JP2008014373A - 等速自在継手 - Google Patents

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美香 小原
Makoto Tomoue
真 友上
Minoru Ishijima
実 石島
Shinichi Takabe
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Abstract

【課題】 固形潤滑剤の潤滑油保持力を向上させて外力による変形によって析出する潤滑油量を必要最小限に留め、潤滑油を効率よく用い、高性能でブーツの劣化も少ない等速自在継手とし、また製造工程をより簡便化して製造コストの低減にも役立つ等速自在継手を提供する。
【解決手段】 多孔性固形潤滑剤10が、ボール4を囲繞する空間、つまり外輪1の球面状の内周面に形成されるトラック溝1aと内輪3の球面状の外周面に形成されるトラック溝3aで形成される空間の内、その軸方向位置がケージ5のポケット5aで規制される領域に封入する。この多孔性固形潤滑剤10は、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵して形成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車の駆動軸や各種産業機械に用いられて、回転トルクを伝達する等速自在継手に関するものである。
近年、自動車や産業機械の高性能化、コンパクト化および軽量化のための技術改良が進み、自動車部品や産業機械の駆動伝達に用いられる等速自在継手についてもコンパクト化、軽量化および高性能化(長寿命化)の要求が高まっている。
すなわち、等速自在継手にも機械全体と同様にコンパクト化や軽量化を図ることで高い負荷が加わる方向となり、従来のグリースによる潤滑では、充分な長寿命化が困難な場合がある。このため、高温・高負荷などの苛酷な条件でも長寿命かつメンテナンス性にも優れた等速自在継手であることが希求されている。
ここで、一般には、自動車や産業機械に代表されるような機械の摺動部や回転部には潤滑剤が使用され、潤滑油を増ちょうさせて保形性を持たせたグリースや、液体潤滑剤を保持してその飛散や垂れ落ちを防止できる固形潤滑剤などが知られている。
例えば、潤滑油やグリースに、超高分子量ポリオレフィン、またはウレタン樹脂およびその硬化剤を混合し、樹脂の分子間に液状の潤滑成分を保持させて徐々に染み出る物性を持たせた固形潤滑剤が知られている(特許文献1、2、3参照)。
また、潤滑剤の存在下でポリウレタン原料であるポリオールとジイソシアネートとを潤滑成分中で反応させることで自己潤滑性を持たせたポリウレタンエラストマーが知られている(特許文献4参照)。
このような固形潤滑剤は、例えば軸受に封入して固化させると、潤滑油を徐々に析出させるものであり、これを用いると潤滑油の補充のためのメンテナンスが不要になり、水分の多い厳しい使用環境や強い慣性力の働く環境などでも、軸受寿命の長期化に役立つ場合が多い。
しかしながら、このような固形潤滑剤を、等速自在継手の駆動部のような伸縮(摺動)や屈曲などが高い頻度で繰り返し加わる部位に使用すると、伸縮(摺動)や屈曲に追従して変形させるために非常に大きな力が必要になり、または非常に大きな応力が固形潤滑剤に加わって、それを保持する部分にも機械的強度が必要になる。
しかし、固形潤滑剤の強度と充填率は、通常は補償的なものであるので、潤滑剤を高充填率で保持することは困難であり、長寿命化を妨げる可能性がある。
そのため、伸縮(摺動)や屈曲などが高い頻度で繰り返し起こる等速自在継手に適用可能な固形潤滑剤が求められている。
ところで、上記固形潤滑剤としては、発泡して連通気孔を形成した柔軟な樹脂に潤滑油を含浸し、その気孔内に潤滑油を保持させた含油固形潤滑剤があり、この潤滑剤を軸受や等速自在継手の内部全体に充填して使用することが知られている(特許文献5参照)。
特開平 6− 41569号公報 特開平 6−172770号公報 特開2000−319681号公報 特開平 11−286601号公報 特開平 9− 42297号公報
しかし、上記した従来技術による含油固形潤滑剤は、外力に応じる柔軟な変形性を持たせれば等速自在継手の伸縮(摺動)や屈曲による変形にも追従することはできるが、潤滑油保持力が小さく、高速回転条件などで使用した場合には、潤滑油が急速に析出されることで枯渇してしまう可能性もある。
また、含油固形潤滑剤は、長時間運転する部位に使用したり、開放空間で使用すると潤滑油が析出してしまい、この潤滑油は気孔から放出および吸収を繰り返して、耐えず空間内を流動する。
このような過剰に析出した潤滑油は、等速自在継手では軸と外側継手部材に取り付けられたブーツに接すると、潤滑油の成分がブーツ材料を劣化させる場合がある。
また、固形潤滑剤の製造工程では、潤滑油やグリースを確実に含浸させるために、多くの工程が必要になるため、低コストで等速自在継手を製造することが困難になる。
そこで、この発明の課題は上記した問題点を解決し、固形潤滑剤の潤滑油保持力を向上させて外力による変形によって析出する潤滑油量を必要最小限に留め、潤滑油を効率よく用い、長寿命でブーツの劣化も少ない等速自在継手とし、また製造工程をより簡便化して製造コストの低減にも役立つ等速自在継手とすることである。
