〔第1の実施の形態〕
〈1.デジタル複合機の構成〉
この発明の第1の実施の形態に相当する画像処理装置の機能が組み込まれたデジタル複合機1の構成について図1を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態に係るデジタル複合機1の構成を示すブロック図である。
デジタル複合機1は、FAX機能、コピー機能、スキャン機能、プリント機能などの複数の機能を有する複合機(MFP装置)として構成されている。デジタル複合機1は、制御部11と、ROM12と、RAM13と、操作部14と、表示部15と、画像読取部16と、画像処理部17と、画像記録部18と、入力画像メモリ19と、出力画像メモリ20と、大容量蓄積部21と、通信関係の機能部22〜25とを、バスライン26を介して電気的に接続した構成となっている。
制御部11は、CPUで構成されている。制御部11は、ROM12に記憶されたプログラムに基づいて上記のハードウエア各部を制御し、デジタル複合機1の機能を実現する。
ROM12は、デジタル複合機1の制御に必要なプログラムやデータを予め格納した読み出し専用の記憶装置である。
RAM13は、読み出しと書き込みとが可能な記憶装置であり、画像データ、FAX番号、メールアドレスなどの一時的に蓄積される諸データや、継続的に保持すべき各種のデータ、制御部11による演算処理の際に発生するデータなどを記憶する。RAM13はSRAMなどで構成される。
操作部14は、文字キー、テンキー、ファンクションキーなどの各種キーによって構成され、コマンドやテキストデータの入力といったユーザ操作を受け付ける。操作部14が受けたユーザ操作は信号として制御部11に入力される。制御部11はユーザ操作に基づいて各部の動作を制御する。
表示部15は、デジタル複合機1の動作状態や、画像データなどを表示する表示装置であり、液晶ディスプレイなどの表示装置により構成される。なお、操作部14に設けられる各種のキーは、この表示部15のディスプレイ画面上に設けたタッチパネルによって実現されてもよい。
画像読取部16は、原稿上の画像を読取素子(CCDラインセンサ161)によって読み取るスキャナーである。画像読取部16は、ガラス台上に載置された原稿の表面を読取素子が走査して画像を読み取るタイプ(FBS(Flat Bed Scanner)方式)のスキャナーであってもよく、原稿の載置台(図示省略)に載置された原稿を、ADF(Auto Document Feeder)によって搬送し、搬送される原稿の表面を静止した読取素子によって走査して画像を読み取るタイプ(ADF方式)のスキャナーであってもよい。また、ADF方式には、移動する原稿を静止した読取光学系で読み取る方式(シートスルー方式)と、静止した原稿を移動する読取光学系で読み取る方式とがあるが、いずれの方式であってもよい。後者の方式を採用する場合、画像読取部16は、コンタクトガラス上に原稿を静止させ、移動する読取光学系で静止した原稿を読み取り、読み取りが完了した原稿を排出するという読み取り手順を繰り返し実行する。
CCDラインセンサ161は、所定の走査速度(原稿と読取光学系との相対移動速度)で原稿を走査する読取光学系から導かれた光を受光して、一定の周期で読み取りを繰り返すことにより、RGB色空間で表現された画像データ、すなわち、R(赤),G(緑),B(青)の色成分データを有する画像データ(RGB画像データ)を生成する。なお、読取光学系の走査速度は、CCDラインセンサ161が生成する画像データの解像度(より具体的には、副走査方向の解像度)に基づいて設定する。すなわち、副走査方向の解像度が高くなるほど、読取光学系の走査速度を遅く設定し、副走査方向の解像度が低くなるほど、読取光学系の走査速度を速く設定する。
画像処理部17は、受信された画像データや、画像読取部16から取得した画像データに種々の画像処理を行う処理部である。例えば、A/D変換、各種の補正処理(例えば、シェーディング補正やガンマ補正)、表色系の変換処理(例えば、行列変換によって、RGB表色系の画像データをYCbCr表色系の画像データに変換する処理)、色調整、画像の合成などといった画像処理を行う。なお、画像処理部17は、ROM12に格納されたプログラムによってソフトウェア的に実現されてもよい。
画像記録部18は、出力画像メモリ20に格納された画像データ等を記録紙上へ記録するプリンタである。画像記録部18には、例えば、電子写真方式のプリンタを採用することができる。
入力画像メモリ19は、LANI/F24やNCU25を通じて外部装置29,32,34から受信した画像データ、画像読取部16において取得された画像データ、画像処理部17において処理された画像データ等(以下において、「入力画像データDi」と総称する(図2参照))を、一時的に記憶するための記憶装置である。画像メモリ20は、読み出しと書き込みとが可能なDRAM等のメモリにより構成される。
出力画像メモリ20は、出力に用いる画像データ(以下において、「出力画像データDo」という(図3参照))を記憶するための記憶装置である。ただしここでいう「出力」には、例えば、画像記録部18によるプリント出力、通信回線を介して接続された外部端末に対する送信処理等が含まれる。出力画像メモリ20は、読み出しと書き込みとが可能なDRAM等のメモリにより構成される。
大容量蓄積部21は、ハードディスクなどにより構成される。大容量蓄積部21は、画像読取部16により処理された画像データを蓄積することができる。
さらにこのデジタル複合機1には、通信関係の機能部として、画像データ等を複数のプロトコルに対応して符号化/復号化するコーデック(CODEC)22と、送受信データの変調および復調を行うモデム23と、LAN(ローカルエリアネットワーク)27とのインターフェイスに相当するLANI/F24と、電話回線の開閉制御を行うNCU25とが、バスライン26を介して電気的に接続した構成となっている。
なお、CODEC22による符号化としては、2値データを符号化する場合には、MH(Modified Huffman)、MR(Modified Read)、MMR(Modified MR)、および、JBIG(Joint Bi-level Image experts Group)のいずれかの方式が採用される。なお、CODEC22は、多値データの符号化も行う。多値データの符号化は、例えばJPEG方式にて行う。
