JP2008281729A - プラスチックレンズの染色方法及び染色装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 昇華性染料を溶解又は微粒子分散させた染色用用材を電子計算機にて設定した色データに基づいて基体上に塗布し染色用基体を得る第1ステップと、第1ステップにて得られた染色用基体の塗布面をプラスチックレンズと略真空中にて非接触に対向させた状態にて設置し,染色用基体を加熱することにより昇華性染料を昇華させプラスチックレンズに蒸着させる第2ステップと、第2ステップにより昇華性染料が蒸着したプラスチックレンズの蒸着面に対して一方向から赤外線を照射して加熱することにより昇華性染料をプラスチックレンズに定着させる第3ステップと、を有する。
【選択図】 図1
Description
上記従来技術の問題点に鑑み、気相転写染色方法において、加熱によるレンズの黄変を抑制し、好適に染色を行うことのできるプラスチックレンズの染色方法及び染色装置を提供することを技術課題とする。
(1) プラスチックレンズの染色する方法において、昇華性染料を溶解又は微粒子分散させた染色用用材を電子計算機にて設定した色データに基づいて基体上に塗布し染色用基体を得る第1ステップと、該第1ステップにて得られた前記染色用基体の塗布面をプラスチックレンズと略真空中にて非接触に対向させた状態にて設置し,前記染色用基体を加熱することにより前記昇華性染料を昇華させ前記プラスチックレンズに蒸着させる第2ステップと、該第2ステップにより前記昇華性染料が蒸着したプラスチックレンズの蒸着面に対して一方向から赤外線を照射して加熱することにより前記昇華性染料をプラスチックレンズに定着させる第3ステップと、を有することを特徴とする。
(2) (1)のプラスチックレンズの染色方法において、前記第2ステップにて得られる前記プラスチックレンズの染料蒸着面がグラデーション染色を行うために所定の濃度勾配を有する染料蒸着領域と前記昇華性染料が蒸着していない領域からなる場合は、前記第3ステップにて前記昇華性染料が蒸着していない領域に前記赤外線が照射されるのを抑制しつつ前記染料蒸着領域に赤外線を照射することを特徴とする。
(3) (2)のプラスチックレンズの染色方法において、前記第3ステップは前記昇華性染料が蒸着したプラスチックレンズと前記赤外線を照射する加熱手段との間に前記昇華性染料が蒸着していない領域をカバーする遮蔽手段を配置することにより前記昇華性染料が蒸着していない領域に前記赤外線が照射されるのを抑制することを特徴とする。
(4) (3)のプラスチックレンズの染色方法において、前記遮蔽手段は前記プラスチックレンズの前記昇華性染料が蒸着していない領域に対して非接触にてカバーするように配置されていることを特徴とする。
(5) 所定の濃度勾配を有する染料蒸着領域と染料が蒸着していない領域を持つプラスチックレンズの蒸着面に対して前記染料が蒸着していない領域に対する赤外線の照射を抑制した状態で前記プラスチックレンズの蒸着面を赤外線の照射により加熱することにより前記染料をプラスチックレンズに定着させることを特徴とする。
(6) 所定の濃度勾配を有する染料蒸着領域と染料が蒸着していない領域を持つプラスチックレンズの蒸着面に対して一方向から赤外線を照射して加熱するための加熱手段と、該加熱手段と前記プラスチックレンズとの間に置かれ,前記染料が蒸着していない領域をカバーする遮蔽手段とを有し、前記染料が蒸着していない領域に対する前記赤外線の照射を抑制した状態で前記プラスチックレンズの蒸着面を赤外線の照射により加熱することにより染料をプラスチックレンズに定着させることを特徴とする。
100はプラスチックレンズ染色用基体作成装置であり、モニタ101、パーソナルコンピュータ(以下、PCと略す)102、出力手段となるプリンタ103等から構成される。なお、本実施形態ではインクジェットプリンタを使用している。104はキーボード、マウス等のPCを操作するための操作部である。PC102は、種々の演算処理を行うCPUを有する制御部や、ハードディスク等を備える。制御部は、インクジェットプリンタ103から染色用基体1を出力させるための制御を行う。また、ハードディスク内には、プラスチックレンズを染色するための染色用基体を作成するための染色用基体作成ソフトのプログラムや、プラスチックレンズの各種基材情報、基体に塗布するための染色用インクの色データ等が記憶されている。
