JP2003112379A - 表面機能性部材 - Google Patents

表面機能性部材

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JP2003112379A JP2002187815A JP2002187815A JP2003112379A JP 2003112379 A JP2003112379 A JP 2003112379A JP 2002187815 A JP2002187815 A JP 2002187815A JP 2002187815 A JP2002187815 A JP 2002187815A JP 2003112379 A JP2003112379 A JP 2003112379A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に機能性微粒子が単層、或いは積層状態
で強固に吸着してなる、耐久性に優れた微粒子吸着層を
有し、吸着された機能性微粒子の効果が持続する表面機
能性部材を提供する。 【解決手段】 極性基を有するグラフトポリマー鎖が存
在する支持体上に、該極性基と結合しうる物性を有する
微粒子を吸着させてなる微粒子吸着層を有することを特
徴とする。極性基としては、イオン性基が好ましく、ま
た、極性基を有するグラフトポリマー鎖は、支持体表面
にグラフト重合により導入したものであることが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面機能性部材に関
し、詳細には、粗面化部材、導電性部材、遮光部材な
ど、各種機能性微粒子を吸着してなる機能性の表面層を
有する応用範囲の広い表面機能性部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、任意の基材に機能性の微粒子を吸
着させて各種の機能を有する表面層を形成した部材が種
々提案されている。微粒子吸着表面層を有する部材とし
ては、例えば、樹脂や金属製の微細な粒子により凹凸を
形成した反射防止部材、導電性の微粒子を吸着させた導
電性部材、抗菌性の金属(酸化物)微粒子を吸着させた
防汚・抗菌性部材、微粒子の積層構造を利用して気体の
透過性を低下させるガスバリアフィルム、紫外線、赤外
線、或いは可視光を遮断する微粒子材料を用いた遮光性
部材などが挙げられる。
【0003】その代表的なものとして粗面化部材につい
て述べれば、所定の微細な凹凸を有する粗面化部材は、
界面における屈折率を制御し、光の反射を防止しうる材
料として有用である。近年、液晶ディスプレイ(LC
D)、プラズマディスプレイ(PDP)、カソードレイ
チューブディスプレイ(CRT)、エレクトロルミネッ
センス(EL)ランプなどに代表される画像表示体(デ
ィスプレイ)が、テレビ、コンピューターや近年普及し
てきた各種モバイル装置など、様々な分野で広く用いら
れるようになってきており、目覚ましい発展を遂げてい
る。ディスプレイは使用される各種装置の機能向上に伴
い、高画質化、低消費電力化などの要求が高まってい
る。高画質化としては、映像の画素密度の向上、鮮やか
な色調の実現などとともに、ディスプレイ表面への照明
などの光の映り込みを防止する反射防止能も重要な要素
となっている。特に、近年普及が著しい携帯端末用ディ
スプレイは当然屋外での使用も想定され、従来にも増し
て、太陽光や蛍光等の外部光のディスプレイへの映り込
みを防止する、高い反射防止能に対する要求も高まって
いる。また、軽量、コンパクト、汎用性等の特徴を有す
るLCDが広く使用されている。これらのこれらモバイ
ル装置(携帯端末)にはタッチパネル式の入力、即ち、
ディスプレイ表面の所定領域をプラスチックのペンや指
で直接触れて操作する方式が広く使用され、ディスプレ
イ表面は画質、反射防止能のみならず、耐磨耗性等の耐
久性、汚れ防止性などの特性も重要になってきている。
【0004】反射防止に関しては、従来、光の入射面を
粗面化し、光を散乱もしくは拡散させる手法が一般的に
行われている。粗面化処理としては、基材表面をサンド
ブラスト法、エンボス法等により直接粗面化する方法や
基材表面にフィラーを含有させた塗布液を塗布、乾燥し
て粗面化層を設ける方法などが用いられている。なかで
も、基材表面にフィラーを含有させた粗面化層を設ける
方法が、粗面化面の凹凸の大きさの制御性、製造容易で
ある点から、現在、汎用されている。例えば、特開平6
−18706号公報には、耐熱性に乏しい高透明なプラ
スチックフィルムに適合する目的で、UV硬化型樹脂と
樹脂ビーズを構成要素とする粗面化層が提案されてい
る。また、さらに、耐摩耗性に優れたシリカ等の無機顔
料を樹脂ビーズの代わりに使用する提案もなされている
が、かかる無機顔料は分散性に問題があり、均一な粗面
化層が形成しがたいという問題もでてくる。そこで、例
えば、特開平11−287902号には、シリカと分散
性の良好な樹脂フィラーからなる2種類の顔料を用いた
粗面化層も提案されている。しかしながら、これらの方
法はいずれも、凹凸を形成するためのフィラーをバイン
ダーで基材上に塗布して形成する方法であり、バインダ
ーの影響でフィラーの凹凸が緩和され、設計値どおりの
反射防止能が得難いという問題をはらんでおり、また、
フィラーの凹凸効果を向上させるためにバインダーを希
釈したり使用量を低下させると膜強度が低下し、耐久性
に問題がでてくる虞がある。
【0005】反射防止層を形成する他の方法としては、
屈折率の高い材料と低い材料を交互に積層し、多層化す
る方法が知られている。多層構造を形成する方法として
は、具体的には、SiO2に代表される低屈折率材料
と、TiO2、ZrO2等の高屈折率材料を交互に蒸着等
により成膜する気相法や、金属アルコキシドの加水分
解、縮重合を利用したゾルゲル法等が挙げられる。これ
らの多層構造の反射防止層を形成する方法は、蒸着等の
気相法による場合には、加工装置が高価であり、また、
大きな面積のものは製造し難い、ゾルゲル法による場合
は、塗布、焼成を繰り返すこと等の理由から製造コスト
が高価であるうえ、得られる反射防止層が紫や緑系統の
色を呈しているため、汚れが目立つなどの問題があっ
た。
