JP2008274476A - 耐光性に優れたポリエーテルエステル弾性繊維 - Google Patents

耐光性に優れたポリエーテルエステル弾性繊維 Download PDF

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斉治 溝端
Motoyoshi Suzuki
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Abstract

【課題】吸放湿性に優れ、吸放湿または吸放水によって繊維長が伸長収縮するため通気性が可逆的に変化する自己調節機能を有する織編物とすることができ、かつ耐光劣化性に優れたポリエーテルエステル弾性繊維を提供する。
【解決手段】ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなるポリエーテルエステル弾性繊維において、該ポリブチレンテレフタレートを有機スルホン酸金属塩Aおよび有機スルホン酸金属塩Bが共重合されており、該有機スルホン酸金属塩Bの割合が全テレフタル酸に対して0.5mol%より大きく20mol%以下である耐光性に優れたポリエーテルエステル弾性繊維とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエーテルエステル弾性繊維に関する。さらに詳細には吸放湿性、接触冷感、制電性、弾性特性に優れると共に自己調節機能を有するため、特にスポーツ用途やインナー用途などにおいて従来にない快適性を発現できる織編物を提供でき、かつ耐光劣化性にも優れたポリエーテルエステル弾性繊維に関するものである。
従来、衣料用や産業資材用として用いられる弾性繊維として、最も一般的なポリウレタン弾性繊維が主に用いられているが、耐熱性、耐薬品性が劣るという欠点があり、また製造上、ごく一部を除いて乾式紡糸プロセスまたは湿式紡糸プロセスが必要なため、溶剤回収が必要となり、低生産性、エネルギー多消費性であるという問題がある。更に、ポリウレタン弾性繊維はリサイクルが困難であり、燃焼時に有害なシアンガスを発生する恐れがあるなど今後の循環型社会の到来に向けて多くの課題を有している。このような背景のもと、溶融紡糸が可能な、ポリアルキレンテレフタレートのような高結晶性のポリエステルをハードセグメントとし、ポリアルキレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステル弾性繊維が高生産性であり、耐熱性、耐熱セット性に優れる利点を活かして実用化されている。更に、リサイクルが可能で、有害ガスの発生もないことから、循環型社会に適した弾性繊維として今後の発展が期待されている(例えば、特許文献1〜3)。このようなポリエーテルエステル弾性繊維としては、弾性繊維として最重要特性である、伸長弾性回復性などの弾性的性能がポリウレタン弾性繊維に匹敵できるものとして、ハードセグメントとしてポリブチレンテレフタレート、ソフトセグメントとしてポリオキシブチレングリコールを用いたポリエーテルエステル弾性繊維が専ら用いられている。しかしながら、これらのハードセグメントおよびソフトセグメントはいずれも疎水性であり、吸湿性や吸水性などの親水性を有するポリエーテルエステル弾性繊維はあまり提案されていない。
また、非特許文献1ではポリエーテルエステル弾性繊維を包含する特定の吸水性樹脂を含有する吸放湿性に優れた高伸度・高伸張回復性合成繊維を提案しているが、この特許明細書に具体的に開示されている態様はいずれもポリウレタン弾性繊維に関するものに限られ、ポリエーテルエステル弾性繊維に関する具体的記述は全く見当たらず、また本発明者等の経験では、当該特許明細書で開示された、吸水率500〜4,000重量%の吸水性樹脂は耐熱性が不良であり、かつ高吸水性のため乾燥状態での水分管理が難しく残存水分がポリエーテルエステルエラストマーの加水分解を容易に惹起するため、ポリエーテルエステルの二百数十℃の溶融紡糸プロセスに到底耐えず、工業的に実施することは極めて困難であると推量される。
特公昭47−14054号公報 特開昭48−10346号公報 特開昭57−77317号公報 WO00/47802号パンフレット
本発明の目的は、吸放湿性に優れ、吸放湿または吸放水によって繊維長が伸長収縮するため自己調節機能を有する織編物とすることができ、かつ耐光劣化性に優れたポリエーテルエステル弾性繊維を提供することにある。
なお、ここで自己調節機能とは吸放湿や吸放水により、繊維長が可逆的に伸長収縮し、その繊維長の伸長収縮変化に応じて織編物の空隙率が可逆的に変化し、その結果として織編物の通気性が可逆的に変化する機能を意味する。
本発明者等は上記目的を達成すべく、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーが好ましい傾向を示したので、その周辺を詳細に検討した。その結果、5−Naイソフタル酸成分を共重合したポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーにおいて、5−Naスルホイソフタル酸化合物として5−Naスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルエステルを使用して合成したポリブチレンテレフタレート・ポリオキシエチレングリコールブロック共重合体によって、上記目的が達成され、なかでも吸放湿や吸放水による可逆的伸長収縮性が格段に向上することを見出した。
