第1の移動枠と固定基盤の第1の方向の相対位置を検出する第1の位置検出手段と、第2の移動枠と固定基盤の第2の方向の相対位置を検出する第2の位置検出手段を設けるに際し、第1の主ガイド軸から補正レンズまでの第2の方向の距離と、第1の主ガイド軸から第1の位置検出手段までの第2の方向の距離とを略同一距離とし、第2の主ガイド軸から補正レンズまでの第1の方向の距離と、第2の主ガイド軸から第2の位置検出手段までの第1の方向の距離とを略同一距離とすることにより、補正レンズの位置検出誤差を抑え、高精度な像ぶれ補正を行うことができる像ぶれ補正装置、その像ぶれ補正装置を有するレンズ装置、及び、そのレンズ装置を備えた撮像装置を、簡単な構造によって実現した。
以下、本発明の実施の形態を、添付した図面を参照して説明する。図1〜図31は、本発明の実施の形態の例を説明するものである。即ち、図1〜図5は、本発明の像ぶれ補正装置の第1の実施の例に係るムービングマグネット方式の駆動手段を備えた像ぶれ補正装置を示すもので、図1は分解斜視図、図2Aは組立斜視図、図2Bは平面図、図3Aは正面図、図3Bは図2BのJ−J線断面図、図4Aは背面図、図4Bは左側面図、図5は右側面図である。図6〜図10は、本発明の像ぶれ補正装置の第2の実施の例に係るムービングマグネット方式の駆動手段を備えた像ぶれ補正装置を示すもので、図6は分解斜視図、図7Aは組立斜視図、図7Bは平面図、図8Aは正面図、図8Bは図7BのK−K線断面図、図9Aは背面図、図9Bは左側面図、図10は右側面図である。
図11〜図15は、本発明の像ぶれ補正装置の第3の実施の例に係るムービングコイル方式の駆動手段を備えた像ぶれ補正装置を示すもので、図11は分解斜視図、図12Aは組立斜視図、図12Bは平面図、図13Aは正面図、図13Bは図12BのM−M線断面図、図14Aは背面図、図14Bは左側面図、図15は右側面図である。更に、図16〜図20は、本発明の像ぶれ補正装置の第4の実施の例に係るムービングコイル方式の駆動手段を備えた像ぶれ補正装置を示すもので、図16は分解斜視図、図17Aは組立斜視図、図17Bは平面図、図18Aは正面図、図18Bは図17BのN−N線断面図、図19Aは背面図、図19Bは左側面図、図20は右側面図である。
図21はコイルとホール素子とサーミスタと主ガイド軸のレイアウトの概略を示す説明図、図22A〜22Cは主ガイド軸の傾きによる補正レンズとホール素子の位置誤差を示すそれぞれ説明図、図23A〜23Cは主ガイド軸の傾きによる補正レンズとホール素子の位置誤差を示すそれぞれ説明図、図24A〜24Hは主ガイド軸の傾きによる補正レンズとホール素子の位置誤差の関係を説明するグラフである。
図25は本発明のレンズ装置の第1の実施の例のレンズ系を示す説明図、図26A,26Bは同じくレンズ装置の側面側から見た説明図及び正面側から見た説明図である。図27は本発明の撮像装置の第1の例を示すデジタルスチルカメラを正面側から見た斜視図、図28は同じくデジタルスチルカメラを背面側から見た斜視図である。図29は本発明の像ぶれ補正装置の制御概念を説明するブロック図、図30は本発明に係る撮像装置の概略構成の第1の実施の例を示すブロック図、図31は同じく撮像装置の概略構成の第2の実施の例を示すブロック図である。
まず、本発明のレンズ装置について説明する。図25〜図26A,26Bに示すように、本発明のレンズ装置の第1の実施の例を示すレンズ装置1は、同一の光軸L上に複数のレンズを配置した5群レンズを有するレンズ系2と、このレンズ系2のレンズを固定し又は移動可能に支持するレンズ鏡筒3と、レンズ系2の光軸L上に配置されると共にレンズ鏡筒3に固定された撮像手段4と、レンズ鏡筒3に装着されると共にレンズ系2の像ぶれを補正する像ぶれ補正装置5(又は6)等を備えて構成されている。
レンズ装置1のレンズ系2は、図25等に示すように、5組のレンズ群を同一の光軸L上に配置した5群レンズ7〜11からなる折り曲げ式レンズとして構成されている。5群レンズ7〜11のうち、先端側に位置する1群レンズ7は、被写体に対向される第1のレンズである対物レンズ7Aと、この対物レンズ7Aの被写体と反対側に配置されたプリズム7Bと、このプリズム7Bに対向される第2のレンズ7Cとによって構成されている。プリズム7Bは、断面形状が直角二等辺三角形をなす三角柱体からなり、90度回転変位した位置に隣り合う2つの面の一方に対物レンズ7Aが対向され、他方の面に第2のレンズ7Cが対向されている。
この1群レンズ7では、対物レンズ7Aを透過して一面からプリズム7Bに入射した光は、光軸Lに対して45度に傾斜した反射面で反射されて進行方向が90度折り曲げられる。そして、プリズム7Bの他面から出射された光が、第2のレンズ7Cを透過して、光軸Lに沿って2群レンズ8に向かって進行する。2群レンズ8は、第3のレンズ8Aと第4のレンズ8Bとの組み合わせからなり、光軸L上を移動可能に構成されている。2群レンズ8を透過した光は、3群レンズ9に入射される。
3群レンズ9は、レンズ鏡筒3に固定される第5のレンズからなっている。3群レンズ9の後方には、第6のレンズからなる4群レンズ10が配置されている。この4群レンズ10と3群レンズ9の間には、レンズ系2を通過する光の量を調整可能な絞り機構12が配置されている。4群レンズ10は、光軸L上を移動可能に構成されている。4群レンズ10の後方には、第7のレンズ11Aと後述する補正レンズ15とからなる5群レンズ11が配置されている。5群レンズ11のうち、第7のレンズ11Aはレンズ鏡筒3に固定されており、この第7のレンズ11Aの後方に補正レンズ15が移動可能に配置され、更に、補正レンズ15の後方に撮像手段4が配置されている。
2群レンズ8と4群レンズ10は、それぞれ別個独立に光軸Lに沿って光軸方向へ移動可能とされている。この2群レンズ8と4群レンズ10を所定方向へ移動させることにより、ズーム調整とフォーカス調整を行うことができる。即ち、ズーム時には、2群レンズ8と4群レンズ10をワイド(広角)からテレ(望遠)まで移動することによってズーム調整が実行される。また、フォーカス時には、4群レンズ10をワイド(広角)からテレ(望遠)まで移動することによってフォーカス調整を実行することができる。
撮像手段4としては、例えば、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等をあげることができる。撮像手段4はアダプタに固定されており、このアダプタを介してレンズ鏡筒3に取り付けられている。撮像手段4の前側には光学フィルタ14が配置されており、この光学フィルタ14と第7のレンズ11Aとの間に、補正レンズ15を有する像ぶれ補正装置5が配設されている。
次に説明する像ぶれ補正装置5は、レンズ系2の振動等による撮影画像のぶれを補正レンズ15で補正するものである。補正レンズ15は、通常の状態では、その光軸をレンズ系2の光軸Lと一致させるように取り付けられている。そして、カメラの振動等によって撮像手段4の結像面に像ぶれが生じたときに、像ぶれ補正装置5が補正レンズ15を光軸Lと直交する2方向(第1の方向X及び第2の方向Y)に移動させて結像面の像ぶれを補正する。
図1〜図5には、本発明の像ぶれ補正装置の第1の実施の例を示している。この第1の実施の例は、ムービングマグネット方式の駆動手段を備えた像ぶれ補正装置5として構成したものである。図6〜図10は第1の実施の例を変形した第2の実施の例を示すもので、2つの位置検出手段の配置を変更して像ぶれ補正装置5Aとして構成したものである。また、図11〜図15には、本発明の像ぶれ補正装置の第3の実施の例を示している。この第3の実施の例は、ムービングコイル方式の駆動手段を備えた像ぶれ補正装置6として構成したものである。図16〜図20は第3の実施の例を変形した第4の実施の例を示すもので、2つの位置検出手段の配置を変更して像ぶれ補正装置6Aとして構成したものである。
第1の実施の例として説明する像ぶれ補正装置5は、図1〜図5に示すような構成を備えて構成されている。この像ぶれ補正装置5は、上述した補正レンズ15と、この補正レンズ15を支持する第1の移動枠21と、この第1の移動枠21をレンズ系2の光軸Lと直交する第1の方向Xへ移動可能に支持する第2の移動枠22と、この第2の移動枠22を光軸Lと直交する方向であって第1の方向Xとも直交する第2の方向Yへ移動可能に支持する支持枠の第1の具体例を示す固定基盤23と、第1の移動枠21を第1の方向Xへ移動させる第1の駆動手段である第1の電動アクチュエータ24と、第2の移動枠22を第2の方向Yへ移動させる第2の駆動手段である第2の電動アクチュエータ25と、補正レンズ15の第1の方向Xに関する位置を検出する第1の位置検出手段である第1のホール素子26と、補正レンズ15の第2の方向Yに関する位置を検出する第2の位置検出手段である第2のホール素子27等を備えて構成されている。
補正レンズ15は、後述するカメラに手の震えや揺れが生じたときに、そのときの像ぶれ量に対応してその位置を第1の方向X及び/又は第2の方向Yに移動させて像ぶれを補正するものである。この補正レンズ15を保持する第1の移動枠21は、リング状をなすレンズ固定部21aと、これと一体に設けた2つのヨーク固定部21b,21cを有している。レンズ固定部21aの中央部には嵌合穴28が設けられており、この嵌合穴28に補正レンズ15が嵌合され、接着剤等の固着手段によって固定されている。また、2つのヨーク固定部21b,21cは、レンズ固定部21aの半径方向外側であって互いに略90度回転変位した位置に設けられている。
