JP2008275077A - Cvt用シャフト及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】別部材よりなるシャフトとシーブとを一体化させて固定し、寸法精度や耐久性に優れ、さらには生産性の向上、コストの低減を図ることができるCVT用シャフト及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】棒状のシャフト部2と、シャフト部2に外挿する円盤状のシーブ部3を塑性結合部4と圧入部5とを介して結合してなる。シーブ部3は、シャフト部を挿入する挿入穴を有し、挿入穴は、結合内面部と圧入内面部とを軸方向に連ねて、圧入内面部がシーブ面に近い側に位置するように設けてなる。結合内面部の内周面には、軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部を有している。シャフト部2は、結合外面部と圧入外面部とを軸方向に連ねて有している。結合外面部に歯部を食い込ませて結合外面部の一部を塑性流動させた上記塑性結合部4を形成すると共に、圧入内面部に圧入外面部を圧入した圧入部5を形成する。
【選択図】図8

Description

本発明は、自動車等の変速機として利用されるベルトドライブ方式無段変速機(ベルトドライブ方式には、ゴムベルト式、金属ベルト式、チェーンベルト式等を含む。以下、ベルト式無段変速機と記す。)に用いられるCVT用シャフトに関する。
一般的に、自動車等の変速機に利用されるベルト式無段変速機(CVT)は、一対のシャフト(プライマリシャフト、セカンダリシャフト)を有している。各シャフトは、シャフトに固定された固定シーブとシャフトに摺動自在に装着された可動シーブとを有する。これら固定シーブと可動シーブとが、溝幅が可変のプーリ(プライマリプーリ、セカンダリプーリ)を構成する。また、この一対のプーリ間には、金属等のベルトが巻き掛けてあり、固定シーブと可動シーブとの溝幅を変化させることによって、変速可能に構成されている。
上記のCVTのうち、シャフトと固定シーブ(以下、適宜、単にシーブという)とは、現状強度上の問題からほとんどが一体部品として製造されている。そして、このうちシーブの表面には、上述したような金属等のベルトが巻き掛けられ、走行中にベルトとの間に大きな負荷がかかった状態で使用されることから、優れた耐摩耗性の確保が必須となる。そのため、通常、浸炭や浸炭窒化等の処理を行って表面硬度を高めることにより、必要な耐摩耗性を確保している。
また、ごく一部に限定されるが、シャフトと固定シーブとを別体で製造し、後から一体化して製造される場合がある。この例としては、特許文献1の実施例に記載されているように、シャフトと固定側プーリをスプライン嵌合により結合したものや、非特許文献1に記載されているように、圧入により結合して一体部品とし、使用している例が報告されている。
しかしながら、上述したCVTには、以下のような問題がある。
通常のCVTの場合、シャフトは、浸炭や浸炭窒化等の処理をしなくても強度上問題なく、部分的に高周波等の焼入れをすれば充分な強度を確保することができる場合が多い。したがって、このような場合、シーブに使用される材料には、耐摩耗性を確保しなければならないために浸炭性に優れていることが要求されるが、シャフトに使用される材料にはそれが要求されない。
ところが、一体で製造される場合には、製造上当然のごとく、材料は1種類に固定して選択しなければならず、シャフト及びシーブについて各々に適した材料を選択することが不可能となるため、結果的に浸炭性を重視して材料を選択することになる。この結果、より高価な材料を選択しなければならなくなり、材料コストが増加するという問題が生じる。
また、一体の場合には、浸炭等の処理の際に当然のごとく一体部品全体を丸ごと処理する必要が生じる。そのため、部品が大きいことにより浸炭歪が大きくなるのはもちろんのこと、同じ大きさの浸炭処理炉であっても、1回に処理できる部品の数が大幅に少なくなり、生産性が低下すると共に、より多大なエネルギーが必要になるという問題がある。
また、スプライン嵌合や圧入により結合して製造される場合には、シャフトとシーブとの接触面が強固に固定された状態となっていないため、いくら精度を高めて製造したとしても、使用中における互いの接触面上の微小なズレを完全に防止することができず、長時間の使用によりフレッティング疲労を起こす可能性がある。
さらに、スプライン嵌合は、嵌合前に極めて高い精度での機械加工が必須となるため、製造コストが高くなるという問題がある。また、圧入の場合には、圧入代にもよるが、シャフトとシーブとの間の接触面をかなり大きくしないと充分な強度を得ることができず、部品が大きくなって重くなるという問題がある。
特開2002−106658号公報 ATZ/MTZ"Der neue Audi A4",November2000,137〜140頁
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、別部材よりなるシャフトとシーブとを一体化させて固定し、寸法精度や耐久性に優れ、さらには生産性の向上、コストの低減を図ることができるCVT用シャフト及びその製造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、ベルト式無段変速機(以下、CVTという)に用いられるCVT用シャフトであって、
該CVT用シャフトは、機械構造用鋼よりなる棒状のシャフト部と、該シャフト部に外挿する機械構造用鋼よりなる円盤状のシーブ部を塑性結合部と圧入部とを介して結合してなり、
該シーブ部は、上記シャフト部を挿入する挿入穴を有し、該挿入穴は、上記塑性結合部を形成するための結合内面部と、上記圧入部を形成するための圧入内面部とを軸方向に連ねて、かつ、上記圧入内面部がシーブ面に近い側に位置するように設けてなり、
上記結合内面部の内周面には、軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部を有しており、
上記圧入内面部の内周面は、平坦な面からなると共に上記歯部の内接円の径よりも小さい内径を有しており、
また、上記シーブ部は、上記シャフト部との結合の前に、少なくとも歯部の表面を硬化する硬化処理を施してあり、
上記シャフト部は、上記塑性結合部を形成するための結合外面部と、上記圧入部を形成するための圧入外面部とを軸方向に連ねて有しており、
上記結合外面部は、上記歯部の内接円の径よりも大きい外径を有しており、
上記圧入外面部は、上記歯部の内接円の径よりも小さい外径を有すると共に圧入可能なように上記圧入内面部の内径よりも大きい外径を有しており、
該結合外面部に上記歯部を食い込ませて上記結合外面部の一部を塑性流動させた上記塑性結合部を形成すると共に、上記圧入内面部に上記圧入外面部を圧入した上記圧入部を形成することにより、上記シャフト部と上記シーブ部とを一体的に結合していることを特徴とするCVT用シャフトにある(請求項1)。
本発明のCVT用シャフトは、シャフト(プライマリシャフト、セカンダリシャフト)とシャフトに固定されるシーブ(固定シーブ)とで構成されたものである。
すなわち、上記CVT用シャフトは、上記シャフト部と該シャフト部に外挿した上記シーブ部とを有している。そして、上記シャフト部と上記シーブ部とは、上記シャフト部の上記結合外面部に上記シーブ部の上記歯部を食い込ませ、上記結合外面部の一部を上記歯部間の歯溝に塑性流動(塑性変形)させた塑性結合部を形成すると共に、上記シーブ部の圧入内面部に上記シャフト部の圧入外面部を圧入させた圧入部を形成することによって一体的に結合している。そのため、両者間の結合力は非常に高い。
