JP2008284756A - ガスバリアフィルムの製造方法 - Google Patents

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卓治 中川
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Abstract

【課題】 PVAガスバリア層を有する延伸ガスバリアフィルムをインラインコート法によって製造する際、塗工層にクラックやピンホール等の欠陥が発生防止効果のより優れた方法を提供する。
【解決手段】合成樹脂フィルムの少なくとも片面に、1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂を含み、かつ、無変性ポリビニルアルコール系樹脂あるいはシリル変性ポリビニルアルコール系樹脂から選ばれる少なくとも一種を含む水性液を塗工した後、一軸方向に延伸するガスバリアフィルムの製造方法。前記水性液が、1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂100質量部に対して、無変性ポリビニルアルコール系樹脂あるいはシリル変性ポリビニルアルコール系樹脂から選ばれる少なくとも一種が10〜1000質量部含まれる水性液であるガスバリアフィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種包装材料として好適なガスバリアフィルムの製造方法に関する。
食品などの包装材料としては、合成樹脂フィルムが幅広く用いられている。
例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体などの合成樹脂フィルムが、強度、耐熱性、透明性などが優れているため広く用いられている。
しかし、食品包装にはガスバリア性(特に酸素バリア性と水蒸気バリア性)が要求される場合が多い。従って、これらのフィルムを食品包装用に使用する場合には、フィルムの表面にさらにガスバリア層を設けた積層構造とすることが一般的である。
このようなガスバリア層としては、ガスバリア性を有する熱可塑性樹脂層、アルミ箔、金属蒸着層、珪素蒸着層等が挙げられる。
ガスバリア性の優れた熱可塑性樹脂として代表的なのが、ポリビニルアルコール(以下PVA)である。水酸基による水素結合によって高い酸素バリア性を発揮するPVAは、コスト面で有利であること、水系塗工可能で安全で扱いやすいこと等から、PVAによるガスバリア層を設けたガスバリアフィルムが広く用いられている。
一方、ガスバリアフィルムの基材となる合成樹脂フィルムとしては、強度や生産性の面から、ポリオレフィン系(特にポリプロピレン)、ポリエステル系、ポリアミド系の延伸フィルム、特に二軸延伸フィルムが主として使用されている。
ところで、このような延伸フィルムにPVAによるガスバリア層を設けるには、一軸もしくは二軸の延伸フィルムの片面にPVA水性液を塗工、乾燥して製造することが一般的に行なわれている。しかし、延伸フィルムの製造とPVAの塗工を別々に行うのは効率的ではない。
一方、延伸フィルムの製造工程において、同時にPVAによるガスバリア層を設ける方法、いわゆるインラインコート法がある。インラインコート法は、表面処理フィルムの製造方法として効率的で生産性が高い方法である。
インラインコート法におけるフィルムの延伸工程とPVAの塗工工程の順であるが、延伸後に塗工を行なうと、延伸され広幅となったフィルムに薄く塗工をしなければならないため、均一な厚さの塗工層を設けることが困難であり、塗工装置も広幅となるためコスト的にも不利である。
一方、延伸工程の前に塗工を行なうと、フィルム幅が狭いため塗工装置も狭幅で済み、また、延伸倍率を考慮して厚く塗工することができるため、均一な厚さの塗工層を設けることが容易である。さらに、PVA塗工層が延伸されることで、分子鎖が配向して密となりガスバリア性が更に向上するという効果がある。
しかしその一方で、塗工層が基材の延伸に追随できず、クラックやピンホール等の層欠陥が発生する生じる可能性が高い。
延伸フィルムに対するインラインコート法によるPVA塗工については、このような問題を解決するため、従来、二軸延伸前のPVA塗工層の水分量を規定する方法(特許文献1)、PVAのけん化度、重合度を規定する方法(特許文献2)、オレフィン変性PVAを使用する方法(特許文献3)、PVAに界面活性剤を添加する方法(特許文献4)、PVAに濡れ改良剤を添加する方法(特許文献5)等が存在しているが、効果や生産性、コスト面においていまだ十分ではない。
特開2001−30349号公報 特開2001−138451号公報 特開2001−191460号公報 特開2002−321320号公報 特開2003−145692号公報
本発明は、PVAガスバリア層を有する延伸ガスバリアフィルムをインラインコート法によって製造する際、塗工層にクラックやピンホール等の欠陥が発生防止効果のより優れた方法を提供するものである。
本発明は上記課題を解決するために以下の方法をとる。
即ち、本発明の第1は、合成樹脂フィルムの少なくとも片面に、1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂を含み、かつ、無変性ポリビニルアルコール系樹脂あるいはシリル変性ポリビニルアルコール系樹脂から選ばれる少なくとも一種を含む水性液を塗工した後、一軸方向に延伸するガスバリアフィルムの製造方法である。
本発明の第2は、水性液が、1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂100質量部に対して、無変性ポリビニルアルコール系樹脂あるいはシリル変性ポリビニルアルコール系樹脂から選ばれる少なくとも一種が10〜1000質量部含まれる水性液である、本発明の第1に記載のガスバリアフィルムの製造方法である。
本発明の第3は、水性液に含窒素有機化合物が含まれる、本発明の第1〜4のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるポリビニルアルコール系樹脂(PVA系樹脂)とは、ビニルアルコールのモノマー単位を主成分として有するポリマーを意味する。
従って、酢酸ビニル重合体の酢酸エステル部分を加水分解ないしエステル交換(けん化)して得られるポリマー(正確にはビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体となったもの)や、トリフルオロ酢酸ビニル重合体、ギ酸ビニル重合体、ピバリン酸ビニル重合体、t−ブチルビニルエーテル重合体、トリメチルシリルビニルエーテル重合体等をけん化して得られるポリマーもPVAに含まれるものとする(「ポリビニルアルコール」の詳細については、例えば、ポバール会編、「PVAの世界」、1992年、(株)高分子刊行会;長野ら、ポバール、1981年、(株)高分子刊行会を参照することができる)。
また、シラノール基(−Si(OH))、アミノ基、カルボキシル基等の官能基で変性されたPVA、PVAの主鎖にエチレン基を導入したエチレン変性ポリビニルアルコール(エチレン変性PVA)や、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等も、本発明のPVAに含まれるものとする。
なお、前述のEVOHの水酸基の一部を、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基、シリル基、シロキサン基、アルキル基、アリル基、フルオロアルキル基、アルコシキ基、カルボニル基、ハロゲン基等の各種官能基と置換したいわゆるEVOH誘導体も、本発明においてPVAに含まれるものとする。
