JP2008270618A - 熱電発電モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】モジュール荷重の低下や不均一に拘わらず、熱電発電素子の相互間の電気的導通状態を常に安定して確保することができる熱電発電モジュールを提供する。
【解決手段】熱電発電モジュール10の熱電発電中における吸熱部材Hや放熱部材Cの熱変形や熱歪により、ケーシング11の受熱板11Aと放熱板11Bとの間に作用するモジュール荷重に全体的な低下や部分的な不均一が発生しても、コイルばね19,19がモジュール荷重とは別系統の押圧荷重をモジュール荷重の作用方向と直交する方向からn型熱電発電素子Nおよびp型熱電発電素子Pの高温側端部に独立して付与するため、これらの高温側端部の電気的接触状態が維持されてその電気的導通状態が確保される。
【選択図】 図1
【解決手段】熱電発電モジュール10の熱電発電中における吸熱部材Hや放熱部材Cの熱変形や熱歪により、ケーシング11の受熱板11Aと放熱板11Bとの間に作用するモジュール荷重に全体的な低下や部分的な不均一が発生しても、コイルばね19,19がモジュール荷重とは別系統の押圧荷重をモジュール荷重の作用方向と直交する方向からn型熱電発電素子Nおよびp型熱電発電素子Pの高温側端部に独立して付与するため、これらの高温側端部の電気的接触状態が維持されてその電気的導通状態が確保される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換する熱電発電モジュールに関するものである。
熱電発電モジュールは、ゼーベック効果により温度差に応じた熱起電力を発生する2種類の極性の異なる熱電発電素子、すなわち、n型熱電発電素子およびp型熱電発電素子を交互に直列に接続した構造を有し、熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換することができる。
このような熱電発電モジュールとしては、一群の熱電発電素子を前後左右に並べて配列した平板状の熱電発電モジュールが従来一般に知られている。この種の熱電発電モジュールにおいて、隣接する2種類の熱電発電素子の低温側端部は、これにハンダやロウ付けなどで接合された電極板を介して相互に電気的に接続されるのが一般的であり、同様に、高温側端部もハンダやロウ付けなどで接合された電極板を介して相互に電気的に接続される。
ところで、熱電発電素子の高温側端部に電極板が接合された構造では、熱電発電素子の熱膨張と電極板の熱膨張との相違から、両者の間に熱応力が発生する。そして、例えば熱電発電素子の高温側端部が500℃以上となる熱電発電モジュールの使用条件下では、熱電発電素子の高温側端部と電極板との間に大きな熱応力が発生して両者の接合部が損傷する恐れがある。
このような技術的背景から、熱電発電素子の高温側端部(吸熱側端面)と電極板(吸熱側電極)とを非接合として両者の間に弾性変形可能な金属細線網を介設し、この金属細線網を挟んで両者を電気的に接触させることで電気的導通状態を確保するようにした技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2005−64457号公報(段落番号18、図1)
ところで、特許文献1に記載の技術では、熱電変換装置(熱電発電モジュール)の吸熱側(高温側)と放熱側(低温側)との間に作用するモジュール荷重のみによって熱電発電素子と電極とを押圧しており、このモジュール荷重のみで熱電発電素子の吸熱側端面(高温側端部)と吸熱側電極(電極板)とを金属細線網により電気的に接触させている。
このため、熱電変換装置(熱電発電モジュール)の周辺部品の熱変形や熱歪によりモジュール荷重が低下し、あるいは不均一になると、熱電発電素子の吸熱側端面(高温側端部)と金属細線網との間、または、金属細線網と吸熱側電極(電極板)との間に電気的な接触不良が発生し、隣接する2種類の熱電発電素子の高温側端部の間に電気的導通不良が発生する恐れがある。
そこで、本発明は、モジュール荷重の低下や不均一に拘わらず、熱電発電素子の相互間の電気的導通状態を常に安定して確保することができる熱電発電モジュールを提供することを課題とする。
本発明に係る熱電発電モジュールは、吸熱部材と放熱部材との間に挟持されてモジュール荷重を受けるケーシング内に、前記モジュール荷重が軸方向に作用する向きで極性の異なる2種類の熱電発電素子が交互に直列に接続されて配列されており、放熱部材に放熱する熱電発電素子の低温側端部が交互に接合状態で電気的に導通され、吸熱部材から吸熱する熱電発電素子の高温側端部が交互に非接合の接触状態で電気的に導通される熱電発電モジュールであって、モジュール荷重とは別系統の押圧荷重を熱電発電素子の高温側端部に付与することで、その高温側端部の電気的導通状態を確保する押圧手段を備えていることを特徴とする。
本発明に係る熱電発電モジュールでは、吸熱部材と放熱部材との間に挟持されたケーシングから各熱電発電素子の軸方向にモジュール荷重が作用することで、熱電発電中における各熱電発電素子の高温側端部から低温側端部への熱流が確保される。そして、隣接する2種類の熱電発電素子の低温側端部が交互に接合状態で電気的に導通され、また、高温側端部が押圧手段の押圧荷重により非接合の接触状態で相互に電気的に導通されることで、各熱電発電素子の相互間の電気的導通状態が確保される。
ここで、熱電発電モジュールの熱電発電中における吸熱部材や放熱部材の熱変形や熱歪により、各熱電発電素子に作用するモジュール荷重に全体的な低下や部分的な不均一が発生しても、押圧手段がモジュール荷重とは別系統の押圧荷重を熱電発電素子の高温側端部に独立して付与するため、熱電発電素子の高温側端部の電気的な接触状態が維持されてその電気的導通状態が確保される。
本発明に係る熱電発電モジュールにおいて、隣接する熱電発電素子の交互に電気的に導通される高温側端部は、電極を介して電気的に接触する構造でもよいし、電極を介することなく相互に電気的に接触する構造であってもよい。そして、電極を介して接触する構造の場合、隣接する熱電発電素子の交互に電気的に導通される高温側端部は、その側面が高温側電極を介して相互に電気的に接触する構造としてもよいし、その端面が高温側電極を介して相互に電気的に接触する構造としてもよい。