13は染色用基体1を載せるための円筒の形状を有する基体支持台であり、その内側にレンズ支持台11が収まるように置かれる。12はレンズ支持台11の上に置かれる円筒形のレンズ台であり、プラスチックレンズ10が下に落ちないようレンズを支えるレンズ支持部12aを備える形状となっている。レンズ台12をレンズ支持台11上に載せた後、プラスチックレンズ10の凸面側の周縁をレンズ支持部12aに載せることにより、プラスチックレンズ10を所定の高さ位置で保持させることができる。14は基体押さえであり、基体支持台13の上部に載せられた染色用基体1を基体押さえ14と基体支持台13とで挟み込むことにより、染色用基体1が動かないようにしっかりと固定保持する。このとき染色用基体1のインク塗布面2は、レンズ10側(下側)に向けてレンズ10の染色予定面(本実施形態では凹面側)に対して非接触にて対向している。また、気相転写染色方法にてプラスチックレンズ10を染色するにあたっては、染色用基体1とプラスチックレンズ10との間が極端に狭いと染料の分散が十分に行われず、レンズ表面の染色がむらとなって蒸着する傾向がある。従って、プラスチックレンズ10の染色面側の幾何中心から染色用基体1までの距離は最低5mm程度離しておくことが好ましい。また、反対にプラスチックレンズ10の染色面と染色用基体1との間が離れすぎると、プラスチックレンズ10への染色濃度が薄くなってしまい、所望する染色濃度が得られ難くなる。また、気層中で染料の粒子が均一に分散されず、反対に互いに集結するため、プラスチックレンズ10の染色面にてむらになって蒸着する傾向がある。このような点から、プラスチックレンズ10の染色面側の幾何中心から染色用基体1までの距離は5〜30mmが好ましく、さらに好ましくは5〜20mmである。
PC102を操作して図示せぬ染色用基体作成ソフトを起動させ、モニタ101に染色用基体作成画面を表示して操作部104を用いてグラデーション用のデータを設定しておき、インクジェットプリンタ103から図4に示すようなグラデーション用の染色用基体1を出力する。図示するように出力された染色用基体1は、濃い色濃度からなる昇華性染料の塗布領域2aと同色にて薄い色濃度からなる昇華性染料の塗布領域2bからなる着色層2と、昇華性染料が塗布されていない無着色層3とからなる印刷領域を持つ。なお、図4中の円形状の輪郭は、全面染色を行う際の印刷領域を模式的に示したものであり、染色するレンズの径と同じか、レンズ径よりも大きな領域を持つ。また、グラデーション染色の場合には略半円形上の着色層2のみが印刷されることとなる。
なお、本実施形態ではプラスチックレンズの凹面側に染料を蒸着させ染色を行うものとしているが、これに限るものではなく、レンズの凸面側に染色を行うこともできる。
<実施例1>
プラスチックレンズとして直径75mm、屈折率1.74のレンズ、「HIE-1」(三井化学株式会社製)を用いた。図6に示すように、染色用基体1の印刷領域の印刷条件を直径94mmの円形とし、昇華性染料の塗布領域2aを印刷領域の端から直径に対して42mmまで、塗布領域2bを塗布領域2aから10mmまでの範囲とした。塗布領域2aの印刷処方を赤:430ドット(プリンタの最大出力100%が1024ドットとなる),黄:150ドット,青:734ドットからなる濃いグレー色とし、塗布領域2bの印刷処方を赤:213ドット,黄:75ドット,青:367ドットからなる薄いグレー色として、図1に示すインクジェットプリンタ103を用いて昇華性染料を含有するインクを印刷用紙に塗布し、染色用基体1を得た。この染色用基体1及びプラスチックレンズ10を図2に示す真空蒸着機20内に染色用治具200を用いて取り付け、真空度1.0kPa、染色用基体1上の温度、約230℃の条件にて昇華性染料をプラスチックレンズに蒸着させた。
染色後のプラスチックレンズにはグレー色のグラデーション染色が得られており、クリア領域は目視にて黄変は認められなかった。また、レンズクリア領域の黄変度(YI値)を測色器(製品名DOT−3 株式会社村上色彩技術研究所製)により測定した。測定の結果、YI値は2.42であった。なお、比較のために同じ材質からなる未染色(未加工)のプラスチックレンズのYI値を測定した。未染色レンズのYI値は2.21であった。
<実施例2>
オーブン30による定着工程時に遮蔽部を使用せずに加熱した以外は、全て実施例1と同じ条件で行った。染色後のプラスチックレンズにはグレー色のグラデーション染色が得られており、クリア領域は目視にて僅かに黄変が認められる程度であった。また、レンズクリア領域のYI値は2.88であった。