本発明で使用する1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂は、変性PVAの一つであり、延伸性に優れるという特徴を有する。その一般式は以下(1)の通りである。
Figure 2008284756
上記一般式(1)において、R、R、Rは、それぞれ独立して水素又はアルキル基を表す。該アルキル基としては特に限定されないが、炭素数1〜4のアルキル基であることが望ましい。また、これらのアルキル基は、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有しもよい。なお、本発明においては、R,R,Rが全て水素の場合が、PVAとしての物性を維持する上で最も好ましい。
また、1,2−グリコール結合を有するPVA中の1,2−グリコール結合量としては、0.1〜40モル%(さらには0.5〜25モル%、特には1〜15モル%)の範囲のものが好適に用いられる。結合量が0.1モル%未満では延伸性が十分でなくなる恐れがある。逆に40モル%を越えると、ガスバリア性が低下する恐れがあるため好ましくない。
なお、一般に各種PVAは延伸性とガスバリア性は各々相反する傾向があり、前述の1,2−グリコール結合を有するPVAは、無変性PVAと比較して、延伸性に優れるがガスバリア性面では劣る。
そのため、本発明においては、無変性PVA系樹脂あるいはシリル変性PVA系樹脂から選ばれた少なくとも一種と混合して得た水性液を合成樹脂フィルムに塗工するものとする。
分子内にシリル基を有するシリル変性PVA系樹脂は、塗膜の延伸性には劣る反面、塗膜強度、基材との密着強度、ガスバリア性に優れているため、1,2−グリコール結合を有するPVA等と混合して用いることで、そのガスバリア性等を補うことが可能である。
このような目的で使用するシリル変性PVAとしては、シリル基を0.01〜5モル%含有するものが好適であり、0.4〜2モル%がより好適である。シリル基変性度が0.01モル%より低いと、シリル基の比率が少ないため、無変性PVAと同等の物性しか発揮されない。またシリル基性度が5モル%を超えた場合は、水溶性や保存安定性に劣る可能性がある。
このようなシリル変性PVAにおけるケン化度は、70モル%以上が好ましい。ケン化度が70モル%未満では水溶性が低下するおそれがあり、また、ガスバリア性の向上効果を得ることが難しい。
また、このようなシリル変性PVAにおいては、平均重合度(JIS K6726に準拠)が100〜5000のものが好ましく、さらに150〜4000のものがより好ましく、300〜3000のものが最も好ましい。平均重合度が100未満では、塗膜強度や基材との密着強度、ガスバリア性の向上効果を得ることが難しい。平均重合度が5000を越えると、水溶性や他のPVA樹脂との相溶性が悪化するので好ましくない。
1,2グリコール結合を有するPVAと、無変性PVA及び/又はシリル変性PVAとの配合比は、1,2グリコール結合を有するPVA100質量部(固形)に対して、シリル変性PVAと無変性PVAの合計の質量部が10〜1000質量部であることが好ましく、20〜500質量部がより好ましく、30〜300質量部が最も好ましい。
シリル変性PVAと無変性PVAの合計質量部が10質量部未満だと、十分な塗膜強度、塗膜密着強度、ガスバリア性を得ることができない。また、1000質量部を超えると、1,2グリコール結合を有するPVAによる延伸性の向上効果を得ることができないので好ましくない。
本発明においては、1,2−グリコール結合を有するPVAと無変性PVA及び/又はシリル変性PVA以外にも、必要に応じて前述した各種変性PVAを任意に選択して併用することが可能である。
このような変性PVAの中でも、延伸性とバリア性に優れるエチレン変性PVAも使用できる。なお、エチレン変性PVAは疎水性であるエチレン単位を含むため、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系基材との密着性に優れる。
エチレン変性PVAの中でも、エチレン単位の含有量は1〜20モル%のものが好ましく、2〜15モル%がさらに好ましく、3〜10モル%が特に好ましい。エチレン変性PVAのエチレン単位の含有量が1モル%未満になると、PVAの延伸性が十分でなくなるおそれがある。またエチレン単位の含有量が20モル%を超えると、水への溶解性が低下し水性塗料とすることが困難であるため好ましくない。
なお、エチレン単位の含有量は、モノマー単位全体(エチレン単位+ビニルアルコール単位)に対するモル%で表すものとする(ビニルアルコール単位には、けん化されていない酢酸ビニル単位も含むものとする)。
本発明で使用するPVAのけん化率は、モル百分率で70%以上が好ましく、85%以上のものがさらに好ましく、98%以上(いわゆる完全けん化品)が最も好ましい。モル百分率で70%未満の場合は、水溶性やガスバリア性が低下するため好ましくない。
本発明で使用するPVAの平均重合度(JIS K6726に準拠)は、100〜5000が好ましく、200〜3000がさらに好ましい。平均重合度が100未満では塗膜強度が不足したり、基材との密着強度が低下するので好ましくない。また平均重合度が5000を越える場合、水溶性が低下するので好ましくない。
なお、本発明においては、必要に応じて、前記水性液中に、グリコール、グリコールの重合体、グリセリンから選ばれる少なくとも一種を必要に応じて添加することが可能である。なお、前記グリコール、グリコール重合体、グリセリンは、本発明においては、いずれもPVA系樹脂による塗工層に延伸性を付与するための延伸助剤の働きを示すものである。
延伸助剤として使用するグリコールとしては、炭素数が8以下のものが、水溶性に優れ、ポリビニルアルコールとの相溶性に優れ、結果として延伸性向上効果に優れるため好ましい。
延伸助剤として使用するグリコール重合体としては、ポリエチレングリコールが好適に使用できる。ポリエチレングリコールの平均分子量は、200〜10000(重合度nとしては2〜300)が好ましい。なお、分子量が10000を超えると、延伸性向上効果が無くなるため使用することができない。
他に、延伸助剤としては、グリセリン等も使用可能である。
上記挙げた各物質の中でも、エチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(PG)、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール(PEG)が、PVAとの相溶性が良好、かつ、延伸性向上の効果が大きいため特に好ましい。
本発明においては、合成樹脂フィルムとの密着性を向上させるため、PVA系水性液に含窒素有機化合物を添加することが好ましい。
これらの含窒素有機化合物としては、イミン化合物やアミン化合物と称せられるものが代表である。これらのうちイミン化合物としてはポリアルキレンイミンが代表であり、ポリエチレンイミン、アルキルあるいはシクロペンチル変性ポリエチレンイミン、エチレン尿素のイミン付加物、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又は、これらのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変性体、もしくは、脂肪族環状炭化水素変性体、ポリアミドイミド、ポリイミドワニス、からなる群より選ばれたポリイミン系化合物がある。
