JP2008069330A - 潤滑剤供給材および直動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボールねじ等の直動装置の潤滑性能を向上できるとともに、シール性を向上できる潤滑剤供給材、および、それを用いた直動装置を提供する。
【解決手段】ボールねじのねじ軸1とナット3との間に介在し、ねじ軸1に摺接するシール部材6であって、該シール部材6は、潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、樹脂成分を発泡・硬化して多孔質化した固形物であり、かつ潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなり、上記樹脂成分がゴム状弾性を有する樹脂またはゴムからなり、外力による変形により潤滑成分の滲出性を有し、上記樹脂成分の発泡倍率が、1.1〜100 倍である。
【選択図】図1
【解決手段】ボールねじのねじ軸1とナット3との間に介在し、ねじ軸1に摺接するシール部材6であって、該シール部材6は、潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、樹脂成分を発泡・硬化して多孔質化した固形物であり、かつ潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなり、上記樹脂成分がゴム状弾性を有する樹脂またはゴムからなり、外力による変形により潤滑成分の滲出性を有し、上記樹脂成分の発泡倍率が、1.1〜100 倍である。
【選択図】図1
Description
本発明は、ボールねじ、リニアガイド、プリンタキャリッジ等の直動装置用の潤滑剤供給材およびこれを用いた直動装置に関し、特に潤滑剤供給材をシール部材として用いたボールねじに関する。
一般に、ボールねじは、ねじ軸の外周面に設けたらせん状の溝と、ボールナットの内周面に設けたらせん状の溝との間に、所定数のボールを配し、上記ねじ軸またはボールナットの回転運動を上記ボールを介して、上記ボールナットまたはねじ軸の運動に変換するものである。このボールねじには、その内部に充填した潤滑剤の洩出、または外部からの異物の侵入を防止するため、ボールねじ両端部のねじ軸とボールナットの間にシール部材が設けられている。このシール部材は一般的に超高分子量ポリエチレン樹脂等のプラスチック材を成形して製造されている。
従来の潤滑油またはグリース潤滑方式のボールねじは、特に高温の環境で使用されるような場合には、ナット内部に充填されている潤滑剤が外部に流れ出してしまうため消耗が早くて短期間に補給を繰り返さなければならないという問題点がある。また、粉塵や水滴等の内部侵入を防止するため、シール部材をナットの端部に取り付けると、ねじ軸とシール部材との摩擦・摩耗が発生してトルクが上昇するという問題点がある。
従来の潤滑油またはグリース潤滑方式のボールねじは、特に高温の環境で使用されるような場合には、ナット内部に充填されている潤滑剤が外部に流れ出してしまうため消耗が早くて短期間に補給を繰り返さなければならないという問題点がある。また、粉塵や水滴等の内部侵入を防止するため、シール部材をナットの端部に取り付けると、ねじ軸とシール部材との摩擦・摩耗が発生してトルクが上昇するという問題点がある。
これらの問題点を解決するために、シール部材として潤滑油含有ポリマー(または含油樹脂成形体)を用いたボールねじが知られている(特許文献1〜特許文献3参照)。また、シール性を高めるために、該シール部材をねじ軸のねじ溝面と摺接させることを特徴としたボールねじが知られている(特許文献4参照)。また、シール性や潤滑性を高めるために、該シール部材をボールと接触させることを特徴としたボールねじが知られている(特許文献5参照)。
このような潤滑油含有ポリマー(または含油樹脂成形体)(以下、まとめて固形潤滑剤と記す)は潤滑油を徐々に染み出させるものであり、ボールねじ用シール部材等に用いると潤滑油の補充のためのメンテナンスが不要になり、水分の多い厳しい使用環境や強い慣性力の働く環境などでも寿命の長期化に役立つ場合が多い。
このような潤滑油含有ポリマー(または含油樹脂成形体)(以下、まとめて固形潤滑剤と記す)は潤滑油を徐々に染み出させるものであり、ボールねじ用シール部材等に用いると潤滑油の補充のためのメンテナンスが不要になり、水分の多い厳しい使用環境や強い慣性力の働く環境などでも寿命の長期化に役立つ場合が多い。
しかしながら、上記した従来技術による固形潤滑剤をシール部材として用いたボールねじでは、固形潤滑剤が焼成時に収縮することから、固体潤滑剤がねじ軸やボールを抱え込んでしまうためトルクが大きい、若干の隙間が生じるため外部からの異物等の侵入を完全に防ぐことができない、そして固形潤滑剤からの油の滲み出し量が少ないために潤滑性能に劣るという欠点がある。
実開平7−4952号公報
特開平10−273643号公報
特開平11−335657号公報
