JP2008066459A - 熱電素子モジュールおよびそれを用いた熱電変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高効率な熱変換機能を有し、長期信頼性が高く、容易に製造可能な低コストの熱電変換装置を提供する。
【解決手段】P型とN型の熱電変換素子5(5a,5b)を交互に、それぞれの素子5の側面間に設けられたフィン電極2(2a,2b)を介して一直線状に整列配置した熱電変換素子群の片端側に、熱電変換素子5と略同幅で電気伝導性を有するダミー部材7を設けて熱電素子モジュール1を形成する。フィン電極2a,2bは熱電変換素子5の配列順にしたがってフィンの伸長方向を交互に逆向きとした第1のフィン電極2aと第2のフィン電極2bとし、複数の熱電素子モジュール1を重ね合わせて多段に配置して連結導通部材8を介して接続し、隣り合う熱電素子モジュール1の第1のフィン電極2a同士を互い違いに配置し、隣り合う熱電素子モジュール1の第2のフィン電極2b同士を互い違いに配置する。
【選択図】図1
【解決手段】P型とN型の熱電変換素子5(5a,5b)を交互に、それぞれの素子5の側面間に設けられたフィン電極2(2a,2b)を介して一直線状に整列配置した熱電変換素子群の片端側に、熱電変換素子5と略同幅で電気伝導性を有するダミー部材7を設けて熱電素子モジュール1を形成する。フィン電極2a,2bは熱電変換素子5の配列順にしたがってフィンの伸長方向を交互に逆向きとした第1のフィン電極2aと第2のフィン電極2bとし、複数の熱電素子モジュール1を重ね合わせて多段に配置して連結導通部材8を介して接続し、隣り合う熱電素子モジュール1の第1のフィン電極2a同士を互い違いに配置し、隣り合う熱電素子モジュール1の第2のフィン電極2b同士を互い違いに配置する。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば光通信用部品、理化学機器、除湿器、空調設備、半導体プロセス中での流体温度管理等に用いられて冷却や加熱を行ったり、ゼーベック効果を利用して発電を行ったりする熱電素子モジュールおよびそれを用いた熱電変換装置に関するものである。
ペルチェモジュール等の熱電変換モジュールが、光通信分野等の様々な分野に用いられており、図9には、熱電変換モジュールの構造の一例が示されている。(例えば、特許文献1、2、3、参照。)。
この熱電変換モジュールはペルチェモジュールであり、P型の熱電変換素子5(5a)とN型の熱電変換素子5(5b)を交互に複数配列し、それぞれの熱電変換素子5(5a,5b)の側面間に設けられた電極2を介して一直線状に整列配置されて熱電変換素子群を形成し、P型の熱電変換素子5aとN型の熱電変換素子5bを、電極2を介して交互に接続して熱電変換回路を形成したものである。電極2と熱電変換素子5とは、例えば半田(図示せず)により接合されている。
P型の熱電変換素子5aとN型の熱電変換素子5b間に介設されている電極2は、熱電変換素子5(5a,5b)の配列部から一方の外側に向けて伸長されてその伸長部位をフィンと成すフィン電極2a,2bと成している。これらのフィン電極2a,2bは熱電変換素子5(5a,5b)の配列順にしたがってフィンの伸長方向を交互に逆向きとした第1のフィン電極2aと第2のフィン電極2bにより形成されている。
図9に示すようなペルチェモジュールの熱電変換素子5(5a,5b)は、ペルチェ素子として一般的に知られており、P型半導体により形成されたP型の熱電変換素子5aと、N型半導体により形成されたN型の熱電変換素子5bとを有する。P型およびN型の熱電変換素子5(5a,5b)は、例えば長さが0.5〜5.0mm程度のビスマス・テルル等の半導体で構成されている。
上記熱電変換素子5(5a,5b)の回路に電流を流すと、P型の熱電変換素子5aとN型の熱電変換素子5bに電極2(ここでは、フィン電極2a,2b)を介して電流が流れて、熱電変換素子5(5a,5b)と電極2との接合部(界面)で冷却・加熱効果が生じる。つまり、前記接合部を流れる電流の方向によって熱電変換素子5(5a,5b)の一方の端部が発熱せしめられると共に他方の端部が冷却せしめられるいわゆるペルチェ効果が生じる。
