JP2008274213A - 粘着剤組成物及び表面保護フィルム - Google Patents

粘着剤組成物及び表面保護フィルム Download PDF

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拓哉 佐野
Toshiyuki Hayakawa
俊之 早川
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丈夫 中村
Akihiko Okubo
明彦 大久保
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Abstract

【課題】表面保護フィルム等において粘着力の昂進を抑制しうる粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】(イ)a−[b−a]、又は[a−b](但し、aはビニル結合の含有率が30%以下であるポリブタジエンブロック、bは共役ジエン化合物単位を含み、該共役ジエン化合物単位におけるビニル結合の含有率が50%以上である重合体ブロック、n及びmは各々独立に1以上の整数を示す。)の構造を有し、ブロックaとブロックbとの質量比がa/b=5/95〜50/50であるブロック共重合体を、水素添加率が80%以上となるように水素添加してなる水添共重合体、及び、必要に応じて配合される(ロ)水添スチレン系エラストマー、を含む粘着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物、及び該粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成させてなる表面保護フィルムに関する。
従来より、金属板、被覆塗装鋼板、合成樹脂板、化粧合板、銘板、ガラス板等の各種の部材の表面を汚染や損傷から保護するために、これらの部材の表面を表面保護フィルムで被覆することが行われている。
一般に、表面保護フィルムは、フィルム状の基材層とその基材層の表面に形成された粘着剤層とを備えた構成を有している。このような表面保護フィルムは、粘着剤層を介してフィルム状の基材を被保護体の表面に貼着させることによって、被保護体の表面を汚染や損傷から保護することができる。
表面保護フィルムの粘着剤層を形成するための粘着剤組成物としては、例えば、芳香族アルケニル化合物単位を主たる繰り返し単位とする重合体ブロックAと、水素添加された共役ジエン化合物単位を主たる繰り返し単位とする重合体ブロックBを含むブロック共重合体を構成成分とする粘着剤組成物を用いることが提案されている。より具体的には、[A−B]型のブロック共重合体や[A−B−A]型のブロック共重合体を含有する表面保護フィルム用の粘着剤組成物(但し、「A」は重合体ブロックA、「B」は重合体ブロックBを示す。)が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特公平6−23365号公報 特許第2713519号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の粘着剤組成物は、金属板等の被保護体(被着体)に接着された後、積み重ねられたり、コイル状に巻き回された状態等で保管されるため、経時的に粘着力が昂進し、その結果、被着体の表面から表面保護フィルムを剥離させる際に、剥離作業が難航したり、あるいは、被着体の上に表面保護フィルムや粘着剤が部分的に残留(糊残り)するなどの問題が起きることがある。また、光学用フィルム(例えば、プリズムシート、拡散板等)のような凹凸フィルムと、表面保護フィルムとの接着剤として、前記の粘着剤組成物を用いた場合においても、凹凸フィルムの使用時に表面保護フィルムを剥離した後に、粘着剤組成物の粘着力の昂進による当該粘着剤組成物の残留に起因して、光学フィルムの機能が低下するという問題が生じることがある。
本発明は、前記の従来技術の問題点を解消しようとするものであり、適度な粘着力及び初期ピール強度を有し、かつ、経時的なピール強度の上昇が少ない(すなわち、粘着昂進の程度が小さい)粘着剤組成物、及び該組成物を用いて作製される表面保護フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の従来技術の問題を解消するために鋭意検討した結果、粘着剤組成物を構成するブロック共重合体の構造、単量体単位の組成、物性などを特定することによって、上記問題が解消されることに想到し、本発明を完成した。具体的には、本発明により、以下の粘着剤組成物等が提供される。
本発明は、以下の[1]〜[4]を提供するものである。
[1] 下記(イ)成分を含む粘着剤組成物。
[(イ)成分]下記重合体ブロックaと、下記重合体ブロックbとを含み、a−[b−a]、又は[a−b](但し、aは重合体ブロックa、bは重合体ブロックb、n及びmは各々独立に1以上の整数を示す。)の構造を有するブロック共重合体であって、重合体ブロックaと重合体ブロックbとの質量比がa/b=5/95〜50/50であるブロック共重合体を、水素添加率が80%以上となるように水素添加してなる水添共重合体
[重合体ブロックa]ビニル結合の含有率が30%以下であるポリブタジエンブロック
[重合体ブロックb]共役ジエン化合物単位を含み、該共役ジエン化合物単位におけるビニル結合の含有率が50%以上である重合体ブロック
[2] (ロ)水添スチレン系エラストマーを含み、かつ、(イ)成分と(ロ)成分との質量比((イ)/(ロ))が、10/90〜90/10である前記[1]に記載の粘着剤組成物。
[3] ポリオレフィン系樹脂からなる基材層と、該基材層の片面に積層して形成された粘着剤層とからなる表面保護フィルムであって、上記粘着剤層が、前記[1]又は[2]に記載の粘着剤組成物からなる表面保護フィルム。
[4] 前記[3]に記載の表面保護フィルムを製造する方法であって、上記基材層の上に、もしくは上記基材層の形成と同時に、上記粘着剤層を押出成形により形成する工程を含む、表面保護フィルムの製造方法。
本発明の粘着剤組成物は、表面保護フィルムの粘着剤層の材料に用いると、該表面保護フィルムに対して、良好な粘着力及び初期ピール強度を付与し、かつ、経時的なピール強度の上昇が少ない(すなわち、粘着昂進の程度が小さい)という効果を与える。