上記の課題を解決するための本発明に係る等速自在継手としては、内周面にトラック溝を形成した外側継手部材と、その外側継手部材の内側に配された内側継手部材と、前記外側継手部材と内側継手部材との間に介在させた転動体とを備え、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤を、前記転動体を囲繞する空間に封入したことを特徴とするものである(請求項1)。なお、本発明で言う「吸蔵」とは、学術用語の吸蔵の意味と同様であり、液体の潤滑剤が固体の樹脂中に化合物にならないで含まれることを指している。
上記の等速自在継手であると、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤を、転動体を囲繞する空間に封入するため、転動体のトルク伝達運動の際、転動体の外側継手部材と内側継手部材との摩擦抵抗を抑え、トルク伝達を円滑にすることができる。
あるいは、上記課題を解決するための本発明に係る等速自在継手として、内周面にトラック溝を形成した外側継手部材と、その外側継手部材の内側に配された内側継手部材と、前記外側継手部材と内側継手部材との間に介在させた転動体とを備え、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤を、前記外側継手部材のトラック溝を含む空間に封入することもできる(請求項2)。
上記の等速自在継手であると、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤を、前記外側継手部材のトラック溝を含む空間に封入する。この結果、転動体のトルク伝達運動の際、転動体が移動して接触するトラック溝の摩擦抵抗を抑え、トルク伝達を円滑にすることができる。
あるいは、上記課題を解決するための本発明の等速自在継手として、内周面にトラック溝を形成した外側継手部材と、その外側継手部材の内側に配された外周面にトラック溝を形成した内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と前記内側継手部材のトラック溝との間に介在させた転動体とを備え、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤を、前記外側継手部材のトラック溝を含む空間と前記内側継手部材のトラック溝を含む空間の両方またはいずれか一方の空間に封入することもできる(請求項3)。
上記の等速自在継手であると、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤を、前記外側継手部材のトラック溝を含む空間と前記内側継手部材のトラック溝を含む空間の両方またはいずれか一方の空間に封入する。この結果、転動体のトルク伝達運動の際、転動体が移動して接触するトラック溝の摩擦抵抗を抑え、トルク伝達を円滑にさせることができる。
本発明は、各種の等速自在継手に適用することが可能である。例えば、外側継手部材の内周面と内側継手部材の外周面が球面状であり、外側継手部材の内周面と内側継手部材の外周面に形成されるトラック溝との間に3個、4個、5個、6個、7個あるいは8個のいずれかの個数のボール(転動体)を介在させた固定型等速自在継手の一つであるバーフィールド型等速自在継手(BJ)に適用できる。なお、アンダーカットフリー型等速自在継手はバーフィールド型等速自在継手と同分類に含めると解釈して、本発明では説明を行っている。
また本発明は、外側継手部材の円筒状の内周面には軸方向に延びる複数の直線状トラック溝が形成され、内側継手部材の球面状外周面には、外側継手部材のトラック溝と対をなす複数の直線状トラック溝が形成され、これらの外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との間に3個、4個、5個、6個、7個あるいは8個のいずれかの個数のボール(転動体)を介在させた摺動型等速自在継手の一つであるダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)に適用できる。
あるいは、外側継手部材の内周面に複数の直線状トラック溝が形成され、内側継手部材の外周面には、外側継手部材のトラック溝と対をなす複数の直線状トラック溝が形成され、かつ、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝とが軸線に対して互いに逆方向に所定角度傾斜した構造を成し、これらの外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との交叉部に4個、6個、8個あるいは10個のいずれかの個数のボール(転動体)を介在させた摺動型等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手(LJ)に適用できる。
更に本発明は、外側継手部材の内周面に軸方向に延びる三本の直線状トラック溝が形成され、内側継手部材は、径方向に突設された三本の脚軸を有するトリポード部材であり、脚軸にはローラ(転動体)が回転自在に支持され、このローラが外側継手部材のトラック溝に転動自在に挿入されてトラック溝に沿って案内される摺動型等速自在継手の一つであるトリポード型等速自在継手(TJ)に適用できる。
