JP2008276057A - 液晶表示装置の透明電極膜加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶表示装置の透明電極膜の一部にこれまでになく簡単且つ良好に絶縁部を形成できる画期的な技術を提供する。
【解決手段】両面に透明電極膜2を積層した液晶層1を一対の絶縁性基板3(プラスチックフィルムなど)で挟んだ多層構造を有し、前記液晶層1の両面の透明電極膜2間に電圧を印加することでこの透明電極膜2間に介存する前記液晶層1の液晶分子1aを配向する液晶表示装置の前記透明電極膜2を加工する方法において、前記絶縁性基板3に比して前記透明電極膜2に対する透過率が低いレーザ4を、前記一対の絶縁性基板3間に介存する透明電極膜2に向けて照射し、このレーザ4により、前記絶縁性基板3をレーザ切断することなく前記透明電極膜2に電気的に絶縁性を有するレーザ照射加工痕を形成して、この透明電極膜2の一部に絶縁部5を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】両面に透明電極膜2を積層した液晶層1を一対の絶縁性基板3(プラスチックフィルムなど)で挟んだ多層構造を有し、前記液晶層1の両面の透明電極膜2間に電圧を印加することでこの透明電極膜2間に介存する前記液晶層1の液晶分子1aを配向する液晶表示装置の前記透明電極膜2を加工する方法において、前記絶縁性基板3に比して前記透明電極膜2に対する透過率が低いレーザ4を、前記一対の絶縁性基板3間に介存する透明電極膜2に向けて照射し、このレーザ4により、前記絶縁性基板3をレーザ切断することなく前記透明電極膜2に電気的に絶縁性を有するレーザ照射加工痕を形成して、この透明電極膜2の一部に絶縁部5を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、液晶表示装置の透明電極膜を絶縁加工する方法に関するものである。
例えば、図8のように、両面に透明電極膜2を積層した液晶層1を例えば透明なプラスチックフィルムから成る絶縁性基板3で挟んだ多層構造を有する液晶表示装置(フレキシブル液晶表示フィルム)が従来から種々提案されている。これは例えば、図8(a)に図示したように、電圧が印加されていない状態(非稼動状態)では前記液晶層1が可視光を散乱する不透明状態となり、一方図8(b)に図示したように、液晶層1の両面の透明電極膜2間に電圧を印加した状態(稼動状態)になると液晶層1の液晶分子1aが配向され、この液晶層1が可視光を透過する透明状態に切り替わる構成である。
このように従来の液晶表示装置は、透明電極膜2間に電圧を印加することで液晶層1を不透明から透明に切り替え可能であるが、例えば図9のように、透明電極膜2の一部に絶縁部5を形成した場合、この絶縁部5より先(図9中,左側)の箇所には電圧が印加されない為にこの絶縁部5が透明と不透明(散乱)との境界となる。
つまり、この絶縁部5により液晶層1の特定箇所だけに電圧を印加し、この特定箇所だけを透明領域(稼動状態)とするといったことが可能となる。
そこで現在、この種の液晶表示装置の製造メーカなどでは、前記液晶層や透明電極膜,絶縁性基板(プラスチックフィルム)らを積層するフィルム製造ラインにおいて前記透明電極膜の所定の箇所に前記絶縁部を形成する方法が種々検討されている。
この従来法は、例えば絶縁部を形成したい箇所にマスキング処理を施し、そのマスキングした箇所に前記透明電極膜を積層させないことで絶縁部を形成する方法や、また例えば積層した透明電極膜の一部をエッチング処理によって除去して絶縁部を形成する方法などがある(特許文献1など)。
しかし、上述した従来法はいずれも、液晶層,透明電極膜,絶縁性基板を積層するフィルム製造ラインの途中工程でマスキングやエッチングを施す必要がある為、既に液晶層,透明電極膜及び絶縁性基板が積層された製品にこの従来法は実施できない。それ故、このような従来法は、この種のフィルム製造ラインが設備された製造メーカ(フィルム製造メーカ)以外で実施することは極めて困難であった。
一方、例えば透明電極膜を、その外層側に積層された絶縁性基板ごと切断し、この透明電極膜に前記絶縁部としての切れ目を形成することとした場合は、前述のような製造メーカに限らず簡単に実施でき、液晶表示装置の透明電極膜の一部に簡単に絶縁部を形成できる。