ここで、押圧手段は、モジュール荷重の作用方向と直交する方向に沿って配置されたコイルばね等の弾性体を有する構造とすることができる。また、モジュール荷重の作用方向に沿って配置されたコイルばねと、このコイルばねによる押圧荷重の向きをモジュール荷重の作用方向と直交する方向に変換するクランクとを有する構造とすることができる。
さらに、押圧手段は、モジュール荷重の作用方向に沿って配置されたねじり棒ばねと、このねじり棒ばねのねじりトルクをモジュール荷重の作用方向と直交する方向の押圧荷重に変換するアームとを有する構造とすることができる。
本発明に係る熱電発電モジュールでは、熱電発電中における吸熱部材や放熱部材の熱変形や熱歪により、各熱電発電素子に作用するモジュール荷重に全体的な低下や部分的な不均一が発生しても、押圧手段がモジュール荷重とは別系統の押圧荷重を熱電発電素子の高温側端部に独立して付与するため、熱電発電素子の高温側端部の電気的な接触状態が維持されてその電気的導通状態が確保される。
従って、本発明の熱電発電モジュールによれば、モジュール荷重の低下や不均一に拘わらず、熱電発電素子の相互間の電気的導通状態を常に安定して確保することができる。
以下、図面を参照して本発明に係る熱電発電モジュールの各実施の形態を説明する。参照する図面において、図1は第1実施形態に係る熱電発電モジュールの内部構造をケーシングの一部を破断して示す斜視図、図2は図1に示した熱電発電モジュールの要部構造を拡大して示す断面図である。
まず、図1および図2を参照して第1実施形態の熱電発電モジュール10を説明する。この熱電発電モジュール10は、中空板状に形成されたケーシング11内に、極性の異なる2種類の熱電発電素子であるp型熱電発電素子Pとn型熱電発電素子Nとが交互に直列に接続されて配列された構造を備えている。
ケーシング11は、高温の吸熱部材Hに面接触する伝熱性の高い肉薄の受熱板11Aと、低温の放熱部材Cに面接触する伝熱性の高い肉薄の放熱板11Bと、両者の周縁部にそれぞれ接合される剛性の高い肉厚の周壁部11Cとで中空板状に形成されている。
このケーシング11は、吸熱部材Hと放熱板11Bとの間に受熱板11Aおよび放熱板11Bが挟持されることで、モジュール荷重を受熱板11Aおよび放熱板11Bで受けるようなっている。そして、このケーシング11の内部は、後述する高温側電極や低温側電極、あるいは前述したp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nなどが高温下で酸化するのを防止するため、不活性ガスが充填された密封状態とされている。
p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nは、断面形状が例えば四角形の柱状に形成されており、その軸方向にモジュール荷重が作用する向きでケーシング11内に縦横に配列されている。すなわち、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nは、それらの高温側端面が受熱板11Aの内面に対向し、それらの低温側端面が放熱板11Bの内面に対向するように配列されている。
p型熱電発電素子Pは、ゼーベック効果により温度差に応じた熱起電力を発生し、その際、受熱板11A側の高温側端部が−極となり、放熱板11B側の低温側端部が+極となる。反対に、n型熱電発電素子Nは、ゼーベック効果により温度差に応じた熱起電力を発生し、その際、受熱板11A側の高温側端部が+極となり、放熱板11B側の低温側端部が−極となる。
そこで、n型熱電発電素子Nの−極となる低温側端部の端面と、例えばその右側に配置されたp型熱電発電素子Pの+極となる低温側端部の端面とに跨って板状の低温側電極12がハンダやロウ付けなどで接合されている。そして、この低温側電極12を介してn型熱電発電素子Nの低温側端部とp型熱電発電素子Pの低温側端部とが接合状態で相互に電気的に導通されている。
一方、n型熱電発電素子Nの+極となる高温側端部と、その左側に配置されたp型熱電発電素子Pの−極となる高温側端部とは、両者の間に挟持される高温側電極13を介して非接合の接触状態で電気的に導通される。そのための構造として、p型熱電発電素子Pの高温側端部とその右側のn型熱電発電素子Nの高温側端部の相互に対面する部位には、その側面から端面にわたる切欠き部P1,N1がそれぞれ形成されている。
これに対応して、高温側電極13には、p型熱電発電素子Pの高温側端部およびn型熱電発電素子Nの高温側端部に形成された切欠き部P1,N1の間に挟持されるように突入する肉厚の本体13Aと、p型熱電発電素子Pの高温側端部の端面およびn型熱電発電素子Nの高温側端部の端面に対面する左右一対の板状部13B,13Bとが一体に形成されている。
この高温側電極13は、本体13Aに加えて左右一対の板状部13B,13Bを有するため、その分、p型熱電発電素子Pの高温側端部およびn型熱電発電素子Nの高温側端部に対する接触面積が増えて電気的な接触状態を得る上で有利である。また、左右一対の板状部13Bがp型熱電発電素子Pの高温側端面およびn型熱電発電素子Nの高温側端面に対面しているため、低温側電極12との電位差を大きくする上で有利である。
このような高温側電極13の本体13Aおよび左右一対の板状部13B,13Bと、p型熱電発電素子Pの高温側端部およびn型熱電発電素子Nの高温側端部との接触面間には、その電気的な接触性を良好にするために、銅(Cu)やアルミニウム(Al)などの金属材料からなる弾力のある柔軟な薄板状の導通板14,14が挟み込まれている。
ここで、低温側電極12を介して低温側端部が相互に電気的に導通されるn型熱電発電素子Nとp型熱電発電素子Pとの間には、絶縁板15が挟み込まれている。また、高温側電極13を介して高温側端部が相互に電気的に導通されるp型熱電発電素子Pとn型熱電発電素子Nとの間には、その間隔より厚さの薄い絶縁板16が所定の隙間を開けて挟み込まれている。
さらに、各p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nに流れる電流がケーシング11側へリークするのを防止するため、各低温側電極12と放熱板11Bとの間には絶縁シート17が介設され、各高温側電極13と受熱板11Aとの間には同様の絶縁シート17が介設されている。
