JP5600380B2 - 潤滑システム - Google Patents
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Description
例えば、潤滑油やグリースに、超高分子量ポリオレフィン、またはウレタン樹脂およびその硬化剤を混合し、樹脂の分子間に液状の潤滑成分を保持させて徐々に染み出る物性を持たせた固形潤滑剤が知られている(特許文献1〜特許文献3参照)。
また、潤滑剤の存在下でポリウレタン原料であるポリオールとジイソシアネートを潤滑成分中で反応させた自己潤滑性のポリウレタンエラストマーが知られている(特許文献4参照)。
このような固形潤滑剤は、軸受に封入して固化させると、潤滑油を徐々に染み出させるものであり、これを用いると潤滑油の補充のためのメンテナンスが不要になり、水分の多い厳しい使用環境や強い慣性力の働く環境などでも軸受寿命の長期化に役立てることを狙ったものである。
しかし、固形潤滑剤の強度と充填率は通常、補償的なものであるので、潤滑剤を高充填率で保持することが困難であり、長寿命化を妨げる可能性がある。
そのため、圧縮や屈曲などの外部応力が高い頻度で繰り返し起こるような部位においても簡便に使用可能な固形潤滑剤が求められている。
この固形潤滑剤として、例えば、発泡して連通気孔を形成した柔軟な樹脂に潤滑油を含浸し、その気孔内に潤滑油を保持させた含油発泡体も軸受や等速ジョイントの内部に充填して使用されることが知られている(特許文献5参照)。
このような固形潤滑剤から余剰に染み出した潤滑油は、ゴムなどの外装材に接すると、その素材を潤滑油やその添加剤が化学的に腐食または劣化させるものもある。
また、該潤滑剤を製造する工程では、潤滑油やグリースを確実に含浸させるために多くの製造工程が必要になり、これでは低コスト化の要求に応えることも困難である。
しかし、特許文献6の発泡潤滑剤も使い方によっては外力や温度上昇による潤滑剤の放出が少ない場合がある。また、耐久性を考慮すると樹脂成分からの潤滑成分の放出は必要最小限であることが望ましい。潤滑成分の放出速度が小さければ、摺動部に必要量の潤滑剤が到達する速度は遅くなる。そのため、潤滑剤が枯渇状態となり摺動部でも摩耗や潤滑不良を引き起こす場合がある。
また、上記ワックスが、脂肪酸アミドおよび水素硬化油から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする。なお、本発明においてワックスは常温では固体で、加熱すれば比較的低粘度な液体となる物をいう。
また、上記発泡固形潤滑剤は、発泡・硬化して多孔質化する樹脂がゴム状弾性を有し、該樹脂内に含まれる潤滑成分がゴム状弾性体の変形により滲出性を有することを特徴とする。
また、上記発泡・硬化して多孔質化する樹脂の発泡倍率が、1.1 倍〜100 倍であることを特徴とする。
上記ウレタンプレポリマーは、エステル系ウレタンプレポリマー、カプロラクトン系ウレタンプレポリマー、およびエーテル系ウレタンプレポリマーから選ばれた少なくとも1つのウレタンプレポリマーであることを特徴とする。
また、上記水の水酸基と、上記硬化剤の官能基との割合が当量比で(水の水酸基/硬化剤の官能基)=1/(0.7〜2.0)の範囲であることを特徴とする。
また、上記硬化剤が芳香族ポリアミノ化合物であることを特徴とする。
また、上記芳香族ポリアミノ化合物がアミノ基の隣接位に置換基を有する芳香族ポリアミノ化合物であることを特徴とする。
また、上記混合物は、摺動部材の周囲、または成形用型内に充填された後に、発泡・硬化されてなることを特徴とする。
このため、発泡固形潤滑剤が封入される軸受や自在継手等の機械要素における摺動部等において潤滑剤が(流出しないために)不足することなく継続して潤滑機能を十分に果たすことができる。
なお、潤滑成分が発泡・硬化した樹脂内に吸蔵されるとは、後述する潤滑油やグリースなどの液体・半固体状の潤滑成分が発泡・硬化した樹脂や硬化剤と反応することなく、化合物にならないで含まれることをいう。
図2に示すように軸受11は、内輪12と、内輪12と同心に配置された外輪13と、これら内、外輪間に介在する複数個の転動体14と、この複数個の転動体14を保持する保持器15と、外輪13等に固定されるシール部材16とにより構成される。発泡固形潤滑剤17が、内輪12と、外輪13と、転動体14と、シール部材16とに囲まれた空間に配置され、グリースに所定のワックスを配合してなる補助潤滑用グリース18が、転がり部である転動体14の近傍に配置される形で、発泡固形潤滑剤17と、補助潤滑用グリース18とが軸受内部において共存している。