しかし、このように絶縁性基板ごと透明電極膜を切断する場合、絶縁性基板の切れ目が非常に目立ち外観を著しく損ねるという問題(表示装置においては致命的な欠点といえる)を有するうえに、この絶縁性基板の切れ目から紫外線や空気などが侵入し液晶動作不良の一因となるなど耐久性の観点からも問題を有し、また例えば切断箇所を封密処理する場合にはそれだけ工程数が増えてしまうなど、種々の問題を有し実用性に乏しい。
以上のように、液晶層,透明電極膜及び絶縁性基板を積層するフィルム製造ラインの途中工程でマスキングやエッチングを施す必要が無く、また絶縁性基板を切断する必要もなく、液晶表示装置の絶縁性基板間に介存する透明電極膜の一部に簡単に絶縁部を形成できる加工方法は未だ提案されていないのが現状である。
本発明は、上述のような現状に鑑み、種々の実験・研究を繰り返し行った結果、この種の液晶表示装置の透明電極膜の一部にこれまでになく簡単且つ良好に絶縁部を形成できる画期的な技術を開発した。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
両面に透明電極膜2を積層した液晶層1をプラスチックフィルムやガラス基板などから成る一対の絶縁性基板3で挟んだ多層構造を有し、前記液晶層1の両面の透明電極膜2間に電圧を印加することでこの透明電極膜2間に介存する前記液晶層1の液晶分子1aを配向する液晶表示装置の前記透明電極膜2を加工する方法において、前記一対の絶縁性基板3間に介存する透明電極膜2に向けてレーザ4を照射し、このレーザ4により、前記絶縁性基板3をレーザ切断することなく前記透明電極膜2に電気的に絶縁性を有するレーザ照射加工痕を形成して、この透明電極膜2の一部に絶縁部5を形成することを特徴とする液晶表示装置の透明電極膜加工方法に係るものである。
また、前記レーザ4は、前記絶縁性基板3に比して前記透明電極膜2に対する透過率の低いレーザ4としたことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の透明電極膜加工方法に係るものである。
また、前記レーザ4は、前記絶縁性基板3に比して前記透明電極膜2に対する透過率が低くなるように波長調整したレーザ4を採用することを特徴とする請求項2記載の液晶表示装置の透明電極膜加工方法に係るものである。
また、前記レーザ4は、前記一対の絶縁性基板3間に介存する前記透明電極膜2,若しくは透明電極膜2間に介存する前記液晶層1,若しくは前記絶縁性基板3の表面から所定距離をおいた外方位置にこのレーザ4の焦点位置を調整し照射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置の透明電極膜加工方法に係るものである。
本発明は上述のようにするから、液晶表示装置の一対の絶縁性基板間に介存する透明電極膜の所望の箇所(絶縁部を形成したい箇所)に向けて単にレーザを照射するだけで、絶縁性基板はレーザ切断することなく透明電極膜だけをレーザ切断し、この透明電極膜に電気的に絶縁性を有するレーザ照射加工痕、つまり絶縁部を形成できる。
例えば液晶層,透明電極膜及び絶縁性基板を積層するフィルム製造ラインの途中工程でマスキングやエッチングを施す上記従来法は、このフィルム製造ラインが設備された製造メーカなど以外では実施が極めて困難であるが、この点本発明は、前記フィルム製造ラインの途中工程に限らず、透明電極膜の外層側に絶縁性基板を積層した後でも何ら問題なく透明電極膜の所望の箇所にレーザ照射により簡単に絶縁部を形成できる。しかもその際、絶縁性基板まで切断することはないので、絶縁性基板に切れ目が形成され外観上や耐久性など種々の問題が生ずる懸念も一切無い。
よって、本発明は、この種の液晶表示装置の透明電極膜の所望の箇所にこれまでになく簡単且つ良好に、それだけ低コストに絶縁部を形成できる画期的で実用性に秀れた液晶表示装置の透明電極膜加工方法となる。
また、本発明の加工方法を用いれば、例えば透明電極膜の一部に形成した絶縁部により液晶層を電気的に領域区分し、例えば液晶層の特定箇所のみに電圧を印加して液晶駆動させるといった機能を付加した構造など、より高機能な液晶表示装置も簡単に製造・実現可能な画期的な透明電極膜加工方法となる。
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