そして、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nは、ケーシング11の受熱板11Aと放熱板11Bとが受けるモジュール荷重により、その高温側端部の端面が導通板14、高温側電極13の板状部13Bおよび絶縁シート17を介して受熱板11Aに密着し、その低温側端部の端面が低温側電極12および他の絶縁シート17を介して放熱板11Bに密着している。こうして、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部から低温側端部への熱流が確保されている。
ここで、p型熱電発電素子Pの高温側端部とn型熱電発電素子Nの高温側端部との間の電気的な導通を確保するため、ケーシング11の周壁部11Cと、この周壁部11Cに対面する各列の熱電発電素子群の高温側端部の側面との間には、絶縁材料で構成された複数対のコイルばね18,18が押圧手段として配設されている。
各対のコイルばね18,18は、図2の左右方向に配列された各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部に対し、モジュール荷重の作用方向と直交する方向からモジュール荷重とは別系統の押圧荷重をそれぞれ付与する。そのため、各対のコイルばね18,18は、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの軸方向に直交する横向きに配置されている。
これらの各対のコイルばね18,18を収容するため、ケーシング11の周壁部11Cの両側には、剛性の高い膨出部11D,11Dが受熱板11A側に寄った部位に突設されている。そして、この膨出部11D,11Dの内側空間に各対のコイルばね18,18が収容されており、これらのコイルばね18,18の一端は、剛性の高い膨出部11D,11Dの側壁内面に圧接している。
そして、各対のコイルばね18,18の他端、すなわち、左側の膨出部11Dの内側空間に収容された一方のコイルばね18の他端は、例えばp型熱電発電素子Pの高温側端部の側面に圧接し、右側の膨出部11Dの内側空間に収容された他方のコイルばね18の他端は、n型熱電発電素子Nの高温側端部の側面に圧接している。
こうして、左右方向に配列された各列の熱電発電素子群においては、p型熱電発電素子Pの高温側端部の切欠き部P1とn型熱電発電素子Nの高温側端部の切欠き部N1との間に、高温側電極13の本体13Aが所定の押圧荷重で挟持されており、p型熱電発電素子Pの高温側端部とn型熱電発電素子Nの高温側端部との間の電気的な導通が確保されている。
以上のように構成された第1実施形態の熱電発電モジュール10では、吸熱部材Hが高温となり、放熱部材Cが低温となると、ケーシング11の受熱板11Aから放熱板11Bに向かう熱流が発生する。そして、この熱流により、各p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部が高温となり、低温側端部が低温となることで、その温度差に応じた熱起電力が各p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nに発生し、こうして熱エネルギーが電気エネルギーに直接変換される。
このような熱電発電モジュール10の熱電発電中において、吸熱部材Hや放熱部材Cには全体的あるいは部分的な熱変形や熱歪が発生することがある。そして、この場合、ケーシング11の受熱板11Aと放熱板11Bとの間に作用するモジュール荷重に全体的な低下や部分的な不均一が発生し、p型熱電発電素子Pやn型熱電発電素子Nに作用するモジュール荷重が低下することがある。
しかしながら、第1実施形態の熱電発電モジュール10においては、図1および図2に示したように、各対のコイルばね19,19がモジュール荷重とは別系統の押圧荷重をモジュール荷重の作用方向と直交する方向から各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部に独立して付与している。
このため、p型熱電発電素子Pの切欠き部P1とn型熱電発電素子Nの切欠き部N1との間に高温側電極13の本体13Aが所定の押圧荷重で確実に挟持される。その結果、各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部は、高温側電極13を介して電気的な接触状態が維持され、その電気的導通状態が確保される。
なお、各列の熱電発電素子群を構成する各p型熱電発電素子Pや各n型熱電発電素子Nの幅、各絶縁板15,16の厚み、各低温側電極12の長さなどの寸法誤差に起因して、各列の熱電発電素子群の例えば右端に位置するn型熱電発電素子Nの低温側端部に接合された低温側電極12は、図3に示すようにその幅方向に傾くことがある。
このような場合、仮に図4に示すように、各対のコイルばね18(一方のみ図示)が前後4列の熱電発電素子群にまとめて押圧荷重を付与する構造であると、各列の熱電発電素子群に均等に押圧荷重を付与することができない。その結果、一部の列の熱電発電素子群においては、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の電気的導通状態が不安定となる恐れがある。
しかしながら、各対のコイルばね18(一方のみ図示)は、図3に示すように、各列の熱電発電素子群毎にそれぞれ押圧荷重を付与するため、各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の電気的導通状態が安定して確保される。
従って、第1実施形態の熱電発電モジュール10によれば、モジュール荷重に全体的な低下や部分的な不均一が発生しても、各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の電気的な接触状態を確実に維持し、その電気的導通状態を常に安定して確保することができる。
なお、第1実施形態の熱電発電モジュール10において、前述したコイルばね19は、金属材料で構成することもできる。この場合、コイルばね18からケーシング11への電流のリークを防止するため、コイルばね18の少なくとも一端部、好ましくは両端部には、絶縁処理を施しておく。
また、第1実施形態の熱電発電モジュール10において、図示したp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの配列は一例であり、p型熱電発電素子Pとn型熱電発電素子Nとは入れ替えて配列してもよい。
