JP2008269933A - X線発生装置及びx線分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】X線焦点の位置を変化させること無くX線発生帯を変化させることができ、しかもそのための構成が簡単で故障し難いX線発生装置を提供する。
【解決手段】隣接して並んだ2つのX線発生帯27A,27Bを備えた対陰極17Aと、陰極16及び対陰極17Aを真空状態である内部に収容したケーシング25と、対陰極17A及びそれに一体なフランジ35を軸線X0方向に移動可能に支持するフランジ49及び突出部材50とを有するX線発生装置である。フランジ49は、フランジ35に近い側に在るX線発生帯27Aが電子衝突領域に置かれる位置に対陰極17Aがあるときにフランジ35の右側面に当接する。突出部材50は、フランジ35から遠い側に在るX線発生帯27Bが電子衝突領域に置かれる位置に対陰極17Aがあるときにフランジ35の左側面に当接する。圧力切替装置58はフランジ35に加える空気圧力を大気圧状態と減圧状態とで切り替える。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数のX線発生帯を備えた対陰極を有するX線発生装置に関する。また、本発明は、そのX線発生装置を用いたX線分析装置に関する。
X線回折装置、蛍光X線装置、X線小角散乱装置等といったX線分析装置においては、X線発生装置から発生するX線が分析対象である試料に照射される。一般のX線発生装置では、陰極から発生した電子を対陰極の表面に衝突させることにより、その対陰極の表面からX線を発生させている。電子が衝突する領域、すなわちX線が発生する領域は、通常、X線焦点と呼ばれている。
対陰極から発生するX線の波長は、当該対陰極におけるX線焦点に対応する領域の材質によって決められる。この対陰極の材質としては、Cu(銅)、Mo(モリブデン)、Cr(クロム)、Co(コバルト)等が知られている。対陰極の材質は行おうとしている分析の種類に応じて適宜に選択される。例えば、X線回折装置によってタンパク質の構造解析を行う場合には、それら複数の材料から選択される複数の材料が用いられる。
従来、1つの対陰極に2種類のX線発生帯を設け、これらのうちの1つを陰極に対向する位置に選択的に配置させることにより、1つのX線発生装置において2種類の波長のX線のうちの1つを必要に応じて選択して用いることにしたX線発生装置が知られている(例えば、特許文献1)。このX線発生装置では、陰極に対して対陰極を相対的に移動させることにより2色のうちの1色のX線発生帯を陰極に対向する位置に選択的に配置させている。
また、従来、1つの対陰極に複数のX線発生帯を設け、陰極を対陰極に対して相対的に移動させることにしたX線発生装置が知られている(例えば、特許文献2)。このX線発生装置では、陰極を対陰極に対して移動させて電子照射領域を移動させることにより、X線を発生するX線発生帯を複数の中から1つだけ選択している。
実願平1−103988号(実開平3−43251号)のマイクロフィルム(第4頁、図1) 特開平4−171700号公報(第2頁、図1)
一般に、X線発生装置においては陰極及び対陰極は真空雰囲気に配置される。その理由は、例えば、放電の発生を防止したり、フィラメントの酸化を防止したり、できるだけ低い陰極温度で電子を放出させる等のためである。特許文献1のX線発生装置において対陰極が真空状態に置かれると、その対陰極は真空領域の方向へ空気圧力によって引っ張られる。このため、2色のX線発生帯を備えた対陰極をその真空吸引力に抗して移動させるために非常に大きな力が必要であり、移動装置を簡単に構築することが難しかった。
また、特許文献2に開示されたX線発生装置では、X線を発生するX線発生帯を変更したときにX線焦点の位置が変化するので、X線発生装置から発生したX線を使用するX線光学系、例えばX線回折光学系の光軸を再調整しなければならない、という問題があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、X線焦点の位置を変化させること無くX線を発生するX線発生帯を変化させることができ、しかもそのための構成が簡単であるX線発生装置及びX線分析装置を提供することを目的とする。
本発明に係る第1のX線発生装置は、電子を発生する陰極と、該陰極に対向して設けられ互いに隣接して並んだ2つのX線発生帯を備えた対陰極と、前記陰極及び前記対陰極を内部に収容したケーシングと、該ケーシングの内部を減圧する減圧手段と、前記対陰極を前記X線発生帯が並んだ方向で移動可能に支持する対陰極支持手段と、前記対陰極と一体に移動するフランジと、前記2つのX線発生帯のうち前記フランジに近い側に在るX線発生帯が前記電子と衝突する領域に置かれる第1位置に前記対陰極があるときに前記フランジの前記対陰極側の面に当接する第1当接部材と、前記2つのX線発生帯のうち前記フランジから遠い側に在るX線発生帯が前記電子と衝突する領域に置かれる第2位置に前記対陰極があるときに前記フランジの前記対陰極と反対側の面に当接する第2当接部材と、前記フランジに加える空気圧力を第1圧力状態と第2圧力状態とで切り替えるフランジ圧力調整手段とを有し、前記第1圧力状態は、前記フランジを前記対陰極と反対側へ移動させる力であって、前記ケーシングの内部の減圧状態に基づいて前記フランジが前記対陰極側へ引かれる力よりも小さい力を、前記フランジに加える圧力状態であり、前記第2圧力状態は、前記フランジを前記対陰極と反対側へ移動させる力であって、前記ケーシングの内部の減圧状態に基づいて前記フランジが前記対陰極側へ引かれる力よりも大きい力を、前記フランジに加える圧力状態であることを特徴とする。
上記構成において、「対陰極支持手段」はケーシングの一部分によって構成されたり、ケーシングに固定された部材によって構成されたりすることが、X線発生装置を小型で簡単な構成とする上で望ましいものである。しかしながら、対陰極支持手段は、ケーシングと別体な(すなわち別々に存在する)部材によって構成しても良い。また、「フランジ」は他の部分よりも側方へ突出する部材、又は他の部分よりも半径方向へ突出する部材のことである。
上記構成の本発明に係るX線発生装置によれば、フランジ圧力調整手段が第1圧力状態にあるときは、フランジが対陰極の在る方向へ真空吸引力によって引っ張られ、フランジに近い側のX線発生帯が陰極に対向する位置に配置される。一方、フランジ圧力調整手段が第2圧力状態にあるときは、フランジを対陰極と反対側へ移動させようとするフランジ圧力調整手段による力がフランジを対陰極方向へ引っ張る真空吸引力に打ち勝ち、フランジが第2当接部材に当接する位置まで移動する。この状態でフランジよりも遠い側のX線発生帯が陰極に対向する位置に配置される。こうして、2つのX線発生帯を空気圧力の調整によって陰極に対向する位置へ選択的に配置することができ、発生させるX線の波長を変化させることができる。
本発明によれば、2つのX線発生帯が移動する構成であって陰極の位置には変化がないので、X線焦点の位置を変化させること無くX線を発生するX線発生帯を変化させることができる。このため、本X線発生装置を用いたX線分析装置において、X線発生装置から発生するX線の波長を変化させたときにX線光学系の光軸の再調整を行う必要が無くなる。しかも、本発明によれば、X線発生帯を移動させるための駆動源が空気圧力であって、モータ等といった電動機器ではないので、複雑な動力伝達系を用いる必要が無くて構成が簡単である。構成が簡単であるが故に、故障の発生を抑制できる。
次に、本発明に係るX線発生装置は、対陰極から延在しフランジが取り付けられた対陰極延在部をさらに有することができる。そしてその場合、対陰極支持手段はケーシングの一部分によって構成され、該ケーシングの一部分は対陰極延在部と摺接して該対陰極延在部を支持することにより前記対陰極を支持することが望ましい。
対陰極延在部は必要に応じて種々の構造を採るものである。例えば、対陰極が回転方式の対陰極である場合は、対陰極を回転駆動する駆動部が収容された本体部分が対陰極延在部となることがある。また、対陰極が回転対陰極でない固定方式の場合にはその対陰極から延び出る何等かの部材が対陰極延在部となることがある。対陰極延在部をケーシングの一部分によって支持することにした本発明態様によれば、対陰極支持手段をケーシング以外の専用の部材によって構成する場合に比べて、X線発生装置を簡単で小型に形成できる。
次に、対陰極支持手段をケーシングの一部分によって構成することにした上記の発明態様においては、ケーシングの他の一部分によって前記第1当接部材を構成することが望ましい。これにより、X線発生装置をさらに一層簡単で小型に形成できる。
次に、本発明に係るX線発生装置において、ケーシングは対陰極を挿入するための開口部を有し、該開口部には当該開口部の中心方向へ向けて突出する突出部材が設けられ、前記第2当接部材は前記突出部材によって構成されることが望ましい。さらに、前記突出部材の内周面は対陰極を支持するための対陰極支持手段を構成することが望ましい。この構成によれば、X線発生装置をさらに一層簡単で小型に形成できる。
次に、本発明に係るX線発生装置においては、フランジから遠い側のX線発生帯が陰極に対向する位置に置かれる第2位置に対陰極が在るとき(すなわちフランジ圧力調整手段の圧力状態が第2圧力状態にあるとき)、フランジを移動不能に固定する固定手段を有することが望ましい。この構成によれば、フランジ圧力調整手段の圧力状態が第2圧力状態でなくなった場合に、フランジすなわち対陰極が第1位置へ自動的に戻ってしまうことを防止できる。