このペルチェ効果によって、例えば図9の矢印Aの方向に電流を流すと、第1のフィン電極2aが発熱せしめられ、その逆に、第2のフィン電極2bが冷却せしめられることにより、第1のフィン電極2aのフィン伸長側の領域は加熱され、第2のフィン電極2bのフィン伸長側の領域は冷却される。そこで、例えば矢印B方向に風を流すと、第2のフィン電極2bのフィン伸長側から冷風を発生することができる。また、熱電変換素子5(5a,5b)の回路に流す電流の向きを逆にすると、加熱側と冷却側とが逆転する。
なお、ペルチェモジュール等の熱電変換モジュールには、上記のようなタイプの熱電変換モジュールの他に、P型とN型の熱電変換素子を互いに間隔を介して立設し、その上端側と下端側に電極を設けて、該電極とP型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子とによって熱電変換素子の回路を形成するタイプの熱電変換モジュールも提案されている。
しかしながら、図9に示したタイプの熱電変換モジュールを適用して熱電変換装置を形成した場合、この熱電変換装置は、熱交換器としてあまり良い特性を得ることができないという問題があった。そのため、上記特許文献1〜3においては、例えばフィン電極2a,2bにコルゲートフィンを設けて伝熱面積の拡大を図ったりするなどの構成を設けているが、このようにすると構成が複雑になる。特に、熱電変換装置の小型化が進む中にあって、複雑な構成の熱電変換モジュールは製造が容易でなく、量産性がよくないため、コストアップにつながるし、熱電変換装置を使用していくうちに、熱歪みによって破損しやすくなるという問題も生じる。
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、高効率な熱変換機能を有し、長期信頼性の高い熱電変換装置を容易に低コストで形成可能とする熱電素子モジュールとその熱電素子モジュールを用いた熱電変換装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明の熱電素子モジュールは、複数の熱電変換素子がP型とN型の素子を交互にしてそれぞれの素子の側面間に設けられた電極を介して一直線状に整列配置されて熱電変換素子群が形成され、該熱電変換素子群の熱電変換素子の整列配置の片端側には熱電変換素子と同幅または略同幅で電気伝導性を有するダミー部材が設けられており、前記P型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子が前記電極を介して交互に接続されて熱電変換回路が形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
また、第2の発明の熱電素子モジュールは、上記第1の発明の構成に加え、前記P型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子間に介設されている電極は、熱電変換素子の配列部から一方の外側に向けて伸長されてその伸長部位をフィンと成すフィン電極と成しており、これらのフィン電極は熱電変換素子の配列順にしたがってフィンの伸長方向を交互に逆向きとした第1のフィン電極と第2のフィン電極により形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
さらに、第3の発明の熱電素子モジュールは、上記第1または第2の発明の構成に加え、ダミー部材は、ゴム状ブロックまたは樹脂ブロックの外周側に導電性部材を設けた複合部材、バネ性を有する導電性部材をゴムまたは樹脂により覆って熱電変換素子と同様の外形形状とした部材、インバー合金製部材、バネ状部材のいずれかにより形成されていることを特徴とする。