本発明は、両面に透明電極膜2を積層した液晶層1をプラスチックフィルムやガラス基板などから成る一対の絶縁性基板3で挟んだ多層構造を有するこの種の液晶表示装置において、前記透明電極膜2の一部に絶縁部5を形成するものである。
前記一対の絶縁性基板3間に介存する透明電極膜2に向けてレーザ4を照射する。
このレーザ4には、例えば、前記絶縁性基板3に比して透明電極膜2に対する透過率が低いレーザ4を採用する。即ち、例えば後述の実施例のように、絶縁性基板3に対する透過率が高く、一方透明電極膜2に対しては透過率が低くなるように波長を調整したファイバーレーザなどを採用する。
これにより、照射された前記レーザ4は、絶縁性基板3を透過して透明電極膜2にて効率的にレーザ光エネルギを吸収されることとなる。
このように本発明は、前記レーザ4の照射により、絶縁性基板3はレーザ切断することなく、透明電極膜2だけに電気的に絶縁性を有するレーザ照射加工痕を形成(透明電極膜2だけをレーザ切断)し、この加工痕(切れ目)を即ち絶縁部5とする。
透明電極膜2の一部に絶縁部5を有し、この絶縁部5によって、例えば液晶層1の特定箇所(駆動領域)だけを駆動させ得る構造や、例えば液晶層1を個別に駆動自在な複数の駆動領域に領域区分した構造など、より複雑な駆動が可能な高機能な液晶表示装置は、高い付加価値を有し実用性に秀れるが、その反面、上述したように液晶層1,透明電極膜2及び絶縁性基板3(例えばプラスチックフィルム)を積層するフィルム積層ラインの途中工程でマスキングやエッチングを施す必要があり絶縁部5の形成に多大な手間とコストとを要し、これが広汎且つ大規模な応用への障害となっていた。
この点、本発明は、液晶表示装置の透明電極膜2の所望の箇所(絶縁部5を形成したい箇所)に向けて単にレーザ4を照射するだけで、絶縁性基板3をレーザ切断することなく透明電極膜2だけに簡単に絶縁部5を形成することが可能であり、よって、本発明を用いれば、このように透明電極膜2の一部に絶縁部5を有する構造の液晶表示装置をこれまでになく簡単にそれだけ低コストで製造・実現することが可能となる。
尚、例えば後述の実施例のように、前記レーザ4は、一対の絶縁性基板3間に介存する前記透明電極膜2,若しくは透明電極膜2間に介存する前記液晶層1にこのレーザ4の焦点位置を調整し照射することとした場合には、レーザ4のエネルギを透明電極膜2に集中させて照射できることとなる。
即ち、前記レーザ4の照射により前記絶縁性基板3はレーザ切断することなく前記透明電極膜2の一部に絶縁部5を形成できるという本発明の上記秀れた作用効果を一層確実且つ良好に発揮できる液晶表示装置の透明電極膜加工方法となる。
また、例えば後述の実施例のように、液晶層1の両面の透明電極膜2間に電圧を印加することで、この透明電極膜2間に介存する前記液晶層1を駆動(液晶分子1aを配向)できることは勿論、前記透明電極膜2に形成した絶縁部5により、例えば液晶層1を電圧が印加される駆動領域と、電圧が印加されない非駆動領域とに領域区分し、この液晶層1の前記駆動領域だけを駆動させる構成(図4参照)など、前記絶縁部5によって液晶層1を電気的に領域区分した構成の高機能な液晶表示装置を製造する場合において、上述したように絶縁部5を所望の箇所に簡単に形成できる本発明に係る液晶表示装置の透明電極膜の製造方法を用いれば、それだけ簡単且つ良好に低コストで高機能な液晶表示装置を製造・実現可能となる。
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
本実施例は、両面に透明電極膜2を積層した液晶層1を一対の絶縁性基板3で挟んだ多層構造を有し、前記液晶層1の両面の透明電極膜2間に電圧を印加することでこの透明電極膜2間に介存する前記液晶層1の液晶分子1aを配向する液晶表示装置の前記透明電極膜2の一部に絶縁部5を形成する方法であって、具体的には、前記絶縁性基板3に比して前記透明電極膜2に対する透過率が低いレーザ4を、図1に図示したように、前記一対の絶縁性基板3間に介存する透明電極膜2に向けて照射し、このレーザ4により、前記絶縁性基板3をレーザ切断することなく前記透明電極膜2に電気的に絶縁性を有するレーザ照射加工痕を形成して、この透明電極膜2の一部に絶縁部5を形成するものである。