本発明の等速自在継手であると、外側継手部材の内部全体に多孔性固形潤滑剤を封入せず、等速自在継手に回転トルクが発生した際、摩擦抵抗が発生する転動体とトラック溝に封入するため、多孔性固形潤滑剤の使用量を必要最小限に留めることができる。この結果、軽量化、高性能化、トルク伝達の円滑化を実現する等速自在継手のコスト低減が図れる。
以下に、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1(A)に本発明の第1の実施形態として、本発明を固定型等速自在継手の一つであるバーフィールド型等速自在継手(BJ)に適用した実施形態を示す。
この等速自在継手は、外側継手部材である外輪1、内側継手部材である内輪3、ボール4、ケージ5で主要部が構成される。外輪1は、球面状の内周面に複数のトラック溝1aが形成される。内輪3は、球面状の外周面に外輪1のトラック溝1aと対をなす複数のトラック溝3aが形成され、これらの外輪1のトラック溝1aと内輪3のトラック溝3aとの間に介在した3個、4個、5個、6個、7個あるいは8個のいずれかの個数のボール4が介在し、このボール4は外輪1と内輪3との間に配置されるケージ5のポケット5aで保持される。
なお、外輪1の開口端から軸6に亙って、耐熱・耐油・耐摩耗性のあるゴムや樹脂などのエラストマーで造られた蛇腹状のブーツ7が取り付けられ、この取り付け部はブーツバンド8、9で締め付けて固定される。このブーツ7により、外輪1の内部が完全に密封される。
さて、この外輪1の内部には、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤10が、ボール4を囲繞する空間、つまり外輪1のトラック溝1aと内輪3のトラック溝3aとで形成される空間の内、その軸方向位置がケージ5のポケット5aで規制される領域に封入される。
この多孔性固形潤滑剤10を構成する樹脂成分には、プラスチックまたはゴムなどのうち、エラストマーまたはプラストマーのいずれかまたは両方を、アロイまたは共重合成分として採用できる。
ゴムの場合は、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンエラストマー、フッ素ゴム、クロロスルフォンゴムなどの各種ゴムを採用できる。
また、プラスチックの場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリアミド4,6(PA4,6)、ポリアミド6,6(PA6,6)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T)などの汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックを挙げられる。
また、上記のプラスチックなどに限られることなく、軟質ウレタンフォーム、硬質ウレタンフォーム、半硬質ウレタンフォームなどのポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストマーなどを使用することができる。また、ウレタン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリイミド系接着剤など各種接着剤を発泡および硬化させて使用することもできる。
樹脂成分中には必要に応じて顔料や酸化防止剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、難燃剤、防黴剤やフィラーなどの各種添加剤等を添加することができる。
この発明に用いる多孔性固形潤滑剤10は、潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、伸縮、屈曲、遠心力および温度上昇に伴う気泡の膨張などの外力の作用によって潤滑成分を必要部位に供給することが可能なものである。
発泡により多孔質化される際に生成させる気泡は、連続孔が望ましく、外力の作用によって潤滑成分を樹脂成分の表面から連続孔を介して必要部位に直接供給することが可能である。独立孔の場合は、樹脂成分中の潤滑成分の全量が一時的に気泡中に取り込まれて、必要な時に必要部位に充分供給されない場合がある。
潤滑成分を樹脂内部に吸蔵するには、潤滑剤の存在下で発泡反応と硬化反応を同時に行なわせる反応型含浸法を採用することが望ましい。このようにすると潤滑剤を樹脂内部に高充填することが可能となり、その後には潤滑剤を含浸して補充する後含浸工程を省略できる。
これに対して発泡固形物をあらかじめ成形しておき、これに潤滑剤を含浸させる後含浸法だけを採用すると、樹脂内部に充分な量の潤滑剤が染み込まないので、潤滑剤保持力が充分でないものになり、短時間で潤滑剤が析出されて長期的に使用すると潤滑剤が供給不足となる場合がある。このため、後含浸工程は、反応型含浸法の補助手段として採用することが好ましい。
反応型含浸法は、市販のシリコーン系整泡剤などの界面活性剤を使用し、各原料分子を均一に分散させて行なうことが好ましい。また、整泡剤の種類や量によって表面張力を制御し、生じる気泡の種類(連続型/独立型)や気泡の大きさを制御することが可能である。界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