特に、上記結合外面部と上記歯部とは、接触面上において、塑性変形により圧縮の残留応力が働いた状態で強固に固定されるため、使用中においても接触面に微小のズレが繰り返し生じることを抑制でき、フレッティングの心配をする必要がない。
また、上記圧入部は、塑性結合部よりもシーブ面に近い側に設けられている。ここで、シーブ面は、CVT用シャフトとして使用する際にベルトの巻き掛けによる負荷によってシーブ面の円周方向に最も高い引張応力が生じる部位であるが、上記圧入外面部と上記圧入内面部との接触面(圧入部の界面)はフラットであり、塑性結合部と比較して割れが発生し難い形状となっている。そのため、上記圧入内面部をシーブ面に近い側に位置するように設けることにより、応力集中を回避でき、シーブ面圧に対する強度を向上することができる。その結果、二部品結合という耐久性を確保するのに難しい工法を採用しているにも関わらず、必要な駆動伝達力は塑性結合部によって十分に確保して、ベルト巻き掛けによる大きな負荷にも十分耐え得る耐久性の確保を可能としたという大きな効果を有するものである。
また、上記シャフト部と上記シーブ部との間の結合力を充分に確保することができるため、非特許文献1に記載されているような圧入のみで製造したCVTシャフトに比べて短い軸長で必要なねじり強度を確保することができる。これにより、生産性の向上、コストの低減を図ることができる。
また、結合力の高い塑性結合と、シーブ面圧に対する十分な強度を与える圧入とを組み合わせることによって、上記シャフト部と上記シーブ部との結合部分の接触面積を小さくすることができ、かつ、十分な耐面圧強度やねじり強度を有することができる。これにより、上記CVT用シャフトの小型軽量化を実現することができる。
また、本発明のCVT用シャフトは、上述のごとく、上記シャフト部と上記シーブ部とをそれぞれ別部材で設け、これらを一体的に結合している。そのため、両者を一体品として設けた場合に比べて、上記CVT用シャフトの寸法精度や生産性を向上させ、コストの低減に寄与することができる。
すなわち、別部材で設けることにより、上記シャフト部及び上記シーブ部の各部材の形状は一体品に比べて単純となり、小型軽量となる。そのため、各部材を精度よく加工、成形することができると共に、効率よく生産することができる。特に、上記シーブ部に浸炭等の硬化処理を施す際には、部材の単純化、小型化によって、同じ熱処理炉であっても1回の処理でより多くの個数を処理できるため、処理時間を短縮することができる。これにより、上記シャフト部と上記シーブ部とを結合させた上記CVT用シャフトは、寸法精度や生産性が高いものとなり、コスト低減が期待できる。
さらに、上記シャフト部及び上記シーブ部を別部材で設けることにより、両者に対して、コスト、生産性、要求される性能等に見合った素材をそれぞれ選択的に用いて生産することができる。これにより、上記CVT用シャフトにおけるコストの低減、性能の確保等を容易に行うことができる。
また、本発明における塑性結合は、硬度の高いものに対して硬度の低いものを塑性変形させ、両者を結合する方法である。したがって、本発明では、少なくとも上記シーブ部の上記歯部の硬度(表面硬さ)が、上記シャフト部の上記結合外面部よりも大きいことが前提となる。このため、上記シーブ部は、少なくとも上記歯部の表面について硬化処理を施してある。これにより、上記歯部の表面硬さを向上させることができ、上記結合外面部と上記歯部との塑性結合を精度よく行うことができる。
また、上記シーブ部における上記歯部以外の部分にも同時に、少なくとも表面を硬化させる硬化処理を施しておくことにより、金属等のベルトに接触し、摩耗の激しい上記シーブ部の耐摩耗性を向上させることができる。
このように、本発明によれば、別部材よりなるシャフトとシーブとを一体化させて構成し、寸法精度や耐久性に優れ、さらには生産性の向上、コストの低減を図ることができるCVT用シャフトを提供することができる。
なお、本発明では、主として塑性結合により必要なねじり強度確保しているため、ねじり強度を十分に確保できる場合には、圧入部の圧入代を0とし、シャフト部の圧入外面部の径をシーブ部の圧入内面部の径より小さくすることも可能である。但し、その場合でも結合品の精度確保のためには、両者の径の差を0.05mm以内とすることが望ましい。
第2の発明は、CVTに用いられるCVT用シャフトの製造方法において、
機械構造用鋼よりなり、内周面に軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部とを有する結合内面部と、内周面が平坦な面からなると共に上記歯部の内接円の径よりも小さい内径を有する圧入内面部とを軸方向に連ねてなる挿入穴を中央に有する円盤状のシーブ部を準備するシーブ部準備工程と、
少なくとも上記歯部の表面を硬化するシーブ部硬化処理工程と、
機械構造用鋼よりなり、上記歯部の内接円の径よりも大きい外径の結合外面部と、上記歯部の内接円の径よりも小さい外径を有すると共に圧入可能なように上記圧入内面部の内径よりも大きい外径を有する圧入外面部とを軸方向に連ねて有する棒状のシャフト部を準備するシャフト部準備工程と、
上記シャフト部を上記シーブ部の上記挿入穴に挿入すると共に、上記結合外面部に上記歯部を食い込ませて上記結合外面部の一部を塑性流動させた塑性結合部を形成する塑性結合処理と、上記圧入内面部に上記圧入外面部を圧入した圧入部を形成する圧入処理とを有し、上記シャフト部と上記シーブ部とを一体的に結合する結合工程とを有することを特徴とするCVT用シャフトの製造方法にある(請求項11)。
本発明のCVT用シャフトの製造方法は、上記結合工程において、塑性結合処理により上記シャフト部を上記シーブ部の上記挿入穴に挿入すると共に、上記結合外面部に上記歯部を食い込ませて上記結合外面部の一部を塑性流動(塑性変形)させた塑性結合部を形成し、圧入処理により上記圧入内面部に上記圧入外面部を圧入した圧入部を形成し、上記シャフト部と上記シーブ部とを一体的に結合する。これにより、本発明の製造方法によれば、上述したごとく、上記シャフト部と上記シーブ部との結合力が非常に高く、小型化を実現することができ、耐面圧強度やねじり強度等の強度が高く、耐久性を有し、性能が確保されたCVT用シャフトを、優れた寸法精度や生産性で、低コストで得ることができる。
上記第2の発明の製造方法は、上述したごとく、シーブ部準備工程と、シーブ部硬化処理工程と、シャフト部準備工程と、結合工程とを有する。
上記シーブ部準備工程においては、機械構造用鋼に対して、熱間鍛造、冷間鍛造、切削加工等を行うことにより、上記シーブ部を準備する。
また、上記シーブ部硬化処理工程においては、浸炭、浸炭窒化、高周波焼入のような表面及びその周辺部を集中して硬化させるいわゆる表面硬化処理や、部品全体をズブ焼入れ焼戻しすることにより内部まで同時に硬化させる調質処理等を適用し、少なくとも上記歯部の表面を硬化する。従って、必然的に実施する表面硬化処理に適した材料を選択する必要があり、特に、浸炭、浸炭窒化処理を行う場合は、Cr鋼、Cr−Mo鋼等の肌焼鋼が適している。
また、上記シャフト部準備工程においても、前期シーブ部準備工程と同様に、機械構造用鋼に対して、熱間鍛造、冷間鍛造、切削加工等を行うことにより、上記シャフト部を準備する。シャフト部も部分的に高強度が必要な部位に高周波焼入される場合はあるが、シーブ部よりは高強度を必要としないので、材料としてはCr鋼、Cr−Mo鋼に比べ安価な炭素鋼(SC)を使用することができる。なお、必要に応じて、焼なまし、焼きならし処理を施してもよい。