さらに、各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nにおいて、低温側端部に低温側電極12が接合されて一体化されたp型熱電発電素子Pとn型熱電発電素子Nとからなる各アッセンブリの左右方向の剛性が十分に保たれる場合には、絶縁板15,16は省略してもよい。また、導通板14,14は必須のものではなく、これらは省略してもよい。
つぎに、図5〜図7を参照して第2実施形態の熱電発電モジュール20を説明する。この熱電発電モジュール20では、図1、図2に示した第1実施形態の熱電発電モジュール10のケーシング11がこれとは構造の異なるケーシング21に変更されている。また、熱電発電モジュール10の複数対のコイルばね18,18からなる押圧手段が複数対のねじり棒ばね(トーションバースプリング)28A,28Aと、複数対のアーム28B,28Bとを有する押圧手段28に変更されている。
第2実施形態の熱電発電モジュール20におけるその他の部分の構造は、基本的に図1、図2に示した熱電発電モジュール10と同様であり、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの他、ケーシング11の受熱板11A、低温側電極12、高温側電極13、導通板14、絶縁板15、絶縁板16、絶縁シート17と同様に構成されたケーシング21の受熱板21A、低温側電極22、高温側電極23、導通板24、絶縁板25、絶縁板26、絶縁シート27を備えている。
ここで、ケーシング21は、放熱ブロック部21Bが周壁部21Cと一体に形成された構造を有する。この放熱ブロック部21Bは、各低温側電極22を覆う絶縁シート27に平面接触しており、その内部には、多数の放熱フィン21Dが突出する冷却水通路21Eが形成されている。また、周壁部21Cは、図2に示した膨出部11D,11Dのような突部のないストレートな外壁面を有する。
一方、押圧手段28は、モジュール荷重の作用方向に沿って各列の熱電発電素子群の左右に一対ずつ配設された複数対のねじり棒ばね(トーションバー)28A,28Aと、その下端部に剛結されたアーム28B,28Bとで構成されている。
ねじり棒ばね28A,28Aは、丸棒のばね材からなり、その上端部には断面形状が正方形の連結部28C,28Cが形成され、その下端部にも同様の連結部28D,28Dが形成されている(図6参照)。このねじり棒ばね28A,28Aの上半部は、ケーシング21の放熱ブロック部21Bの左右両側に形成された断熱空間内に突入しており、その断熱空間に充填されたグラスウールG,Gに包囲されている。
ここで、ねじり棒ばね28A,28Aの上端部の連結部28C,28Cは、放熱ブロック部21Bの左右の断熱空間内に突出する支持突部21F,21Fの角孔21G(図6参照)に嵌合して剛結されている。また、ねじり棒ばね28A,28Aの下端部付近は、ケーシング21の周壁部21C,21Cの内面に突出形成された支持突部21H,21Hの丸孔21J(図6、図7参照)に遊嵌して支持されている。
アーム28B,28Bは、その基端部の角孔28E(図6参照)がねじり棒ばね28A,28Aの下端部の連結部28D,28Dに嵌合した状態でこれに剛結されており、その先端部には、押圧突起28F(図6参照)が形成されている。このアーム28B,28Bは、予め軸周りに捩じられたねじり棒ばね28A,28Aのねじりトルクをモジュール荷重の作用方向と直交する方向の押圧荷重に変換し、その押圧荷重を図5の左右方向に配列された各列の熱電発電素子群のp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部に付与する。
そのための構造として、例えば図5の左端に配列されたp型熱電発電素子Pの高温側端部には、左側のアーム28Bの押圧突起28Fに当接して押圧される突部P2が形成され、図5の右端に配列されたn型熱電発電素子Nの高温側端部には、右側のアーム28Bの押圧突起28Fに当接して押圧される突部N2が形成されている。
以上のように構成された第2実施形態の熱電発電モジュール20においては、図5に示したように、各対のねじり棒ばね28A,28Aの下端部に剛結された各対のアーム28B,28Bがモジュール荷重とは別系統の押圧荷重をモジュール荷重の作用方向と直交する方向から各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部に独立して付与している。
従って、第2実施形態の熱電発電モジュール20によれば、第1実施形態の熱電発電モジュール10と同様に、モジュール荷重に全体的な低下や部分的な不均一が発生しても、各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の電気的な接触状態を確実に維持し、その電気的導通状態を常に安定して確保することができる。
また、第2実施形態の熱電発電モジュール20によれば、ケーシング21の周壁部21Cと一体に放熱ブロック部21Bが形成されているため、スペース効率が良い。
さらに、第2実施形態の熱電発電モジュール20によれば、ケーシング21の周壁部21Cの外壁面に図2に示した膨出部11D,11Dのような突部が存在しないため、図2に示した吸熱部材Hと放熱部材Cとの間に複数の熱電発電モジュール20を縦横に並べて熱電発電装置を構成する場合、複数の熱電発電モジュール20を隙間なく縦横に並べることができ、その分、熱電発電装置の発電効率を向上させるのに有利となる。
続いて、図8〜図10を参照して第3実施形態の熱電発電モジュール30を説明する。この熱電発電モジュール30では、図1、図2に示した熱電発電モジュール10における複数対のコイルばね18,18からなる押圧手段が複数対のコイルばね38A,38Aと、複数対のクランク38B,38Bとを有する押圧手段38に変更されている。これに対応して熱電発電モジュール10のケーシング11の周壁部11Cがこれとは構造の若干異なるケーシング31の周壁部31Cに変更されている。また、熱電発電モジュール10の各高温側電極13が形状の異なる各高温側電極33に変更されている。
第3実施形態の熱電発電モジュール30におけるその他の部分の構造は、基本的に図1、図2に示した熱電発電モジュール10と同様であり、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの他、ケーシング11の受熱板11Aおよび放熱板11B、低温側電極12、絶縁板15、絶縁板16、絶縁シート17と同様に構成されたケーシング31の受熱板31A、低温側電極32、絶縁板35、絶縁板36、絶縁シート37を備えている。