本発明の表面保護フィルムは、被着体に良好に接着することができ、かつ、被着体から剥離するときに、糊残り等の不具合を生じることがなく、容易かつ迅速に剥離作業を行なうことができる。
本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着剤層含有部材は、光学用表面保護フィルム(例えば、光学フィルム用の表面保護フィルム)の用途に最適である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について具体的に説明する。但し、本発明は、特許請求の範囲で規定した特定の事項を備える限りにおいて全ての実施形態を包含するものであり、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
[1]粘着剤組成物
本発明の粘着剤組成物は、1種以上の共重合体(以下、共重合体組成物と称する。)と、必要に応じて添加されるその他の任意成分とを含むものである。
以下、(イ)成分、(ロ)成分の各々について説明する。なお、本明細書においては、「単量体Xに由来する繰り返し単位」を単に「X単位」と記す場合がある。
[(イ)成分]
(イ)成分は、下記重合体ブロックaと、下記重合体ブロックbとが、直鎖状もしくは分岐状に配列したブロック共重合体(水添前共重合体)を、水素添加率が80%以上となるように水素添加してなる水添共重合体である。
[重合体ブロックa]ビニル結合の含有率が30%以下であるポリブタジエンブロック
[重合体ブロックb]共役ジエン化合物単位を含み、ビニル結合の含有率が50%以上である重合体ブロック
(イ)成分の水添前共重合体を構成する重合体ブロックaは、ブタジエンを単独重合してなるポリブタジエンブロックであり、該ブロック中のビニル結合の含有率(即ち、1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の合計の質量割合;以下、「ビニル結合含量」ともいう。)は30%以下、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。重合体ブロックa中のビニル結合含量が30%を超えると、粘着剤組成物の機械的強度が劣るため、好ましくない。
(イ)成分の水添前共重合体を構成する重合体ブロックbは、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックである。
重合体ブロックb中の共役ジエン化合物単位の含有率は、好ましくは65〜100質量%、より好ましくは70質量%〜100質量%、特に好ましくは75〜100質量%である。このような重合体ブロックbとしては、例えば、共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロックや、共役ジエン化合物単位と、共役ジエン化合物と共重合可能な他の化合物に由来する繰り返し単位とからなる共重合体ブロックが挙げられる。
重合体ブロックbの共役ジエン化合物単位を構成する共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、ミルセン及びクロロプレン等が挙げられる。中でも、重合反応性が高く、原料が工業的に入手し易いという理由から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
上記共役ジエン化合物と共重合体可能な他の単量体に由来する繰り返し単位としては、芳香族ビニル化合物単位や(メタ)アクリル酸エステル化合物単位が挙げられるが、好ましくは芳香族ビニル化合物単位である。中でも、スチレンが好ましい。重合体ブロックb中の、他の単量体に由来する繰り返し単位の含有率は、35質量%以下、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。上記含有率が、35質量%を超えると、粘着剤組成物の低温特性、柔軟性が劣るため好ましくない。
重合体ブロックb中のビニル結合含量は50%以上、好ましくは55%以上である。重合体ブロックb中のビニル結合含量が50%未満であると、粘着剤組成物の粘着力が劣る。
上記重合体ブロックa及びbを含む、(イ)成分の水添前共重合体は、a−[b−a]、又は[a−b](但し、aは重合体ブロックa、bは重合体ブロックb、n及びmは各々独立に1以上の整数を示す。)で表される構造を有するものである。中でも、生産性の観点から、上記[a−b]で表される構造を有するものが好ましい。
上記水添前共重合体中、重合体ブロックaと重合体ブロックbとの質量比(重合体ブロックa/重合体ブロックb)は、5/95〜50/50であり、好ましくは20/80〜50/50である。
本発明の粘着剤組成物において、(イ)成分として用いられる水添共重合体は、このような水添前共重合体の共役ジエン化合物に由来する二重結合を80%以上水素添加してなるものである。上記水添共重合体における水素添加率は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。上記水素添加率が80%未満であると、粘着剤組成物の熱安定性、耐久性が劣るため好ましくない。
上記水添共重合体は、A−[B−A]、又は[A−B](但し、Aは重合体ブロックaに由来する重合体ブロック、Bは重合体ブロックbに由来する重合体ブロック、n及びmは1以上の整数を示す。)で表される構造を有する。(イ)成分として用いられる水添共重合体としては、生産性の観点から、上記[A−B]で表される構造を有するものが好ましい。
上記水添共重合体の、230℃、21.2N荷重で測定されるメルトフローレートは、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.01〜80g/10分である。
[(ロ)成分]
(ロ)成分は、水添スチレン系エラストマーである。
(ロ)成分(水添スチレン系エラストマー)の好ましい一例として、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックを少なくとも1つ含み、かつ、ビニル結合含量が40%以上である共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックを少なくとも1つ含むブロック共重合体(水添前共重合体)を水素添加してなる水添共重合体が挙げられる。ここでの水添前共重合体は、さらに、共役ジエン化合物単位と芳香族ビニル化合物単位とを含み、芳香族ビニル化合物単位が漸増するテーパーブロックや、ビニル結合含量が30%未満であるポリブタジエンブロック等の重合体ブロックを含むことができる。