さらに、第4の発明の熱電変換装置は、P型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子とダミー部材の配列順序およびフィン電極の伸長方向を同じにした前記第2または第3の発明の熱電素子モジュールを複数具備し、これらの熱電素子モジュールが、隣り合う熱電素子モジュールの熱電変換素子同士が接触しない態様の横置き状態で、かつ、P型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子の配列順序を逆向きにした姿勢で重ね合わせて多段に配置され、上下の隣り合う2段の熱電素子モジュール同士は熱電変換素子配列の片端に配置されている熱電変換素子とダミー部材が連結導通部材を介して接続されて熱電変換回路が形成され、隣り合う熱電素子モジュールの第1のフィン電極同士が互い違いに配置され、隣り合う熱電素子モジュールの第2のフィン電極同士が互い違いに配置されている構成をもって課題を解決する手段としている。
さらに、第5の発明の熱電変換装置は、上記第4の発明の構成に加え、前記連結導通部材は弾性部材により形成されていることを特徴とする。
さらに、第6の発明の熱電変換装置は、上記第4または第5の発明の熱電変換装置が筐体内に収容されて該熱電変換装置の熱電変換素子群は筐体の内側に直接または支持部材を介して固定されており、該支持部材と前記筐体における熱電変換素子の支持領域の少なくとも一方が弾性部材により形成されていることを特徴とする。
さらに、第7の発明の熱電変換装置は、上記第4乃至第6のいずれか一つの発明の構成に加え、前記第1のフィン電極のフィン伸長側の領域と第2のフィン電極のフィン伸長側の領域とを仕切る断熱性の仕切り壁が熱電変換素子の一端側と他端側の少なくとも一方の面側に設けられていることを特徴とする。
さらに、第8の発明の熱電変換装置は、上記第4乃至第7のいずれか一つの発明の構成に加え、第1のフィン電極のフィン配設領域の周りを筒状に囲んだ第1のダクト通路が形成され、第2のフィン電極のフィン配設領域の周りを筒状に囲んだ第2のダクト通路が形成されていることを特徴とする。
さらに、第9の発明の熱電変換装置は、上記第4乃至第8のいずれか一つの発明の構成に加え、フィン電極の先端側に伝熱面拡大用の面増大部が形成されていることを特徴とする。
本発明の熱電素子モジュールは、複数の熱電変換素子がP型とN型の素子を交互にしてそれぞれの素子の側面間に設けられた電極を介して一直線状に整列配置されて熱電変換素子群を形成しているが、該熱電変換素子群の熱電変換素子の整列配置の片端側には熱電変換素子と同幅または略同幅で電気伝導性を有するダミー部材が設けられており、前記P型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子が前記電極を介して交互に接続されて熱電変換回路が形成されているので、例えばダミー部材によってモジュールの熱歪み(熱電変換素子の熱膨張収縮に伴う歪み)を吸収でき、熱電変換素子に加わる熱歪みを軽減できる。その結果、非常に簡単な構成で、温度差の大きな領域での熱電発電や、ペルチェ効果を利用した冷却や加熱においても長期信頼性を確保できる。
つまり、熱電素子モジュールの加熱面や冷却面では、熱の出入りを良くするため、その面と垂直方向(本発明の熱電素子モジュールにおいては熱電変換素子の配列方向)に圧力が加えられるが、この力がダミー部材で適切に緩和されるため、上記のように、熱電素子破壊などを防ぐことができ、信頼性の高い熱電素子モジュールを実現できる。
特に、ダミー部材を、ゴム状ブロックまたは樹脂ブロックの外周側に導電性部材を設けた複合部材、バネ性を有する導電性部材をゴムまたは樹脂により覆って熱電変換素子と同様の外形形状とした部材、合金製部材、特には、インバー製の合金部材、バネ状部材の、いずれかにより形成することにより、上記圧力緩和効果を効率的に発揮できる。
