JP2008275898A - 反射防止膜およびその製造方法。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反射防止膜1は、第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基材14の表面に、第1の官能基とカップリング反応により結合を形成する第1のカップリング反応基を有する第1のカップリング剤の形成する被膜で被覆された反応性透明微粒子42が配列した透明微粒子層が、第1の官能基と第1のカップリング反応基とのカップリング反応により形成される結合を介して1層結合固定されている。あるいは、さらにその上に第1のカップリング反応基と反応する膜化合物の被膜で被覆された透明微粒子24および反応性透明微粒子42が交互に結合固定されている。
【選択図】図1
Description
また、特許文献3および4に記載の多孔質膜においても、膜厚および孔径を厳密に制御することは困難である。
なお、「カップリング反応」とは、官能基間の付加反応、または縮合反応により生成する任意の反応をいい、熱反応、および光反応のいずれであってもよい。
前記第2の膜化合物を含む溶液を前記透明微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記第1の透明微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記透明微粒子の表面が被覆された第1の被覆透明微粒子を調製する工程Bと、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を、前記被覆された基材および前記第1の被覆透明微粒子の表面にそれぞれ接触させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応、および前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の被覆透明微粒子からなる1層の透明微粒子層を、前記被覆基材の表面に結合固定し、次いで、前記被覆基材の表面に固定されなかった前記第1の被覆透明微粒子を除去する工程Cとを有する。
なお、工程Gは、nの値に応じて、工程Eおよび工程Fのいずれで終えてもよい。
前記第2の被覆透明微粒子の透明微粒子層の表面に前記第1の反応性透明微粒子を接触させ、前記第3の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の反応性透明微粒子を前記第2の被覆透明微粒子の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第1の反応性透明微粒子を除去する工程Fと、前記工程EおよびFをこの順序で繰返し行い、n層の前記透明微粒子層からなる反射防止膜を形成する工程Gとをさらに有していてもよい。
なお、工程Gは、nの値に応じて、工程Eおよび工程Fのいずれで終えてもよい。
また、基材の表面には、透明微粒子が配列した透明微粒子層が1層結合固定されているので、反射防止膜の耐剥離強度を高めることができる。
さらに、カップリング反応により形成された結合を介して反射防止膜を1層ずつ積層固定するので、反射防止膜の膜厚を容易に制御できる。
請求項6記載の反射防止膜においては、第1〜第(n+1)の膜化合物の形成する被膜が全て単分子膜であるので、基材および微粒子の本来の物性や機能を損なうことがない。
請求項17記載の反射防止膜の製造方法においては、第1〜第3の膜化合物の形成する被膜が全て単分子膜であるので、基材および微粒子の本来の物性や機能を損なうことがない。
特に、これらの化合物と上述のカルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物の両者をともに含む場合には、これらの化合物は助触媒として作用するため、調製時間をさらに短縮できる。
ここで、図1(a)は本発明の第1の実施の形態に係る反射防止膜の断面構造を模式的に表した説明図、図1(b)は本発明の第2の実施の形態に係る反射防止膜の断面構造を模式的に表した説明図、図2は本発明の第1、第2の実施の形態に係る反射防止膜の製造方法において、エポキシ化光学ガラス基材を製造する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、図2(a)は反応前の光学ガラス基材の断面構造、図2(b)はエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜が形成された光学ガラス基材の断面構造をそれぞれ表し、図3は同反射防止膜の製造方法において、エポキシ化シリカ微粒子を製造する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、図3(a)は反応前のシリカ微粒子の断面構造、図3(b)はエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜が形成されたシリカ微粒子の断面構造をそれぞれ表し、図4はエポキシ化光学ガラス基材の表面に、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜を有する反応性光学ガラス基材の断面構造を模式的に表した説明図、図5はエポキシ化シリカ微粒子の表面に、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜を有する反応性シリカ微粒子の断面構造を模式的に表した説明図である。
図1(a)に示すように、反射防止膜1は、反応性光学ガラス基材(反応性基材の一例)32の表面に、エポキシ化シリカ微粒子(第1の被覆透明微粒子の一例)24が配列した透明微粒子層が1層結合固定されている。透明微粒子層は、エポキシ化光学ガラス基材14側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数で、本実施の形態においてはn=2)まで順次積層している。