次に、第1及び第2の発明においては、後述の図4に示すごとく、上記圧入内面部の内径をd1、上記シーブ部の直径をd2、中央径d3=(d1+d2)/2とした場合に、上記シーブ部の表面における上記中央径d3位置から中心軸に対して垂直な垂線を引いた場合に該垂線と上記挿入穴内面との交差する位置が圧入内面部であることが好ましい(請求項2、12)。
この場合には、塑性結合部によるねじり強度と、圧入部による耐面圧強度の効果を特に良好に得ることができる。
圧入部が狭く、上記垂線と上記挿入穴内面との交差する位置が塑性結合部となるような場合には、圧入部に比べ割れが発生しやすい形状である塑性結合部より割れが発生しやすくなり、実際のベルト巻き掛けによる負荷に対する耐面圧強度が不十分になるおそれがある。
また、上記シーブ部の上記歯部は、表面硬さがHv600以上であることが好ましい(請求項3、13)。
この場合には、上記歯部の優れた強度特性によって、結合外面部に上記歯部を食い込ませて上記結合外面部の一部を塑性流動させることにより形成される上記塑性結合部がより安定した結合部となり、2部品の結合時の位置精度の安定性も高くすることができる。
また、上記シーブ部の上記歯部は、上記シャフト部の上記結合外面部の表面硬さよりHv300以上大きいことが好ましい(請求項4、14)。
すなわち、硬度差が小さい場合には、塑性結合時における上記結合外面部表面の塑性流動がスムーズに進まなくなり、結合後の寸法精度が低下する。したがって、硬度差をHv300以上としておくことにより、上記歯部と上記結合外面部との硬度差によって、塑性変形した上記結合外面部が上記歯部間に塑性流動し易くなり、より一層安定して、精度のよい上記塑性結合部を得ることができる。
また、上記シャフト部は、下記式により示される炭素当量Ceqが0.4以上の素材よりなり、上記シーブ部との結合前又は結合後に、上記結合外面部以外の少なくとも一部に、高周波焼入処理によって表面硬化処理を施してあることが好ましい(請求項5、15)。
Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4、(各元素記号はそれぞれの質量%を意味する。)
勿論、結合外面部については高周波熱処理は行わないが、結合外面部以外の部位で高強度を必要とする部位に高周波焼入処理を施すことにより、上記シャフト部の表面硬さを高めることができる。なお、上記シャフト部の炭素当量Ceqが0.4未満の場合には、高周波焼入後の硬さ不足、強度不足、摺動部位の耐摩耗性の低下等の不具合を生じる場合がある。
また、上記シーブ部の上記歯部は、上記硬化処理を施した後に、ショットピーニング処理を施してあることが好ましい(請求項6、16)。
この場合には、ショットピーニング処理を施すことにより、上記シーブ部の上記歯部に圧縮の残留応力が発生する。そのため、上記結合外面部と上記歯部との塑性結合の際、及びその後の使用時に、上記歯部の歯底面に生じる引張応力を低減させることができ、塑性結合後における上記シーブ部の遅れ破壊を抑制することができる。
また、上記シーブ部の上記歯部は、基準円よりも小径の円弧を上記基準円に内接するように規則的に並べて形成される花びら形状(後述の図5、図6参照)を呈していることが好ましい(請求項7、17)。
花びら形状の歯部は、冷間鍛造で形成することができるためコストの低減を図ることができる。
また、歯溝部分が滑らかな曲線状に形成されているため、十分なねじり強度を得ることができるだけでなく、塑性結合後における歯元の引っ張り応力を緩和することができ、上記シーブ部の破裂、遅れ破壊、置き狂い等を抑制することができ、上記CVT用シャフトの寸法精度を向上させることができる。なお、上記歯部は、細かいほどねじりトルクに対して高強度となる。
また、塑性結合部において特に高いねじり強度を確保するために、上記シーブ部の歯部の形状を、上記花びら形状に代えて、以下のように形成することも好ましい。
具体的には、上記歯部は、上記シャフト部の軸線を含む軸平面となす角度がαである受圧面と、上記軸平面となす角度がβ(β>α)である傾斜面とにより鋭角状を呈していると共に、上記受圧面を周方向における第1の方向に位置させた第1締結歯と、その反対側の第2の方向に上記受圧面を位置させた第2締結歯のいずれかを構成し、上記第1締結歯を並べた第1領域と、上記第2締結歯を並べた第2領域とは、上記挿入穴の周方向に交互に配列されており、上記第1締結歯の上記傾斜面と上記第2締結歯の上記傾斜面とが対面する部位には、上記受圧面と上記傾斜面とにより形成された谷部の外接円よりも内側に出ないように外方に位置し、対面する上記傾斜面を滑らかに繋いだ第1控え部を設けることが好ましい。
この場合には、シャフト部の結合外面部にシーブ部の歯部を食い込ませ、結合外面部の一部を歯部の谷部に塑性流動(塑性変形)させ、結合力が極めて高く、高いねじり強度を確保することができる塑性結合部を形成することができる。
また、上記歯部と上記結合外面部とを塑性結合する際に、上記第1締結歯の上記傾斜面と上記第2締結歯の上記傾斜面とが対面する部位には、最も大きな引張応力が発生する。そのため、その部位には、上記受圧面と上記傾斜面とにより形成された上記谷部の外接円よりも内側に出ないように外方に位置し、対面する上記傾斜面を滑らかに繋いだ上記第1控え部を設ける。すなわち、応力が集中する部位に滑らかな形状の上記第1控え部を設けることによって、発生する引張応力を低減することができる。これにより、塑性結合後における上記シーブ部の破裂、遅れ破壊、置き狂い等を抑制することができ、CVT用シャフトの寸法精度を向上させることができる。
また、上記歯部と上記結合外面部との塑性結合の際に、上記第1控え部に発生する引張応力をさらに効果的に低減するために、上記第1控え部は、塑性流動した結合外面部との間に間隙を設けて配置されていることが好ましい。
また、上記第1締結歯の上記受圧面と上記第2締結歯の上記受圧面とが対面する部位には、上記結合外面部の外径よりも内側に出ないように外方に位置し、対面する上記受圧面を滑らかに繋いだ第2控え部を設けてあることが好ましい。
この場合には、塑性結合する際に上記第2控え部が障害とならないため、上記結合外面部の外径、上記歯部の内径の寸法精度にばらつきが生じても、上記結合外面部の塑性流動をスムーズに行うことができる。なお、塑性結合後において、上記第2控え部に上記結合外面部が当接するように上記第2控え部の寸法調整をしておくことにより、上記シャフト部と上記シーブ部との軸方向位置のズレを抑制することができ、上記CVT用シャフトの寸法精度を向上させることができる。
また、上記谷部は、各谷部に発生する引張応力を低減するために、滑らかな曲線状に形成されていることが好ましい。
また、上記シーブ部の上記結合内面部と上記圧入内面部との界面は、上記歯部の内径よりも大きい外径を有する凹部が形成されていることが好ましい(請求項8、18)。
この場合には、上記結合外面部と上記歯部との塑性結合の際に、上記結合外面部の一部が上記凹部に塑性流動することができ、上記CVT用シャフトのシャフト部とシーブ部の位置精度を向上させることができる。
また、上記シャフト部の上記結合外面部は、その外周角部に傾斜した接触面を有しており、
上記歯部は、上記結合外面部を内周側に収容可能な大径先端部を有すると共に、その後端側に徐々に縮径する位置決め傾斜部を有しており、
上記塑性結合部は、上記歯部の上記大径先端部内に上記結合外面部を収容すると共に上記接触面と上記位置決め傾斜部とを当接した後に、上記歯部を上記結合外面部に食い込ませて形成してあることが好ましい(請求項9、19)。