また、本発明に用いる発泡固形潤滑剤は潤滑成分と、樹脂成分とを含む混合物を発泡・硬化させるだけであるので、特別な設備も不要であり、任意の場所に充填して成形することが可能である。
また、上記混合物の配合成分の配合量をコントロールすることにより発泡固形潤滑剤の密度を変化させることができる。
発泡・硬化は、樹脂生成時に発泡・硬化させる形式であっても、樹脂に発泡剤を配合して成形時に発泡・硬化させる形式であってもよい。ここで硬化は架橋反応および/または液状物が固体化する現象を意味する。また、ゴム状弾性とは、ゴム弾性を意味するとともに、外力により加えられた変形がその外力を無くすことにより元の形状に復帰することを意味する。
この発泡固形潤滑剤は、上記ウレタンプレポリマーが発泡・硬化して多孔質化された固形物であり、かつ潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる発泡固形潤滑剤である。この発泡固形潤滑剤は潤滑成分保持力に優れ、外力による変形を受けても潤滑成分の滲み出し量を必要最小限に抑制し、かつ安価に製造できる。
反応するモノマー(=活性水素基を有する化合物)の種類によって、カプロラクトン系、エステル系、エーテル系などに分類される。エーテル系にはタケネートL−1170(三井化学ポリウレタン社製)、L−1158(三井化学ポリウレタン社製)、コロネート4090(日本ポリウレタン社製)がある。また、エステル系としてはコロネート4047(日本ポリウレタン社製)などがあり、カプロラクトン系にはタケネートL-1350(三井化学ポリウレタン社製)、タケネートL-1680(三井化学ポリウレタン社製)、サイアナプレン7−QM(三井化学ポリウレタン社製)、プラクセルEP1130(ダイセル化学工業社製)などが挙げられる。
また、末端基をイソシアネート基に変性したオリゴマーやプレポリマー化合物も使用することが出来る。このような化合物としては末端イソシアネート変性ポリエーテルポリオールや水酸基末端ポリブタジエンのイソシアネート変性体が挙げられる。末端イソシアネート変性ポリエーテルポリオールにはコロネート1050(日本ポリウレタン社製)などが挙げられる。また、水酸基末端ポリブタジエンのイソシアネート変性体には poly-bd MC50(出光興産社製)や poly-bd HTP9(出光興産社製)が挙げられる。
これらウレタンプレポリマーは目的とする機械的性質などに応じて 2 種類以上を混合して使用することができる。
また、イソシアネート基は、フェノール類、ラクタム類、アルコール類、オキシム類などのブロック剤でイソシアネート基をブロックしたブロックイソシアネート等を使用することができる。
ポリアミノ化合物としては、3,3′-ジクロロ-4,4′-ジアミノジフェニルメタン(以下、MOCAと記す)、3,3′-ジメチル-4,4′-ジアミノジフェニルメタン、3,3′-ジメトキシ-4,4′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノ-3,3′-ジエチル-5,5′-ジメチルジフェニルメタン、トリメチレン-ビス-(4-アミノベンゾアート)、ビス(メチルチオ)-2,4-トルエンジアミン、ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミン、メチルチオトルエンジアミン、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミンに代表される芳香族ポリアミノ化合物が挙げられる。
ウレタンプレポリマーに含まれるイソシアネート基と硬化剤のアミノ基(−NH2 )または水酸基(−OH)、そして発泡剤である水の水酸基(−OH)との割合で発泡固形潤滑剤の発泡倍率や柔軟性、弾力性等が定まる。硬化剤のアミノ基(−NH2 )または水酸基(−OH)とウレタンプレポリマーのイソシアネート基(−NCO)とを当量で反応させると、発泡剤である水と反応するイソシアネート基(−NCO)が消失してしまうため、(硬化剤の官能基/NCO)=1/(1.1〜2.5)の範囲が好ましい。また、発泡剤である水の水酸基と、硬化剤の官能基との割合が当量比で(水の水酸基/硬化剤の官能基)=1/(0.7〜2.0)の範囲である。
上記範囲よりも硬化剤の量が少なくなると発泡固形潤滑剤の強度等の物性が著しく低下するばかりでなく、ウレタンエラストマーとして硬化しない場合もある。
