JP2008275099A - 等速自在継手の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで等速自在継手の内部の潤滑を向上させることのできる、多孔性固形潤滑剤を具備する等速自在継手の製造方法を提供する。
【解決手段】内輪3の中心孔11から、多孔性固形潤滑剤8の基となる樹脂成分を含有する液剤8aを注入し、中心孔11に密栓150を軸部材挿嵌側から挿入して、中心孔11の軸部材反挿嵌側および外輪1の軸部材挿嵌側から突出させ、液剤8a中の樹脂成分を潤滑成分の存在下で発泡、硬化させ、多孔性固形潤滑剤8とする。次に、中心孔11から密栓150を取り除き、これにより中心孔11の軸部材反挿嵌側に形成される空間に、未吸蔵の補助潤滑剤を注入する。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車の駆動軸に用いられ、回転トルクを伝達する等速自在継手およびその製造方法に関するものである。
近年、自動車の高性能化、コンパクト化および軽量化のための技術的改良が進み、自動車部品や産業機械の駆動伝達に用いられる等速自在継手についても小型化、高性能化および長寿命化の要求が高まっている。
これにより、等速自在継手にも機械全体と同様に小型化や軽量化が求められれば、高い負荷が加わることになり、従来のグリースによる潤滑では、等速自在継手の充分な長寿命化が困難な場合がある。
また、今後、等速自在継手の更なる軽量化が求められることから、グリースや潤滑油などの潤滑成分およびこの潤滑成分に添加する添加剤を最適化するだけでは、等速自在継手の軽量化に伴う上記の問題に対応することが難しく、等速自在継手には、新しい潤滑剤や新たな潤滑構造が希求されている。
この問題に対して、現在では、樹脂成分を発泡して固形化したもの(以下発泡体とする)に潤滑成分を充填させた多孔性固形潤滑剤が知られている。
この多孔性固形潤滑剤は、屈曲により変形する等速自在継手に取り付けられるブーツに追従して圧縮される。これにより、潤滑剤より滲み出た液体状の潤滑成分が、等速自在継手の摺動部など、必要部位に供給され、等速自在継手の内部の潤滑が良好に保たれている(特許文献1参照)。
特開平9−42297号公報
さて、特許文献1に開示されている多孔性固形潤滑剤は、樹脂成分を発泡して固形化した後に、潤滑油などの潤滑成分を充填させる後含浸型のものである。この後含浸型多孔性固形潤滑剤の潤滑成分の保持力は小さく、高速条件下で使用した場合、充填した潤滑成分が一度に抜け出てしまう問題がある。そのため、この後含浸型潤滑剤は、短時間の使用や密閉空間での使用は可能であるが、長時間の使用や開放空間での使用は困難である。
また、後含浸型多孔性固形潤滑剤は、潤滑成分の保持力が小さいため、潤滑成分の放出と発泡体への吸収を繰り返しながら潤滑成分が絶えず等速自在継手の内部空間内を流動する。この場合、潤滑成分の化学的性質によっては、等速自在継手に取り付けるブーツを劣化させるおそれがあり、ブーツ素材と潤滑成分のどちらか一方が限定されるという問題がある。
さらに、この後含浸型潤滑剤では、発泡体への後含浸が必要であるため、製造工程の工数や製造時間が増し、これに伴い、製造コストが嵩む問題もある。
この後含浸型潤滑剤の問題を解決するための潤滑剤が本出願人により考案されており、この潤滑剤は、前記樹脂成分を前記潤滑成分の存在下で発泡、硬化させること(反応型含浸法)により前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵させた多孔性固形潤滑剤である。
この反応型含浸法による多孔性固形潤滑剤は、潤滑成分の存在下で樹脂成分を発泡させるため、外力による潤滑成分の滲出性(自己潤滑能)を有し、樹脂成分の潤滑成分の保持力が高い。そのため、この多孔性固形潤滑剤を等速自在継手に使用した場合、工業的に使用されているようなグリースによる潤滑と比較すると、潤滑成分を必要箇所に必要な量だけ供給することが可能である。これにより、潤滑成分の使用量を必要最小限に抑えることができるため、ブーツの潤滑成分による劣化の防止、等速自在継手の軽量化とコンパクト化、および、製造コストの削減を実現している。
しかし、この自己潤滑能を有する多孔性固形潤滑剤を配置した等速自在継手では、等速自在継手に加わる外力や回転トルク発生時の温度上昇により、あらかじめ含有させた潤滑成分の放出量が少なくなる場合がある。そのため、等速自在継手の摺動部に必要な量の潤滑成分が供給されないおそれがある。
そこで本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、低コストで等速自在継手の内部の潤滑を向上させることのできる、多孔性固形潤滑剤を具備する等速自在継手の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明に係る等速自在継手の製造方法は少なくとも一端が開口した外側継手部材と、その外側継手部材の内側に配される内部部品の一部を構成し、内周面に軸部材が挿嵌される中心孔が形成された内側継手部材とを備え、前記外側継手部材の内部に、潤滑油を含む潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤を具備した等速自在継手の製造方法であって、前記外側継手部材の内部に前記内部部品を組み込んだ状態で、前記中心孔から前記外側継手部材の内部に、前記多孔性固形潤滑剤の基となる樹脂成分を含有する液剤を注入し、前記中心孔に密栓を軸部材挿嵌側から挿入して前記中心孔の軸部材反挿嵌側から突出させ、この後、前記樹脂成分を発泡、硬化させ、前記密栓を取り除くことで前記内側継手部材の中心孔の軸部材反挿嵌側に形成される空間に、未吸蔵の補助潤滑剤を注入することを特徴とする。
