JP2008089026A - 等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】 等速自在継手の内部に封入する潤滑成分の封入量を必要最小限に留め、この潤滑成分がブーツの内部に流出することで生じるブーツの劣化を防止し、コンパクトで製造コストの低減にも役立つ等速自在継手を提供することを目的とする。
【解決手段】 外側継手部材である外輪15と軸部材であるシャフト21と密閉部材であるブーツ23とで密閉される密閉空間の内輪17の軸部材挿嵌側、つまり、外輪15の開口端面と内輪17の軸部材挿嵌側端面との間の空間に、多孔性固形潤滑材からなる規制部材22を封入する。規制部材22としての多孔性固形潤滑剤は、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車の駆動軸や推進軸、あるいは各種産業機械に用いられて、回転トルクを伝達する等速自在継手に関するものである。
近年、自動車や産業機械の高性能化、コンパクト化および軽量化のための技術改良が進み、自動車部品や産業機械の駆動伝達に用いられる等速自在継手についてもコンパクト化、軽量化および高性能化の要求が高まっている。
また、一般に、自動車や産業機械に代表されるような機械の摺動部や回転部には潤滑剤が使用され、潤滑油を増ちょうさせて保形性を持たせたグリースや、液体潤滑剤を保持してその飛散や垂れ落ちを防止できる固形潤滑剤などが知られている。
例えば、潤滑油やグリースなどの潤滑成分に、超高分子量ポリオレフィン、またはウレタン樹脂およびその硬化剤を混合し、さらに樹脂の分子間に液状の潤滑成分を保持させて徐々に染み出る物性を持たせた固形潤滑剤が知られている(特許文献1、2、3参照)。
また、潤滑剤の存在下でポリウレタン原料であるポリオールとジイソシアネートとを潤滑成分中で反応させることで自己潤滑性を持たせたポリウレタンエラストマーが知られている(特許文献4参照)。
このような固形潤滑剤は、例えば軸受に封入して固化させると、潤滑成分を徐々に析出させるものであり、これを用いると潤滑成分の補充のためのメンテナンスが不要になり、水分の多い厳しい使用環境や強い慣性力の働く環境などでも、軸受寿命の長期化に役立つ場合が多い。
しかしながら、このような固形潤滑剤を、前記等速自在継手の駆動部のような伸縮(摺動)や屈曲などが高い頻度で繰り返し加わる部位に使用すると、伸縮(摺動)や屈曲に追従して変形させるために非常に大きな力が必要になり、または非常に大きな応力が固形潤滑剤に加わって、それを保持する部分にも機械的強度が必要になる。
しかし、固形潤滑剤の強度と充填率は、通常は補償的なものであるので、潤滑剤を高充填率で保持することは困難であり、高性能化を妨げる可能性がある。
そのため、伸縮(摺動)や屈曲などが高い頻度で繰り返し起こる等速自在継手に適用可能な固形潤滑剤が求められている。
ところで、上記固形潤滑剤としては、発泡して連通気孔を形成した柔軟な樹脂に潤滑成分を含浸し、その気孔内に潤滑成分を保持させた含油固形潤滑剤があり、この潤滑剤を軸受や等速自在継手の外側継手部材の内部全体、あるいは等速自在継手の外側継手部材に取り付けるブーツの内部全体に充填して使用することが知られている(特許文献5参照)。
特開平 6− 41569号公報 特開平 6−172770号公報 特開2000−319681号公報 特開平 11−286601号公報 特開平 9− 42297号公報
しかし、上記した従来技術による含油固形潤滑剤は、外力に応じる柔軟な変形性を持たせれば等速自在継手の伸縮(摺動)や屈曲による変形にも追従することはできるが、潤滑成分保持力が小さく、高速回転条件などで使用した場合には、潤滑成分が急速に析出されることで枯渇してしまう可能性もある。さらに、等速自在継手に潤滑剤を充填することで、重量が増し、また、等速自在継手の可動範囲(作動角や摺動量)を狭める恐れがある。
また、含油固形潤滑剤は、長時間運転する部位に使用した場合や開放空間で使用した場合に潤滑成分が析出してしまい、この潤滑成分は気孔から放出および吸収を繰り返して、耐えず空間内を流動する。
このような過剰に析出した潤滑成分は、等速自在継手の外側継手部材に取り付けられたブーツに接すると、潤滑成分がブーツ材料を劣化させる場合がある。特にブーツに潤滑成分が付着したままの状態で長期間放置されると、この劣化は著しくなり、ブーツの疲労性等の耐久性低下に繋がる。なお、グリースにより潤滑される等速自在継手においても、同様の現象が見られる。一方、潤滑成分としてグリースを使用する場合や含油固形潤滑剤を使用する場合において、ブーツ内に潤滑成分が多量に存在するとブーツの回転膨張性(等速自在継手が回転した際にブーツにかかる遠心力により膨張しようとする性質)などのブーツの性能が低下したり、重量が増す問題がある。
さらに、固形潤滑剤の製造工程では、潤滑油やグリースなどの潤滑成分を確実に含浸させるために、多くの工程が必要になり、低コストで等速自在継手を製造することが困難になる。
そこで、本発明は、上記の問題点を解決し、等速自在継手の内部に封入する潤滑成分の封入量を必要最小限に留め、この潤滑成分がブーツの内部に流出することで生じるブーツの劣化を防止し、ブーツのコンパクト化を容易にし、軽量化や製造コストの低減にも役立つ等速自在継手を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明の等速自在継手は、内周面にトラック溝を形成した外側継手部材と、その外側継手部材の内側に配された内側継手部材と、前記内側継手部材に挿嵌された軸部材と、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に介在させた転動体と、前記外側継手部材あるいは前記軸部材のうち少なくともいずれか一方に装着され、前記外側継手部材と前記軸部材と共に密閉空間を形成する密閉部材とを備え、前記密閉部材の内部を除く前記密閉空間に潤滑成分を封入し、その潤滑成分の封入量を規制する規制部材を前記密閉空間に設けたことを特徴とする(請求項1)。
前記密閉部材としては、外側継手部材に直接ブーツを取り付ける場合は、外側継手部材の開口端外周面と軸部材の外周面に締め付け固定される樹脂製またはゴム製で蛇腹状のブーツ、外側継手部材に直接ブーツを取り付けない場合は、外側継手部材の開口端外周面に取り付けるブーツアダプタ、このブーツアダプタと軸部材の外周面に取り付けるゴム製でU字状のブーツ、あるいは樹脂製またはゴム製で蛇腹状のブーツ、外側継手部材の開口端外周面に取り付け、外側継手部材の開口部を塞ぐエンドプレート等がある。