ここで、ケーシング31の周壁部31Cは、断面形状がコの字形に形成されており、図2に示した膨出部11D,11Dのような突部のないストレート外壁面を有する。そして、この周壁部31Cの内側には、金属材料で構成された複数対のコイルばね38A,38Aおよび絶縁材料で構成された複数対のクランク38B,38Bが押圧手段38として配設されている。
コイルばね38A,38Aは、図9に示すように左右方向に配列された各列の熱電発電素子群の左右両側に一対ずつモジュール荷重の作用方向に沿って縦向きに配置されている。そして、各対のコイルばね38A,38Aの下方には、その押圧荷重の向きをモジュール荷重の作用方向と直交する方向に変換する各対のクランク38B,38Bが配置されている。
各対のクランク38B,38Bは、各対のコイルばね38A,38Aの下端に対面する上面と、この上面に直交して各列の熱電発電素子群の左右両端の高温側端部に対面する側面とを有し、この上面と側面との隅部が周壁部31Cの前後の壁部間に架設されたヒンジピン38C,38Cに枢支されている。そして、各対のクランク38B,38Bの上面には、各対のコイルばね38A,38Aの下端部を囲んで位置決めする環状突部38D,38Dが形成され、各対のクランク38B,38Bの側面には押圧突起38E,38Eが形成されている。
一方、各対のコイルばね38A,38Aは、その上端が周壁部31Cの上壁内面に圧接しており、その上端部は上壁内面に形成された環状突部31D,31Dに囲まれて位置決めされている。そして、各対のコイルばね38A,38Aの下端は、各対のクランク38B,38Bの上面に圧接しており、その下端部は環状突部38D,38Dに囲まれて位置決めされている。
これにより、各対のクランク38B,38Bは、各対のコイルばね38A,38Aの押圧荷重を受けてヒンジピン38C,38Cを中心に回動し、その側面の押圧突起38E,38Eがモジュール荷重の作用方向と直交する方向から各列の熱電発電素子群の端部の高温側端部の側面を挟持して押圧する。例えば図9の左側のクランク38Bの押圧突起38Eがp型熱電発電素子Pの高温側端部の側面を押圧し、右側のクランク38Bの押圧突起38Eがn型熱電発電素子Nの高温側端部の側面を押圧する。
ここで、図10に拡大して示すように、高温側電極33は、左右一対の板状部33A,33Aと左右一対の傾斜突起33B,33Bとが一体に形成された左右対称の断面形状を有する。板状部33A,33Aは、その下面が平坦面に形成されて絶縁シート37に平面接触しており、その上面が順勾配の緩い傾斜面に形成されてp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の端面に対面している。また、傾斜突起33B,33Bは、板状部33A,33Aに対して45度前後の挟み角で傾斜している。
これに対応して、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の端面は、高温側電極33の板状部33A,33Aの上面に沿う緩い傾斜面に形成されており、平板状の導通部材34,34を介して板状部33A,33Aに斜面接触している。また、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部には、高温側電極33の傾斜突起33B,33Bがそれぞれ嵌合する嵌合孔P3,N3が形成されており、この嵌合孔P3,N3には、傾斜突起33B,33Bが摺動自在に緩く嵌合するカラーCL,CLが焼き付き防止用に内装されている。なお、導通部材34,34は、金属板で構成してもよいし、柔軟性のある金属細線網のマットで構成してもよい。
以上のように構成された第3実施形態の熱電発電モジュール30においては、各対のコイルばね38A,38Aの押圧荷重を受けた各対のクランク38B,38Bがヒンジピン38C,38Cを中心に回動することで、その側面の押圧突起38E,38Eが図9の白抜き矢印に示すように、モジュール荷重の作用方向と直交する方向から各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の側面を押圧して挟持している。
このため、図10に示すように、高温側電極33の左右一対の傾斜突起33B,33Bがp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの嵌合孔P3,N3に内装されたカラーCL,CLに沿って斜め上方に摺動し、高温側電極33の左右一対の板状部33A,33Aがせり上がる。そして、左右一対の板状部33A,33Aの上面が導通部材34,34を介してp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端面に押圧される結果、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の相互の電気的な接触状態が確実に維持される。
従って、第3実施形態の熱電発電モジュール30によれば、第1実施形態の熱電発電モジュール10と同様に、モジュール荷重に全体的な低下や部分的な不均一が発生しても、各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の相互の電気的な接触状態を確実に維持し、その電気的導通状態を常に安定して確保することができる。
また、第3実施形態の熱電発電モジュール30によれば、ケーシング31の周壁部31Cの外壁面に図2に示した膨出部11D,11Dのような突部が存在しないため、図2に示した吸熱部材Hと放熱部材Cとの間に複数の熱電発電モジュール30を縦横に並べて熱電発電装置を構成する場合、複数の熱電発電モジュール30を隙間なく縦横に並べることができ、その分、熱電発電装置の発電効率を向上させるのに有利となる。
さらに、第3実施形態の熱電発電モジュール30によれば、高温側電極33が左右一対の板状部33A,33Aによりp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端面にのみ接触するため、低温側電極32との電位差を大きくする上で有利である。