【0006】ディスプレイの解像度が向上するに伴い、
上記粗面化層の凹凸の高さや間隔にもさらなる緻密化が
要求されるようになってきた。画像の高画質化は画素の
高密度化により達成しうるが、凹凸の間隔がこの画素の
ピッチより大きい場合は干渉によるギラツキが発生しや
すく、所望の反射防止性が得られないことから、粗面化
層の凹凸の高さ及び間隔をばらつきがでないように制御
し、画像表示体の面積にかかわらず、均一で反射防止能
の高い反射防止層が所望されている。
【0007】以上、反射防止部材を例に挙げて説明した
通り、種々の機能を有する微粒子を所望の基材表面に吸
着させて耐久性に優れる機能性表面層を形成することは
困難であった。例えば、N.J.Nattan、M.B
rustらによって、マイナスに帯電したコロイド状の
金微粒子を酸化ケイ素基材表面に吸着させ、リンカーと
してアミノプロパンチオールなどを用いて架橋構造を形
成することにより固定化し、そのプロセスを複数回繰り
返すことにより基材表面に金微粒子を多層吸着させる方
法が提案されているが、この技術は複雑なプロセスを要
するため、実用的な粒子吸着層の形成には適用し難い。
また、塗布法によっては、機能性表面層の形成に用いら
れた機能性微粒子が有する機能がバインダーなどにより
阻害され、設計値どおりの機能を発現させることが困難
であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のような先行技術
の欠点を考慮した本発明の目的は、表面に機能性微粒子
が単層、或いは積層状態で強固に吸着してなる、耐久性
に優れた微粒子吸着層を有し、吸着された機能性微粒子
の効果が持続する表面機能性部材を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、上記特性を有し、且つ、多層
構造の微粒子吸着層を容易に形成し得る表面機能性部材
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、グラフト
ポリマーを表面に有する基材の特性に着眼し研究を進め
た結果、グラフトポリマーに極性基を導入することで、
該極性基との相互作用を形成し得る物性を有する微粒子
に対して強い吸着性を有し、高密度で特定の物性を有す
る微粒子を配列、吸着しうることを見出し、これを利用
することで微粒子の有する優れた機能を生かした微粒子
吸着層が得られることを見出し本発明を完成した。即
ち、本発明の表面機能性部材は、極性基を有するグラフ
トポリマー鎖が存在する表面を有する支持体上に、該極
性基と結合しうる微粒子を吸着してなる微粒子吸着層を
設けたことを特徴とする。ここで、微粒子を吸着させる
ための極性基を有するグラフトポリマー鎖は、支持体表
面にグラフト重合により導入されることが好ましい態様
である。また、極性基としては、イオン性基が好まし
い。
【0010】本発明の作用は明確ではないが、本発明に
おいては支持体上に極性基が導入され、その表面上に該
極性基と何らかの相互作用を形成し結合し得る物性を有
する、金属酸化物などの任意の機能性微粒子が高密度で
均一に充填された層を形成し、結果として、バインダー
を用いることなく微粒子による表面層が形成され、該表
面は微粒子の形状、或いはそれが有する機能をそのまま
反映した微粒子吸着層が設けられ、例えば、均一な凹凸
形状を呈する粗面化層や、導電性微粒子による導電層な
どの機能性の表面層が形成され、この表面層が優れた機
能を発現し得る。また、表面にある極性基とそれと吸着
し得る微粒子間が静電的な引力などの相互作用により強
固に吸着しているため、耐摩耗性が増大し、微粒子吸着
層の高い耐久性が発現したものと推定される。
【0011】このような構造の微粒子吸着層の存在は、
外観的には、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて表面を
観察し、或いは、その断面を走査型電子顕微鏡で観察
し、表面の緻密な凹凸形状、或いは、微粒子の積層状態
が形成されていることなどによりその構造を確認するこ
とができる。また、機能性の微粒子の発現する物性を測
定することで、微粒子からなる機能性層の存在を確認す
ることもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の表面機能性部材は、支持体の少なくとも片面に
極性基を有するグラフトポリマー鎖が存在し、そのよう
な極性基を有する表面は、一般的に表面グラフト法によ
り作成されたものであることが好ましい。また、反射防
止フィルムや赤外線吸収フィルムなどの光透過型部材を
得ようとする場合には、この支持体の基材として透明基
材を用いることが好ましい。
【0013】〔極性基を表面に導入した基材〕表面グラ
フト法により作成された、極性基を有するグラフトポリ
マー鎖が存在する表面とは、基材を構成する高分子表面
上に光、電子線、熱などの従来公知の方法にて極性基を
有するモノマーをグラフトし、或いは、極性基を有する
マクロマー、ポリマーなどが支持体表面に結合し、極性
基を有する表面を形成した状態を指す。また、極性基と
しては、ある種の金属微粒子と相互作用を形成して吸着
するカルボニル基、アミド基、ヘテロ原子を有する芳香
環などヘテロ結合を有する官能基、或いは,静電気的な
相互作用を形成するイオン性基などが挙げられ、イオン
性基が好ましい。これを例に挙げて説明するに、例え
ば、イオン性基を形成するイオン性モノマーとしては、
アンモニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有するモ
ノマー、もしくは、スルホン酸基、カルボキシル基、リ
ン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷
電に解離しうる酸性基を有するモノマー等が挙げられ
る。
【0014】フィルム基材などの支持体上に極性基を有
するグラフトポリマー鎖を導入する方法としては、公知
の方法を適用すればよく、具体的には、例えば、日本ゴ
ム協会誌,第65巻,604,1992年,杉井新治著,「マク
ロモノマーによる表面改質と接着」の記載を参考にする
ことができる。その他、以下に述べる表面グラフト重合