第1の移動枠21の第2のヨーク固定部21cは、第1の主軸受部31とされている。そして、第1の移動枠21の、第1の主軸受部31と補正レンズ15を挟んで反対側に第1の副軸受部32が設けられている。第1の主軸受部31には第1の主ガイド軸33が水平方向に貫通されており、その軸方向の中間部において第1の主ガイド軸33が第1の主軸受部31に圧入固定されている。また、第1の副軸受部32には、側方に開口された第1の軸受溝34が設けられており、その軸受溝34に第1の副ガイド軸35が摺動自在に係合されている。
第1のヨーク固定部21bと第2のヨーク固定部21cには、磁気回路を形成する第1のヨーク36Aと第2のヨーク36Bがそれぞれ一体的に固定されている。第1のヨーク36A及び第2のヨーク36Bは同一のものであって、それぞれコ字状に形成されている。各ヨーク36A,36Bは、互いに対向するように配置された2つの対向片36a,36bと、両対向片36a,36bをつなぐ連結片36cを有している。このヨーク36A,36Bの、各連結片36cを各ヨーク固定部21b,21cに接着剤等の固着手段で固定することにより、2つの対向片36a,36bのうち一方を上部片36a、他方を下部片36bとして上下方向に対向させて第1の移動枠21にそれぞれ取り付けられている。
第1及び第2のヨーク36A,36Bの上部片36a及び下部片36bは、それぞれ矩形とされており、各上部片36aの内面に、長方形の板体からなる第1のマグネット37A及び第2のマグネット37Bが接着剤等の固着手段によって一体的に固定されている。2つのマグネット37A,37Bは、幅方向及び厚さ方向において共に極性が異なる構成とされている。即ち、2つのマグネット37A,37Bは、その幅方向の略中央部において極境界垂直面MA1,MB1によりN極とS極に2分割され、同時に、その高さ(厚さ)方向の略中央部において極境界水平面MA2,MB2によってN極とS極に2分割されている。
これにより、図3〜図5に断面して示すように、各マグネット37A,37Bは4つの領域に区画されている。この実施例では、第1のマグネット37A及び第2のマグネット37Bは、それぞれ上部片36a側では、補正レンズ15に近い内側にS極が設定され、補正レンズ15から離れる外側にN極が設定されている。そして、それぞれ下部片36b側では、補正レンズ15に近い内側にN極が設定され、補正レンズ15から離れる外側にS極が設定されている。しかしながら、第1及び第2のマグネット37A,37Bの極性の配置は、この実施例とは逆の極性となる配置としてもよく、また、2つのマグネット37A,37B間においてN極とS極が逆側となるように配置してもよいことは勿論である。
なお、第1及び第2のマグネット37A,37Bは、第1及び第2のヨーク36A,36Bの上部片36a及び下部片36bの両片に対応させて設け、上部片36a及び下部片36bの内面にそれぞれ固定する構成としてもよい。しかしながら、この実施例のように上部片36a(下部片36bであってもよい。)のみに固定して設ける構成とすることにより、像ぶれ補正装置5全体の薄型化に貢献することができる。
第2の移動枠22は、平面形状がリング状をなす穴空き部材として形成されており、中央の貫通穴38には第1の移動枠21の嵌合穴28が対向される。第2の移動枠22の一の直径方向の一方には、2つの軸受片41a,41bを有する第2の主軸受部41が上方へ突出するように設けられている。2つの軸受片41a,41bの先部には、側方に貫通する軸受穴41cがそれぞれ設けられている。そして、各軸受穴41cには、第1の移動枠21に固定された第1の主ガイド軸33の両端の突出部がそれぞれ摺動自在に挿通され、且つ回動自在に支持されている。
また、第2の移動枠22の第2の主軸受部41と反対側には、2つの軸受片42a,42bを有する第2の副軸受部42が上方へ突出するように設けられている。2つの軸受片42a,42bには、第1の副ガイド軸35が両端支持されている。この第2の副軸受部42に支持された第1の副ガイド軸35が延在する方向が、この実施例では第2の方向Yとされている。
この第2の方向Yと直交する方向において、第2の移動枠22の一側に第3の主軸受部45が設けられている。そして、貫通穴38を挟んで第3の主軸受部45の反対側に第3の副軸受部46が設けられている。第3の主軸受部45には第2の主ガイド軸47が貫通されていて、その中間部において第2の主ガイド軸47が第3の主軸受部45に圧入固定されている。また、第3の副軸受部46には、側方に開口された第2の軸受溝48が設けられており、その第2の軸受溝48には第2の副ガイド軸49が摺動自在に係合されている。
固定基盤23は、第1の移動枠21の形状に対応した形状とされていて、リング状をなすベース部23aと、このベース部23aと一体に設けた2つのコイル支持部23b,23cを有している。2つのコイル支持部23b,23cは、ベース部23aの半径方向外側であって略90度回転変位した位置に設けられている。ベース部23aの中央部には貫通穴51が設けられている。この貫通穴51は、第1の移動枠21の嵌合穴28及び第2の移動枠22の貫通穴38と略同心となるように配置されている。
固定基盤23の2つのコイル支持部23b,23cは、それぞれベース部23aの接線方向に所定の間隔をあけて上方へ突出するように設けた2つの支持片52a,52b及び53a,53bを有し、第1の支持片52a,52bに第4の主軸受部52が設けられている。この第4の主軸受部52の各支持片52a,52bには軸受穴52cがそれぞれ設けられている。第1の支持片52a,52bの各軸受穴52cには、第2の移動枠22に固定された第2の主ガイド軸47の両端の突出部がそれぞれ摺動自在に挿通されており、これにより第2の主ガイド軸47が固定基盤23に回動自在に支持されている。
更に、固定基盤23のベース部23aの、貫通穴51を挟んで第1のコイル支持部23bと反対側の側縁部には、2つの軸受片54a,54bを有する第4の副軸受部54が設けられている。第4の副軸受部54の2つの軸受片54a,54bには、第2の副ガイド軸49の両端部が固定されて両端支持されている。この実施例では、第1の主ガイド軸33と第1の副ガイド軸35の軸方向が第1の方向Xとされ、これらと直交する方向に延在された第2の主ガイド軸47と第2の副ガイド軸49の軸方向が第2の方向Yとされている。
第1の移動枠21の第1のヨーク固定部21bに固定された第1のヨーク36Aの下部片36bと第1のマグネット37Aとの間に、フレキシブル配線板56の第1のコイル載置部56aと第1のコイル57が無接触状態で介在されている。そして、第2のヨーク固定部21cに固定された第2のヨーク36Bの下部片36bと第2のマグネット37Bとの間に、フレキシブル配線板56の第2のコイル載置部56bと第2のコイル58が無接触状態で介在されている。
フレキシブル配線板56の2つのコイル載置部56a,56bは、連結部56cにより連結されて一体に構成されている。2つのコイル載置部56a,56bは、固定基盤23の2つのコイル支持部23b,23cに固定された2つの補強板と重なり合うように配置されている。第1のコイル載置部56aには第1のコイル57が実装され、第2のコイル載置部56bには第2のコイル58が実装されて、それぞれ接着剤による固着手段により固定されている。
第1のコイル57及び第2のコイル58は、平面的に巻回された略小判形(略長方形と見ることもできる。)をなす偏平コイルからなる。これら第1のコイル57及び第2のコイル58は、フレキシブル配線板56の各コイル載置部56a,56bの上面に設けた所定の配線パターンとそれぞれ電気的に接続されている。更に、第1のコイル57及び第2のコイル58は、それぞれが1本のコイル線を巻回することによって形成されている。そして、各コイル57,58において、幅方向に対向する長辺側の2つの直線部分が、それぞれ電動アクチュエータとして推進力を発生する推進力発生部57a,57b及び推進力発生部58a,58bとなっている。
第1のコイル57は、その推進力発生部57a,57bが延在する方向を第1の方向Xと直交する方向に向けて配設されている。また、第2のコイル58は、その推進力発生部58a,58bが延在する方向を第2の方向Yと直交する方向に向けて配設されている。これにより、組立後、第1のコイル57の内側に位置する内側推進力発生部57aには、第1のマグネット37Aの極境界垂直面MA1で仕切られた内側の磁極部(この実施例では上部片36a側がS極、下部片36b側がN極)が対向されている。そして、第1のコイル57の外側に位置する外側推進力発生部57bには、第1のマグネット37Aの極境界垂直面MA1で仕切られた外側の磁極部(この実施例では上部片36a側がN極、下部片36b側がS極)が対向されている(図3A,3B及び図4Bを参照)。
また、組立後、第2のコイル58の内側の推進力発生部58aには、第2のマグネット37Bの極境界垂直面MB1で仕切られた内側の磁極部(この実施例では上部片36a側がS極、下部片36b側がN極)が対向されている。そして、第2のコイル58の外側に位置する外側推進力発生部58bには、第2のマグネット37Bの極境界垂直面MB1で仕切られた外側の磁極部(この実施例では上部片36a側がN極、下部片36b側がS極)が対向されている(図4Aを参照)。
即ち、第1のコイル57の長径(辺)方向に延在する中心線(第1のコイル57を短径方向に2分割する分割線)を、第1のマグネット37Aを幅方向へ2分割するよう長手方向に延在する極境界垂直面MA1と平行にして、その平面方向において中心線(分割線)が極境界垂直面MA1と略重なり合うように一致させる構成としている。同様に、第2のコイル58の長径(辺)方向に延在する中心線(第2のコイル58を短径方向に2分割する分割線)を、第2のマグネット37Bを幅方向へ2分割するよう長手方向に延在する極境界垂直面MB1と平行にして、その平面方向において中心線(分割線)が極境界垂直面MB1と略重なり合うように一致させる構成としている。