この場合には、上記シャフト部と上記シーブ部との軸方向の位置決めを行うことができ、上記CVT用シャフトのシャフト部とシーブ部の位置精度を向上させることができる。
また、上記シャフト部は、上記結合外面部よりも外径が大きい外鍔部を有しており、
上記歯部の軸方向端面には、上記外鍔部に当接可能な先端当接面を有しており、上記塑性結合部形成状態において、上記外鍔部と上記先端当接面とが当接していることが好ましい(請求項10、20)。
この場合には、上記シャフト部と上記シーブ部とは、充分に固定されたものとなる。
また、上記塑性結合処理と上記圧入処理は同時に開始しても良いし、上記塑性結合処理を開始した後に圧入処理を開始しても良いし、上記圧入処理を開始した後に塑性結合処理を開始しても良いが、特に、第2の発明のCVT用シャフトの製造方法では、上記結合工程は、上記圧入処理を開始した後に塑性結合処理を開始することが好ましい(請求項21)。
この場合には、上記シャフト部と上記シーブ部との位置関係が精度よく固定された状態で塑性結合させることができるため、寸法精度のばらつきの少ないCVTシャフトを製造することができる。
(実施例1)
本発明の実施例にかかるCVT用シャフト及びその製造方法について、図を用いて説明する。
本例のCVT用シャフト1は、図1に示すごとく、自動車等の変速機に利用されるベルト式無段変速機(CVT)に用いられるものであり、シャフト(シャフト部2)とシャフトに固定されるシーブ(シーブ部3)とで構成されている。
CVT用シャフト1は、図1〜図9に示すごとく、機械構造用鋼よりなる棒状のシャフト部2と、該シャフト部2に外挿する機械構造用鋼よりなる円盤状のシーブ部3を、塑性結合部4と圧入部5とを介して結合してなる。
上記シーブ部3は、上記シャフト部2を挿入する挿入穴31を有し、該挿入穴31は、上記塑性結合部4を形成するための結合内面部32と、上記圧入部5を形成するための圧入内面部33とを軸方向に連ねて、かつ、上記圧入内面部33がシーブ面30に近い側に位置するように設けてなり、上記結合内面部32の内周面には、軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部34を有しており、上記圧入内面部33の内周面は、平坦な面からなると共に上記歯部34の内接円の径よりも小さい内径を有しており、また、上記シーブ部3は、上記シャフト部2との結合の前に、少なくとも歯部34の表面を硬化する硬化処理を施してある。
上記シャフト部2は、上記塑性結合部4を形成するための結合外面部21と、上記圧入部5を形成するための圧入外面部22とを軸方向に連ねて有しており、上記結合外面部21は、上記歯部34の内接円の径よりも大きい外径を有しており、上記圧入外面部22は、上記歯部34の内接円の径よりも小さい外径を有すると共に圧入可能なように上記圧入内面部33の内径よりも大きい外径を有している。
そして、上記シャフト部2の結合外面部21に上記シーブ部3の歯部34を食い込ませて上記結合外面部21の一部を塑性流動させた上記塑性結合部4を形成すると共に、上記圧入内面部33に上記圧入外面部22を圧入した上記圧入部5を形成することにより、上記シャフト部2と上記シーブ部3とを一体的に結合している。
以下、これを詳説する。
図4、図5に示すごとく、シーブ部3は、上述したようにシャフト部2を挿入する挿入穴31を有しており、挿入穴31の結合内面部32には、軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部34を有している。上記歯部34のシーブ面30と反対側には、図6に示すごとく、上記結合外面部21を内周側に収容可能な大径先端部35を有すると共に、その後端側に徐々に縮径する位置決め傾斜部36を有している。また、歯部34の軸方向端面には、後述するシャフト部の外鍔部23に当接可能な先端当接面37を有している。上記シーブ部3の軸方向に直交する面である後端面9に対する先端当接面37の傾斜角度γを150°、上記傾斜部36と上記先端当接面37とがなす角ωを140°とした。
図4に示すごとく、上記圧入内面部33の内径をd1、上記シーブ部3の直径をd2、中央径d3=(d1+d2)/2とした場合に、上記シーブ部3の表面における上記中央径d3位置から中心軸Oに対して垂直な垂線を引いた場合に該垂線と上記挿入穴内面との交差する位置311は圧入内面部33である。
本例では、上記圧入内面部33の内径をd1を48mm、上記シーブ部3の直径をd2を156mm、上記中央径d3を102mm、シーブ面の傾斜θを11°とした。また、上記圧入部33の軸方向の長さは8.5mmとした。
そして、図5に示すごとく、上記シーブ部3の上記歯部34は、基準円91よりも小径の円弧92を上記基準円91に内接するように規則的に並べて形成される花びら形状を呈している。また、上記シーブ部3の上記結合内面部32と上記圧入内面部33との界面は、上記歯部34の内径よりも大きい内径を有する凹部38が形成されている。
また、図2、図3に示すごとく、シャフト部2は、円筒形状を呈しており、上記歯部34の内接円の径よりも小さい外径を有すると共に圧入可能なように上記圧入内面部33の内径よりも大きい外径の圧入外面部22と、シーブ部3の歯部34の内接円の径よりも大きい外径の結合外面部21と、結合外面部21よりも外径が大きい外鍔部23とを有している。また、上記シャフト部2の上記結合外面部21は、その外周角部に傾斜した接触面24を有している。
また、図7〜図9に示すごとく、シャフト部2とシーブ部3とは、上記結合外面部21に上記歯部34を食い込ませて上記結合外面部21の一部を塑性流動させた上記塑性結合部4を形成すると共に、上記圧入内面部33に上記圧入外面部22を圧入した上記圧入部5を形成することにより、上記シャフト部2と上記シーブ部3とを一体的に結合している。
上記塑性結合部4は、上記歯部34の上記大径先端部35内に上記結合外面部21を収容すると共に上記接触面24と上記位置決め傾斜部36とを当接した後に、上記歯部34を上記結合外面部21に食い込ませて形成してある。また、上記塑性結合部形成状態において、上記外鍔部23と上記先端当接面37とが当接している。
また、シャフト部2及びシーブ部3の素材としては、いずれも機械構造用鋼を用いている。
シャフト部2の素材としては、炭素当量Ceq(Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4、各元素記号はそれぞれの質量%を意味する。以下同様。)が0.4以上のS45C(炭素鋼)を用いた。
シーブ部3の素材としては、SCM20(クロムモリブデン鋼)を用いた。シーブ部3における歯部34は、表面硬化処理としての浸炭処理(焼入れ、焼戻し)を施してあり、表面硬さがHv750(JIS G0557による硬化深さ0.5mm)である。
また、シャフト部2の結合外面部21は、加熱処理(焼きならし)を施してあり、表面硬さがHv250である。また、シャフト部2の結合外面部21以外の部分において、より表面硬さが必要な部分には、表面硬化処理としての高周波焼入処理を施してある。
次に、CVT用シャフト1の製造方法について、図を用いて説明する。