次に、本発明に係るX線発生装置において、前記フランジ圧力調整手段は、前記フランジの前記対陰極側の面に大気圧を付与する手段と、前記フランジの前記対陰極と反対側の面に隣接した領域を減圧状態と大気圧状態とで切り替える第1圧力切替手段とを有することが望ましい。この圧力切替手段は、例えば、減圧ポンプと電磁弁との組み合わせによって構成できる。なお、この発明態様の場合、前記圧力切替手段は、ケーシングの内部の対陰極の周囲を減圧するための減圧手段によって兼用することができる。この構成によれば、X線発生装置の全体の構成を簡単且つ小型に形成でき、しかも減圧手段が1つで済むので、運転経費が安く済み、保守が楽である。
次に、本発明に係るX線発生装置において、前記フランジ圧力調整手段は、前記フランジの前記対陰極と反対側の面に大気圧を付与する手段と、前記フランジの前記対陰極側の面に付与する圧力を大気圧状態と大気圧以上の状態とで切り替える第2圧力切替手段とを有することが望ましい。この構成は、対陰極を第1位置(第1X線発生帯が陰極に対向する位置)から第2位置(第2X線発生帯が陰極に対向する位置)へと移動させることを、フランジの対陰極と反対側の面を減圧状態にすることによって達成するのではなく、フランジの対陰極側の面に押圧力を付与することによって達成するものである。
前述した他の発明態様のように、対陰極を第1位置から第2位置へと移動させることを、フランジの対陰極と反対側の面を減圧状態にすることによって達成することができる。しかしながらこの場合には、フランジの対陰極と反対側の面が接する空間領域は気密な空間でなければならない。これに対し、本発明態様のように、フランジの対陰極側の面に押圧力を付与することによってその対陰極を第1位置から第2位置へと移動させることにすれば、フランジの対陰極と反対側の面が接する空間領域を気密な空間とする必要がなくなるので、構造を簡単にすることができる。
次に、本発明に係る第2のX線発生装置は、電子を発生する陰極と、該陰極に対向して設けられ互いに隣接して並んだ複数のX線発生帯を備えた対陰極と、前記陰極及び前記対陰極を内部に収容したケーシングと、該ケーシングの内部を減圧する減圧手段と、前記対陰極を前記X線発生帯が並んだ方向で移動可能に支持する対陰極支持手段と、前記対陰極と一体に移動するフランジと、前記複数のX線発生帯のうち前記フランジに最も近い側に在るX線発生帯が前記電子と衝突する領域に置かれる位置に前記対陰極があるときに前記フランジの前記対陰極側の面に当接する第1当接部材と、前記フランジの前記対陰極と反対側の面に当接可能な第3当接部材と、前記フランジに加える空気圧力を第1圧力状態と第2圧力状態とで切り替えるフランジ圧力調整手段とを有し、前記第1圧力状態は、前記フランジを前記対陰極と反対側へ移動させる力であって、前記ケーシングの内部の減圧状態に基づいて前記フランジが前記対陰極側へ引かれる力よりも小さい力を、前記フランジに加える圧力状態であり、前記第2圧力状態は、前記フランジを前記対陰極と反対側へ移動させる力であって、前記ケーシングの内部の減圧状態に基づいて前記フランジが前記対陰極側へ引かれる力よりも大きい力を、前記フランジに加える圧力状態であり、前記第3当接部材が前記フランジに当接する位置は、前記複数のX線発生帯のうち前記フランジに最も近い側に在るX線発生帯以外のX線発生帯のそれぞれが前記電子と衝突する領域に置かれるときの前記フランジの各位置に対応して変更可能であることを特徴とする。
前述した第1のX線発生装置は対陰極が2つのX線発生帯を有する構成であった。これに対し本第2X線発生装置は対陰極が複数(すなわち3つ以上)のX線発生帯を有する構成を規定している。この第2のX線発生装置では、第3当接部材がフランジと当接する位置が1つに固定されるのではなく、複数のX線発生帯のそれぞれに対応した複数の位置で変更可能になっている。この結果、フランジが第1当接部材に当接することにより第1X線発生帯が陰極に対向する位置に配置されることは第1のX線発生装置と同じであるが、第3当接部材のフランジに対する当接位置を適宜に変更することにより、複数のX線発生帯のうちの第1X線発生帯以外のX線発生帯を選択して、そのX線発生帯を陰極に対向する位置に配置させることができる。
この第2のX線発生装置によれば、陰極に対して複数のX線発生帯が移動する構成であって陰極の位置には変化がないので、X線焦点の位置を変化させること無くX線を発生するX線発生帯を3つ以上のX線発生帯間で変化させることができる。このため、本X線発生装置を用いたX線分析装置において、X線発生装置から発生するX線の波長を変化させたときにX線光学系の光軸の再調整を行う必要が無くなる。しかも、本発明によれば、X線発生帯を移動させるための駆動源が空気圧力であって、モータ等といった電動機器ではないので、複雑な動力伝達系を用いる必要が無くて構成が簡単である。
次に、本発明に係る第3のX線発生装置は、電子を発生する陰極と、該陰極に対向して設けられ互いに隣接して並んだ2つのX線発生帯を備えた対陰極と、前記陰極及び前記対陰極を内部に収容したケーシングと、該ケーシングの内部を減圧する減圧手段と、該対陰極を当該対陰極を通る軸線を中心として回転させる対陰極回転駆動手段と、該対陰極回転駆動手段を内部に収容すると共に前記対陰極から延在する対陰極ハウジングと、該対陰極ハウジングの外周面に設けられており当該対陰極ハウジングの半径方向に突出するフランジと、前記対陰極ハウジングを該対陰極ハウジングの軸線方向に移動可能に支持する対陰極支持手段と、前記フランジの前記対陰極側への移動を止める第1当接部材と、前記フランジの前記対陰極と反対側への移動を止める第2当接部材と、前記フランジに加える空気圧力を第1圧力状態と第2圧力状態とで切り替えるフランジ圧力調整手段とを有し、前記第1圧力状態は、前記フランジを前記対陰極と反対側へ移動させる力であって、前記ケーシングの内部の減圧状態に基づいて前記フランジが前記対陰極側へ引かれる力よりも小さい力を、前記フランジに加える圧力状態であり、前記第2圧力状態は、前記フランジを前記対陰極と反対側へ移動させる力であって、前記ケーシングの内部の減圧状態に基づいて前記フランジが前記対陰極の在る方向へ引かれる力よりも大きい力を、前記フランジに加える圧力状態であり、前記第1当接部材は、前記2つのX線発生帯のうち前記フランジに近い側に在るX線発生帯が前記電子と衝突する領域に置かれる第1位置に前記対陰極があるときに前記フランジの前記対陰極側の面に当接し、前記第2当接部材は、前記2つのX線発生帯のうち前記フランジから遠い側に在るX線発生帯が前記電子と衝突する領域に置かれる第2位置に前記対陰極があるときに前記フランジの前記対陰極と反対側の面に当接することを特徴とする。
前述した第1のX線発生装置は、対陰極が2つのX線発生帯を有する発明であって、対陰極が回転方式であるか固定方式であるかは特に規定していない発明であった。これに対し、本第3X線発生装置は、対陰極が回転型の対陰極であり、対陰極の回転駆動手段が対陰極ハウジングに収容され、この対陰極ハウジングの外周面にフランジが形成され、そして対陰極上に2つのX線発生帯が設けられる構成を規定している。
この第3のX線発生装置によれば、陰極に対して2つのX線発生帯が移動する構成であって陰極の位置には変化がないので、X線焦点の位置を変化させること無くX線を発生するX線発生帯を変化させることができる。このため、本第3のX線発生装置を用いたX線分析装置において、X線発生装置から発生するX線の波長を変化させたときにX線光学系の光軸の再調整を行う必要が無くなる。しかも、本発明によれば、X線発生帯を移動させるための駆動源が空気圧力であって、モータ等といった電動機器ではないので、複雑な動力伝達系を用いる必要が無くて構成が簡単である。
次に、本発明に係るX線分析装置は、以上に記載した構成のX線発生装置と、該X線発生装置から発生したX線を用いるX線光学系と有することを特徴とする。このようなX線分析装置としては、X線回折装置、蛍光X線装置、X線小角散乱装置等が考えられる。本発明に係るX線分析装置によれば、X線発生装置においてX線焦点の位置を変化させること無くX線を発生するX線発生帯を変化させることができるので、X線発生装置から発生するX線の波長を変化させた場合でも、X線分析装置にけるX線光学系の光軸の再調整を行う必要がない。しかも、本発明に係るX線分析装置で用いるX線発生装置では、X線発生帯を移動させるための駆動源が空気圧力であって、モータ等といった電動機器ではないので、複雑な動力伝達系を用いる必要が無くて構成が簡単である。
本発明に係るX線発生装置及びX線分析装置によれば、陰極に対して2つ又は複数のX線発生帯が移動する構成であって陰極の位置には変化がないので、X線焦点の位置を変化させること無くX線を発生するX線発生帯を変化させることができる。このため、本X線発生装置を用いたX線分析装置において、X線発生装置から発生するX線の波長を変化させたときに、X線光学系の光軸の再調整を行う必要が無い。
しかも、本発明に係るX線発生装置及びX線分析装置よれば、X線発生帯を移動させるための駆動源が空気圧力であって、モータ等といった電動機器ではないので、複雑な動力伝達系を用いる必要が無くて構成が簡単である。構成が簡単であるが故に、故障の発生を抑制できる。
また、X線発生帯を移動させるための駆動源を空気圧力としたので、陰極及び対陰極を収容したケーシングの内部を真空状態に設定するための減圧装置をX線発生帯を移動させるための駆動源として兼用することができ、構成を簡単にすることができる。