特開平11−201258号公報
特開平11−223260号公報
本発明は、このような問題点に対処するためになされたものであり、ボールねじ等の直動装置の潤滑性能を向上できるとともに、シール性を向上できる潤滑剤供給材、および、それを用いた直動装置を提供することを目的とする。
本発明の潤滑剤供給材は、案内部材に沿って直線移動する直動装置に、上記案内部材に接触して配設される潤滑剤供給材であって、該潤滑剤供給材は、潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、上記樹脂成分を発泡・硬化して多孔質化した固形物であることを特徴とする。
上記樹脂成分は、ゴム状弾性を有する樹脂またはゴムからなり、外力による変形により潤滑成分の滲出性を有することを特徴とする。
また、上記樹脂成分の泡倍率が、1.1〜100 倍であることを特徴とする。
また、上記樹脂成分の泡倍率が、1.1〜100 倍であることを特徴とする。
上記潤滑剤供給材は、ボールねじのねじ軸とボールねじナットとの間に介在し、ねじ軸に摺接するボールねじ用シール部材として用いられることを特徴とする。
本発明の直動装置は、案内部材に沿って直線移動する直動装置において、上記案内部材に接触して配設された潤滑剤供給材を備えてなる直動装置であって、上記本発明の潤滑剤供給材を用いることを特徴とする。
また、上記直動装置は、外周面にらせん状のねじ溝を有する案内部材であるねじ軸と、内周面に上記ねじ軸に対応するらせん状のねじ溝を有するボールねじナットと、上記両ねじ溝間に介在する複数のボールと、上記ねじ軸、上記ボールねじナット間に介在し、ねじ軸に摺接する潤滑剤供給材からなるボールねじ用シール部材とを備えたボールねじであることを特徴とする。
また、上記直動装置は、外周面にらせん状のねじ溝を有する案内部材であるねじ軸と、内周面に上記ねじ軸に対応するらせん状のねじ溝を有するボールねじナットと、上記両ねじ溝間に介在する複数のボールと、上記ねじ軸、上記ボールねじナット間に介在し、ねじ軸に摺接する潤滑剤供給材からなるボールねじ用シール部材とを備えたボールねじであることを特徴とする。
本発明の潤滑剤供給材は、発泡体であり変形量を大きくとることができるので、ねじ軸等の案内部材に確実に密着させるためのしめしろを設定しやすく、外部からの塵・水分等の侵入に対しては隙間を作らずシールの役割を果たす。また、弾性により確実なシール性は確保されるが、発泡体で弾性率が高いため高接触によるトルクの増大には繋がらない。さらに、多少の変形を持ってねじ軸のねじ溝(ボール転走面)等に密着するので、樹脂内部に吸蔵した潤滑成分がボール転走面等に供給されやすく、潤滑成分は徐放されるため、潤滑成分の供給が長期間に渡って確実に行なわれる。
これらの結果、本発明の潤滑剤供給材は、ボールねじ等の直動装置の潤滑性能を向上させるとともに、シール性を向上させることができ、長寿命化を図ることができる。
これらの結果、本発明の潤滑剤供給材は、ボールねじ等の直動装置の潤滑性能を向上させるとともに、シール性を向上させることができ、長寿命化を図ることができる。
本発明の直動装置は、上記の潤滑剤供給材を用いるので、ボール転走面等の摺動面への潤滑剤の供給が長期間に渡って確実に行なわれるとともに、シール性を確保でき、長寿命となる。
本発明の潤滑剤供給材であるボールねじ用シール部材は、樹脂成分および潤滑成分を必須成分とし、上記樹脂成分を発泡・硬化して多孔質化した固形物であり、かつ潤滑成分が発泡・硬化した固形成分(樹脂)内部に吸蔵されるので、樹脂の柔軟性により、ボールねじの回転等の外力による変形により潤滑剤を染み出させて樹脂の分子間から外部に徐放できる。この際、染み出す潤滑油等の量は、外力の大きさに応じて弾性変形する程度を樹脂の選択などによって変えることにより、必要最小限にすることができる。なお、本発明において「吸蔵」とは、液体・半固体状の潤滑成分が他の配合成分と反応することなく、固体の樹脂中に化合物にならないで含まれることをいう。
また、ボールねじ用シール部材において樹脂成分は、発泡により表面積が大きくなっており、染み出した余剰の潤滑油を再び発泡体の気泡内に一時的に保持することもできて染み出す潤滑油量は安定しており、また樹脂内に潤滑油を吸蔵させるとともに気泡内に含浸させることによって非発泡の状態より潤滑油の保持量も多くなる。
さらに発泡させることにより、非発泡状態と比較して大幅な軽量化が可能となり、設計上の自由度を向上させることができる。
また、ボールねじ用シール部材において樹脂成分は、発泡により表面積が大きくなっており、染み出した余剰の潤滑油を再び発泡体の気泡内に一時的に保持することもできて染み出す潤滑油量は安定しており、また樹脂内に潤滑油を吸蔵させるとともに気泡内に含浸させることによって非発泡の状態より潤滑油の保持量も多くなる。
さらに発泡させることにより、非発泡状態と比較して大幅な軽量化が可能となり、設計上の自由度を向上させることができる。