本発明では、まず等速自在継手の外側継手部材の内部に内部部品を組み込んだ状態(サブアッシー状態)で、内部部品の一部を構成する内側継手部材の中心孔、さらに言えば、中心孔の軸部材反挿嵌側から外側継手部材の内部に、多孔性固形潤滑剤の基となる樹脂成分を含有する液剤を注入する。この後、内側継手部材の中心孔に、軸部材挿嵌側から密栓を挿入して前記中心孔の軸部材反挿嵌側から突出させ、この後、前記液剤が含有する樹脂成分を発泡、硬化させる。
このように、多孔性固形潤滑剤の基となる樹脂成分を含有する液剤を、内側継手部材の中心孔から外側継手部材の内部に注入した後に中心孔に密栓を挿入すると、液剤を外側継手部材の内部の奥側(軸部材反挿嵌側)から、内側継手部材の外側で、内部部品同士が接触する摺動部あるいは内部部品と外側継手部材の内周面とが接触する摺動部(これらを以下外側継手部材の内部の摺動部とする)に確実に注入して発泡させることができる。これにより、前記外側継手の内部の摺動部に、後に詳述する方法で樹脂内部に潤滑成分を吸蔵させた多孔性固形潤滑剤を確実に配置することができる。なお、ここでいう「吸蔵」とは、学術用語の「吸蔵」と同義であり、潤滑油やグリースなどの液体もしくは反固体状の潤滑成分が固体の樹脂(発泡体)に化合物にならないで含まれることを意味する。
上記のようにして液剤中の樹脂成分を発泡、硬化させた後、内側継手部材の中心孔に挿入した密栓を取り除くことで、内側継手部材の中心孔の軸部材反挿嵌側に空間が形成され、この空間に未吸蔵の補助潤滑剤を注入する。ここでいう「未吸蔵」とは、潤滑油やグリースなどの液体もしくは半固体状の潤滑成分が固形化した樹脂(発泡体)に含まれないことを意味する。従って、未吸蔵の補助潤滑剤としては、潤滑油やグリースなどの潤滑成分を発泡体に含浸させずに使用する。
この補助潤滑剤は、外側継手部材の内部の前記摺動部に供給される。
例えば、外側継手部材の内部に具備させる後に詳述する多孔性孔性固形潤滑剤より放出される潤滑成分は、等速自在継手の回転中に遠心力により外側継手部材の内周面側へ寄りやすく、前記した外側継手部材の内部の摺動部のうち、内側継手部材とボールとの間が潤滑不足になりやすいが、この部分には、前記補助潤滑剤が供給されるため、潤滑不足を解消することができる。
また、補助潤滑剤は、多孔性固形潤滑剤の潤滑成分の放出量が、外力や温度上昇により少なくなる場合においても、外側継手部材の内部の潤滑を補うことができる。
このように、補助潤滑剤は、外側継手部材の内部の潤滑を向上させることができるため、等速自在継手の長寿命化に寄与することができる。
なお、補助潤滑剤は、等速自在継手が製造後の未使用状態であると、注入される位置である内側継手部材の中心孔の軸部材反挿嵌側の空間に存在する。しかし、等速自在継手の使用中は、徐々に後に詳述する多孔性固形潤滑剤の発泡孔に供給されるため、使用状況によっては、前記空間には補助潤滑剤が存在しない状態となる。
さて、本発明に係る多孔性固形潤滑剤は、発泡、硬化させた樹脂内部に潤滑成分を吸蔵させたものである。この多孔性固形潤滑剤は、自己潤滑能を有するため、外力により滲み出た潤滑成分が外側継手部材の内部の摺動部など、必要部位に供給される。これにより、外側継手部材の内部の潤滑を良好に保つことができる。
樹脂内部に潤滑成分を吸蔵させる方法としては、多孔性固形潤滑剤の基となる液剤が含有する前記樹脂成分の発泡を潤滑成分の存在下で行う反応型含浸法を採用するのが望ましい。
この理由としては、樹脂成分を発泡、硬化させた多孔性固形物をあらかじめ成形しておき、これに潤滑成分を含浸させる後含浸法だけを採用すると、樹脂内部に充分な量の潤滑成分が染み込まないので、多孔性固形潤滑剤の潤滑成分保持力が充分でないものになり、短時間で潤滑成分が析出されて長期的に使用すると潤滑成分が供給不足となる場合があるためである。従って、本発明のよう、液剤中の樹脂成分の発泡に反応型含浸法を採用する場合、潤滑成分を樹脂内部に高充填することが可能となり、前記した後含浸工程を省略できるため、等速自在継手の製造コストを削減することができる。なお、後含浸法は、反応型含浸法の補助手段として採用するのが望ましく、この後含浸法を採用する場合、樹脂内部への潤滑成分の含浸は、外側継手部材の内部に前記補助潤滑剤を注入する前と後のどちらでもよい。
内側継手部材の中心孔に挿入する密栓の外周面には、多孔性固形潤滑剤を構成する混合液を外側継手部材の軸部材挿嵌側開口部で塞き止める塞止部を設けるのが好ましい。
このように、内側継手部材の中心孔に挿入する密栓の外周面に塞止部を設けることで、中心孔から封入する多孔性固形潤滑剤の基となる樹脂成分を発泡、硬化させる際、液剤が外側継手部材の軸部材挿嵌側開口部から漏れ出ることを塞き止めて抑えることができるため、外側継手部材の内部に配置する多孔性固形潤滑剤の充填率を向上させることができる。
上記のように密栓の外周面に塞止部を設ける場合、塞止部に通気孔を設けるのが望ましい。
塞止部に通気孔を設けると、外側継手部材の内部に注入する多孔性固形潤滑剤の基となる液剤中の樹脂成分を発泡、硬化させる際、混合液の発泡による膨張で外側継手部材の内圧が上昇しても、外側継手部材の内部の空気を塞止部の通気孔から外部へ逃がすことができる。これにより、外側継手部材の内圧が上昇することで、内側継手部材の中心孔に挿入する密栓が外側継手部材の軸部材挿嵌側開口部から抜け出ることを防止することができる。