以下、(ロ)成分として好ましく用いられる(ロ−1)成分〜(ロ−3)成分について詳しく説明する。
[(ロ−1)成分]
(ロ−1)成分は、下記重合体ブロックcと、下記重合体ブロックdと、下記重合体ブロックeとからなるブロック共重合体(水添前共重合体)を、水素添加率が80%以上になるように水素添加してなる水添共重合体である。
[重合体ブロックc]芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロック
[重合体ブロックd]共役ジエン化合物単位のみからなる重合体ブロック、または共役ジエン化合物単位と芳香族ビニル化合物単位とのランダム共重合体ブロック(ただし、芳香族ビニル化合物単位の含有率は45質量%以下である。)であって、該共役ジエン化合物単位におけるビニル結合の含有率が60%以上である重合体ブロック
[重合体ブロックe]共役ジエン化合物単位と芳香族ビニル化合物単位とを含み、芳香族ビニル化合物単位が漸増するテーパーブロック
(ロ−1)成分の水添前共重合体を構成する重合体ブロックcは、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックである。重合ブロックc中の芳香族ビニル化合物単位の含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。該含有率を高めると、粘着剤組成物の熱可塑性を向上させることができ、粘着剤組成物のリサイクルがより容易になるという利点がある。
重合体ブロックcは、50質量%未満の範囲で、芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の化合物に由来する繰り返し単位を含むことができる。他の繰り返し単位としては、例えば、共役ジエン化合物単位、(メタ)アクリル酸エステル化合物単位等が挙げられる。中でも、芳香族ビニル化合物との共重合性が高いという理由から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく用いられる。
(ロ−1)成分の水添前共重合体を構成する重合体ブロックdは、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、具体的には、共役ジエン化合物単位のみからなる重合体ブロックであるか、または共役ジエン化合物単位と芳香族ビニル化合物単位とのランダム共重合体ブロックである。重合体ブロックdが、共役ジエン化合物単位と芳香族ビニル化合物単位とのランダム共重合体ブロックである場合、該ブロックd中の芳香族ビニル化合物単位の含有率は、45質量%以下であり、好ましくは35質量%以下である。
重合体ブロックd中、ビニル結合含量は60%以上であり、好ましくは65%以上である。ビニル結合含量が60%未満であると、粘着剤組成物の粘着力が劣るため好ましくない。
上記重合体ブロックc、d及びeにおいて、芳香族ビニル化合物単位を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン及びビニルピリジン等を挙げることができる。中でも、原料が工業的に入手し易いという理由から、スチレンが好ましい。
上記重合体ブロックc、d及びeにおいて、共役ジエン化合物単位を構成する共役ジエン化合物としては、上述の(イ)成分における重合体ブロックbの共役ジエン化合物単位を構成する共役ジエン化合物と同様のものが挙げられる。同様の理由から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
上記重合体ブロックc、重合体ブロックd、及び重合体ブロックeとからなる、(ロ−1)成分の水添前共重合体は、例えば、[c−d−e](但し、cは重合体ブロックc、dは重合体ブロックd、eは重合体ブロックeを示す。)で表される構造を有するものである。
上記水添前共重合体中、芳香族ビニル化合物単位/共役ジエン化合物単位の質量比は、好ましくは5/95〜40/60であり、より好ましくは8/92〜30/70である。
本発明の粘着剤組成物において、(ロ−1)成分として用いられる水添共重合体は、このような水添前共重合体の、共役ジエン化合物に由来する二重結合を80%以上水素添加してなるものである。上記水添共重合体における水素添加率は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。上記水素添加率が80%未満であると、粘着剤組成物の熱安定性、耐久性が劣るため好ましくない。
上記水添共重合体は、例えば、[C−D−E](但し、Cは、重合体ブロックcに由来する重合体ブロック、Dは、重合体ブロックdに由来する重合体ブロック、Eは、重合体ブロックeに由来する重合体ブロックを示す。)で表される構造を有する。
上記水添共重合体の、230℃、21.2N荷重で測定されるメルトフローレートは、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.01〜80g/10分である。
[(ロ−2)成分]
(ロ−2)成分は、下記重合体ブロックa(ここで、重合体ブロックaの定義及び詳細は、(イ)成分における重合体ブロックaと同様である。)と、下記重合体ブロックc(ここで、重合体ブロックcの定義及び詳細は、(ロ−1)成分における重合体ブロックcと同様である。)と、下記重合体ブロックfとを含むブロック共重合体(水添前共重合体)を、水素添加率が80%以上となるように水素添加してなる水添共重合体である。
[重合体ブロックa]ビニル結合の含有率が30%以下であるポリブタジエンブロック
[重合体ブロックc]芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロック
[重合体ブロックf]共役ジエン化合物単位55〜100質量%と芳香族ビニル化合物単位45〜0質量%とを含み、該共役ジエン化合物単位におけるビニル結合の含有率が40%以上である重合体ブロック