(X線分析装置の実施形態及びX線発生装置の第1実施形態)
以下、本発明に係るX線分析装置及びX線発生装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
図1は、本発明に係るX線分析装置の一実施形態であるX線回折装置1の平面構造を示している。図の紙面面内方向が水平方向であり、紙面に垂直方向が上下方向である。このX線回折装置1は、X線発生装置2Aと、ゴニオメータ3とを有する。ゴニオメータ3はθ回転台4と、2θ回転台5と、2θ回転台5から延びる検出器アーム6とを有する。θ回転台4は自身の中心軸線ω(紙面の垂直方向に延びている)を中心として回転可能である。また、2θ回転台5も同じ軸線ωを中心として回転可能である。X線発生装置2Aとゴニオメータ3との間には発散スリット7が設けられている。この発散スリット7は、X線発生装置2Aから出たX線の発散を規制してそれを試料Sへ照射させるスリットである。
θ回転台4の上に試料ホルダ10が取り外し可能に装着されており、その試料ホルダ10に測定対象である試料Sが収容されている。例えば、試料ホルダ10に設けられた凹部内又は貫通開口内に試料Sが詰め込まれている。検出器アーム6の上には、散乱スリット11と、受光スリット12と、X線検出手段としてのX線カウンタ13が設けられている。散乱スリット11は、分析のために不要である散乱線がX線カウンタ13へ入るのを防止するスリットである。受光スリット12は、試料Sから出た2次X線、例えば回折線を通過させて他の不要なX線は阻止するスリットである。X線カウンタ13は位置分解能を持たないカウンタである0次元カウンタ、例えばSC(Scintillation Counter:シンチレーションカウンタ)によって構成されている。
X線発生装置2Aは一定の位置に固定配置されている。このX線発生装置2Aは、通電によって熱電子を放出する陰極であるフィラメント16と、フィラメント16に対向して配置された対陰極としてのターゲット17Aとを有する。フィラメント16から放出された電子はターゲット17Aに高速で衝突する。電子が衝突した領域がX線焦点Fであり、このX線焦点FからX線が発生する。X線焦点Fの平面形状は、例えば1mm×10mmである。ターゲット17Aから発生したX線R1は発散スリット7によって発散角度を規制されて試料Sへ入射する。
θ回転台4はθ回転駆動装置20によって駆動されてω軸線を中心として回転する。この回転は、所定のステップ角度ごとの間欠回転のこともあるし、所定の角速度の連続回転のこともある。θ回転台4のこの回転は、試料SへのX線R1の入射角度θを変化させるための回転であり、一般にはθ回転と呼ばれている。
2θ回転台5は2θ回転駆動装置21によって駆動されてω軸線を中心として回転する。この回転は、一般に2θ回転と呼ばれており、上記のθ回転と同じ方向へ2倍の角速度で行われる間欠回転又は連続回転である。この2θ回転は、入射角度θで試料SへX線が入射したときにその試料Sから2次X線(例えば回折線)R2が発生するときには、その2次X線R2をX線カウンタ13によって受光できるようにするための回転である。
θ回転駆動装置20及び2θ回転駆動装置21は任意の回転駆動装置によって構成される。このような回転駆動装置は、例えば、回転動力源及び動力伝達装置によって構成される。回転動力源は、例えば、回転角度を制御可能なモータ、例えばサーボモータ、ステッピングモータによって構成される。動力伝達装置は、例えば、回転動力源の出力軸に固定されたウオームと、このウオームに噛み合うと共にθ回転台4の中心軸や2θ回転台5の中心軸に固定されたウオームホイールとによって構成される。
θ回転台4及びそれに装着された試料Sがθ回転し、2θ回転台4及びそれに支持されたX線カウンタ13が2θ回転するとき、X線焦点Fは軸線ωを中心とするゴニオメータ円Cg上に固定配置され、受光スリット12のX線集光点はゴニオメータ円Cg上を移動する。また、試料Sのθ回転及びX線カウンタ13の2θ回転の際、X線焦点F、ω軸線、及び受光スリット12のX線集光点は集中円Cf上に存在する。ゴニオメータ円Cgは半径一定の仮想円であり、集中円Cfはθ角度及び2θ角度の変化に従って半径が変化する仮想円である。
以下、上記構成より成るX線回折装置1の動作を説明する。
まず、必要に応じて、X線焦点FからX線カウンタ13に至るX線光路上に存在する各種のX線光額要素をX線光軸上に正確に位置合わせする。すなわち、光軸調整を行う。次に、試料Sに対するX線の入射角度θ及びX線カウンタ13の回折角度2θを所望の初期位置(ゼロ位置)にセットする。
次に、フィラメント16を通電によって加熱して、該フィラメント16から熱電子を発生される。この電子は通常はウエネルト(図示せず)によって加えられる電界によって進行方向を規制された上でターゲット17Aの表面に高速で衝突してX線焦点Fを形成する。そして、X線焦点Fからターゲット17Aの材質に応じた波長のX線が放出される。フィラメント16への通電によって該フィラメント16を流れる電流は一般に管電流と呼ばれている。また、フィラメント16から放出されてターゲット17Aに衝突する電子を加速するために、フィラメント16とターゲット17Aとの間に所定の大きさの電圧が印加される。この電圧は一般に管電圧と呼ばれている。本実施形態では、管電圧及び管電流をそれぞれ40〜60kV及び50〜300mAに設定する。ターゲット材質については後述する。
X線発生装置2Aから放射されて発散するX線R1には、種々の波長のX線を含む連続X線及び特定波長の特性X線が含まれている。これらのX線から所望の特性X線を選択したい場合には、X線発生装置2Aから試料Sへ至るX線光路上に入射側モノクロメータ(いわゆるインシデントモノクロメータ)が設けられる。X線R1は発散スリット7によって発散を規制されて試料Sへ照射される。試料Sがθ回転しX線カウンタ13が2θ回転する間、試料Sへ入射するX線R1が試料S内の結晶格子面に対して所定の回折条件、すなわちブラッグの回折角度を満足する角度状態になると、試料Sから2次回折線、例えば回折線R2が回折角度2θで発生する。この回折線R2は散乱スリット11及び受光スリット12を通過してX線カウンタ13に受光される。X線カウンタ13は受光したX線のカウント数に応じた電気信号を出力し、この出力信号に基づいてX線強度が演算される。
以上のX線強度の演算処理は入射X線角度θ及び回折角度2θの各角度に対して行われ、その結果、回折角度2θの各角度位置におけるX線強度I(2θ)が求められる。横軸に回折角度2θをとり、縦軸にX線強度Iをとった平面座標上に上記のX線強度I(2θ)をプロットすれば周知の回折線図形が求められる。そして、回折線図形上に現れたX線強度ピーク波形の発生角度(2θ)及び発生強度(I)を観察することにより、試料Sの内部構造を分析できる。
以下、X線発生装置2Aについて詳細に説明する。
図2はX線発生装置2Aを詳細に示している。このX線発生装置2Aは、既述のフィラメント16と、既述のターゲット17Aと、そのターゲット17Aを含んだターゲットユニット24と、ケーシング25とを有する。フィラメント16及びターゲット17Aはケーシング25の内部空間内に収容されている。ケーシング25の内部空間は矢印B方向から見て、概ね、軸線X0を中心とする円柱状空間となっている。ターゲットユニット24は、ターゲット17Aから延在する対陰極延在部としての対陰極ハウジング26を有している。対陰極ハウジング26はターゲット17Aを軸線X0を中心として矢印Aのように回転可能に支持している。ターゲット17Aの回転数は、例えば6,000rpmである。ケーシング25及び対陰極ハウジング26は、例えば銅あるいは銅合金によって形成されている。対陰極ハウジング26は矢印B方向から見て円筒形状に形成されている。ケーシング25は矢印B方向から見て円筒形状又は角筒形状に形成されている。
ターゲット17Aは熱伝導率の高い材料(例えばCu(銅))によって図面で横向き状のカップ状に形成された基部材の外周面に、2種類のX線発生帯27A及び27Bを並置して設けることによって形成されている。X線発生帯27A及び27Bはターゲット17Aの中心軸線X0の延びる方向(すなわち軸方向)に並べてリング状(すなわち環状)且つ帯状に設けられている。X線発生帯27A及び27Bは互いに異なる材料によって形成されており、それぞれが、例えばCu、Mo(モリブデン)、Cr(クロム)、Co(コバルト)の中から選択される1つの材料によって形成されている。Mo、Cr、Coの各材料は、例えばイオンプレーティング、メッキ、焼き嵌め、その他適宜の成膜手法によってCu基部材上に形成される。X線焦点Fの大きさが1mm×10mmであれば、各X線発生帯27A,27Bの軸方向の幅は約13mmに設定される。
対陰極ハウジング26は図3に示すように概ね軸線X0を中心とする円筒形状に形成されており、その内部の中心部に細い円筒形状の第1内管30が設けられ、その第1内管30の外側に同軸に第2内管31が設けられている。第1内管30は対陰極ハウジング26の外壁に対して回転不能(すなわち固定状態)に設けられ、第2内管31は対陰極ハウジング26の外壁に対して回転可能に設けられている。第1内管30と第2内管31との間には通水用の隙間が形成されている。第2内管31はターゲット17Aの底部32を構成し、第1内管30はターゲット17Aの内部で仕切部材33を構成している。