法と呼ばれる方法を適用することもできる。表面グラフ
ト重合法とは高分子化合物鎖上に活性種を与え、これに
よって開始する別の単量体を重合し、グラフト(接ぎ
木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分
子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合
と呼ばれる。
【0015】本発明を実現するための表面グラフト重合
法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用する
ことができる。たとえば、新高分子実験学10、高分子
学会編、1994年、共立出版(株)発行、P135に
は表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズ
マ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技
術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、
p203,p695には、γ線、電子線などの放射線照
射グラフト重合法が記載されている。光グラフト重合法
の具体的方法としては特開昭63−92658号公報、
特開平10−296895号公報および特開平11−1
19413号公報に記載の方法を使用することができ
る。表面グラフトポリマーを有する表面を作成するため
の手段としてはこれらの他、高分子化合物鎖の末端にト
リアルコキシシリル基、イソシアネート基、アミノ基、
水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を付与し、
これと基材表面官能基とのカップリング反応により形成
することもできる。
【0016】プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射
グラフト重合法においては上記記載の文献、およびY.Ik
ada et al, Macromolecules vol. 19, page 1804(198
6)などの記載の方法にて作成することができる。具体的
にはPETなどの高分子表面をプラズマ、もしくは電子
線にて処理し、表面にラジカルを発生させ、その後、そ
の活性表面とイオン性官能基を有するモノマーとを反応
させることによりグラフトポリマー表面層、即ち、イオ
ン性基を有する表面層を得ることができる。光グラフト
重合は上記記載の文献のほかに特開昭53−17407
号公報(関西ペイント)や、特開2000−21231
3号公報(大日本インキ)記載のように、フィルム基材
の表面に光重合性組成物を塗布し、その後イオン性ラジ
カル重合化合物とを接触させ光を照射することによって
も作成することができる。
【0017】本発明において好適に用い得る極性基であ
るイオン性基を形成し得るイオン性モノマーとは、前記
したように、アンモニウム,ホスホニウムなどの正の荷
電を有するモノマーもしくはスルホン酸基、カルボキシ
ル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有する
か負の荷電に解離しうる酸性基を有するモノマーが挙げ
られる。本発明においてとくに有用なイオン性モノマー
の具体例としては、次のモノマーを挙げることができ
る。例えば、(メタ)アクリル酸もしくはそのアルカリ
金属塩およびアミン塩、イタコン酸もしくはそのアルカ
リ金属塩およびアミン酸塩、アリルアミンもしくはその
ハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸もしくは
そのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルスルホン酸
もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルス
チレンスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびア
ミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3
−スルホプロピレン(メタ)アクリレートもしくはその
アルカリ金属塩およびアミン塩、2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸もしくはそのアルカリ金
属塩およびアミン塩、モノ(2−アクリロイルオキシエ
チル)アシッドホスフェート、モノ(2−メタクリロイ
ルオキシエチル)アシッドホスフェート、アシッドホス
ホオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ートなどのリン酸モノマーもしくはそれらのアルカリ金
属及びアミン塩、などを使用することができる。
【0018】ここで得られた表面機能性部材を粗面化部
材として反射防止材料に使用する場合、高密度画素を備
えた高解像度用の画像表示体、モバイルに用いられる小
型で高解像度の画像表示体においては、形成する表面凹
凸性状を制御するため表面平滑性の透明基材を用いるこ
とが好ましいが、マクロの反射防止能をより向上させる
ためには、表面積を増加させてより多くのイオン性基の
導入を図る目的で、基材表面を予め粗面化することも可
能である。基材を粗面化する方法としては基材の材質に
適合する公知の方法を選択することができる。具体的に
は、例えば、基材が樹脂フィルムの場合には、グロー放
電処理、スパッタリング、サンドブラスト研磨法、バフ
研磨法、粒子付着法、粒子塗布法等が挙げられる。ま
た、基材がアルミニウム板のような金属板の場合には、
機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面
化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法な
どが適用でき、機械的方法としては、ボール研磨法、ブ
ラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の
方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化