潤滑成分(100重量%)の潤滑油の割合は、1重量%〜95重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜80重量%である。潤滑油の割合が、1重量%未満の場合は、潤滑油を必要箇所に充分に供給することが困難になる。また、95重量%を超える多量の配合では、固形潤滑剤に特有の機能を果たさない場合がある。
この発明に用いる潤滑成分としては、発泡体を形成する固形物を溶解しないものであれば種類を選ばずに使用することができるが、例えば潤滑油、グリース、ワックスなどを単独もしくは混合して用いても良い。
この発明に用いる潤滑油としては、パラフィン系やナフテン系の鉱物油、エステル系合成油、エーテル系合成油、炭化水素系合成油、GTL基油、フッ素油、シリコーン油等の一般的に使用されている潤滑油またはそれらの混合油が挙げられる。
この発明に使用するグリースの増ちょう剤としては、リチウム石鹸、リチウムコンプレックス石鹸、カルシウム石鹸、カルシウムコンプレックス石鹸、アルミニウム石鹸、アルミニウムコンプレックス石鹸等の石鹸類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。
このウレア系増ちょう剤としては、例えば、ジウレア化合物、ポリウレア化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。
ジウレア化合物は、例えばジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、へキサンジイソシアネート等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、へキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
ポリウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等が挙げられる。グリースの基油としては、前述の潤滑油と同様のものを用いることができる。
この発明に使用するワックスとしては炭化水素系合成ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックス、ケトン・アミン類、水素硬化油などどのようなものでも良い。これらのワックスに使用する油成分としては前述の潤滑油と同様のものを用いることができる。
以上述べたような潤滑成分には、さらに二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、有機モリブデン等の摩擦調整剤、アミン、脂肪酸、油脂類等の油性剤、アミン系、フェノール系などの酸化防止剤、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、ソルビタンエステルなどの錆止め剤、イオウ系、イオウ−リン系などの極圧剤、有機亜鉛、リン系などの摩耗防止剤、ベンゾトリアゾール、亜硝酸ソーダなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤などの各種添加剤を含んでいても良い。
樹脂成分を発泡させる手段としては周知の発泡手段を採用すればよく、例えば、水、アセトン、ヘキサン等の比較的沸点の低い有機溶媒を加熱し、気化させる物理的手法やエアーや窒素などの不活性ガスを外部から吹き込む機械的発泡方法、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)やアゾジカルボンイミド(ADCA)等のように温度や光によって分解し、窒素ガスなどを発生させる分解型発泡剤を使用する、などの方法が挙げられる。また、原料として反応性の高いイソシアネート基を持つ場合には、それと水分子との化学反応によって生じる二酸化炭素による化学的発泡を用いても良い。
このような反応を伴う発泡を用いるには必要に応じて触媒を使用することが望ましく、例えば、3級アミン系触媒や有機金属触媒などが用いられる。
3級アミン系触媒としてはモノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類、イミダゾール誘導体、酸ブロックアミン触媒などが挙げられる。
また、有機金属触媒としてはスタナオクタエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンマーカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマレエート、ジオクチルチンジマーカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレート、オクテン酸鉛などが挙げられる。また、反応のバランスを整えるなどの目的でこれら複数種類を混合して用いても良い。
樹脂成分の発泡倍率は1.1倍以上200倍未満であることが望ましい。発泡倍率1.1倍以下の場合は気泡体積が小さく、外力が加わったときに変形を許容できないし、または固形物が硬すぎて変形しないなどの不具合がある。また、200倍以上の時には外力に耐える強度を得ることが困難となり、使用中に破損や破壊に至ることがある。
多孔性固形潤滑剤10は型内に流し込んで成形してもよく、また常圧で固化した後に裁断や研削等で目的の形状に後加工することもできる。また、等速自在継手の外側継手部材の内部、通常は内側継手部材と外側継手部材との間に発泡充填して硬化反応をさせてもよく、その後にブーツを組み付けて等速自在継手を製造できる。