対陰極ハウジング26の外壁には半径方向へ突出する円盤状のフランジ35が設けられている。フランジ35のターゲット17A側に隣接して、フランジ35よりも小径で円盤状の内側摺動部36が設けられている。内側摺動部36の外周面が摺動面36aである。フランジ35及び内側摺動部36のそれぞれの先端に気密用のシール材であるO(オー)リング37a,37bが設けられている。フランジ35に関してターゲット17Aと反対側の対陰極ハウジング26の外壁の適所にもOリング37cが設けられている。
対陰極ハウジング26の側壁と第2内管31との間の空間内に、ターゲット17A側から順に、磁気シール装置38、軸受39、ダイレクトドライブ機構40、軸受41、そして漏水防止用のシール材42が設けられている。磁気シール装置38は、回転軸である第2内管31上に設けられた軸封装置であって、当該磁気シール装置38を境として回転軸に沿った一方領域と他方領域との圧力差を維持すると共にそれらの領域の一方を汚れのない雰囲気に維持するための周知のシール装置である。この磁気シール装置は、通常、回転軸とそれに対向するポールピースとの間に磁気閉回路を形成することにより、回転軸とポールピースとの間に磁性流体膜を磁力によって形成し、この磁性流体膜によって圧力差を維持するものである。
第2内管31は一対の軸受39,41によって軸線X0を中心として回転可能に支持されている。ダイレクトドライブ機構40は、第2内管31の外周面に設けられた透磁性部材から成るロータ44と、対陰極ハウジング26の側壁の内面に固定されていてロータ44の周囲に配置されたステータコイル45とを有する。図示しないモータ駆動制御回路によってステータコイル45にモータ駆動電流を通電することにより該ステータコイル45に回転磁界を形成する。形成されたこの回転磁界によってロータ44に回転駆動力を発生させることにより、第2内管31を軸線X0を中心として回転させる。
第2内管31が軸回転するときに、それと一体であるターゲット17Aが軸回転する。ターゲット17Aのこの軸回転によりターゲット17Aが冷却される。一方、対陰極ハウジング26の後端(図の左端)に設けた給水ポート46に水を供給する。この水は第1内管30と第2内管31との間の円筒状の空間内を流れてターゲット17Aの内部へ流入し、仕切部材33に沿って進むことによりターゲット17Aを内側から冷却する。その後、水は第1内管30の内部へ回収され、さらに第1内管30の内部を流れて対陰極ハウジング26の左端部の排水ポート47を通して外部へ排出される。ターゲット17Aを軸線X0を中心として回転させること、及びターゲット17Aの内面に冷却水を流すことの両方によってターゲット17Aを冷却するのは、X線発生帯27A又はX線発生帯27Bに熱電子を高速で衝突させたときにターゲット17Aが許容限度以上に高温になることを防止してターゲット17Aを保護するためである。
図2において、ケーシング25の左端面の中央部分は開口、例えばB方向矢視で円形の開口となっており、その開口を通してターゲットユニット24の先端部がケーシング25の内部へ挿入されている。ケーシング25の内部には、中心(すなわち軸線X0)へ向けて張り出す部分であるケーシングフランジ49が設けられている。このケーシングフランジ49の端部(図の左端部)は段差部となっている。ケーシングフランジ49の段差部よりも開口側のケーシング25の内部空間は、B方向矢視で円板状又は円筒状の空間となっている。この空間の直径はターゲットユニット24のフランジ35よりもわずかに大きい径となっており、ターゲットフランジ35の外周面はケーシング25の開口部分の内周面に対して摺動可能(すなわち摺れ移動可能又は滑り移動可能)となっている。ターゲットフランジ35とケーシング25との間は、ターゲットフランジ35の外周に装着したOリング37aによって気密に保持されている。
ケーシングフランジ49によって形成される内部空間は、フィラメント16が収容される空間を除いて、B方向矢視で円筒状の空間となっている。ケーシングフランジ49の内周面はターゲットユニット24の内側摺動部36の径よりもわずかに大きい径になっており、内側摺動部36はケーシングフランジ49に対して摺動可能となっている。内側摺動部36とケーシングフランジ49との間は、内側摺動部36の外周に装着したOリング37bによって気密に保持されている。ケーシングフランジ49の一部(図の下部)には半径方向へ延出する空間が設けられ、その空間内にフィラメント16が収容されている。
ケーシング25の左端開口にB方向矢視でリング状(すなわち環状)の突出部材50が設けられている。この突出部材50はケーシング25の左端開口において当該開口の中心(すなわち軸線X0)へ向かう半径方向に突出している。この突出部材50はリング部材をネジその他の固着手段によってケーシング25の左端面に固着することによって設けられている。突出部材50とケーシング25との間はOリング51によって気密となっている。
突出部材50の適所(図2では突出部材50の下部)にネジ52がネジ嵌合している。そして、ネジ52に対応するフランジ35に雌ネジ53が設けられている。ネジ52の周囲はシール材であるOリング63によって気密にシールされている。ネジ52及び雌ネジ53は協働して、フランジ35を位置不動に固定するための固定手段を構成している。
ケーシングフランジ49の先端内壁部は、対陰極ハウジング26の内側摺動部36の外周面である摺動面36aに摺接している。また、突出部材50の内周面は対陰極ハウジング26の外側摺動部43の外周面に摺接している。ここで、摺接とは、摺れる状態で接触していること、又は滑り移動可能な状態で接触していることである。以上の摺接構造により、ターゲットユニット24は、ケーシングフランジ49及び突出部材50の両方によって軸方向移動可能に支持されている。ケーシングフランジ49と対陰極ハウジング26との間はOリング37bによって気密となっている。突出部材50と対陰極ハウジング26との間はOリング37cによって気密となっている。
ケーシングフランジ49の先端の段差部は、ターゲットフランジ35のターゲット17A側の面が当接する第1当接部材を構成している。突出部材50のケーシング側の壁面は、ターゲットフランジ35のターゲット17Aと反対側の面が当接する第2当接部材を構成している。
ケーシングフランジ49と対陰極ハウジング26の内側摺動部36とが気密に摺接することにより、ターゲット17A及びフィラメント16が収容されたケーシング25の内部空間が気密に保持されている。ターゲット17Aの側方のケーシング25の一部分にはターゲット17Aから発生するX線を外部へ取り出すためのX線窓28が設けられている。このX線窓28は真空状態と大気圧状態との間で気圧差を維持できるだけの機械的強度を有し、さらにX線を通過させることができる材料、例えばBe(ベリリウム)によって形成されている。通常、X線窓28から取り出されるX線の取出し角αはα=6°である。
本実施形態では、ターゲット17Aを軸線X0の延びる方向へ移動可能に支持する対陰極支持手段が、ケーシングフランジ49及び突出部材50の両方によって構成されている。しかしながら、ケーシングフランジ49の内周面又は突出部材50の内周面のいずれか一方を対陰極ハウジング26の外周面から半径方向へ離して設けることにより、ケーシングフランジ49及び突出部材50のいずれか一方だけによってターゲットユニット24を平行移動可能に支持しても良い。
ターゲットユニット24は、ターゲットフランジ35の右側面(すなわちターゲット17A側の面)がケーシングフランジ49の先端段差部に当接する第1位置と、ターゲットフランジ35の左側面(すなわちターゲット17Aと反対側の面)が突出部材50の右側面(すなわちターゲット17A側の面)に当接する第2位置との間で、軸線X0に沿った方向へ平行移動できる。図2はターゲットユニット24が第1位置に在る状態を示している。図4はターゲットユニット24が第2位置に在る状態を示している。ターゲットユニット24が図2に示す第1位置にあるとき、フィラメント16は第1X線発生帯27A上にX線焦点Fを形成する。一方、ターゲットユニット24が図4に示す第2位置にあるとき、フィラメント16は第2X線発生帯27B上にX線焦点Fを形成する。
図2において、ケーシング25の内部空間に連通して配管54が設けられている。そして、その配管54上にターボ分子ポンプ55及びロータリーポンプ56が設けられている。ロータリーポンプ56はケーシング25の内部を比較的高い気圧まで粗く減圧する減圧ポンプである。ターボ分子ポンプ55は、ロータリーポンプ56によってある程度まで減圧された雰囲気をさらに真空状態に近い状態に向けて減圧する減圧ポンプである。このターボ分子ポンプ55の働きにより、ターゲット17A及びフィラメント16の周囲を略真空状態である10−3Pa以下まで高精度に減圧できる。なお、ケーシング25の内部を略真空状態に減圧できるのであれば、ターボ分子ポンプ以外の高真空用ポンプとロータリーポンプ56以外の補助ポンプとの組合せでもかまわない。
ケーシングフランジ49が設けられた部分のケーシング25の壁中に通気穴57が設けられている。この通気穴57は本実施形態では断面が円形の穴であるが、この通気穴57は大気に通じてさえいれば形状を問わない開口部とすることができる。通気穴57の一方の端部はケーシングフランジ49のターゲットフランジ35との当接部(すなわち段差部)に開口し、他の端部がケーシング25の外周面に開口して大気圧に通じている。