本発明では、外側継手部材と密閉部材と軸部材とで密閉される密閉空間に、密閉部材の内部を除く前記密閉空間に封入する潤滑成分の封入量を規制する規制部材を設ける。ここでいう密閉部材の内部を除く密閉空間とは、前記密閉空間の外側継手部材の内部を意味する。つまり、前記密閉空間に規制部材を設けることで、外側継手部材の内部を潤滑させるために潤滑成分を封入する必要がある外側継手部材の内部の前記密閉空間が狭まる。
この作用は、外側継手部材と密閉部材と軸部材とで密閉される密閉空間に設ける規制部材を、前記密閉空間における内側継手部材の軸部材挿嵌側あるいは軸部材反挿嵌側のうち少なくともいずれか一方の密閉空間に設けることでより向上する(請求項2)。
この等速自在継手において、前記密閉空間における内側継手部材の軸部材挿嵌側、あるいは、前記密閉空間における内側継手部材の軸部材挿嵌側と軸部材反挿嵌側に規制部材を設ける場合、前記密閉空間における内側継手部材の軸部材挿嵌側に設ける規制部材が、密閉空間に封入する潤滑成分が外側継手部材の外部へ流出するのを防止する機能を果たす。これにより、ブーツの内部への潤滑成分の流出が抑えられ、ブーツの劣化を防止することができる。さらに、ブーツの内部に外側継手部材の内部の潤滑に必要な潤滑成分を封入する必要がなくなるため、ブーツの回転膨張性を向上でき、耐久性を低下させることなくブーツをコンパクト化し、軽量化や製造コストの低減を実現することができる。
また、上記の等速自在継手では、前記密閉空間に封入する潤滑成分は、流動性の高い潤滑油を使用することもできる。これは、前記したように、前記密閉空間における内側継手部材の軸部材挿嵌側に設ける規制部材が、流動性の高い潤滑成分のブーツの内部への流出を防止するためである。
しかし、密閉空間における内側継手部材の軸部材反挿嵌側にのみ規制部材を設ける場合、外側継手部材の内部に封入する潤滑成分は、グリースなど半固体状のものを使用する。
これは、上記の構造であると、前記密閉空間において、ブーツと外側継手部材の内部を仕切る機能を果たす規制部材が存在しない。このため、潤滑成分の流動性が高いと、外側継手部材の内部から潤滑成分が流出して等速自在継手の耐久性を低下させる恐れがあるからである。
なお、密閉空間における内側継手部材の軸部材挿嵌側と軸部材反挿嵌側に規制部材を設ける場合、外側継手部材や軸部材にブーツ等の密閉部材を装着する必要がなくなり、製造コストを削減することができる。しかし、外部からの異物の侵入の恐れを考慮すれば、密閉部材を装着するのが良い。
本発明に使用する規制部材は、ゴム等の弾性体(請求項3)、多孔質化された固形物からなる樹脂成分(請求項4)、あるいは潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤(請求項5)を使用することができる。なお、ここでいう「吸蔵」とは、学術用語の吸蔵の意味と同様であり、液体の潤滑成分が固体の樹脂中に化合物にならないで含まれることを意味する。
上記において、規制部材としては多孔性固形潤滑剤を使用するのが特に好ましい。
これは、多孔性固形潤滑剤は潤滑成分を既に含んでいるため、前記密閉空間に封入する潤滑成分が多孔性固形潤滑剤に染み込みにくく、潤滑成分の流出を最小限に留めることが容易なためである。また、多孔性固形潤滑剤に含有する潤滑成分が、必要な量だけ外側継手部材の内部に染み出し、潤滑を補うことも理由として挙げられる。
本発明は、各種の等速自在継手に適用することが可能である。例えば、外側継手部材の円筒状の内周面には軸方向に延びる複数の直線状トラック溝が形成され、内側継手部材の球面状外周面には、外側継手部材のトラック溝と対をなす複数の直線状トラック溝が形成され、これらの外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に3個、4個、5個、6個、7個あるいは8個のいずれかの個数のボール(転動体)を介在させた摺動型等速自在継手の一つであるダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)に適用できる。
また、本発明は、外側継手部材の内周面に複数の直線状トラック溝が形成され、内側継手部材の外周面には、外側継手部材のトラック溝と対をなす複数の直線状トラック溝が形成され、かつ、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝とが軸線に対して互いに逆方向に所定角度傾斜した構造を成し、これらの外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との交叉部に4個、6個、8個あるいは10個のいずれかの個数のボール(転動体)を介在させた摺動型等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手(LJ)に適用できる。
あるいは、本発明は、外側継手部材はその内周面に軸方向に延びる三本の直線状トラック溝が形成され、内側継手部材は、径方向に突設された三本の脚軸を有するトリポード部材であり、転動体は、脚軸に回転自在に支持されると共に外側継手部材のトラック溝に転動自在に挿入されてトラック溝に沿って案内されるローラである、摺動型等速自在継手の一つであるトリポード型等速自在継手(TJ)に適用できる。
本発明は、外側継手部材と密閉部材と軸部材とで密閉される密閉空間に規制部材を設けることで、密閉空間の容積を小さくし、外側継手部材の内部を潤滑させるために潤滑成分を封入する必要がある前記密閉空間を狭め、潤滑成分の封入量を規制する。この結果、前記密閉空間に封入する潤滑成分を必要最小限に留めることができるため、等速自在継手を軽量化し、製造コストの低減を実現することができる。
以下に、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において「密閉空間」とは、第1〜第3の実施形態が同じ密閉空間を指し、第4〜第6の実施形態が同じ密閉空間を指し、第7〜第9の実施形態が同じ密閉空間を指す。
図1(A)に本発明の第1の実施形態として、本発明を摺動型等速自在継手の一つであるダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)に適用した実施形態を示す。