また、熱電素子モジュールにおいて、P型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子間に介設されている電極を、熱電変換素子の配列部から一方の外側に向けて伸長されてその伸長部位をフィンと成すフィン電極とし、これらのフィン電極を、熱電変換素子の配列順にしたがってフィンの伸長方向を交互に逆向きとした第1のフィン電極と第2のフィン電極により形成すれば、第1と第2のフィン電極のフィンにより、熱の吸収や放熱を的確にできるので、熱歪みの影響を抑制した良好な特性を持つペルチェモジュールや発電モジュールを形成できる。
そして、本発明の熱電素子モジュールを基本単位とし、この基本単位の複数設けて、以下のように、容易に、かつ、仕様にあわせた適切な熱電変換装置を形成できる。
つまり、P型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子とダミー部材の配列順序およびフィン電極の伸長方向を同じにした複数の熱電素子モジュールを、隣り合う熱電変換装置の熱電変換素子同士が接触しない態様の横置き状態で、かつ、P型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子の配列順序を逆向きにした姿勢で重ね合わせて多段に配置し、上下の隣り合う2段の熱電素子モジュール同士をその片端側で接続して熱電変換回路を形成すると、この熱電変換装置は、隣り合う熱電素子モジュールの第1のフィン電極同士を互い違いに配置し、隣り合う熱電素子モジュールの第2のフィン電極同士を互い違いに配置した、熱変換機能が高い熱電変換装置にできる。
すなわち、本発明の熱電変換装置は、熱電変換素子群の片端側にダミー部材を設けた本発明の熱電素子モジュールを基本単位とし、この熱電素子モジュールを上記の如く複数多段に配置して形成しているので、例えば熱電変換素子に電流を流すと、互い違いに配置される第1のフィン電極のフィンは、いずれも吸熱フィンと放熱フィンのうちのいずれか一方となり、互い違いに配置される第2のフィン電極のフィンは、いずれも、第1のフィン電極のフィンとは異なるようになる(つまり、第1のフィン電極のフィンが吸熱フィンとなる場合、第2のフィン電極のフィンは放熱フィンとなり、その逆に、第1のフィン電極のフィンが放熱フィンとなる場合、第2のフィン電極のフィンは吸熱フィンとなる)。
したがって、本発明の熱電変換装置は、隣り合う熱電素子モジュールの第1のフィン電極同士を互い違いに配置し、隣り合う熱電素子モジュールの第2のフィン電極同士を互い違いに配置することにより、ペルチェモジュールとして機能させる場合に、熱変換機能が高い熱電変換装置にできる。
また、発電モジュールとして機能させる場合にも、例えば第1のフィン電極の先端側が高温であり、第2のフィン電極の先端側が低温である領域に配置すると、熱を第1のフィン電極の先端側から第2のフィン電極の先端側に向けて移動させることにより、効率良く発電でき、その逆の(第1のフィン電極の先端側が低温であり、第2のフィン電極の先端側が高温の)場合も同様に熱の移動を良好に行え、効率良く発電できるので、熱変換機能が高い熱電変換装置にできる。
また、従来は、熱電変換素子を薄く形成すると、熱電変換素子に加わる熱歪みによって熱電変換素子が割れやすかったが、本発明の熱電素子モジュールは、熱電変換素子に加わる熱歪みを軽減できるので、熱電変換素子の厚みを薄くでき、それにより、熱電素子モジュールを重ね合わせて形成する熱電変換装置の積層数を多くすることが容易となり、熱電変換装置の性能をより向上させることができる。
また、本発明の熱電変換装置において、連結導通部材を弾性部材により形成すれば、たとえダミー部材が弾性を有していない場合や、ダミー部材による熱電素子モジュールの熱歪み抑制効果が小さい場合でも、連結導通部材によって熱歪みの抑制を行うことができ、熱歪み抑制に伴う上記優れた効果を発揮することができる。
さらに、本発明の熱電変換装置において、熱電変換装置の熱電変換素子群を筐体の内側に直接または支持部材を介して固定し、該支持部材と前記筐体における熱電変換素子の支持領域の少なくとも一方が弾性部材により形成すれば、たとえダミー部材が弾性を有していない場合や、ダミー部材による熱電素子モジュールの熱歪み抑制効果が小さい場合でも、また、連結導通部材が弾性を有していない場合でも、上記弾性部材によって熱歪みの抑制を行うことができ、熱歪み抑制に伴う上記優れた効果を発揮することができる。