また、アミン化合物としてはポリアルキレンポリアミンがある。例えばポリエチレンポリアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの化合物である。また同様の効果を示すものとしては、ポリアミドのポリエチレンイミド付加物などの化合物などのポリアミド、ヒドラジン化合物、ポリアミンポリアミドのエピクロロヒドリン付加物(炭素数3〜10の飽和二塩基性カルボン酸とポリアルキレンポリアミンとからポリアミドをエピクロルヒドリンと反応させて得られる水溶性で陽イオン性の熱硬化性樹脂)などのポリアミンアミド化合物、4級窒素含有アクリルポリマー、4級窒素含有ベンジルポリマー、ウレタン、カルボン酸アミン塩基を有する化合物、メチロール化メラミン、カチオン性ポリウレタンなどの化合物などの含窒素4級塩化合物がある。また、カチオン変性ポリウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、第3級窒素含有アクリル系樹脂等などのカチオン樹脂が挙げられる。更に、尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、ジメチル尿素などの尿素化合物やジシアンジアミド誘導体なども本発明の範疇である。
これらの含窒素有機化合物の中でも、密着向上性と水中でのPVAとの相溶性の点で、ポリアルキレンイミンが最も好適である。ポリアルキレンイミンとしては、ポリエチレンイミン及びポリプロピレンイミンが好ましく、特にポリエチレンイミン(PEI)が好ましい。これらのポリアルキレンイミンは単独で使用しても、また酢酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸等との塩を形成して使用してもよい。
本発明においては、バリア性向上させるため、PVA系水性液に無機層状化合物を添加することができる。
本発明で使用できる無機層状化合物の第1としては、フィロケイ酸塩化合物が挙げられる。フィロケイ酸塩化合物に属するものは板状又は薄片状で明瞭な劈開性を有し、雲母族、パイロフィライト、タルク(滑石)、緑泥石、セプテ緑石、蛇紋石、スチルプノメレーン、粘土系鉱物などがある。これらの中でも産出される時の粒子が大きく産出量が多い化合物、例えば雲母族や粘土系好物が好ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母、合成マイカ)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母、カリ四ケイ素雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライトなどが挙げられる。合成マイカ、合成スメクタイトなどの合成品も本発明のフィロケイ酸塩化合物に含むものとする。
本発明に使用できる無機層状化合物の第2としては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物を挙げることができる。
グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物は、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を有する化合物ないし物質であり、ここで層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス力等の弱い結合力によって略平行に積み重なった構造をいう。
「カルコゲン化物」とは、IV族(Ti,Zr,Hf)、V族(V,Nb,Ta)及び/又はVI族(Mo,W)元素のジカルコゲン化物であって、式MX(Mは上記元素、Xはカルコゲン(S,Se,Te)を示す。)で表わされるものをいう。
粘土系鉱物(雲母類を含む)は、一般に、シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を有する2層構造を有するタイプと、シリカの四面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を両側から挟んでなる3層構造を有するタイプに分類される。前者の2層構造タイプとしては、カオリナイト族、アンチゴライト族等を挙げることができ、後者の3層構造タイプとしては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族等を挙げることができる。
より具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、マーガライト、タルク、バーミキュライト、ザンソフィライト、緑泥石等を挙げることができる。また、白水晴雄著、「粘土鉱物学」、1988年、(株)朝倉書店などの文献を参照することができる。特にスメクタイトが好ましく、スメクタイトにはモンモリロナイト、ハイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなどを挙げることができる。
天然品以外にも、合成品、加工処理品(例えばシランカップリング剤の表面処理品)の粘土が使用でき、合成スメクタイトとしては、式Na0.1〜1.0Mg2.4〜2.9Li0.0〜0.6Si3.5〜4.09.0〜10.6(OH及び/又はF)1.5〜2.5で示されるものが挙げられる。合成スメクタイトや合成マイカの製造方法には、水熱反応法(特開平6−345419号公報)、固相反応法、熔融法(特開平5−270815号公報参照)の3つの合成方法がある。
水熱反応法は、珪酸塩、マグネシウム塩、アルカリ金属イオン、アルカリ金属塩、フッ素イオンなど各種原料を含んだ水溶液あるいは水性スラリーをオートクレーブやパイプリアクターの中で100〜400℃の高温、高圧化のもとで反応させ合成させる方法である。水熱反応法では、結晶の成長が遅いため一般に大きな粒子のものが得られなく、一般に粒子径が10〜100nmのものがほとんどである。もちろん、水熱反応においても、低濃度、低温、長時間の条件で合成すれば粒子径が1μm以上の大きな粒子を製造することは可能だが、製造コストが極端に高くなるといった問題がある。
固相反応法はタルクと珪フッ化アルカリと他の原料とともに400℃〜1000℃の範囲で数時間反応させ、合成マイカを製造する方法である。固相反応は原料のタルクの構造を残したまま元素移動を起こしマイカが生成する(トポタキシー)ため、得られる合成マイカの品質が原料のタルク物性やその不純物に依存したり、元素移動を完全にコントロールできないため合成マイカの純度や結晶化度が低いといった問題がある。
熔融法は、無水珪酸、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、珪フッ化カリウム、炭酸カリウム、その他の原料をマイカの熔融点(例えば1500℃)以上で熔融後、徐冷結晶化し、合成マイカや合成スメクタイトを製造する方法である。また、加熱方法の違いにより、外熱式熔融法と内熱式熔融法がある。外熱式熔融法は原料を入れたるつぼを熔融点以上の温度の室に入れて昇温後、熔融点以下の温度の室に移動させて製造する方法であるがるつぼの費用が高いといった問題点がある。内熱式熔融法は黒鉛(炭素)電極や金属電極を備えた容器中で通電により原料を加熱熔融させた後、冷却させる方法であり、熔融合成法においては内熱式熔融法が一般的である。熔融合成法は冷却結晶化した塊を粉砕、分級することにより粒子径をコントロールした合成品を製造することができる。熔融合成法は原料として純度が高い原料を使用することができ、熔融化するため原料が均一に混合できるため、結晶化度が高く、粒子径が大きく、純度の高い合成マイカや合成スメクタイトを製造することができるといった利点がある。
合成無機層状化合物としては、フッ素金雲母(KMgAlSi10F、熔融法又は固相反応法)、カリウム四珪素雲母(KMg2.5Si10、熔融法)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg2.5Si10、熔融法)、ナトリウムテニオライト(NaMgLiSi10、熔融法)、リチウムテニオライト(LiMgLiSi10、熔融法)などの合成マイカ、ナトリウムヘクトライト(Na0.33Mg2.67Li0.33Si4.010(OH又はF)、水熱反応法又は熔融法)、リチウムヘクトライト(Na0.33Mg2.67Li0.33Si4.010(OH又はF)、水熱反応法又は熔融法)、サポナイト(Na0.33Mg2.67AlSi4.010(OH)、水熱反応法)などの合成スメクタイトが挙げられる。