ケーシング25の左端面に固着されたリング状の突出部材50に圧力切替装置58が付設されている。この圧力切替装置58は、突出部材50の適所に接続された配管59と、1つのポートがその配管59に接続された3ポート電磁弁60と、3ポート電磁弁60の他の1つのポートに接続されたロータリーポンプ61とを有する。3ポート電磁弁60の残りの1つのポートは大気圧に通じている。
電磁弁60、ターボ分子ポンプ55、及びロータリーポンプ56,61の各要素の動作は制御装置62Aによって制御される。制御装置62Aは図1のX線回折装置1の全体を制御するコンピュータによって構成しても良いし、そのコンピュータとは別の独立したコンピュータによって構成しても良いし、コンピュータを含まない適宜のシーケンス回路であっても良い。
X線発生装置2A内のターゲット17AからX線を発生させる際、ターゲット17A周辺のケーシング25の内部は、ロータリーポンプ56及びターボ分子ポンプ55によって略真空状態に減圧される。この真空状態下でターゲットユニット24の全体は真空吸引力によってターゲット17A方向(図の右方向)へ引っ張られる。
圧力切替装置58内の電磁弁60は、例えば入力電圧がOFF状態のときに配管59を大気圧につなげる。このとき、ターゲットユニット24のフランジ35をターゲット17Aと反対側へ引っ張る力は作用しないので、ターゲットユニット24のフランジ35をターゲット17Aと反対側へ引っ張る力は、真空吸引力によってフランジ35がターゲット17A側へ引っ張られる力よりも小さいことになる。その結果、フランジ35は真空吸引力によって引っ張られてターゲット17A方向へ移動して、フランジ35の右側面が第1当接部材としてのケーシングフランジ49の段差部に当接した状態で静止している。
この状態におけるターゲットユニット24及びフランジ35の位置を第1位置ということにする。フランジ35が第1位置にあるとき、ターゲット17A上のフランジ35側の第1X線発生帯27Aがフィラメント16に対向する位置にある。そのため、フィラメント16から電子が放出されたときにはX線発生帯27AからX線が発生し、そのX線がX線窓28から外部へ取り出される。X線発生帯27AがCuによって形成されていれば、Cuに対応する波長のX線がX線発生装置2Aから発生する。
電磁弁60は、例えば入力電圧がON状態のときに配管59をロータリーポンプ61につなげる。これにより、フランジ35の左側の空間領域内がロータリーポンプ61によって減圧される。このときにフランジ35をターゲット17Aと反対側へ移動させようとする空気吸引力はフランジ35の面積に応じて変化する。本実施形態では、フランジ35をターゲット17Aと反対側へ移動させようとする力が、真空吸引力によってフランジ35をターゲット17A方向へ引っ張る力よりも大きくなるように、フランジ35の面積を設定している。従って、電磁弁60がON状態となってフランジ35の左側がロータリーポンプ61によって減圧されると、ターゲットユニット24の全体を左方向へ引っ張る力が右方向へ引っ張る力よりも大きくなり、ターゲットユニット24が左方向へ移動し、図4に示すように、フランジ35の左側面が第2当接部材としての突出部材50に当接して静止する。
この状態におけるターゲットユニット24及びフランジ35の位置を第2位置ということにする。フランジ35が第2位置にあるとき、ターゲット17A上のフランジ35から遠い側のX線発生帯27Bがフィラメント16に対向する位置にある。そのため、フィラメント16から電子が放出されたときにはX線発生帯27BからX線が発生し、そのX線がX線窓28から外部へ取り出される。X線発生帯27BがMoによって形成されていれば、Moに対応する波長のX線がX線発生装置2Aから発生する。
以上のように、図2において圧力切替装置58をOFF状態にすれば第1X線発生帯27Aに対応した波長のX線をX線発生装置2Aから発生させることができ、他方、圧力切替装置58をON状態にすれば(図4参照)第2X線発生帯27Bに対応した波長のX線をX線発生装置2Aから発生させることができる。発生させるX線の種類をこのように切り替えたときでも、フィラメント16の位置に変化はないので、X線焦点Fにも位置的な変化は生じない。そのため、図1においてX線発生装置2Aから発生させるX線の種類を変化させた場合でも、X線光学系におけるX線焦点Fの位置は変化することがなく、従って、発散スリット7、ゴニオメータ3等といったX線光学系内の各要素の位置を再調整する必要がなく、非常に有利である。
なお、圧力切替装置58をON状態にしてターゲット17Aを図4に示す第2位置に配置したとき、その第2位置を維持するために圧力切替装置58をON状態のままにしておくことは電力を無駄に消費するおそれがある。このことを解消するため、ターゲット17A及びフランジ35が第2位置に配置された後、固定用のネジ52をケーシング25側へ締め付けることにより、フランジ35を突出部材50の右側面に固定することが望ましい。こうすれば、圧力切替装置58をOFF状態に切り替えてもターゲット17Aを第2位置に配置し続けることができ、経費を節減できる。なお、固定方法はネジによる固定方法に限られず、必要に応じて適宜の方法を採用できる。
さらに、本実施形態では、ターゲットユニット24を第1位置(図2)と第2位置(図4)とで移動させることを空気圧に基づいて行っているので、モータ等といった電動機器を動力源とし、さらに複雑な動力伝達系を用いる場合に比べて、その移動のための構造が簡単で、しかも安定していて故障の発生もない。
ターゲットユニット24の全体をターゲット室内の真空状態に打ち勝って第1位置(図2)から第2位置(図4)へ移動させるために必要となるターゲットフランジ35の面積、特にターゲットフランジ35のターゲット17Aと反対側の面であって圧力切替装置58による圧力を受ける面の面積は、内側摺動部36の直径を100mmとした場合、各Oリング37a,37b,37cの摺動による摩擦抵抗を無視すると、ロータリーポンプ61によって減圧された状態で7,850mm以上である。この面積は、望ましくは、ロータリーポンプ61によって減圧された状態が1,000Pa以下のときに、8,000mm以上であること、より望ましくは10,000mm以上である。
以下、ターゲットユニット24を第1位置(図2)及び第2位置(図4)のそれぞれへ移動させる際の空気圧力による駆動力に関して、図5を用いて説明する。図5(a)及び図5(b)はターゲットユニット24が、それぞれ、第2位置(図4参照)及び第1位置(図2参照)にある場合の空気力の関係を示している。
まず、図5(a)に示す第2位置(真空領域と反対側へ移動した位置)の状態において、力F1はターゲット側の真空によって引かれる力を示し、力F2は外側の減圧によって引かれる力を示している。力F2はリング状のターゲットフランジ35の全体に作用する総力として示してあり、カッコ書きの力F2は理解を容易にするために参考として記載してある。
ターゲットユニット24の全体がターゲット17A側へ引かれる力F1は、内側摺動部36の直径をdとしたとき、その全体の面積π(d/2)に比例する。一方、ターゲットユニット24の全体が外側の減圧によってケーシング25の外側(図の左側)へ引かれる力F2は、ターゲットフランジ35の直径d及び対陰極ハウジング26の外側摺動部の直径dに密接に関係しており、具体的には、
π(d/2)−π(d/2)
に比例する。つまり、図5(a)の第2位置を保持するためには、
π(d/2)−π(d/2)>π(d/2)
の関係式を満たす必要がある。
次に、図5(b)に示す第1位置(真空領域側へ移動した位置)の状態において、ターゲットユニット24の全体にはターゲット17A側へ引かれる力F1のみが関係している。その他の部分は大気(1気圧)であるので、力F2は発生しない。内側摺動部36の直径をd1とすると、ターゲットユニット24を真空側へ引く力F1は内側摺動部36の全体の面積π(d/2)に比例する。力F1以外にターゲットユニット24を引く力は無いので、ターゲットユニット24は第1位置に保持される。
ターゲットユニット24の内側摺動部36の外径dが100mmであり、対陰極ハウジング26の外側摺動部43の直径dが80mmのとき、
π(d/2)−π(d/2)>π(d/2)
を満足するターゲットフランジ35の直径dは、128.1mm以上であるが、各Oリング37a,37b,37cの摺動時の摩擦抵抗を考慮すると、ターゲットユニット24の内側摺動部36の外径が100mmで、外側摺動部43の直径を80mmとしたとき、ターゲットフランジ35の外径は140mm以上であることが望ましい。
(変形例)
図6は以上に説明した第1実施形態の変形例を示している。この変形例に係るX線発生装置2Bおいて図2と同じ符号は同じ部材を示しており、それらの部材の説明は省略することにする。本X線発生装置2Bが図2のX線発生装置2Aと異なる点は、図2において圧力切替装置58を構成しているロータリーポンプ61を取り除いて、その代わりにケーシング25の内部を減圧するためのロータリーポンプ56を兼用して圧力切替装置58を構成したことである。制御装置62Cは、3ポート電磁弁60、ターボ分子ポンプ55、及びロータリーポンプ56の各動作を制御する。
図9は他の変形例を示している。この変形例に係るX線発生装置2Eおいて図2と同じ符号は同じ部材を示しており、それらの部材の説明は省略することにする。本X線発生装置2Eが図2のX線発生装置2Aと異なる点は、ケーシングフランジ49の形状に改変を加えたことである。具体的には、図2に示した実施形態では、ケーシングフランジ49がケーシング25の内部の全面に棚状に設けられていてが、図9に示す本実施形態では、ケーシングフランジ49がターゲットフランジ35とターゲット17Aとの間に部分的なリング状の突出部として設けられている。この実施形態によれば、ケーシング25の内部においてターゲット17Aの周囲に、図2の場合よりも広い空間が形成されている。