本発明の等速自在継手の製造方法は、自己潤滑能を有し、潤滑性の高い多孔性固形潤滑剤を具備する等速自在継手において、多孔性固形潤滑剤の基となる樹脂成分を含有する液剤を、内側継手部材の中心孔から外側継手部材の内部に注入した後に中心孔に密栓を挿入する。そのため、液剤を外側継手部材の内部の摺動部に確実に注入して発泡させることができる。これにより、前記摺動部に、樹脂内部に潤滑剤を含浸させた多孔性固形潤滑剤を確実に配置し、外側継手部材内部の潤滑を向上させることができる。
また、内側継手部材の中心孔の軸部材反挿嵌側に空間を形成し、この空間に未吸蔵の補助潤滑剤を注入する。この未吸蔵の補助潤滑剤は、外側継手部材の内部の摺動部に供給される。そのため、多孔性固形潤滑剤の潤滑成分の放出量が少ない場合にも、外側継手部材の内部の潤滑を補うため、長寿命の等速自在継手を実現することができる。
さらに、本発明の等速自在継手の製造方法は、特別な装置を使用することがないため、簡易な作業で、かつ、低コストで潤滑性の良い高性能な等速自在継手を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に本発明の第一の実施形態として、本発明を固定型等速自在継手の一つであるボールフィクス型等速自在継手(BJ)に適用した実施形態を示す。
この等速自在継手は、外側継手部材である外輪1、内側継手部材である内輪3、ボール4、ケージ5で主要部が構成される。内輪3、ボール4、ケージ5は外輪1の内側に配され、内部部品7を構成している。
外輪1は、球面状の内周面に複数のトラック溝1aが形成される。内輪3は、球面状の外周面に外輪1のトラック溝1aと対をなす複数のトラック溝3aが形成されている。外輪1のトラック溝1aと内輪3のトラック溝3aとの間に複数のボール4が介在し、このボール4は外輪1と内輪3との間に配置されるケージ5のポケット5aで保持される。なお、内輪3は中心孔11を有し、この中心孔11には、軸部材であるシャフト6が外輪1の開口側から挿嵌されている。
外輪1の内部には、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤8を配置する。なお、ここでいう「吸蔵」とは、学術用語の「吸蔵」と同義であり、潤滑油やグリースなどの液体もしくは反固体状の潤滑成分が固体の樹脂(発泡体)に化合物にならないで含まれることを言う。
この多孔性固形潤滑剤8は、あらかじめ潤滑成分を含有させるため、自己潤滑能を有し、潤滑成分の保持力が高く、自己潤滑能を有するため、外力により潤滑成分が滲み出て、等速自在継手の摺動部など、必要部位に供給される。これにより、等速自在継手の内部の潤滑を良好に保つことができる。
上記の多孔性固形潤滑剤8は、樹脂成分としてのプラスチックまたはゴムなどのうち、エラストマーまたはプラストマーのいずれかまたは両方を、アロイまたは共重合成分として採用するのが望ましく、エラストマーとしては、熱可塑性エラストマーを使用するのがより望ましい。
例えば、多孔性固形潤滑剤8の樹脂成分に熱可塑性エラストマーを使用すれば、多孔性固形潤滑剤8の強度を保ちながら柔軟性を付与できるので、本実施形態のように圧縮や屈曲などの外部応力が高い頻度で繰り返し加わる外輪1の内部に使用すると、圧縮や屈曲に追従して変形しやすくなり、含浸させた潤滑成分を効率よく放出させることができる。
エラストマーとして使用することができるものには、ポリオレフィン系(TPO)、ポリスチレン系(TPS)、ポリ塩化ビニル系(TPCV)、ポリエステル系(TPEF)、ポリウレタン系(TPU)、ポリアミド系(TPEA)等を挙げることができる。これらの中では、柔軟性と強度バランスのとれた熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマーを使用するのが好ましい。
ゴムの場合は、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンエラストマー、フッ素ゴムクロロスルフォンゴムなどの各種ゴムを採用できる。
また、プラスチックの場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリアミド4,6(PA4,6)、ポリアミド6,6(PA6,6)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T)などの汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックを挙げられる。
また、上記のプラスチックなどに限られることなく、軟質ウレタンフォーム、硬質ウレタンフォーム、半硬質ウレタンフォームなどのウレタンフォーム、ウレタンエラストマー−ウレタン接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリイミド系接着剤など各種接着剤を硬化させて使用することもできる。
樹脂成分中には必要に応じて顔料や酸化防止剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、難燃剤、防黴剤やフィラーなどの各種添加剤等を添加することができる。
さて、多孔性固形潤滑剤8において、潤滑成分を樹脂内部に吸蔵するために、樹脂成分を潤滑成分の存在下で発泡、硬化させる反応型含浸法を採用するのが望ましい。この方法によれば、潤滑成分を樹脂内部に高充填することが可能となり、潤滑成分の保持力が高くなるため、この潤滑成分を必要箇所に必要量だけ供給することができる。この結果、潤滑成分の使用量を減らし、等速自在継手の製造コストの削減に寄与することができる。