炭化水素系潤滑油としては、パラフィン系やナフテン系の鉱物油、炭化水素系合成油、GTL基油等が挙げられる。これらは単独でも混合油としても使用できる。また、エステル系合成油、エーテル系合成油、フッ素油、シリコーン油等も使用することができる。これらは単独でも混合油としても使用できる。
炭化水素系グリースは炭化水素油を基油とするグリースであり、基油としては上述の炭化水素系潤滑油を挙げることができる。増ちょう剤としては、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、カルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウム石けん、アルミニウムコンプレックス石けん等の石けん類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。ジウレア化合物はジイソシアネートとモノアミンの反応で、ポリウレア化合物はジイソシアネートとポリアミンの反応で、それぞれ得られる。また、エステル系合成油、エーテル系合成油、GTL基油、フッ素油、シリコーン油等を基油としたグリースも使用できる。
また、必要に応じて触媒を使用することが好ましく、例えば、3級アミン系触媒や有機金属触媒などが用いられる。3級アミン系触媒としてはモノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類、イミダゾール誘導体、酸ブロックアミン触媒などが挙げられる。
また、有機金属触媒としてはスタナオクタエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマレエート、ジオクチルチンジメルカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレート、オクテン酸塩などが挙げられる。また、反応のバランスを整えるなどの目的でこれら複数種類を混合して用いてもよい。
上記潤滑成分の配合割合は、混合物全体に対して、 30〜70 重量%、好ましくは 40〜60 重量%である。潤滑成分が 30 重量%未満であると、潤滑油などの供給量が少なく発泡固形潤滑剤としての機能を発揮できず、70 重量%より多いときには固化しない場合がある。
上記混合物は、市販のシリコーン系整泡剤などの界面活性剤を使用し、各原料分子を均一に分散させておくことが好ましい。また、この整泡剤の種類によって表面張力を制御し、生じる気泡の種類を連続気泡または独立気泡に制御することが可能となる。このような界面活性剤としては陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
これに対してあらかじめ発泡体を製造しておき、これに潤滑成分を含浸させる後含浸法では潤滑成分保持力が十分でなく、短時間で潤滑剤が放出され長期的に使用すると潤滑成分が供給不足となる。
(1)発泡硬化した発泡固形潤滑剤を適当な大きさにカットし、試料Aを得る。試料Aの重量を測定する。
(2)Aを 3 時間ソックスレー洗浄(溶剤:石油ベンジン)する。その後 80℃で 2 時間恒温槽に放置し、有機溶剤を完全に乾燥させ、試料Bを得る。試料Bの重量を測定する。
(3)連続気泡率を以下の手順で算出する。
連続気泡率=(1−(試料Bの樹脂成分重量−試料Aの樹脂成分重量)/試料Aの潤滑成分重量)×100
なお、試料A、Bの樹脂成分重量、潤滑成分重量は、試料A、Bの重量に組成の仕込み割合を乗じて算出する。
連続していない独立気泡中に取り込まれた潤滑成分は 3 時間ソックスレー洗浄では外部へ放出されないため試料Bの重量を減少させることがないので、上記の操作で試料Bの重量減少分は連続気泡からの潤滑成分の放出によるものとして連続気泡率が算出できる。
さらに二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、有機モリブデン等の摩擦調整剤、アミン、脂肪酸、油脂類等の油性剤、アミン系、フェノール系などの酸化防止剤、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、ソルビタンエステルなどの錆止め剤、イオウ系、イオウ−リン系などの極圧剤、有機亜鉛、リン系などの摩耗防止剤、ベンゾトリアゾール、亜硝酸ソーダなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
形状が複雑な潤滑対象部材内の任意の部位にも容易に充填することが可能であり、発泡成形体を得るための成形金型や研削工程等も不要であることから、本発明では、混合物を発泡・硬化前に潤滑対象部材内に流し込み、該部材内において発泡・硬化させる方法を採用することが好ましい。該方法を採用することで、製造工程が簡易となり低コスト化が図れる。