以上、本実施形態の等速自在継手であると、外側継手部材である外輪1の内部に封入される多孔性固形潤滑剤10は、必須成分である樹脂成分は発泡して表面積が広げられ、かつ樹脂成分そのものの内部にも潤滑成分が吸蔵されるので、樹脂成分の潤滑成分の保持力が高くなる。また、この樹脂成分中に吸蔵された状態で含まれる潤滑成分は、外力による樹脂成分の変形によっても急激に析出することがなく、適度に析出する。この結果、本実施形態では潤滑成分を効率よく析出させて用いることができるため、過剰に析出した潤滑成分でブーツを劣化させてしまうことを防止することが可能となる。もしブーツが破損した場合でも、等速自在継手内部の潤滑を保持することができる。
また、多孔性固形潤滑剤10は、外側継手部材である外輪1のトラック溝1aと内側継手部材である内輪3のトラック溝3aで形成される空間の内、その軸方向位置がケージ5のポケット5aで規制される領域に封入されるため、多孔性固形潤滑剤10は必要最小限の使用で済み、製造コストの低減が可能となる。
図1(B)に本発明の第2の実施形態として、図1(A)と同様、本発明をバーフィールド型等速自在継手に適用した実施形態を示す。なお、本実施形態では、図1(A)と同じ部位、機能、形態を有する部品については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
この第2の実施形態では、外輪1のトラック溝1aを含む空間と内輪3のトラック溝3aを含む空間の両方またはいずれか一方の空間に、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤10aが封入される。
本実施形態の等速自在継手であると、多孔性固形潤滑剤10aを、外輪1のトラック溝1aと内輪3のトラック溝3aとで形成される空間に封入されるため、ボール4のトルク伝達運動の際、ボール4が移動して接触するトラック溝1aとトラック溝3aの摩擦抵抗を抑え、トルク伝達を円滑にすることができる。もしブーツ7が破損した場合でも、等速自在継手内部の潤滑を保持することができる。
さて、本発明に係る多孔性固形潤滑剤の図1(A)及び図1(B)に示した適用は、その他各種の等速自在継手にも適用することができる。図2(A)及び図2(B)に本発明の第3及び第4の実施形態として、摺動型等速自在継手の一つであるダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)を、図3(A)及び図3(B)に本発明の第5及び第6の実施形態として、摺動型等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手(LJ)を、図4(A)及び図4(B)に本発明の第7及び第8の実施形態として、摺動型等速自在継手の一つであるトリポード型等速自在継手(TJ)を示す。なお、上記の実施形態において、同種の等速自在継手を使用した実施形態では、同じ部位、機能、形態の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図2(A)に本発明の第3の実施形態として、本発明を摺動型等速自在継手の一つであるダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)に適用した実施形態を示す。
この等速自在継手は、外側継手部材である外輪15、内側継手部材である内輪17、ボール18、ケージ19で主要部が構成される。外輪15の円筒状の内周面には軸方向に延びる複数の直線状トラック溝15aが形成され、内輪17の球面状外周面には外輪15のトラック溝15aと対をなす複数の直線状トラック溝17aが形成される。これらの外輪15のトラック溝15aと内輪17のトラック溝17aとの間には3個、4個、5個、6個、7個あるいは8個の何れかの個数のボール18が介在され、このボール18はケージ19のポケット19aで保持される。この等速自在継手は回転トルクが発生して外軸20が回転すると、これに従動して軸21がボール18を介して回転する。
さて、本実施形態では、外輪15の内部には、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤22が、ボール18を囲繞する空間、つまり外輪15のトラック溝15aと内輪17のトラック溝17aとで形成される空間の内、その軸方向位置がケージ19のポケット19aで規制される領域に封入される。なお、本実施形態の作用及び効果については、図1(A)に示す第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図2(B)に第4の実施形態として、図2(A)と同様、本発明をダブルオフセット型等速自在継手に適用した実施形態を示す。
本実施形態では、外輪15のトラック溝15aを含む空間と内輪17のトラック溝17aを含む空間の両方またはいずれか一方の空間に、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤22aが封入される。なお、本実施形態の作用及び効果については、図1(B)に示す第2の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図3(A)に本発明の第5の実施形態として、本発明を摺動型等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手(LJ)に適用した実施形態を示す。