(X線発生装置の第2実施形態)
図7は、本発明に係るX線発生装置の第2の実施形態を示している。図7において図2と同じ符号は同じ部材を示しており、それらの部材についての説明は省略する。本実施形態に係るX線発生装置2Cにおいて、ケーシングフランジ49の先端内壁部及び突出部材70の軸中心側内壁部が、ターゲットユニット24を軸線X0方向へ平行移動可能に支持する対陰極支持手段として作用する。ケーシングフランジ49の先端段差部が、フランジ35のターゲット17A側の面に当接する第1当接部材として作用する。そして、突出部材70のターゲット側内壁部が、フランジ35のターゲット17Aと反対側の面に当接する第2当接部材として作用する。
図2に示した第1の実施形態に係るX線発生装置2Aでは、ターゲットユニット24のフランジ35のターゲット17A側の面に対して通気穴57を設け、そのフランジ35のターゲット17Aと反対側の面に対して圧力切替装置58を設けた。そして、フランジ35のターゲット17Aと反対側の面に接する空間領域は、ケーシング25の左端面に固着されたリング状の突出部材50によって気密な空間とされていた。
これに対して図7に示す第2のX線発生装置2Cでは、ターゲットフランジ35のターゲット17A側の面に対して設けられた通気穴57の大気側の開口に圧力切替装置65が設けられている。そして、対陰極支持手段及び第2当接部材として機能する突出部材70は、ケーシング25の左端面に固着されているが、図2に示したリング状突出部材50とは異なる構成となっている。突出部材70は、矢印B方向から見てリング状(環状)であっても良いし、矢印B方向から見て複数のブロック状の突出部材70が適宜の角度間隔で間欠的に設けられていても良い。本実施形態では、矢印B方向から見て4つの突出部材70が90°の等配間隔で設けられているものとする。
図2においてターゲットフランジ35と突出部材50との間の空間領域は気密に保持されていた。これに対し図7に示す本実施形態では、ブロック状の突出部材70がケーシング25の左端面に間隔をおいて固着されているので、ターゲットフランジ35と突出部材70との間の空間領域は気密ではなく大気に通じている。また、突出部材70とケーシング25との間及び突出部材70と対陰極ハウジング26との間にシール材、例えばOリングは設けられていない。
圧力切替装置65は3ポート電磁弁60を有し、この電磁弁60の1つのポートに通気穴57が接続している。また、電磁弁60の他の1つのポートに加圧ポンプ66が接続され、さらに電磁弁60の残りの1つのポートが大気に接続している。電磁弁60、加圧ポンプ66、ターボ分子ポンプ55、及びロータリーポンプ56の各動作は制御装置62Bによって制御される。制御装置62Bは図1のX線回折装置1の全体を制御するコンピュータによって構成しても良いし、そのコンピュータとは別の独立したコンピュータによって構成しても良いし、コンピュータを含まない適宜のシーケンス回路であっても良い。
本実施形態においても、ターゲット17A及びフィラメント16が設けられたケーシング25の内部空間はロータリーポンプ56及びターボ分子ポンプ55によって高精度な真空状態に設定されている。圧力切替装置65は、通気穴57が電磁弁60によって大気に通じる第1圧力状態と、通気穴57が電磁弁60によって加圧ポンプ66に通じる第2圧力状態との2つの圧力状態を選択的に実現する。図7は通気穴57が大気に通じている第1圧力状態を示している。この第1圧力状態においてはフランジ35のターゲット17A側の面及びその反対側の面の両面に大気圧が加わっている。そして、ターゲットユニット24はターゲット25の内部の真空状態によって吸引され、フランジ35のターゲット17A側の面が第1当接部材であるケーシングフランジ49の先端段差部に当接した状態で静止している。この状態でターゲット17A上の第1X線発生帯27Aがフィラメント16に対向する位置に配置され、第1X線発生帯27Aからその材質(例えばCu)に対応した波長のX線が発生する。
圧力切替装置65の圧力状態が第2圧力状態に切り替わると、通気穴57が電磁弁60によって加圧ポンプ66に通じる状態となる。この状態で、加圧ポンプ66は所定の圧力をターゲットフランジ35のターゲット17A側の面に供給し、ターゲットフランジ35に当該フランジ35がターゲット17Aと反対側(図7の左側)に移動しようとする力が加えられる。この力は、フランジ35の面積に応じて変化するものであるが、本実施形態では、加圧ポンプ66からの圧力がターゲットフランジ35に加わったときに、そのフランジ35が真空によってターゲット17A側(図7の右側)に引かれる力よりも大きい力がフランジ35の左側にかかるようにフランジ35の半径方向の大きさ(面積)を設定している。従って、圧力切替装置65の圧力状態が第2圧力状態に切り替わると、フランジ35は、ケーシング25の内部の真空吸引力に打ち勝って図7の左方向へ移動して、当該フランジ35のターゲット17Aと反対側の面が第2当接部材としての突出部材70のターゲット側内壁部に当接した状態で静止する。この状態でターゲット17A上の第2X線発生帯27Bがフィラメント16に対向する位置に配置され(図4参照)、第2X線発生帯27Bからその材質(例えばMo)に対応した波長のX線が発生する。
以上のように、図7において、圧力切替装置65を第1圧力状態(大気連通状態)にすれば第1X線発生帯27Aに対応した波長のX線をX線発生装置2Cから発生させることができ、他方、圧力気体供給装置65を第2圧力状態(圧力供給状態)にすれば第2X線発生帯27Bに対応した波長のX線をX線発生装置2Cから発生させることができる。発生させるX線の種類をこのように切り替えたときでも、フィラメント16の位置に変化はないので、X線焦点Fにも位置的な変化は生じない。そのため、図1においてX線発生装置2Cから発生させるX線の種類を変化させた場合でも、X線光学系におけるX線焦点Fの位置は変化することがなく、従って、発散スリット7、ゴニオメータ3等といったX線光学系内の各要素の位置を再調整する必要がなく、非常に有利である。
さらに、本実施形態でも、ターゲットユニット24を第1位置(図7)と第2位置(図4参照)とで移動させることを空気圧に基づいて行っているので、モータ等といった電動機器を動力源とし、さらに複雑な動力伝達系を用いる場合に比べて、その移動のための構造が簡単で、しかも安定していて故障の発生もない。
さらに、本実施形態では、突出部材70をケーシング25に対して気密構造にしなくて良いので、図2に示した突出部材50に対して施したような気密構造を施す必要が無く、X線発生装置全体の構造をさらに簡単に且つ故障し難い構造にすることができる。
(X線発生装置の第3実施形態)
図8は、本発明に係るX線発生装置の第3の実施形態を示している。図8において図2と同じ符号は同じ部材を示しており、それらの部材についての説明は省略する。本実施形態に係るX線発生装置2Dが図2に示した実施形態と異なる点は、ターゲット17Bが4個のX線発生帯27A、27B、27C、27Dを有していること、及びリング状の突出部材50の適所(図8では下部に示す位置)に第3当接部材としての止めボルト72を設けたことである。
第1X線発生帯27A、第2X線発生帯27B、第3X線発生帯27C、及び第4X線発生帯27Dは、それぞれ、例えばCu、Mo、Cr、Coによって形成されている。なお、X線発生帯の数は4個に限られず必要に応じて3個以上の所望の数とすることができる。止めボルト72は突出部材50に設けた雌ネジに嵌合しており、頭部を軸中心に正時計方向又は反時計方向に回転させることにより、その先端当接面(図8の右端面)がフランジ35に近づく方向又はフランジ35から遠ざかる方向へ移動する。止めボルト72の周囲はシール材であるOリング73によって気密に保持されている。
圧力切替装置58内の電磁弁60は、入力電圧がOFF状態のときに配管59を大気圧につなげる。このとき、ターゲットユニット24のフランジ35をターゲット17Bと反対側へ引っ張る力は作用しないので、ターゲットユニット24のフランジ35をターゲット17Bと反対側へ引っ張る力は真空吸引力によってフランジ35がターゲット17B側へ引っ張られる力よりも小さいことになる。その結果、フランジ35は真空吸引力によって引っ張られてターゲット17B方向へ移動して、フランジ35の右側面が第1当接部材としてのケーシングフランジ49の先端段差部に当接した状態で静止する。
この状態におけるターゲットユニット24及びフランジ35の位置を第1位置ということにする。ターゲットフランジ35が第1位置にあるとき、ターゲット17B上のターゲットフランジ35側の第1X線発生帯27Aがフィラメント16に対向する位置にある。そのため、フィラメント16から電子が放出されたときにはX線発生帯27AからX線が発生し、そのX線がX線窓28から外部へ取り出される。X線発生帯27AがCuによって形成されていれば、Cuに対応する波長のX線がX線発生装置2Dから発生する。