本発明の直動装置としてボールねじおよびボールねじ用シール部材の一例を図1に基づいて説明する。図1はボールねじおよびボールねじ用シール部材を示す断面図である。
本発明のボールねじは、図1に示すように、案内部材であるねじ軸1の外周面に形成したねじ溝2と、ボールナット3の内周面に形成したねじ溝4の間に複数のボール5を介在させたものであり、ねじ軸1またはボールナット3の回転動力をボール5を介してボールナット3(またはねじ軸1)に伝達し、ボールナット3を軸方向に移動させるものである。
本発明のボールねじは、図1に示すように、案内部材であるねじ軸1の外周面に形成したねじ溝2と、ボールナット3の内周面に形成したねじ溝4の間に複数のボール5を介在させたものであり、ねじ軸1またはボールナット3の回転動力をボール5を介してボールナット3(またはねじ軸1)に伝達し、ボールナット3を軸方向に移動させるものである。
ボールねじ用シール部材6は、ねじ軸1、ボールねじナット3間に介在し、ねじ軸1に摺接して取り付けられ、グリースなどの潤滑成分がボールねじの周囲を汚染しないように、また、ごみ等の異物がボールねじ内の摺動部に浸入しないようにシールしている。ボールねじ用シール部材6は、潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、樹脂成分を発泡・硬化して多孔質化した固形物であり、かつ潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる。このため、多少の変形を持ってねじ軸1のボール転走面に密着するため、潤滑成分が転走面に供給されやすい。
本発明において潤滑剤供給材であるボールねじ用シール部材を構成する樹脂成分としては、ゴム状弾性を有する樹脂またはゴムからなり、外力による変形により潤滑成分の滲出性を有するものが好ましい。
該樹脂成分としては、樹脂(プラスチック)またはゴムなどのうち、エラストマーまたはプラストマーのいずれかまたは両方を、アロイまたは共重合成分として採用できる。
ゴムの場合は、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンエラストマー、フッ素ゴム、クロロスルフォンゴムなどの各種ゴムを採用できる。
また、プラスチックの場合は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド4,6樹脂(PA4,6)、ポリアミド6,6樹脂(PA6,6)、ポリアミド6T樹脂(PA6T)、ポリアミド9T樹脂(PA9T)などの汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックを採用できる。
該樹脂成分としては、樹脂(プラスチック)またはゴムなどのうち、エラストマーまたはプラストマーのいずれかまたは両方を、アロイまたは共重合成分として採用できる。
ゴムの場合は、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンエラストマー、フッ素ゴム、クロロスルフォンゴムなどの各種ゴムを採用できる。
また、プラスチックの場合は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド4,6樹脂(PA4,6)、ポリアミド6,6樹脂(PA6,6)、ポリアミド6T樹脂(PA6T)、ポリアミド9T樹脂(PA9T)などの汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックを採用できる。
上記プラスチックなどに限られることなく、軟質ウレタンフォーム、硬質ウレタンフォーム、半硬質ウレタンフォームなどのウレタンフォームやポリウレタンエラストマーなどを用いることもできる。
また、ウレタンやエポキシなどのプレポリマーを、モノアミンやポリアミン、ジオールやポリオール等の硬化剤を用いて硬化させたものを発泡させて用いてもよい。
また、ウレタン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリイミド系接着剤など各種接着剤を発泡および硬化させて使用することもできる。
また、ウレタンやエポキシなどのプレポリマーを、モノアミンやポリアミン、ジオールやポリオール等の硬化剤を用いて硬化させたものを発泡させて用いてもよい。
また、ウレタン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリイミド系接着剤など各種接着剤を発泡および硬化させて使用することもできる。
固形成分中には必要に応じて顔料や酸化防止剤、金属不活性剤、帯電防止剤、難燃剤、防黴剤やフィラーなどの各種添加剤を添加することができる。
本発明の潤滑剤供給材であるボールねじ用シール部材は、潤滑油などの潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、圧縮、屈曲、遠心力および温度上昇に伴う気泡の膨張などの外力によって潤滑油を外部に供給することが可能なものである。