この等速自在継手は、外側継手部材である外輪15、内側継手部材である内輪17、ボール18、ケージ19で主要部が構成される。外輪15の円筒状の内周面には軸方向に延びる複数の直線状トラック溝15aが形成され、内輪17の球面状外周面には外輪15のトラック溝15aと対をなす複数の直線状トラック溝17aが形成される。これらの外輪15のトラック溝15aと内輪17のトラック溝17aとの間には3個、4個、5個、6個、7個あるいは8個の何れかの個数のボール18が介在され、このボール18はケージ19のポケット19aで保持される。この等速自在継手は、回転トルクが発生して外軸20が回転すると、これに従動して軸部材であるシャフト21がボール18を介して回転する。
また、この等速自在継手は、外輪15の開口端面からシャフト21に亙って、耐熱・耐油・耐摩耗性のあるゴムや樹脂などのエラストマーで造られた密閉部材である蛇腹状のブーツ23が取り付けられ、この取り付け部はブーツバンド24、25で締め付けて固定される。
さて、本実施形態では、外輪15とブーツ23とシャフト21で密閉される密閉空間において、内輪17の軸部材挿嵌側、つまり外輪15の開口端面と内輪17の軸部材挿嵌側端面との間の空間に、規制部材22として多孔性固形潤滑剤を封入する。規制部材22としての多孔性固形潤滑剤は、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵することにより設けられる。
この多孔性固形潤滑剤を構成する樹脂成分には、プラスチックまたはゴムなどのうち、エラストマーまたはプラストマーのいずれかまたは両方を、アロイまたは共重合成分として採用できる。
ゴムの場合は、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンエラストマー、フッ素ゴム、クロロスルフォンゴムなどの各種ゴムを採用できる。
また、プラスチックの場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリアミド4,6(PA4,6)、ポリアミド6,6(PA6,6)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T)などの汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックを挙げられる。
また、上記のプラスチックに限られることなく、軟質ウレタンフォーム、硬質ウレタンフォーム、半硬質ウレタンフォームなどのポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストマーなどを使用することができる。また、ウレタン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリイミド系接着剤など各種接着剤を発泡および硬化させて使用することもできる。
樹脂成分中には必要に応じて顔料や酸化防止剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、難燃剤、防黴剤やフィラーなどの各種添加剤等を添加することができる。
この発明に用いる規制部材22としての多孔性固形潤滑剤は、潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、伸縮、屈曲、遠心力および温度上昇に伴う気泡の膨張など、外力の作用によって潤滑成分を必要部位に供給することが可能なものである。
発泡により多孔質化される際に生成させる気泡は、連続孔が望ましく、外力の作用によって潤滑成分を樹脂成分の表面から連続孔を介して必要部位に直接供給することが可能である。独立孔の場合は、樹脂成分中の潤滑成分の全量が一時的に気泡中に取り込まれて、必要な時に必要部位に充分供給されない場合がある。
潤滑成分を樹脂内部に吸蔵するには、潤滑成分の存在下で発泡反応と硬化反応を同時に行なわせる反応型含浸法を採用することが望ましい。このようにすると潤滑成分を樹脂内部に高充填することが可能となり、その後には潤滑成分を含浸して補充する後含浸工程を省略できる。
これに対して発泡固形物をあらかじめ成形しておき、これに潤滑成分を含浸させる後含浸法だけを採用すると、樹脂内部に充分な量の潤滑成分が染み込まないので、潤滑成分保持力が充分でないものになり、短時間で潤滑剤が析出されて長期的に使用すると潤滑成分が供給不足となる場合がある。このため、後含浸工程は、反応型含浸法の補助手段として採用することが好ましい。
この反応型含浸法は、市販のシリコーン系整泡剤などの界面活性剤を使用し、各原料分子を均一に分散させて行なうことが好ましい。また、整泡剤の種類や量によって表面張力を制御し、生じる気泡の種類(連続型/独立型)や気泡の大きさを制御することが可能である。界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
潤滑成分(100重量%)の潤滑油の割合は、1重量%〜95重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜80重量%である。潤滑油の割合が、1重量%未満の場合は、潤滑油を必要箇所に充分に供給することが困難になる。また、95重量%を超える多量の配合では、固形潤滑剤に特有の機能を果たさない場合がある。
この発明に用いる潤滑成分としては、発泡体を形成する固形物を溶解しないものであれば種類を選ばずに使用することができるが、例えば潤滑油、グリース、ワックスなどを単独もしくは混合して用いても良い。
この発明に用いる潤滑油としては、パラフィン系やナフテン系の鉱物油、エステル系合成油、エーテル系合成油、炭化水素系合成油、GTL基油、フッ素油、シリコーン油等の一般的に使用されている潤滑油またはそれらの混合油が挙げられる。
この発明に使用するグリースの増ちょう剤としては、リチウム石鹸、リチウムコンプレックス石鹸、カルシウム石鹸、カルシウムコンプレックス石鹸、アルミニウム石鹸、アルミニウムコンプレックス石鹸等の石鹸類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。
このウレア系増ちょう剤としては、例えば、ジウレア化合物、ポリウレア化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。