また、この反応型含浸法により、従来のような、あらかじめ発泡、硬化した樹脂(発泡体)の内部に潤滑成分を含浸して補充する後含浸工程を省略できるため、等速自在継手の製造におけるリードタイム(製造開始から完了までの時間)とコストを削減することができる。
なお、反応型含浸法は、市販のシリコーン系整泡剤などの界面活性剤を使用し、各原料分子を均一に分散させて行うことが好ましい。また、整泡剤の種類や量によって表面張力を制御し、生じる気泡の種類(連続型/独立型)や気泡径を制御することが可能である。界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
樹脂成分を発泡させる手段としては周知の発泡手段を採用すればよく、例えば、水、アセトン、ヘキサン等の比較的沸点の低い有機溶媒を発泡剤として前記液剤に含有させ、加熱して気化させる物理的手法や、エアーや窒素などの不活性ガスを外部から前記液剤に吹き込む機械的発泡方法、あるいは、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)やアゾジカルボンイミド(ADCA)等のように温度や光によって分解し、窒素ガスなどを発生させる分解型発泡剤を前記液剤中に含有させる方法などが挙げられる。また、樹脂成分が反応性の高いイソシアネート基を持つ場合には、この樹脂成分と水分子とを反応させて二酸化炭素を発生させる化学的発泡を用いても良い。
このような反応を伴う発泡を用いるには必要に応じて触媒を使用することが望ましく、例えば、3級アミン系触媒や有機金属触媒などが用いられる。
3級アミン系触媒としてはモノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類、イミダゾール誘導体、酸ブロックアミン触媒などが挙げられる。
また、有機金属触媒としてはスタナオクタエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマレエート、ジオクチルチンジメルカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレート、オクテン酸塩などが挙げられる。また、反応のバランスを整えるなどの目的でこれら複数種類を混合して用いても良い。
樹脂成分を発泡する際の発泡倍率は1.1倍〜100倍とするのが望ましい。
これは、発泡倍率が1.1倍未満の場合は気泡体積が小さく、多孔性固形潤滑剤8に外力が加わったときに変形を許容できない、あるいは、硬すぎて変形しないなどの不具合があり、また、発泡倍率が100倍以上の時には、多孔性固形潤滑剤に外力に耐える強度を具備させることが困難となり、使用中に破損や破壊に至ることがあるためである。
外輪1の内部に配置する多孔性固形潤滑剤8全体(重量)に対する潤滑成分の配合割合は、10重量%以上、80重量%未満とするのが好ましい。10重量%未満の場合は、潤滑成分の絶対量が不足し、等速自在継手に充分な寿命を付与できない。そして、潤滑成分不足により、外輪1の内部の摺動部での摩擦係数が増大して部品の摩耗の原因となる。また、80重量%以上であると、多孔性固形潤滑剤8を充分に固形化させることができず、潤滑成分供給体としての機能を損ねてしまう。
潤滑成分(100重量%)の潤滑油の割合は、1重量%〜98重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜95重量%である。潤滑油の割合が、1重量%未満の場合は、潤滑油を必要箇所に充分に供給することが困難になる。また、98重量%を超える多量の配合では、低温でもグリースなどでは固まらずに液状のままとなり、固形潤滑剤に特有の機能を果たさない場合がある。
この発明に用いる潤滑油としては、発泡体を形成する固形物を溶解しないものであれば種類を選ばずに使用することができるが、例えば潤滑油、グリース、ワックスなどを単独もしくは混合して用いても良い。
潤滑油としては、パラフィン系やナフテン系の鉱物油、エステル系合成油、エーテル系合成油、炭化水素系合成油、GTL基油、フッ素油、シリコーン油等の普通に使用されている潤滑油またはそれらの混合油が挙げられる。
グリースとしては、基油に増ちょう剤を加えたものが使用できる。グリースの基油としては、前述の潤滑油と同様のものを用いることができる。また、増ちょう剤としては、リチウム石鹸、リチウムコンプレックス石鹸、カルシウム石鹸、カルシウムコンプレックス石鹸、アルミニウム石鹸、アルミニウムコンプレックス石鹸等の石鹸類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。
このウレア系増ちょう剤としては、例えば、ジウレア化合物、ポリウレア化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。
ジウレア化合物は、例えばジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、へキサンジイソシアネート等が挙げられる。モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、へキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
ポリウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等が挙げられる。
この発明に使用するワックスとしては炭化水素系合成ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックス、ケトン・アミン類、水素硬化油などどのようなものでも良い。これらのワックスに使用する油成分としては前述の潤滑油と同様のものを用いることができる。