更に、図1及び図2B等に示すように、第1のコイル57及び第2のコイル58のコイル巻き回し領域の内側に形成された空間部59A,59B内に、第1のホール素子26及び第2のホール素子27が設けられている。第1のホール素子26は、第1のコイル57の空間部59Aの略中央部に配置され、第2のホール素子27は、第2のコイル58の空間部59Bの略中央部に配置されている。そして、各ホール素子26,27が、それぞれのコイル載置部56a,56bに形成されている配線回路の所定位置に電気的に接続されている。即ち、第1のホール素子26は、第1のマグネット37Aの磁力を検出する磁力検出部の略中心が、その第1のマグネット37Aの極境界垂直面MA1と略一致する位置に設けられている。同様に、第2のホール素子27は、第2のマグネット37Bの磁力を検出する磁力検出部の略中心が、その第2のマグネット37Bの極境界垂直面MB1と略一致する位置に設けられている。
第1のホール素子26及び第2のホール素子27は、第1の移動枠21及び第2の移動枠22を介して補正レンズ15の位置を検出するための位置検出手段の一具体例を示すものである。これら第1のホール素子26及び第2のホール素子27で第1のマグネット37A及び第2のマグネット37Bの磁力の強さを検出することにより、補正レンズ15の第1の方向X及び第2の方向Yに関する位置情報を検出するように構成している。即ち、2つのホール素子26,27は、マグネット37A及び37Bの極境界線MA1及びMB1をそれぞれ基準位置として、そこから補正レンズ15側に移動し、或いは、その反対側に移動した位置における磁力の強さを検出している。これにより、それぞれの検出位置を特定し、その位置検出を2箇所で行うことにより、第1の移動枠21及び第2の移動枠22を介して補正レンズ15の位置を検出することができる。
具体的には、第1のホール素子26は、固定基盤23の第1のコイル支持部23bに固定されているフレキシブル配線板56の第1の載置部56aの上面に実装されている。このときの第1のホール素子26の設定位置は、図21に示すように、第1の主ガイド軸33の軸心線G1から補正レンズ15の中心Loまでの第2の方向Yの距離E2と、第1の主ガイド軸33の軸心線G1から第1のホール素子26の中心(検出部)までの第2の方向Yの距離P2とを略同一距離となるようにする。
また、第2のホール素子27は、固定基盤23の第2のコイル支持部23cに固定されているフレキシブル配線板56の第2の載置部56bの上面に実装されている。このときの第2のホール素子27の設定位置は、図21に示すように、第2の主ガイド軸47の軸心線G2から補正レンズ15の中心Loまでの第1の方向Xの距離E1と、第2の主ガイド軸47の軸心線G2から第2のホール素子27の中心(検出部)までの第1の方向Xの距離P1とを略同一距離となるようにする。
このように配置された2つのホール素子26,27で2つのマグネット37B,37Aの磁力を検出することにより、第1の移動枠21と第2の移動枠22の位置を介して補正レンズ15の位置を検出することができる。この第1及び第2のホール素子26,27からの検出信号に基づいて制御装置が、補正レンズ15の位置を演算して算出することにより、補正レンズ15の駆動制御を精度良く行うことが可能となる。
なお、2つのホール素子26,27は、上述した位置関係が保持される場合には、図21において破線で示すように各コイル57,58の外側に配置してもよく、また、二点鎖線で示すように各コイル57,58の内側に配置してもよい。
2つのホール素子26,27及び2つの電動アクチュエータ24,25の近傍には、周囲の温度を検出する温度検出手段の一具体例を示すサーミスタ29を設ける。このサーミスタ29で周囲温度を検出することにより、2つのホール素子26,27の温度変化による影響を温度による誤差として、補正レンズ15の検出位置の測定に反映させる。このように、補正レンズ15の検出位置に温度補正制御を加えることにより、より精度の高い補正レンズ15の位置制御を行うことが可能となる。これは、像ぶれ補正装置5の周囲温度が所定値以上に上昇すると、手ぶれや振動等による像ぶれ量に、温度誤差による像ぶれ量が加算され、補正精度が劣ることにつながるため、これを防ぐことを主な目的としている。
このサーミスタ29は、例えば、図2A,2B及び図21に示すように、2つのコイル57,58の略中間位置となるように配置し、フレキシブル配線板56に搭載して設置する。即ち、サーミスタ29は、図21において、第1の電動アクチュエータ24の第1のコイル57の中央からの距離Q2aと第2の電動アクチュエータ25の第2のコイル58の中央からの距離Q1aとが略等しい距離であって、第1のホール素子26からの距離Q2a(又はQ2b若しくはQ2c)と第2のホール素子27からの距離Q1a(又はQ1b若しくはQ1c)とが略等しい距離となるように配置する。
詳しく述べると、サーミスタ29に対して2つのホール素子26,27は、3つの配置形態を取ることができる。第1の配置形態は、図21において実線で示すように、ホール素子26,27をコイル57,58の空間部59A,59B内に配置する場合である。このときのサーミスタ29から第1のホール素子26までの距離はQ2aであり、サーミスタ29から第2のホール素子27までの距離はQ1aである。第2の配置形態は、図21において破線で示すように、ホール素子26,27をコイル57,58の外側に配置する場合である。このときのサーミスタ29から第1のホール素子26までの距離はQ2bであり、サーミスタ29から第2のホール素子27までの距離はQ1bである。更に、第3の配置形態は、図21において二点鎖線で示すように、ホール素子26,27をコイル57,58の内側に配置する場合である。このときのサーミスタ29から第1のホール素子26までの距離はQ2cであり、サーミスタ29から第2のホール素子27までの距離はQ1cである。
図6〜図10に示す像ぶれ補正装置5Aは、第1の実施の例の変形例として示す第2の実施の例に係るものである。この像ぶれ補正装置5Aが前述した第1の実施の例に係る像ぶれ補正装置5と異なるところは、2つのホール素子26,27の配置を換えたところだけである。そのため、ここでは、像ぶれ補正装置5Aの変更部分について説明し、同一部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図6及び図7等に示すように、第1のホール素子26は第1のコイル57の外側、即ち、補正レンズ15から離れる側に配置されていて、その位置でフレキシブル配線板56の第1のコイル載置部56aに実装されている。また、第2のホール素子27は第2のコイル58の外側、即ち、補正レンズ15から離れる側に配置されていて、その位置でフレキシブル配線板56の第2のコイル載置部56bに実装されている。この場合、第1のホール素子26は、その磁力検出部の中央を第1のマグネット37Aの外縁が横切るように設置する。同様に、第2のホール素子27は、その磁力検出部の中央を第2のマグネット37Bの外縁が横切るように設置する。
このように、2つのホール素子26,27に対して、それぞれの磁力検出部の中央を2つのマグネット37A,37Bの外縁がそれぞれ横切るように配置する。これにより、各マグネット37A,37Bが各コイル57,58の内側へ移動する場合と、その反対の外側へ移動する場合の両方において、各マグネット37A,37Bから付与される磁力の変化を検出することができる。このときの磁力の変化により、補正レンズ15を保持する移動枠がいずれの方向へどの程度移動したかを知ることができる。このような構成とすることによっても、前記実施例と同様の効果を得ることができる。
上述した第1のコイル57と第1のマグネット37Aと第1のヨーク36Aにより、第1の移動枠21を介して補正レンズ15を第1の方向Xに移動させる第1の駆動手段である第1の電動アクチュエータ24が構成されている。そして、第1の移動枠21の第1の主軸受部31及び第1の副軸受部32と第1の主ガイド軸33及び第1の副ガイド軸35と第2の主軸受部41及び第2の副軸受部42により、第1の移動枠21を介して補正レンズ15を光学系2の光軸Lと直交する第1の方向Xにガイドする第1のガイド手段が構成されている。
また、第2のコイル58と第2のマグネット37Bと第2のヨーク36Bにより、第2の移動枠22を介して補正レンズ15を第2の方向Yに移動させる第2の駆動手段である第2の電動アクチュエータ25が構成されている。そして、第2の移動枠22の第3の主軸受部45及び第3の副軸受部46と第2の主ガイド軸47及び第2の副ガイド軸49と第4の主軸受部52及び第4の副軸受部54により、第2の移動枠22を介して補正レンズ15をレンズ系2の光軸Lと直交する方向であって第1の方向Xとも直交する第2の方向Yにガイドする第2のガイド手段が構成されている。
かくして、第1のコイル57(又は第2のコイル58)に電流を流すと、第1のマグネット37A(又は第2のマグネット37B)による磁力が、その推進力発生部57a,57b(又は推進力発生部58a,58b)に対して垂直をなす方向に作用しているため、フレミングの左手の法則により、第1の電動アクチュエータ24(又は第2の電動アクチュエータ25)には第1の方向X(又は第2の方向Y)に向かう推進力が発生する。
この場合、第1のコイル57(又は第2のコイル58)において、推進力の発生する直線部分からなる推進力発生部57a,57b(又は推進力発生部58a,58b)が2箇所にあり、その2箇所では電流の流れる方向が逆方向となるが、その推進力発生部57a,57b(又は推進力発生部58a,58b)に作用する第1のマグネット37A(又は第2のマグネット37B)の磁力の方向も逆方向になっている。そのため、2つの推進力発生部57a,57b(又は推進力発生部58a,58b)において発生する推進力の方向は、コイル全体として見た場合には同一方向となり、両推進力を合計した力が第1の電動アクチュエータ24(又は第2の電動アクチュエータ25)の推進力となって、補正レンズ15を所定の方向である第1の方向X(又は第2の方向Y)へ移動させる力として作用する。