次に、電磁弁60は、入力電圧がON状態のときに配管59をロータリーポンプ61につなげる。これにより、フランジ35の左側の空間領域内がロータリーポンプ61によって減圧される。このときにターゲットフランジ35をターゲット17Bと反対側へ移動させようとする空気吸引力はターゲットフランジ35の面積に応じて変化する。本実施形態では、ターゲットフランジ35をターゲット17Bと反対側へ移動させようとする力が、真空吸引力によってターゲットフランジ35をターゲット17B方向へ引っ張る力よりも大きくなるように、ターゲットフランジ35の面積を設定している。従って、電磁弁60がON状態となってターゲットフランジ35の左側がロータリーポンプ61によって減圧されると、ターゲットユニット24の全体を左方向へ引っ張る力が右方向へ引っ張る力よりも大きくなり、ターゲットユニット24が左方向へ移動する。移動するターゲットユニット24は、ターゲットフランジ35の左側面が第3当接部材としての止めボルト72の先端当接面に当接して静止する。
ターゲットフランジ35の右側面が第1当接部材としてのケーシングフランジ49の先端段差部に当接しているときに止めボルト72の先端当接面が、そのフランジ35の左側面に対してX線発生帯27A〜27Dの1つ分の幅だけ離間していれば、ロータリーポンプ61による減圧によって左方向へ移動するターゲットフランジ35が止めボルト72の先端当接面に当接して静止したとき、ターゲット17Bの第2X線発生帯27Bがフィラメント16に対向する位置に配置される。この位置を第2位置ということにする。第2X線発生帯27BがMoによって形成されていれば、Moに対応する波長のX線がX線発生装置2Dから発生する。
他方、ターゲットフランジ35の右側面が第1当接部材としてのケーシングフランジ49の先端段差部に当接しているときに止めボルト72の先端当接面が、ターゲットフランジ35の左側面に対してX線発生帯27A〜27Dの2つ分又は3つ分の幅だけ離間していれば、それぞれの場合、ロータリーポンプ61による減圧によって左方向へ移動するターゲットフランジ35が止めボルト72の先端当接面に当接して静止したとき、ターゲット17Bの第3X線発生帯27C又は第4X線発生帯27Dがフィラメント16に対向する位置に配置される。第3X線発生帯27Cがフィラメント16に対向する位置を第3位置といい、第4X線発生帯27Dがフィラメント16に対向する位置を第4位置ということにする。第3X線発生帯27CがCrによって形成されていれば、Crに対応する波長のX線がX線発生装置2Dから発生し、第4X線発生帯27DがCoによって形成されていれば、Coに対応する波長のX線がX線発生装置2Dから発生する。
以上のように、本実施形態によれば、圧力切替装置58のON/OFF制御、及び止めボルト72の先端当接面の位置調整により、第1X線発生帯27Aがフィラメント16に対向する第1位置、第2X線発生帯27Bがフィラメント16に対向する第2位置、第3X線発生帯27Cがフィラメント16に対向する第3位置、又は第4X線発生帯27Dがフィラメント16に対向する第4位置のいずれか所望の位置に対陰極17Bを配置させることができる。そして、各位置において異なる波長のX線を発生させることができる。4種類の波長のX線を発生できるので、多様なX線分析を行うことができる。もちろん、X線発生帯の数を4つ以上とすれば、さらに多様なX線分析を行うことができる。なお、第3当接部材の具体的な構造は図示の止めボルト72に限定されるものではない。
発生させるX線の種類を上記のように変更した場合でも、フィラメント16の位置は変化しないので、X線焦点Fの位置にも変化は生じない。そのため、図1においてX線発生装置2Dから発生させるX線の種類を変化させた場合でも、X線光学系におけるX線焦点Fの位置は変化することがなく、従って、発散スリット7、ゴニオメータ3等といったX線光学系内の各要素の位置を再調整する必要がなく、非常に有利である。
さらに、本実施形態では、ターゲットユニット24を第1位置〜第4位置の間で移動させることを空気圧に基づいて行っているので、モータ等といった電動機器を動力源とし、さらに複雑な動力伝達系を用いる場合に比べて、その移動のための構造が簡単で、しかも安定していて故障の発生もない。
(X線発生装置の第4実施形態)
図10は、本発明に係るX線発生装置の第4の実施形態を示している。図10において図2と同じ符号は同じ部材を示しており、それらの部材についての説明は省略する。本実施形態に係るX線発生装置2Fが図2に示した実施形態と異なる点は次の通りである。
(1)図2の実施形態ではケーシング25の内部に形成したケーシングフランジ49の先端段差部をターゲットフランジ35のための第1当接部材として用いた。これに対し、図10に示す本実施形態では、ケーシング25のケーシング壁25aをフィラメント16の格納部分以外の一部分(図10の上端部分)で薄く形成し、その薄くしたケーシング壁25aの先端端面部分をターゲットフランジ35のための第1当接部材として用いている。つまり、ケーシング25の側壁それ自体を第1当接部材として用いている。
(2)図2の実施形態ではケーシング25の開口側先端部によってターゲットフランジ35の外周面を摺動可能に支持した。これに対し、図10に示す本実施形態では、ケーシング25の一部分(図10の下部)にボルト74によって突出部材50を取り付け、その突出部材50の側壁部分によってターゲットフランジ35の外周面を摺動可能に支持している。
(3)図2の実施形態ではケーシング25に通気穴57を設け、この通気穴57の一端をケーシングフランジ49の先端段差部の所でターゲットフランジ35に向かって開口させていた。これに対し、図10に示す本実施形態では、ケーシング25の側壁25aをフィラメント16の格納部分以外の一部分(図10の上端部分)で薄く形成することにより、ケーシング25の側壁25aの外周面と突出部材50の側壁部分の内周面との間に開口部(すなわち隙間)を形成し、この開口部を介してターゲットフランジ35に大気圧を付与している。
以上の構成から成るX線発生装置2Fによれば、圧力切替装置58のON/OFF制御により、ターゲットフランジ35を、第1当接部材としてのケーシング壁25aの先端端面部分に当接する位置と、第2当接部材としての突出部材50のターゲット側内壁部に当接する位置との間で平行移動させることができる。そして、この平行移動により、フィラメント16に対向するX線発生帯27A、27Bを切り替えることができ、発生するX線の波長を切り替えることができる。
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
以上の実施形態では対陰極として回転型のターゲット17A(図2)、17B(図8)を採用した。本発明では、そのような回転型のターゲットに代えて固定型のターゲットを用いることも可能である。回転型のターゲットを用いた場合には、図3に示したように、ターゲット17Aから延在していてフランジ35が取り付けられる対陰極延在部を、回転駆動装置であるダイレクトドライブ機構40を収容した対陰極ハウジング26によって構成した。固定型のターゲットを用いる場合には、回転駆動装置が不要であるので、対陰極延在部は何等かの形でターゲットから延在する部分によって構成される。
図2に示した実施形態では、ケーシング25の内部に形成したケーシングフランジ49及びケーシング25の左端面に固着されたリング状の突出部材50の両方によって、ターゲット17Aを軸線X0方向へ平行移動可能に支持する対陰極支持手段を構成した。しかしながら、対陰極支持手段はケーシングフランジ49又は突出部材50のいずれか一方だけによって形成しても良い。また、対陰極支持手段はケーシングフランジ49及び突出部材50以外の他の適宜の部材又は構造物によって構成しても良い。
図2に示した実施形態では、ターゲットフランジ35のターゲット17A側の面に当接する第1当接部材をケーシングフランジ49の先端段差部によって構成した。しかしながら、第1当接部材はケーシングフランジ49以外の任意の部材によって構成できる。また、ターゲットフランジ35のターゲット17Aと反対側の面に当接する第2当接部材を突出部材50のターゲット側内壁部によって構成した。しかしながら、第2当接部材は突出部材50以外の任意の部材によって構成できる。
本発明に係るX線分析装置の一実施形態であるX線回折装置の平面図である。 本発明に係るX線発生装置の一実施形態を示す平面図である。 図2のX線発生装置で用いる対陰極の一実施形態を示す平面断面図である。 図2に示すX線発生装置の図2の場合とは異なる動作時点の状態を示す断面図である。 ターゲットユニットを駆動する空気力を説明するための図である。 本発明に係るX線発生装置の他の実施形態を示す断面図である。 本発明に係るX線発生装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。 本発明に係るX線発生装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。 本発明に係るX線発生装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。 本発明に係るX線発生装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1.X線回折装置(X線分析装置)、
2A,2B,2C,2D,2E,2F.X線発生装置、
3.ゴニオメータ、 4.θ回転台、 5.2θ回転台、 6.検出器アーム、
7.発散スリット、 10.試料ホルダ、 11.散乱スリット、
12.受光スリット、 13.X線カウンタ(X線検出手段)、
16.フィラメント(陰極)、 17A,17B.ターゲット(対陰極)、