2層目の透明微粒子層を形成しているエポキシ化シリカ微粒子24の表面は、2−メチルイミダゾール(第3のカップリング剤の一例)のアミノ基(第3のカップリング反応基の一例)とエポキシ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜でさらに被覆されている。
反応性光学ガラス基材32と第1層目の透明微粒子層を形成するエポキシ化シリカ微粒子24、および奇数層目の透明微粒子層を形成するエポキシ化シリカ微粒子24と第2層目の透明微粒子層を形成する反応性シリカ微粒子42との間は、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基またはイミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに結合固定されている。
工程Aでは、エポキシ基を有する膜化合物を光学ガラス基材11に接触させ、エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜13で表面が覆われたエポキシ化光学ガラス基材14を製造する(図2)。
なお、光学ガラス基材11の形状および大きさには特に制限はない。光学ガラス基材の具体例としては、カメラ、眼鏡、望遠鏡、顕微鏡、液晶プロジェクタ等のレンズ、CRT、LCD、および有機EL等の各種表示装置用ガラス板、反射望遠鏡等の反射鏡、コピー機、フラットヘッドスキャナ等の原稿台ガラス等が挙げられる。
用いることのできるエポキシ基を有する膜化合物の具体例としては、下記(1)〜(12)に示したアルコキシシラン化合物が挙げられる。
(2) (CH2OCH)CH2O(CH2)7Si(OCH3)3
(3) (CH2OCH)CH2O(CH2)11Si(OCH3)3
(4) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)2Si(OCH3)3
(5) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)4Si(OCH3)3
(6) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)6Si(OCH3)3
(7) (CH2OCH)CH2O(CH2)3Si(OC2H5)3
(8) (CH2OCH)CH2O(CH2)7Si(OC2H5)3
(9) (CH2OCH)CH2O(CH2)11Si(OC2H5)3
(10) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)2Si(OC2H5)3
(11) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)4Si(OC2H5)3
(12) (CH2CHOCH(CH2)2)CH(CH2)6Si(OC2H5)3
縮合触媒の添加量は、好ましくはアルコキシシラン化合物の0.2〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜1質量%である。
カルボン酸金属塩ポリマーの具体例としては、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマーが挙げられる。
カルボン酸金属塩キレートの具体例としては、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレートが挙げられる。
チタン酸エステルキレート類の具体例としては、ビス(アセチルアセトニル)ジ−プロピルチタネートが挙げられる。
縮合触媒として上述の金属塩のいずれかを用いた場合、縮合反応の完了までに要する時間は2時間程度である。
さらに、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれらの混合物を用いることもできる。
用いることのできるアミノ基を有する膜化合物の具体例としては、下記(21)〜(28)に示したアルコキシシラン化合物が挙げられる。
(22) H2N(CH2)5Si(OCH3)3
(23) H2N(CH2)7Si(OCH3)3
(24) H2N(CH2)9Si(OCH3)3
(25) H2N(CH2)5Si(OC2H5)3
(26) H2N(CH2)5Si(OC2H5)3
(27) H2N(CH2)7Si(OC2H5)3
(28) H2N(CH2)9Si(OC2H5)3
したがって、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物を用いる場合には、カルボン酸スズ塩、カルボン酸エステルスズ塩、カルボン酸スズ塩ポリマー、カルボン酸スズ塩キレートを除き、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の場合と同様の化合物を単独でまたは2種類以上を混合して縮合触媒として用いることができる。
用いることのできる助触媒の種類およびそれらの組み合わせ、溶媒の種類、アルコキシシラン化合物、縮合触媒、および助触媒の濃度、反応条件ならびに反応時間についてはエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の場合と同様であるので、説明を省略する。
また、その表面にヒドロキシル基、アミノ基等の活性水素基を有する透明な合成樹脂等も基材として用いることができる。
(以上工程A)
具体的には、微粒子の直径は10〜400nmであることが好ましく、10〜300nmであることがより好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましい。