法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または直流に
より行う方法がある。また、両者を組み合わせた方法も
利用することができる。
【0019】〔極性基と相互作用を形成し結合しうる物
性を有する微粒子〕 1.微粒子 次に、前記極性基と結合しうる物性を有する微粒子につ
いて説明する。用いられる微粒子は、機能性表面の目的
に応じて適宜選択すればよい。また、微粒子の粒径も目
的に応じて選択することができる。本発明の好ましい態
様においては、微粒子はイオン的に吸着するため、微粒
子の表面電荷、イオン性基の数により、粒径や吸着量が
制限されることはいうまでもない。粒径は、一般的には
0.1nmから1μmの範囲であることが好ましく、1
nmから300nmの範囲であることがさらに好まし
く、5nmから100nmの範囲であることが特に好ま
しい。本発明においては、グラフト界面と相互作用によ
り結合する粒子は、極性基としてイオン性基を挙げて説
明するに、イオン性基の存在状態に応じて、規則正しく
ほぼ単層状態に配置されたり、長いグラフト鎖のそれぞ
れのイオン性基にナノスケールの微粒子が一つづつ吸着
し、結果として多層状態に配列されたりする。
【0020】次に、本発明に用い得る機能性の微粒子に
ついて、表面機能性部材の目的に応じて説明する。 1−1.反射防止部材用微粒子 本発明の機能性部材を反射防止部材として用いる場合に
は、機能性微粒子として、樹脂微粒子、及び、金属酸化
物微粒子から選択される少なくとも1種の微粒子を用い
ることが好ましい。このような微粒子を用いることで、
画像表示体表面へ好適に用いられる、均一で優れた反射
防止能を有し、画像コントラストを低下させることなく
鮮明な画像を得ることができ、優れた耐久性を達成し得
る反射防止材料に好適に用い得る粗面化部材を提供する
ことができる。
【0021】樹脂微粒子ではコアと呼ばれる微粒子の中
心部分は有機ポリマーであり、金属酸化物微粒子として
は、シリカ(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化
亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)などが好適なもの
として挙げられる。また、炭酸カルシウム、水酸化アル
ミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク等のい
わゆる透明顔料、白色顔料と呼ばれる顔料微粒子なども
以下に述べる好ましい形状を有するものであれば使用す
ることができる。樹脂微粒子としては耐久性の観点から
硬度の高いものが好ましく、具体的には例えば、アクリ
ル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキ
シ樹脂、シリコン樹脂などの樹脂からなる球状微粒子が
挙げら、なかでも、架橋樹脂微粒子が好ましい。この用
途においては、微粒子の粒径は、100nmから300
nmの範囲であることが好ましく、100nmから20
0nmの範囲であることがさらに好ましい。本態様にお
いては、グラフト界面とイオン的に結合する粒子は規則
正しくほぼ単層状態に配置される。本発明の粗面化部材
を特に反射防止材料として用いる場合には、反射を防止
すべき波長(λ)に対して、λ/4となるように膜厚を
制御することが効果の観点からは好ましく、微粒子の粒
径は粗面化層の膜厚とほぼ同一になることを考慮すれ
ば、粒径が100nmよりも小さくなると、粗面化層が
薄くなりすぎて反射防止性が低下する傾向にあり、ま
た、300nmよりも大きくなると、拡散反射が大き
く、白濁が著しくなるため、透明感が得がたく、且つ、
グラフト界面とイオン的に結合する接触面積が小さくな
りすぎて、粗面化層の強度が低下する傾向がでてくる。
【0022】1−2.導電膜用微粒子 本発明の機能性部材を導電膜として用いる場合には、機
能性微粒子として、導電性樹脂微粒子、導電性或いは半
導体の金属微粒子、金属酸化物微粒子、及び、金属化合
物微粒子から選択される少なくとも1種の微粒子を用い
ることが好ましい。導電性金属微粒子又は金属酸化物微
粒子としては、比抵抗値が1×103Ω・cm以下の導
電性金属化合物粉末であれば幅広く用いることができ、
具体的には、例えば、銀(Ag)、金(Au)、ニッケ
ル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、錫
(Sn)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、白
金(Pt)、イリジウム(Ir)、オスミウム(O
s)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニ
ウム(Ru)、タングステン(W)、モリブデン(M
o)などの単体とその合金の他、酸化錫(SnO2)、
酸化インジウム(In23)、ITO(Indium
Tin Oxide)、酸化ルテニウム(RuO2)、
などを用いることができる。また、半導体としての特性
を有する金属酸化物、金属化合物微粒子を用いてもよ
く、例えば、In23、SnO2、ZnO、Cdo、T
iO2、CdIn24、Cd2SnO2、Zn2SnO4
In23−ZnOなどの酸化物半導体微粒子、及びこれ
らに適合する不純物をドーパントさせた材料を用いた微
粒子、さらには、MgInO、CaGaOなどのスピネ
ル形化合物微粒子、TiN、ZrN、HfNなどの導電
性窒化物微粒子、LaBなどの導電性ホウ化物微粒子な
どが挙げられる。これらは単独で又は2種以上の混合物
として用いることができる。
【0023】1−3.表面抗菌性材料用微粒子 本発明の機能性部材を抗菌性材料として用いる場合に
は、機能性微粒子として、抗菌作用、殺菌作用を有する
金属或いは金属酸化物微粒子を用いることが好ましい。
このような金属(化合物)微粒子を形成し得る材料とし
ては、具体的には、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)な
どの殺菌性を有する金属単体と、これらを1種以上含有
するその合金、或いはこれらの金属酸化物が挙げられ