尚、本実施例の液晶表示装置は、絶縁性基板3にプラスチックフィルム,透明電極膜2にITOを採用した、いわゆるフレキシブル液晶表示フィルムである。具体的には、絶縁性基板3には透明なPET素材のフィルム(0.2mm厚)を採用する。また、一対の絶縁性基板3によって20μm厚の液晶層1を挟むと共に、この一対の絶縁性基板3の内面、つまり液晶層1と接する面に、透明電極膜2として10nm厚のITO(Indiumu−Tin−Oxide;酸化インジウムすず)を被覆することで液晶層1の両面に透明電極膜2を積層した構造とする。
この絶縁性基板3及び透明電極膜2の素材は上記のものに限定されるものではなく、例えば、絶縁性基板3に透明なガラス基板を採用したフレキシブルではない通常の液晶表示装置にも本実施例の加工方法は適用可能である。
この液晶層1の両面に積層した一対の透明電極膜2間に電圧を印加することで、この透明電極膜2間に介存する前記液晶層1の液晶分子1aの配列が揃い(配向し)、この液晶層1が不透明状態から透明に切り替わる構成で、この種の液晶表示装置として一般的な構成である。
以下、本実施例を具体的に説明する。
前記レーザ4は、前記絶縁性基板3に比して前記透明電極膜2に対する透過率が低くなるように波長調整したレーザ4を採用する。
つまり、レーザ4に対する絶縁性基板3,透明電極膜2双方の透過率を夫々考慮し、絶縁性基板3に比して透明電極膜2に対してレーザ4が透過しにくい波長となるように前記レーザ4を波長調整する。
本実施例では、上述のように絶縁性基板3としてPET素材を採用し、透明電極膜2としてITOを採用しており、よってレーザ4の波長を約420nm以上に設定することで双方の透過率に差が生ずることとなる(PET素材に比してITOの透過率が低くなる)。ここで、この透過率の差が増大すれば、それだけ絶縁性基板3をレーザ切断することなく一層良好に透明電極膜2に絶縁部5を形成できる。
従って、このレーザ4の波長は約1000nm以上に調整することが望ましい。即ち、レーザ4の波長が1000nmの場合、PET素材の透過率は約90%,一方ITOの透過率は50〜60%と双方の透過率に大きい差が得られ、また更にこの波長を大きくすれば、PET素材の透過率は約90%を維持し一方ITOの透過率は更に小さくなり、双方の透過率の差をより増大できる。
このように波長調整したレーザ4を照射することで、絶縁性基板3ではなく透明電極膜2にそのエネルギを効率的に吸収させ、絶縁性基板3はレーザ切断することなく透明電極膜2を良好にレーザ切断し、絶縁部5を形成できることになる。
また、このレーザ4は、図1に図示したように、前記一対の絶縁性基板3間に介存する前記透明電極膜2,若しくは透明電極膜2間に介存する前記液晶層1にこのレーザ4の焦点位置を調整し照射する。
従って、加工対象である透明電極膜2にレーザ4のエネルギを集中させることができ、それだけこの透明電極膜2に電気的に絶縁性を有するレーザ照射加工痕、つまり絶縁部5を良好に形成できる上、その加工痕をきれいな(輪郭のはっきりした)線状の加工痕とすることができる。特に液晶層1のいずれか一方の面に積層された透明電極膜2の膜厚中心にレーザ4の焦点位置を調整した場合は、その一方の透明電極膜2だけに絶縁部5を形成することも可能である。一方、液晶層1の膜厚中心にレーザ4の焦点位置を調整した場合は、この液晶層1の両面に積層された透明電極膜2双方に良好に絶縁部5を形成できる。
尚、レーザ4の焦点位置を、前述のように透明電極膜2や液晶層1など一対の絶縁性基板3間の所定位置に調整するのではなく、絶縁性基板3の外方側、つまり絶縁性基板3の表面から所定距離をおいた外方位置に焦点位置を調整して前記レーザ4を照射しても良い。即ちこの場合も、絶縁性基板3にレーザ4を集光させず、絶縁性基板3がレーザ切断されてしまうことを良好に阻止できる為、絶縁性基板3をレーザ切断することなく透明電極膜2に絶縁部5を形成できるという本実施例と同様の作用効果が得られる。
また本実施例では、他のレーザ装置に比して集光径を小さくできるファイバーレーザ発振器を採用しており、この発振器から照射されるファイバーレーザを前記レーザ4とする。また、このレーザ4(ファイバーレーザ)は、高いピーク出力が得られるようにパルス波レーザとする。