20.θ回転駆動装置、 21.2θ回転駆動装置、 24.ターゲットユニット、
25.ケーシング、 26.対陰極ハウジング(対陰極延在部)、
27A,27B,27C,27D.X線発生帯、 28.X線窓、 30.第1内管、
31.第2内管、 32.ターゲット底部、 33.仕切部材、
35.ターゲットフランジ、 36.内側摺動部、 36a.摺動面、
37a,37b,37c.Oリング、 38.磁気シール装置、 39,41.軸受、
40.ダイレクトドライブ機構、 42.シール材、 43.外側摺動部、
44.ロータ、 45.ステータコイル、 46.給水ポート、 47.排水ポート、
49.ケーシングフランジ(第1当接部材、対陰極支持部材)、
50.突出部材(第2当接部材、対陰極支持部材)、 51.Oリング、 54.配管、
55.ターボ分子ポンプ、 56.ロータリーポンプ、 57.通気穴、
58.圧力切替装置、 59.配管、 60.3ポート電磁弁、
61.ロータリーポンプ、 62A,62B,62C.制御装置、
65.圧力切替装置、 66.加圧ポンプ、 70.突出部材、
72.止めボルト(第3当接部材)、 73.Oリング、 Cg.ゴニオメータ円、
Cf.集中円、 F.X線焦点、 R1,R2.X線、 S.試料、
θ.X線入射角度、 2θ.X線回折角度、 α.X線取出し角、 ω.中心軸線

Claims (12)

  1. 電子を発生する陰極と、
    該陰極に対向して設けられ互いに隣接して並んだ2つのX線発生帯を備えた対陰極と、
    前記陰極及び前記対陰極を内部に収容したケーシングと、
    該ケーシングの内部を減圧する減圧手段と、
    前記対陰極を前記X線発生帯が並んだ方向で移動可能に支持する対陰極支持手段と、
    前記対陰極と一体に移動するフランジと、
    前記2つのX線発生帯のうち前記フランジに近い側に在るX線発生帯が前記電子と衝突する領域に置かれる第1位置に前記対陰極があるときに前記フランジの前記対陰極側の面に当接する第1当接部材と、
    前記2つのX線発生帯のうち前記フランジから遠い側に在るX線発生帯が前記電子と衝突する領域に置かれる第2位置に前記対陰極があるときに前記フランジの前記対陰極と反対側の面に当接する第2当接部材と、
    前記フランジに加える空気圧力を第1圧力状態と第2圧力状態とで切り替えるフランジ圧力調整手段とを有し、
    前記第1圧力状態は、前記フランジを前記対陰極と反対側へ移動させる力であって、前記ケーシングの内部の減圧状態に基づいて前記フランジが前記対陰極側へ引かれる力よりも小さい力を、前記フランジに加える圧力状態であり、
    前記第2圧力状態は、前記フランジを前記対陰極と反対側へ移動させる力であって、前記ケーシングの内部の減圧状態に基づいて前記フランジが前記対陰極側へ引かれる力よりも大きい力を、前記フランジに加える圧力状態である
    ことを特徴とするX線発生装置。
  2. 請求項1記載のX線発生装置において、
    前記対陰極から延在し前記フランジが取り付けられた対陰極延在部をさらに有し、
    前記対陰極支持手段は前記ケーシングの一部分によって構成され、該ケーシングの一部分は前記対陰極延在部と摺接して該対陰極延在部を支持することにより前記対陰極を支持する
    ことを特徴とするX線発生装置。
  3. 請求項2記載のX線発生装置において、
    前記第1当接部材は前記ケーシングの他の一部分によって構成される
    ことを特徴とするX線発生装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のX線発生装置において、
    前記ケーシングは前記対陰極を挿入するための開口部を有しており、該開口部には当該開口部の中心方向へ向けて突出する突出部材が設けられ、前記第2当接部材は前記突出部材によって構成されることを特徴とするX線発生装置。
  5. 請求項4記載のX線発生装置において、前記突出部材の内周面は前記対陰極支持手段を構成することを特徴とするX線発生装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のX線発生装置において、前記対陰極が前記第2位置に在るときの前記フランジを移動不能に固定する固定手段を有することを特徴とするX線発生装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のX線発生装置において、
    前記フランジ圧力調整手段は、
    前記フランジの前記対陰極側の面に大気圧を付与する手段と、
    前記フランジの前記対陰極と反対側の面に隣接した領域を減圧状態と大気圧状態とで切り替える第1圧力切替手段と
    を有することを特徴とするX線発生装置。
  8. 請求項7記載のX線発生装置において、
    前記第1圧力切替手段は前記ケーシングの内部を減圧する前記減圧手段を兼用して前記領域を減圧状態にすることを特徴とするX線発生装置。
  9. 請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のX線発生装置において、
    前記フランジ圧力調整手段は、
    前記フランジの前記対陰極と反対側の面に大気圧を付与する手段と、
    前記フランジの前記対陰極側の面に付与する圧力を大気圧状態と大気圧以上の状態とで切り替える第2圧力切替手段とを有する
    ことを特徴とするX線発生装置。
  10. 電子を発生する陰極と、
    該陰極に対向して設けられ互いに隣接して並んだ複数のX線発生帯を備えた対陰極と、
    前記陰極及び前記対陰極を内部に収容したケーシングと、
    該ケーシングの内部を減圧する減圧手段と、
    前記対陰極を前記X線発生帯が並んだ方向で移動可能に支持する対陰極支持手段と、
    前記対陰極と一体に移動するフランジと、
    前記複数のX線発生帯のうち前記フランジに最も近い側に在るX線発生帯が前記電子と衝突する領域に置かれる位置に前記対陰極があるときに前記フランジの前記対陰極側の面に当接する第1当接部材と、
    前記フランジの前記対陰極と反対側の面に当接可能な第3当接部材と、
    前記フランジに加える空気圧力を第1圧力状態と第2圧力状態とで切り替えるフランジ圧力調整手段とを有し、
    前記第1圧力状態は、前記フランジを前記対陰極と反対側へ移動させる力であって、前記ケーシングの内部の減圧状態に基づいて前記フランジが前記対陰極側へ引かれる力よりも小さい力を、前記フランジに加える圧力状態であり、
    前記第2圧力状態は、前記フランジを前記対陰極と反対側へ移動させる力であって、前記ケーシングの内部の減圧状態に基づいて前記フランジが前記対陰極側へ引かれる力よりも大きい力を、前記フランジに加える圧力状態であり、
    前記第3当接部材が前記フランジに当接する位置は、前記複数のX線発生帯のうち前記フランジに最も近い側に在るX線発生帯以外のX線発生帯のそれぞれが前記電子と衝突する領域に置かれるときの前記フランジの各位置に対応して変更可能である
    ことを特徴とするX線発生装置。
  11. 電子を発生する陰極と、
    該陰極に対向して設けられ互いに隣接して並んだ2つのX線発生帯を備えた対陰極と、
    前記陰極及び前記対陰極を内部に収容したケーシングと、
    該ケーシングの内部を減圧する減圧手段と、
    該対陰極を当該対陰極を通る軸線を中心として回転させる対陰極回転駆動手段と、
    該対陰極回転駆動手段を内部に収容すると共に前記対陰極から延在する対陰極ハウジングと、
    該対陰極ハウジングの外周面に設けられており当該対陰極ハウジングの半径方向に突出するフランジと、
    前記対陰極ハウジングを該対陰極ハウジングの軸線方向に移動可能に支持する対陰極支持手段と、
    前記フランジの前記対陰極側への移動を止める第1当接部材と、
    前記フランジの前記対陰極と反対側への移動を止める第2当接部材と、
    前記フランジに加える空気圧力を第1圧力状態と第2圧力状態とで切り替えるフランジ圧力調整手段とを有し、
    前記第1圧力状態は、前記フランジを前記対陰極と反対側へ移動させる力であって、前記ケーシングの内部の減圧状態に基づいて前記フランジが前記対陰極側へ引かれる力よりも小さい力を、前記フランジに加える圧力状態であり、
    前記第2圧力状態は、前記フランジを前記対陰極と反対側へ移動させる力であって、前記ケーシングの内部の減圧状態に基づいて前記フランジが前記対陰極の在る方向へ引かれる力よりも大きい力を、前記フランジに加える圧力状態であり、
    前記第1当接部材は、前記2つのX線発生帯のうち前記フランジに近い側に在るX線発生帯が前記電子と衝突する領域に置かれる第1位置に前記対陰極があるときに前記フランジの前記対陰極側の面に当接し、
    前記第2当接部材は、前記2つのX線発生帯のうち前記フランジから遠い側に在るX線発生帯が前記電子と衝突する領域に置かれる第2位置に前記対陰極があるときに前記フランジの前記対陰極と反対側の面に当接する
    ことを特徴とするX線発生装置。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか1つに記載のX線発生装置と、該X線発生装置から発生したX線を用いるX線光学系と有することを特徴とするX線分析装置。
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