る。また、金属化合物半導体であって、蛍光灯や太陽光
など紫外領域の波長を含む光の照射によって殺菌作用を
発現する酸化チタン、酸化鉄、酸化タングステン、酸化
亜鉛、チタン酸ストロンチウム等、及び、これらを白
金、金、パラジウム、銀、銅、ニッケル、コバルト、ロ
ジウム、ニオブ、スズなどで修飾した金属化合物などが
挙げられる。
【0024】1−4.紫外線吸収部材用微粒子 本発明の機能性部材を紫外線吸収部材として用いる場合
には、機能性微粒子として、例えば、酸化鉄、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化クロム、酸化錫、酸
化アンチモン等の金属酸化物微粒子を用いることが、紫
外線A,B領域(光波長280〜400nm)における
高い遮蔽機能を有するため好ましい。本発明において、
基材として高分子化合物を用い、これと複合化すること
により紫外線遮蔽フィルム・シートとしての高い機能と
加工性が発現され、種々の応用が期待される。また、金
属酸化物の紫外線遮蔽効果を利用して高分子素材の耐光
性を改良することも期待される。
【0025】1−5.光学材料用微粒子 光学機器に用いられるカラーフィルター、シャープカッ
トフィルター、非線形光学材料などに用いる機能性微粒
子としては、CdS、CdSe等の半導体又は金等の金
属からなる微粒子が挙げられ、基材としてシリカガラス
又はアルミナガラスを用いることで、カラーフィルター
などに好適に用いられるのみならず、3次の光非線形感
受率が大きいことが確認されてから、光スイッチ、光メ
モリ用材料などの非線形光学材料として期待される。こ
こで用いられる微粒子としては、具体的には、金、白
金、銀、パラジウム等の貴金属又はその合金等が挙げら
れ、安定性の観点から、金、白金等のアルカリによって
急激に溶解することのない物質等が好適に挙げられる。
【0026】また、非線形光学材料として好適な金属
(化合物)の超微粒子としては、具体的には、例えば、
金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、
パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、オスミウム
(Os)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ルテニウム
(Ru)などの単体と、これらを1種以上含有するその
合金であって、10〜1000オングストロームの平均
粒子径を有する超微粒子が挙げられる。なお、この粒子
径は1次粒子、2次粒子のいずれであってもよいが、可
視光を散乱させないものが好ましい。なかでも、トルエ
ン等の溶剤中に独立分散した粒径10nm以下の、A
u,Pt,Pd,Rh,Agから選ばれた貴金属微粒
子、あるいはTi,V,Cr,Mn,Fe,Ni,C
u,Zn,Cd,Y,W,Sn,Ge,In,Gaから
選ばれた金属微粒子が好適に挙げられる。
【0027】これらの超微粒子を用いて、通常の方法、
即ち、ゾル−ゲル法、含浸法、スパッタ法、イオン注入
法、あるいは溶融析出法などにより非線形光学材料を作
成する場合、微粒子が非常に凝集しやすいため、複合物
中の微粒子濃度を増加させることが困難となったり、生
産性が低下する、などの問題が生じていた。特に、微粒
子の濃度が低く、物理特性に微粒子の寄与する割合が小
さいものは、用途が限定され、3次の非線形光学効果を
利用した画像メモリ、光集積回路などには不向きであっ
た。本発明の構成によれば、微粒子は基材表面のイオン
性基に直接イオン的に結合し、該イオン性基はグラフト
により高密度で存在するため、微粒子濃度を容易に増加
させることができ、光学材料中において、このような非
線形光学材料用途に特に好適であるといえる。
【0028】1−6.ガスバリアフィルム用微粒子 本発明の表面機能性部材をガスバリアフィルムとして用
いる場合には、機能性微粒子として、酸化ケイ素、酸化
ジルコニウム、酸化チタン、アルミナ、酸化マグネシウ
ム、酸化錫のような無機化合物、又はアルミニウム、
錫、亜鉛のような金属から作られる超微粉末、即ち平均
粒子径が100nm以下、好ましくは50nm以下の微
粒子が好ましい。超微粉末は、前記の無機化合物や金属
から選ばれる1種又は、2種以上の混合物の形態で用い
ることができる。超微粉末として酸化ケイ素のような絶
縁性無機化合物を用いることによって、機能性部材全体
に絶縁性を持たせることが可能になる。前記超微粉末
は、特に超微粉末化が容易な酸化ケイ素が好ましい。ま
た、基材としては、ガスバリア性の高い有機樹脂フィル
ム、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミ
ド、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重
合体、ポリビニルアルコールなどを用いることが好まし
い。
【0029】1−7.有機発光素子用微粒子 微粒子として、ホットキャリアーによる励起によって発
光する有機色素分子うが凝集した微粒子を用い、電極を
有する基材表面にこれらによる層を形成することで、有
機発光素子を形成することができる。ここで用いられる
有機色素としては以下のようなものが挙げられるが、も
ちろんそれらに限定されるものではなく、固体光機能素
子の使用目的等を考慮して適宜選択される。
【0030】p−ビス[2−(5−フェニルオキサゾー
ル)]ベンゼン(POPOP)等の青色発光のオキサゾ
ール系色素;クマリン2、クマリン6、クマリン7、ク
マリン24、クマリン30、クマリン102、クマリン
540等の緑色発光のクマリン系色素;ローダミン6
G、ローダミンB、ローダミン101、ローダミン11
0、ローダミン590、ローダミン640等の赤色発光
のローダミン系(赤色)色素;およびオキサジン1、オ
キサジン4、オキサジン9、オキサジン118等の近赤
外領域の発光が得られ、特に光通信に適合した光機能素
子に好適なオキサジン系色素などが挙げられる。さらに
フタロシアニン、ヨウ化シアニン化合物等のシアニン系
色素等をも挙げられる。なお、これらの色素を選択する
際に、アクリル樹脂等の高分子に溶けやすいものを選択