以上のように調整・設定したレーザ4を、図1に図示したように、液晶表示装置の一対の絶縁性基板3間に介存する透明電極膜2に向けて照射することで、絶縁性基板3を切断することなく透明電極膜2に絶縁部5を形成できることを本発明者は確認している。
これは、前述のように絶縁性基板3に比して透明電極膜2に対する透過率が低くなるようにレーザ4を波長調整している為、絶縁性基板3はこのレーザ4の影響を受けにくく、一方透明電極膜2にはレーザ4のエネルギが効率的に吸収され、この透明電極膜2の一部がレーザ4によって飛散される為と考察される。
また更に、本発明者は、このようにレーザ4の照射によって透明電極膜2に形成したレーザ照射加工痕が電気的に絶縁性を有し、よってこのレーザ4の照射により絶縁性基板3を切断せずに透明電極膜2に絶縁部5を形成できることを下記の実験により確認している。
<実験>
本実験の加工条件は次の通りである。
本実験の加工条件は次の通りである。
モード:パルス波
波長(nm):1060〜1070
レーザ平均出力(W):1
レーザパルス周波数(kHz):100
前記ファイバーレーザ発振器により、図1に図示したように液晶表示装置の透明電極膜2に向けてレーザ4を照射する。尚、焦点位置は図示した通り液晶層1の膜厚中心とする。これにより、透明電極膜2に直線状にレーザ照射加工痕を形成する。
波長(nm):1060〜1070
レーザ平均出力(W):1
レーザパルス周波数(kHz):100
前記ファイバーレーザ発振器により、図1に図示したように液晶表示装置の透明電極膜2に向けてレーザ4を照射する。尚、焦点位置は図示した通り液晶層1の膜厚中心とする。これにより、透明電極膜2に直線状にレーザ照射加工痕を形成する。
その後、液晶層1から透明電極膜2及び絶縁性基板3を一体に剥離し、この透明電極膜2に形成した直線状のレーザ照射加工痕の抵抗値(図3(b)参照)を測定したところ、抵抗値は∞を示し、よって前記レーザ4の照射により透明電極膜2の一部に電気的に絶縁性を有するレーザ照射加工痕、即ち絶縁部5が形成されたことを確認した。
尚、図3(a)は、液晶層1から剥離した透明電極膜2のレーザ照射加工痕の撮影図である。この透明電極膜2に形成したレーザ照射加工痕を境界とし、AエリアとBエリアとはこのレーザ照射加工痕を介して互いに絶縁関係にあることを確認した。
また、液晶層1から透明電極膜2及び絶縁性基板3を剥離せずに、そのままEDS(エネルギ分散型X線分析)など電子顕微鏡により観察した結果、透明電極膜2のレーザ照射加工痕は、液晶層1に向けて凹没した溝状であることが確認できた。これは、レーザ4のエネルギにより液晶が発熱して熱収縮したためと推考される。以上から、レーザ4の照射による加工後の液晶表示装置の断面は、図2のようになると推察される。符号7は、レーザ4により飛散した透明電極膜2の残滓7である。
従って、この実験から本実施例に係る液晶表示装置の透明電極膜2の加工方法は、絶縁性基板3をレーザ切断することなく透明電極膜2に電気的に絶縁性を有するレーザ照射加工痕を形成でき、よって、この種の液晶表示装置の透明電極膜2の所望の箇所に絶縁部5を形成する方法として極めて有効であると言える。
図4及び図6は、本実施例に係る液晶表示装置の透明電極膜2の加工方法により透明電極膜2の一部に絶縁部5を形成した液晶表示装置を示す概略説明平面図である。
具体的には、前記透明電極膜2の一部に形成した絶縁部5を領域境界とし、液晶層1の両面の透明電極膜2間に電圧を印加した際にこの電圧が印加され液晶分子1aが配向される駆動領域と、この電圧が印加されない非駆動領域とに前記液晶層1を絶縁部5によって領域区分した構成(図4参照),若しくはこの絶縁部5によって液晶層1を互いに異なる電圧印加経路から印加される電圧により個別に駆動する複数の駆動領域に領域区分した構成(図6参照)としている。
即ち、図4に図示した液晶表示装置は、透明電極膜2に四角形状に絶縁部5を形成した構成である。この図4に図示した液晶表示装置の液晶層1,透明電極膜2及び絶縁性基板3を分解(剥離)した状態を示す説明分解図を図5に図示する。
図5に図示したように、一対の透明電極膜2の外周縁部に夫々、電圧を印加するための電極板6を付設している。また、この一対の透明電極膜2のうちの一方(図5中,上方)の透明電極膜2にのみ前記レーザ4の照射によって四角形状に絶縁部5を形成している。