無機層状化合物の市販品としては、一般にナトリウムベンナイトと呼ばれる天然のベントナイトや、クニピア(天然モンモリロナイト、クニミネ工業製)、スメクトン(水熱反応法合成スメクタイト、クニミネ工業社製)、ビーガム(商品名,バンダービルト社製)、ラポナイト(商品名,ラポルテ社製)、DMクリーンA、DMA−350、Na−Ts、NTO−5(商品名,熔融法、ナトリウム四珪素雲母、トピー工業製)、ベンゲル(商品名,豊順洋行社製)、ソマシフME−100(商品名,固相反応法合成マイカ、コープケミカル製)等を挙げることができ、これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いることもできる。
これらの中でも、粒子径、アスペクト比、結晶性の面からから熔融合成法で製造されたナトリウム四珪素雲母(トピー工業製、DMA350)等が特に好適に使用できる。
本発明において、最も好適に使用される無機層状化合物は、水中で容易に膨潤、壁開及び分散する膨潤性無機層状化合物である。膨潤性無機層状化合物の溶媒への「膨潤・へき開」性の程度は、以下の「膨潤・へき開」試験により評価することができる。該膨潤性無機層状化合物の膨潤性は、下記膨潤性試験において約5mL以上(より好ましくは約20mL以上)であることが好ましい。膨潤性の具体的なものとしては、上記クニピア(膨潤力:65mL/2g以上)、スメクトン(膨潤力:60mL/2g以上)、DMクリーンA、DMA−350、Na−Ts(膨潤力:30mL/2g以上)、ME−100(商品名,コープケミカル社製、膨潤力:20mL/2g以上)及びベンゲル(膨潤力:38mL/2g以上)等である。
一方、該膨潤性無機層状化合物のへき開性は、下記へき開性試験において約5mL以上(より好ましくは約20mL以上)の程度であることが好ましい。これらの場合、溶媒としては、膨潤性無機層状化合物の密度より小さい密度を有する溶媒を用いる。該溶媒としては、水を用いることが好ましい。
膨潤性試験を詳述する。膨潤性無機層状化合物2gを溶媒100mLにゆっくり加える(100mLメスシリンダーを容器とする)。静置後、23℃、24hr後の膨潤性無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から前者(膨潤性無機層状化合物分散層)の体積を読む。この数値が大きい程、膨潤性が高い。
へき開性試験を詳述する。膨潤性無機層状化合物30gを溶媒1500mLにゆっくり加え、分散機(浅田鉄工(株)製、デスパーMH−L、羽根径52mm、回転数3100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて周速8.5m/secで90分間分散した後(23℃)、分散液100mLをとりメスシリンダーに入れ60分静置後、上澄みとの界面から、膨潤性無機層状化合物分散層の体積を読む。
また、本発明で使用するのに好ましい無機層状化合物としては、陽イオン交換容量が100g当り、30〜300meq、より好ましくは50〜250meq、特に好ましくは60〜200meqである。陽イオン交換容量が30meq/100g未満だと含窒素化合物との効果が小さくなり防湿性に優れない。また、300meq/100gを越えて大きいと塗料が凝集しやすくなり好ましくない。一般に、天然及び合成スクメタイトは85〜130meq/100gの陽イオン交換容量を有するものが本発明において特に好ましいものである。
陽イオン交換容量の測定は一般にアルコール洗浄法(Schollenberger法あるいはその改良法、和田光史(1981)粘土科学21,160-163参照)と呼ばれる測定方法で行う。無機層状化合物の粉末0.2〜1.0gあるいは約1〜3%水分散液を約10〜30mlを100ml容量の遠心分離管に採取する。1Nの酢酸アンモニウム(CHCOONH)液(pH7)を加えて約80mlとして、十分に振とうした後、遠心沈降させ上澄みを捨てる(遠沈洗浄)。遠沈洗浄を4回繰り返した後、遠心分離管に残っている余剰の塩を取り除くため80%エタノール水溶液(pH7)で遠沈洗浄を3回行う。次に10%のNaCl水溶液を用いて遠沈洗浄を4回繰り返し、遠心管の上澄み液をすべて集めて抽出液とする。抽出液のNHを蒸留法で定量し、試料の乾燥質量(100g)当りのミリグラム当量数(meq)を陽イオン交換容量(cation exchange capacity,CEC)の値とする。なお測定は23℃の環境下で行う。また、測定は7点行い、最大値と最小値を除いた5点の平均を測定値とした。
本発明で使用する無機層状化合物としては、アスペクト比が50〜5000のものが好ましい。アスペクト比(Z)とはZ=L/aなる関係で示されるものであり、Lは無機層状化合物の水中での平均粒子径(レーザー回折法で測定。堀場製作所LA−910.屈折率1.3、体積分布50%のメジアン径)である。aは無機層状化合物の厚さであり、厚さは、溶媒で膨潤させた無機層状化合物と水溶性高分子(PVA)の混合物(無機層状化合物と水溶性高分子の固形分の質量比は10/100が好ましい)から得られる塗工膜(フィルム上に厚さ20μ程度の厚さを形成)の断面をSEMやTEMによる写真観察によって求めることができる。断面写真は少なくとも塗工膜の5箇所から作成し、一つの断面部分から5箇所以上の断面写真を撮影し、25枚以上の断面写真画像を得る。得られた画像を画像解析ソフトで解析し平均の厚さを求める。厚さを測定する無機層状化合物の個数は500個以上が好ましく、1000個以上が特に好ましい。個数が500個未満になると測定厚さのバラツキが多くなる。
無機層状化合物の平均粒子径は0.1μm〜100μmが好ましく、とりわけ0.5μm〜50μmが好ましい。粒子径が0.1μm未満になるとアスペクト比が小さくなる上、塗工膜中で基材表面に対して平行に並びにくくなり、バリア性向上効果が不十分になる。粒子径が100μmを越えて大きくなると塗工膜から無機層状化合物が突き出てしまうことがあり好ましくない。
なお、本発明に使用する無機層状化合物は、必要に応じて、ボールミル、サンドグラインダー、コボルミル、ジェットミルなどの粉砕機で粉砕分級し、所望の粒子径とした後、本発明に使用することができる。
無機層状化合物の厚さは0.5nm〜1μmが好ましく、1nm〜100nmがさらに好ましく、1nm〜10nmが特に好ましい。厚さが薄いほどアスペクト比が大きくなり、バリア性向上の効果が大きい。
PVAと無機層状化合物の配合量(固形分)は、質量換算で99/1〜30/70が好ましく、より好ましくは93/7〜35/65、特に好ましくは95/5〜40/60である。無機層状化合物の配合量が1%未満になると、バリア性向上効果が小さくなる。無機層状化合物が70%を越えて大きくなると、無機層状化合物の間を埋めるPVAが不足して、空隙やピンホールの増大を招き、ガスバリア性が悪化する。
本発明においては、PVA系水性液に、必要に応じて、ポリカルボン酸などの分散剤、シリコーン系などの消泡剤、界面活性剤、保水剤、色合い調整剤、無機層状化合物以外の顔料(炭酸カルシウム、クレー、カオリン、マイカ)等を添加することができる。
本発明においては、延伸前のPVAの塗工量(固形分)は0.1g/m〜20g/mが好適な範囲である。塗工量が0.1g/m未満であると、均一に延伸されずに塗工膜に欠陥を発生しやすくなる。また塗工量20g/mを越えるとバリア性が頭打ちとなるため不経済である。
本発明においては、密着性や塗工膜強度の向上のために、合成樹脂フィルムとPVA塗工膜の間にプライマー層(アンカー層)を設けることができる。