することが薄膜形成の目的上好ましい。そのような色素
としては、POPOP、クマリン2、クマリン6、クマ
リン30、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン
101等が挙げられる。
【0031】また、有機エレクトロ・ルミネッセンス
(EL)膜に使われる有機分子、例えば8−ヒドロキシ
キノリンアルミニウム(AlQ3)、1,4ビス(2,
2ジフェニルビニル)ビフェニル、ポリパラフェニレン
ビニレン(PPV)誘導体、ジスチリルアリレーン誘導
体、スチリルビフェニル誘導体、フェナントロリン誘導
体等、あるいは該有機分子に添加物を加えた媒体などに
より形成された微粒子であってもよい。
【0032】以上、1−1〜1−7において、本発明の
表面機能性部材の応用例とその分野で好適に用いられる
微粒子を具体例を挙げて説明したが、本発明はこれに制
限されるものではなく、少なくとも片面にイオン性基な
どの極性基を導入してなる基材と、該イオン性基等と結
合しうる物性を有する微粒子の種類を選択し、それらを
適宜組合せることで、機能性の微粒子が有する物性を生
かした機能性の表面を有する部材を種々、構成すること
ができることは言うまでもない。
【0033】2.微粒子表面の物性(イオン性基とイオ
ン的に結合しうる荷電)について 上記の各微粒子は、例えばシリカ微粒子のように、それ
自体荷電を有するものは、そのまま極性基としてイオン
性基を有する表面を形成する材料を選択して反対のイオ
ン性基を支持体表面に導入すれば微粒子吸着層にそのま
ま吸着させることもできるが、イオン性基と吸着させる
目的で、公知の方法により表面に高密度で荷電を有する
微粒子を作成し、それを導入されたイオン性基に吸着さ
せることもできる。後者によれば微粒子の選択の幅を広
げることができる。
【0034】これらの微粒子は、支持体表面に存在する
イオン性基に吸着し得る最大量、結合されることが耐久
性の点で好ましい。また、機能性表面における機能性発
現の効率からは、分散液の分散濃度は、10〜20重量
%程度が好ましい。
【0035】表面にイオン性基を有する基材において、
該イオン性基に前記微粒子を結合させ、微粒子吸着層を
設ける方法としては、表面上に荷電を有する微粒子の分
散液を表面グラフトポリマー、即ち、イオン性基を有す
る基材表面上に塗布する方法、及び、表面上に荷電を有
する微粒子の分散液中にイオン性基を表面に有するフィ
ルム基材を浸漬する方法などが挙げられる。塗布、浸漬
のいずれの場合にも、過剰量の荷電微粒子を供給し、イ
オン性基との間に十分なイオン結合による導入がなされ
るために、分散液と表面にイオン性基を有する基材との
接触時間は、10秒から180分程度であることが好ま
しく、1分から100分程度であることがさらに好まし
い。
【0036】〔極性基への微粒子の吸着〕吸着の具体的
な態様を挙げれば、例えば、極性基として、正の電荷を
有するアンモニウムの如きイオン性モノマーを用いて支
持体表面にイオン性基を有するグラフトポリマー鎖を導
入し、その後、シリカ微粒子分散液にこの基材を所定時
間浸漬し、その後、余分な分散液を水により洗浄、除去
することで、透明基材の表面にはシリカ微粒子が、イオ
ン性基の存在密度に応じて、ほぼ1層の状態から多層の
状態まで、いずれも緻密に吸着してなる微粒子吸着層が
形成される。
【0037】このようにして、支持体基材上に極性基を
導入し、そこに前記微粒子を吸着させて所望の機能を有
する微粒子吸着層を設けることができる。微粒子吸着層
の膜厚は目的により選択できるが、一般的には0.00
1μm〜10μmの範囲が好ましく、0.01μm〜5
μmの範囲がさらに好ましく、0.1μm〜2μmの範
囲が最も好ましい。膜厚が薄すぎると耐キズ性が低下す
る傾向があり、厚すぎる場合には透明性が低下する傾向
にある。
【0038】(基材)本発明において極性基を有するグ
ラフトポリマー鎖が存在する表面を形成するのに使用さ
れる支持体の基材としては、寸度的に安定な板状物であ
り、必要な可撓性、強度、耐久性等を満たせばいずれの
ものも使用できるが、光透過性を必要とする透明基材を
選択する場合には、例えば、ガラス、プラスチックフィ
ルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、
プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セ
ルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポ
リカーボネート、ポリビニルアセタール等)等が挙げら
れる。また、透明性を必要としない表面機能性部材の基
材としては、上記のものに加えて、紙、プラスチックが
ラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、
亜鉛、銅等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸
着された紙若しくはプラスチックフィルム等を挙げるこ
とができる。これらは、用途及び吸着される微粒子との
関係に応じて適宜選択されるが、加工性、透明性の観点
からは、高分子樹脂からなる表面を有する基材が好まし
く、具体的には、樹脂フィルム、表面に樹脂が被覆され
ているガラスなどの透明無機基材、表面層が樹脂層から
なる複合材のいずれも好適である。表面に樹脂が被覆さ
れている基材としては、表面に樹脂フィルムが貼着され
た積層板、プライマー処理された基材、ハードコート処
理された基材などが代表例として挙げられる。表面層が
樹脂層からなる複合材としては、裏面に接着剤層が設け
られた樹脂シール材、ガラスと樹脂との積層体である合
わせガラスなどが代表例として挙げられる。
【0039】本発明の表面機能性部材は、基板上に導入
された極性基、好ましくは、イオン性基に、シリカに代
表される金属酸化物微粒子などの特定の機能を有する微
粒子が静電気的に高密度で均一に吸着した層が形成され
ており、バインダーを用いることなく、しかも、イオン
性基に微粒子が単層状態或いは多層状態で吸着した表面
層が形成されているため、該表面は微粒子の物性をその
まま反映した機能性表面となる。例えば、この微粒子と