以上述べたような潤滑成分には、さらに二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、有機モリブデン等の摩擦調整剤、アミン、脂肪酸、油脂類等の油性剤、アミン系、フェノール系などの酸化防止剤、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、ソルビタンエステルなどの錆止め剤、イオウ系、イオウ−リン系などの極圧剤、有機亜鉛、リン系などの摩耗防止剤、ベンゾトリアゾール、亜硝酸ソーダなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤などの各種添加剤を含んでいても良い。
さて、多孔性固形潤滑剤8の外輪1の内部への配置は、以下のようにして行う。
まず、図2に示すように、外輪1の内部に内部部品7であるケージ5、ボール4、内輪3を順に組み込んでサブアッシー状態とし、内輪3の中心孔11から外輪1の内部に、多孔性固形潤滑剤8の基となる樹脂成分を含有する液剤8a(図中散点模様で示す)を注入する。なお、この図2は、液剤8aの注入中の状態を示す。
次に、図3に示すように、中心孔11に、軸状で軸方向長さが中心孔11の軸方向長さよりも長い密栓150を軸部材挿嵌側から挿入し、中心孔11の軸部材反挿嵌側および外輪1の軸部材挿嵌側から突出させて、密栓150の外輪1の内部に挿入される軸方向長さ(図中L)を、外輪1の開口側端部、つまり軸部材挿嵌側端部から内輪3の軸部材反挿嵌側端部までの軸方向長さ(図中T)よりも長くなるようにする。この状態で、上記の液剤8aが含有する樹脂成分を発泡、硬化させる。
この場合、密栓150は、中心孔11の軸部材反挿嵌側からだけではなく、外輪1の軸部材挿嵌側からも突出させるため、中心孔11への挿入および中心孔11からの取り除きが容易である。
密栓150の材質はどのようなものでも良いが、内輪3の中心孔11に挿入する作業効率を良くするために、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のような離型性に優れた材質のものを使用するのが好ましい。ここでいう「離型性に優れた材質のものを使用」とは、中心孔11から密栓150を取り出す際、この作業が容易となる材質を密栓150に適用することを意味する。
密栓150は、プラスチック製や金属製の密栓にフッ素系およびシリコーン系などのプラスチックやゴムを被覆したものでもよく、あるいは、プラスチック成型用やゴム成型用の離型剤を表面に塗布したものでもよい。
あるいは、クロムめっき、ニッケルめっき、銀めっきなどの各種めっき、二硫化モリブデン、グラファイトなどの固体潤滑剤で表面処理を施した密栓150を使用することもできる。
前記した液剤8aの外輪1の内部への注入方法によれば、液剤8aを、内輪3の外側で外輪1の内部の摺動部に、外輪1の奥側(軸部材反挿嵌側)から注入して確実に発泡、硬化させることができるため、多孔性固形潤滑剤8を前記摺動部に確実に配置することができる。これにより、外輪1の内部の潤滑を向上させ、等速自在継手の長寿命化を実現することができる。
内輪3の中心孔11に挿入する密栓は、図3に示した形状に限ることなく、図4に示す密栓160のように、図3に示すような軸状の密栓の外周に、外輪1の軸部材挿嵌側開口部を塞ぐフランジ状の塞止部160aを円周状に設けた密栓を使用することができる。この場合、液剤8a中の樹脂成分を発泡する際、液剤8aが塞止部160aに塞き止められるため、外輪1の軸部材挿嵌側開口部から漏れ出すことがなく、外輪1の内部への多孔性固形潤滑剤8の充填率を向上させることができる。
この密栓160の塞止部160aには、外輪1の内部の空気を外部へ逃がすための通気孔160a1が形成されている。これにより、多孔性固形潤滑剤8を構成する液剤8aを発泡する際、液剤8aが膨張することで外部へ逃げようとする外輪1の内部の空気を、外輪1の外部へ逃がすことができるため、外輪1の内圧上昇を抑え、密栓160が中心孔11から軸部材挿嵌側へ押し出されて抜け出ることを防止することができる。なお、密栓160の他の構造およびこの密栓160の中心孔11への挿入方法については、図3に示す密栓150と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
また、別の密栓として、図5に示す密栓170を使用することもできる。この密栓170においても、図2に示すような軸状の密栓の外周に、図4に示す密栓160と同様、外輪1の内部に注入する多孔性固形潤滑剤8を構成する液剤8aが、外輪1の軸部材挿嵌側開口部から外部へ漏れ出ることを塞き止める塞止部170aを外周面に設ける。
しかし、この密栓170の塞止部170aには、図4に示す密栓160のように通気孔は形成せず、この塞止部170aを形成した部分の密栓170の外径が、外輪1の軸部材挿嵌側開口部の内径よりも僅かに小さくなるように塞止部170aの径方向長さを設定する。
この場合、中心孔11に密栓170を挿入した際、外輪1の軸部材挿嵌側開口部の内周面と密栓170の塞止部170aが形成された部分の外周面との間には僅かな隙間171が生じる。この隙間が通気機能を果たし、上記液剤8aの発泡時に、液剤8aが膨張することで外部へ逃げようとする外輪1の内部の空気を外輪1の外部へ逃がすため、外輪1の内圧上昇を抑え、密栓170が中心孔11から軸部材挿嵌側へ押し出されて抜け出ることを防止することができる。なお、密栓170の他の構造およびこの密栓170の中心孔11への挿入方法については、図3に示す密栓150と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