ジウレア化合物は、例えばジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、へキサンジイソシアネート等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、へキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
ポリウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等が挙げられる。グリースの基油としては、前述の潤滑油と同様のものを用いることができる。
この発明に使用するワックスとしては炭化水素系合成ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックス、ケトン・アミン類、水素硬化油などどのようなものでも良い。これらのワックスに使用する油成分としては前述の潤滑油と同様のものを用いることができる。
以上述べたような潤滑成分には、さらに二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、有機モリブデン等の摩擦調整剤、アミン、脂肪酸、油脂類等の油性剤、アミン系、フェノール系などの酸化防止剤、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、ソルビタンエステルなどの錆止め剤、イオウ系、イオウ−リン系などの極圧剤、有機亜鉛、リン系などの摩耗防止剤、ベンゾトリアゾール、亜硝酸ソーダなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤などの各種添加剤を含んでいても良い。
樹脂成分を発泡させる手段としては周知の発泡手段を採用すればよく、例えば、水、アセトン、ヘキサン等の比較的沸点の低い有機溶媒を加熱し、気化させる物理的手法やエアーや窒素などの不活性ガスを外部から吹き込む機械的発泡方法、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)やアゾジカルボンイミド(ADCA)等のように温度や光によって分解し、窒素ガスなどを発生させる分解型発泡剤を使用する、などの方法が挙げられる。また、原料として反応性の高いイソシアネート基を持つ場合には、それと水分子との化学反応によって生じる二酸化炭素による化学的発泡を用いても良い。
このような反応を伴う発泡を用いるには必要に応じて触媒を使用することが望ましく、例えば、3級アミン系触媒や有機金属触媒などが用いられる。
3級アミン系触媒としてはモノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類、イミダゾール誘導体、酸ブロックアミン触媒などが挙げられる。
また、有機金属触媒としてはスタナオクタエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンマーカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマレエート、ジオクチルチンジマーカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレート、オクテン酸鉛などが挙げられる。また、反応のバランスを整えるなどの目的でこれら複数種類を混合して用いても良い。
樹脂成分の発泡倍率は1.1倍以上200倍未満であることが望ましい。発泡倍率1.1倍未満の場合は気泡体積が小さく、外力が加わったときに変形を許容できないし、または固形物が硬すぎて変形しないなどの不具合がある。また、200倍以上の時には外力に耐える強度を得ることが困難となり、使用中に破損や破壊に至ることがある。
規制部材22としての多孔性固形潤滑剤は型内に流し込んで成形してもよく、また常圧で固化した後に裁断や研削等で目的の形状に後加工することもできる。また、等速自在継手の外側継手部材の内部、通常は内側継手部材と外側継手部材との間に発泡充填して硬化反応をさせてもよく、その後にブーツを組み付けて等速自在継手を製造できる。
本実施形態の等速自在継手では、規制部材22として多孔性固形潤滑剤が、潤滑成分を封入する必要のある密閉部材の内部を除く前記密閉空間、つまり外輪15の内部の前記密閉空間を従来よりも狭め、外輪15と規制部材22とで囲まれる空間とし、潤滑成分の封入量を規制する。この結果、使用する潤滑成分を必要最小限に抑え、等速自在継手の軽量化と製造コストの低減が可能となる。
また、規制部材22は、外輪15と規制部材22とで囲まれる空間に封入する潤滑成分の外輪15の外部への流出を防止する機能を果たす。これにより、ブーツ23の内部に潤滑成分が流出することを抑えられ、ブーツ23の劣化を防止することができる。さらに、本発明では、上記したように、外輪15の内部を潤滑させるために、外輪15と規制部材22とで囲まれる空間に潤滑成分を封入するため、ブーツ23の内部に潤滑成分を封入する必要がなくなる。この結果、ブーツ23の回転膨張性を向上でき、耐久性を低下させることなくブーツ23をコンパクト化し、軽量化や製造コストの低減を実現することができる。
さらに、本実施形態では、規制部材22に多孔性固形潤滑剤を使用し、この多孔性固形潤滑剤は既に潤滑成分を含有しているため、外輪15と規制部材22とで囲まれる空間に封入する潤滑成分が、多孔性固形潤滑剤に染み込みにくい。このため、潤滑成分の外輪15の外部へ流出を防止する機能が高くなる。また、多孔性固形潤滑剤が含有する潤滑成分が、外輪15と規制部材22とで囲まれる空間に必要な量だけ染み出し、外輪15内部の潤滑を補う。さらに、規制部材22としての多孔性固形潤滑剤が含有する潤滑成分がブーツ23の内部に染み出すことが考えられるが、その量は微量であり、ブーツの耐久性に悪影響を与える程ではない。
なお、本実施形態では、外輪15と規制部材22とで囲まれる空間に封入する潤滑成分には、グリースを使用しても良いが、流動性の高い潤滑油を使用することもできる。
この理由としては、潤滑成分がブーツ23側へ流動しようとしても、規制部材22が、ブーツ23の内部への潤滑成分の流出を防止できるためである。
図1(B)に本発明の第2の実施形態として、図1(A)と同様、本発明をダブルオフセット型等速自在継手に適用した実施形態を示す。なお、本実施形態では、図1(A)と同じ部位、機能、形態を有する部品については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