次に、このデジタル複合機1の通信環境について説明する。デジタル複合機1は、LAN27と接続されている。LAN27にはメールサーバ28や外部端末29などが接続されている。また、LAN27は、ルータ30などを介してインターネット31に接続されている。このような構成によって、デジタル複合機1は、LAN27を介して接続された外部端末29や、インターネット31を介して接続された外部端末32と電子メール通信などを行うことができる。さらに、デジタル複合機1は、アナログ回線用のデータ通信ネットワークであるPSTN(公衆交換電話網)33と接続されている。これによって、デジタル複合機1はPSTN33を介して接続された外部端末34との通信を行うことができる。外部端末29,32,34は、モデム接続されたパソコン、デジタル複合機1と同様の装置、固定電話、携帯電話、FAX専用機、等である。
〈2.画像データの取得処理〉
次に、入力画像データDiおよび出力画像データDoの取得処理について、図2を参照しながら説明する。図2は、色属性が「カラー」「グレー」「モノクロ」の各場合について、入力画像データDiおよび出力画像データDoを取得する態様を模式的に示す図である。
デジタル複合機1は、多階調の画像データ(例えば、画像読取部16が読み取った原稿の画像データ)の色を自動に判定する色判定機能(所謂、ACS機能)を実現する機能部である色判定部101を備えている(図5参照)。入力画像データDiを取得するにあたっては、まずこの色判定部101が、原稿に含まれる少なくとも1以上のページのそれぞれの色を判定して、各ページの色属性を決定する。すなわち、色判定部101は、プレスキャン(すなわち、各ページの画像データを取得するべく原稿を読み取る前に、色判定のために原稿を粗く読み取る処理)によって多階調の画像データを取得し、当該画像データに含まれる画素データの色成分を解析することによって、ページの色を判定する。ページがカラーと判定された場合、色判定部101は、当該ページの色属性を「カラー」と決定する。また、グレーと判定された場合は色属性を「グレー」と決定し、モノクロと判定された場合は色属性を「モノクロ」と決定する。
したがって、この実施形態における「色属性」は、具体的には、判定対象となる画像(ページ画像)がどのような色と階調を用いて表現されているかという「色表現属性」に相当する。より具体的には、画像表現の基礎となる色数と階調数によって画像をそれぞれ分類した「色数属性」や「階調表現属性」の組み合わせである。一般的には、この「色表現属性」は、この実施形態で想定しているモノクロ(すなわち白黒2階調)、グレー(白黒の多階調)、カラー(3原色を含む多階調のフルカラー)のほか、単色カラー(黒以外の特定の1色の2階調あるいは多階調表現)などが含まれていてもよい。ただし、ここでの「多階調」とは3以上の階調を指す。これらはプリントなどによって画像を可視的形成(シート媒体上に固定形成)するにあたって、どのような種類と数の色要素(黒トナー、カラートナーなど)を用いるかということに関係することから、あらかじめ装置に準備された画像形成の色モードないしは色表現カテゴリーに対応させた属性であるとも言える。各ページの色属性は、後述するファイル管理テーブルT2に記憶される。
色判定部101がページの色属性を決定すると、続いて、画像読取部16が、ページを読み取って多階調のRGB画像データを取得する。そして、画像処理部17が、画像読取部16が取得したRGB画像データを、多階調のYCbCr画像データ(YCbCr色空間で表現されたカラーの画像データ)に変換する。得られたYCbCr画像データ(以下において「カラー入力画像データCi」という)は、原稿の入力画像データDiとして入力画像メモリ19に記憶される。
続いて、入力画像データDiに基づいて、出力画像データDoが取得される。この実施の形態においては、色判定部101による判定結果に応じた色属性の画像データが出力画像データDoとして取得される。
〔色属性が「カラー」と判定されたページの場合〕
この場合、カラーの画像データが出力画像データDoとして取得される。まず、CODEC22が、入力画像メモリ19に記憶された入力画像データDi(すなわち、カラー入力画像データCi)を、JPEG方式等で圧縮してカラーの画像データ(以下において「カラー出力画像データCo」という)を取得する。取得されたカラー出力画像データCoが、原稿の出力画像データDoとして出力画像メモリ20に格納される(図2(a))。
〔色属性が「グレー」と判定されたページの場合〕
この場合、グレーの画像データが出力画像データDoとして取得される。まず、画像処理部17が、入力画像メモリ19に記憶された入力画像データDi(すなわち、カラー入力画像データCi)のカラー情報を破棄するとともに、輝度成分を誤差拡散法や組織的ディザ法等を用いて二値化する。そして、CODEC22が、得られたYCbCr画像データの輝度成分をMMR方式等で圧縮してグレーの画像データ(以下において「グレー出力画像データGo」という)を取得する。取得されたグレー出力画像データGoが、原稿の出力画像データDoとして出力画像メモリ20に格納される(図2(b))。
〔色属性が「モノクロ」と判定されたページの場合〕
この場合、モノクロの画像データが出力画像データDoとして取得される。まず、画像処理部17が、入力画像メモリ19に記憶された入力画像データDi(すなわち、カラー入力画像データCi)のカラー情報を破棄するとともに、輝度成分を単純二値化法等を用いて二値化する。そして、CODEC22が、得られたYCbCr画像データの輝度成分をMMR方式等で圧縮してモノクロの画像データ(以下において「モノクロ出力画像データMo」という)を取得する。取得されたモノクロ出力画像データMoが、原稿の出力画像データDoとして出力画像メモリ20に格納される(図2(c))。