本例のCVT用シャフト1の製造方法は、図1〜図9に示すごとく、機械構造用鋼よりなり、内周面に軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部34を有する結合内面部32と、内周面が平坦な面からなると共に上記歯部34の内接円の径よりも小さい内径を有する圧入内面部33とを軸方向に連ねてなる挿入穴31を中央に有する円盤状のシーブ部3を準備するシーブ部準備工程と、少なくとも上記歯部34の表面を硬化するシーブ部硬化処理工程と、機械構造用鋼よりなり、上記歯部34の内接円の径よりも大きい外径の結合外面部21と、上記歯部34の内接円の径よりも小さい外径を有すると共に圧入可能なように上記圧入内面部33の内径よりも大きい外径を有する圧入外面部22とを軸方向に連ねて有する棒状のシャフト部2を準備するシャフト部準備工程と、上記シャフト部2を上記シーブ部3の上記挿入穴31に挿入すると共に、上記結合外面部21に上記歯部34を食い込ませて上記結合外面部21の一部を塑性流動させた塑性結合部4を形成する塑性結合処理と、上記圧入内面部33に上記圧入外面部22を圧入した圧入部5を形成する圧入処理とを有し、上記シャフト部2と上記シーブ部3とを一体的に結合する結合工程とを有する。
以下、これを詳説する。
<シーブ部準備工程>
シーブ部3の素材として用いるSCM20(クロムモリブデン鋼)を所定長さに切断する。その後、熱間鍛造、加熱処理(焼きならし)、冷間加工(塑性加工)、機械加工を行い、内周面に軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部34を有する結合内面部32と、内周面が平坦な面からなると共に上記歯部34の内接円の径よりも小さい内径を有する圧入内面部33とを軸方向に連ねてなる挿入穴31を中央に有する円盤状のシーブ部3(図4、図5)を準備する。
なお、歯部34の形状は、花びら形状を呈している(図5参照)。
<シーブ部硬化処理工程>
次に、シーブ部3に対して、表面硬化処理としての浸炭処理(焼入れ、焼戻し)を行い、シーブ部3の表面を硬化する。このとき、シーブ部3の歯部34の表面硬さをHv600以上とする。本例では、歯部34の表面硬さをHv750とした。
なお、本工程におけるシーブ部3の硬化処理としては、浸炭処理に代えて、浸炭窒化処理、高周波焼入処理、調質処理等を行うこともできる。
<ショットピーニング処理工程>
次に、本例では、シーブ部硬化処理工程後、シーブ部3の歯部34にショットピーニング処理を行う。
<シャフト部準備工程>
次に、シャフト部2の素材として用いる炭素当量Ceqが0.4以上のS45C(炭素鋼)を所定長さに切断する。その後、加熱処理(焼きならし)、冷間加工(塑性加工、切削加工)を行い、シーブ部3における歯部34の内接円の径よりも大きい外径の結合外面部21と、上記歯部34の内接円の径よりも小さい外径を有すると共に圧入可能なように上記圧入内面部33の内径よりも大きい外径の圧入外面部22を有する棒状のシャフト部2(図2及び図3)を準備する。
なお、本工程における加熱処理(焼きならし)は、必要がなければ省略することもできる。本例では、上記シャフト部の上記結合外面部の表面硬さをHv230とした。
<結合工程>
次に、シャフト部2をシーブ部3の挿入穴31に挿入し、シャフト部2とシーブ部3とを塑性結合処理及び圧入処理を施すことにより一体的に結合する。以下、これについて詳しく説明する。
(塑性結合処理)
上記塑性結合処理は、まず、図7に示すごとく、受け型6にシーブ部3をセットし、シャフト部2をシーブ部3の挿入穴31に押し込んでいく。そして、図8に示すごとく、シーブ部3の歯部34の大径先端部35内にシャフト部2の結合外面部21を収容すると共に、シャフト部2の接触面24とシーブ部3の位置決め傾斜部36とを当接させる。これにより、シャフト部2及びシーブ部3の軸方向の位置決めを行う。
その後、図9に示すごとく、シーブ部3の歯部34をシャフト部2の結合外面部21に食い込ませながら、すなわち、結合外面部21を、図5及び図6に示す歯部34間の歯溝39に塑性流動させながら、シャフト部2の外鍔部23とシーブ部3の先端当接面37とが当接するまで、シャフト部2をシーブ部3の挿入穴31に押し込んでいく。これにより、結合外面部21の一部を歯部34の歯溝39に塑性流動させた塑性結合部4が形成され、結合される。
(圧入処理)
上記圧入処理は、上述したように、受け型6にシーブ部3をセットし、シャフト部2をシーブ部3の挿入穴31に押し込んでいく。
その後、上記圧入内面部33に、圧入可能なように上記圧入内面部33の内径よりも大きい外径を有する上記圧入外面部22を圧入していく。これにより、圧入部5が形成され、結合される。
<シャフト部表面硬化処理工程>
次に、本例では、塑性結合工程後、シャフト部の結合外面部以外の部分において、より表面硬さが必要な部分に高周波焼入処理を行う。
なお、このシャフト部表面硬化処理工程は、塑性結合工程前に行ってもよい。
<仕上げ加工>
最後に、シャフト部及びシーブ部の寸法を調整するための仕上げ加工(切削加工)を行う。
以上により、CVT用シャフト1(図1)を得る。
次に、本例のCVT用シャフト1の作用効果を説明する。
本例のCVT用シャフト1は、シャフト部2とシャフト部2に外挿したシーブ部3とを有している。そして、シャフト部2とシーブ部3とは、上記シャフト部2の結合外面部21に上記シーブ部3の歯部34を食い込ませて上記結合外面部21の一部を塑性流動させた塑性結合部4を形成し、上記シーブ部3の圧入内面部33に上記シャフト部2の圧入外面部22を圧入した圧入部5を形成することによって一体的に結合している。そのため、両者間の結合力は高くなる。
特に、上記塑性結合部4は、接触面上において、塑性変形により圧縮の残留応力が働いた状態で強固に固定されるため、使用中においても接触面に微小のズレが繰り返し生じることを抑制でき、フレッティングの心配をする必要がない。
また、上記圧入部分5は、接触面がフラットであるため、上記圧入内面部33と上記圧入外面部22との界面において割れが発生し難く、この割れにくい形状の圧入部を、本発明では、ベルトの巻き掛けにより最も高い引張応力が生じるシーブ面側に設けている。その結果、CVT用シャフト1のシーブ面圧に対する強度を高めることができ、かつ耐久性を向上させることができる。
また、シャフト部2とシーブ部3との間の結合力を充分に確保することができるため、圧入のみで製造したCVTシャフトに比べて短い軸長で必要なねじり強度を確保することができる。これにより、生産性を向上、コストの低減を図ることができる。
そして、結合力の高い塑性結合と、シーブ面圧に対する十分な強度を与える圧入とを組み合わせて用いることによって、シャフト部2とシーブ部3との結合部分の接触面積を小さくしても十分な耐面圧強度とねじり強度を確保することができ、CVT用シャフト1の小型軽量化を実現することができると共に、優れた耐久力を得ることができる。
また、CVT用シャフト1は、シャフト部2とシーブ部3とをそれぞれ別部材で設け、これらを一体的に結合している。そのため、両者を一体品として設けた場合に比べて、CVT用シャフト1のシャフト部2とシーブ部3の位置精度や生産性を向上させることができる。すなわち、別部材で設けることにより、シャフト部2及びシーブ部3の各部材の形状は一体品に比べて単純となり、小型となる。そのため、各部材を精度よく加工、成形することができると共に、効率よく生産することができる。特に、シーブ部3及びシャフト部2に硬化処理を施す際には、部材の単純化、小型化によって処理時間を短縮することができる。これにより、シャフト部2とシーブ部3とを結合させたCVT用シャフト1は、位置精度や生産性が高いものとなる。
さらに、シャフト部2及びシーブ部3を別部材で設けて生産することにより、両者に対して、コスト、生産性、要求される性能等に見合った素材をそれぞれ選択的に用いることができる。これにより、CVT用シャフト1におけるコストの低減、性能の確保等を容易に行うことができる。