反応後、生成したエポキシ化シリカ微粒子24を溶媒で洗浄せずに空気中に放置すると、表面に残ったアルコキシシラン化合物の一部が空気中の水分により加水分解を受け、生成したシラノール基がアルコキシシリル基と縮合反応を起こす。その結果、エポキシ化シリカ微粒子24の表面にポリシロキサンよりなる極薄のポリマー膜が形成される。このポリマー膜は、エポキシ化シリカ微粒子24の表面に全てが共有結合により固定されているわけではないが、エポキシ基を含んでいるため、エポキシ化シリカ微粒子24に対してエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜23と同様の反応性を有している。そのため、洗浄を行わなくても、工程C以降の製造工程に特に支障をきたすことはない。
また、本実施の形態においては工程Aと同一のアルコキシシラン化合物を用いているが、異なるアルコキシシラン化合物を用いてもよい。ただし、工程Cにおいて用いるカップリング剤のカップリング反応基と反応して結合を形成する官能基を有するものでなければならない。
(以上工程B)
膜前駆体の製造には、2−メチルイミダゾールが可溶な任意の溶媒を用いることができるが、価格、室温での揮発性、および毒性等を考慮すると、イソプロピルアルコール、エタノール等の低級アルコール系溶媒が好ましい。
2−メチルイミダゾールの添加量、塗布する溶液の濃度、反応温度および反応時間は、用いる基材および微粒子の種類、形成する反射防止膜の膜厚等に応じて適宜調節される。
加熱温度は、100〜200℃が好ましい。加熱温度が100℃未満だと、カップリング反応の進行に長時間を要し、200℃を上回ると、エポキシ基を有する単分子膜23や反応性単分子膜31の分解反応が起こり、均一な反射防止膜1が得られない。
(31) 2−メチルイミダゾール(R2=Me、R4=R5=H)
(32) 2−ウンデシルイミダゾール(R2=C11H23、R4=R5=H)
(33) 2−ペンタデシルイミダゾール(R2=C15H31、R4=R5=H)
(34) 2−メチル−4−エチルイミダゾール(R2=Me、R4=Et、R5=H)
(35) 2−フェニルイミダゾール(R2=Ph、R4=R5=H)
(36) 2−フェニル−4−エチルイミダゾール(R2=Ph、R4=Et、R5=H)
(37) 2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(R2=Ph、R4=Me、R5=CH2OH)
(38) 2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール(R2=Ph、R4=R5=CH2OH)
なお、Me、Et、およびPhは、それぞれメチル基、エチル基、およびフェニル基を表す。
これらのジイソシアネート化合物の添加量は、2−メチルイミダゾールの場合と同様、エポキシ化シリカ微粒子の5〜15重量%が好ましい。この場合、膜前駆体の製造に用いることのできる溶媒としては、キシレン等の芳香族有機溶媒が挙げられる。
また、アミノ基を有する膜化合物を用いる場合には、架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の2または3以上のエポキシ基を有する化合物を用いることもできる。
(以上工程C)
用いられる2−メチルイミダゾール溶液の濃度、反応条件等は、溶液を塗布するのではなく、エポキシ化シリカ微粒子24を溶液中に分散させて加熱することを除けば、工程Cにおける反応性光学ガラス基材32の調製の場合と同様であるので、詳しい説明を省略する。他に用いることのできるカップリング剤についても、工程Cにおける反応性光学ガラス基材32の調製の場合と同様である。
(以上工程D)
また、工程Fでは、反応性シリカ微粒子42の透明微粒子層を有する反射防止膜1の表面にエポキシ化シリカ微粒子24を接触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップリング反応により結合を形成させ、エポキシ化シリカ微粒子24を反応性シリカ微粒子42の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかったエポキシ化シリカ微粒子24を除去する。
工程E、Fにおける反応条件については、工程Dと同様であるので、詳しい説明を省略する。
(以上工程EおよびF)
図1(b)に示すように、反射防止膜2は、エポキシ化光学ガラス基材14の表面に、反応性シリカ微粒子(第1の反応性透明微粒子の一例)42が配列した透明微粒子層が1層結合固定されている。透明微粒子層は、エポキシ化光学ガラス基材14側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数で、本実施の形態においてはn=2)まで順次積層している。
1層目の透明微粒子層を形成している反応性シリカ微粒子42の表面は、2−メチルイミダゾールのアミノ基とエポキシ基とのカップリング反応により形成された結合を介して固定された2−メチルイミダゾールの被膜でさらに被覆されている。
エポキシ化光学ガラス基材14と第1層目の透明微粒子層を形成する反応性シリカ微粒子42、および奇数層目の透明微粒子層を形成する反応性シリカ微粒子42と偶数層目の透明微粒子層を形成するエポキシ化シリカ微粒子24との間は、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基またはイミノ基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに結合固定されている。
光学ガラス基材を用意し、洗浄後よく乾燥した。
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(化8、信越化学工業株式会社製)0.99重量部、およびジブチルスズビスアセチルアセトナート(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン溶媒に溶解し、反応液を調製した。
その後、クロロホルムで洗浄し、余分なアルコキシシラン化合物およびジブチルスズビスアセチルアセトナートを除去した。
粒径が100nm程度の無水のシリカ微粒子を用意し、よく乾燥した。
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(化8)0.99重量部、およびジブチルスズビスアセチルアセトナート(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン溶媒に溶解し、反応液を調製した。