(ロ−2)成分の水添前共重合体を構成する重合体ブロックfは、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、該ブロックf中の共役ジエン化合物単位の含有率は、55〜100質量%、好ましくは65〜100質量%、さらに好ましくは75〜100質量%、最も好ましくは80〜100質量%である。
重合体ブロックfは、45質量%以下の範囲で、芳香族ビニル化合物単位を含むことができる。重合体ブロックf中の芳香族ビニル化合物単位の含有率は、好ましくは0〜35質量%、さらに好ましくは0〜25質量%、最も好ましくは0〜20質量%である。共役ジエン化合物単位及び芳香族ビニル化合物単位の含有率を上記の数値範囲内とすることによって、粘着剤組成物の柔軟性を向上させることができる。
なお、重合体ブロックfは、共役ジエン化合物単位及び芳香族ビニル化合物単位以外の他の繰り返し単位(例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物単位等)を含むこともできる。重合体ブロックf中、他の繰り返し単位の含有率は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
重合体ブロックf中、ビニル結合含量は40%以上であり、好ましくは42%以上である。
重合体ブロックfの芳香族ビニル化合物単位を構成する芳香族ビニル化合物としては、上述の(ロ−1)成分における重合体ブロックcの芳香族ビニル化合物単位を構成する芳香族ビニル化合物と同様のものが挙げられる。中でも、上述の(ロ−1)成分と同様の理由から、スチレンが好ましい。
重合体ブロックfの共役ジエン化合物単位を構成する共役ジエン化合物としては、上述の(イ)成分における重合体ブロックbの共役ジエン化合物単位を構成する共役ジエン化合物と同様のものが挙げられる。中でも、上述の(イ)成分と同様の理由から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
上記重合体ブロックa、c、及びfを含む、(ロ−2)成分の水添前共重合体は、例えば、[a−f−c](但し、aは重合体ブロックa、cは重合体ブロックc、fは重合体ブロックfを示す。)で表される構造を有するものである。
上記水添前共重合体中の各重合体ブロックの含有率は、重合体ブロックaと重合体ブロックcと重合体ブロックfとの合計100質量%として、以下のように定められる。
重合体ブロックaの含有率は、5〜40質量%、好ましくは7〜35質量%である。上記含有率が5質量%未満では、粘着剤組成物の力学的性質が劣り、一方、40質量%を超えると、ゴム的性質が失われる。
重合体ブロックcの含有率は、5〜45質量%、好ましくは10〜40質量%である。上記含有率が5質量%未満では、粘着剤組成物の耐熱性、機械的強度が劣り、一方、45質量%を超えると、加工性、柔軟性が劣る。
重合体ブロックfの含有率は、30〜90質量%、好ましくは40〜80質量%である。上記含有率が30質量%未満では、粘着剤組成物の柔軟性が低下し、一方、90質量%を超えると、加工性、機械的強度が低下する。
本発明の粘着剤組成物において、(ロ−2)成分として用いられる水添共重合体は、このような水添前共重合体の、共役ジエン化合物に由来する二重結合を80%以上水素添加してなるものである。上記水添共重合体における水素添加率は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。上記水素添加率が80%未満であると、粘着剤組成物の熱安定性、耐久性が劣るため好ましくない。
上記水添共重合体は、例えば、[A−F−C](但し、Aは、重合体ブロックaに由来する重合体ブロック、Fは、重合体ブロックfに由来する重合体ブロック、Cは、重合体ブロックcに由来する重合体ブロックを示す。)で表される構造を有する。
上記水添共重合体の、230℃、21.2N荷重で測定されるメルトフローレートは、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.01〜80g/10分である。
[(ロ−3)成分]
(ロ−3)成分は、下記重合体ブロックcと、下記重合体ブロックf(以上の重合体ブロックc、fの定義及び詳細は、(ロ−2)成分における重合体ブロックc、fと同様である。)とを含むブロック共重合体であって、少なくとも2つの末端が重合体ブロックcであり、中間部分に少なくとも1つの重合体ブロックfを有するブロック共重合体(但し、カップリングにより得られる共重合体は除く。ここでの水添前のブロック共重合体を以下、水添前共重合体という。)を、水素添加率が80%以上となるように水素添加してなる水添共重合体である。
[重合体ブロックc]芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロック
[重合体ブロックf]共役ジエン化合物単位55〜100質量%と芳香族ビニル化合物単位45〜0質量%とを含み、該共役ジエン化合物単位におけるビニル結合の含有率が40%以上である重合体ブロック
(ロ−3)成分の水添前共重合体としては、例えば、[c−f−c]、[c−f−f−c]、[c−f−c−c]、[c−f−f−f−c](但し、c、c、cは上記重合体ブロックcの条件を満たす重合体ブロック、f、fは上記重合体ブロックfの条件を満たす重合体ブロックを示す。)で表される構造を有するものである。これらのブロック共重合体において、例えば、c、c、c及びf、fは、重合体ブロックc及び重合体ブロックfに関し、各々が異なる重合体ブロック(例えば、c、c、cがすべて異なるもの)であってもよいし、同一の重合体ブロック(例えば、c、c、cがすべて同じもの)であってもよい。
上記水添前共重合体において、重合体ブロックcと重合体ブロックfとの質量比は、c/f=5/95〜45/55であり、好ましくは10/90〜35/65である。
本発明の粘着剤組成物において、(ロ−3)成分として用いられる水添共重合体は、上述の水添前共重合体の、共役ジエン化合物に由来する二重結合を80%以上水素添加してなるものである。水添共重合体における水素添加率は、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。水素添加率が80%未満であると、粘着剤組成物の熱安定性、耐久性が劣る。