また、シーブ部3の歯部34は花びら形状を呈している。花びら形状の歯部34は鍛造で形成できるため、コストの低減につながる。また、花びら形状の歯部34は、歯溝部分39が滑らかな曲線状に形成されているため、十分なねじり強度を得ることができるだけでなく、塑性結合後における歯元の引っ張り応力を緩和することができ、上記シーブ部3の破裂、遅れ破壊、置き狂い等を抑制することができ、耐久性を向上させることができる。
また、シーブ部3は、歯部34の表面について硬化処理を施してある。これにより、歯部34の表面硬さを向上させることができ、結合外面部21と歯部34との塑性結合を精度よく行うことができる。
また、本例において、シーブ部3の歯部34は、シャフト部2の結合外面部21の表面硬さよりHv300以上大きい。そのため、歯部34と結合外面部21との硬度差によって、塑性変形した結合外面部21が歯部34の谷部に塑性流動し易くなり、より一層安定して、精度のよい塑性結合部を得ることができる。
また、本例の製造方法において、シーブ部処理工程の後に、シーブ部3の歯部34に、ショットピーニング処理を施すショットピーニング処理工程を行う。これにより、シーブ部3の歯部34に圧縮の残留応力が発生する。そのため、塑性結合処理においてシャフト部2とシーブ部3とを塑性結合する際に、歯部34に生じる引張応力を低減させることができ、塑性結合後のシーブ部3の遅れ破壊を抑制することができる。
このように、本例によれば、別部材よりなるシャフト部2とシーブ部3とを一体化させて構成し、シャフト部2とシーブ部3の位置精度や耐久性に優れ、さらには生産性の向上、コストの低減を図ることができるCVT用シャフトを提供することができる。
(実施例2)
本例は、CVT用シャフトの耐面圧強度、ねじり強度、及び寸法精度を評価したものである。
本発明品としては、別部材よりなるシャフト部とシーブ部とを結合した実施例1のCVT用シャフト(試料E1)を準備した。
また、比較品としては、シャフト部とシーブ部とを圧入のみで結合した試料C1、シャフト部とシーブ部とを塑性結合のみで結合した試料C2を準備した。
試料E1は、シャフト部2の結合外面部21の直径が54mm、圧入外面部22の直径が48.05mm、内穴径が15mmである。また、シーブ部3は、軸方向の高さが40mm(圧入内面部の高さが8.5mm、結合内面部の高さが15mm)、外径が102m、シーブ面30の傾斜が11°である。また、結合内面部32の歯部34の突出高さは1mmであり、歯部数は40歯(第1締結歯41:20歯、第2締結歯42:20歯)、歯部の内接円の径は53mm、圧入内面部33の直径は48mmである。
また、試料C1は、結合部の軸長が試料E1と同一になるように、圧入代(70μm)を径方向の両側に設けて圧入により結合部を形成している。シャフト部の圧入外面部の直径、内穴径、シーブ部3の軸方向の高さ(圧入内面部の高さ)、外径、シーブ面の傾斜角度、圧入内面部の直径は上記試料E1と同様のサイズにして行った。なお、各部材の素材、硬さ等の条件は、試料E1と同様である。また、熱処理としては、シャフト部及びシーブ部に浸炭処理を施してある。
また、試料C2は、結合部の軸長が試料E1と同一になるように、塑性結合により結合部を形成している。シャフト部の結合外面部の直径、内穴径、シーブ部の軸方向の高さ(結合内面部の高さ)、外径、シーブ面の傾斜角度、結合内面部の歯部の突出高さ、歯部数、歯部の内接円の径は上記試料E1と同様のサイズにして行った。なお、各部材の素材、硬さ等の条件は、試料E1と同様である。また、熱処理としては、シャフト部及びシーブ部に浸炭処理を施してある。
<耐面圧強度>
耐面圧強度の評価方法を、図10〜図12を用いて説明する。
図10に示すごとく、CVT用シャフト1について、シーブ部3の表面が下側にくるように、固定された下ジグ71と、上下に可動する上ジグ72とを用いてCVT用シャフト1を保持した。下ジグ71には、2つの直径35mmの球73がCVT用シャフト1の軸心を中心に120°(角度α)の位置に配置してある(図11参照)。そして、上ジグ72を下方(方向B)に向けてストロークさせることにより、上記CVTシャフト1のシーブ部3表面に圧力を負荷した。そして、図11示すD点(角度β=60°(最大引張応力を受ける部分))に亀裂が入るまでに測定された最大負荷力を耐面圧強度とした。結果を図12に示す。
上記図12は、右縦軸には、耐面圧強度[N]をとり、左縦軸には、後述するねじり強度[Nm]をとり、横軸は、各試料の結合の仕方を記載した。同図における符号E1は試料E1、符号C1は試料C1、符号C2は試料C2の結果を示し、符号Sは耐面圧強度、符号Tはねじり強度を示す。
図12より知られるごとく、シーブ部の表面側の結合部分が圧入によるフラットな結合部となっている試料E1及び試料C1は、シーブ部の表面側の結合部分が塑性結合による結合部である試料C2と比較して、割れが発生し難く、優れた耐面圧強度を示した。
<ねじり強度>
ねじり強度の測定は、シーブ部を回転しないように固定した状態でシャフト部にねじりトルクを負荷させる。
塑性結合部がねじりトルクに負けて塑性変形し始めるまでに測定された最大のねじりトルク、あるいは、圧入部の摩擦力が負けてすべりが生じるまでに測定された最大ねじりトルクを測定し、ねじり強度とした。結果を図12に併せて示す。
図12より知られるごとく、塑性結合部を有する試料E1及び試料C2は、圧入部のみからなる結合部を有する試料C1と比較して、優れたねじり強度を示した。
このように、圧入部と塑性結合部を組み合わせることによって、ねじり強度、耐面圧強度の両方について、バランス良く優れたCVT用シャフトを製造できることが確認できた。
なお、これは結合部の寸法を同一とした場合である。したがって、圧入の場合には、圧入部の軸方向の長さを長くして、同等のねじり強度となるようにすれば同様のねじり強度を得ることはできるが、その場合には、重量が増加するという別の問題が生じることとなる。
また、従来の一体品の場合、当然本発明のCVTシャフトに比べてねじれ強度が高いものとなるが、最弱部位は、この試験で評価している位置ではなく、トルクを伝達する細径部となるため、本発明品は、上述したねじり強度であれば問題のない強度であるということができる。
<寸法精度>
寸法精度は、シーブ部の振れを測定し評価した。シーブ部の振れの測定は、シャフト部を1回転させた際のシーブ部の外周端における軸方向の変位を測定した。なお、試料については、結合後、仕上げ加工前の状態のものを測定した。
ここで、比較のために、素材としてSCM20を用い、熱間鍛造によりシャフト部とシーブ部とを有する一体品を成形し、浸炭処理を施したものを別途用意した。
その結果、上記一体品は焼入による歪が大きくなりやすく、振れは0.1mmであったのに対し、上記試料E1、試料C1、及び試料C2の振れは0.05mmであり、良好な結果を示した。すなわち、一体品に対して、別部材からなるCVT用シャフトは、焼入歪を小さくできるため、高精度化が可能になり、削り代を低減できる。
なお、比較として、上記シーブ部の上記歯部の表面硬さと、上記シャフト部の上記結合外面部の表面硬さの差が小さい(Hv200(シーブ部の歯部がHv600、シャフト部の結合外面部がHv400))場合の評価を行ったところ、振れは0.30mmと大きくなった。従って、両者の硬さの差をHv300以上としないと、結合時の材料流れがスムーズに進まず、精度の良いCVT用シャフトの製造が困難となることがわかる。