この等速自在継手は、外側継手部材である外輪31、内側継手部材である内輪32、ボール33、ケージ34で主要部が構成される。内輪32の中心孔35にスタブシャフト36がスプライン嵌合されており、このスプライン嵌合により、内輪32とスタブシャフト36との間でのトルク伝達が可能となっている。なお、スタブシャフト36は、スナップリング37により抜け止めされている。
外輪31の内周面には複数の直線状トラック溝31aが形成され、内輪32の外周面には、複数の直線状トラック溝32aが形成され、かつ、外輪31のトラック溝31aと内輪32のトラック溝32aとが軸線に対して互いに逆方向に所定角度傾斜した構造を成す。これらの外輪31のトラック溝31aと内輪32のトラック溝32aの交叉部には4個、6個、8個あるいは10個の何れか個数のボール33が介在され、このボール33は外輪31と内輪32との間に位置するケージ34のポケット34aで保持される。
また、外輪31の軸方向一端側には、継手内部に充填したグリースの漏出を防ぐと共に、異物の侵入を防止するためのエンドプレート38がスタブシャフト36の挿嵌側からボルト(図示省略)で締め付けて固定されている。一方、外輪31の軸方向他端側とスタブシャフト36の間には密封装置が装着されている。
この密封装置は、ブーツ39と金属製のブーツアダプタ40とからなる。ブーツ39は小端部と大端部を有し、中間にてU字型に折り返した形状になっている。但し、この形状に限られたものではなく、例えば、蛇腹状を成した形状のブーツなど、種々のものが適用可能である。ブーツアダプタ40は円筒形で、一端に外輪31の外周面と嵌合するフランジを有し、エンドプレート38と共にスタブシャフト36の挿嵌側からボルト締めにより固定される。ブーツ39の小端部は、スタブシャフト36に嵌合され、さらにブーツバンド41にて固定されており、大端部は、ブーツアダプタ40のフランジ側とは反対の端部に加締めて固定される。但し、この固定方法に限られたものではなく、例えば、ブーツバンドにて固定されても良い。
さて、本実施形態では、外輪31の内部には、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤42が、ボール33を囲繞する空間、つまり外輪31のトラック溝31aと内輪32のトラック溝32aとで形成される空間の内、その軸方向位置がケージ34のポケット34aで規制される領域に封入される。なお、本実施形態の作用及び効果については、図1(A)に示す第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図3(B)に本発明の第6の実施形態として、図3(A)と同様、本発明をクロスグルーブ型等速自在継手に適用した実施形態を示す。
本実施形態では、外輪31のトラック溝31aを含む空間と内輪32のトラック溝32aを含む空間の両方またはいずれか一方の空間に、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤42aが封入される。なお、本実施形態の作用及び効果については、図1(B)に示す第2の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図4(A)に、本発明の第7の実施形態として、本発明を摺動型等速自在継手の一つであるトリポード型等速自在継手(TJ)に適用した実施形態を示す。
この等速自在継手は、外側継手部材である外輪50、内側継手部材であるトリポード部材53、ローラ54、脚軸55で主要部が構成される。外輪50の内周面には軸方向に延びる3本の直線状トラック溝52が形成される。トリポード部材53は径方向に突設された三本の脚軸55を有する。この脚軸55にローラ54が回転自在に支持され、このローラ54が外輪50のトラック溝52に転動自在に挿入されてトラック溝52に沿って案内される。また、トリポード部材53の中心孔には軸56がスプライン嵌合により挿嵌され、この軸56から外輪50の開口端に亙ってブーツ57が取り付けられ、この取り付け部はブーツバンド58、59で締め付け固定される。
さて、本実施形態では、外輪50の内部には、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤60が、ローラ54を囲繞する空間、つまり外輪50のトラック溝52に収容されたトリポード部材53の脚軸55及びローラ54を囲繞する空間に封入される。
本実施形態では、多孔性固形潤滑剤60が、外輪50のトラック溝52に収容されたトリポード部材53の脚軸55及びローラ54を囲繞する空間に封入されるため、多孔性固形潤滑剤60の使用が必要最小限で済み、製造コストの低減が可能となる。そして、もしブーツ57が破損した場合でも、等速自在継手内部の潤滑を保持することができる。さらに、トルク伝達の際、外輪50のトラック溝52と接触して摩擦抵抗を受けるローラ54及び脚軸55に潤滑剤が封入されるため、トルク伝達を円滑にすることができる。
図4(B)に本発明の第8の実施形態として、図4(A)と同様、本発明をトリポード型等速自在継手に適用した実施形態を示す。
本実施形態では、外輪50のトラック溝52を含む空間に、潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤60aが封入される。