しかし、かかるポリブチレンテレフタレート・ポリオキシエチレングリコールブロック共重合体は、吸放湿性、自己調節機能などにも非常に優れるものの、ポリオキシエチレングリコールセグメントの耐酸化性の低さに起因して耐光劣化性が低いという問題があることがわかった。そして、さらに鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなるポリエーテルエステル弾性繊維であって、該ポリブチレンテレフタレートに下記一般式(1)で表される有機スルホン酸金属塩Aおよび下記一般式(2)で表わされる有機スルホン酸金属塩Bが共重合されており、該有機スルホン酸金属塩Bの共重合量が全テレフタル酸に対して0mol%より多く20mol%以下であることを特徴とする耐光性に優れたポリエーテルエステル弾性繊維である。
Figure 2008274476
(式中、R1は芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基、X1はエステル形成性官能基、X2はX1と同一もしくは異なるエステル形成性官能基あるいは水素原子、M1はアルカリ金属を示す。)
Figure 2008274476
(式中、R2は芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基、X3はエステル形成性官能基、X4はX3と同一もしくは異なるエステル形成性官能基あるいは水素原子、M2はNi、Mn、およびBaよりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を示す。)
本発明によれば、吸放湿性だけでなく、溶融紡糸による成形性、接触冷感、制電性、弾性特性にも優れたポリエーテルエステル弾性繊維を提供することができる。また、上記ポリエーテルポリエステル弾性繊維は、吸放湿または吸放水によって繊維長が伸長収縮するため自己調節機能を有する織編物とすることができ、しかも耐光劣化性にも極めて優れている。
本発明のポリエーテルポリエステル弾性繊維(以下、弾性繊維と称することがある)は、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコ一ルをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなる弾性繊維である。該ハードセグメントはポリブチレンテレフタレートである必要があり、他のポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートでも弾性繊維を得ることはできるが、弾性回復性能が劣り、ポリウレタン系弾性繊維には遠く及ばないものとなる。上記ポリブチレンテレフタレートには本発明の効果を奏する範囲内で他の共重合成分が共重合されていてもよい。かかる共重合成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどを例示することができる。さらに、得られるポリエーテルエステルが実質的に線状であれば、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3官能以上の成分が共重合されていてもよい。
また、ソフトセグメントとしては吸湿性と弾性性能とを両立して発現できる点からポリオキシエチレングリコールが用いられる。かかるポリオキシエチレングリコールとしては弾性性能の点から直鎖状ポリオキシエチレングリコールが好ましい。さらに、本発明の効果を奏する範囲内で他のオキシアルキレン単位、例えばオキシプロピレン単位やポリオキシブチレン単位がランダム共重合および/またはブロック共重合されていてもよい。
上記ソフトセグメントを形成するポリアルキレングリコ一ルの分子量は、400〜6000、特に600〜4000のものが好ましく、400未満になるとソフトセグメントとしての効果が小さくなるため、弾性回復性能が劣るようになる。逆に6000を超えるとハードセグメントとの共重合が完全に行われず、一部のものが未反応物として残存し、紡糸延伸時に未反応物が析出したり、弾性回復性能が劣るようになったりする傾向がある。
本発明においては上記ポリエーテルエステルエラストマーを構成するハードセグメントのポリブチレンテレフタレートには有機スルホン酸金属塩Aが共重合させていなければならない。
本発明においては、上記ポリエーテルエステルエラストマーを構成するハードセグメントのポリブチレンテレフタレートに下記一般式(1)で表される有機スルホン酸金属塩Aおよび下記一般式(2)で表わされる有機スルホン酸金属塩Bが共重合されており、該有機スルホン酸金属塩Bの共重合量が全テレフタル酸に対して0mol%より多く20mol%以下であることが肝要である。すなわち、本発明においては、一般式(1)で表される有機スルホン酸金属塩Aが共重合されていることによって弾性繊維の飽和吸湿率・吸水伸長率が向上する。さらに、上記一般式(2)で表される、有機スルホン酸金属塩の対イオンがNi、MnおよびBaよりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属イオンである有機スルホン酸金属塩Bが共重合されていることにより弾性繊維の耐光劣化性をも格段に向上させることができる。
Figure 2008274476
(式中、R1は芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基、X1はエステル形成性官能基、X2はX1と同一もしくは異なるエステル形成性官能基あるいは水素原子、M1はアルカリ金属を示す。)
Figure 2008274476
(式中、R2は芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基、X3はエステル形成性官能基、X4はX3と同一もしくは異なるエステル形成性官能基あるいは水素原子、M2はNi、Mn、およびBaよりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を示す。)