なお、出力画像データDoのそれぞれは、所定の識別符号(ファイルID)が付与された上で出力画像メモリ20に格納される。これらファイルIDは、後述するファイル管理テーブルT2にて管理される。
〈3.データ管理の態様〉
デジタル複合機1は、出力画像メモリ20に格納された出力画像データDoを、RAM13等に格納された文書管理テーブルT1とファイル管理テーブルT2とを用いて管理する。出力画像データDoの管理態様について、図3、図4を参照しながら説明する。図3は、文書管理テーブルT1の構成例を示す図である。図4は、ファイル管理テーブルT2の構成例を示す図である。
図3を参照する。文書管理テーブルT1は、画像読取部16が読み取った原稿を、文書単位で管理するテーブルである。制御部11は、画像読取部16が原稿を読み取った際に、当該読み取られた原稿に所定の文書IDを付与し、当該原稿に係る所定の情報(例えば、原稿に含まれるページ数、原稿を読み取った日時、原稿の件名等)を、文書IDと関連づけて文書管理テーブルT1に格納する。さらに、原稿に含まれる各ページのファイルIDを、文書IDと関連づけて文書管理テーブルT1に格納する。
図4を参照する。ファイル管理テーブルT2は、画像読取部16が読み取った原稿を、ページ単位で管理するテーブルである。制御部11は、画像読取部16が原稿を読み取った際に、当該読み取られた原稿に含まれる各ページに所定のファイルIDを付与し、当該ページの色属性(すなわち、色判定部101により決定された色属性)および当該ページの出力画像データDoのファイルパスを、ファイルIDと関連づけてファイル管理テーブルT2に格納する。
例えば、画像読取部16が全5ページからなる原稿を読み取った場合、制御部11は、当該原稿に文書ID(例えば「1」)を付与し、当該原稿に係る所定の情報(原稿に含まれるページ数「5」、原稿を読み取った日時「07/2/5 9:00」、原稿の件名「テスト」)を、文書ID「1」と関連づけて文書管理テーブルT1に格納する(図3参照)。また、当該原稿に含まれるページのそれぞれにファイルID「1」「2」・・を付与し、各ページの色属性および各ページの出力画像データDoのファイルパスを、ファイルIDと関連づけてファイル管理テーブルT2に格納する。さらに、原稿に含まれる各ページのファイルID「1」「2」「3」「4」「5」を、文書ID「1」と関連づけて文書管理テーブルT1に格納する(図3参照)。
したがって、文書管理テーブルT1およびファイル管理テーブルT2を参照すれば、各文書に含まれる各ページの色属性および出力画像データDoのファイルパスを特定することができる。例えば、図4に例示されるファイル管理テーブルT2を参照すれば、文書ID「1」の第1ページの色属性は「カラー」であり、出力画像データDoのファイルパスは「data\scan\001c.jpg」であると特定することができる。
〈4.画像データの出力処理〉
上述の通り、デジタル複合機1においては、ファイル管理テーブルT2にて、原稿に含まれる各ページの色属性をファイルIDと関連づけて記憶する。したがって、出力画像データDoを出力する場合に、ページの色属性に応じた適切な処理を行うことができる。
例えば、出力画像データDoを画像記録部18によりプリント出力する場合、画像記録部18は、まず、プリントするページの色属性をファイル管理テーブルT2を参照して判断し、色属性が「カラー」であれば、当該ページの出力画像データDo(すなわち、カラー出力画像データCo)を、「Y」「M」「C」「K」の画像形成エンジンを用いて記録紙上に画像形成する。一方、色属性が「モノクロ」であれば、出力画像データDo(すなわち、モノクロ出力画像データMo)を「K」の画像形成エンジンのみを用いて記録紙上に画像形成する。このようにページの色属性に応じた処理態様を実行することによって、適切かつ無駄のない出力処理を実行することができる。
〈5.色属性の変更に関する構成〉
上述の通り、デジタル複合機1は、原稿に含まれる各ページの色を判定して各ページの色属性を決定する機能部(色判定部101)を備え、色判定部101により決定された各ページの色属性は、ファイル管理テーブルT2に記憶される。デジタル複合機1は、色判定部101により決定された各ページの色属性を、ユーザからの指示に応じて、ページ単位で変更する機能(色属性変更機能)を備える。
色属性変更機能について、図5を参照しながら説明する。図5は、色属性変更機能に関する構成を示すブロック図である。デジタル複合機1は、色属性変更機能に関する構成として、色判定部101と、ページ画像表示処理部102と、色属性変更受付部103と、色属性変更処理部104と、変更履歴管理部105と、色判定基準変更部106とを備える。なお、これら各機能部は、制御部11がプログラムを実行することにより実現される構成要素である。
ページ画像表示処理部102は、表示部15に、後述する「ページ画像表示画面E」を表示させるとともに、色属性変更受付部103が色属性の変更指示をユーザから受け付けた場合に、ページ画像表示画面Eを新たなページ画像表示画面Enに更新する。ページ画像表示処理部102は、表示用画像生成処理部1021を備えている。
表示用画像生成処理部1021は、原稿に含まれる各ページについて、それぞれが互いに異なる色属性である複数のサムネイル画像(すなわち、ページを「カラー」で表示するサムネイル画像(以下において「第1の表示用画像データ候補S(c)」という)と、「モノクロ」で表示するサムネイル画像(以下において「第2の表示用画像データ候補S(m)」という)と、「グレー」で表示するサムネイル画像(以下において「第3の表示用画像データ候補S(g)」という)の画像データを生成する。
より具体的には、入力画像データDi(すなわち、カラー入力画像データCi)の解像度を下げてファイルサイズを小さくし、さらに縮小処理を行うことによって、第1の表示用画像データ候補S(c)を生成する。また、入力画像データDiの解像度を下げてファイルサイズを小さくし、さらにカラー情報を破棄するとともに輝度成分を二値化し、さらに縮小処理を行うことによって、第2の表示用画像データ候補S(m)を生成する。また、入力画像データDiの解像度を下げてファイルサイズを小さくし、さらに縮小処理を行ったデータに対して、さらに所定の処理(色情報を破棄する色変換処理)を行うことによって、第3の表示用画像データ候補S(g)を生成する。