本実施形態では、多孔性固形潤滑剤60aが、外輪50のトラック溝52が形成する空間に封入されるため、もしブーツ57が破損した場合でも、等速自在継手内部の潤滑を保持することができる。さらに、トルク伝達の際、外輪50のトラック溝52と接触して摩擦抵抗を受けるローラ54及び脚軸55そしてローラ54が移動するトラック溝52に多孔性固形潤滑材60aが封入されるため、トルク伝達を円滑にすることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらの実施形態はあくまで例示であり、特許請求の範囲に記載の意味及び範囲内の全ての事項を含む。
例えば、本発明に係る多孔性固形潤滑剤の潤滑成分として潤滑油、グリース、ワックスなどを混合して使用できることから、本発明の実施の形態は、グリースなどの潤滑剤と併用して適用することができる。
以下に実施例および比較例に使用の原料を列挙し、固形潤滑剤の組成と測定結果を表1に示した。
(a)ウレタンプレポリマー(ダイセル化学工業社製:プラクセルEP−1130)
(b)アミン系硬化剤(イハラケミカル社製:イハラキュアミンMT)
(c)水(イオン交換水)
(d)シリコーン系整泡剤(東レダウ社製:SRX298)
(e)ウレア系グリース(新日本石油社製:パイロノックユニバーサルN6C)
(f)イソシアネート(日本ポリウレタン社製:コロネートT80)
(g)ポリエーテルポリオール(旭硝子社製:プレミノールSX4004)
(h)アミン系触媒(東ソー社製:TOYOCAT DB2)
(i)潤滑油(新日本石油社製:タービン100)
[実施例1]
図1(A)に示すように、等速自在継手(NTN社製:EBJ82)の外輪1に、内輪3、ケージ5およびボール4を組み付けた。別途、表1に示す成分量(組成)で、ウレタンプレポリマーにシリコーン系整泡剤とウレアグリースを加え、120℃でよく攪拌した。これにアミン系硬化剤を加え、攪拌した後、発泡剤としての水を加え、ボール4を囲繞する空間、つまり外輪1のトラック溝1aと内輪3のトラック溝3aとで形成される空間の内、その軸方向位置がケージ5のポケット5aで規制される領域に固形潤滑剤を充填発泡させると共に、これを120℃に設定された恒温槽に1時間放置して硬化させ、多孔性固形潤滑剤10を保持した等速自在継手を得た。
[実施例2]
表1に示す成分量(組成)で、ポリエーテルポリオールにシリコーン系整泡剤、鉱油、
アミン系触媒、発泡剤としての水を加え、90℃で加熱しよく攪拌した。これにイソシアネートを加えてよく攪拌し、ボール4を囲繞する空間、つまり外輪1のトラック溝1aと内輪3のトラック溝3aとで形成される空間の内、その軸方向位置がケージ5のポケット5aで規制される領域に固形潤滑剤を充填発泡させると共に、90℃に設定した恒温槽で15分放置し、多孔性固形潤滑剤10を保持した等速自在継手を得た。
[比較例1]
表1に示す成分量(組成)で非発泡潤滑剤を用いたこと以外は実施例1と全く同様にし
て固形潤滑剤を保持した等速自在継手を得た。
[比較例2]
表1に示す成分(組成)のうち、鉱油を除く組成で実施例2と同じ方法で発泡体を合成した。油は後から含浸させ、後含浸型の発泡潤滑剤を保持した等速自在継手を得た。これら実施例1〜2、比較例1〜2で得られた発泡体について、発泡後体積を発泡前体積で除した値を発泡倍率として求め、表1に示した。
得られた実施例と比較例の等速自在継手について、トルク245Nm,角度6deg,回転速度1000r/minの条件で耐久試験を行ない、10時間回転させた後の固形潤滑剤の破損や破壊の程度を目視および光学顕微鏡を用いた観察によって評価した。その結果は、○印:破損や破壊がなく継続使用が可能であったもの、△印:固形潤滑剤は破壊されなかったが油分離量が過剰であったもの、×印:固形潤滑剤の破損または破壊があり継続使用が不可能であったもの、と評価し、記号で表1に示した。
表1に示した結果からも明らかなように、非発泡性の固形潤滑剤を充填した比較例1よりも、同じ組成でも発泡固形潤滑剤を充填した実施例1の方が、潤滑剤に破損や破壊がなく継続して長時間使用可能な耐久性を備えたものとなった。
また、同組成の発泡樹脂でも鉱油を後含浸工程のみで保持させた固形潤滑剤を用いた比較例2は、発泡と同時に鉱油を樹脂内に吸蔵させた固形潤滑剤を用いた実施例2に比べて同じ遠心力下での油分離量が多く、潤滑に寄与しない過剰な油が供給されたことがわかる。一方、実施例2の等速自在継手は、反応型の固形潤滑剤に、潤滑成分が樹脂内部に充分に吸蔵されていて、遠心力が作用しても適度の油分離速度であり長時間の使用が可能な耐久性を備えていることがわかる。
また、これら実施例と比較例からは、発泡と同時の反応型の含浸によって潤滑成分が樹脂の内部に吸蔵され、単に発泡樹脂成形体を潤滑油に含浸することによって、気泡内に潤滑油を保持した場合よりも吸蔵による油保持力が高いことがわかる。