プライマー層にはアクリルポリオールやポリビニルアセタール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール等のポリオール類とイソシアネート化合物との2液反応によって得られる有機高分子、またはポリイソシアネート化合物および水との反応によりウレア結合を有する有機化合物、ポリエチレンイミンまたはその誘導体、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン、フェノール、または有機変性コロイダルシリカのような無機シリカ、シランカップリング剤およびその加水分解物のような有機シラン化合物を主剤とするものなどが挙げられ、どれもがプライマー剤として使用できるが、特にアクリルポリオールとイソシアネート化合物、シランカップリング剤の組み合わせが好ましい。
なお、プライマー層は、乾燥後の厚さで0.005〜5μmとなるように塗工する事が望ましく、より好ましくは0.01〜1.0μmの範囲である。0.01μm未満の場合均一な塗膜を得ることが難しく、1μmを越える場合は不経済である。
本発明では、フィルム基材上にこのようなプライマー層を設けた後、PVA塗工層を設け、さらに延伸することが好ましい。
本発明で基材となるフィルムは一軸延伸、もしくは二軸に延伸された延伸フィルムである。一般に、無延伸のフィルムよりも延伸したフィルムの方が、防湿性や酸素透過度に優れ引張強度が大きくなるので、基材として延伸フィルムが用いられる。
また、延伸フィルムに用いる合成樹脂としては、熱可塑性の合成樹脂であれば特に制限はない。具体的には、ポリプロピレン系合成樹脂、ポリエチレン系合成樹脂、ポリエステル系合成樹脂、ポリアミド系合成樹脂が、成形性、強度、透明性、防湿性などに優れているために好適に使用される。
ポリプロピレン系合成樹脂はモノマーとしてプロピレンを重合したものである。
ポリエチレン系合成樹脂はモノマーとしてエチレンを重合したものであり、高分子の分岐の度合いにより、低密度ポリエチレンや中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどがある。
ポリエステル系合成樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸とエチレングリコールの共縮重合したポリエステル)、ポリトリメチレンテレフタレート(テレフタル酸と1,3−プロパンジオールの共縮重合したポリエステル)、 ポリブチレンテレフタレート(テレフタル酸と1,4−プタンジオールの共縮重合したポリエステル)、ポリエチレンナフタレート(2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールの共縮重合したポリエステル)、ポリブチレンナフタレート(2,6−ナフタレンジカルボン酸と1,4−プタンジオールの共縮重合したポリエステルなどが挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6(カプロラクタムを開環重縮合したポリアミド)、ナイロン11(ウンデカンラクタムを開環重縮合したポリアミド)、ナイロン12(ラウリルラクタムを開環重縮合したポリアミド)ナイロン66(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の共縮重合したポリアミド)、ナイロン610(ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の共縮重合したポリアミド)ナイロン6T(ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の共縮重合したポリアミド)などがある。
これらの合成樹脂中でも、ポリプロピレン系合成樹脂が、防湿性に優れるために最も好適に使用される。ポリプロピレン系合成樹脂としては、アイソタクティックポリプロピレン樹脂(ホモポリプロピレン)、エチレン変性アイソタクティックポリプロピレン樹脂(ランダムコポリマーやブロックコポリマー)、メタロセン系ポリプロピレン樹脂、アタクチックポリプロピレン樹脂、シンジオタクチックポリプロピレン樹脂等が使用可能である。また、これらのポリプロピレン樹脂を二種類以上混合して使用することが可能である。
これらのポリプロピレン系樹脂の中でも、アイソタクティックポリプロピレン樹脂と、エチレン変性アイソタクティックポリプロピレン樹脂(ランダムコポリマータイプのポリプロピレン樹脂)が、延伸性に優れるため、最も好適に使用できる。
アイソタックチックポリプロピレンは、結晶性が高いために分子鎖同士が密にパッキングするため防湿性にも優れ、また、熱収縮率が低いため、延伸時に均一に延伸でき、結果として平滑になる。
また、ランダムコポリマータイプのポリプロピレン樹脂は、延伸性を維持しながら、透明性や耐衝撃性に優れる。なお、ランダムコポリマータイプのポリプロピレン樹脂では、エチレン質量比が5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下のものが好適である。エチレン質量比が5%を超えると防湿性が低下するため好ましくない。
本発明で使用するポリプロピレン樹脂の210℃におけるメルトフローレート(以下MFR)は、好適には0.1〜100g/10min、より好適には0.5〜50g/min、最も好適には1〜10g/10minである。
MFRが0.1g/10minより小さいと延伸が困難となり、100g/10minを超えると耐熱性が低下し、均一な延伸が困難となる。
本発明で使用するポリプロピレン樹脂のn−ヘプタンインデックス(=n−ヘプタン抽出残分,以下HI)は、好適には94.0〜99.9%、より好適には95.0〜99.5%、最も好適には96.0〜99.0%である。HIは数値が高いほど低分子成分が少ないことを意味する。
HIが94.0%より小さい場合は、得られるポリプロピレンフィルム表面の平滑性が低下し、塗工適性が悪くなるため好ましくない。また、HIが99.9%より越えて大きいと、延伸行程で破断などの不具合が発生するので好ましくない。
本発明で使用するポリプロピレン樹脂の分子量は、重量平均分子量で40万〜70万が好ましく、より好ましくは45万〜65万、更に好ましくは50万〜60万である。数平均分子量は8万〜14万が好ましく、9万〜13万がより好ましく、10万〜12万が更に好ましい。分子量が小さすぎる(重量平均分子量40万未満、あるいは数平均分子量8万未満)と、ブロッキングが発生しやすくなったり、防湿性が低下して好ましくない。また、分子量が大きすぎる(重量平均分子量70万を越える、あるいは数平均分子量が12万を越える)と、延伸性が低下し、OPPフィルム表面の平滑性が悪くなり、その結果、塗工適性が悪くなるため好ましくない。
また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnは、3.0〜6.0が好ましい。
なお、本発明における延伸フィルムとなる合成樹脂には、必要に応じ、酸化防止剤等、通常用いられる添加剤を加えることができる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、フェノール系化合物、りん系加工安定剤、りん系酸化防止剤などが挙げられる。ヒンダードフェノール系としてはチバガイギー製のIrganox1010(化合物名:ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、融点110〜125°)、フェノール系化合物としてはBHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、融点69℃)、りん系加工安定剤としてはチバガイギー製のIrgafos168(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、融点183〜186℃)、りん系酸化防止剤としては旭電化製のアデカスタブHP−10などが挙げられる。