なお、第2の主軸受部41の2つの軸受片41a,41bは、第1の主軸受部31の第1の方向Xの長さに第1の移動枠21が第1の方向Xへ移動するために必要な長さを加えた距離だけ離間させて形成されている。これにより、第1の移動枠21は、2つの軸受片41a,41b間の距離から第1の主軸受部31の長さを引いた距離だけ第1の方向Xへ移動することができる。また、第4の主軸受部52の2つの支持片52a,52bは、第3の主軸受部45の第2の方向Yの長さに第2の移動枠22が第2の方向Yへ移動するために必要な長さを加えた距離だけ離間させて形成されている。これにより、第2の移動枠22は、2つの軸受片52a,52b間の距離から第3の主軸受部45の長さを引いた距離だけ第2の方向Yへ移動することができる。なお、第1の方向Xと第2の方向Yが、この実施例とは逆側であってもよいことは勿論である。
上述したような構成を有する像ぶれ補正装置5は、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、図1,図2及び図6,図7に示すように、固定基盤23の第1及び第2のコイル支持部23b,23cの上に、上面に第1及び第2のコイル57,58がそれぞれ実装されたフレキシブル配線板56の第1及び第2のコイル載置部56a,56bを搭載し、接着剤等の固着手段を用いてそれぞれ固定する。次に、固定基盤23のベース部23aの上に第2の移動枠22を臨ませ、第2の移動枠22の第3の副軸受部46に設けた第2の軸受溝48を、第4の副軸受部54の2つの軸受片54a,54b間に固定支持されている第2の副ガイド軸49に摺動自在に係合させる。これと共に、第2の移動枠22の第3の主軸受部45を第4の主軸受部52の2つの軸受片52a,52b間に介在させる。
次に、2つの軸受片52a,52bに設けた軸受孔52cと第3の主軸受部45の貫通穴に第2の主ガイド軸47を貫通させ、その両端の突出部を2つの軸受片52a,52bで回動自在且つ軸方向へ移動可能に支持する。これにより、第2の移動枠22が固定基盤23に対して、特定された一方向である第2の方向Yへ所定距離、即ち、第4の主軸受部52の2つの支持片52a,52bの内面間の距離から第3の主軸受部45の長さを引いた分だけ移動可能に支持される。次に、マグネット37A、37Bがそれぞれ固定されている第1及び第2のヨーク36A、36Bを第1の移動枠21に固定する。このヨーク36A、36Bに対するマグネット37A、37Bの固定作業は、第1の移動枠21にヨーク36A、36Bを固定した後であってもよい。
次いで、第2の移動枠22の上に第1の移動枠21を臨ませ、第1の移動枠21の第1の副軸受部32に設けた第1の軸受溝34を、第2の副軸受部42の2つの軸受片42a,42b間に固定支持されている第1の副ガイド軸35に摺動自在に係合させる。次に、第1の移動枠21の第1の主軸受部31を第2の主軸受部41の2つの軸受片41a,41b間に介在させる。そして、2つの軸受片41a,41bに設けた軸受孔41cと第1の主軸受部31の貫通穴に第1の主ガイド軸33を貫通させ、その両端の突出部を2つの軸受片41a,41bで回動自在且つ軸方向へ移動可能に支持する。これにより、第1の移動枠21が第2の移動枠22に対して、第2の方向Yと直交する第1の方向Xへ所定距離、即ち、第2の主軸受部41の2つの軸受片41a,41bの内面間の距離から第1の主軸受部31の長さを引いた分だけ移動可能に支持される。
この場合、第1の主ガイド軸33は、第1の主軸受部31の両端から同程度の長さを突出させる。そして、第1の主軸受部31によって第1の主ガイド軸33の略中央部を圧入等によって固定支持する。同様に、第2の主ガイド軸47は、第3の主軸受部45の両端から同程度の長さを突出させる。そして、第3の主軸受部45によって第2の主ガイド軸47の略中央部を圧入等によって固定支持する。これにより、像ぶれ補正装置5の組立作業が完了し、図2〜図5及び図7〜図10に示すような構成を有する像ぶれ補正装置5,5Aが得られる。
なお、第1の移動枠21と第2の移動枠22と固定基盤23との間の位置決めは、例えば、それぞれの部材に所定の位置決め穴を設け、それらの位置決め穴に基準ピンを挿入して位置決めするようにする。これにより、第1の移動枠21と第2の移動枠22との間、及び第2の移動枠22と固定基盤23との間を相対的に仮固定して、簡単且つ確実に位置合わせすることができる。
このような構成を有する像ぶれ補正装置5(像ぶれ補正装置5Aの場合も同様)の作用は、例えば、次のようなものである。この像ぶれ補正装置5の補正レンズ15の移動は、フレキシブル配線板56を介して第1の電動アクチュエータ24の第1のコイル57及び第2の電動アクチュエータ25の第2のコイル58に対して適宜な値の駆動電流を選択的に又は同時に供給することによって実行される。
即ち、像ぶれ補正装置5の第1のコイル57及び第2のコイル58は、それぞれフレキシブル配線板56の第1及び第2の載置部56a,56bを介して固定基盤23のコイル支持部23b,23cに固定されている。このとき、第1のコイル57の2つの推進力発生部57a,57bは第2の方向Yに延在され、第2のコイル58の2つの推進力発生部58a,58bは第1の方向Xに延在されている。また、第1の移動枠21に固定されている2つのヨーク36A,36Bの各上部片36aに固定された2つの駆動用マグネット37A,37Bが、第1及び第2のコイル57,58の上方にそれぞれ対向するように配置されている。
その結果、第1のヨーク36Aと第1のマグネット37Aによって形成される第1の組の磁気回路の磁束が、第1のコイル57の推進力発生部57a,57bを上下方向へ透過するように作用する。同様に、第2のヨーク36Bと第2のマグネット37Bによって形成される第2の組の磁気回路の磁束が、第2のコイル58の推進力発生部58a,58bを上下方向へ透過するように作用する。このとき、第1及び第2のコイル57,58が固定基盤23に固定されている一方、第1及び第2のヨーク36A,36Bと第1及び第2のマグネット37A,37Bが補正レンズ15を保持する第1の移動枠21に固定されていて、その第1の移動枠21が、第2の移動枠22を介して所定範囲内で第1の方向X及び第2の方向Yへ移動可能に支持されている。
このような構成を有する像ぶれ補正装置5(又は5A)において、第1のコイル57(第2のコイル58の場合も、その作用は同様である。)に電流を流すと、その推進力発生部57a,57b(又は58a,58b)が第2の方向Y(又は第1の方向X)に延在されているため、その推進力発生部57a,57b(又は58a,58b)において電流は第2の方向Yに流れる。このとき、第1の磁気回路の磁束は、推進力発生部57a,57b(又は58a,58b)に対して垂直をなす上下方向に作用しているため、フレミングの法則により、第1のマグネット37A(第2のコイル58の場合は第2のマグネット37B)及び第1のヨーク36A(第2のコイル58の場合は第2のヨーク36B)には第1の方向X(第2のコイル58の場合は第2の方向Y)に向かう推進力が発生する。
これにより、第1のヨーク36Aが固定されている第1の移動枠21が第1の方向Xに移動する。その結果、第1の移動枠21に保持されている補正レンズ15が、第1のコイル57に流された電流の大きさに応じて、第1のガイド手段にガイドされて第1の方向Xに移動することになる。
また、第1のコイル57と第2のコイル58に同時に電流を流すと、上述した第1のコイル57による移動動作と第2のコイル58による移動動作とが複合的に実行される。即ち、第1のコイル57に流れる電流の作用によって補正レンズ15が第1の方向Xに移動すると同時に、第2のコイル58に流れる電流の作用によって補正レンズ15が第2の方向Yに移動する。その結果、補正レンズ15が斜め方向に移動して、レンズ系2の像ぶれを補正することになる。
図11〜図15は、本発明の像ぶれ補正装置の第3の実施の例を示すものである。この第3の実施の例は、ムービングコイル方式の駆動手段を備えた像ぶれ補正装置6として構成したものである。そして、図16〜図20において、第3の実施の例の変形例として第4の実施の例を示している。この本発明の像ぶれ補正装置の第3〜第4の実施の例を示す図11〜図20において、前述した本発明の像ぶれ補正装置の第1〜第2の実施の例を示す図1〜図10と同一部分には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
本発明の第3の実施の例として説明する像ぶれ補正装置6は、図11〜図15に示すような構成を備えて構成されている。この像ぶれ補正装置6は、前記実施例で示した像ぶれ補正装置5のうち、2つのマグネット37A,37Bと2つのコイル57,58を入れ替えることにより駆動手段をムービングコイル方式として構成したものである。そのため、像ぶれ補正装置5と構成部品を比較すると、第1の移動枠21Aと固定基盤23Aのみが異なっており、その他の構成部品は、同一又は略同一である。