本発明を固定型等速自在継手の一つであるバーフィールド型等速自在継手に適用したもので、(A)は第1の実施形態を示す断面図である。(B)は第2の実施形態を示す断面図である。 本発明を摺動型等速自在継手の一つであるダブルオフセット型等速自在継手に適用したもので、(A)は第3の実施形態を示す断面図である。(B)は第4の実施形態を示す断面図である。 本発明を摺動型等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手に適用したもので、(A)は第5の実施形態を示す断面図である。(B)は第6の実施形態を示す断面図である。 本発明を摺動型等速自在継手の一つであるトリポード型等速自在継手型に適用したもので、(A)は第7の実施形態を示す断面図である。(B)は第8の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1、15、31、50 外輪(外側継手部材)
3、17、32 内輪(内側継手部材)
4、18、33 ボール(転動体)
5、19、34 ケージ
5a、19a、34a ポケット
54 ローラ(転動体)
1a、3a、15a、17a、31a、32a、52 トラック溝
55 脚軸
53 トリポード部材(内側継手部材)
10、10a、22、22a、42、42a、60、60a 多孔性固形潤滑剤

Claims (9)

  1. 内周面にトラック溝を形成した外側継手部材と、その外側継手部材の内側に配された内側継手部材と、前記外側継手部材と内側継手部材との間に介在させた転動体とを備え、
    潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤を、前記転動体を囲繞する空間に封入したことを特徴とする等速自在継手。
  2. 内周面にトラック溝を形成した外側継手部材と、その外側継手部材の内側に配された内側継手部材と、前記外側継手部材と内側継手部材との間に介在させた転動体とを備え、
    潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤を、前記外側継手部材のトラック溝を含む空間に封入したことを特徴とする等速自在継手。
  3. 内周面にトラック溝を形成した外側継手部材と、その外側継手部材の内側に配された外周面にトラック溝を形成した内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と前記内側継手部材のトラック溝との間に介在させた転動体とを備え、
    潤滑油を含む潤滑成分及び樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分が発泡して多孔質化された固形物であり、かつ前記潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる多孔性固形潤滑剤を、前記外側継手部材のトラック溝を含む空間と前記内側継手部材のトラック溝を含む空間の両方またはいずれか一方の空間に封入したことを特徴とする等速自在継手。
  4. 前記外側継手部材は、球面状の内周面に複数のトラック溝が形成され、前記内側継手部材は、球面状の外周面に前記外側継手部材のトラック溝と対をなす複数のトラック溝が形成され、前記転動体は外側継手部材のトラック溝と前記内側継手部材のトラック溝との間に介在したボールとし、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に前記ボールを保持するケージを介在させたことを特徴とする請求項1もしくは請求項3何れか記載の等速自在継手。
  5. 前記外側継手部材は、円筒状の内周面に軸方向に延びる複数の直線状トラック溝が形成され、前記内側継手部材は、球面状の外周面に前記外側継手部材のトラック溝と対をなす複数の直線状トラック溝が形成され、前記転動体は外側継手部材のトラック溝と前記内側継手部材のトラック溝との間に介在したボールとし、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に前記ボールを保持するケージを介在させたことを特徴とする請求項1もしくは請求項3何れか記載の等速自在継手。
  6. 前記外側継手部材は、内周面に複数の直線状トラック溝が形成され、前記内側継手部材は、外周面に前記外側継手部材のトラック溝と対をなす複数の直線状トラック溝が形成され、かつ、前記外側継手部材のトラック溝と前記内側継手部材のトラック溝とが軸線に対して互いに逆方向に所定角度傾斜した構造を成し、前記転動体は前記外側継手部材のトラック溝と前記内側継手部材のトラック溝との交叉部に介在したボールとし、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に前記ボールを保持するケージを介在させたことを特徴とする請求項1もしくは請求項3何れか記載の等速自在継手。
  7. 前記外側継手部材はその内周面に軸方向に延びる三本の直線状トラック溝が形成され、前記内側継手部材は、径方向に突設された三本の脚軸を有するトリポード部材であり、前記転動体は、前記脚軸に回転自在に支持されると共に前記外側継手部材のトラック溝に転動自在に挿入されて前記トラック溝に沿って案内されるローラとしたことを特徴とする請求項1もしくは請求項2何れか記載の等速自在継手。
  8. 前記ボールは、3個、4個、5個、6個、7個あるいは8個の中から選択されるいずれかの個数であることを特徴とする請求項4もしくは請求項5何れか記載の等速自在継手。
  9. 前記ボールは、4個、6個、8個あるいは10個の中から選択されるいずれかの個数であることを特徴とする請求項6記載の等速自在継手。
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