つぎに、図11〜図14を参照して第4実施形態の熱電発電モジュール40を説明する。この熱電発電モジュール40では、図9に示した第3実施形態の熱電発電モジュール30における各高温側電極33および導通部材34が異なる形状の各高温側電極43および導通部材44に変更されている。また、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nは、図2に示した熱電発電モジュール10のp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nに形成された切欠き部P1,N1と同様の切欠き部P1,N1を有する。そして、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの切欠き部P1,N1内に左右一対のプッシャーアーム49,49が配設されている。
第4実施形態の熱電発電モジュール40におけるその他の部分の構造は、基本的に図9に示した熱電発電モジュール30と同様であり、ケーシング31、低温側電極32、絶縁板35、絶縁板36、絶縁シート37および押圧手段38と同様に構成されたケーシング41、低温側電極42、絶縁板45、絶縁板46、絶縁シート47および押圧手段48を備えている。
ケーシング41は、ケーシング31の受熱板31A、放熱板31B、周壁部31Cおよび環状突部31D,31Dと同様に構成された受熱板41A、放熱板41B、周壁部41Cおよび環状突部41D,41Dを有する。また、押圧手段48は、押圧手段38のコイルばね38A,38A、クランク38B,38B、ヒンジピン38C,38C、環状突部38D,38Dおよび押圧突起38E,38Eと同様に構成されたコイルばね48A,48A、クランク48B,48B、ヒンジピン48C,48C、環状突部48D,48Dおよび押圧突起48E,48Eを有する。
ここで、高温側電極43およびその上面に重なる導通板44は、それぞれハット形の断面形状に形成されている(図13、図14参照)。そして、高温側電極43の上壁部および導通板44の上壁部には、左右一対のプッシャーアーム49,49の中間アーム部49A,49Aが貫通する長孔43Aおよび長孔44Aがそれぞれ形成されている(図12参照)。これに対応して、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端面は、ハット形の断面形状の導通部材44の上面に重なる断面形状に形成されている(図13、図14参照)。
一方、図12に示すように、左右一対のプッシャーアーム49,49は、左右対称にカギ形に屈曲した正面形状を呈している。このプッシャーアーム49,49は、相互に所定間隔を開けて上下方向に延びる中間アーム部49A,49Aと、中間アーム部49A,49Aの上端部から左右方向に相互に離間して延びる長さの短い上側アーム部49B,49Bと、中間アーム部49A,49Aの下端部から左右方向に相互に離間して延びる長さの長い下側アーム部49C,49Cとを有する。
プッシャーアーム49,49の上側アーム部49B,49Bは、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの切欠き部P1,N1内に臨んでおり、その端部がヒンジピン49D,49Dを介してp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nに枢支されている。
また、プッシャーアーム49,49の下側アーム部49C,49Cは、ハット形の断面形状の高温側電極43の内側空間内に配置されており、その先端部の上面には、高温側電極43の上壁部の下面を押圧する押圧突起49E,49Eが形成されている。そして、プッシャーアーム49,49の中間アーム部49A,49Aの下部側面には、相互に当接する支点突起49F,49Fが形成されている(図12参照)。
以上のように構成された第4実施形態の熱電発電モジュール40においては、各対のコイルばね48A,48Aの押圧荷重を受けた各対のクランク48B,48Bがヒンジピン48C,48Cを中心に回動することで、その側面の押圧突起48E,48Eが図11の白抜き矢印に示すように、モジュール荷重の作用方向と直交する方向から各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の側面を押圧して挟持している。
このため、図12に示すよう、左右一対のプッシャーアーム49,49においては、ヒンジピン49D,49Dから上側アーム部49B,49Bに押圧力が作用し、中間アーム部49A,49Aの下部の支点突起49F,49Fが相互に押圧される。そして、これらの押圧力に基づくモーメントにより、下側アーム部49C,49Cの先端部上面の押圧突起49E,49Eが高温側電極43の上壁部の下面を上方に押圧する。
ここで、支点突起49F,49Fの当接点に作用する押圧力F1(ヒンジピン49D,49Dに作用する押圧力の反力)と、その作用線からヒンジピン49D,49Dまでの腕の長さL1とを乗じたモーメントは、押圧突起49E,49Eを上方に押圧する押圧力F2と、その作用線からヒンジピン49D,49Dまでの腕の長さL2とを乗じたモーメントに変換される。
すなわち、押圧突起49E,49Eが高温側電極43の上壁部の下面を上方に押圧する押圧力F2は、ヒンジピン49D,49Dに作用する押圧力にL1/L2を乗じたものとなり、L1が大きく、L2が小さい程、大きな押圧力F2が高温側電極43の上壁部の下面に作用する。
このような押圧力F2が高温側電極43の上壁部の下面に作用する結果、高温側電極43の上面全体が導通板44を介してp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端面に押圧され、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の相互の電気的な接触状態が確実に維持される。
従って、第4実施形態の熱電発電モジュール40によれば、第3実施形態の熱電発電モジュール30と同様に、モジュール荷重に全体的な低下や部分的な不均一が発生しても、各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の相互の電気的な接触状態を確実に維持し、その電気的導通状態を常に安定して確保することができる。
また、第4実施形態の熱電発電モジュール40によれば、ケーシング41の周壁部41Cの外壁面に図2に示した膨出部11D,11Dのような突部が存在しないため、図2に示した吸熱部材Hと放熱部材Cとの間に複数の熱電発電モジュール40を縦横に並べて熱電発電装置を構成する場合、複数の熱電発電モジュール40を隙間なく縦横に並べることができ、その分、熱電発電装置の発電効率を向上させるのに有利となる。
