑制し、HCを低減でき、さらに、燃焼室6のボア中心から燃料が噴射されることになるので、ライナ付着燃料を抑制することができる。
また、点火プラグ30の電極部31はインジェクタ20の噴射口21よりも相対的に燃焼室6内方に配設されているため、インジェクタ20の噴射口21周辺はエンドガスとなり、噴射口21が火炎に直接曝される期間を短縮できるのでインジェクタ20の噴射口21の温度、即ちインジェクタ20の先端温度の上昇を抑制でき、カーボンデポジットによる噴射口21の詰まり等を良好に防止できる。
また、スプレーガイド方式の採用により、燃費の向上、スモークの抑制をも図ることができる。
また、スプレーガイド方式を採用した場合に、インジェクタ20からの燃料噴射角を比較的狭角にでき、ライナ付着燃料をさらに抑制することができる。
次に、第2実施例について説明する。
図3を参照すると、本発明の第2実施例に係る筒内噴射型火花点火式内燃機関の縦断面図が示されており、図4を参照すると、図3の燃焼室を下方から見た平面図が示されており、以下図3、図4に基づき説明する。なお、上記第1実施例と同一の部品及び部位については同一の符号を使用し、また、同一の機能については説明を省略する。
当該第2実施例においては、図3に示すように燃焼室上壁7の形状はペントルーフ型をなしている。そして、この場合でも、上記第1実施例同様、インジェクタ20の噴射口21と点火プラグ30の電極部31とは、共に燃焼室上壁7の中央部に、点火プラグ30の電極部31がインジェクタ20の噴射口21よりも相対的に燃焼室6内方に位置し且つ燃料噴霧稜線40中に位置するようにレイアウトされている。
また、本第2実施例ではインジェクタ20の噴射口21は燃焼室上壁7の吸気弁11、12、13寄り、即ち吸気側にレイアウトされている。
これにより、本第2実施例においては、上記第1実施例における作用及び効果に加え、インジェクタ20の噴射口21周辺が吸気弁11、12、13から流入する新気により比較的低温に維持され、インジェクタ20の噴射口21、即ちインジェクタ20の先端の冷却を促進できる。
次に、第3実施例について説明する。
図5を参照すると、本発明の第3実施例に係る筒内噴射型火花点火式内燃機関の縦断面図が示されており、図6を参照すると、図5の燃焼室を下方から見た平面図が示されており、以下図5、図6に基づき説明する。なお、上記第1実施例または第2実施例と同一の部品及び部位については同一の符号を使用し、また、同一の機能については説明を省略する。
当該第3実施例では、燃焼室上壁7の形状は上記第2実施例と同様にペントルーフ型をなしているが、燃焼室上壁7の中央部に錐状の凹部50が形成されている。そして、当該凹部50の底部にインジェクタ20の噴射口21が、当該凹部50の斜面部に点火プラグ30の電極部31がレイアウトされている。つまり、インジェクタ20と点火プラグ30とがある程度の開き角度を有してシリンダヘッド3にレイアウトされている。
これにより、本第3実施例においては上記第1実施例及び上記第2実施例における作用及び効果に加え、図6から明確であるように、インジェクタ20の噴射口21と点火プラグ30の電極部31とを共に第1実施例や第2実施例よりも一層燃焼室6のボア中心に近づけるようにでき、インジェクタ20と点火プラグ30とをより理想的な位置にレイアウトすることができる。
また、インジェクタ20は燃焼室6空間の中心から遠ざかった位置に配設され、インジェクタ20と点火プラグ30とがある程度の開き角度を有して配設されていることから、インジェクタ20の噴射口21周り、特にインジェクタ20と点火プラグ30との間では燃焼室上壁7の内部にスペースが生じており、ここでは、スペースの有効利用を図り、当該スペースに冷却水通路60を形成するようにしている。これにより、インジェクタ20の噴射口21周りの冷却効果を促進でき、インジェクタ20の耐久性をさらに向上させることができる。
また、インジェクタ20の噴射口21は点火プラグ30の電極部31よりもさらに上方にレイアウトされることになるので、スプレーガイド方式においては、点火プラグ30の燃焼室6への突き出し量を少なく抑えることができ、点火プラグ30の耐久性をも向上させることができる。
また、スプレーガイド方式を採用した場合に、インジェクタ20からの燃料噴射角を十分に狭角にでき、ライナ付着燃料をさらに抑制することができる。
以上で本発明に係る筒内噴射型火花点火式内燃機関の実施形態についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られたものではない。
例えば、上記各実施例では燃焼室上壁7の形状をペントルーフ型にしたが、燃焼室上壁7の形状は半球型や多球型等でも構わない。
また、上記各実施例では点火プラグ30の電極部31が燃料噴霧稜線40中に位置するようにしたが、電極部31を燃料噴霧稜線40近傍に位置させるようなものであっても構わない。
上記実施例では、ピストン5の頂面形状をフラット型にしたが、凸凹やキャビティ形状を付加したものでも構わない。
本発明の第1実施例に係る筒内噴射型火花点火式内燃機関の縦断面図である。 図1の燃焼室を下方から見た平面図である。 本発明の第2実施例に係る筒内噴射型火花点火式内燃機関の縦断面図である。 図3の燃焼室を下方から見た平面図である。 本発明の第3実施例に係る筒内噴射型火花点火式内燃機関の縦断面図である。 図5の燃焼室を下方から見た平面図である。
符号の説明
1 直噴エンジン(筒内噴射型火花点火式内燃機関)
6 燃焼室
7 燃焼室上壁
11、12、13 吸気弁
14、15 排気弁
20 インジェクタ
21 燃料噴射口
30 点火プラグ
31 電極部
40 燃料噴霧稜線
50 凹部
60 冷却水通路

Claims (5)

  1. 燃焼室に燃料を直接噴射するインジェクタと点火プラグとを備えた筒内噴射型火花点火式内燃機関において、
    前記燃焼室の上壁に、該燃焼室の周縁に沿って3つの吸気弁と2つの排気弁とを配設するとともに、前記上壁のほぼ中央部に位置して前記インジェクタの噴射口と前記点火プラグの電極部とを設け、該電極部が前記噴射口よりも相対的に前記燃焼室内方に位置するよう配設したことを特徴とする筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  2. 前記インジェクタの噴射口から噴射される燃料噴霧中若しくは該燃料噴霧近傍に位置するよう前記点火プラグの電極部を配設したことを特徴とする請求項1記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  3. 前記上壁の中央部に錐状の凹部を形成し、該凹部の底部に前記インジェクタの噴射口を、該凹部の斜面部に前記点火プラグの電極部を配設したことを特徴とする請求項1または2記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  4. 前記上壁の内部に前記インジェクタの噴射口と前記点火プラグの電極部との間に位置して冷却水通路を設けたことを特徴とする請求項3記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関。
  5. 前記インジェクタの噴射口を前記吸気弁寄りに配設したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関。
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