潤滑成分を樹脂内部に吸蔵するには、潤滑油などの潤滑成分と樹脂成分とを混合して混合物とし、潤滑成分の存在下で発泡反応と硬化反応とを同時に行なわせる反応型含浸法を採用することが望ましい。このようにすると潤滑成分を樹脂内部に高充填することが可能となり、その後には潤滑成分を含浸して補充する後含浸工程を省略できる。
これに対して発泡固形体をあらかじめ成形しておき、これに潤滑油などの潤滑成分を含浸させる後含浸法だけでは、樹脂内部に充分な量の潤滑油が染み込まないので、潤滑油保持力が充分でなく、短時間で潤滑油が放出されて長期的に使用すると潤滑油が供給不足となる場合がある。このため、後含浸工程は、反応型含浸法の補助手段として採用することが好ましい。
潤滑成分を樹脂内部に吸蔵するには、潤滑油などの潤滑成分と樹脂成分とを混合して混合物とし、潤滑成分の存在下で発泡反応と硬化反応とを同時に行なわせる反応型含浸法を採用することが望ましい。このようにすると潤滑成分を樹脂内部に高充填することが可能となり、その後には潤滑成分を含浸して補充する後含浸工程を省略できる。
これに対して発泡固形体をあらかじめ成形しておき、これに潤滑油などの潤滑成分を含浸させる後含浸法だけでは、樹脂内部に充分な量の潤滑油が染み込まないので、潤滑油保持力が充分でなく、短時間で潤滑油が放出されて長期的に使用すると潤滑油が供給不足となる場合がある。このため、後含浸工程は、反応型含浸法の補助手段として採用することが好ましい。
本発明に使用できる潤滑成分は、発泡体を形成する固形成分を溶解しないものであれば種類を選ばずに使用することができる。潤滑成分としては、例えば潤滑油、グリース、ワックスなどを単独で、もしくは混合して使用できる。
潤滑油としては、パラフィン系やナフテン系の鉱物油、エステル系合成油、エーテル系合成油、炭化水素系合成油、GTL基油、フッ素油、シリコーン油等が挙げられる。これらは単独でも混合油としても使用できる。
樹脂材料と潤滑油が極性などの化学的な相性によって溶解、分散しない場合には、粘度の近い潤滑油を使用することで、物理的に混合しやすくなり、潤滑剤の偏析を防ぐことが可能となる。
潤滑油としては、パラフィン系やナフテン系の鉱物油、エステル系合成油、エーテル系合成油、炭化水素系合成油、GTL基油、フッ素油、シリコーン油等が挙げられる。これらは単独でも混合油としても使用できる。
樹脂材料と潤滑油が極性などの化学的な相性によって溶解、分散しない場合には、粘度の近い潤滑油を使用することで、物理的に混合しやすくなり、潤滑剤の偏析を防ぐことが可能となる。
グリースは、基油に増ちょう剤を加えたものであり、基油としては上述の潤滑油を挙げることができる。増ちょう剤としては、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、カルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウム石けん、アルミニウムコンプレックス石けん等の石けん類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。
ジウレア化合物は、例えばジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、へキサンジイソシアネート等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、へキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、p-トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。ポリウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等が挙げられる。
ジウレア化合物は、例えばジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、へキサンジイソシアネート等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、へキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、p-トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。ポリウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等が挙げられる。
本発明に使用するワックスとしては、炭化水素系合成ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックス、ケトン・アミン類、水素硬化油などを挙げることができる。これらのワックスに油を混合してもよく使用する油成分としては上述の潤滑油と同様のものを用いることができる。