さらに、第4実施形態の熱電発電モジュール40によれば、高温側電極43をp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端面に押圧する部材として、ヒンジピン49D,49Dにより回動自在に支持された摩擦抵抗の小さいプッシャーアーム49,49を採用しているため、プッシャーアーム49,49の作動が円滑であり、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の相互の電気的導通状態を一層安定して確保することができる。
続いて、図15〜図18を参照して第5実施形態の熱電発電モジュール50を説明する。この熱電発電モジュール50では、図11に示した第4実施形態の熱電発電モジュール40における各高温側電極43が異なる構造の各高温側電極53に変更されている。これに対応して、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nは、図11に示した切欠き部P1,N1が無く、高温側端面が平坦なものに変更されている。そして、図11に示した左右一対のプッシャーアーム49,49が左右一対のベルクランク59,59に変更されている。
第5実施形態の熱電発電モジュール50におけるその他の部分の構造は、基本的に図11に示した熱電発電モジュール40と同様であり、ケーシング41、低温側電極42、絶縁板45、絶縁板46、絶縁シート47および押圧手段48と同様に構成されたケーシング51、低温側電極52、絶縁板55、絶縁板56、絶縁シート57および押圧手段58を備えている。
ケーシング51は、ケーシング41の受熱板41A、放熱板41B、周壁部41Cおよび環状突部41D,41Dと同様に構成された受熱板51A、放熱板51B、周壁部51Cおよび環状突部51D,51Dを有する。また、押圧手段58は、押圧手段48のコイルばね48A,48A、クランク48B,48B、ヒンジピン48C,48C、環状突部48D,48Dおよび押圧突起48E,48Eと同様に構成されたコイルばね58A,58A、クランク58B,58B、ヒンジピン58C,58C、環状突部58D,58Dおよび押圧突起58E,58Eを有する。
ここで、高温側電極53は、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの平坦な高温側端面に跨って対面する平板状の本体53Aと、その前後の周縁部からそれぞれ上方に立ち上がって下方に折り返された舌片からなる左右一対づつのタブ53B,53Bとを有する(図17参照)。
図17に示す左右一対のタブ53B,53Bは、本体53Aの前縁部から上方に突設されており、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の前面に対面している。なお、図18に示すように、本体53Aの後縁部にも同様の左右一対のタブ53B(一方のみ図示)が上方に突設されている。
高温側電極53の本体53Aの上面に重なる導通板54は、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの平坦な高温側端面に跨って平面接触する平板状に形成されている(図17、図18参照)。
一方、図16に示すように、左右一対のベルクランク59,59は、その屈曲部がヒンジピン59A,59Aを介してp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の前面に枢支されている。なお、図示省略したが、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の後面にも同様のベルクランクがヒンジピン59A,59Aを介して枢支されている。
このベルクランク59,59は、ヒンジピン59A,59A付近から相互に接近するように下方に傾斜して延びる傾斜アーム部59B,59Bと、ヒンジピン59A,59A付近から左右方向に相互に離間して延びる水平アーム部59C,59Cとを有する。
傾斜アーム部59B,59Bの下端部は、相互に対面する側面で当接しており、水平アーム部59C,59Cは、左右のタブ53B,53B内に嵌入して包持されている。そして、この水平アーム部59C,59Cの上面には、タブ53B,53Bを上方に押圧して持ち上げる押圧突起59D,59Dが形成されている。
以上のように構成された第5実施形態の熱電発電モジュール50においては、各対のコイルばね58A,58Aの押圧荷重を受けた各対のクランク58B,58Bがヒンジピン58C,58Cを中心に回動することで、その側面の押圧突起58E,58Eが図15の白抜き矢印に示すように、モジュール荷重の作用方向と直交する方向から各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の側面を押圧して挟持している。
このため、図16に示すよう、左右一対のベルクランク59,59においては、ヒンジピン59A,59Aから傾斜アーム部59B,59Bに押圧力が作用し、その下端部の側面が相互に当接して押圧される。そして、この押圧力の反力により、水平アーム部59C,59Cの押圧突起59D,59Dが高温側電極53の各タブ53B,53Bを上方に押圧して持ち上げる。
ここで、傾斜アーム部59B,59Bの下端部の当接点に作用する押圧力F3(ヒンジピン59A,59Aに作用する押圧力の反力)と、その作用線からヒンジピン59A,59Aまでの腕の長さL3とを乗じたモーメントは、押圧突起59D,59Dを上方に押圧する押圧力F4と、その作用線からヒンジピン59A,59Aまでの腕の長さL4とを乗じたモーメントに変換される。
すなわち、押圧突起59D,59Dが高温側電極53の各タブ53B,53Bを上方に押圧して持ち上げる押圧力F4は、ヒンジピン59A,59Aに作用する押圧力F3にL3/L4を乗じたものとなり、L3が大きく、L4が小さい程、大きな押圧力F4が高温側電極53の各タブ53B,53Bに作用する。
このような押圧力F4が高温側電極53の各タブ53B,53Bに作用する結果、高温側電極53の本体53Aの上面全体が導通板54を介してp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの平坦な高温側端面に押圧され、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の相互の電気的な接触状態が確実に維持される。