して粗面化部材用の微粒子を用いた場合、微粒子の形状
均一な凹凸性を有し、均一で緻密な凹凸を有する粗面化
層が形成される。さらに、この粗面化部材を反射防止材
料として用いた場合、高い反射防止能が達成されながら
その層自体は薄層で、基材として透明基材を用いること
で光透過性を妨げる懸念がなくなることから、反射型の
みならず、透過型の画像表示体にも好適に使用できる。
上記機能性微粒子を適宜選択することで、機能性微粒子
の特性を反映させることができる微粒子吸着層は、任意
の基材表面に比較的簡易な処理で形成することが可能で
あり、さらには、優れた機能性を発現しうる微粒子吸着
層の耐久性が良好であるため、先に述べたような多用な
目的に好適に使用しうるという利点を有する。
【0040】用途に関してさらに例示すれば、微粒子を
選択することで、導電性の有機或いは無機微粒子を用い
ることで、機能性表面に電子・電気的機能を、フェライ
ト粒子などの磁性体微粒子を用いることで磁気的機能
を、特定の波長の光を吸収、反射、散乱するような微粒
子を用いて光学的機能を、というように種々の機能を機
能性表面に発現させることができ、種々の工業製品、医
薬品、触媒、バリスター(可変抵抗器)、塗料、化粧品
など幅広い分野で使用することができる。また、種々の
微粒子構成材料が有するこれらの多種多様な機能に加
え、基材として高分子材料を用いることにより、高分子
材料が有する成形加工の容易性をも利用することがで
き、新規な材料の開発も期待される。
【0041】前記の広範囲の用途における具体例を述べ
れば、例えば、光学部品、サングラス、紫外線・可視光
・赤外線などの光に対する、遮蔽フィルム、遮蔽ガラ
ス、遮光窓、遮光容器、遮光プラスチックボトル等への
適用、抗菌性フィルム、微生物除菌フィルター、抗菌性
プラスチック成形体、漁網、テレビ用部品、電話機用部
品、OA機器用部品、電気掃除機用部品、扇風機用部
品、エアーコンディショナー用部品、冷蔵庫用部品、洗
濯機用部品、加湿器用部品、食器乾燥機用部品などの各
種のOA機器や家電製品、あるいは便座、洗面台用部品
などのサニタリー用品、その他の建材、車両部品、日用
品、玩具、雑貨などの幅広い用途が挙げられる。
【0042】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれに制限されるものではない。 (実施例1、2) 〔極性基としてイオン性基を表面に有する支持体基材の
作成〕膜厚188μの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム(A4100、東洋紡(株)社製)を用
い、グロー処理として平版マグネトロンスパッタリング
装置(芝浦エレテック製CFS−10−EP70)を使
用し、下記の条件で酸素グロー処理を行った。 (酸素グロー処理条件) 初期真空 :1.2×10-3Pa 酸素圧力 :0.9Pa RFグロー:1.5KW,処理時間 :60sec
【0043】(イオン性基の導入)次に、グロー処理し
たフィルムを窒素バブルしたスチレンスルホン酸ナトリ
ウム水溶液(10Wt%)に70℃にて7時間浸漬し
た。浸浸した膜を水にて8時間洗浄することによりスチ
レンスルホン酸ナトリウムが表面にグラフトポリマー化
された基材Aを得た。また同様に、スチレンスルホン酸
ナトリウムをアクリル酸に変えた以外は上記と同じ方法
にてアクリル酸がグラフトされた表面グラフトフィルム
である基材Bを得た。
【0044】〔該イオン性基とイオン結合しうる金属酸
化物微粒子〕本実施例においては、金属酸化物微粒子と
して正電荷を有するTiO2粒子を使用した。 〔基材への荷電粒子の塗布〕正電荷TiO2分散液〔H
40:多木化学(株)製〕5gと水5gとからなる分散
液中に、表面グラフトポリマーを有する基材A及び基材
Bをそれぞれ20分間浸漬した。その後、流水で表面を
十分洗浄して余分な微粒子水分散液を除去し、表面に微
粒子吸着による粗面化層を有する粗面化部材A及び粗面
化部材Bを得た。
【0045】粗面化部材A及び、粗面化部材Bの表面を
透過型電子顕微鏡(JEOL JEM−200CX)に
て10万倍で観察したところ、いずれの表面において
も、微粒子に起因する緻密な凹凸形状が形成されている
ことが確認された。
【0046】〔反射防止能の評価〕この粗面化部材表面
に入射する光束φiと反射する光束φrとの比(φr
φi)即ち視感反射率(%)を分光器を用いて測定したと
ころ、粗面化部材Aは0.2%、粗面化部材Bは0.3
%であり、いずれも優れた反射防止能を有することが確
認された。
【0047】〔耐磨耗性の評価〕得られた粗面化部材
A、Bを水で湿らせた布(BEMCOT、旭化成工業社
製)を用いて手で往復30回こすった。こすった後に、
前記と同様にして透過型電子顕微鏡(JEOL JEM
−200CX)にて、その表面を10万倍で観察したと
ころ、いずれの表面においても、こすり処理を行なう前
と同様の微粒子に起因する緻密な凹凸形状が観察され、
表面の緻密な凹凸形状がこすりにより損なわれなかった
ことが確認された。
【0048】(実施例3) 〔極性基としてイオン性基を表面に有する支持体基材の
作成〕実施例1で用いたグロー処理したフィルム基板と
して用いた。イオン性基を導入するためのモノマーとし
て、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−
3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロ
ライド(ブレンマーQA:日本油脂(株)製)を使用し
たほかは、実施例1と同様にして、カチオン性のアンモ
ニウムクロライドが表面にグラフトポリマー化された基
材Cを得た。
【0049】〔該イオン性基とイオン結合しうる金属酸
化物微粒子〕本実施例においては、金属酸化物微粒子と
して正電荷を有するSiO2粒子を使用した。 〔基材への荷電粒子の塗布〕シクロヘキサン90g中に
平均粒径200nmのシリカ微粒子〔シーホスターP−
20:日本触媒(株)製〕10gを分散させた分散液中
に、表面グラフトポリマーを有する基材Cをそれぞれ2
0分間浸漬した。その後、流水で表面を十分洗浄して余