樹脂材料と潤滑剤が極性などの化学的相性によって溶解または分散しない場合には粘度の近い潤滑油を使用することで物理的に混合しやすくなり潤滑剤の偏析を防ぐことができる。
以上述べた潤滑成分には、さらに二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、有機モリブデン等の摩擦調整剤、アミン、脂肪酸、油脂類等の油性剤、アミン系、フェノール系などの酸化防止剤、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、ソルビタンエステルなどの錆止め剤、イオウ系、イオウ-リン系などの極圧剤、有機亜鉛、リン系などの摩耗防止剤、ベンゾトリアゾール、亜硝酸ソーダなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
上記潤滑油(グリースにおいては基油)の配合割合は、潤滑成分全体に対して、潤滑油が 1 重量%〜95 重量%、好ましくは 5 重量%〜80 重量%である。潤滑油が 1 重量%未満であると、潤滑油を必要箇所に充分に供給することが困難になる。また 95 重量%より多いときには、低温でもグリースなどでは固まらずに液状のままとなり、長期間に渡って潤滑油を徐放する等の機能を果たさない場合がある。
潤滑剤供給材全体(重量)に対する潤滑成分の配合割合は、10重量%以上、80重量%未満が好ましい。80重量%以上の場合は潤滑剤が固形とならず、潤滑供給材としての機能を持たない。また、10重量%未満の場合は潤滑剤の絶対量が不足し、十分な寿命を得ることができない、または潤滑剤不足により摩擦係数が増大し摩耗の原因になる。
潤滑成分および樹脂成分を必須成分とする混合物を混合する方法としては、特に限定されることなく、例えばヘンシェルミキサー、リボンミキサー、ジューサーミキサー、ミキシングヘッド等、一般に用いられる撹拌機を使用して混合することができる。
上記混合物は、市販のシリコーン系整泡剤などの界面活性剤を使用し、各原料分子を均一に分散させておくことが望ましい。また、この整泡剤の種類によって表面張力を制御し、生じる気泡の種類を連続気泡または独立気泡に制御することが可能となる。このような界面活性剤としては陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
上記混合物は、市販のシリコーン系整泡剤などの界面活性剤を使用し、各原料分子を均一に分散させておくことが望ましい。また、この整泡剤の種類によって表面張力を制御し、生じる気泡の種類を連続気泡または独立気泡に制御することが可能となる。このような界面活性剤としては陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
樹脂成分を発泡させる手段としては、周知の発泡手段を採用すればよく、例えば、水、アセトン、ヘキサン等の比較的沸点の低い有機溶媒を加熱し、気化させる物理的手法や、窒素などの不活性ガスや空気を外部から吹き込む機械的発泡方法、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾジカルボンイミド(ADCA)等のように加熱処理や光照射によって化学分解させ、窒素ガスなどを発生させる分解型発泡剤を使用するなどの方法が挙げられる。また、原料として反応性の高いイソシアネート基を持つ化合物を使用する場合には、イソシアネート化合物と水分子との化学反応によって生じる二酸化炭素による化学的発泡を用いてもよい。
また、このような反応を伴う発泡を用いる場合には必要に応じて触媒を使用することが好ましく、例えば、3級アミン系触媒や有機金属触媒などが用いられる。3級アミン系触媒としてはモノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類、イミダゾール誘導体、酸ブロックアミン触媒などが挙げられる。
また、有機金属触媒としてはスタナオクタエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマレエート、ジオクチルチンジメルカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレート、オクテン酸塩などが挙げられる。また、反応のバランスを整えるなどの目的でこれら複数種類を混合して用いてもよい。
また、有機金属触媒としてはスタナオクタエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマレエート、ジオクチルチンジメルカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレート、オクテン酸塩などが挙げられる。また、反応のバランスを整えるなどの目的でこれら複数種類を混合して用いてもよい。