<比較例1>
定着工程時にレンズのクリア領域をアルミ板からなる遮蔽部にて遮蔽し、レンズ全体を加熱するオーブン(送風定温恒温器 DKN612 ヤマト科学株式会社製)を用いて加熱条件160℃(オーブン設定温度) 加熱時間90分としたこと以外は、全て実施例1と同じ条件で行った。染色後のプラスチックレンズにはグレー色のグラデーション染色が得られていたが、クリア領域は明らかに黄変が認められた。また、レンズクリア領域のYI値は3.54であった。
<比較例2>
定着工程時にレンズのクリア領域を遮蔽しない状態で、比較例1と同じレンズ全体を加熱するオーブンを用いて加熱条件160℃(オーブン設定温度) 加熱時間90分としたこと以外は、全て実施例1と同じ条件で行った。染色後のプラスチックレンズにはグレー色のグラデーション染色が得られていたが、クリア領域は明らかに黄変が認められた。また、レンズクリア領域のYI値は3.62であった。
2 着色層
10 プラスチックレンズ
20 真空気相転写機
30 オーブン
31 加熱部
32 遮蔽部
Claims (6)
- 昇華性染料を溶解又は微粒子分散させた染色用用材を電子計算機にて設定した色データに基づいて基体上に塗布し染色用基体を得る第1ステップと、該第1ステップにて得られた前記染色用基体の塗布面をプラスチックレンズと略真空中にて非接触に対向させた状態にて設置し,前記染色用基体を加熱することにより前記昇華性染料を昇華させ前記プラスチックレンズに蒸着させる第2ステップと、該第2ステップにより前記昇華性染料が蒸着したプラスチックレンズの蒸着面に対して一方向から赤外線を照射して加熱することにより前記昇華性染料をプラスチックレンズに定着させる第3ステップと、を有することを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
- 請求項1のプラスチックレンズの染色方法において、前記第2ステップにて得られる前記プラスチックレンズの染料蒸着面がグラデーション染色を行うために所定の濃度勾配を有する染料蒸着領域と前記昇華性染料が蒸着していない領域からなる場合は、前記第3ステップにて前記昇華性染料が蒸着していない領域に前記赤外線が照射されるのを抑制しつつ前記染料蒸着領域に赤外線を照射することを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
- 請求項2のプラスチックレンズの染色方法において、前記第3ステップは前記昇華性染料が蒸着したプラスチックレンズと前記赤外線を照射する加熱手段との間に前記昇華性染料が蒸着していない領域をカバーする遮蔽手段を配置することにより前記昇華性染料が蒸着していない領域に前記赤外線が照射されるのを抑制することを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
- 請求項3のプラスチックレンズの染色方法において、前記遮蔽手段は前記プラスチックレンズの前記昇華性染料が蒸着していない領域に対して非接触にてカバーするように配置されていることを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
- 所定の濃度勾配を有する染料蒸着領域と染料が蒸着していない領域を持つプラスチックレンズの蒸着面に対して前記染料が蒸着していない領域に対する赤外線の照射を抑制した状態で前記プラスチックレンズの蒸着面を赤外線の照射により加熱することにより前記染料をプラスチックレンズに定着させることを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
- 所定の濃度勾配を有する染料蒸着領域と染料が蒸着していない領域を持つプラスチックレンズの蒸着面に対して一方向から赤外線を照射して加熱するための加熱手段と、該加熱手段と前記プラスチックレンズとの間に置かれ,前記染料が蒸着していない領域をカバーする遮蔽手段とを有し、前記染料が蒸着していない領域に対する前記赤外線の照射を抑制した状態で前記プラスチックレンズの蒸着面を赤外線の照射により加熱することにより染料をプラスチックレンズに定着させることを特徴とする染色装置。
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