即ち、像ぶれ補正装置6は、前述した補正レンズ15と、この補正レンズ15を支持する第1の移動枠21Aと、この第1の移動枠21Aをレンズ系2の光軸Lと直交する第1の方向Xへ移動可能に支持する第2の移動枠22と、この第2の移動枠22を光軸Lと直交する方向であって第1の方向Xとも直交する第2の方向Yへ移動可能に支持する固定基盤23Aと、第1の移動枠21Aを第1の方向Xへ移動させる第1の電動アクチュエータ24と、第2の移動枠22を第2の方向Yへ移動させる第2の電動アクチュエータ25と、補正レンズ15の位置を検出する第1のホール素子26及び第2のホール素子27等を備えて構成されている。そのため、ここでは第1の移動枠21Aと固定基盤23Aについて、詳細に説明する。
第1の移動枠21Aは、リング状をなすレンズ固定部21aと、これと一体に設けた2つのコイル固定部21d,21eを有している。2つのコイル固定部21d,21eは、レンズ固定部21aの半径方向外側であって略90度回転変位した位置に設けられている。レンズ固定部21aの中央部には嵌合穴28が設けられており、この嵌合穴28に補正レンズ15が嵌合されて固定されている。
第1のコイル固定部21dには、フレキシブル配線板56の第1のコイル載置部56aが載置されている。また、第2のコイル固定部21eには、フレキシブル配線板56の第2のコイル載置部56bが載置されている。そして、これらの第1及び第2のコイル載置部56a,56bに第1及び第2のコイル57,58が搭載され、各コイル57,58が各コイル載置部56a,56bの配線パターンと電気的に接続されている。なお、第2の移動枠22の構成は、前記実施例と同様である。
固定基盤23Aは、その外観形状は前記固定基盤23と略同様の構成となっているが、第1及び第2のヨーク36C,36Dを固定するために、その支持部の形状が若干異なっている。即ち、固定基盤23Aの2つのヨーク支持部23d,23eの上面には、各ヨーク36C,36Dの下部片36bが嵌合される嵌合溝72がそれぞれ設けられている。この嵌合溝72に下部片36bを嵌合することにより、接着剤等の固着手段によってヨーク36C,36Dが固定基盤23Aに固定されている。各ヨーク36C,36Dの基本的な形態に変更はないが、軽量化のために連結部36cには大きな開口穴73が設けられている。その他の構成は、図1〜図5に示した第1の実施例に係る像ぶれ補正装置5と同様である。
この第3の実施例に係る像ぶれ補正装置6においても前記第1の実施例と同様に、第1の主ガイド軸33及び第1の副ガイド軸35の軸方向が第1の方向Xとされ、これらと直交する方向に延在された第2の主ガイド軸47及び第2の副ガイド軸49の軸方向が第2の方向Yとされている。なお、この実施例においても、第1の方向と第2の方向が逆であってもよいことは勿論である。
また、固定基盤23Aに固定された第1のヨーク36Cの下部片36bと第1のマグネット37Aとの間に、第1の移動枠21Aの第1のコイル固定部21dに固定された第1のコイル載置部56aと第1のコイル57が無接触状態で介在されている。更に、固定基盤23Aに固定された第2のヨーク36Dの下部片36bと第2のマグネット37Bとの間に、第1の移動枠21Aの第2のコイル固定部21eに固定された第2のコイル載置部56bと第2のコイル58が無接触状態で介在されている。そして、各コイル57,58の空間部59A,59B内に、位置検出手段であるホール素子26,27がそれぞれ収納されている。
上述した第1のコイル57と第1のマグネット37Aと第1のヨーク36Cにより、第1の移動枠21Aを介して補正レンズ15を第1の方向Xに移動させる第1の駆動手段である第1の電動アクチュエータ24が構成されている。また、第2のコイル58と第2のマグネット37Bと第2のヨーク36Dにより、第2の移動枠22を介して補正レンズ15を第2の方向Yに移動させる第2の駆動手段である第2の電動アクチュエータ25が構成されている。
この電動アクチュエータ24,25の動作は前記実施例と同様であり、第1のコイル57(又は第2のコイル58)に電流を流すと、第1のマグネット37A(又は第2のマグネット37B)による磁力が、その推進力発生部57a,57b(又は推進力発生部58a,58b)に対して垂直をなす方向に作用しているため、フレミングの左手の法則により、第1の電動アクチュエータ24(又は第2の電動アクチュエータ25)には第1の方向X(又は第2の方向Y)に向かう推進力が発生する。
上述したような構成を有する像ぶれ補正装置6は、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、図11に示すように、固定基盤23Aの第1及び第2のヨーク支持部23d,23eの上面に第1及び第2のヨーク36C,36Dをそれぞれ固定する。このとき、各ヨーク36C,36Dの下部片36bを各ヨーク支持部23d,23eの上面に設けた嵌合溝72に嵌合し、その上方に上部片36aに固定したマグネット37A,37Bを配置して、接着剤等の固着手段を用いて一体的に固定する。
次に、固定基盤23Aのベース部23aの上に第2の移動枠22を臨ませ、第2の移動枠22の第3の副軸受部46に設けた第2の軸受溝48を、第4の副軸受部54の2つの軸受片54a,54b間に固定支持されている第2の副ガイド軸49に摺動自在に係合させる。これと共に、第2の移動枠22の第3の主軸受部45を第4の主軸受部52の2つの軸受片52a,52b間に介在させる。そして、2つの軸受片52a,52bに設けた軸受孔52cと第3の主軸受部45の貫通穴に第2の主ガイド軸47を貫通させ、その両端の突出部を2つの軸受片52a,52bで回動自在且つ軸方向へ移動可能に支持する。これにより、第2の移動枠22が固定基盤23Aに対して、特定された一方向である第2の方向Yへ所定距離、即ち、第4の主軸受部52の2つの支持片52a,52bの内面間の距離から第3の主軸受部45の長さを引いた分だけ移動可能に支持される。
次に、第1の移動枠21Aのコイル固定部21d,21eに、予め第1及び第2のコイル57,58が実装されたフレキシブル配線板56の第1及び第2のコイル載置部56a,56bを搭載し、これを接着剤等の固着手段を用いてそれぞれ固定する。このコイル固定部21d,21eに対するコイル57,58の固定作業は、第1の移動枠21にフレキシブル配線板56を固定した後であってもよい。次いで、第2の移動枠22の上に第1の移動枠21Aを臨ませ、第1の移動枠21Aの第1の副軸受部32に設けた第1の軸受溝34を、第2の副軸受部42の2つの軸受片42a,42b間に固定支持されている第1の副ガイド軸35に摺動自在に係合させる。
次に、第1の移動枠21Aの第1の主軸受部31を第2の主軸受部41の2つの軸受片41a,41b間に介在させる。そして、2つの軸受片41a,41bに設けた軸受孔41cと第1の主軸受部31の貫通穴に第1の主ガイド軸33を貫通させ、その両端の突出部を2つの軸受片41a,41bで回動自在且つ軸方向へ移動可能に支持する。これにより、第1の移動枠21Aが第2の移動枠22に対して、第2の方向Yと直交する第1の方向Xへ所定距離、即ち、第2の主軸受部41の2つの軸受片41a,41bの内面間の距離から第1の主軸受部31の長さを引いた分だけ移動可能に支持される。
この場合、第1の主ガイド軸33は、第1の主軸受部31の両端から同程度の長さを突出させる。そして、第1の主軸受部31によって第1の主ガイド軸33の略中央部を圧入等によって固定支持する。同様に、第2の主ガイド軸47は、第3の主軸受部45の両端から同程度の長さを突出させる。そして、第3の主軸受部45によって第2の主ガイド軸47の略中央部を圧入等によって固定支持する。これにより、像ぶれ補正装置6の組立作業が完了し、図12〜図15に示すような構成を有する像ぶれ補正装置6が得られる。
なお、第1の移動枠21Aと第2の移動枠22と固定基盤23Aとの間の位置決めは、前記実施例と同様であり、例えば、それぞれの部材に所定の位置決め穴を設け、それらの位置決め穴に基準ピンを挿入して位置決めするようにする。これにより、第1の移動枠21Aと第2の移動枠22との間、及び第2の移動枠22と固定基盤23Aとの間を相対的に仮固定して、簡単且つ確実に位置合わせすることができる。
このような構成を有する像ぶれ補正装置6の作用は、前記実施例と同様である。即ち、像ぶれ補正装置6の補正レンズ15の移動は、フレキシブル配線板56を介して第1の電動アクチュエータ24の第1のコイル57及び第2の電動アクチュエータ25の第2のコイル58に対して適宜な値の駆動電流を選択的に又は同時に供給することによって実行される。
図16〜図20に示す像ぶれ補正装置6Aは、第3の実施の例の変形例として示す第4の実施の例に係るものである。この像ぶれ補正装置6Aが前述した第3の実施の例に係る像ぶれ補正装置6と異なるところは、2つのホール素子26,27の配置を換えたところだけである。そのため、ここでは、像ぶれ補正装置6Aの変更部分について説明し、同一部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図16及び図17等に示すように、第1のホール素子26は第1のコイル57の外側、即ち、補正レンズ15から離れる側に配置されていて、その位置でフレキシブル配線板56の第1のコイル載置部56aに実装されている。また、第2のホール素子27は第2のコイル58の外側、即ち、補正レンズ15から離れる側に配置されていて、その位置でフレキシブル配線板56の第2のコイル載置部56bに実装されている。この場合、第1のホール素子26は、その磁力検出部の中央を第1のマグネット37Aの外縁が横切るように設置する。同様に、第2のホール素子27は、その磁力検出部の中央を第2のマグネット37Bの外縁が横切るように設置する。その他の構成は、前記実施例と同様である。このように構成することによっても、前記実施例と同様の効果を得ることができる。