これにより、本発明によれば、別部材よりなるシャフトとシーブとを一体化させて固定し、寸法精度や耐久性に優れ、さらには生産性の向上、コストの低減を図ることができるCVT用シャフト及びその製造方法を提供することができることが分かる。
(実施例3)
本例は、実施例1のシーブ部の歯部の花びら形状を後述する形状に変更し、CVT用シャフト102を作製した例である。その他は、実施例1と同様に行った。
本例のシーブ部302は、図13〜図15に示すごとく、結合内面部32に設けた各歯部34は、シャフト部2の軸線を含む軸平面200となす角度がαである受圧面81と、軸平面となす角度がβ(β>α)である傾斜面82とにより鋭角状を呈している。なお、本例では、α=0°であり、図示を省略した。
また、歯部34は、受圧面81を周方向における第1の方向G1(時計回りの方向)に位置させた第1締結歯341と、その反対側の第2の方向G2(反時計回りの方向)に受圧面82を位置させた第2締結歯342とで構成されている。また、歯部34において、第1締結歯341を並べた第1領域83と、第2締結歯342を並べた第2領域84とが、挿入穴31の周方向に交互に配列されている。
また、図14に示すごとく、第1締結歯341の傾斜面82と第2締結歯342の傾斜面82とが対面する傾斜面対面部位85には、受圧面81と傾斜面82とにより形成された谷部86の外接円860よりも内側に出ないように外方に位置し、対面する傾斜面82を滑らかに繋いだ第1控え部851が設けてある。なお、谷部86は、滑らかな曲線状に形成されている。
一方、図15に示すごとく、第1締結歯341の受圧面81と第2締結歯342の受圧面81とが対面する受圧面対面部位87には、歯部34の内接円340よりも内側に出ないように外方に位置し、対面する受圧面81を滑らかに繋いだ第2控え部871が設けてある。
本例のCVT用シャフト102の製造方法は、上記実施例1の製造方法のシーブ部準備工程を変更した以外は、実施例1と同様に行った。
シーブ部準備工程においては、まず、実施例1と同様の素材を所定長さに切断する。その後、熱間鍛造、加熱処理(焼きならし)、切削加工を行い、内周面に軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部34を有する結合内面部32と、内周面が平坦な面からなると共に上記歯部34の内接円の径よりも小さい内径を有する圧入内面部とを軸方向に連ねてなる挿入穴31を中央に有する円盤状のシーブ部302を準備する。
なお、歯部34の形状は、上述したとおりである(図13〜図15参照)。
結合工程は実施例1と同様に行うが、得られたCVT用シャフトの塑性結合部は、図13〜図15に示すごとく、シャフト部2とシーブ部3とが、結合外面部の一部を歯部34の受圧面81と傾斜面82とにより形成された谷部86に塑性流動(塑性変形)させた塑性結合部402を形成している。
また、第1控え部851は、塑性流動(塑性変形)した結合外面部211との間に間隙852を設けた状態で配置されている。
また、第2控え部871は、塑性流動した結合外面部211に当接した状態で配置されている。
なお、図14、図15においては、結合前(塑性変形前)の結合外面部21の外周面210を示してある。
次に、本例のCVT用シャフト102の作用効果を説明する。
本例のCVT用シャフト102は、シーブ部準備工程において、切削加工によって歯部の加工を行うため、実施例1の冷間鍛造による加工と比較すると、製造コストがかかる。しかしながら、塑性結合部402において、シャフト部2の結合外面部にシーブ部302の歯部34を食い込ませ、結合外面部の一部を歯部34の谷部86に塑性流動(塑性変形)させ、特に高いねじり強度を確保することができる塑性結合部402を形成することができる。そのため、シャフト部2とシーブ部302との結合力が極めて高くなる。
また、第1締結歯341の傾斜面82と第2締結歯342の傾斜面82とが対面する傾斜面対面部位85には、受圧面81と傾斜面82とにより形成された谷部86の外接円860よりも内側に出ないように外方に位置し、対面する傾斜面82を滑らかに繋いだ第1控え部851を設けてある。
シャフト部2とシーブ部302との塑性結合時において応力が集中する傾斜面対面部位85に、滑らかな形状の第1控え部851を設けることによって、発生する引張応力を低減することができる。これにより、塑性結合後におけるシーブ部302の破裂、遅れ破壊、置き狂い等を抑制することができ、CVT用シャフト102の寸法精度を向上させることができる。
また、本例のCVT用シャフト102は、その他、実施例1と同様の効果を得ることができる。
実施例1における、CVT用シャフトを示す説明図。 実施例1における、シャフト部を示す説明図。 実施例1における、シャフト部を示す断面図。 実施例1における、シーブ部を示す断面図。 図4のA方向から見た図。 図4のH部をA方向から見た拡大図。 実施例1における、シャフト部及びシーブ部の結合前の状態を示す説明図。 実施例1における、塑性結合処理の位置決めの状態を示す説明図。 実施例1における、シャフト部及びシーブ部の結合後の状態を示す説明図。 実施例2における、耐圧面強度の測定方法を示す説明図。 図11のC−C矢視断面図。 実施例2における、評価結果を示す図。 実施例3における、塑性結合部を示す説明図。 図13のE部の拡大図。 図13のF部の拡大図。
符号の説明
1 CVT用シャフト
2 シャフト部
3 シーブ部
4 塑性結合部
5 圧入部

Claims (21)

  1. ベルト式無段変速機(以下、CVTという)に用いられるCVT用シャフトであって、
    該CVT用シャフトは、機械構造用鋼よりなる棒状のシャフト部と、該シャフト部に外挿する機械構造用鋼よりなる円盤状のシーブ部を塑性結合部と圧入部とを介して結合してなり、
    該シーブ部は、上記シャフト部を挿入する挿入穴を有し、該挿入穴は、上記塑性結合部を形成するための結合内面部と、上記圧入部を形成するための圧入内面部とを軸方向に連ねて、かつ、上記圧入内面部がシーブ面に近い側に位置するように設けてなり、
    上記結合内面部の内周面には、軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部を有しており、
    上記圧入内面部の内周面は、平坦な面からなると共に上記歯部の内接円の径よりも小さい内径を有しており、
    また、上記シーブ部は、上記シャフト部との結合の前に、少なくとも歯部の表面を硬化する硬化処理を施してあり、
    上記シャフト部は、上記塑性結合部を形成するための結合外面部と、上記圧入部を形成するための圧入外面部とを軸方向に連ねて有しており、
    上記結合外面部は、上記歯部の内接円の径よりも大きい外径を有しており、
    上記圧入外面部は、上記歯部の内接円の径よりも小さい外径を有すると共に圧入可能なように上記圧入内面部の内径よりも大きい外径を有しており、
    該結合外面部に上記歯部を食い込ませて上記結合外面部の一部を塑性流動させた上記塑性結合部を形成すると共に、上記圧入内面部に上記圧入外面部を圧入した上記圧入部を形成することにより、上記シャフト部と上記シーブ部とを一体的に結合していることを特徴とするCVT用シャフト。
  2. 請求項1において、上記圧入内面部の内径をd1、上記シーブ部の直径をd2、中央径d3=(d1+d2)/2とした場合に、上記シーブ部の表面における上記中央径d3位置から中心軸に対して垂直な垂線を引いた場合に該垂線と上記挿入穴内面との交差する位置が圧入内面部であることを特徴とするCVT用シャフト。