なお、潤滑対象部材としては、上記等速自在継手および軸受の他、ボールねじ、リニアガイド、球面ブッシュ等が挙げられる。
これらのワックスを補助潤滑用グリースへ添加するときは、選択したワックスの融点以上に補助潤滑用グリースを加熱の上、均一に混合して用いることが好ましい。
また、潤滑システムにおいて補助潤滑用グリースを封入あるいは塗布する場所は特に問わないが、潤滑対象部位の摺動部近傍に封入あるいは塗布することが好ましい。等速自在継手に用いる場合では、上述したように外方部材底部も好ましい。封入あるいは塗布された補助潤滑用グリースは潤滑対象部位の遠心力や屈曲運動により、潤滑対象部位の摺動部に徐々に移動し、潤滑に寄与することができる。
実施例1〜実施例8、比較例1および比較例2に用いる補助潤滑用グリースA〜補助潤滑用グリースHを以下の方法で作製した。
補助潤滑用グリースA
鉱油(新日本石油社製:タービン100) 83 g 中で、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアナート 9.16 g、p-トルイジン 7.84 g を反応させ、生成したジウレア系化合物を均一に分散させてベースグリースを得た。このベースグリースに、ステアリン酸アミド(花王社製:脂肪酸アマイドT 融点 97〜102℃ )を 10 重量%添加し、110℃に昇温した後よく撹拌して、補助潤滑用グリースAを得た。
補助潤滑用グリースB
鉱油(新日本石油社製:タービン100) 83 g 中で、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアナート 9.16 g、p-トルイジン 7.84 g を反応させ、生成したジウレア系化合物を均一に分散させてベースグリースを得た。このベースグリースに、ステアリン酸アミド(花王社製:脂肪酸アマイドT 融点 97〜102℃ )を 3 重量%添加し、110℃に昇温した後よく撹拌して、補助潤滑用グリースBを得た。
補助潤滑用グリースC
鉱油(新日本石油社製:タービン100) 83 g 中で、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアナート 9.16 g、p-トルイジン 7.84 g を反応させ、生成したジウレア系化合物を均一に分散させてベースグリースを得た。このベースグリースに、エチレンビスステアリン酸アミド(花王社製:脂肪酸アマイドEB−G 融点 141.5〜146.5℃ )を 5 重量%添加し、150℃に昇温した後よく撹拌して、補助潤滑用グリースCを得た。
補助潤滑用グリースD
鉱油(新日本石油社製:タービン100) 92 g 中で、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアナート 3.94 g、オクチルアミン 4.07 g を反応させ、生成したジウレア系化合物を均一に分散させてベースグリースを得た。このベースグリースに、エルカ酸アミド(花王社製:脂肪酸アマイドE 融点 79〜85℃ )を 5 重量%添加し、100℃に昇温した後よく撹拌して、補助潤滑用グリースDを得た。
鉱油(新日本石油社製:タービン100) 92 g 中で、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアナート 3.94 g、オクチルアミン 4.07 g を反応させ、生成したジウレア系化合物を均一に分散させてベースグリースを得た。このベースグリースに、オレイン酸アミド(花王社製:脂肪酸アマイドO−N 融点 70〜75℃ )を 5 重量%添加し、100℃に昇温した後よく撹拌して、補助潤滑用グリースEを得た。
補助潤滑用グリースF
鉱油(新日本石油社製:タービン100) 92 g 中で、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアナート 3.94 g、オクチルアミン 4.07 g を反応させ、生成したジウレア系化合物を均一に分散させてベースグリースを得た。このベースグリースに、硬化ひまし油(花王社製:カオーワックス85−P 融点 85〜87℃ )を 5 重量%添加し、100℃に昇温した後よく撹拌して、補助潤滑用グリースFを得た。
補助潤滑用グリースG