次に、多孔性固形潤滑剤8を構成する液剤8aを発泡、硬化後、図3に示す密栓150を取り除くことで、内輪3の中心孔11の軸部材反挿嵌側に、中心孔11の軸部材反挿嵌側端面と多孔性固形潤滑剤8とで空間が形成される。この空間には、図1に示すように、未吸蔵の補助潤滑剤10を注入する。その後、シャフト6を中心孔11に挿嵌する。
補助潤滑剤10の注入方法は特に限定されるものではない。例えば、グリースガンやミキシングヘッド、注射器(あるいはこれに類似するもの)で注入することができる。もしくは、補助潤滑剤10として潤滑油を使用するのであれば、何らかの容器を用いて流し込むこともできる。
補助潤滑剤10の注入量は、多孔性固形潤滑剤8を配置する前における、外輪1内部の中心孔11の軸部材反挿嵌側端面と多孔性固形潤滑剤8とで形成された空間の空間容積の80〜200体積%が望ましく、好ましくは90〜150体積%である。
補助潤滑剤10が、外輪1内部の空間容積の80体積%よりも少ないと、外輪1の内部の補助潤滑としては不十分であり、200体積%よりも多いと、外輪1の内部への補助潤滑剤10の注入が困難となる。
未吸蔵の補助潤滑剤10としてグリースを使用する場合、この基油および増ちょう剤としては、既に説明した多孔性固形潤滑剤8に含有させる潤滑成分としてのグリースに使用できるものが同様に使用可能である。また、この多孔性固形潤滑剤8に含有させるグリースに添加する既に説明した各種添加剤も、補助潤滑剤10として使用するグリースに同様に使用可能である。
未吸蔵の補助潤滑剤10として潤滑油を使用する場合、既に説明した多孔性固形潤滑剤8に含有させる潤滑成分として使用できる潤滑油が同様に使用可能であり、多孔性固形潤滑剤8に含有させる潤滑油に添加する既に説明した各種添加剤も、補助潤滑剤10として使用する潤滑油に同様に使用可能である。
補助潤滑剤10は、外輪1の内部の摺動部に供給される。
例えば、多孔性固形潤滑剤8から放出される潤滑成分は、等速自在継手の回転中に遠心力により外輪1の内周面側へ寄りやすく、前記摺動部の一つである内輪3とボール4との間が潤滑不足になりやすいが、この部分には補助潤滑剤10が供給されるため、潤滑不足を解消することができる。
また、補助潤滑剤10は、多孔性固形潤滑剤8の潤滑成分の放出量が、外力や温度上昇により少なくなる場合においても、外輪1の内部の潤滑を補うことができる。
このように、補助潤滑剤10は、外輪1の内部の潤滑を向上させることができるため、等速自在継手の長寿命化に寄与することができる。
なお、補助潤滑剤10は、等速自在継手が製造後の未使用状態であると、注入される位置である内輪3の中心孔11の軸部材反挿嵌側の空間に存在する。しかし、等速自在継手の使用中は、徐々に多孔性固形潤滑剤8の発泡孔に供給されるため、使用状況によっては、前記空間には補助潤滑剤10が存在しない状態となる。
さて、本発明は、第1の実施形態で適用した等速自在継手に限らず、各種の等速自在継手に適用することができる。以下に、本発明を代表的な等速自在継手に適用した場合の実施形態について説明する。
図6に本発明の第2の実施形態を示す。この実施形態は、本発明を摺動型等速自在継手の一つであるダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)に適用した実施形態である。
この等速自在継手は、外側継手部材である外輪15、内側継手部材である内輪17、ボール18、ケージ19、サークリップ24で主要部とする。内輪17、ボール18、ケージ19、サークリップ24は外輪15の内側に配され、内部部品20を構成している。
外輪15の円筒状内周面には軸方向に延びる複数の直線状トラック溝15aが形成され、このトラック溝15aの開口側には嵌合溝15a1が形成されている。この嵌合溝15a1にはサークリップ24が嵌合され、このサークリップ24は、内部部品20の一部を構成するケージ19、ボール18および内輪17の外輪15からの抜けを防止している。
内輪17は、球面状外周面に外輪1のトラック溝15aと対をなす複数のトラック溝17aが形成されている。外輪15のトラック溝15aと内輪17のトラック溝17aとの間には複数のボール18が介在され、このボール18はケージ19のポケット19aで保持される。なお、内輪17は中心孔25を有し、この中心孔25には軸部材であるシャフト21が外輪15の開口側から挿嵌されている。
本実施形態では、図1〜5に示す第1の実施形態と同様、外輪15の内部に多孔性固形潤滑剤22を配置する。
この多孔性固形潤滑剤22を外輪15の内部へ配置する工程において、多孔性固形潤滑剤22の基となる樹脂成分を含有する液剤を外輪15の内部に注入する際、まず、内部部品20のうち、ケージ19、ボール18、内輪17を順に外輪15の内部に組み込み、外輪15の嵌合溝15a1にサークリップ24を嵌合した後、内輪17の中心孔25から前記液剤を注入する。他の多孔性固形潤滑剤22を外輪15の内部へ配置する工程および多孔性固形潤滑剤22の構成成分については、図1〜5に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
また、上記した本実施形態における多孔性固形潤滑剤22の外輪15内部への配置方法に係る作用および効果については、図1〜5に示す第1の実態形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