この第2の実施形態では、前記密閉空間における、内輪17の軸部材反挿嵌側、つまり内輪17の軸部材反挿嵌側端面と外輪15の基底面26との間の空間に、規制部材22aとしての多孔性固形潤滑剤を設ける。規制部材22aとして多孔性固形潤滑剤を使用する時の作用及び効果は、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
上記の規制部材22aとして多孔性固形潤滑剤が、潤滑成分を封入する必要のある密閉部材の内部を除く前記密閉空間、つまり外輪15の内部の前記密閉空間を従来よりも狭め、外輪15と外輪15の開口端面と規制部材22aとで囲まれる空間とし、潤滑成分の封入量を規制する。この結果、使用する潤滑成分を必要最小限に抑え、等速自在継手の軽量化と製造コストの低減が可能となる。
また、前記密閉空間における、外輪15と外輪15の開口端面と規制部材22aで囲まれる空間に封入する潤滑成分には、半固体状であるグリースを使用するのが好ましい。
この理由としては、本実施形態では、第1の実施形態のように、外輪15の開口端面にはブーツの内部へ潤滑成分が流出するのを防止する規制部材を設けないことから、外輪15と外輪15の開口端面と規制部材22aで囲まれる空間に封入する潤滑成分や規制部材22aとしての多孔性固形潤滑剤が含有する潤滑成分の流動性が高いと、潤滑成分が流動してブーツ23の内部へ流出し、等速自在継手の耐久性を低下させる場合があるためである。
図1(C)に本発明の第3の実施形態として、図1(A)と同様、本発明をダブルオフセット型等速自在継手に適用した実施形態を示す。なお、本実施形態では、図1(A)と同じ部位、機能、形態を有する部品については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
この第3の実施形態では、前記密閉空間における、内輪17の軸部材挿嵌側と軸部材反挿嵌側、つまり、外輪15の開口端面と内輪17の軸部材挿嵌側端面との間の空間および内輪17の軸部材反挿嵌側端面と外輪15の基底面26との間の空間に、規制部材22bとして多孔性固形潤滑剤を設ける。規制部材22bとして多孔性固形潤滑剤を使用する時の作用及び効果は、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
上記の規制部材22bとして多孔性固形潤滑剤は、潤滑成分を封入する必要のある密閉部材の内部を除く前記密閉空間、つまり外輪15の内部の前記密閉空間を従来よりも狭め、外輪15と規制部材22bとで囲まれる空間とし、潤滑成分の封入量を規制する。この結果、使用する潤滑成分を必要最小限に抑え、等速自在継手の軽量化と製造コストの低減が可能となる。
また、規制部材22bは、外輪15と規制部材22bとで囲まれる空間に封入する潤滑成分の外輪15の外部への流出を防止する機能を果たす。
これにより、ブーツ23の内部に潤滑成分が流出することを抑え、ブーツ23の劣化を防止することができる。さらに、本発明では、上記したように、規制部材22bと外輪15により密閉される空間に潤滑成分を封入すればよいため、ブーツ23の内部に潤滑成分を封入する必要がなくなる。この結果、ブーツ23の回転膨張性を向上でき、耐久性を低下させることなくブーツ23をコンパクト化し、軽量化や製造コストの低減を実現することができる。
さらに、外輪15と規制部材22bとで囲まれる空間に封入する潤滑成分にはグリースを使用しても良いが、流動性の高い潤滑油を使用することもできる。
この理由としては、第1の実施形態と同様、潤滑成分がブーツ23側へ流動しようとしても、規制部材22bが、ブーツ23の内部への潤滑成分の流出を防止できるためである。
なお、本実施形態では、外輪15と規制部材22bにより密閉された空間内に潤滑成分を封入するため、密閉部材であるブーツ23を装着しなくても良く、製造コストを削減することができる。しかし、外部からの異物の侵入の恐れを考慮すると、ブーツ23を装着するのが良い。
さて、本発明に係る規制部材の図1(A)、図1(B)及び図1(C)に示した第1〜第3の実施形態での適用は、その他各種の等速自在継手にも適用することができる。図2(A)、図2(B)及び図2(C)に本発明の第4〜第6の実施形態として、摺動型等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手(LJ)を、図3(A)、図3(B)及び図3(C)に本発明の第7〜第9の実施形態として、摺動型等速自在継手の一つであるトリポード型等速自在継手(TJ)を示す。なお、上記の実施形態において、同種の等速自在継手を使用した実施形態では、同じ部位、機能、形態の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図2(A)に本発明の第4の実施形態として、本発明に係る規制部材を摺動型等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手(LJ)に適用した実施形態を示す。
この等速自在継手は、外側継手部材である外輪31、内側継手部材である内輪32、ボール33、ケージ34で主要部が構成される。内輪32の中心孔35に軸部材であるスタブシャフト36がスプライン嵌合されており、このスプライン嵌合により、内輪32とスタブシャフト36との間でのトルク伝達が可能となっている。なお、スタブシャフト36は、スナップリング37により抜け止めされている。
外輪31の内周面には複数の直線状トラック溝31aが形成され、内輪32の外周面には、複数の直線状トラック溝32aが形成され、かつ、外輪31のトラック溝31aと内輪32のトラック溝32aとが軸線に対して互いに逆方向に所定角度傾斜した構造を成す。これらの外輪31のトラック溝31aと内輪32のトラック溝32aの交叉部には4個、6個、8個あるいは10個の何れか個数のボール33が介在され、このボール33は外輪31と内輪32との間に位置するケージ34のポケット34aで保持される。
また、外輪31の軸方向一端側には、継手内部に充填した潤滑成分の漏出を防ぐと共に、異物の侵入を防止するための密閉部材であるエンドプレート38がスタブシャフト36の挿嵌側からボルト(図示省略)で締め付けて固定されている。一方、外輪31の軸方向他端側とスタブシャフト36の間には密封装置が装着されている。