  3. 請求項1又は2において、上記シーブ部の上記歯部は、表面硬さがHv600以上であることを特徴とするCVT用シャフト。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、上記シーブ部の上記歯部の表面硬さは、上記シャフト部の上記結合外面部の表面硬さよりHv300以上大きいことを特徴とするCVT用シャフト。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、上記シャフト部は、下記式により示される炭素当量Ceqが0.4以上の素材よりなり、上記シーブ部との結合前又は結合後に、上記結合外面部以外の少なくとも一部に、高周波焼入処理によって表面硬化処理を施してあることを特徴とするCVT用シャフト。
    Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4、(各元素記号はそれぞれの質量%を意味する。)
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、上記シーブ部の上記歯部は、上記硬化処理を施した後に、ショットピーニング処理を施してあることを特徴とするCVT用シャフト。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において、上記シーブ部の上記歯部は、基準円よりも小径の円弧を上記基準円に内接するように規則的に並べて形成される花びら形状を呈していることを特徴とするCVT用シャフト。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項において、上記シーブ部の上記結合内面部と上記圧入内面部との界面は、上記歯部の内径よりも大きい外径を有する凹部が形成されていることを特徴とするCVT用シャフト。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項において、上記シャフト部の上記結合外面部は、その外周角部に傾斜した接触面を有しており、
    上記歯部は、上記結合外面部を内周側に収容可能な大径先端部を有すると共に、その後端側に徐々に縮径する位置決め傾斜部を有しており、
    上記塑性結合部は、上記歯部の上記大径先端部内に上記結合外面部を収容すると共に上記接触面と上記位置決め傾斜部とを当接した後に、上記歯部を上記結合外面部に食い込ませて形成してあることを特徴とするCVT用シャフト。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項において、上記シャフト部は、上記結合外面部よりも外径が大きい外鍔部を有しており、
    上記歯部の軸方向端面には、上記外鍔部に当接可能な先端当接面を有しており、上記塑性結合部形成状態において、上記外鍔部と上記先端当接面とが当接していることを特徴とするCVT用シャフト。
  11. CVTに用いられるCVT用シャフトの製造方法において、
    機械構造用鋼よりなり、内周面に軸方向に歯筋を有すると共に内方に突出する複数の歯部とを有する結合内面部と、内周面が平坦な面からなると共に上記歯部の内接円の径よりも小さい内径を有する圧入内面部とを軸方向に連ねてなる挿入穴を中央に有する円盤状のシーブ部を準備するシーブ部準備工程と、
    少なくとも上記歯部の表面を硬化するシーブ部硬化処理工程と、
    機械構造用鋼よりなり、上記歯部の内接円の径よりも大きい外径の結合外面部と、上記歯部の内接円の径よりも小さい外径を有すると共に圧入可能なように上記圧入内面部の内径よりも大きい外径を有する圧入外面部とを軸方向に連ねて有する棒状のシャフト部を準備するシャフト部準備工程と、
    上記シャフト部を上記シーブ部の上記挿入穴に挿入すると共に、上記結合外面部に上記歯部を食い込ませて上記結合外面部の一部を塑性流動させた塑性結合部を形成する塑性結合処理と、上記圧入内面部に上記圧入外面部を圧入した圧入部を形成する圧入処理とを有し、上記シャフト部と上記シーブ部とを一体的に結合する結合工程とを有することを特徴とするCVT用シャフトの製造方法。
  12. 請求項11において、上記シーブ部準備工程では、上記圧入内面部の内径をd1、中央径d3=(d1+d2)/2とした場合に、上記シーブ部の表面における上記中央径d3位置から中心軸に対して垂直な垂線を引いた場合に該垂線と上記挿入穴内面との交差する位置が圧入内面部とすることを特徴とするCVT用シャフトの製造方法。
  13. 請求項11又は12において、上記シーブ部硬化処理工程では、上記シーブ部の上記歯部の表面硬さをHv600以上とすることを特徴とするCVT用シャフトの製造方法。
  14. 請求項11〜13のいずれか1項において、上記シーブ部硬化処理工程では、上記シーブ部の上記歯部の表面硬さを、上記シャフト部の上記結合外面部の表面硬さよりHv300以上大きくすることを特徴とするCVT用シャフトの製造方法。
  15. 請求項11〜14のいずれか1項において、上記シャフト部は、下記式により示される炭素当量Ceqが0.4以上の素材よりなり、上記塑性結合処理の前又は後に、上記結合外面部以外の少なくとも一部に、高周波焼入処理によって表面硬化処理を施すシャフト部表面硬化処理工程をさらに有することを特徴とするCVT用シャフトの製造方法。
    Ceq=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4、(各元素記号はそれぞれの質量%を意味する。)
  16. 請求項11〜15のいずれか1項において、上記シーブ部硬化処理工程の後に、上記シーブ部の上記歯部に、ショットピーニング処理を施すショットピーニング処理工程をさらに有することを特徴とするCVT用シャフトの製造方法。
  17. 請求項11〜16のいずれか1項において、上記シーブ部準備工程では、上記シーブ部の上記歯部を、基準円よりも小径の円弧を上記基準円に内接するように規則的に並べて形成される花びら形状に形成することを特徴とするCVT用シャフトの製造方法。
  18. 請求項11〜17のいずれか1項において、上記シーブ部準備工程では、上記シーブ部の上記結合内面部と上記圧入内面部との界面は、上記歯部の内径よりも大きい外径を有する凹部を形成することを特徴とするCVT用シャフトの製造方法。
  19. 請求項11〜18のいずれか1項において、上記シャフト部準備工程では、上記シャフト部の上記結合外面部は、その外周角部に傾斜した接触面を設け、
    上記シーブ部形成工程では、上記歯部に、上記結合外面部を内周側に収容可能な大径先端部を設けると共に、その後端側に徐々に縮径する位置決め傾斜部を設け、
    上記塑性結合工程では、上記歯部の上記大径先端部内に上記結合外面部を収容すると共に上記接触面と上記位置決め傾斜部とを当接した後に、上記歯部を上記結合外面部に食い込ませて上記塑性結合部を形成することを特徴とするCVT用シャフトの製造方法。
  20. 請求項11〜19のいずれか1項において、上記シャフト部準備工程では、上記シャフト部に、上記結合外面部よりも外径が大きい外鍔部を設け、
    上記歯部形成工程では、上記歯部の軸方向端面に、上記外鍔部に当接可能な先端当接面を設け、
    上記塑性結合処理では、上記外鍔部と上記先端当接面とを当接させることを特徴とするCVT用シャフトの製造方法。
  21. 請求項11〜20のいずれか1項において、上記結合工程は、上記圧入処理を開始した後に塑性結合処理を開始することを特徴とするCVT用シャフトの製造方法。
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