さらに、本発明の熱電変換装置において、第1のフィン電極のフィン伸長側の領域と第2のフィン電極のフィン伸長側の領域とを仕切る断熱性の仕切り壁を熱電変換素子の一端側と他端側の少なくとも一方の面側に設けることにより、熱電変換素子の配列領域を挟む一方側から他方側への熱の移動を抑制でき、熱電変換効率をより一層良好にできる。
さらに、熱電変換装置において、第1のフィン電極のフィン配設領域の周りを筒状に囲んだ第1のダクト通路を形成し、第2のフィン電極のフィン配設領域の周りを筒状に囲んだ第2のダクト通路を形成することにより、第1のフィン電極のフィン配列領域と第2のフィン電極のフィン配列領域とを確実に隔てることができ、熱電変換効率を高めることができるし、ダクト内を流れる流体とフィン電極との熱の授受を効率的に行うことができる。
さらに、本発明の熱電変換装置において、フィン電極の先端側に伝熱面拡大用の面増大部を形成することにより、熱電変換効率をより一層良好にできる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、本実施形態例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略又は簡略化する。
図1(a)には、本発明に係る熱電変換装置の一実施形態例が模式的な平面図により示されており、図1(b)には、その手前側(矢印A側)から見た側面図が模式的に示されている。また、図2には、本実施形態例の熱電変換装置の斜視図が模式的に示されている。なお、本実施形態例の熱電変換装置3は、必要に応じ、図1および図2に示す形態で用いることもできるし、適宜のケース内に収容して用いることもできる。
本実施形態例の熱電変換装置3はペルチェモジュールであり、図3に示す態様の熱電素子モジュール1を複数並設し、接続して形成されている。なお、図3(a)は熱電素子モジュール1の平面図、図3(a)は熱電素子モジュール1の側面図、図3(c)は熱電素子モジュール1の斜視図をそれぞれ示す。これらの図に示すように、各熱電素子モジュール1は、複数の熱電変換素子5(5a,5b)がP型とN型の素子を交互にしてそれぞれの素子の側面間に設けられた電極2を介して一直線状に整列配置された熱電変換素子群を有し、熱電変換素子群の熱電変換素子5(5a,5b)の整列配置の片端側に、熱電変換素子5(5a,5b)と同幅または略同幅で電気伝導性を有するダミー部材7を設けて形成されている。
このダミー部材7は、様々に形成することができるものであるが、本実施形態例では、バネ状部材であるスプリングにより形成されている。なお、このスプリング部材により形成されたダミー部材7を、図2においては、簡略化のために、Dと書かれたブロック状の部材として示している。本発明に適用されるダミー部材7は、導電性を有して、熱電変換素子5(5a,5b)と同幅または略同幅に形成されればよいものなので、その形状は特に限定されるものでなく、例えばブロック状の部材により形成することもできる。
なお、ダミー部材7を、本実施形態例に適用しているようなスプリング部材や、図4の(a)〜(d)に示すような部材により形成することが好ましい。図4(a)はインバー合金製部材16、図4(b)は皿ばね17等のバネ状部材、図4(c)は、ゴム状ブロック18または樹脂ブロック19の外周側に導電性部材20を設けた複合部材、図4(d)は、バネ性を有する導電性部材15をゴムまたは樹脂により覆って熱電変換素子と同様の外形形状とした(ゴム状ブロック18または樹脂ブロック19とした)部材である。このように形成すると、熱歪みによって熱電変換素子の配列方向に加えられる圧力をダミー部材7によって非常に適切に緩和でき、熱電素子破壊などを防ぐことができる。