さらに、上記した多孔性固形潤滑剤22の外輪15の内部への配置方法により、内輪17の軸部材挿嵌側で、多孔性固形潤滑剤22とケージ19の軸部材反挿嵌側端面(図示省略)とで形成される空間に、未吸蔵の補助潤滑剤23を注入する。この作用および効果についても、図1〜5に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
図7に本発明の第3の実施形態を示す。この実施形態は、本発明を摺動型等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手(LJ)に適用した実施形態である。
この等速自在継手は、外側継手部材である外輪31、内側継手部材である内輪32、ボール33、ケージ34を主要部とする。内輪32、ボール33、ケージ34は外輪32の内部に配され、内部部品39が構成している。
外輪31は両端に開口部を有し、内周面に直線状トラック溝31aが形成されている。内輪32は、外周面に外輪31のトラック溝31aと軸方向に対して反対方向に傾斜したトラック溝32aが形成されている。外輪31のトラック溝31aと内輪32のトラック溝32aの交叉部にはボール33が介在され、このボール33は外輪31と内輪32との間に位置するケージ34のポケット34aで保持される。なお、内輪32は中心孔35を有し、この中心孔には35に軸部材であるスタブシャフト36が挿嵌されている。
また、外輪31の軸部材反挿嵌側には、等速自在継手の内部に充填するグリースなどの潤滑成分の外部への漏出を防ぐと共に、外部からの異物の侵入を防止するためのエンドプレート38がスタブシャフト36の挿嵌側からボルト(図示省略)で締め付けて固定されている。
本実施形態では、外輪31の内部およびエンドプレート38の内部に多孔性固形潤滑剤40を配置する。この多孔性固形潤滑剤40を外輪31の内部へ配置する工程においては、多孔性固形潤滑剤40の基となる樹脂成分を含有する液剤を外輪31の内部に注入する際、前記液剤を中心孔35から注入する前に、外輪31の軸部材反挿嵌側端部にエンドプレート38を取り付ける点を除いては、図1〜5に示す第1の実施形態と同じであり、多孔性固形潤滑剤40の構成成分についても、図1〜5に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
また、多孔性固形潤滑剤40の外輪31の内部への配置方法に係る作用および効果については、図1〜5に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
さらに、上記した外輪31の内部およびエンドプレート38の内部への多孔性固形潤滑剤40の配置方法により、内輪32の軸部材反挿嵌側で、内輪32の中心孔35の軸部材反挿嵌側端面と多孔性固形潤滑剤40とで形成される空間に未吸蔵の補助潤滑剤37を注入する。この補助潤滑剤37の作用および効果については、図1〜5に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
図8に本発明の第4の実施形態を示す。この実施形態は、本発明を、摺動型等速自在継手の一つであるトリポード型等速自在継手(TJ)に適用した実施形態である。
この等速自在継手は、外側継手部材である外輪50、内側継手部材であるトリポード部材53、ローラ54、脚軸55を主要部とする。トリポード部材53、ローラ54、脚軸55は外輪50の内側に配され、内部部品57を構成している。
外輪50の内周面には軸方向に延びる3本の直線状トラック溝52が形成されている。トリポード部材53は、径方向に突設された三本の脚軸55を有する。この脚軸55にローラ54が回転自在に支持され、このローラ54が外輪50のトラック溝52に転動自在に挿入されてトラック溝52に沿って案内される。なお、トリポード部材53は中心孔60を有し、この中心孔60にはシャフト56が挿嵌されている。
本実施形態では、外輪50の内部に多孔性固形潤滑剤59が配置されている。この配置方法と、多孔性固形潤滑剤59の構成成分については、図1〜5に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
また、多孔性固形潤滑剤59の外輪50の内部への配置方法に係る作用および効果については、図1〜5に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
さらに、上記した外輪50の内部への多孔性固形潤滑剤59の配置方法により、トリポード部材53の軸部材反挿嵌側で、内側継手部材であるトリポード部材53の中心孔60の軸部材反挿嵌側端面と多孔性固形潤滑剤59とで形成される空間に、未吸蔵の補助潤滑剤58を注入する。この補助潤滑剤58の作用および効果については、図1〜5に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらはあくまで例示であり、特許請求の範囲に記載の意味及び範囲内の全ての事項を含む。
例えば、図6〜図8に示す第2〜第4の実施形態において、中心孔に挿入する密栓は、図3に示すような軸状の形状に限られず、図4に示すような、軸状の密栓の外周面に、外輪の軸部材挿嵌側開口部を塞ぐフランジ状の塞止部を設け、さらにこの塞止部に通気孔を設けた密栓を使用することができる。
また、図5に示すような、軸状の密栓の外周面に図4と同様に塞止部を形成し、この塞止部を形成した部分の密栓の外径を、外輪の軸部材挿嵌側開口部の内径よりも僅かに小さくなるように設計した密栓を使用することもできる。
以下に本発明の具体的な実施例について、図1〜図5に示した第1の実施形態の等速自在継手を例に挙げて説明する。