上記水添共重合体は、例えば、[C−F−C]、[C−F−F−C]、[C−F−C−C]、[C−F−F−F−C]等で表される構造(但し、C、C、Cは、上記重合体ブロックcに由来する重合体ブロック、F、Fは、重合体ブロックfに由来する重合体ブロックを示す。)を有する。これらのブロック共重合体において、例えば、C、C、C及びF、Fは、重合体ブロックC、Fに関し、各々が異なる重合体ブロック(例えば、C、C、Cがすべて異なるもの)であってもよいし、同一の重合体ブロック(例えば、C、C、Cがすべて同じもの)であってもよい。
なお、末端の重合体ブロックCは、共重合体全体の2質量%以上を占めていることが好ましい。重合体ブロックCの効果を確実に発揮させるためである。
上記水添共重合体の、230℃、21.2N荷重で測定されるメルトフローレートは、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.01〜80g/10分である。
[共重合体組成物]
本発明の粘着剤組成物を構成する共重合体組成物(1種以上の共重合体の集合)は、(イ)成分を必須成分として含むものである。さらに、上記共重合体組成物は、(ロ−1)成分、(ロ−2)成分、(ロ−3)成分から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
共重合体組成物中、(イ)成分と(ロ−1)成分との質量比((イ)/(ロ−1))は、10/90〜90/10、好ましくは25/75〜90/10である。
共重合体組成物中、(イ)成分と(ロ−2)成分との質量比は、(イ)/(ロ−2)=10/90〜90/10であり、好ましくは25/75〜90/10である。
共重合体組成物中、(イ)成分と(ロ−3)成分との質量比は、(イ)/(ロ−3)=10/90〜90/10であり、好ましくは25/75〜90/10である。
共重合体組成物中、芳香族ビニル化合物単位の含有率は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。芳香族ビニル化合物単位の含有率を上記範囲内とすることにより、適度な保持力と被着体の表面の凹凸加工面への追随性を兼ね備えた粘着剤組成物を得ることができる。
共重合体組成物の分子量については特に制限はないが、重量平均分子量が3万〜50万であることが好ましく、8万〜45万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3万〜50万の範囲とすることで、共重合体組成物の工業的な生産を容易なものとすることができる。重量平均分子量が3万未満であると、ポリマーを脱溶媒、乾燥させる工程において製造設備等にポリマーが付着してしまい、共重合体組成物の工業的生産が困難となる場合がある。一方、重量平均分子量が50万を超えると、溶剤への溶解性や熱溶融性が悪くなり、粘着剤層の形成が困難になる場合がある。
共重合体組成物の、230℃、21.2Nの荷重で測定したメルトフローレート(以下、「MFR(230℃、21.2N)」と記す。)の値は、1〜100g/10分の範囲内であることが好ましい。MFR(230℃、21.2N)の値を上記の範囲内とすることによって、粘着剤組成物の押出成形性、ひいては生産性を大幅に向上させることができる。
押出成形性を更に良好なものとするためには、共重合体組成物のMFR(230℃、21.2N)の値を1〜50g/10分の範囲内とすることが好ましい。なお、MFR(230℃、21.2N)の値は、重量平均分子量、(イ)成分と(ロ)成分との質量比、芳香族ビニル化合物単位の含有量、(イ)成分及び(ロ)成分に含まれる共役ジエン化合物単位のビニル結合含有率及び水素添加率等の条件によってコントロールすることができる。なお、本明細書において「MFR(230℃、21.2N)」というときは、JIS K7210に記載の方法に準拠して測定したMFRの値を意味するものとする。
[任意成分]
本発明の粘着剤組成物において、上記共重合体組成物と共に配合可能な任意成分の一例としては、粘着付与剤が挙げられる。粘着付与剤を配合することにより、粘着剤組成物の初期粘着力を向上させることができる。
粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系共重合体、芳香族系共重合体、脂肪族・芳香族系共重合体系や脂環式系共重合体等の石油系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、テルぺン系樹脂、テルぺンフェノール系樹脂、重合ロジン等のロジン系樹脂、(アルキル)フェノール系樹脂、キシレン系樹脂又はこれらの水添物等、一般的に粘着剤に使用されるものを特に制限なく使用できる。これら粘着付与剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記共重合体組成物と共に配合可能な任意成分の他の例としては、ポリオレフィン樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、光安定剤、熱重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、保存安定剤、フィラー等が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物中の任意成分(例えば、粘着付与剤等)の配合割合は、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%である。
本発明の粘着剤組成物における、40℃雰囲気下で7日間放置した場合のピール強度の上昇値は、好ましくは0.65N/10mm以下、より好ましくは0.60N/10mm以下である。
ピール強度の上昇値とは、以下のようにして測定されるものである。
基材(ポリオレフィンフィルム)上に、粘着剤組成物からなる粘着剤層が形成されてなる粘着体(25mm×300mm×100mm(厚さ))を試験片として用いる。まず、この試験片をJIS Z0237に準拠し、初期ピール強度を測定する。次いで、この試験片を40℃雰囲気下で7日間放置した後、再度、ピール強度を測定する。該ピール強度と初期ピール強度との差を、ピール強度の上昇値とする。
また、本発明の粘着剤組成物における初期ピール強度は、好ましくは0.8〜1.5N/10mm、より好ましくは0.8〜1.3N/10mmである。初期ピール強度が0.8N/10mm未満では、実用上の粘着力が不十分なことがある。初期ピール強度が1.5N/10mmを超えると、被着体から表面保護フィルムを剥離する際に、剥離作業が難航したり、糊残りするなどのおそれがある。