上記各熱電素子モジュール1において、P型の熱電変換素子5aとN型の熱電変換素子5bは電極2を介して交互に接続されて熱電変換回路が形成されており、P型の熱電変換素子5aとN型の熱電変換素子5b間に介設されている電極2は、図9に示した熱電変換装置と同様に、熱電変換素子5(5a,5b)の配列順にしたがってフィンの伸長方向を交互に逆向きとした第1のフィン電極2aと第2のフィン電極2bにより形成されている。各フィン電極2a,2bは銅の表面にNiメッキを施して形成されている。なお、このNiメッキに代えて、Snメッキを施してフィン電極2a,2bを形成してもよい。
このように、銅の表面にSnまたはNiメッキを施してフィン電極2a,2bを形成することにより、半田等を用いて熱電変換素子5(5a,5b)とフィン電極2a,2bとを良好に接合でき、フィン電極2a,2bによる熱伝導作用を良好に発揮にできる。
図1、図2に示すように、本実施形態例の熱電変換装置3は、P型の熱電変換素子5aとN型の熱電変換素子5bとダミー部材7の配列順序およびフィン電極2a,2bの伸長方向を同じにした上記構成の熱電素子モジュール1を複数具備している。そして、これらの熱電素子モジュール1が、隣り合う熱電素子モジュール1の熱電変換素子5(5a,5b)同士が接触しない態様の横置き状態で、かつ、P型の熱電変換素子5aとN型の熱電変換素子5bの配列順序を逆向きにした姿勢で重ね合わせて多段に配置されている。隣り合う熱電素子モジュール1の熱電変換素子群同士の間には、絶縁材としての樹脂部材10が介設されている。
上下の隣り合う2段の熱電素子モジュール1同士は、熱電変換素子配列の片端に配置されている熱電変換素子5とダミー部材7が連結導通部材8を介して接続されて直列接続の熱電変換回路が形成されている。また、隣り合う熱電素子モジュール1の第1のフィン電極2a同士が互い違いに配置され、隣り合う熱電素子モジュール1の第2のフィン電極2b同士が互い違いに配置されている。
なお、図1においては、上記フィン電極2a,2bの互い違いの配置状態を分かりやすくするために、矢印A側から見て、奇数番目の熱電素子モジュール1における第1と第2のフィン電極2a,2bに斜線を記入し、偶数番目の熱電素子モジュール1における第1と第2のフィン電極2a,2bには斜線を記入しないで示している。
本実施形態例は以上のように構成されており、P型の熱電変換素子5aとN型の熱電変換素子5bとダミー部材7の配列順序およびフィン電極2a,2bの伸長方向を同じにした上記構成の熱電素子モジュール1を複数接続することにより製造できるので、たとえ熱電変換素子5(5a,5b)の大きさが0.5〜5mm程度と小さい大きさであっても、非常に簡単に熱電変換装置3を形成でき、量産性が非常に良好であり、低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態例の熱電変換装置3において、隣り合う熱電素子モジュール1の第1のフィン電極2a同士が互い違いに配置され、隣り合う熱電素子モジュール1の第2のフィン電極2b同士が互い違いに配置されているので、熱変換効率の高い熱電変換装置を実現することができる。
したがって、本実施形態例の熱電変換装置3は、電子部品の冷却等に用いられることはもちろんのこと、例えば自動車に応用し、例えば座席のシートに内蔵される冷却用装置として適用したり、自動車のエンジン近傍に設けてそのエンジン発熱を利用した発電モジュールとして適用したりすることが可能であり、様々な分野への適用が可能となる。
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば上記実施形態例の熱電変換装置3は、隣り合う熱電素子モジュール1の熱電変換素子群同士の間に、絶縁材としての樹脂部材10を介設して形成したが、隣り合う熱電素子モジュール1の熱電変換素子群同士の間に樹脂部材10以外の絶縁材を設けてもよいし、隣り合う熱電素子モジュール1の熱電変換素子群同士が接触しない態様で設けられていれば、絶縁材を省略してもよい。なお、絶縁材を介設すれば、隣り合う熱電素子モジュールの熱電変換素子同士が導通することを確実に抑制できる。