発泡・硬化時において発泡により多孔質化される際に生成させる気泡の種類は気泡が連通している連続気泡であることが好ましく、外部応力や毛細管現象によって潤滑成分を樹脂の表面から連続気泡を介して外部に直接供給するためである。気泡間が連通していない独立気泡の場合は固形成分中の潤滑油の全量が一時的に独立気泡中に隔離され気泡間での移動が困難となり、必要なときに摺動面に十分供給されない場合がある。
本発明に用いる樹脂成分の発泡倍率は 1.1 倍〜100 倍であることが好ましい。さらに好ましくは 1.1 倍〜10 倍である。なぜなら発泡倍率 1.1 倍未満の場合は気泡体積が小さく、外部応力が加わったときに変形を許容できないし、または多孔質化した固形物が硬すぎるため、外部応力に追随した変形ができないなどの不具合がある。また、100 倍をこえる場合は外部応力に耐える強度を得ることが困難となり、破損や破壊に至ることがある。
本発明において潤滑剤供給材であるボールねじ用シール部材を成形する方法としては、一般に樹脂成形に用いられる方法を含めて特に制限なく採用できる。例えば潤滑成分および樹脂成分を必須成分とする混合物をボールナット内のシール部材装着部に流し込んで発泡・硬化させる方法や、潤滑成分および樹脂成分を必須成分とする混合物を成形金型内に流し込んだ後、発泡・硬化させる方法、また常圧で発泡・硬化した後に裁断や研削等で目的の形状に後加工し、ボールナット内に組み込む方法等を挙げることができる。
これらの方法の中で裁断や研削等の後加工の必要がなく、樹脂の発泡・硬化と潤滑剤の含浸とが一度に実施可能なボールナット内のシール部材装着部に流し込んで発泡・硬化させる方法を採用することが好ましい。
これらの方法の中で裁断や研削等の後加工の必要がなく、樹脂の発泡・硬化と潤滑剤の含浸とが一度に実施可能なボールナット内のシール部材装着部に流し込んで発泡・硬化させる方法を採用することが好ましい。
本発明において、潤滑剤供給材であるボールねじ用シール部材に含浸された状態で含まれる潤滑成分は、外力による発泡体の変形によっても急激に染み出すことがなく、潤滑成分を効率よくボールねじ摺動面に染み出させて用いることができる。その結果、潤滑油量は必要最小限でよく、しかも長寿命のボールねじが得られる。このため、本発明の潤滑剤供給材であるボールねじ用シール部材は各種ボールねじに用いることができ、また潤滑剤供給材は、各種産業用機械に用いられるその他の直動装置にも好適に利用できる。
実施例1
表1に示す成分量(組成)で、ウレタンプレポリマーにシリコーン系整泡剤とウレアグリースを加え、120℃でよく攪拌した。これにアミン系硬化剤を加え、攪拌した後、発泡剤としての水を加え、120℃に設定された恒温槽に 1 時間放置して硬化させ、ボールねじ用シール部材の試験片を得た。得られた試験片について発泡倍率および反発弾性、遠心力油分離性の各項目を測定し、使用の可否を総合判定した。結果を表1に併記する。なお、反発弾性の測定方法はJIS K 6400-3に準拠した。遠心力油分離性の測定は以下に示す方法にて行なった。
表1に示す成分量(組成)で、ウレタンプレポリマーにシリコーン系整泡剤とウレアグリースを加え、120℃でよく攪拌した。これにアミン系硬化剤を加え、攪拌した後、発泡剤としての水を加え、120℃に設定された恒温槽に 1 時間放置して硬化させ、ボールねじ用シール部材の試験片を得た。得られた試験片について発泡倍率および反発弾性、遠心力油分離性の各項目を測定し、使用の可否を総合判定した。結果を表1に併記する。なお、反発弾性の測定方法はJIS K 6400-3に準拠した。遠心力油分離性の測定は以下に示す方法にて行なった。
<遠心力油分離性測定>
遠心力油分離性測定はロータ半径 75 mm、回転速度 1500 rpm の条件で 1 時間回転させたときの潤滑油充填量に対する潤滑油重量減少率を求めることによって測定した。
遠心力油分離性測定はロータ半径 75 mm、回転速度 1500 rpm の条件で 1 時間回転させたときの潤滑油充填量に対する潤滑油重量減少率を求めることによって測定した。
実施例2
表1に示す成分量(組成)で、ポリエーテルポリオールにシリコーン系整泡剤、鉱油、アミン系触媒、発泡剤としての水を加え、90℃で加熱しよく攪拌した。これにイソシアネートを加えてよく攪拌し、発泡反応を確認した後、90℃に設定した恒温槽で 15分放置し、ボールねじ用シール部材の試験片を得た。得られた試験片について、発泡倍率および遠心力油分離性の項目を測定し、使用可否の判定を行なった。結果を表1に併記する。
表1に示す成分量(組成)で、ポリエーテルポリオールにシリコーン系整泡剤、鉱油、アミン系触媒、発泡剤としての水を加え、90℃で加熱しよく攪拌した。これにイソシアネートを加えてよく攪拌し、発泡反応を確認した後、90℃に設定した恒温槽で 15分放置し、ボールねじ用シール部材の試験片を得た。得られた試験片について、発泡倍率および遠心力油分離性の項目を測定し、使用可否の判定を行なった。結果を表1に併記する。
比較例1