上記一般式(1)で表わされる有機スルホン酸金属塩の好ましい具体例としては、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸リチウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸リチウム、3,5−ジ(β一ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルポニル)べンゼンスルホン酸リチウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸ナトウリム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸カリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸リチウム、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシスフタレン−1−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−3−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4,8−ジスルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルポキシナフタレン−4,8−ジスルホン酸ナトリウム、2,5−ビス(ヒドロエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−ナトリウムスルホコハク酸などをあげることができる。これらの有機スルホン酸金属塩は1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
一方、一般式(2)で表わされる有機スルホン酸金属塩の好ましい具体例としては、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ニッケル、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸マンガン、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸バリウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ニッケル、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸マンガン、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸バリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルポニル)ベンゼンスルホン酸ニッケル、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸マンガン、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸バリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸ニッケル、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸マンガン、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸バリウム、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸ニッケル、2,6−ジカルボメトキシスフタレン−1−スルホン酸ニッケル、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−3−スルホン酸ニッケル、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4,8−ジスルホン酸ニッケル、2,6−ジカルボキシナフタレン−4,8−ジスルホン酸ニッケル、2,5−ビス(ヒドロエトキシ)ベンゼンスルホン酸ニッケルなどをあげることができる。これらの有機スルホン酸金属塩は1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
また、有機スルホン酸金属塩Bの共重合量は、0mol%より多く20mol%以下(すなわち共重合量をKとした場合、0<K≦20mol%)とする必要があり、有機スルホン酸金属塩Bの共重合量が20mol%を超えると弾性繊維の融点が低下して耐熱性、耐薬品性が悪化するようになる。一方、有機スルホン酸金属塩Bの共重合量があまりに少ないと得られる繊維の耐光劣化性が劣る傾向にある。したがって、有機スルホン酸金属塩Bの共重合量は、好ましくは0.5mol%以上20mol%以下であり、より好ましくは0.5mol%以上15mol%以下である。
前述したように本発明の弾性繊維を構成するポリエーテルエステルエラストマーにおいては、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートからなり、ソフトセグメントがポリエチレングリコールからなるが、弾性繊維の弾性特性、吸放湿特性の点から、ハードセグメントとソフトセグメントの比率が、70:30〜30:70であることが好ましく、60:40〜40:60であることがより好ましい。ハードセグメントの比率が70%を超えると、弾性繊維の伸度が低くなり、高ストレッチ用途に使用することが難しくなり、吸放湿性も低いものとなりやすい。また、ハードセグメントの比率が30%未満であると、ポリブチレンテレフタレート結晶部の割合が低くなるため充分な強度が得られず、添加したポリエチレングリコールをすべて共重合させることが困難となり、精練・染色などの高次加工工程や、製品として使用される場合の洗濯堅牢性が劣ったものになりやすい。