このような構成を有する本願発明の像ぶれ補正装置5(又は5A,6,6A)によれば、補正レンズ15と位置検出手段であるホール素子26(又は27)との位置関係について、最適な配置形態を取ることが可能となる。この位置関係を、図22A〜22C(及び図23A〜23C)を参照して説明する。なお、この実施例では、第1の主ガイド軸33のガタツキによる第1のホール素子26と補正レンズ15の関係のみを説明しているが、第2の主ガイド軸47のガタツキによる第2のホール素子27と補正レンズ15の関係であっても同様である。また、図22及び図23の説明において、前記実施例で示した部分と同一部分には同一の符号を付して説明する。
移動枠21の略中央部に設けた貫通穴に補正レンズ15が嵌合されている。移動枠21は、半径方向の2方向に突出する第1のアーム部21gと第2のアーム部21hを有しており、2つのアーム部21g,21hは、90度回転変位した位置に設けられている。そして、第1のアーム部21gと180度回転変位した位置には軸受凸部32が設けられている。第1のアーム部21gの先部には、補正レンズ15の法線方向へ貫通するように主ガイド軸33が設けられている。
主ガイド軸33の両端は、第1のアーム部21gの両側面から側方へ突出している。この主ガイド軸33の両突出部は、ベース板の2つの軸受部41a,41bによって軸方向へ摺動自在に支持されている。軸受凸部32は、コ字状若しくはU字状をなして側方に開口したガイド溝を有しており、そのガイド溝には副ガイド軸35が摺動可能に挿通されている。副ガイド軸35は、ベース板の2つの軸受部42a,42bによって固定支持されている。これにより、移動枠21は、主ガイド軸33と副ガイド軸35にガイドされて、その軸方向へ所定距離だけ移動可能に構成されている。
また、移動枠21の第2のアーム部21hには、移動枠21のための駆動手段の一部をなすコイル57と、位置検出手段であるホール素子26が搭載されている。コイル57は、平面方向に巻回されて略長方形に形成された平面コイルからなる。このコイル57は、その長手方向を主ガイド軸33の軸方向と直交する方向に延在させて設けられている。このコイル57の空間部59の略中央部にホール素子26が配置されている。なお、図23A〜23Cは、ホール素子26をコイル57の外側に配置したものである。即ち、同図23A〜23Cにおいて、コイル57の外側にホール素子26を配置した状態を実線で示し、コイル57の内側にホール素子26を配置した状態を二点鎖線で示している。
図22A〜22Cに示すように、補正レンズ15の中心をLo、主ガイド軸33の軸心線をGo、主ガイド軸33の軸方向中央から軸心線Goに対して垂直に交差させた第1の交差方向中心線をWo、ホール素子26の中央を通って第1の交差方向中心線Woと平行する第2の交差方向中心線をCo、レンズ中心Loを通って軸心線Goと平行する平行方向中心線をHoとする。更に、主ガイド軸33の軸径をd、この主ガイド軸33の突出部が挿通される軸受部41a,41bの穴径をD、2つの軸受部41a,41bの外側端面間の距離をBとする。そして、レンズ中心Loから第1の交差方向中心線Woまでの第1の方向Xの距離をSa、軸心線Goから平行方向中心線Hoまでの第2の方向Yの距離をSb、第1の交差方向中心線Woから第2の交差方向中心線Coまでの第1の方向Xの距離をSc、軸心線Goからホール素子26の中心までの第2の方向Yの距離をSdとする。
図22Aは、移動枠21に、平面方向に回動する外力が加えられていない初期の自由状態を示している。この状態から、平面方向に回動する外力が移動枠21に加えられると、その外力の向きに応じて移動枠21は、図22B又は図22Cに示すように、反時計方向又は時計方向に回動変位する。このとき、主ガイド軸33が軸受部41a,41bを摺動するためには、主ガイド軸33の軸径dと軸受部41a,41bの穴径Dとの間には、必ず隙間が必要とされる。そのため、移動枠21が回転変位すると、軸径dと穴径Dとの間に生ずる隙間(D−d)によって主ガイド軸21が傾き、主ガイド軸21の当初の軸心線Goに対する傾き角θが発生する。
このときの主ガイド軸33の傾き角θは、
θ=tan−1{(D−d)÷B}
として表される。
このときの移動枠21の回動変位により、補正レンズ15及びホール素子27には、ズレが生じる。
図22Bは、移動枠21が反時計方向に回動した状態を示しており、この場合、補正レンズ15のレンズ中心Loは、第1の交差方向中心線Woに近づく方向へ距離Xaだけ変位する。このとき、ホール素子26の中心を通る第2の交差方向中心線Coも第1の交差方向中心線Woに近づく方向へ距離Xcだけ変位する。また、図22Cに示すように、移動枠21が時計方向に回動する場合には、レンズ中心Loは、第1の交差方向中心線Woから離れる方向へ距離Xaだけ変位する。このとき、ホール素子26の中心を通る第2の交差方向中心線Coも第1の交差方向中心線Woから離れる方向へ距離Xcだけ変位する。
ここで、Xaは、主ガイド軸33が基準位置から角度θを回転変位したときの、主ガイド軸33の中心からその軸心線Goに対して垂直に立てた線(第1の交差方向中心線)Woと、補正レンズ15のレンズ中心Loを通って主ガイド軸33の軸心線Goと平行に延びる線(平行方向中心線を)Hoとが交差する交点Soからレンズ中心Loまでの第1の方向Xの距離Saの変化量である。
Xa=Sbsinθ−Sa+Sacosθ=Sbsinθ−Sa(1−cosθ)
また、Xcは、主ガイド軸33が基準位置から角度θを回転変位したときの、主ガイド軸33の中心からその軸心線Goに対して垂直に立てた線(第1の交差方向中心線)Woと、ホール素子26の中心を通って主ガイド軸33の軸心線Goと平行に延びる線(平行方向中心線)Hoとが交差する交点からホール素子26の中心までの第1の方向Xの距離Scの変化量である。
Xc=Sdsinθ−Sc+Sccosθ=Sdsinθ−Sc(1−cosθ)
このように、移動枠21が回転変位して主ガイド軸33が傾くと、その傾き角θに基づいて、主ガイド軸33の軸径dと軸受部41a(又は41b)の穴径Dとの隙間(D−d)を一辺とし、2つの軸受部41a,41bの外側端面間の距離Bを底辺とした直角三角形をなすズレが、補正レンズ15のレンズ中心Loとホール素子26の中心とに発生する。このようなズレを生じる結果、補正レンズ15とホール素子26の、主ガイド軸33が摺動する方向において相対距離に変化が生じ、補正レンズ15の位置検出精度が悪化する。また、コイル57に通電することによって生じるコイル57とホール素子26の温度上昇により、コイル57の抵抗やホール素子26の出力特性が変化する。
これにより、駆動手段としての推力が変化し、或いは、ホール素子26の位置検出誤差によって像ぶれ補正装置に性能低下が生ずることになるのが一般的である。特に、距離Sbに比べて距離Sdが十分に大きい場合(Sb<Sd)には、距離Xaに比べて距離Xcの値が大きくなる(距離Xaを小とすると、距離Xbは中となる。)ため、補正レンズ15の位置検出精度の悪化が顕著なものとなる。また、Sb>Sdであっても、Xaの値に比べてXcの値は小さくなり、像ぶれ補正の性能は悪化する。
ところが、本発明によれば、第1の主ガイド軸33から補正レンズ15までの第2の方向Yの距離Sbと、第1の主ガイド軸33から第1のホール素子26までの第2の方向Yの距離Sdとを略同一距離(Sb≒Sd)とする。そして、第2の主ガイド軸47から補正レンズ15までの第1の方向Xの距離と、第2の主ガイド軸47から第2のホール素子27までの第1の方向Xの距離とを略同一距離とする構成とした。これにより、距離(変位量)Xaと距離(変位量)Xcの値を共に小さくすることができる。その結果、主ガイド軸の傾きによる、補正レンズ15と位置検出素子26,27の主ガイド軸摺動方向における相対距離の変化を最小限に抑え、位置検出誤差を最小にして高性能な像ぶれ補正を実現することができる。
図24A〜24Hは、距離(変位量)Xaと距離(変位量)Xcの値の変化を示すグラフである。この試験は、各要素に以下のような値を適用して、算出した。即ち、Sa=2mm、Sb=15mm、Sc=20mm、Sd=15mm、B=20mm、d=1mm、D=1.01mm、θ=0.029°である。
図24Aは、SaをパラメータとしたときのXaとXcの変化を示している。この場合、XaとXcの値は、Saの変化(−3mmから7mmまで)にかかわらず0.0075mmで一定であった。そして、Xa−Xcの値は、0.000mmであった。図24Bは、SbをパラメータとしたときのXaとXcの変化を示している。この場合、Xaの値は、Sbの変化(10mmから20mmまで)に応じて、0.005mmから0.010mmまで比例的に増加している。一方、Xcの値は、0.005mm程度で一定であった。そして、Xa−Xcの値は、Xaの値の変化に対応して、略−0.0025mmから0,0025mmまで直線的に変化している。
図24Cは、ScをパラメータとしたときのXaとXcの変化を示している。この場合、XaとXcの値は、Saの変化(15mmから25mmまで)にかかわらず0.0075mmで一定であった。そして、Xa−Xcの値は、0.000mmであった。図24Dは、SdをパラメータとしたときのXaとXcの変化を示している。この場合、Xaの値は、略0.0075mmで一定であった。一方、Xcの値は、Sdの変化(10mmから20mmまで)に応じて、0.005mmから0.010mmまで比例的に増加している。これに対して、Xa−Xcの値は、Xcの値と逆比例するように、0.003mmから−0,0015mmまで直線的に変化している。