なお、表示用画像生成処理部1021が生成した第1〜第3の表示用画像データ候補S(c),S(m),S(g)は、出力画像メモリ20に記憶される。各データS(c),S(m),S(g)は、それぞれ相当する出力画像データDoと別のファイルにて保持する形式としてもよいし、同じファイルにて保持する形式としてもよい。例えば、相当する出力画像データDoのヘッダー情報としてデータS(c),S(m),S(g)を保持してもよい。
また、表示用画像生成処理部1021は、原稿となる文書が読み取られて入力画像データDiが取得される度毎に、当該取得された入力画像データDiについて表示用画像データ候補S(c),S(m),S(g)の生成処理を実行してもよいし、ページ画像表示処理部102がユーザよりページ画像表示画面Eを表示する指示を受け付けた際に、表示すべき入力画像データDiについての表示用画像データ候補S(c),S(m),S(g)を生成してもよい。
ページ画像表示処理部102が実行する処理について、図7、図8を参照しながらより具体的に説明する。図7は、ページ画像表示画面Eの構成例を示す図である。図8は、更新された新たなページ画像表示画面Enを示す図である。
〔ページ画像表示画面Eの表示処理〕
ページ画像表示処理部102は、表示部15に「ページ画像表示画面E」を表示させる。ページ画像表示画面Eは、読み取られた原稿に含まれる各ページの色属性をユーザに知得させるとともに、各ページの色属性を変更する指示をユーザから受け付ける画面である。
ページ画像表示画面Eは、主として、文書情報表示領域e1と、少なくとも1以上(図7においては2つ)のページ情報表示領域e2と、変更指示受付領域e3とにより構成される。ただし、ページ画像表示画面E中のスクロールバーが操作されることによって、ページ情報表示領域e2に表示させるページが順次変更されていくものとする。つまりユーザは、スクロールバーを操作することによって、文書に含まれる全部のページの情報を見ることができる。
ページ画像表示処理部102は、文書情報表示領域e1に、文書の情報を表示する。例えば、文書のファイル名、件名、データのサイズ等を表示する。
また、ページ画像表示処理部102は、ページ情報表示領域e2に、文書に含まれるページの情報を1ページ分表示する。
特に、ページ情報表示領域e2中、第1領域e21には、当該ページのページ番号および色判定部101が決定した当該ページの色属性を表示する。
また、ページ情報表示領域e2中、第2領域e22には、各ページを当該ページの色属性に応じた態様で表示するサムネイル画像(以下において、「表示用画像P」という)を表示する。より具体的には、表示用画像生成処理部1021が各ページについて生成した第1〜第3の表示用画像データ候補S(c),S(m),S(g)のうちから、当該ページの色属性に応じたデータを選択して、当該ページの表示用画像Pとして第2領域e22に表示する。すなわち、色属性が「カラー」のページについては、第1の表示用画像データ候補S(c)を、色属性が「モノクロ」のページについては、第2の表示用画像データ候補S(m)を、色属性が「グレー」のページについては、第3の表示用画像データ候補S(g)を、それぞれ表示用画像Pとして、第2領域e22に表示する。
また、ページ情報表示領域e2中、第3領域e23には、タッチパネルによって実現され、当該ページに係る出力画像データDoの色属性を変更する指示を受け付ける変更キー(カラー変更キーQc、グレー変更キーQg、モノクロ変更キーQm)を表示する。ユーザは、例えば、色属性が「カラー」のページについて、当該ページのページ情報表示領域e2内にあるモノクロ変更キーQmを押圧することによって、当該ページの色属性を「カラー」から「モノクロ」に変更する指示を入力することができる。
また、ページ画像表示処理部102は、変更指示受付領域e3に、タッチパネルによって実現され、当該文書に係る色属性の変更を実行する指示を受け付ける変更反映キーQtを表示する。ユーザは、当該変更反映キーQtを押圧することによって、当該文書に含まれる各ページについて入力した変更を実行させる指示を入力することができる。
ページ画像表示処理部102が以上の処理を実行することによって、表示部15にページ画像表示画面Eが表示される。
〔ページ画像表示画面Eの更新処理〕
ページ画像表示処理部102は、文書に含まれる各ページの色属性を変更する指示がユーザから入力された場合に、表示部15に表示されているページ画像表示画面Eを新たなページ画像表示画面Enに更新する。
ページ画像表示処理部102は、ユーザがいずれかのページについてその色属性を変更する指示を入力した場合、文書情報表示領域e1に表示される文書の情報のうち、データのサイズを新たな値に更新する。例えば、文書に含まれるページのいずれかの色属性を「カラー」から「モノクロ」に変更する指示が入力された場合において、当該ページのカラー出力画像データCoのデータサイズが「50KB」であり、モノクロ出力画像データMoのデータサイズが「30KB」(ただし、この時点では、モノクロ出力画像データMoは実際には生成されていないので、この値はおおよその概算値として算出される)であるとすると、当該変更指示が実行されれば文書全体のデータサイズは「20KB」だけ小さくなることになる。この場合、ページ画像表示処理部102は、文書情報表示領域e1に表示されているデータのサイズから「20KB」を差し引いて、新たな値に更新する。
また、ページ画像表示処理部102は、変更指示に係るページ情報表示領域e2に表示する情報を更新する。すなわち、第1領域e21に、ページの色属性がユーザの指示によって変更された旨を表示する。例えば、「判定色」の表示に加えて新たに「変更色」を表示する。これにより、当該ページの色属性がユーザの指示によって変更されたことが示される。
また、ページ画像表示処理部102は、第2領域e22に表示する表示用画像Pを更新する。例えば、ページの色属性を「カラー」から「モノクロ」に変更する指示が入力された場合、第2領域e22に表示する表示用画像Pを、第1の表示用画像データ候補S(c)から、第2の表示用画像データ候補S(m)に変更する。