また、本発明における延伸フィルムとなる合成樹脂には、防湿性を向上させるために石油樹脂やテルペン樹脂、ロジン樹脂、水素添加ロジン樹脂などの防湿性向上樹脂を添加することができる。
石油樹脂とは、石油留分中側鎖に重合性二重結合を有する芳香族炭化水素を主成分として、重合することにより得られるものをいい、重合性芳香族炭化水素としては、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、プロペニルベンゼン、インデン、メチルインデン、エチルインデン、クマロン等の各種化合物があげられる。また、石油樹脂には、前記重合性二重結合を有する芳香族炭化水素とともにオレフィン類、たとえばブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ブタジエン、ペンタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、オクタジエン等の1種または2種以上を重合して得られるものも含む。さらには、石油樹脂にはシクロペンタジエンもしくはジシクロペンタジエンを熱重合して得られるものも包含する。
また、テルペン樹脂の代表的な化合物としては、ピネン、ジペンテン、カレン、ミルセン、オシメン、リモネン、テレピノレン、テルピネン、サビネン、トリシクレン、ビサボレン、ジンギペレン、サンタレン、カンホレン、ミレン、トタレン等がある。中でもα−ピネン、β−ピネン、ジペンテン等を塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素等のフリーデルクラフト触媒を用いカチオン重合して得られるテルペン樹脂が、防湿性向上の点で好ましく用いられる。またはこれらテルペン留分とスチレン類からなる共重合体等を使用してもかまわない。
前記の石油樹脂やテルペン樹脂は、水素化することで、独特の臭気がなくなり、耐熱性が向上するため好ましい。水素添加率は90%以上が好ましく、95%以上がさらに好ましい。
また、石油樹脂は、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホン基およびそれらの変成体などからなる極性基を有さない石油樹脂、即ち石油系不飽和炭化水素を直接原料とするシクロペンタジエン系、或は高級オレフィン系炭化水素を主原料とする樹脂が防湿性向上効果に優れるためさらに好適である。
さらにかかる石油樹脂のガラス転移点温度(以下Tgと略称する)は60℃以上であることが好ましい。Tgが60℃未満では、防湿性の向上効果が小さい。
最も好適な水素添加石油樹脂としては、例えばTg70℃以上で水添率99%以上のポリジシクロペンタジエン等の高Tg完全水添脂環族石油樹脂を挙げることができる。
またテルペン樹脂は、水酸基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホン基およびそれらの変成体などからなる極性基を有さないテルペン樹脂、即ち(C)nの組成の炭化水素およびこれから導かれる変性化合物が防湿性向上の効果に優れ好ましい。
上記防湿性向上樹脂の配合量としては、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して1〜100質量部が好ましく、より好ましくは5〜75質量部、更に好ましくは10〜50質量部である。防湿性向上樹脂の配合量が1質量部未満だと防湿性向上効果が不十分となる。また100質量部を越えると、延伸性が低下し二軸延伸フィルムの製造が困難となり好ましくない。
基材フィルムのブロッキング防止のため、合成樹脂にアンチブロッキング剤を添加することができる。アンチブロッキング剤としては各種顔料等が使用可能である。前記顔料の粒子径は0.1μm〜10μmが好ましい。
アンチブロッキング剤として使用する顔料の具体例としては、シリカ粒子、アルミナ、(合成)ゼオライト、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、マイカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、石英、炭酸マグネシウム、硫酸パリウム、二酸化チタンなどの無機顔料や、ポリスチレン、ポリアクリル系粒子、ポリメチルメタクリレート(PMMA)系粒子、架橋ポリエチレン粒子、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、(架橋)メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、アミノ樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂などの有機顔料が挙げられる。これらの中でもPMMAやシリカ粒子が、耐ブロッキング性や、フィルムを巻取りに仕上げる場合に必要な適度な滑り性等を付与することが可能であるという点で好ましく使用される。
本発明では、まず無延伸、もしくは一軸延伸フィルムを成形し、該フィルムに前記PVA系水系液を塗工、乾燥した後、さらに該フィルムを延伸して、一軸、もしくは二軸延伸ガスリアフィルムを製造するものである。
フィルムの成形は、円形ダイによるインフレーション成形法、TダイによるTダイ成形法等、通常のフィルムの成形装置及び成形方法で行なうことが可能である。後の工程においてPVAの塗工を行なう関係上、平面のシートが得られるTダイ成形方法によるものが特に好ましい。
前述した各種合成樹脂を、樹脂温度150〜300℃、ドラフト率1〜50の成形条件でフィルム化する。
なお、インフレーション成形の場合は、ブローアップ比を1.5〜4.0、ドラフト率を1〜50、樹脂温度200〜270℃、冷却速度指数(℃)7以下の範囲の条件で行なうのがさらに望ましい。
なお、ドラフト率とは下記式により得られる。
Figure 2008284756
式中、記号は下記の通りである。
G:ダイスリットの幅
t:得られたフィルムの厚み
ρm:ダイスリットから押出される樹脂の密度
ρf:フィルムの密度
BUR:ブローアップ比
なお、Tダイ成形の場合はBUR=1として表わされる。
ドラフト率が1未満の場合には曇り度(ヘーズ)が上昇し透明性が劣る可能性がある。
また、100より大きい場合には、延伸時に縦裂しやすくなるので好ましくない。
また冷却速度指数(τ)とは溶融樹脂がダイから押出されフロストラインまたは冷却ロールに達するまでの滞留時間(秒)を示すものであり、下記(I)式によって表される。
Figure 2008284756
τ:冷却速度指数(秒)
AG:エアーギャップ(Tダイとロール間の距離)又はインフレーション成形時のフロストライン高さ(cm)
:ダイ出口の溶融樹脂の線速度(cm/秒)
:引取速度(cm/秒)
本発明においては、冷却速度指数(τ)を10以下とする。冷却速度指数(τ)は上記(I)式中の各要件を変化させることによってコントロール可能である。例えばフロストライン高さ(FLH)を変えたければ、エアーリング等の冷却装置の冷却度合を変えれば良く、またVやVを変化させるには押出機の押出量や引取装置の引取速度を変えることによってコントロール可能である。これらの各要素を組み合わせて所定の冷却速度指数(τ)を設定する。
なお、冷却速度指数(τ)が10を越えると冷却が不足してバブルが不安定となったり、生起した分子配向が弛緩してフィルムの強度低下を起こす可能性がある。
なお、Tダイ成形する場合には、ドラフト率を1〜10、樹脂温度190〜300℃、冷却速度指数10以下(冷却ロール温度40〜120℃)の範囲の条件で行なうのが望ましい。