なお、初期ピール強度、及び、ピール強度の上昇値の測定方法については、後述の実施例で詳しく説明する。
[2]製造方法
本発明の粘着剤組成物の製造方法としては、(イ)成分、及び必要に応じて配合される上記(ロ−1)〜(ロ−3)成分等の任意成分を混合する方法が好ましい。上記(イ)成分及び(ロ−1)〜(ロ−3)成分の各々の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、特に限定されないが、例えば以下の方法を挙げることができる。
水添前共重合体を構成する重合体ブロック(例えば、(イ)成分の場合、重合体ブロックa、及び重合体ブロックb)を有機溶媒中で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてリビングアニオン重合し、ブロック共重合体(水添前共重合体)を得たのち、さらにこのブロック共重合体を水素添加すれば、共重合体組成物の成分(例えば、(イ)成分)が得られる。
前記有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、キシレンなどの炭化水素溶媒が用いられる。
重合開始剤である有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好ましい。
この有機リチウム化合物としては、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物が用いられる。具体例としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルリチウム、イソプレニルジリチウムなどが挙げられる。有機リチウム化合物は、単量体100重量部当たり、例えば、0.02〜0.2重量部の量で用いられる。
また、この際、ミクロ構造(共役ジエン部分のビニル結合含量)の調節剤としては、ルイス塩基、例えばエーテル、アミンなどが挙げられる。
このうち、エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル、ブチルエーテル、高級エーテル、またはエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのポリエチレングリコールのエーテル誘導体などが挙げられる。
アミンとしては、例えば、テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、トリブチルアミンなどの第3級アミンなどが挙げられる。
ミクロ構造の調節剤は、前記有機溶媒とともに用いられる。
重合反応は、通常、−30℃〜150℃で実施される。
また、重合は、一定温度にコントロールして実施してもよいし、あるいは、熱を除去せずに温度の上昇下で実施してもよい。
水素添加触媒としては、元素周期表Ib、IVb、Vb、VIb、VIIb、VIII族金属のいずれかを含む化合物を用いることができる。例えば、Ti、V、Co、Ni、Zr、Ru、Rh、Pd、Hf、Re、Pt原子を含む化合物を挙げることができ、より具体的には、Ti、Zr、Hf、Co、Ni、Rh、Ruなどのメタロセン系化合物、Pd、Ni、Pt、Rh、Ruなどの金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土、塩基性活性炭などの担体に担持させた担持型不均一系触媒を挙げることができる。
なお、メタロセン系化合物の具体例としては、Cp環またはCp環上の水素をアルキル基で置換した配位子を二つ有するKaminsky(カミンスキー)触媒、ansa(アンサ)型メタロセン触媒、非架橋ハーフメタロセン触媒、架橋ハーフメタロセン触媒等を挙げることができる。
また、Ni、Coなどの金属元素の有機塩又はアセチルアセトン塩と、有機アルミニウムなどの還元剤とを組み合わせた均一系チーグラー型触媒、Ru,Rhなどの有機金属化合物等を挙げることができる。
これらの水素添加触媒の中では、Ti,Zr,Hf,Ni,Co,Ru,Rhのいずれかを含むメタロセン系化合物が好ましく、Ti,Zr,Hfのいずれかを含むメタロセン系化合物が更に好ましい。また、チタノセン化合物とアルコキシリチウムとを反応させた触媒は、安価で工業的に特に有用な触媒であり、特に好ましい。
水素添加触媒の具体的な例を挙げると、特開平1−275605号公報、特開平5−271326号公報、特開平5−271325号公報、特開平5−222115号公報、特開平11−292924号公報、特開2000−37632号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭63−5401号公報、特開昭62−218403号公報、特開平7−90017号公報、特公昭43−19960号公報、特公昭47−40473号公報に記載の触媒を挙げることができる。これら各種の触媒は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
[表面保護フィルム]
本発明の表面保護フィルム(例えば、光学フィルム用表面保護フィルム等の光学用表面保護フィルム)は、基材と、基材の表面に積層して形成された粘着剤層とを備えたものであって、上記粘着剤層が、本発明の粘着剤組成物を含むものである。
基材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の合成樹脂材料;金属、ガラス等の無機材料;その他セルロース系材料等の材料からなる基材を挙げることができる。これらの基材は単独で用いてもよいし、2種以上の基材を積層した積層体を用いてもよい。
これらの基材の中でも、生産性、ハンドリング性、コスト的な観点からポリオレフィン系樹脂からなる基材が好適に用いられる。ポリオレフィン系樹脂の例としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等が挙げられる。
基材の厚さは特に限定されないが、粘着剤層と基材をロール状等のように変形させて取り扱う場合には、1.0mm以下であることが好ましく、300μm以下であることが更に好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。下限値は、実用性の観点から、好ましくは10μm、より好ましくは20μmである。