ページ画像表示処理部102が以上の処理を実行することによって、表示部15に表示されるページ画像表示画面Eが新たなページ画像表示画面Enに更新される。
再び図5を参照する。色属性変更受付部103は、色属性の変更を実行する指示をユーザより受け付ける。色属性変更受付部103は、ユーザより当該指示を受け付けると、変更すべきページのファイルIDおよび変更後の色属性を色属性変更処理部104に通知する。なお、上述の通り、ユーザは色属性の変更を実行する指示を、ページ画像表示画面E中の変更反映キーQt(図8参照)を押圧することによって入力することができる。
色属性変更処理部104は、色属性変更受付部103から色属性を変更すべきページのファイルIDおよび変更後の色属性を通知された場合に、ファイル管理テーブルT2を更新する。色属性変更処理部104は、画像データ変換処理部1041を備えている。
画像データ変換処理部1041は、変更指示が受け付けられたページの出力画像データDoとして出力画像メモリ20に格納されている画像データを、指示された新たな色属性の画像データに変換する。
例えば、ページの色属性を「カラー」から「グレー」に変更する指示が通知された場合、当該ページの出力画像データDo(すなわち、カラー出力画像データCo)のカラー情報を破棄するとともに、輝度成分を誤差拡散法や組織的ディザ法等を用いて二値化し、得られた輝度成分をMMR方式等で圧縮する。これによって、カラー出力画像データCoがグレー出力画像データGoに変換される。
また、例えば、ページの色属性を「カラー」から「モノクロ」に変更する指示が通知された場合、当該ページの出力画像データDo(すなわち、カラー出力画像データCo)のカラー情報を破棄するとともに、輝度成分を単純二値化法等を用いて二値化し、得られた輝度成分をMMR方式等で圧縮する。これによって、カラー出力画像データCoがモノクロ出力画像データMoに変換される。
色属性変更処理部104が実行する処理について、図4を参照しながらより具体的に説明する。例えば、ファイルIDが「1」のページの色属性を「カラー」から「モノクロ」に変更する指示が色属性変更受付部103により通知された場合、色属性変更処理部104は、ファイル管理テーブルT2(図4(a))を参照して、通知されたファイルID「1」と関連づけられた出力画像データDo(すなわち、カラー出力画像データCo)のファイルパス「data\scan\001c.jpg」を特定し、出力画像メモリ20より当該ページの出力画像データDoを読み出す。
ページの出力画像データDoが読み出されると、画像データ変換処理部1041が、当該出力画像データDoの色属性を「カラー」から「モノクロ」に変換して(すなわち、カラー出力画像データCoをモノクロ出力画像データMoに変換して)、出力画像メモリ20に格納する。
続いて、色属性変更処理部104は、画像データ変換処理部1041によって生成されたモノクロ出力画像データMoのファイルパス「data\scan\001m.tif」を、ファイルID「1」と関連づけてファイル管理テーブルT2に格納する。また、ファイルID「1」の色属性を「カラー」から「モノクロ」に変更してファイル管理テーブルT2に格納する。これによって、ファイル管理テーブルT2が更新される(図4(b))。
再び図5を参照する。変更履歴管理部105は、色属性変更受付部103が受け付けた色属性の変更指示の履歴(変更指示履歴)を、RAM13等に格納された変更履歴管理テーブルT3を用いて管理する。変更指示履歴の管理態様について、図9を参照しながら説明する。図9は、変更履歴管理テーブルT3の構成例を示す図である。
変更履歴管理テーブルT3は、変更指示履歴を管理するテーブルである。変更履歴管理テーブルT3には、「カラー・グレー変更」「カラー・モノクロ変更」「グレー・モノクロ変更」の3つの変更態様についての履歴カウントが記憶される。なお、変更履歴管理テーブルT3は、ユーザからの指示に応じて出力可能としてもよい。
変更履歴管理部105は、色属性変更受付部103が色属性が「カラー」のページを「グレー」に変更すべき旨の指示を受け付けた場合は、「カラー・グレー変更」の履歴カウントを「+1」とする。また、色属性が「カラー」のページを「モノクロ」に変更すべき旨の指示を受け付けた場合は、「カラー・モノクロ変更」の履歴カウントを「+1」する。また、色属性が「グレー」のページを「モノクロ」に変更すべき旨の指示を受け付けた場合は、「グレー・モノクロ変更」の履歴カウントを「+1」する。なお、変更履歴管理部105は、所定期間経過した時点で、各履歴カウントを「0」に初期化するとしてもよい。
色判定基準変更部106は、色属性変更受付部103が受け付けた指示(すなわち、各ページの色属性を変更する旨の指示)の履歴に応じて、色判定部101における色判定の基準値を変更する。例えば、変更履歴管理テーブルT3において、「カラー・モノクロ変更」の履歴カウントが所定値よりも大きくなった場合(すなわち、ユーザが「カラー」と判定されたデータの色属性を「モノクロ」に変更する指示を所定回数以上行っている場合)、色判定基準変更部106は、色判定部101におけるカラー・モノクロの判定閾値を、画像データがモノクロと判定されやすくなる方向に変更する。
原稿がカラーかモノクロかを判定する態様には、例えば次のようなものがある。すなわち、L*a*b*等の均等色空間の色相平面(例えば、a*b*平面)を無彩軸を中心として放射状にエリア分けし、各エリアに属する画素データの個数が所定の閾値を超えた場合に、当該エリアの色相が画像データに存在すると判断する。そして、判定対象の画像データに含まれる色相が複数存在する場合には、当該画像データをカラーと判定する。このような判定態様による色判定を行う場合、色判定基準変更部106は、色判定部101における当該所定の閾値の値をより大きな値に変更することによって、画像データをモノクロと判定されやすくすることができる。
〈6.色属性の変更に関する処理動作〉
デジタル複合機1が、ページの色属性をユーザからの指示に応じて変更する際の処理動作について、図10を参照しながら説明する。図10は、色属性変更処理の流れを示す図である。