図24Eは、Saをパラメータとしたときの(Xa−Xc)÷Xaの変化を示している。この場合、求める値は、Saの変化(−3mmから7mmまで)に応じて、0.038%から0.022%まで直線的に変化している。図24Fは、Sbをパラメータとしたときの(Xa−Xc)÷Xaの変化を示している。この場合、求める値は、Sbの変化(10mmから20mmまで)に応じて、−50%から25%まで放物線のように変化している。図24Gは、Scをパラメータとしたときの(Xa−Xc)÷Xaの変化を示している。この場合、求める値は、Scの変化(15mmから25mmまで)に応じて、0.022%から0.038%まで直線的に変化している。また、図24Hは、Sdをパラメータとしたときの(Xa−Xc)÷Xaの変化を示している。この場合、求める値は、Sdの変化(10mmから20mmまで)に応じて、35%から−35%まで直線的に変化している。
以上から、XaとXcの相対距離の変化は、距離Sbと距離Sdの変化が支配的であり、且つ、距離Sbと距離Sdを同等にすることで、XaとXcの相対距離の変化を防止し或いは抑制することができる。前述したような構成及び作用を備えた像ぶれ補正装置5,5A及び6,6Aが、図26A,26Bに示すように、レンズ鏡筒3に装着されてレンズ装置1が構成されている。このレンズ装置1は、1群レンズ7にプリズム7Bを設けて光路を90度折り曲げた、いわゆる折曲げレンズと称されるものである。このレンズ装置1を用いることにより、例えば、図27及び図28に示すような外観を有する撮像装置が構成される。
次に、像ぶれ補正装置5(5A又は6若しくは6A)が装着されたレンズ装置1のレンズ系2の動作を、図25を参照して説明する。レンズ系2の対物レンズ7Aを被写体に向けると、被写体からの光が対物レンズ7Aからレンズ系2内に入力される。このとき、対物レンズ7Aを透過した光はプリズム7Bで90度屈折され、その後、レンズ系2の光軸Lに沿って撮像素子4に向かって移動する。即ち、プリズム7Bで反射されて1群レンズ7の第2のレンズ7Cを出た光は、2群レンズ8,3群レンズ9,4群レンズ10を経て5群レンズ11の第7のレンズ11A及び補正レンズ15を透過し、光学フィルタ14を経て撮像素子4の結像面に被写体に対応した画像が結像される。
この場合、撮影時において、レンズ装置1に手ぶれや振動が生じていないときには、被写体からの光は、実線で示す光6Aのように、1群レンズ7〜5群レンズ11のそれぞれ中心部を光軸Lに沿って移動するため、撮像素子4の結像面において所定位置に像を結ぶことになる。そのため、かかる場合には像ぶれを生ずることなく綺麗な画像を得ることができる。
一方、撮影時において、レンズ装置1に手ぶれや振動が発生すると、被写体からの光は、一点鎖線で示す光6Bか又は破線で示す光6Cのように、傾いた状態で1群レンズ7に入力されることになる。そのような入射光6B,6Cは、1群レンズ〜5群レンズのそれぞれにおいて、光軸Lからずれた状態で透過することになるが、その手ぶれ等に応じて補正レンズ15を所定量移動させることにより、その手ぶれ等を補正することができる。これにより、撮像手段4の結像面において所定位置に像を結ぶことができ、像ぶれを解消して綺麗な画像を得ることができる。
このレンズ装置1の手ぶれや振動等の有無は、像ぶれ検出手段によって検出するようにする。この像ぶれ検出手段としては、例えば、ジャイロセンサを用いることができる。このジャイロセンサをレンズ装置1と共にカメラに搭載し、撮影者の手の震えや揺れ等によってレンズ装置1に働く加速度、角速度、角加速度等を検出するようにする。このジャイロセンサで検出した加速度や角速度等の情報を制御装置に供給し、撮像素子4の結像面において所定位置に像を結ぶように、第1の方向Xの揺れに対しては第1の移動枠21(21A)を第1の方向Xに移動し、第2の方向Yの揺れに対しては第2の移動枠22を第2の方向Yに移動するように第1及び第2の電動アクチュエータ24,25を駆動制御する。
図27及び図28に示す撮像装置は、本発明に係る撮像装置の第1の実施の例を示すデジタルスチルカメラ100を現した図である。このデジタルスチルカメラ100は、情報記録媒体として半導体記録メディアを使用し、被写体からの光学的な画像を撮像素子4(CCDやCMOS等)で電気的な信号に変換して、半導体記録メディアに記録したり、液晶ディスプレイ等の平面表示パネルからなる表示装置に表示できるようにしたものである。
このデジタルスチルカメラ100は、図27等に示すように、横長とされた筐体からなるカメラ本体101と、このカメラ本体101に回動可能に支持されたカメラ部102とから構成されている。カメラ部102には、被写体の像を光として取り込んで撮像素子4に導くレンズ装置1が設けられている。そして、装置本体101には、撮像素子4から出力される映像信号に基づいて画像を表示する液晶ディスプレイ等の表示装置103と、レンズ装置1の動作や表示装置103の表示等を制御する制御装置104と、図示しないバッテリー電源等が設けられている。
カメラ本体101の長手方向である横方向の両端には、上方へ突出する第1及び第2の支柱部105,106が設けられており、両支柱部105,106の内側にカメラ部102を収納するためのレンズ系収納部107が形成されている。更に、装置本体101の第1の支柱部105側の側面の下部には、バッテリー収納部とメモリ収納部が側方へ開口するように設けられている。これらバッテリー収納部等は、装置本体101に回動自在に支持された開閉蓋108によって開閉自在とされている。バッテリー収納部には、例えばリチウム2次電池のようなバッテリー電源が着脱可能に収納される。また、メモリ収納部には、半導体メモリ(例えば、メモリカード等)の外部記憶装置が着脱可能に収納される。
装置本体101の第1の支柱部105の上面には、撮影用のシャッタボタン110が設けられている。第1の支柱部105の側面の上部には、モード選択ダイヤル111と電源スイッチ112が配置されている。モード選択ダイヤル111はリング状をなしており、その穴内に電源スイッチ112が押圧操作可能に収納されている。モード選択ダイヤル111は、例えば、静止画を撮影するモードと、動画を撮影するモードと、撮影した画像を再生したり記録するモード等を選択的に切り換えることができる回転スイッチである。また、電源スイッチ112は、バッテリー電源等によって供給される電力をオン・オフ切り換えるスイッチである。
図28に示すように、装置本体101の背面には、表示手段である平面表示パネル(LCD)103と、コントロールボタン114と、ズームボタン115と、方向選択手段である操作スティック116と、オート水平ボタン117等が配置されている。平面表示パネル103は、カメラ部102から供給される画像信号に基づいて被写体に対応した被写体画像を表示するもので、カメラ本体101の背面の第2の支柱部106側に配置されている。
コントロールボタン114は、カメラ本体101内に内蔵された記憶装置等に記憶されているメニューの内容を選択するもので、平面表示パネル103の横に配置されている。これらに関連してコントロールボタン114の下部には、平面表示パネル103の表示をオン・オフ切り換える表示切換ボタン118と、メニューの表示内容を切り換えるメニュー切換ボタン119が配置されている。ズームボタン115は、撮影時及び再生時において、被写体に対応する画像を連続して拡大したり縮小したりするもので、第1の支柱部105の基部に配置されている。このズームボタン115の上側に操作スティック116とオート水平ボタン117が横並びに配置されている。
カメラ本体101のレンズ系収納部107内に収納されていて、その状態で第1及び第2の支柱部105,106間に両端支持されている。即ち、レンズ鏡筒3には、筒軸方向の両端からそれぞれ外側へ突出する筒軸部が設けられている。これらの筒軸部を第1及び第2の支柱部105,106の各軸受でそれぞれ回動自在に支持することにより、カメラ部102がカメラ本体101に回動自在に支持されている。このカメラ部102は、レンズ系収納部107の大きさ及び形状に見合う大きさ及び形状を有する筐体からなるレンズ鏡筒3と、このレンズ鏡筒3内に収納されたレンズ系2等から構成されている。
更に、レンズ鏡筒3は、レンズ装置1の対物レンズ7Aが配置される前面側が膨出されていて、その反対側は円弧状の曲面とされている。このレンズ鏡筒3の厚みはカメラ本体101の厚みと略同一とされており、装置本体101にレンズ鏡筒3を装着した状態において、全体が略フラットな面となるように構成されている。このとき、レンズ鏡筒3の膨出側である前面は、装置本体101のレンズ系収納部107に対応する形状とされている。これにより、カメラ部102を回動させると、その前面が装置本体101の表面から突出した状態となり、その突出状態で所定角度(例えば300度)回動可能とされている。このレンズ鏡筒3の前面には、レンズ装置1の対物レンズ7Aが配置され、背面にファインダ121が設けられている。更に、レンズ鏡筒3の前面には、フラッシュ装置の発光部122等が設けられている。
このカメラ部102は、カメラ本体101に内蔵された鏡筒回動手段によって電動で回動可能とされている。このような鏡筒回動手段としては、例えば、電動モータと、その動力を伝達するギア列等によって構成することができる。なお、装置本体101には、重力の方向を感知する重力感知手段を内蔵して設けることが好ましい。この重力感知手段としては、例えば、加速度センサやジャイロセンサその他の装置であって、重力の方向を機械的な方法で検出することができる各種のものを適用することができる。この重力感知手段で重力の方向を検出し、その検出信号に基づきカメラ部102の姿勢を制御することにより、重力方向に対してカメラ部102を、常に所定の方向に向けておくことができる。
図29は、前述した像ぶれ補正装置5(又は5A,6,6A)の制御概念を説明するブロック図である。制御部130は、像ぶれ補正演算部131とアナログサーボ部132と駆動回路部133と4つの増幅器(AMP)134A,134B,135A,135B等を備えて構成されている。像ぶれ補正演算部131には、第1の増幅器(AMP)134Aを介して第1のジャイロセンサ136が接続されていると共に、第2の増幅器(AMP)134Bを介して第2のジャイロセンサ137が接続されている。