表面保護フィルムの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、成膜された合成樹脂製の基材の表面に粘着剤組成物をラミネートし、基材と粘着剤層とを積層一体化する方法、あるいは、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物と合成樹脂製の基材を形成するための樹脂組成物とを共押出することによって、基材と粘着剤層とを積層一体化する方法等を挙げることができる。
粘着剤組成物を合成樹脂製の基材にラミネートする方法としては、例えば、粘着剤組成物の溶液を塗工する溶液塗工法、ドライラミネーション法、Tダイを用いた押出コーティング法等を用いることができる。この場合、基材層と粘着剤層との間の接合強度を高めるために、合成樹脂製の基材に予め、コロナ放電、プライマー塗布等の表面処理を施しておくことが好ましい。
また、合成樹脂製の基材用の樹脂組成物と粘着剤組成物とを共押出により積層一体化する方法としては、例えば、インフレーション法やTダイ法等、従来公知の方法を用いることができる。これらの方法の中でも、高品質の表面保護フィルムを経済的に製造することが可能な、Tダイ法による共押出法が最も好ましい。
粘着剤層の厚さは、特に限定されるものではないが、3〜50μmの範囲内であることが望ましい。厚さが3μm未満であると、粘着力が不足する場合があり、50μmを超えると、コストが高くなるおそれがある。
以下、本発明の粘着剤組成物及び表面保護フィルムについて、実施例を用いて更に具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明の実施形態の例を示すものに過ぎない。従って、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるべきではない。なお、実施例、比較例中の部及び%は、特に断らない限り質量基準である。
[(イ)成分]
(共重合体(イ−1))
窒素置換された内容積10リットルの反応容器に、シクロヘキサン5000g、ブタジエン400g、テトラヒドロフラン0.25g、及びn−ブチルリチウム0.9gを加え、重合開始温度70℃にて1段目重合し、その後、温度を20℃としてテトラヒドロフラン75g添加後、1,3−ブタジエン600gを添加して断熱にて2段目重合した。重合が完結したのち、反応液を70℃にし、n−ブチルリチウム1.5g、2,6−t−ブチル−p−クレゾール1.5gと、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド0.5g、及びジエチルアルミニウムクロライド2gを加え、水素圧10kg/cmで1時間反応させた。この反応液を大量のメチルアルコールの中に混合し、析出した固体物を回収し、真空乾燥機中で乾燥して水添ジエン系ブロック重合体(イ−1)を得た。
得られた水添ジエン系ブロック重合体(イ−1)は、水添率が98%、重量平均分子量が300,000、メルトフローレート(230℃、2.16kg)が2.5g/10分であった。また、第1段階目の1,3−ブタジエン・ブロック重合の終了時点で測定した1,3−ブタジエンの1,2−ビニル結合含量は、10%であった。さらに、第2段階目の1,3−ブタジエン・ブロック重合の終了時点で測定した1,2−ビニル結合含量と、第1段階目の1,2−ビニル結合含量とから算出した結果、第2段階目の1,3−ブタジエン・ブロックの1,2−ビニル結合含量は80%と算出された。水添前のブロック構造は、[a−b]であり、重合体ブロックaと重合体ブロックbとの質量比(a/b)は、40/60であった。なお、水添後のブロック構造は、[A−B]である。
(共重合体(イ−2))
単量体(1,3−ブタジエン)、カップリング剤、触媒等の配合量を適宜調整したこと以外は前記の共重合体(イ−1)と同様にして共重合体(イ−2)を得た。
得られた水添ジエン系ブロック重合体(イ−2)は、水添率が96%、重量平均分子量が300,000、メルトフローレート(230℃、2.16kg)が3.0g/10分であった。また、第1段階目の1,3−ブタジエン・ブロック重合の終了時点で測定した1,3−ブタジエンの1,2−ビニル結合含量は8%であった。さらに、第2段階目の1,3−ブタジエン・ブロック重合の終了時点で測定した1,2−ビニル結合含量と、第1段階目の1,2−ビニル結合含量とから算出した結果、第2段階目の1,3−ブタジエン・ブロックの1,2−ビニル結合含量は57%と算出された。水添前のブロック構造は、[a−b]であり、重合体ブロックaと重合体ブロックbとの質量比(a/b)は、40/60であった。
(イ−1)及び(イ−2)成分の物性を表1にまとめて示す。なお、上記共重合体の物性の評価は以下の方法によるものである。
(1)重合体ブロックaと重合体ブロックbの質量比(a/b比)
共重合体を製造するときの原料の仕込み量から、重合体ブロックaと重合体ブロックbの質量比を算出した。
(2)ビニル結合含量(1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の含有率)
赤外吸収スペクトル法を用い、モレロ法により算出した。
(3)共役ジエン化合物単位の水素添加率(水素添加率)
四塩化炭素を溶媒として用い、270MHz、H−NMRスペクトルから算出した。
(4)メルトフローレート(MFR;230℃、21.2N)
JIS K7210に記載の方法に準拠して、230℃、21.2N荷重の条件で測定した。
Figure 2008274213
[(ロ)成分]
(ロ−1)〜(ロ−3)成分として以下のものを用いた。
(ロ−1)成分:[C−D−E](但し、Cはポリスチレンブロック、Dは、ビニル結合含量が85%で、スチレンとブタジエンのランダム共重合体ブロック(スチレンの含有率は6質量%)を水素添加してなるブロック、Eはスチレンが漸増するテーパーブロックを示す。)で表される構造を有する水添共重合体(すなわち、水添スチレン・ブタジエンラバー)である。水添共重合体中、スチレン単位/ブタジエン単位の質量比(水添前)は、15/85である。MFR(230℃、21.2N)は4.0g/10分である。