鉱油(新日本石油社製:タービン100) 83 g 中で、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアナート 9.16 g、p-トルイジン 7.84 g を反応させ、生成したジウレア系化合物を均一に分散させてベースグリースを得た。このベースグリースに、パラフィンワックス(日本精蝋社製:HNP−5 融点 62℃ )を 5 重量%添加し、80℃に昇温した後よく撹拌して、補助潤滑用グリースGを得た。
補助潤滑用グリースH
鉱油(新日本石油社製:タービン100) 83 g 中で、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアナート 9.16 g、p-トルイジン 7.84 g を反応させ、生成したジウレア系化合物を均一に分散させてベースグリースを得た。このベースグリースに、ステアリン酸アミド(花王社製:脂肪酸アマイドT 融点 97〜102℃ )を 15 重量%添加し、110℃に昇温した後よく撹拌して、補助潤滑用グリースHを得た。
最初に、図1に示す、外方部材2、内方部材1、ケージ6およびトルク伝達部材である鋼球5を組み付けた固定式8個ボールジョイントサブアッシー(NTN社製:EBJ82 外径サイズ 72.6 mm )の外方部材底部に、表1に示す補助潤滑用グリースを 5 g 封入した。次に表1に示す組成のうち(a)、(d)、(e)、(i)を 80℃でよく混合し、次に 120℃で溶解した(b)、(h)を加えて素早く混合した。最後に(c)を投入し撹拌した後、補助潤滑用グリースを封入した前述のジョイントサブアッシーに 18.0 g 封入した。数秒後に発泡反応が始まり、100℃に設定した恒温槽で 30 分間放置し硬化させ、ブーツ、シャフトなど他の部区を組み付け発泡固形潤滑剤と、補助潤滑用グリースとが内部に共存する等速自在継手の試験片を得た。得られた試験片を以下に示す耐久性試験に供し、寿命時間を測定した。また前述の連続気泡率の算出法に基づき発泡固形潤滑剤の連続気泡率を測定した。結果を表1に併記する。
目的の耐久性の向上が得られているか評価するために、等速自在継手試験片を以下の条件で実機評価を行なった。試験中に外方部材表面温度が 100℃をこえたものは、異常温度上昇として試験打ち切りとした。また、試験後に試験片内部を点検し、摩耗やピーリング等の内部損傷が見られなかったものを可と判定して「○」を、損傷が確認されたものを不可と判定して「×」を記録する。
・トルク 451 N・m
・角度 6 deg
・回転数 580 rpm
・試験時間 300 時間
最初に、図1に示す、外方部材2、内方部材1、ケージ6およびトルク伝達部材である鋼球5を組み付けた固定式8個ボールジョイントサブアッシー(NTN社製:EBJ82 外径サイズ 72.6 mm )の外方部材底部に、表1に示す補助潤滑用グリースを 5 g 封入した。表1に示す成分量(組成)で、ポリエーテルポリオールにシリコーン系整泡剤、鉱油、アミン系触媒、発泡剤としての水を加え、90℃で加熱しよく撹拌した。これにイソシアネートを加えてよく撹拌した後、補助潤滑用グリースを封入した前述のジョイントサブアッシーに 16.0 g 封入した。数秒後に発泡反応が始まり、90℃に設定した恒温槽で 15 分間放置し硬化させ、ブーツ、シャフトなど他の部区を組み付け発泡固形潤滑剤と、補助潤滑用グリースとが内部に共存する等速自在継手の試験片を得た。実施例1同様の項目を測定した。結果を表1に併記する。
表2に示す組成のうち(a)、(d)、(e)を 80℃でよく混合し、次に 120℃で溶解したアミン系硬化剤(b)を加えて素早く混合した。最後に水(c)、アミン系触媒(h)を投入し撹拌して得た混合物を、テーパ軸受(NTN社製:30204 外径サイズ 47 mm )の内部空間に充填した。数秒後に発泡反応が始まり、100℃で 30 分間放置し硬化させた後、転動体近傍に上記補助潤滑用グリース 0.3 g を注射器にて注入して(図2参照)、発泡固形潤滑剤封入軸受の試験片を得た。得られた試験片を以下に示す初期特性試験および寿命試験に供し、初期特性の発現状況および寿命時間を測定した。また前述の連続気泡率の算出法に基づき発泡固形潤滑剤の連続気泡率を測定した。これらの結果を表2に併記する。
目的の補助潤滑の1つとして初期特性が得られているか評価するために、得られた軸受試験片について、Fa=Fr=67 N の荷重を負荷し、80℃で 5000 rpm で 10 時間回転させた。試験後分解し、ローラ大端部にすべり痕が見られなかったものを可として「○」を、すべり痕が観察されたものを不可として「×」を記録する。
初期特性試験が可であったものについて、引き続き寿命試験を行なった。得られた試験片にラジアル荷重 67 N 、スラスト荷重 67 N を負荷し、80℃で 5000 rpm で回転させ、回転軸を駆動している電動機の入力電流が制限電流を超過した時(回転トルクが始動トルクの 2 倍をこえた時)までの寿命時間を測定した。