その後、トリクレンで洗浄し、余分なアルコキシシラン化合物およびジブチルスズビスアセチルアセトナートを除去した。
実施例1で調製したエポキシ化光学ガラス基材の表面に、2−メチルイミダゾールのエタノール溶液を塗布し、100℃で加熱すると、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とが反応して反応性光学ガラス基材が得られた。エタノールで洗浄することにより余分な2−メチルイミダゾールを除去した。
実施例2で調製したエポキシ化シリカ微粒子を、2−メチルイミダゾールのエタノール溶液中に分散して、100℃で加熱すると、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とが反応して反応性光学ガラス基材が得られた。エタノールで洗浄することにより余分な2−メチルイミダゾールを除去した。
実施例3で調製した反応性光学ガラス基材の表面に、実施例2で調製したエポキシ化シリカ微粒子のエタノール分散液を塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分なエポキシ化シリカ微粒子を除去して、1層の微粒子膜よりなる単層反射防止膜を形成した。このとき、単層反射防止膜において、透明微粒子層の厚さは約100nmで、かつ均一性が高かったため、干渉色は観測されなかった。
このようにして得られた、透明微粒子層が1層積層した単層反射防止膜の表面に、さらに実施例4で調製した反応性シリカ微粒子のエタノール分散液をさらに塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分な反応性シリカ微粒子を除去すると、2層の透明微粒子層が積層した累積反射防止膜が得られた。
実施例1で調製したエポキシ化光学ガラス基材の表面に、実施例4で調製した反応性シリカ微粒子のエタノール分散液を塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分な反応性シリカ微粒子を除去した。
このようにして得られた、透明微粒子層が1層積層した単層反射防止膜の表面に、実施例2で調製したエポキシ化シリカ微粒子のエタノール分散液をさらに塗布し、100℃で加熱した。反応後、水で洗浄し、余分なエポキシ化シリカ微粒子を除去すると、2層の透明微粒子層が積層した2層累積反射防止膜が得られた。
2層累積反射防止膜において、透明微粒子層の厚さは約200nmで、かつ均一性が高かったため、干渉色は観測されなかった。
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(化9、信越化学工業株式会社製)0.99重量部、および酢酸(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロキサン−ジメチルホルムアミド混合溶媒(1:1v/v)に溶解した反応液を用いて、実施例1および実施例2と同様の処理を行い、アミノ化光学ガラス基材および粒径が約100nmのアミノ化シリカ微粒子を調製した。
また、カップリング剤として、p−フェニレンジイソシアネートを用いて、実施例3および実施例4と同様の処理を行い、カップリング反応基としてイソシアネート基を有する反応性光学ガラス基材および反応性シリカ微粒子を調製した。
これらの原料を用いて、実施例5および実施例6と同様の処理を行うと、1層または2層の透明微粒子層が積層した累積反射防止膜が得られた。
2層反射防止膜において、透明微粒子層の厚さは約200nmで、かつ均一性が高かったため、干渉色は観測されなかった。
Claims (23)
- 第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基材の表面に、第2の官能基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明微粒子が配列した透明微粒子層が1層結合固定された反射防止膜であって、
前記被覆された透明微粒子は、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤と、前記第1および前記第2の官能基とのカップリング反応により形成された結合を介して前記被覆された基材上に固定されていることを特徴とする反射防止膜。 - 請求項1記載の反射防止膜において、前記第1の膜化合物と前記第2の膜化合物とが同一の化合物であることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1および2のいずれか1項に記載の反射防止膜において、前記第1および第2の膜化合物の形成する被膜の一方または双方が単分子膜であることを特徴とする反射防止膜。
- 第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基材の表面に、透明微粒子が配列した透明微粒子層が前記被覆された基材側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層しており、
第x番目(xは、1≦m≦nである整数)の前記透明微粒子層を形成している前記透明微粒子の表面は、第(x+1)の官能基を有する第mの膜化合物の形成する被膜で被覆されており、