なお、以下の処理が実行される前提として、色判定部101が原稿に含まれる各ページの色を判定をして、各ページの色属性を決定しているものとする。また、画像読取部16および画像処理部17等によって、各ページの出力画像データDoが取得されて出力画像メモリ20に格納されているものとする(図2参照)。またさらに、原稿に含まれる各ページに関する情報が文書管理テーブルT1およびファイル管理テーブルT2に格納されているものとする(図3、図4参照)。
図10を参照する。まず、ページ画像表示処理部102が、ユーザからの指示に応じて、ユーザが選択指定した文書に係るページ画像表示画面E(図7参照)を表示部15に表示させる(ステップS1)。なお、ユーザは当該指示を、例えば、出力画像メモリ20に格納された文書を一覧表示する画面Eo(図6)から入力することができる。すなわち、当該画面Eo上において、任意の文書を選択し、当該文書についての「詳細」キー(表示部15のタッチパネルによって実現されるキー)を押圧することによって、当該文書に係るページ画像表示画面Eを表示部15に表示させる指示を入力することができる。また、ユーザから所定の指示を受けなくとも、画像読取部16が原稿の読み取り処理を実行する際に、当該読み取った原稿に係るページ画像表示画面Eを表示するとしてもよい。
続いて、ページ画像表示処理部102が、ページ画像表示画面Eに表示されている文書に含まれるページのいずれかについて、その色属性を変更する指示がユーザにより入力されたか否かを判断する(ステップS2)。なお、ユーザは当該指示を、例えば、ページ画像表示画面Eの第3領域e23に表示された変更キーQc,Qg,Qm(図7参照)のいずれかを押圧することによって入力することができる。
ユーザがいずれかのページについてその色属性を変更する指示を入力したと判断されると(ステップS2でYES)、ページ画像表示処理部102が、ページ画像表示画面Eを新たなページ画像表示画面En(図8参照)に更新する(ステップS3)。
続いて、色属性変更受付部103が、当該文書に係る色属性の変更を実行する指示がユーザにより入力されたか否かを判断する(ステップS4)。なお、ユーザは当該指示を、例えば、画像表示画面Enの変更指示受付領域e3に表示された変更反映キーQt(図8参照)を押圧することによって入力することができる。
ユーザが文書に係る色属性の変更を実行する指示を入力したと判断されると(ステップS4でYES)、色属性変更受付部103は当該指示を受け付けて、変更すべきページのファイルIDおよび変更後の色属性を色属性変更処理部104に通知する。
当該通知を受けると、色属性変更処理部104は、ファイル管理テーブルT2を更新する(ステップS5)。より具体的には、出力画像データDoとして格納されたデータを新たな色属性の画像データに変換するとともに、変更指示が受け付けられたページの新たな色属性および変換後の画像データのファイルパスをデータのファイルIDと関連づけてファイル管理テーブルT2に格納する。
続いて、変更履歴管理部105が、ステップS4で色属性変更受付部103が受け付けた変更指示の内容を変更履歴管理テーブルT3に格納して、変更履歴管理テーブルT3を更新する(ステップS6)。
続いて、色判定基準変更部106が、変更履歴管理テーブルT3格納された履歴カウントのうち、所定の値を超えるものがあるか否かを判断し(ステップS7)、該当する履歴カウントがあると判断した場合には、色判定部101における色判定の基準値を変更する(ステップS8)。以上で、色属性の変更に関する処理動作が終了する。
〈7.効果〉
上記の実施の形態に係るデジタル複合機1によると、ユーザは、色判定部101が決定したページの色属性をページ単位で任意に変更することができる。
また、画像データ変換処理部1041が、変更指示が受け付けられた場合は出力画像データDoとして取得されている画像データを新たな色属性の画像データに変換するので、変更指示に備えて複数の出力画像データを保持する必要がない。
また、ページ画像表示処理部102が、表示部15に各ページを当該ページの色属性に応じた態様で表示するサムネイル画像(表示用画像P)を表示させるので、ユーザは当該画像を見ながら、各ページについて付与されている色属性が所望する通りであるか否かを容易かつ適切に判断することができる。
また、変更履歴管理部105が、ユーザから受け付けられた色属性の変更指示の履歴を管理し、色判定基準変更部106が当該変更指示の履歴に応じて色判定部101における色判定の基準を変更するので、色判定部101にユーザの使用状況や好みを反映させた色判定を実行させることができる。
〔第2の実施の形態〕
この発明の第2の実施の形態に相当する画像処理装置の機能が組み込まれたデジタル複合機2の構成について説明する。なお、以下においては、第1の実施の形態と相違する点を説明し、相違しない点については説明を省略する。また、同じ構成部を示す際には、第1の実施の形態の説明で用いた参照符号を用いる。
〈1.デジタル複合機の構成〉
この実施の形態に係るデジタル複合機2は、第1の実施の形態に係るデジタル複合機1と同様のハードウェア構成を有している(図1参照)。また、デジタル複合機1と同様の通信環境におかれている(図1参照)。
〈2.画像データの取得処理〉
入力画像データDiおよび出力画像データDoの取得処理について、図11を参照しながら説明する。図11は、入力画像データDiおよび出力画像データDoを取得する態様を模式的に示す図である。
デジタル複合機2は、第1の実施の形態に係るデジタル複合機1と同様、多階調の画像データの色を自動に判定する色判定機能を実現する機能部である色判定部201を備えている(図12参照)。入力画像データDiを取得するにあたっては、まずこの色判定部201が、原稿に含まれる少なくとも1以上のページのそれぞれの色を判定して、各ページの色属性を決定する。各ページの色属性は、後述するファイル管理テーブルT22に記憶される。