表1に示す成分量(組成)で、上記実施例1と同様の製造方法で試験片を得た。得られた試験片について、発泡倍率および遠心力油分離性の項目を測定し、使用可否の判定を行なった。結果を表1に併記する。
表1に示す成分量(組成)で、上記実施例1と同様の製造方法で試験片を得た。得られた試験片について、発泡倍率および遠心力油分離性の項目を測定し、使用可否の判定を行なった。結果を表1に併記する。
表1に示した結果からも明らかなように、非発泡体の比較例1よりも発泡体の実施例1および実施例2の方が、同じ運動エネルギー(慣性力下)でも弾性変形量は大きく(反発弾性率は小さく)、圧縮変形に対して形状が追従する性質が強いことがわかる。よって、本発明におけるボールねじ用シール部材は弾性変形量が大きいため、ねじ溝に摺接した状態とでき、ねじ溝(ボール転走面)への潤滑油の供給が確実に行なわれるとともに、シール性を確保できる。
本発明の潤滑剤供給材は、ボールねじ等の直動装置の潤滑性能を向上させるとともに、シール性を向上させることができ、長寿命化を図ることができるので、各種産業用機械に用いられる直動装置に好適に利用できる。
1 ねじ軸
2 ねじ溝
3 ボールナット
4 ねじ溝
5 ボール
6 シール部材
2 ねじ溝
3 ボールナット
4 ねじ溝
5 ボール
6 シール部材
Claims (6)
- 案内部材に沿って直線移動する直動装置に、前記案内部材に接触して配設される潤滑剤供給材であって、
前記潤滑剤供給材は、潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、前記樹脂成分を発泡・硬化して多孔質化した固形物であることを特徴とする潤滑剤供給材。 - 前記樹脂成分は、ゴム状弾性を有する樹脂またはゴムからなり、外力による変形により潤滑成分の滲出性を有することを特徴とする請求項1記載の潤滑剤供給材。
- 前記樹脂成分の発泡倍率が、1.1〜100 倍であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の潤滑剤供給材。
- 前記潤滑剤供給材は、ボールねじのねじ軸とボールねじナットとの間に介在し、ねじ軸に摺接するボールねじ用シール部材として用いられることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の潤滑剤供給材。
- 案内部材に沿って直線移動する直動装置において、前記案内部材に接触して配設された潤滑剤供給材を備えてなる直動装置であって、
前記潤滑剤供給材は、請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の潤滑剤供給材であることを特徴とする直動装置。 - 前記直動装置は、外周面にらせん状のねじ溝を有する案内部材であるねじ軸と、内周面に前記ねじ軸に対応するらせん状のねじ溝を有するボールねじナットと、前記両ねじ溝間に介在する複数のボールと、前記ねじ軸、前記ボールねじナット間に介在し、ねじ軸に摺接する潤滑剤供給材からなるボールねじ用シール部材とを備えたボールねじであることを特徴とする請求項5記載の直動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006251839A JP2008069330A (ja) | 2006-09-15 | 2006-09-15 | 潤滑剤供給材および直動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006251839A JP2008069330A (ja) | 2006-09-15 | 2006-09-15 | 潤滑剤供給材および直動装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008069330A true JP2008069330A (ja) | 2008-03-27 |
Family
ID=39291195
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006251839A Pending JP2008069330A (ja) | 2006-09-15 | 2006-09-15 | 潤滑剤供給材および直動装置 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008069330A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR200487409Y1 (ko) * | 2017-06-21 | 2018-10-31 | 하이윈 테크놀로지스 코포레이션 | 방진 및 자기 윤활 모듈을 갖는 볼 스크류 |
-
2006
- 2006-09-15 JP JP2006251839A patent/JP2008069330A/ja active Pending
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