前記透明微粒子層の第(x−1)層と第x層は、第xの官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第xのカップリング反応基と、前記第(x+1)の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第(x+1)のカップリング反応基とを有する第xのカップリング剤と、前記第xの官能基と前記第xのカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合、および前記第(x+1)の官能基と前記第(x+1)のカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに固定されていることを特徴とする反射防止膜。 - 請求項4記載の反射防止膜において、前記第1〜第(n+1)の膜化合物、ならびに前記第1〜第nのカップリング剤がそれぞれ同一の化合物であることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項4および5のいずれか1項に記載の反射防止膜において、前記第1〜第(n+1)の膜化合物が形成する被膜が全て単分子膜であることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射防止膜において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CH2CH(OH)結合であることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射防止膜において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であることを特徴とする反射防止膜。
- 分子の両端にそれぞれ第1の官能基および第1の結合基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基材の表面に、分子の両端にそれぞれ第2の官能基および第2の結合基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆された透明微粒子が配列した透明微粒子層が1層結合固定された反射防止膜の製造方法であって、
前記第1の膜化合物を含む溶液を基材の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記基材の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記基材の表面が被覆された被覆基材を調製する工程Aと、
前記第2の膜化合物を含む溶液を前記透明微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記第1の透明微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記透明微粒子の表面が被覆された第1の被覆透明微粒子を調製する工程Bと、
前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を、前記被覆された基材および前記第1の被覆透明微粒子の表面にそれぞれ接触させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応、および前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の被覆透明微粒子からなる1層の透明微粒子層を、前記被覆基材の表面に結合固定し、次いで、前記被覆基材の表面に固定されなかった前記第1の被覆透明微粒子を除去する工程Cとを有することを特徴とする反射防止膜の製造方法。 - 請求項9記載の反射防止膜の製造方法において、前記工程Cでは、前記第1のカップリング剤を、まず、前記被覆基材の表面に接触させ、該第1のカップリング剤の被膜を有する反応性基材を調製し、次いで、該反応性基材の表面に前記第1の被覆透明微粒子を接触させ、該反応性基材の表面に前記第1の被覆透明微粒子を固定することを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項9記載の反射防止膜の製造方法において、前記工程Cでは、まず、前記第1の被覆透明微粒子の表面に前記第1のカップリング剤を接触させ、前記第1のカップリング剤の被膜を有する第1の反応性透明微粒子を調製し、次いで、該第1の反応性透明微粒子の表面を前記被覆基材と接触させ、該被覆基材の表面に前記第1の反応性透明微粒子を固定することを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項9〜11のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第1の膜化合物と前記第2の膜化合物とが同一の化合物であることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項9〜12のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記工程Aおよび前記工程Bにおいて、未反応の前記第1および第2の膜化合物は洗浄除去され、前記被覆基材および前記第1の被覆透明微粒子の表面で前記第1および第2の膜化合物がそれぞれ形成する被膜は、単分子膜であることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項10記載の反射防止膜の製造方法において、前記基材上には、前記透明微粒子層が前記基材側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層した反射防止膜の製造方法であって、
分子の両端にそれぞれ第3の官能基および第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液を前記透明微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記透明微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形成する被膜で表面が被覆された第2の被覆透明微粒子を被覆し、次いで、前記第2の被覆透明微粒子の表面に、前記第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1または2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第2のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する第2の反応性透明微粒子を調製する工程Dと、