従って、第5実施形態の熱電発電モジュール50によれば、第4実施形態の熱電発電モジュール40と同様に、モジュール荷重に全体的な低下や部分的な不均一が発生しても、各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の相互の電気的な接触状態を確実に維持し、その電気的導通状態を常に安定して確保することができる。
また、第5実施形態の熱電発電モジュール50によれば、ケーシング51の周壁部51Cの外壁面に図2に示した膨出部11D,11Dのような突部が存在しないため、図2に示した吸熱部材Hと放熱部材Cとの間に複数の熱電発電モジュール40を縦横に並べて熱電発電装置を構成する場合、複数の熱電発電モジュール50を隙間なく縦横に並べることができ、その分、熱電発電装置の発電効率を向上させるのに有利となる。
さらに、第5実施形態の熱電発電モジュール50によれば、高温側電極53の本体53Aをp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの平坦な高温側端面に押圧する部材として、ヒンジピン59A,59Aにより回動自在に支持された摩擦抵抗の小さいベルクランク59,59を採用しているため、ベルクランク59,59の作動が円滑であり、p型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nの高温側端部の相互の電気的導通状態を一層安定して確保することができる。
そして、各列の熱電発電素子群を構成するp型熱電発電素子Pおよびn型熱電発電素子Nに切欠き部P1,N1などが不要であるため、熱電発電素子群の充填率を高めて熱電発電の出力を向上させるのに有利である。
10…熱電発電モジュール、11…ケーシング、11A…受熱板、11B…放熱板、11C…周壁部、11D…収容室、12…低温側電極、13…高温側電極、13A…本体、13B…板状部、14…導通板、15…絶縁板、16…絶縁板、17…絶縁シート、18…コイルばね、P…p型熱電発電素子、N…n型熱電発電素子、P1,N1…切欠き部、
20…熱電発電モジュール、21…ケーシング、21B…放熱ブロック部、21C…周壁部、21D…放熱フィン、21E…冷却水通路、21F…支持突部、21G…角孔、21H…支持突部、21J…丸孔、28…押圧手段、28A…ねじり棒ばね、28B…アーム、28C,28D…連結部、28E…角孔、28F…押圧突起、P2,N2…突部、G…グラスウール、
30…熱電発電モジュール、31…ケーシング、31C…周壁部、31D…環状突部、33…高温側電極、33A…板状部、33B…傾斜突起、34…導通部材、38…押圧手段、38A…コイルばね、38B…クランク、38C…ヒンジピン、38D…環状突部、38E…押圧突起、P3,N3…嵌合孔、CL…カラー、
40…熱電発電モジュール、43…高温側電極、43A…長孔、44…導通板、44A…長孔、49…プッシャーアーム、49A…中間アーム部、49B…上側アーム部、49C…下側アーム部、49D…ヒンジピン、49E…押圧突起、49F…支点突起、
50…熱電発電モジュール、53…高温側電極、53A…本体、53B…タブ、54…導通板、59…ベルクランク、59A…ヒンジピン、59B…傾斜アーム部、59C…水平アーム部、59D…押圧突起。
20…熱電発電モジュール、21…ケーシング、21B…放熱ブロック部、21C…周壁部、21D…放熱フィン、21E…冷却水通路、21F…支持突部、21G…角孔、21H…支持突部、21J…丸孔、28…押圧手段、28A…ねじり棒ばね、28B…アーム、28C,28D…連結部、28E…角孔、28F…押圧突起、P2,N2…突部、G…グラスウール、
30…熱電発電モジュール、31…ケーシング、31C…周壁部、31D…環状突部、33…高温側電極、33A…板状部、33B…傾斜突起、34…導通部材、38…押圧手段、38A…コイルばね、38B…クランク、38C…ヒンジピン、38D…環状突部、38E…押圧突起、P3,N3…嵌合孔、CL…カラー、
40…熱電発電モジュール、43…高温側電極、43A…長孔、44…導通板、44A…長孔、49…プッシャーアーム、49A…中間アーム部、49B…上側アーム部、49C…下側アーム部、49D…ヒンジピン、49E…押圧突起、49F…支点突起、
50…熱電発電モジュール、53…高温側電極、53A…本体、53B…タブ、54…導通板、59…ベルクランク、59A…ヒンジピン、59B…傾斜アーム部、59C…水平アーム部、59D…押圧突起。
Claims (6)
- 吸熱部材と放熱部材との間に挟持されてモジュール荷重を受けるケーシング内に、前記モジュール荷重が軸方向に作用する向きで極性の異なる2種類の熱電発電素子が交互に直列に接続されて配列されており、
前記放熱部材に放熱する熱電発電素子の低温側端部が交互に接合状態で電気的に導通され、前記吸熱部材から吸熱する熱電発電素子の高温側端部が交互に非接合の接触状態で電気的に導通される熱電発電モジュールであって、
前記モジュール荷重とは別系統の押圧荷重を熱電発電素子の高温側端部に付与することで、その高温側端部の電気的導通状態を確保する押圧手段を備えていることを特徴とする熱電発電モジュール。 - 隣接する熱電発電素子の交互に電気的に導通される高温側端部は、その側面が高温側電極を介して相互に電気的に接触することを特徴とする請求項1に記載の熱電発電モジュール。
- 隣接する熱電発電素子の交互に電気的に導通される高温側端部は、その端面が高温側電極を介して相互に電気的に接触することを特徴とする請求項1に記載の熱電発電モジュール。
- 前記押圧手段は、前記モジュール荷重の作用方向と直交する方向に押圧荷重を付与する弾性体を有することを特徴とする請求項2または3に記載の熱電発電モジュール。
- 前記押圧手段は、前記モジュール荷重の作用方向に沿って配置されたコイルばねと、このコイルばねによる押圧荷重の向きをモジュール荷重の作用方向と直交する方向に変換するクランクとを有することを特徴とする請求項2または3に記載の熱電発電モジュール。
- 前記押圧手段は、前記モジュール荷重の作用方向に沿って配置されたねじり棒ばねと、このねじり棒ばねのねじりトルクをモジュール荷重の作用方向と直交する方向の押圧荷重に変換するアームとを有することを特徴とする請求項2または3に記載の熱電発電モジュール。
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