従って、この液晶表示装置の一対の透明電極膜2間に電極板6から電圧を印加すると、一方(図5中,上方)の透明電極膜2の前記四角形状の絶縁部5で囲われた領域は、当該絶縁部5によって絶縁されているために前記電圧が印加されない。つまり、液晶表示装置は、平面視においてこの絶縁部5で囲われた四角形の領域が非駆動領域,その余が駆動領域となる。よって、液晶を駆動させる際、図4に図示したように、前記駆動領域に相当する前記液晶層1の特定の箇所だけに電圧して液晶分子1aを配向せしめ、この特定の箇所、つまり駆動領域だけを透明に切り替えることができる。
尚、この図4及び図5に図示したものは、一対の透明電極膜2のうちの一方のみに絶縁部5を形成しているが、当然一対の透明電極膜2双方に絶縁部5を形成しても上記と同様の作用効果が得られる。
また、図6に図示したものは、図4に図示した液晶表示装置の別タイプであり、方形状の透明電極膜の対向辺間に二本の直線状の絶縁部5を形成したものである。この図6に図示した液晶表示装置の液晶層1,透明電極膜2及び絶縁性基板3を分解(剥離)した状態を示す説明分解図を図7に図示する。
絶縁部5を形成した一方の透明電極膜2には、二本の直線状の絶縁部5を介して三分割された各領域に夫々、電圧印加のための電極板6を付設している。
従って、図6に図示した液晶表示装置は、絶縁部5を領域境界として三分割された各領域夫々が、個別に駆動自在な駆動領域となる。よって、図6に図示したように、電圧を印加する電極板6を選択することで電圧を印加させる領域を選択でき、特定の駆動領域を選択的に駆動させる(透明に切り替える)ことができる。
以上、本実施例は、絶縁性基板3をレーザ切断することなく、またフィルム製造ラインの途中工程にマスキングやエッチングなどを施す必要も一切なく、単に液晶表示装置の透明電極膜2の所定箇所に向けてレーザ4を照射するだけで、例えば図4に図示した四角形状や、例えば図6に図示した直線状など、自由な形状で簡単に前記透明電極膜2の所望の箇所に絶縁部5を形成できる。
よって本実施例は、例えば図4,エに図示したように、透明電極部2の一部に絶縁部5を有し、この絶縁部5により例えば液晶層1を駆動領域と非駆動領域とに領域区分した構造や、例えば液晶層1を互いに個別に駆動自在な複数の駆動領域に領域区分した構造など、より複雑な駆動が可能な付加価値の高い高機能な液晶表示装置をこれまでになく簡単にそれだけ低コストに製造・実現できる極めて画期的な加工方法である。
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
1 液晶層
1a 液晶分子
2 透明電極膜
3 絶縁性基板
4 レーザ
5 絶縁部
1a 液晶分子
2 透明電極膜
3 絶縁性基板
4 レーザ
5 絶縁部
Claims (4)
- 両面に透明電極膜を積層した液晶層をプラスチックフィルムやガラス基板などから成る一対の絶縁性基板で挟んだ多層構造を有し、前記液晶層の両面の透明電極膜間に電圧を印加することでこの透明電極膜間に介存する前記液晶層の液晶分子を配向する液晶表示装置の前記透明電極膜を加工する方法において、前記一対の絶縁性基板間に介存する透明電極膜に向けてレーザを照射し、このレーザにより、前記絶縁性基板をレーザ切断することなく前記透明電極膜に電気的に絶縁性を有するレーザ照射加工痕を形成して、この透明電極膜の一部に絶縁部を形成することを特徴とする液晶表示装置の透明電極膜加工方法。
- 前記レーザは、前記絶縁性基板に比して前記透明電極膜に対する透過率の低いレーザとしたことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の透明電極膜加工方法。
- 前記レーザは、前記絶縁性基板に比して前記透明電極膜に対する透過率が低くなるように波長調整したレーザを採用することを特徴とする請求項2記載の液晶表示装置の透明電極膜加工方法。
- 前記レーザは、前記一対の絶縁性基板間に介存する前記透明電極膜,若しくは透明電極膜間に介存する前記液晶層,若しくは前記絶縁性基板の表面から所定距離をおいた外方位置にこのレーザの焦点位置を調整し照射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置の透明電極膜加工方法。
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