表2に示す組成でポリエーテルポリオール(g)にシリコーン系整泡剤(d)、潤滑油(i)、アミン系触媒(h)、発泡剤としての水(c)を加え、90℃で加熱しよく撹拌した。これにイソシアネートを加えてよく撹拌して得た混合物を、テーパ軸受(NTN社製:30204 外径サイズ 47 mm )の内部空間に充填した。数秒後に発泡反応が始まり、90℃で 15 分間放置し硬化させた後、転動体近傍に上記補助潤滑用グリース 0.3 g を注射器にて注入して(図2参照)、発泡固形潤滑剤封入軸受の試験片を得た。実施例9同様の項目を測定した。結果を表2に併記する。
表2に示す組成で実施例9および実施例10と同様の手順で軸受試験片を作成したが、補助潤滑用グリースは封入しなかった。実施例9同様の項目を測定した。結果を表2に併記する。
表2に示す組成で実施例11および実施例12と同様の手順で軸受試験片を作成したが、補助潤滑用グリースは封入しなかった。実施例9同様の項目を測定した。結果を表2に併記する。
2 外方部材
3 内方部材側トラック溝
4 外方部材側トラック溝
5 鋼球
6 ケージ
7 シャフト
8 ブーツ
9 発泡固形潤滑剤
10 補助潤滑用グリース
11 深溝玉軸受
12 内輪
13 外輪
14 転動体
15 保持器
16 シール部材
17 発泡固形潤滑剤
18 補助潤滑用グリース
Claims (10)
- 発泡・硬化して多孔質化する樹脂内に潤滑成分を含んでなる発泡固形潤滑剤と、補助潤滑用グリースとが潤滑対象部位に共存する潤滑システムであって、
前記発泡固形潤滑剤の連続気泡率が 50%以上であり、
前記補助潤滑用グリースは、融点が 70〜150℃であるワックスを少なくとも含有し、該ワックスが脂肪酸アミドおよび水素硬化油から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする潤滑システム。 - 前記発泡固形潤滑剤は、前記発泡・硬化して多孔質化する樹脂がゴム状弾性を有し、該樹脂内に含まれる潤滑成分がゴム状弾性体の変形により滲出性を有することを特徴とする請求項1記載の潤滑システム。
- 前記発泡・硬化して多孔質化する樹脂の発泡倍率が、1.1〜100 倍であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の潤滑システム。
- 前記発泡固形潤滑剤は、潤滑成分と、前記樹脂と、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させてなり、
前記潤滑成分は潤滑油およびグリースから選ばれた少なくとも1つであり、
前記樹脂が分子内にイソシアネート基を 2 重量%以上 6 重量%未満含有するウレタンプレポリマーであり、
前記発泡剤が水であり、
前記混合物は、混合物全体に対して、前記潤滑成分を 30〜70 重量%含、発泡後の連続気泡率が 50%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項記載の潤滑システム。 - 前記ウレタンプレポリマーは、エステル系ウレタンプレポリマー、カプロラクトン系ウレタンプレポリマー、およびエーテル系ウレタンプレポリマーから選ばれた少なくとも1つのウレタンプレポリマーであることを特徴とする請求項4記載の潤滑システム。
- 前記イソシアネート基と、該イソシアネート基と反応する前記硬化剤の官能基との割合が当量比で(硬化剤の官能基/NCO)=1/(1.1〜2.5)の範囲であることを特徴とする請求項4または請求項5記載の潤滑システム。
- 前記水の水酸基と、前記硬化剤の官能基との割合が当量比で(水の水酸基/硬化剤の官能基)=1/(0.7〜2.0)の範囲であることを特徴とする請求項4、請求項5または請求項6記載の潤滑システム。
- 前記硬化剤が芳香族ポリアミノ化合物であることを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれか一項記載の潤滑システム。
- 前記芳香族ポリアミノ化合物がアミノ基の隣接位に置換基を有する芳香族ポリアミノ化合物であることを特徴とする請求項8記載の潤滑システム。
- 前記混合物は、摺動部材の周囲、または成形用型内に充填された後に、発泡・硬化されてなることを特徴とする請求項4ないし請求項9のいずれか一項記載の潤滑システム。
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