図2に示すように、外輪1の内部に内部部品7(ケージ5、8個のボール4、内輪3)を組み込んだ固定型等速自在継手の一つであるボールフィクス型等速自在継手(NTN株式会社製,EBJ82,外径72mm)のサブアッシーを垂直に置く。次に、内輪3の中心孔11から次の表1に示す組成の多孔性固形潤滑剤8の基となる樹脂成分を含有する液剤8aを18gすばやく注入し、図3に示すように、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂製の、軸状で、軸方向長さが中心孔11の軸方向長さよりも長い密栓150を中心孔11に挿入して、100℃で30min放置させ、発泡、硬化させて多孔性固形潤滑剤8とした。なお、本実施例では、この樹脂成分の発泡は、表1に示すように、液剤8aに潤滑成分を含有させてこの潤滑成分下で発泡反応を行う反応型含浸法を採用した。
Figure 2008275099
この際、密栓150は、中心孔11の軸部材反挿嵌側および外輪1の軸部材挿嵌側から突出させ、これにより、密栓150の外輪1の内部に挿入する軸方向長さ(図中L)と外輪1の開口側端部、つまり軸部材挿嵌側端部から内輪3の軸部材反挿嵌側端部までの軸方向長さ(図中T)との差(L−T)を10mmとした。
次に、密栓150を内輪3の中心孔11から取り除き、中心孔11の軸部材反挿嵌側に、多孔性固形潤滑剤8と中心孔11の軸部材挿嵌側端面とで形成される空間に、図1に示すように未吸蔵の補助潤滑剤10としてグリース(商品名:パイロノックユニバーサルN6C(新日本石油社製))を4g(空間容積に対してほぼ100%)を注入し、中心孔11にシャフト6を外輪1の開口側から挿嵌し、外輪1の開口部外周面とシャフト6との間にブーツ(図示省略)を取り付け、この取り付け部分をブーツバンド(図示省略)を加締めることで固定し、多孔性固形潤滑剤8を具備する等速自在継手を完成させた。
本発明の第1の実施形態を示す断面図であり、本発明を固定型等速自在継手の一つであるボールフィクス型等速自在継手に適用したものである。 図1の等速自在継手において、多孔性固形潤滑剤の基となる樹脂成分を含有する液剤の外輪内部へ注入中の状態を示す断面図である。 図1の等速自在継手において、多孔性固形潤滑剤の基となる樹脂成分を含有する液剤を外輪の内部に注入した後、中心孔に密栓を挿入した際の断面図である。 図3において、他の密栓(外周面に塞止部を有し、この塞止部に通気孔を設けたもの)を使用する時の断面図である。 図3において、図4とは異なる他の密栓(外周面に塞止部を有し、かつ、この塞止部が形成された部分の外径が、外輪の軸部材挿嵌側開口部の内周面より僅かに小さいもの)を使用する時の断面図である。 本発明の第2の実施形態を示す断面図であり、本発明を摺動型等速自在継手の一つであるダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)に適用したものである。 本発明の第3の実施形態を示す断面図であり、本発明を摺動型等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手(LJ)に適用したものである。 本発明の第4の実施形態を示す断面図であり、本発明を摺動型等速自在継手の一つであるトリポード型等速自在継手(TJ)に適用したものである。
符号の説明
1、15、31、50 外輪(外側継手部材)
3、17、32 内輪(内側継手部材)
7、20、39、57 内部部品
11、25、35、60 中心孔
4、18、33 ボール
5、19、34 ケージ
5a、19a、34a ポケット
54 ローラ
1a、3a、15a、17a、31a、32a、52 トラック溝
55 脚軸
53 トリポード部材(内側継手部材)
8、22、40、59 多孔性固形潤滑剤
150、160、170 密栓
160a、170a 塞止部
160a1 通気孔
171 隙間(通気孔)
8a 液剤(多孔性固形潤滑剤8の基)
10、23、37、58 補助潤滑剤(未吸蔵)

Claims (4)

  1. 少なくとも一端が開口した外側継手部材と、その外側継手部材の内側に配される内部部品の一部を構成し、内周面に軸部材が挿嵌される中心孔が形成された内側継手部材とを備え、前記外側継手部材の内部に、潤滑油を含む潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤を具備した等速自在継手の製造方法であって、
    前記外側継手部材の内部に前記内部部品を組み込んだ状態で、前記中心孔から前記外側継手部材の内部に、前記多孔性固形潤滑剤の基となる樹脂成分を含有する液剤を注入し、前記中心孔に密栓を軸部材挿嵌側から挿入して前記中心孔の軸部材反挿嵌側から突出させ、この後、前記樹脂成分を発泡、硬化させ、前記密栓を取り除くことで前記内側継手部材の中心孔の軸部材反挿嵌側に形成される空間に、未吸蔵の補助潤滑剤を注入することを特徴とする等速自在継手の製造方法。
  2. 前記樹脂成分を前記潤滑成分の存在下で発泡させることを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手の製造方法。
  3. 前記密栓の外周面に、前記液剤を前記外側継手部材の軸部材挿嵌側開口部で塞き止める塞止部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の等速自在継手の製造方法。
  4. 前記塞止部に通気孔を設けたことを特徴とする請求項3に記載の等速自在継手の製造方法。
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