前記第1の被覆透明微粒子の透明微粒子層の表面に前記第2の反応性透明微粒子を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第2の反応性透明微粒子を前記第1の被覆透明微粒子の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第2の反応性透明微粒子を除去する工程Eと、
前記第2の反応透明微粒子の透明微粒子層の表面に前記第1の被覆透明微粒子を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の被覆透明微粒子を前記第2の反応性透明微粒子の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第1の被覆透明微粒子を除去する工程Fと、
前記工程EおよびFをこの順序で繰返し行い、n層の前記透明微粒子層からなる反射防止膜を形成する工程Gとをさらに有することを特徴とする反射防止膜の製造方法。 - 請求項11記載の反射防止膜の製造方法において、前記基材上には、前記透明微粒子層が前記基材側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層した反射防止膜の製造方法であって、
前記第3の膜化合物を含む溶液を前記透明微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記透明微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形成する被膜で前記透明微粒子の表面が被覆された第2の被膜透明微粒子を調製する工程Dと、
前記第1の反応性透明微粒子の透明微粒子層の表面に前記第2の被覆透明微粒子を接触させ、前記第3の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第2の被覆透明微粒子を前記第1の反応性透明微粒子の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第2の被覆透明微粒子を除去する工程Eと、
前記第2の被覆透明微粒子の透明微粒子層の表面に前記第1の反応性透明微粒子を接触させ、前記第3の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の反応性透明微粒子を前記第2の被覆透明微粒子の透明微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第1の反応性透明微粒子を除去する工程Fと、
前記工程EおよびFをこの順序で繰返し行い、n層の前記透明微粒子層からなる反射防止膜を形成する工程Gとをさらに有することを特徴とする反射防止膜の製造方法。 - 請求項14および15のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物が同一の化合物であることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項14〜16のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記工程Dにおいて、未反応の前記第3の膜化合物は洗浄除去され、前記第2の被覆透明微粒子の表面上で前記第3の膜化合物が形成する被膜は、単分子膜であることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項9〜13のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第1および第2の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1および第2の膜化合物を含む溶液は、さらに、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項9〜13、および18のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第1および第2の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1および第2の膜化合物を含む溶液は、さらに、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項14〜17のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1〜第3の膜化合物を含む溶液は、さらに、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項14〜17、および20のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記第1〜第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1〜第3の膜化合物を含む溶液は、さらに、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項9〜21のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN−CH2CH(OH)結合であることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項9〜21のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基またはイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH−CONH結合であることを特徴とする反射防止膜の製造方法。
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