本発明においては、前述の方法で得られた無延伸もしくは一軸延伸フィルムの少なくとも片面にPVA系水性液の塗工を行う。
塗工方式は、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、スプレーコーター、公知の方式から適宜選択可能である。
なお、フィルムの成形がTダイ方式等、平面のシートが得られる場合、一般的な塗工方法、塗工装置を任意に選択することが可能であるが、インフレーション成形の場合、非接触であるスプレー塗工により塗工を行う必要がある。
PVA系水性液を塗工後、二軸延伸を行なう前に、ある程度乾燥させ、塗工層の水分量を調整する方が好ましい。
具体的には、二軸延伸を行なう直前のPVA系水系液の塗工層の水分量を、0.5〜30%の範囲とすることが好ましい。1〜15%がさらに好ましく、3〜10%が最も好ましい。水分量が0.5%未満になると、PVA塗工層の延伸性が低下し、延伸後、塗工層に、亀裂やピンホール等の欠陥が発生しバリア性が低下するおそれがある。また、30%を超えた場合は、延伸時に塗工層中の水の蒸発により熱量が奪われるため、合成樹脂フィルムの温度が十分に上がらなかったり、フィルムの表裏で温度差が生じ、合成樹脂フィルムの延伸性が低下する恐れがある。
なお、PVA水系液を乾燥させる場合、乾燥温度は二次延伸温度より低温で行なうことが望ましい。例えば、基材がポリプロピレン樹脂フィルムの場合80℃前後で乾燥させることが望ましい。
なお、高分子化学においては、水が高分子を可塑化させることが解っており(「高分子と水」共立出版発行、高分子学会編者、初版、60ページ参照)、本発明者らは、水分の作用メカニズムについて、水分子がPVAの分子鎖の間に吸着することで、PVA塗工膜の結晶性を低下させる結果、塗工膜の延伸性が向上するものと推察するものである。
上記のようにしてPVA系水系液を塗工、乾燥させたフィルムは、次いで延伸工程を経て、一軸延伸フィルムもしくは二軸延伸フィルムとなる。
一軸延伸フィルムは、無延伸フィルムに塗工行なった後、一軸方向に延伸処理を行なったものである。
二軸延伸フィルムは、一軸延伸フィルムに塗工を行なった後、一軸延伸方向と直交する方向で二軸延伸を行なうか、無延伸フィルムに塗工を行なった後、同時二軸延伸を行なったものである。
なお、同時二軸延伸の場合、縦横の延伸を同時に開始、完了させるか、あるいは、延伸は縦横同時に開始し、縦方向のみ先に完了させる等、縦方向と横方向の延伸の時間的配分は任意に選択可能である。
なお、本発明において、二軸延伸フィルムを基材とする場合は、一軸延伸後(通常縦方向の延伸)にPVA系水系液の塗工を行い、さらに二軸延伸(通常横方向の延伸)を行なうことが、PVA塗工膜を均一に、あるいは欠陥なく延伸でき、さらにPVAが配向しやすくなりバリア性が向上するため望ましい。従って、一軸延伸と二軸延伸を別で行なう逐次延伸方式が望ましい。
特に、テンター法二軸延伸法は、二軸延伸フィルムが透明性に優れるために最も好ましい。
本発明のガスバリアフィルムの延伸工程の温度、速度、倍率等の各種条件について、さらに詳細に述べる。
まず、延伸温度は、ポリプロピレン樹脂を延伸する場合、延伸温度は150〜200℃で行ない、好ましくは155〜175℃である。延伸温度が150℃未満では、分子鎖の運動性が乏しいため延伸時にフィルムが切断しやすく、切断せず延伸できたとしても延伸倍率が上がらず、強度、ガスバリア性、防湿性等の物性が優れた延伸フィルムを得ることができない。延伸温度が200℃を超える場合は、樹脂の融解のため分子鎖の延伸配向を起すことができず、見かけ上延伸されても、得られたフィルムには延伸斑が発生し、透明性も損なわれ、強度も十分とならない。
延伸速度は2〜300%/秒の範囲、好ましくは10〜150%/秒である。延伸速度が2%/秒より遅いと、延伸途中の配向結晶化により延伸性が阻害されやすく、また50%/秒より速いとポリマーの変形が延伸速度に追随しきれなくなって延伸切れを起こすようになる。
延伸倍率は、延伸操作性(延伸しやすさ)及び得られた二軸延伸フィルムの物性の点で、フィルムの縦方向(流れ方向)横方向(幅方向)とも、2〜10倍が好ましく、より好ましくは4〜9倍である。
上記延伸倍率が2倍未満の場合、得られた延伸フィルムの厚みムラが大きく、均一な延伸フィルムが得られず、また10倍を超えた場合は延伸操作性が悪化し、得られた延伸フィルムに欠陥やボイドが発生しやすくなるため好ましくない。
本発明のガスバリアフィルムのPVA層に、さらにシーラント層(加熱や超音波で溶融し接着する層)を形成して食品用包装素材等として使用することができる。
シーラント層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル系重合体、ポリ酢酸ビニル重合体などが挙げられる。
シーラント層に使用されるポリエチレンやポリプロピレンは、熱融着(ヒートシール)適性に優れるため、無定形のものが好ましい。
なお、シーラント層の積層は、溶融押出ラミネート法やドライラミネート法、あるいは塗工等、公知の方法から適宜選択することができる。
以下、本発明を実施例により詳説する。
<実施例1>
1,2−グリコール基を有するPVA水溶液(固形分10%、日本合成化学製「エコマティWO−215(けん化度92-94%)」を95℃のイオン交換水で溶解させ冷却させたもの)100質量部と、無変性PVA水溶液(固形分10%、クラレ製「PVA117(けん化度98−99%、重合度1700)」を95℃のイオン交換水で溶解させた後冷却させたもの)100質量部を混合した混合PVA水溶液をPVA系水性液とした。
ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー,商品名PL400A、MFR=2.0、HI=98.0,サンアロマー製)を180℃で熔融押出機のTダイよりシート状に押出し、冷却ロール(25℃)で冷却、無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ800μm)を作製した。
該ポリプロピレンフィルムを、製造流れ方向(縦方向)に、延伸倍率5倍、160℃条件で縦延伸を行って一軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ160μm)を作製した。さらに該一軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面をコロナ放電処理した。
この一軸延伸ポリプロピレンフィルムのコロナ放電処理面に、前述のPVA系水性液をバー塗工装置で塗工、80℃で水分5%となるまで乾燥させた(この時乾燥後の塗工厚さ4μm)。
上記で得たPVA塗工一軸延伸ポリプロピレンフィルムを、テンターにて、製造流れ方向に対して直角方向(横方向)に、延伸倍率8倍、160℃条件で横延伸を行なって、そのままテンター内で160℃条件で熱処理を行い、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ20μm)を基材とするガスバリアフィルム(PVA塗工層厚さ0.5μm)を製造した。
<実施例2>
実施例1の無変性PVA水溶液の代わりにシリル変性PVA水溶液(固形分10%、クラレ製「R1130(けん化度98-99%)」を95℃のイオン交換水で溶解させ冷却させたもの)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<実施例3>
1,2−グリコール基を有するPVA水溶液を100質量部、無変性PVA水溶液を200質量部としてPVA系水性液を得たこと以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<実施例4>