色判定部201がページの色属性を決定すると、続いて、画像読取部16が、ページを読み取って多階調のRGB画像データを取得する。そして、画像処理部17が、画像読取部16が取得したRGB画像データを、多階調のYCbCr画像データに変換する。得られたYCbCr画像データ(すなわち、カラー入力画像データCi)は、原稿の入力画像データDiとして入力画像メモリ19に記憶される。
続いて、入力画像データDiに基づいて、それぞれが互いに異なる色属性である複数の画像データ(すなわち、「カラー」の画像データ(以下において「第1の出力画像データ候補R(c)」という)と、「モノクロ」の画像データ(以下において「第2の出力画像データ候補R(m)」という)をそれぞれ生成する。
〔第1の出力画像データ候補R(c)の取得処理〕
第1の出力画像データ候補R(c)は以下の処理によって生成される。すなわち、CODEC22が、入力画像メモリ19に記憶された入力画像データDi(すなわち、カラー入力画像データCi)を、JPEG方式等で圧縮する。これにより得られたカラーのデータが第1の出力画像データ候補R(c)となる。
〔第2の出力画像データ候補R(m)の取得処理〕
第2の出力画像データ候補R(m)は以下の処理によって生成される。まず、画像処理部17が、入力画像メモリ19に記憶された入力画像データDi(すなわち、カラー入力画像データCi)のカラー情報を破棄するとともに、輝度成分を単純二値化法を用いて二値化する。そして、CODEC22が、得られたYCbCr画像データの輝度成分をMMR方式等で圧縮する。これにより得られたモノクロのデータが第2の出力画像データ候補R(m)となる。
生成された第1の出力画像データ候補R(c)および第2の出力画像データ候補R(m)は、所定の識別符号(ファイルID)が付与された上で、出力画像メモリ20に格納される。後述するように、これら2つの出力画像データ候補R(c),R(m)のうち、色判定部201によって決定されたページの色属性に応じた色属性の画像データのみが、当該ページの出力画像データDoとして有効化されることになる(図11参照)。
〈3.データ管理の態様〉
デジタル複合機2は、出力画像メモリ20に格納された出力画像データ候補Dsを、RAM13等に格納された文書管理テーブルT11とファイル管理テーブルT22とを用いて管理する。出力画像データ候補Dsの管理態様について、図3、図12を参照しながら説明する。図12は、ファイル管理テーブルT22の構成例を示す図である。文書管理テーブルT11は、先に説明した文書管理テーブルT1と同様であるのでその説明を省略する。
図12を参照する。ファイル管理テーブルT22は、画像読取部16が読み取った原稿を、ページ単位で管理するテーブルである。制御部11は、画像読取部16が原稿を読み取った際に、当該読み取られた原稿に含まれる各ページに所定のファイルIDを付与し、当該ページの色属性(すなわち、色判定部201により決定された色属性)および当該ページについて取得された第1の出力画像データ候補R(c)および第mの出力画像データ候補R(m)の各ファイルパスを、ファイルIDと関連づけてファイル管理テーブルT22に格納する。
ファイル管理テーブルT22に格納された色属性情報は、第1の出力画像データ候補R(c)と第2の出力画像データ候補R(m)とのうちのいずれのデータを当該ページの出力画像データDoとして有効化するかを決定するフラグとして機能する。すなわち、色属性が「モノクロ」の場合は、第2の出力画像データ候補R(m)が出力画像データDoとして有効化される。一方、色属性が「カラー」もしくは「グレー」の場合は、第1の出力画像データ候補R(c)が出力画像データDoとして有効化される。ただし、色属性が「グレー」のページを実際に出力する場合は、出力画像データDo(すなわち、第1の出力画像データ候補R(c))に対してさらに所定の処理(色情報を破棄する処理)を行ってから出力する。
文書管理テーブルT11およびファイル管理テーブルT22を参照すれば、各文書に含まれる各ページの色属性および出力画像データDoのファイルパスを特定することができる。例えば、図12に例示されるファイル管理テーブルT22を参照すれば、文書ID「1」の第1ページの色属性は「カラー」であり、当該ページについては、第1の出力画像データ候補R(c)が出力画像データDoとして有効化されていることになる。したがって、出力画像データDoのファイルパスは「data\scan\001c.jpg」であると特定することができる。
〈4.色属性の変更に関する構成〉
デジタル複合機2は、色判定部201により決定された各ページの色属性を、ユーザからの指示に応じて、ページ単位で変更する機能(色属性変更機能)を備える。
色属性変更機能について、図13を参照しながら説明する。図13は、色属性変更機能に関する構成を示すブロック図である。デジタル複合機2は、色属性変更機能に関する構成として、色判定部201と、ページ画像表示処理部202と、色属性変更受付部203と、色属性変更処理部204と、変更履歴管理部205と、色判定基準変更部206とを備える。なお、これら各機能部は、制御部11がプログラムを実行することにより実現される構成要素である。ページ画像表示処理部202および色属性変更受付部203の各機能部は、それぞれ上記に説明したページ画像表示処理部102および色属性変更受付部103と同様であるのでその説明を省略する。
色属性変更処理部204は、色属性変更受付部203から色属性を変更すべきページのファイルIDおよび変更後の色属性を通知された場合に、ファイル管理テーブルT22を更新する。より具体的には、変更指示が受け付けられたページの新たな色属性を、データのファイルIDと関連づけてファイル管理テーブルT2に格納する。変更履歴管理テーブルT3の色属性情報が変更されると、出力画像データDoとして有効化されるデータが変更されることになる。
例えば、ファイルIDが「1」のページの色属性を「カラー」から「モノクロ」に変更する指示が色属性変更受付部103により通知された場合、色属性変更処理部204は、ファイルID「1」の色属性を「カラー」から「モノクロ」に変更してファイル管理テーブルT2に格納する。これによって、ファイル管理テーブルT2が図4(a)に示される状態から図4(b)に示される状態に更新される。