この密封装置は、密閉部材であるブーツ39と密閉部材である金属製のブーツアダプタ40とからなる。ブーツ39は小端部と大端部を有し、中間にてU字型に折り返した形状になっている。但し、この形状に限られたものではなく、例えば、蛇腹状を成した形状のブーツなど、種々のものが適用可能である。ブーツアダプタ40は円筒形で、一端に外輪31の外周面と嵌合するフランジを有し、エンドプレート38と共にスタブシャフト36の挿嵌側からボルト締めにより固定される。ブーツ39の小端部は、スタブシャフト36に嵌合され、さらにブーツバンド41にて固定されており、大端部は、ブーツアダプタ40のフランジ側とは反対の端部に加締めて固定される。但し、この固定方法に限られたものではなく、例えば、ブーツバンドにて固定されても良い。
さて、本実施形態では、外輪31、スタブシャフト36、ブーツ39、ブーツアダプタ40及びエンドプレート38で密閉される密閉空間における、内輪42の軸部材挿嵌側、つまり、外輪31のブーツ39側の開口端面とブーツ39の継手側先端部(U字型底部)との間の空間に、規制部材42としての多孔性固形潤滑剤を設ける。これは第1の実施形態と酷似している。規制部材42として多孔性固形潤滑剤を使用する時の作用及び効果は、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。なお、規制部材42は、ブーツ39の継手側先端面とに接するように設ける必要はなく、内輪32の軸方向摺動範囲で設けていれば良い。
上記の規制部材42としての多孔性固形潤滑剤は、潤滑成分を封入する必要のある密閉部材の内部を除く前記密閉空間、つまり外輪31の内部の前記密閉空間を従来よりも狭め、規制部材42と外輪31と外輪31のブーツ39側とは反端側の開口端面とで囲まれる空間とし、潤滑成分の封入量を規制する。この結果、使用する潤滑成分を必要最小限に抑え、等速自在継手の軽量化と製造コストの低減が可能となる。
また、規制部材42と外輪31と外輪31のブーツ39側とは反端側の開口端面とで囲まれる空間に封入する潤滑成分には、流動性の高い潤滑油や半固体状のグリースを使用することができる。これは、本実施形態では、第1の実施形態と同様、潤滑成分がブーツ39側へ流出しようとしても、規制部材42がこの規制部材42とブーツ39とブーツアダプタ40で囲まれる空間内部への潤滑成分の流出を防止できるためである。
図2(B)に本発明の第5の実施形態として、図2(A)と同様、本発明をクロスグルーブ型等速自在継手に適用した実施形態を示す。
本実施形態では、前記密閉空間において、内側継手部材の軸部材反挿嵌側、つまり、エンドプレート38と外輪31のブーツ39とは反対側の開口端面との間の空間に、規制部材42aとしての多孔性固形潤滑剤を設ける。これは第2の実施形態と酷似している。規制部材42aとして多孔性固形潤滑剤を使用する時の作用及び効果は、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
上記の規制部材42aとしての多孔性固形潤滑剤は、潤滑成分を封入する必要のある密閉部材の内部を除く前記密閉空間、つまり外輪31の内部の前記密閉空間を従来よりも狭め、外輪31、規制部材42a及び外輪31のブーツ39側の開口端面で囲まれる空間とし、潤滑成分の封入量を規制する。この結果、使用する潤滑成分を必要最小限に抑え、等速自在継手の軽量化と製造コストの低減が可能となる。
また、外輪31、規制部材42a及び外輪31のブーツ39側の開口端面で囲まれる空間に封入する潤滑成分は、半固体状であるグリースを使用することが好ましい。この理由については、第2の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図2(C)に、本発明の第6の実施形態として、図2(A)と同様、本発明を摺動型等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手に適用した実施形態を示す。
この第6の実施形態では、前記密閉空間における、内輪32の軸部材挿嵌側と軸部材反挿嵌側、つまり、外輪31のブーツ39側の開口端面とブーツ39の継手側先端部(U字状底部)との間の空間及びエンドプレート38と外輪31のブーツ39とは反対側の開口端面との間の空間に規制部材42bとして多孔性固形潤滑剤を設ける。この実施形態は、第3の実施形態と酷似している。規制部材42bとして多孔性固形潤滑剤を使用する時の作用及び効果は第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
上記の規制部材42bとしての多孔性固形潤滑剤は、潤滑成分を封入する必要のある密閉部材の内部を除く前記密閉空間、つまり外輪31の内部の前記密閉空間を従来よりも狭め、外輪31と規制部材42bとで囲まれる空間とし、潤滑成分の封入量を規制する。この結果、使用する潤滑成分を必要最小限に抑え、等速自在継手の軽量化と製造コストの低減を図ることが可能となる。
また、外輪31と規制部材42bとで囲まれる空間に封入する潤滑成分には、第1の実施形態のように、半固体状のグリースだけでなく、流動性の高い潤滑油を使用することもできる。この理由については、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
なお、本実施形態では、潤滑成分を外輪32と規制部材42bとで囲まれた空間に封入するため、密閉部材であるブーツ39を装着しなくても良く、これに伴い、密閉部材であるブーツアダプタ40も不要となるため、製造コストを削減することができる。しかし、外部からの異物の侵入や高速回転性を考慮すると、ブーツ39及びブーツアダプタ40を装着するのが良い。
図3(A)に、本発明の第7の実施形態として、本発明に係る規制部材を摺動型等速自在継手の一つであるトリポード型等速自在継手(TJ)に適用した実施形態を示す。
この等速自在継手は、外側継手部材である外輪50、内側継手部材であるトリポード部材53、ローラ54、脚軸55で主要部が構成される。外輪50の内周面には軸方向に延びる3本の直線状トラック溝52が形成される。トリポード部材53は径方向に突設された三本の脚軸55を有する。この脚軸55にローラ54が回転自在に支持され、このローラ54が外輪50のトラック溝52に転動自在に挿入されてトラック溝52に沿って案内される。また、トリポード部材53の中心孔には軸部材であるシャフト56がスプライン嵌合により挿嵌され、このシャフト56から外輪50の開口端に亙ってブーツ57が取り付けられ、この取り付け部はブーツバンド58、59で締め付け固定される。