分な微粒子分散液を除去し、表面に粗面化層を有する粗
面化部材Cを得た。
【0050】粗面化部材Cの表面を透過型電子顕微鏡
(JEOL JEM−200CX)にて10万倍で観察
したところ、微粒子に起因する緻密な凹凸形状が形成さ
れていることが確認された。
【0051】得られた粗面化部材Cにたいして、実施例
1と同様にして、反射防止能及び耐磨耗性の評価を行っ
たところ、視感反射率0.2%であり、こすり処理後の
表面凹凸形状の変化も認められなかったことから、カチ
オン性の表面を有する本実施例においても、同様に高い
反射防止能と表面の耐磨耗性が達成されていることがわ
かった。
【0052】(実施例4) 〔極性基としてイオン性基を表面に有する支持体基材の
作成〕厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルム上に、下記の光重合性組成物をロッ
ドバー17番で塗布し、80℃で2分間乾燥させた。次
にこの塗布されたフィルムを、400W高圧水銀灯(U
VL−400P、理工科学産業(株)製)を使用し、1
0分間照射し、予備硬化させて中間層を形成した。
【0053】 (光重合性組成物) ・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 4g (モル比率80/20、分子量10万) ・エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート 4g (東亞合成(株)M210) ・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.6g ・1−メトキシ−2−プロパノール 16g
【0054】中間層が形成されたPETフィルムを、ア
クリル酸:20質量%及び次亜塩素酸ナトリウム:0.
01質量%を含む水溶液に浸漬し、アルゴン雰囲気下で
400W高圧水銀灯を使用し30分間光照射した。光照
射後、得られたフィルムをイオン交換水で良く洗浄し、
ポリアクリル酸がグラフトされた表面グラフトフィルム
である基材Dを得た。グラフトされたポリアクリル酸の
厚みをATR−IR(全反射赤外線吸収スペクトル)を
用いて測定したところ、0.55μmであった。
【0055】〔該イオン性基とイオン結合しうる金属酸
化物微粒子〕本実施例においては、金属酸化物微粒子と
して正電荷を有するTiO2粒子を使用した。 〔基材への荷電粒子の塗布〕正電荷TiO2分散液〔H
40:多木化学(株)製〕5gと水5gとからなる分散
液中に、表面グラフトポリマーを有する基材Dを20分
間浸漬した。その後、流水で表面を十分洗浄して余分な
微粒子水分散液を除去し、表面にTiO2微粒子が吸着
してなる微粒子吸着層を有する表面機能性部材Dを得
た。表面機能性部材Dの断面を走査型電子顕微鏡(JE
OL S800)にて10万倍で観察したところ、Ti
2微粒子が10層吸着していることが確認された。
【0056】〔紫外線遮蔽能の評価〕この表面機能性部
材Dに波長280〜400nmの紫外線を照射し、紫外
線の透過率を測定したところ、透過率は1.0%であ
り、優れた紫外線遮蔽能を有することが確認された。
【0057】〔耐磨耗性の評価〕得られた表面機能性部
材Dを水で湿らせた布(BEMCOT、旭化成工業社
製)を用いて手で往復30回こすった。こすった後に、
前記と同様にして走査型電子顕微鏡(JEOL S80
0)にて、その断面を10万倍で観察したところ、いず
れの表面においても、こすり処理を行なう前と同様に多
層にわたる微粒子が吸着してなる表面層の存在が観察さ
れ、微粒子吸着層がこすりにより損なわれなかったこと
が確認された。
【0058】実施例の評価結果より、本発明の表面機能
性部材は、吸着された微粒子の機能に応じた優れた性能
が発現され、また、表面に形成された微粒子吸着層の耐
久性が良好であることが確認され、本発明は実用に適す
る種々の機能性表面を有する材料として有用であること
がわかった。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、表面に機能性微粒子が
単層、或いは積層状態で強固に吸着してなる、耐久性に
優れた微粒子吸着層を有し、且つ、このような微粒子吸
着層を容易に形成することができ、吸着された機能性微
粒子の効果が持続する表面機能性部材を提供することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 291/00 C08F 291/00 292/00 292/00 G02B 1/10 G02B 1/10 A 1/11 Z (72)発明者 加納 丈嘉 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2K009 AA12 BB11 CC02 CC03 CC09 CC12 CC14 CC23 CC24 CC33 CC42 DD04 DD15 EE03 EE05 4D075 AB01 CA02 CA18 CA22 CA33 CA47 CB03 CB08 DA04 DA06 DB01 DB18 DB36 DB38 DB53 DC01 DC13 DC18 DC24 DC38 DC41 EA06 EA10 EB01 4F100 AA17B AK01A AK01J AK42A AL04A BA02 DE01B EJ52A EJ61A JC00B JG01B JL06B JN06B 4J026 AA02 AA12 AA13 AA17 AA34 AB07 AB17 AC00 BA19 BA25 BA27 BA32 BA34 BA39 DB06 EA03 GA08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極性基を有するグラフトポリマー鎖が存
    在する表面を有する支持体上に、該極性基と結合しうる
    微粒子を吸着してなる微粒子吸着層を設けた表面機能性
    部材。
  2. 【請求項2】 極性基を有するグラフトポリマー鎖が、
    支持体表面にグラフト重合により導入されることを特徴
    とする請求項1に記載の表面機能性部材。
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