また、図5の側面図に示すように、熱電素子モジュール1の隣り合うフィン電極2a,2b同士がその先端側で導通することを抑制する絶縁スペーサ9を、隣り合うフィン電極2a,2bの先端部間に設けて、熱電素子モジュール1を形成してもよいし、この熱電素子モジュール1を多段配置して複数接続した熱電変換装置を形成してもよい。なお、絶縁スペーサ9は、同図に示すように、フィン電極2a,2bの先端間の全区間に設けてもよいし、同図の破線Sに示すように、フィン電極2a,2bの先端間の一部区間に設けてもよい。これらのように、絶縁スペーサ9を設けると、フィン電極2a,2bが柔らかい素材により形成されていたり密集したりしていても、フィン電極同士の導通を防ぐことができる。
また、図6の側面図に示すように、フィン電極2a,2bの先端側(フィンの先端側)に伝熱面拡大用のコルゲートフィン等の面増大部21を形成して熱電素子モジュール1を形成してもよいし、この熱電素子モジュール1を多段配置して複数接続した熱電変換装置を形成してもよい。なお、面増大部21は、フィン電極2a,2bのフィンの部分をコルゲートフィンとして形成してもよいし、フィンの幅を広げて面増大部21としてもよい。
さらに、図7の側面図に示すように、第1のフィン電極のフィン伸長側の領域と第2のフィン電極のフィン伸長側の領域とを仕切る、断熱性の仕切り壁6を熱電変換素子5(5a,5b)の一端側と他端側の少なくとも一方の面(この図では両面)側に設けて熱電変換装置を形成してもよい。なお、仕切り壁6は、例えば樹脂等により形成することができ、同図に示すように、熱電変換素子5(5a,5b)の配列群を囲むように設けてもよい。このようにすると、フィン電極2a,2bのフィンに結露が生じても、その結露によって熱電変換素子5(5a,5b)が腐食することを防ぐことができ、好ましい。そして、これらの熱電素子モジュール1を、例えば上記実施形態例と同様に多段配置して複数接続し、熱電変換装置を形成してもよい。
さらに、熱電変換装置3において、連結導通部材8を弾性部材により形成してもよい。そうすると、たとえダミー部材7が弾性を有していない場合や、ダミー部材7による熱電素子モジュール1の熱歪み抑制効果が小さい場合でも、連結導通部材8によって熱歪みの抑制を行うことができ、熱歪み抑制に伴う上記優れた効果を発揮することができる。
さらに、熱電変換装置3は、図8の斜視図に示すように形成することができる。この熱電変換装置は、第1のフィン電極2aのフィン配設領域の周りを筒状に囲んだ第1のダクト通路11を形成し、第2のフィン電極2bのフィン配設領域の周りを筒状に囲んだ第2のダクト通路12を形成したものであり、これらのダクト通路11,12を形成するために、図2に示したような熱交換装置を、筒状の筐体13内に設けている。この場合、例えば風を図の矢印AまたはB方向のうち適宜の方向に流すことにより、効率良く熱交換(例えば冷却と加熱)を行える熱電変換装置を形成できる。
なお、図8は、筐体13内を透かしてみた状態で示しており、符号14は、固定ブロックを示す。例えばこの筐体13の側壁13a,13bの内側における熱電変換素子5(5a,5b)の支持領域(例えば図の破線枠Cで示す領域)を弾性部材により形成すると、たとえダミー部材7や連結導通部材8が弾性を有していない場合でも、熱電変換素子5(5a,5b)の熱歪みを抑制することができる。また、筐体13の側壁13a,13bの内側における熱電変換素子5(5a,5b)の支持領域に、支持部材を介して熱電変換素子群を固定し、この支持部材を、弾性部材により形成することもでき、この場合も、同様の熱歪み抑制効果を奏することができる。
さらに、上記説明は、熱電変換装置として、主にペルチェモジュールの構造について例を挙げて説明したが、本発明の熱電変換装置の構造は、周知のゼーベック効果を利用して発電を行う熱電変換装置の構造にも適用できる。
1 熱電素子モジュール
2 電極
2a,2b フィン電極
5,5a,5b 熱電変換素子
7 ダミー部材
8 連結導通部材
9 絶縁スペーサ
15 導電性部材
18 ゴム状ブロック