(ロ−2)成分:[C−F−A](但し、Cはポリスチレンブロック、Fは、ビニル結合含量が45%であるポリブタジエンブロックを水素添加してなる重合体ブロック、Aは、ビニル結合含量が10%であるポリブタジエンブロックを水素添加してなる重合体ブロックを示す。)で表される構造を有する水添共重合体(すなわち、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレンブロック共重合体)である。水添共重合体中、ブロックC、F、及びAの各々の水添前ブロックc、f、aの含有率は、ブロックcとブロックfとブロックaの合計100質量%として、c/f/a=40/53/7である。MFR(230℃、21.2N)は6.0g/10分である。
(ロ−3)成分:[C−F−C](但し、Cはポリスチレンブロック、Fは、ビニル結合含量が65%であるポリブタジエンブロックを水素添加してなる重合体ブロックを示す。)で表される構造を有する水添共重合体(すなわち、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体)である。水添共重合体中、ブロックC及びFの各々の水添前ブロックc、fの含有率は、ブロックcとブロックfの合計100質量%として、c/f=20/80である。MFR(230℃、21.2N)は5.0g/10分である。
(実施例1)
共重合体組成物として、上記共重合体(イ−1)を用い、予め表面にコロナ放電処理を施した基材(厚さ80μmのPPフィルム)を用意し、その基材のコロナ放電処理を施した表面に、Tダイ押出し機を用い上記共重合体(イ−1)を成膜し、厚さ20μmの粘着剤層を形成して、基材の表面に粘着剤層が形成されてなる表面保護フィルムを得た。この表面保護フィルムをロール状の巻回体とし、下記の方法により物性を評価した。その結果を表2に示す。
(初期ピール強度)
作製した表面保護フィルムの試験片を、JIS Z0237に従い、被着体としてSUS304鋼板を用い、剥離角度180°、剥離速度300mm/分の条件で剥離し、このときのピール強度を測定した。
(ピール強度上昇値)
初期ピール強度測定と同様に、表面保護フィルムの試験片を作製し、この試験片を40℃雰囲気下で、7日間放置した後に剥離し、このときのピール強度を測定した。そして、初期ピール強度の測定値に対する上昇値(ピール強度上昇値)を算出した。
(実施例2、3)
共重合体組成物として、表2に記載の配合割合で共重合体(イ−1)及び(ロ−1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実験した。結果を表2に示す。
(実施例4)
共重合体組成物として、共重合体(イ−2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実験した。結果を表2に示す。
(実施例5)
共重合体組成物として、表2に記載の配合割合で共重合体(イ−2)及び(ロ−1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実験した。結果を表2に示す。
(実施例6)
共重合体組成物として、表2に記載の配合割合で共重合体(イ−1)及び(ロ−2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実験した。結果を表2に示す。
(実施例7)
共重合体組成物として、表2に記載の配合割合で共重合体(イ−1)及び(ロ−3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実験した。結果を表2に示す。
(比較例1)
共重合体組成物として、共重合体(ロ−1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実験した。結果を表2に示す。
(比較例2)
共重合体組成物として、共重合体(ロ−2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実験した。結果を表2に示す。
(比較例3)
共重合体組成物として、共重合体(ロ−3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実験した。結果を表2に示す。
Figure 2008274213
表2から、本発明の粘着剤組成物(実施例1〜7)は、良好な粘着力及び初期ピール強度を有し、かつ、経時的なピール強度の上昇値が小さく、粘着力の昂進の抑制効果に優れることがわかる。一方、本発明に属さない粘着剤組成物(比較例1〜3)は、経時的なピール強度の上昇値が高く、粘着力が昂進することがわかる。また、比較例1、3では、初期ピール強度の値が大きすぎて、表面保護フィルムを被着体から剥離させる際に、剥離作業が難航するなどの可能性があることがわかる。

Claims (4)

  1. 下記(イ)成分を含む粘着剤組成物。
    [(イ)成分]下記重合体ブロックaと、下記重合体ブロックbとを含み、a−[b−a]、又は[a−b](但し、aは重合体ブロックa、bは重合体ブロックb、n及びmは各々独立に1以上の整数を示す。)の構造を有するブロック共重合体であって、重合体ブロックaと重合体ブロックbとの質量比がa/b=5/95〜50/50であるブロック共重合体を、水素添加率が80%以上となるように水素添加してなる水添共重合体
    [重合体ブロックa]ビニル結合の含有率が30%以下であるポリブタジエンブロック
    [重合体ブロックb]共役ジエン化合物単位を含み、該共役ジエン化合物単位におけるビニル結合の含有率が50%以上である重合体ブロック
  2. (ロ)水添スチレン系エラストマーを含み、かつ、(イ)成分と(ロ)成分との質量比((イ)/(ロ))が、10/90〜90/10である請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. ポリオレフィン系樹脂からなる基材層と、該基材層の片面に積層して形成された粘着剤層とからなる表面保護フィルムであって、上記粘着剤層が、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物からなる表面保護フィルム。
  4. 請求項3に記載の表面保護フィルムを製造する方法であって、上記基材層の上に、もしくは上記基材層の形成と同時に、上記粘着剤層を押出成形により形成する工程を含む、表面保護フィルムの製造方法。
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