本発明の弾性繊維は35℃のオルソクロロフェノール溶液で測定した固有粘度が0.9以上であることが望ましい。固有粘度が0.9未満の場合には飽和吸湿率および吸水伸長率が不充分となる傾向があり、その結果、自己調節機能が劣ったものとなりやすい。弾性繊維の固有粘度が大きくなるに従って、飽和吸湿率および吸水伸長率は向上し、優れた自己調節機能が発現するようになるが、固有粘度があまりも大きくなると製糸性が低下するだけでなく、製造コストが高くなるため、本発明の弾性繊維の固有粘度は0.9〜1.2の範囲にあることが好ましい。
本発明の弾性繊維においては、35℃95%RHの飽和吸湿率が5.0%以上であり、吸水伸長率が5.0%以上であることが望ましい。該飽和吸湿率が5.0%未満、あるいは吸水伸長率が5.0%未満である場合には吸放水による可逆的伸長収縮特性が不充分となり、充分な自己調節機能が得られ難くなる傾向にある。これらの値が大きくなるに従って、自己調節機能は大きくなるが、あまりに大きくなりすぎると弾性繊維の弾性性能、耐熱性、耐候(光)性、耐薬品性などが悪化する傾向があるので、35℃95%RHの飽和吸湿率は、5.0〜40.0%であることが好ましく、10.0〜30%であることがより好ましい。また、吸水伸長率は、5.0〜100%であることが好ましく、10.0〜80.0%であることがより好ましく、15.0〜60.0%であることがさらに好ましい。
なお、ここで35℃95%RHの飽和吸湿率、及び吸水伸長率は後述する実施例に記載の方法により測定されるものである。
本発明のポリエーテルエステルエラストマーは任意の方法によって合成される。たとえば、テレフタル酸ジメチル、テトラメチレングリコール、有機スルホン酸金属塩およびポリオキシエチレングリコールとを含む原料を、エステル交換触媒の存在下でエステル交換反応させ、ピス(ω−ヒドロキシブチル)テレフタレート及び/又はオリゴマーを形成させ、その後、重縮合触媒及び安定剤の存在下で減圧下に加熱して所望の重合度になるまで溶融重縮合反応させることによって製造できる。
ここで使用するエステル交換触媒としては、ナトリウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩、チタン、亜鉛、マンガン等の金属化合物を使用するのが好ましい。
重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、コバルト化合物、錫化合物などを使用するのが好ましい。
触媒の使用量は、エステル交換反応、重縮合反応を進行させるために必要な量であるならば特に限定されるものではなく、また、複数の触媒を併用することも可能である。
また、安定剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイトなどの亜リン酸エステル類、メチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート酸性リン酸エステル、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸等のリン化合物、1,3,5−トリメチル−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤などが好ましい。
エステル交換触媒の供給は、原料調製時の他、エステル交換反応の初期の段階において行うことができる。また、安定剤の供給は、重縮合反応初期までに行うことができるが、エステル交換反応終了時に添加することが好ましい。更に、重縮合触媒は重縮合反応工程の初期までに供給することができる。
このようにして得られたポリエーテルエステルエラストマーから、弾性繊維を製造する方法としては、通常の溶融紡糸方法が任意に採用される。たとえば、ポリエーテルエステルエラストマーを溶融して紡糸口金から吐出して巻き取った後、必要に応じて延伸や熱処理を施す方法などによって製造することができる。より具体的には、たとえば、ポリエーテルエステルエラストマーを200〜240℃で溶融して紡糸口金から吐出し、これを300〜1000m/分で巻き取り、必要に応じて延伸や熱処理を施すことにより製造することができる。
弾性繊維は中空部を有しない中実繊維であっても、中空部を有する中空繊維であってもよい。また、紡出される弾性繊維の横断面における外形や中空部の形状は円形であっても異形であってもよい。
なお、本発明のポリエーテルエステル弾性繊維には必要に応じて任意の添加剤、たとえば触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、酸化防止剤、艶消剤、着色剤、無機微粒子等が含まれていてもよい。
以下に本発明の実施例および比較例を詳述するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。実施例、比較例中の部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。また、以下、ポリエーテルエステル弾性繊維を、繊維と称することがある。
(1)固有粘度
35℃のオルソクロロフェノール溶液により定法により測定した。
(2)35℃95%RH飽和吸湿率
繊維を35℃95%RHに調節した恒温恒温室中に入れて24時間調湿し、絶乾試料の重量と調湿試料の重量とから次式により飽和吸湿率を求めた。
飽和吸湿率(%)=(調湿後の重量−絶乾時の重量)×100/絶乾時の重量
(3)吸水伸長率