本実施形態では、ブーツ57と外輪50とシャフト56により密閉される密閉空間における、内側継手部材であるトリポード部材53の軸部材挿嵌側、つまり、外輪50の開口端面とローラ54の外輪開口側端部との間の空間に、規制部材60としての多孔性固形潤滑剤を設ける。これは、第1の実施形態と酷似している。規制部材60として多孔性固形潤滑剤を使用する時の作用及び効果は第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
上記の規制部材60としての多孔性固形潤滑剤は、潤滑成分を封入する必要のある密閉部材の内部を除く前記密閉空間、つまり外輪50の内部の前記密閉空間を従来よりも狭め
、外輪50と規制部材60とで囲まれる空間とし、潤滑成分の封入量を規制する。この結果、使用する潤滑成分を必要最小限に抑え、等速自在継手の軽量化と製造コストの低減が可能となる。
また、規制部材60は、密閉空間に封入する潤滑成分の外側継手部材の外部への流出を防止する機能を果たす。これにより、ブーツ57の内部への潤滑成分の流出が抑えられ、ブーツ57の劣化を防止することができる。さらに、本発明では、上記したように、外輪50と規制部材60とで囲まれる空間に潤滑成分を封入すればよいため、ブーツ57の内部に潤滑成分を封入する必要がなくなる。この結果、ブーツ57の回転膨張性を向上でき、耐久性を低下させることなくブーツ57をコンパクト化し、軽量化や製造コストの低減を実現することができる。
さらに、規制部材60は多孔性固形潤滑剤であり、この多孔性固形潤滑剤は既に潤滑成分を含有しているため、外輪50と規制部材60とで囲まれる空間に封入する潤滑成分が、規制部材60に染み込みにくい。このため、潤滑成分の外輪50の外部への流出を防止する機能が高くなる。また、多孔性固形潤滑剤に含有する潤滑成分が、外輪50と規制部材60とで囲まれる空間に必要な量だけ染み出し、外輪50内部の潤滑を補う。
なお、本実施形態では、外輪50と規制部材60とで囲まれる空間に封入する潤滑成分には、グリースを使用しても良いが、流動性の高い潤滑油を使用することもできる。この理由については第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図3(B)に本発明の第8の実施形態として、図3(A)と同様、本発明をトリポード型等速自在継手に適用した実施形態を示す。
この第8の実施形態では、前記密閉空間において、内側継手部材であるトリポード部材53の軸部材反挿嵌側、つまり、ローラ54の外輪反開口側端部と外輪50の基底面61との間の空間に、規制部材60aとして多孔性固形潤滑剤を封入する。これは、第2の実施形態と酷似している。規制部材60aとして多孔性固形潤滑剤を使用する時の作用及び効果は第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
上記の規制部材60aとしての多孔性固形潤滑剤は、潤滑成分を封入する必要のある密閉部材の内部を除く前記密閉空間、つまり外輪50の内部の前記密閉空間を従来よりも狭め、外輪50と外輪50の開口端面と規制部材60aとで囲まれる空間とし、潤滑成分の封入量を規制する。この結果、使用する潤滑成分を必要最小限に抑え、等速自在継手の軽量化と製造コストの低減が可能となる。
また、外輪50と外輪50の開口端面と規制部材60aとで囲まれる空間に封入する潤滑成分には、半固体状であるグリースを使用するのが好ましい。この理由については第2の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図3(C)に本発明の第9の実施形態として、図3(A)と同様、本発明をトリポード型等速自在継手に適用した実施形態を示す。
この第9の実施形態では、内側継手部材部材であるトリポード部材53の軸部材挿嵌側と軸部材反挿嵌側、つまり、外輪50の開口端面とローラ54の外輪開口側端部との間の空間およびローラ54の外輪反開口側端部と外輪50の基底面61との間の空間に、規制部材60bとして多孔性固形潤滑剤を封入する。これは、第3の実施形態と酷似している。規制部材60bとして多孔性固形潤滑剤を使用する時の作用及び効果は第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
上記の規制部材60bとしての多孔性固形潤滑剤は、潤滑成分を封入する必要のある密閉部材の内部を除く前記密閉空間、つまり外輪50の内部の前記密閉空間を従来よりも狭め、外輪50と規制部材60bとで囲まれる空間とし、潤滑成分の封入量を規制する。この結果、使用する潤滑成分を必要最小限に抑え、等速自在継手の軽量化と製造コストの低減を図ることが可能となる。
また、規制部材60bは、外輪50と規制部材60bとで囲まれる空間に封入する潤滑成分の外側継手部材の外部への流出を防止する機能を果たす。これにより、ブーツ57の内部への潤滑成分の流出が抑えられ、ブーツ57の劣化を防止することができる。
また、本実施形態では、上記したように、外輪50と規制部材60bとで囲まれる空間に潤滑成分を封入すればよいため、ブーツ57の内部に潤滑成分を封入する必要がなくなる。この結果、ブーツ23の回転膨張性を向上でき、耐久性を低下させることなくブーツ23をコンパクト化し、軽量化や製造コストの低減を実現することができる。
さらに、外輪50と規制部材60bとで囲まれる空間に封入する潤滑成分には、グリースを使用しても良いが、流動性の高い潤滑油を使用することもできる。この理由は、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
なお、本実施形態では、潤滑成分を外輪50と規制部材60bにより密閉された空間に封入するため、密閉部材であるブーツ57を装着しなくても良く、製造コストを削減することができる。しかし、外部からの異物の侵入の恐れを考慮すると、ブーツ57を装着するのが良い。
さて、これまでに説明した実施形態では、規制部材として多孔性固形潤滑剤を使用したが、ゴム等の弾性体、多孔質化された固形物からなる樹脂成分を使用することができる。潤滑成分を含有した多孔性固形潤滑剤を使用するのが最も好ましい。
上記において、多孔質化された固形物からなる樹脂成分は、多孔性固形潤滑剤に使用する樹脂成分と同じものであるため、その詳細な説明は省略する。