1,2−グリコール基を有するPVA水溶液を100質量部、無変性のPVA水溶液を300質量部としてPVA系水性液を得たこと以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<実施例5>
1,2−グリコール基を有するPVA水溶液を100質量部、無変性のPVA水溶液を500質量部としてPVA系水性液を得たこと以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<実施例6>
1,2−グリコール基を有するPVA水溶液を100質量部、無変性のPVA水溶液を1000質量部としてPVA系水性液を得たこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<実施例7>
1,2−グリコール基を有するPVA水溶液を100質量部、無変性のPVA水溶液を50質量部としてPVA系水性液を得たこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<実施例8>
1,2−グリコール基を有するPVA水溶液を100質量部、無変性のPVA水溶液を30質量部としてPVA系水性液を得たこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<実施例9>
1,2−グリコール基を有するPVA水溶液を100質量部、無変性のPVA水溶液を20質量部としてPVA系水性液を得たこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<実施例10>
1,2−グリコール基を有するPVA水溶液を100質量部、無変性のPVA水溶液を10質量部としてPVA系水性液を得たこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<実施例11>
1,2−グリコール基を有するPVA水溶液として、「エコマティ215」に代えて日本合成化学製「エコマティWO−115(けん化度92-94%)」を使用してPVA系水性液を得たこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<実施例12>
1,2−グリコール基を有するPVA系水溶液として、「エコマティ215」に代えて日本合成化学製「WO−320R(けん化度86.5-89.5%)」を使用してPVA系水性液を得たこと以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<実施例13>
実施例1で得られたPVA系水性液100質量部に、さらにポリエチレンイミン水溶液0.5質量部(日本触媒製、商品名:P1000、固形分を10%に調製した水溶液)を添加してPVA系水性液を得たこと以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<実施例14>
実施例1で得られたPVA系水性液100質量部に、さらに合成マイカ水分散液2質量部(トピー工業製、商品名:NTO−5、ナトリウム四珪素雲母、固形分を6%)を添加してPVA系水性液を得たこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<実施例15>
実施例5で得られたPVA系水性液100質量部に、さらにエチレングリコール(和光純薬製、特級)の10%水溶液を30質量部を添加してPVA系水性液を得たこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<比較例1>
1,2−グリコール基を有するPVA水溶液(固形分10%、日本合成化学製「エコマティWO−215(けん化度92-94%)」を95℃のイオン交換水で溶解させ冷却させたもの)を、PVA系水性液として使用した以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<比較例2>
無変性PVA水溶液(固形分10%、クラレ製「PVA117(けん化度98-99%、重合度1700)」を95℃のイオン交換水で溶解させた後冷却させたもの)を、PVA系水性液として使用した以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
<比較例3>
シリル変性PVA水溶液(固形分10%、クラレ製「R1130(けん化度98-99%)」を95℃のイオン交換水で溶解させ冷却させた水性液)を、PVA系水性液として使用した以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを製造した。
実施例、比較例で得たガスバリアフィルムを以下の方法で評価、結果を表1に示す。
[評価方法]
1)酸素透過度
酢酸エチル113質量部にウレタン系接着剤(商品名:ニッポランID−816、固形分60%、日本ポリウレタン工業製)100質量部を添加し、攪拌しながらイソシアネート系硬化剤(商品名:ハードナー300、固形分100%、日本ポリウレタン工業製)5.6質量部を添加し固形分30%のドライラミ用接着剤を作製した。
前述のドライラミ用接着剤を、実施例、比較例で製造したガスバリアフィルムの塗工面上に、固形分3.5g/mの塗工量となるようにマイヤーバーにて塗布し、120℃で30秒間乾燥した。
次いで、前記接着剤面と、シーラント層となる無延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:パイレンフィルム−OT、品名:P−1128、20μm厚さ、東洋紡績製)のコロナ処理面側を貼り合わせ、40℃の恒温器にて3日間エージングを行い、シーラント層を有するガスバリア積層体を製造した。
前述のガスバリア積層体を、JIS−K−7126 B法(等圧法)で塗工面を酸素検出器側にして23℃50%RH条件で測定した(酸素透過度測定装置:OX−TRAN100型、MOCON社製)。
なお、サンプルをセットした後24時間後の値を酸素透過度とした。酸素透過度は4cc/m・24hr以下が好ましく、3cc/m・24hr以下がより好ましく、2cc/m・24hr以下が更に好ましい。
2)塗工ムラおよび塗工欠陥の評価
実施例及び比較例で製造したガスバリアフィルムの塗工層表面に、ヨウ素水溶液をハンドスプレーで適量塗布し、塗布面を刷毛で軽くならした後、1分間放置して、ろ紙を用いて抑えるようにヨウ素水溶液をろ紙に吸収させ除去した。ヨウ素の染色ムラを目視で判断した。染色ムラが大きい場合は塗工ムラ(塗工量が不均一)が発生していると判断した。また、ヨウ素が全く染まっていない部分は塗工欠陥と判断した。
Figure 2008284756

Claims (3)

  1. 合成樹脂フィルムの少なくとも片面に、1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂を含み、かつ、無変性ポリビニルアルコール系樹脂あるいはシリル変性ポリビニルアルコール系樹脂から選ばれる少なくとも一種を含む水性液を塗工した後、一軸方向に延伸することを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法。
  2. 前記水性液が、1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂100質量部に対して、無変性ポリビニルアルコール系樹脂あるいはシリル変性ポリビニルアルコール系樹脂から選ばれる少なくとも一種が10〜1000質量部含まれる水性液であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  3. 水性液に含窒素有機化合物が含まれることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法。
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