変更履歴管理部205は、色属性変更受付部203が受け付けた色属性の変更指示の履歴(変更指示履歴)を、RAM13等に格納された変更履歴管理テーブルT33を用いて管理する。変更指示履歴の管理態様について、図14を参照しながら説明する。図14は、変更履歴管理テーブルT33の構成例を示す図である。
変更履歴管理テーブルT33は、変更指示履歴を管理するテーブルである。変更履歴管理テーブルT33には、「カラー・グレー変更」「カラー・モノクロ変更」「グレー・モノクロ変更」の3つの変更態様についての履歴カウントが記憶される。
変更履歴管理部205は、色属性変更受付部203が色属性が「カラー」のページを「グレー」に変更すべき旨の指示を受け付けた場合は、「カラー・グレー変更」の履歴カウントを「+1」する。逆に、色属性が「グレー」のページを「カラー」に変更すべき旨の指示を受け付けた場合は、「カラー・グレー変更」の履歴カウントを「−1」する。また、色属性が「カラー」のページを「モノクロ」に変更すべき旨の指示を受け付けた場合は、「カラー・モノクロ変更」の履歴カウントを「+1」する。逆に、色属性が「モノクロ」のページを「カラー」に変更すべき旨の指示を受け付けた場合は、「カラー・モノクロ変更」の履歴カウントを「−1」する。また、色属性が「グレー」のページを「モノクロ」に変更すべき旨の指示を受け付けた場合は、「グレー・モノクロ変更」の履歴カウントを「+1」する。逆に、色属性が「モノクロ」のページを「グレー」に変更すべき旨の指示を受け付けた場合は、「グレー・モノクロ変更」の履歴カウントを「−1」する。
色判定基準変更部206は、色属性変更受付部203が受け付けた指示(すなわち、各ページの色属性を変更する旨の指示)の履歴に応じて、色判定部201における色判定の基準値を変更する。例えば、変更履歴管理テーブルT33において、「カラー・モノクロ変更」の履歴カウントが所定値よりも大きくなった場合、色判定基準変更部206は、色判定部101におけるカラー・モノクロの判定閾値を、画像データがモノクロと判定されやすくなる方向に変更する。また例えば、「カラー・モノクロ変更」の履歴カウントが所定値よりも小さくなった場合(すなわち、ユーザが「モノクロ」と判定されたデータの色属性を「カラー」に変更する指示を所定回数以上行っている場合)、色判定基準変更部206は、色判定部201におけるカラー・モノクロの判定閾値を、画像データがカラーと判定されやすくなる方向に変更する。
〈5.色属性の変更に関する処理動作〉
デジタル複合機2が、ページの色属性をユーザからの指示に応じて変更する際の処理動作は、第1の実施の形態に係るデジタル複合機1が実行する一連の処理動作(図10参照)とほぼ同様である。
ただし、この実施の形態においては、一連の処理が実行される前提として、色判定部201が原稿に含まれる各ページの色を判定をして、各ページの色属性を決定しているものとする。また、画像読取部16および画像処理部17等によって、各ページの第1の出力画像データ候補R(c)および第2の出力画像データ候補R(m)が取得されて出力画像メモリ20に格納されているものとする(図11参照)。またさらに、原稿に含まれる各ページに関する情報が文書管理テーブルT1およびファイル管理テーブルT22に格納されているものとする(図3、図12参照)。
また、第1の実施の形態においては、ファイル管理テーブルT2の更新処理(図10のステップS5の処理)は、色属性変更処理部104が出力画像データDoとして格納されたデータを新たな色属性の画像データに変換するとともに、変更指示が受け付けられたページの新たな色属性をデータのファイルIDと関連づけてファイル管理テーブルT2に格納することによって実行されるが、この実施の形態においては、色属性変更処理部204が、変更指示が受け付けられたページの新たな色属性をデータのファイルIDと関連づけてファイル管理テーブルT2に格納することによって行われる。ファイル管理テーブルT22に格納された色属性情報が変更されると、出力画像データDoとして有効化されるデータが変更されることになる。
〈6.効果〉
上記の実施の形態に係るデジタル複合機2によると、ユーザは、色判定部201が決定したページの色属性をページ単位で任意に変更することができる。
また、2種類の画像データ(第1の出力画像データ候補R(c)、第2の出力画像データ候補R(m))を生成して出力画像メモリ20に格納しておき、いずれか1のデータを、ファイル管理テーブルT22に格納された色属性情報に基づいて出力画像データDoとして有効化する。したがって、変更指示があった場合にも、色属性情報を変更するだけで、変更後の色属性の画像データを出力画像データDoとして取得することができる。
また、色判定部201による色判定の結果に関係なく、各ページについて第1の出力画像データ候補R(c)と第2の出力画像データ候補R(m)とを生成するので、カラー、グレー、モノクロの各色の出力画像データDoを取得することが可能となる。すなわち、ユーザは、例えばモノクロと判定されたページの色属性を、「カラー」や「グレー」にも変更できる。
〔変形例〕
上記の各実施の形態においては、色属性変更受付部103,203は、ページの色変更指示を、表示部15のディスプレイ画面上に設けたタッチパネル上より受け付ける構成としたが、操作部14に設けたハードキーなどから受け付けてもよい。
また、上記の各実施の形態においては、デジタル複合機1,2の備える表示部15にページ画像表示画面Eを表示し、表示部15のディスプレイ画面上に設けたタッチパネルよりユーザからのページの色属性の変更指示を受け付ける構成としていたが、デジタル複合機1,2と通信回線を介して接続された外部端末29,32,34の備える表示画面上に、上記のページ画像表示画面Eを表示して(例えば、web画面として表示して)、当該外部端末の操作部よりユーザからのページの色属性の変更指示を受け付けてもよい。
また、上記の各実施の形態においては、色属性の変更に関する各機能部101〜106,201〜206は、制御部11がプログラムを実行することにより実現される構成要素であるとしたが、回路的(ハードウェア的)に実現されてもよい。