また、前記の実施形態において、ブーツを取り付ける場合、外側継手部材の内部の潤滑を補う目的で、ブーツの内部にこのブーツの耐久性を阻害したり、劣化させたりしない程度の潤滑成分をあらかじめ封入してもよい。
さらに、規制部材によって、完全に密閉された空間を形成する必要はなく、例えば、内側継手部材に挿嵌されるシャフトなどの軸部材と規制部材との間には、多少の隙間が存在してもよい。
これは、軸部材と規制部材との間に多少の隙間が存在しても、ブーツの内部に流出する潤滑成分は微量であるため、ブーツを劣化させたり、その耐久性を阻害したりする恐れがないためである。
なお、本発明に係る規制部材としての多孔性固形潤滑剤に含有する潤滑成分や等速自在継手の密閉空間に封入する潤滑成分には、前記したように潤滑油、グリース、ワックスなどを混合して使用できる。しかし、既に挙げた第2の実施形態、第5の実施形態、第8の実施形態においては、前記したように潤滑成分の流動性が高いと、ブーツの内部に潤滑成分が流出することでブーツを劣化させたりする恐れがあるため、グリースを使用するのが好ましい。なお、ワックスのみでは潤滑性能が不十分であるため、グリースと混合するなどの使用が適当である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらの実施形態はあくまで例示であり、特許請求の範囲に記載の意味及び範囲内の全ての事項を含む。
本発明を摺動型等速自在継手の一つであるダブルオフセット型等速自在継手に適用したもので、(A)は第1の実施形態を示す断面図である。(B)は第2の実施形態を示す断面図である。(C)は第3の実施形態を示す断面図である 本発明を摺動型等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手に適用したもので、(A)は第4の実施形態を示す断面図である。(B)は第5の実施形態を示す断面図である。(C)は第6の実施形態を示す断面図である。 本発明を摺動型等速自在継手の一つであるトリポード型等速自在継手型に適用したもので、(A)は第7の実施形態を示す断面図である。(B)は第8の実施形態を示す断面図である。(A)は第9の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
15、31、50 外輪(外側継手部材)
17、32 内輪(内側継手部材)
18、33 ボール(転動体)
19、34 ケージ
19a、34a ポケット
21、56 シャフト(軸部材)
36 スタブシャフト(軸部材)
23、39、57 ブーツ(蛇腹状)
39 ブーツ(U字型)
26、61 基底面
38 エンドプレート
40 ブーツアダプタ
54 ローラ(転動体)
15a、17a、31a、32a、52 トラック溝
55 脚軸
53 トリポード部材(内側継手部材)
22、22a、22b、42、42a、42b、60、60a、60b 規制部材(多孔性固形潤滑剤)

Claims (10)

  1. 内周面にトラック溝を形成した外側継手部材と、その外側継手部材の内側に配された内側継手部材と、前記内側継手部材に挿嵌された軸部材と、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に介在させた転動体と、前記外側継手部材あるいは前記軸部材のうち少なくともいずれか一方に装着され、前記外側継手部材と前記軸部材と共に密閉空間を形成する密閉部材とを備え、前記密閉部材の内部を除く前記密閉空間に潤滑成分を封入し、その潤滑成分の封入量を規制する規制部材を前記密閉空間に設けたことを特徴とする等速自在継手。
  2. 前記規制部材を、前記密閉空間における前記内側継手部材の軸部材挿嵌側あるいは軸部材反挿嵌側のうち少なくともいずれか一方に設けたことを特徴とする請求項1記載の等速自在継手。
  3. 前記規制部材を弾性体としたことを特徴とする請求項1もしくは請求項2何れか一項に記載の等速自在継手。
  4. 前記規制部材を多孔質化された固形物からなる樹脂成分としたことを特徴とする請求項1もしくは請求項2何れか一項に記載の等速自在継手。
  5. 前記規制部材を、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤としたことを特徴とする請求項1もしくは請求項2何れか一項に記載の等速自在継手。
  6. 前記外側継手部材は、円筒状の内周面に軸方向に延びる複数の直線状トラック溝が形成され、前記内側継手部材は、球面状の外周面に前記外側継手部材のトラック溝と対をなす複数の直線状トラック溝が形成され、前記転動体は外側継手部材のトラック溝と前記内側継手部材のトラック溝との間に介在したボールとし、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に前記ボールを保持するケージを介在させたことを特徴とする請求項1〜請求項5何れか一項に記載の等速自在継手。
  7. 前記外側継手部材は、内周面に複数の直線状トラック溝が形成され、前記内側継手部材は、外周面に前記外側継手部材のトラック溝と対をなす複数の直線状トラック溝が形成され、かつ、前記外側継手部材のトラック溝と前記内側継手部材のトラック溝とが軸線に対して互いに逆方向に所定角度傾斜した構造を成し、前記転動体は前記外側継手部材のトラック溝と前記内側継手部材のトラック溝との交叉部に介在したボールとし、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に前記ボールを保持するケージを介在させたことを特徴とする請求項1〜請求項5何れか一項に記載の等速自在継手。
  8. 前記外側継手部材はその内周面に軸方向に延びる三本の直線状トラック溝が形成され、前記内側継手部材は、径方向に突設された三本の脚軸を有するトリポード部材であり、前記転動体は、前記脚軸に回転自在に支持されると共に前記外側継手部材のトラック溝に転動自在に挿入されて前記トラック溝に沿って案内されるローラとしたことを特徴とする請求項1〜請求項5何れか一項に記載の等速自在継手。
  9. 前記ボールは、3個、4個、5個、6個、7個あるいは8個の中から選択されるいずれかの個数であることを特徴とする請求項6記載の等速自在継手。
  10. 前記ボールは、4個、6個、8個あるいは10個の中から選択されるいずれかの個数であることを特徴とする請求項7記載の等速自在継手。
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