19 樹脂ブロック
2 電極
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5,5a,5b 熱電変換素子
7 ダミー部材
8 連結導通部材
9 絶縁スペーサ
15 導電性部材
18 ゴム状ブロック
19 樹脂ブロック
Claims (9)
- 複数の熱電変換素子がP型とN型の素子を交互にしてそれぞれの素子の側面間に設けられた電極を介して一直線状に整列配置されて熱電変換素子群が形成され、該熱電変換素子群の熱電変換素子の整列配置の片端側には熱電変換素子と同幅または略同幅で電気伝導性を有するダミー部材が設けられており、前記P型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子が前記電極を介して交互に接続されて熱電変換回路が形成されていることを特徴とする熱電素子モジュール。
- P型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子間に介設されている電極は、熱電変換素子の配列部から一方の外側に向けて伸長されてその伸長部位をフィンと成すフィン電極と成しており、これらのフィン電極は熱電変換素子の配列順にしたがってフィンの伸長方向を交互に逆向きとした第1のフィン電極と第2のフィン電極により形成されていることを特徴とする請求項1記載の熱電素子モジュール。
- ダミー部材は、ゴム状ブロックまたは樹脂ブロックの外周側に導電性部材を設けた複合部材、バネ性を有する導電性部材をゴムまたは樹脂により覆って熱電変換素子と同様の外形形状とした部材、インバー合金製部材、バネ状部材のいずれかにより形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱電素子モジュール。
- P型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子とダミー部材の配列順序およびフィン電極の伸長方向を同じにした請求項2または請求項3記載の熱電素子モジュールを複数具備し、これらの熱電素子モジュールが、隣り合う熱電素子モジュールの熱電変換素子同士が接触しない態様の横置き状態で、かつ、P型の熱電変換素子とN型の熱電変換素子の配列順序を逆向きにした姿勢で重ね合わせて多段に配置され、上下の隣り合う2段の熱電素子モジュール同士は熱電変換素子配列の片端に配置されている熱電変換素子とダミー部材が連結導通部材を介して接続されて熱電変換回路が形成され、隣り合う熱電素子モジュールの第1のフィン電極同士が互い違いに配置され、隣り合う熱電素子モジュールの第2のフィン電極同士が互い違いに配置されていることを特徴とする熱電変換装置。
- 連結導通部材は弾性部材により形成されていることを特徴とする請求項4記載の熱電変換装置。
- 請求項4または請求項5記載の熱電変換装置が筐体内に収容されて該熱電変換装置の熱電変換素子群は筐体の内側に直接または支持部材を介して固定されており、該支持部材と前記筐体における熱電変換素子の支持領域の少なくとも一方が弾性部材により形成されていることを特徴とする熱電変換装置。
- 第1のフィン電極のフィン伸長側の領域と第2のフィン電極のフィン伸長側の領域とを仕切る断熱性の仕切り壁が熱電変換素子の一端側と他端側の少なくとも一方の面側に設けられていることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか一つに記載の熱電変換装置。
- 第1のフィン電極のフィン配設領域の周りを筒状に囲んだ第1のダクト通路が形成され、第2のフィン電極のフィン配設領域の周りを筒状に囲んだ第2のダクト通路が形成されていることを特徴とする請求項4乃至請求項7記載の熱電変換装置。
- フィン電極の先端側に伝熱面拡大用の面増大部が形成されていることを特徴とする請求項4乃至請求項8のいずれか一つに記載の熱電変換装置。
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