繊維を沸水中で無緊張下に30分間処理した後、20℃65RH%の雰囲気下に24時間風乾した。次いで、該繊維を160℃雰囲気下、無緊張状態で2分間、非接触の乾熱処理を施した。該繊維を20℃65RH%の雰囲気下に24時間放置後、繊維に1.1mg/デシテックス(1mg/デニール)の荷重を掛けた状態で繊維の長を測定した。この繊維の長さを「乾燥時の繊維長さ」とした。その後、この繊維を20℃の温度に調節された軟化水中に1分間浸漬した。しかる後、該繊維を水中から引き出して繊維に付着したフリーな水分を拭き取った。拭き取り終了時点から10秒後に繊維に1.1mg/デシテックス(1mg/デニール)の荷重を掛けて繊維の長さを測定した。この繊維の長さを「吸水時の繊維長さ」とした。吸水伸長率は下記の式によって計算した。
吸水伸長率=(吸水時の繊維長さ−乾燥時の繊維長さ)÷乾燥時の繊維長さ×100%
(4)強度
20℃×65RH%に調湿された恒温恒温室内にて、東洋ボールドウィン社製テンシロンRTM−100引張試験機を用い、引張テストをすることにより測定した。
(5)耐光劣化性(紫外線照射前後における強力保持率)
スガ製フェード試験機を用い、繊維をサンプルホルダーにたるまない程度の張力をもって貼り付け、63℃×20RH%の雰囲気下で10時間、紫外線カーボンアークによるUV照射を行った。紫外線照射前後における強力保持率は次式により算出した。
紫外線照射前後における強力保持率(%)=(紫外線照射後の繊維の強度/紫外線照射前の繊維の強度)×100
[実施例1]
ポリエーテルエステルエラストマーを構成するテレフタル酸成分に対して、有機スルホン酸金属塩Aとして5−Naスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルエステルを1.0モル%、有機スルホン酸金属塩Bとして5−Niスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルエステルを4.0モル%、及びポリオキシエチレングリコール(平均分子量4000)を得られるポリエーテルエステルエラストマー重量を基準として50重量%共重合した、固有粘度が1.10のポリテトラメチレンテレフタレートを230℃で溶融し、所定の紡糸口金より吐出量3.05g/分で押出した。このポリマーを2個のゴデットロールを介して750m/分で捲取り、44デシテックス/1フィラメントのポリエーテルエステル弾性繊維を得た。得られたポリエーテルエステル弾性繊維の固有粘度、35℃95%RHの飽和吸湿率、吸水伸長率、紫外線照射前後における強力保持率は表1に示すとおりであった。
[実施例2〜5、比較例1〜8]
有機スルホン酸金属塩Bとして使用する5−スルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルエステルの対金属イオン種、有機スルホン酸金属塩Aと有機スルホン酸金属塩Bの共重合量を表1のように変更した以外は実施例1と同様に行い、表1に示すような結果を得た。
Figure 2008274476
本発明のポリエーテルエステル弾性繊維は、吸放湿性だけでなく、溶融紡糸による成形性、接触冷感、制電性、弾性特性にも優れている。また、本発明のポリエーテルポリエステル弾性繊維は、吸放湿または吸放水によって繊維長が伸長収縮するため通気性が可逆的に変化する自己調節機能を有する織編物とすることができ、しかも耐光劣化性にも優れている。このため、特にスポーツ用途やインナー用途などにおいて従来にない快適機能を発現できる織編物を提供できる。また、従来公知のポリエステルやナイロンなどの合成繊維や天然繊維との交編・交織も可能であり、衣料用繊維製品の幅を大きく広げるものである。

Claims (5)

  1. ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマーからなるポリエーテルエステル弾性繊維であって、該ポリブチレンテレフタレートに下記一般式(1)で表される有機スルホン酸金属塩Aおよび下記一般式(2)で表わされる有機スルホン酸金属塩Bが共重合されており、該有機スルホン酸金属塩Bの共重合量が全テレフタル酸に対して0mol%より多く20mol%以下であることを特徴とする耐光性に優れたポリエーテルエステル弾性繊維。
    Figure 2008274476
    (式中、R1は芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基、X1はエステル形成性官能基、X2はX1と同一もしくは異なるエステル形成性官能基あるいは水素原子、M1はアルカリ金属を示す。)
    Figure 2008274476
    (式中、R2は芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基、X3はエステル形成性官能基、X4はX3と同一もしくは異なるエステル形成性官能基あるいは水素原子、M2はNi、Mn、およびBaよりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を示す。)
  2. ポリエーテルエステル弾性繊維の固有粘度が0.9以上である請求項1記載の耐光性に優れたポリエーテルエステル弾性繊維。
  3. ポリエーテルエステルエラストマーにおける、ハードセグメント/ソフトセグメントの比率が重量基準で30/70〜70/30である請求項1記載の耐光性に優れたポリエーテルエステル弾性繊維。
  4. ポリエーテルエステル弾性繊維の35℃95RH%における飽和吸湿率が5.0%以上、吸水伸長率が5.0%以上である請求項1記載の耐光性に優れたポリエーテルエステル弾性繊維。
  5. 請求項1に記載の耐光性に優れたポリエーテルエステル弾性繊維を含んでなる繊維製品。
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