第1のジャイロセンサ136は、カメラ本体101に付加された手ぶれ等による第1の方向Xの変位量を検出し、第2のジャイロセンサ137は、カメラ本体101に付加された手ぶれ等による第2の方向Yの変位量を検出するものである。この実施例では、2個のジャイロセンサを設けて第1の方向Xの変位量と第2の方向Yの変位量を個別に検出する例について説明したが、1個のジャイロセンサで第1の方向X及び第2の方向Yの2方向の変位量を検出する構成としてもよいことは勿論である。
像ぶれ補正演算部131にはアナログサーボ部132が接続されている。アナログサーボ部132は、像ぶれ補正演算部131により算出された値をデジタル値からアナログ値に変換し、そのアナログ値に対応した制御信号を出力するものである。アナログサーボ部132には駆動回路部133が接続されている。駆動回路部133には、第3の増幅器(AMP)135Aを介して第1の位置検出手段である第1のホール素子26が接続されると共に、第4の増幅器(AMP)135Bを介して第2の位置検出手段である第2のホール素子27が接続されている。更に、駆動回路部133には、第1の方向駆動コイルである第1のコイル57が接続されていると共に、第2の方向駆動コイルである第2のコイル58が接続されている。
第1のホール素子26によって検出された第1の移動枠21(21A)の第1の方向Xの変位量は、第3の増幅器135Aを介して駆動回路部133に入力される。また、第2のホール素子27によって検出された第2の移動枠22の第2の方向Yの変位量は、第4の増幅器135Bを介して駆動回路部133に入力される。これらの入力信号とアナログサーボ部132からの制御信号に基づいて駆動回路部133では、像ぶれを補正するように補正レンズ15を移動するため、第1のコイル57と第2のコイル58の一方又は両方に対して所定の制御信号を出力する。
図30は、前述したような構成及び作用を有する像ぶれ補正装置5(又は5A,6,6A)を備えたデジタルスチルカメラ100の概略構成の第1の実施の例を示すブロック図である。このデジタルスチルカメラ100は、像ぶれ補正装置5(又は5A,6,6A)を有するレンズ装置1と、制御装置の中心的役割をなす制御部140と、制御部140を駆動するためのプログラムメモリやデータメモリその他のRAMやROM等を有する記憶装置141と、電源のオン・オフや撮影モードの選択或いは撮影等のための各種の指令信号等を入力する操作部142と、撮影された映像等を表示する表示装置103と、記憶容量を拡大する外部メモリ143等を備えて構成されている。
制御部140は、例えば、マイクロコンピュータ(CPU)を有する演算回路等を備えて構成されている。この制御部140に、記憶装置141と操作部142とアナログ信号処理部144とデジタル信号処理部145と2つのA/D変換器146,147とD/A変換器148とタイミングジェネレータ(TG)149とが接続されている。アナログ信号処理部144は、レンズ装置1に取り付けられた撮像素子4に接続されており、その撮像素子4から出力される撮影画像に対応したアナログ信号によって所定の信号処理を実行する。このアナログ信号処理部144は第1のA/D変換器146に接続されており、このA/D変換器146によって出力がデジタル信号に変換される。
第1のA/D変換器146にはデジタル信号処理部145が接続されており、第1のA/D変換器146から供給されたデジタル信号によって所定の信号処理を実行する。このデジタル信号処理部145には表示装置103と外部メモリ143が接続されており、その出力信号であるデジタル信号に基づいて、被写体に対応した画像が表示装置103に表示され、或いは外部メモリ143に記憶される。また、第2のA/D変換器147には、像ぶれ検出部の具体例を示すジャイロセンサ151が接続されている。このジャイロセンサ151によってデジタルスチルカメラ100の振れや揺れ等が検出され、その検出結果に応じて像ぶれ補正が実行される。
D/A変換器148には、像ぶれ補正のためのサーボ演算部である駆動制御部152が接続されている。駆動制御部152は、補正レンズ15の位置に応じて像ぶれ補正装置5(又は5A,6,6A)を駆動制御することにより像ぶれを補正するものである。駆動制御部152には、像ぶれ補正装置5(又は5A,6,6A)と、2つの移動枠21,22の位置を検出することによって補正レンズ15の位置を検出する位置検出部である第1のホール素子26と第2のホール素子27が接続されている。なお、タイミングジェネレータ(TG)149は撮像素子4と接続されている。
かくして、被写体の像がレンズ装置1のレンズ系2に入力されて撮像素子4の結像面に結像されると、その画像信号がアナログ信号として出力され、アナログ信号処理部144で所定の処理が実行された後、第1のA/D変換器146によってデジタル信号に変換される。第1のA/D変換器146からの出力は、デジタル信号処理部145で所定の処理が実行された後、被写体に対応した画像として表示装置103に表示され、或いは外部メモリ143に記憶情報として記憶される。
このような撮影状態において、像ぶれ補正装置5(又は5A,6,6A)が動作状態にあるものとして、デジタルスチルカメラ100に振れや揺れ等が生じると、ジャイロセンサ151がその振れや揺れ等を検出し、その検出信号を制御部140に出力する。これを受けて制御部140では、所定の演算処理を実行して、像ぶれ補正装置5(又は5A,6,6A)の動作を制御する制御信号を駆動制御部152に出力する。駆動制御部152では、制御部140からの制御信号に基づいて所定の駆動信号を像ぶれ補正装置5(又は5A,6,6A)に出力し、第1の移動枠21を第1の方向Xに所定量だけ移動すると共に、第2の移動枠22を第2の方向Yに所定量だけ移動する。これにより、補正レンズ15の移動を介して像ぶれを解消し、綺麗な画像を得ることができる。
図31は、前述したような構成及び作用を有する像ぶれ補正装置5(又は5A,6,6A)を備えたデジタルスチルカメラの概略構成の第2の実施の例を示すブロック図である。このデジタルスチルカメラ100Aは、像ぶれ補正装置5(又は5A,6,6A)を有するレンズ装置1と、制御装置の中心的役割をなす映像記録/再生回路部160と、映像記録/再生回路部160を駆動するためのプログラムメモリやデータメモリその他のRAMやROM等を有する内蔵メモリ161と、撮影された映像等を所定の信号に処理する映像信号処理部162と、撮影された映像等を表示する表示装置103Aと、記憶容量を拡大する外部メモリ164と、像ぶれ補正装置5を駆動制御する補正レンズ制御部165等を備えて構成されている。
映像記録/再生回路部160は、例えば、マイクロコンピュータ(CPU)を有する演算回路等を備えて構成されている。この映像記録/再生回路部160に、内蔵メモリ161と映像信号処理部162と補正レンズ制御部165とモニタ駆動部166と増幅器167と3つのインタフェース(I/F)171,172,173とが接続されている。映像信号処理部162は、レンズ装置1に取り付けられたCCD4に増幅器167を介して接続されており、所定の映像信号に処理された信号が映像記録/再生回路部160に入力される。
表示装置103Aは、モニタ駆動部166を介して映像記録/再生回路部160に接続されている。また、第1のインタフェース(I/F)171にはコネクタ168が接続されており、このコネクタ168に外部メモリ164が着脱自在に接続可能とされている。第2のインタフェース(I/F)172には、カメラ本体101Aに設けられた接続端子174が接続されている。補正レンズ制御部165には、第3のインタフェース(I/F)173を介して像ぶれ検出部である加速度センサ175が接続されている。この加速度センサ175は、カメラ本体101Aに付加される振れや揺れ等による変位を加速度として検出するもので、ジャイロセンサを適用することができる。補正レンズ制御部165には、補正レンズ15を駆動制御する像ぶれ補正装置5(又は5A,6,6A)が接続されていると共に、その補正レンズ15の位置を検出する2つの位置検出センサ26,27が接続されている。
かくして、被写体の像がレンズ装置1のレンズ系2に入力されて撮像素子4の結像面に結像されると、その画像信号が増幅器167を介して映像信号処理部162に入力される。この映像信号処理部162で所定の映像信号に処理された信号が映像記録/再生回路部160に入力される。これにより、映像記録/再生回路部160から被写体の像に対応した信号がモニタ駆動部166、内蔵メモリ161若しくは外部メモリ164に出力される。その結果、モニタ駆動部166を介して表示装置103Aに被写体の像に対応した画像が表示され、或いは、必要により情報信号として内蔵メモリ161若しくは外部メモリ164に記録される。
このような撮影状態において、像ぶれ補正装置5(又は5A,6,6A)が動作状態にあるものとして、カメラ本体101Aに振れや揺れ等が生じると、加速度センサ175がその振れや揺れ等を検出し、その検出信号を補正レンズ制御部165を介して映像記録/再生回路部160に出力する。これを受けて映像記録/再生回路部160では、所定の演算処理を実行して、像ぶれ補正装置5(又は6等)の動作を制御する制御信号を補正レンズ制御部165に出力する。この補正レンズ制御部165では、映像記録/再生回路部160からの制御信号に基づいて所定の駆動信号を像ぶれ補正装置5(又は6等)に出力し、第1の移動枠21を第1の方向Xに所定量だけ移動すると共に、第2の移動枠22を第2の方向Yに所定量だけ移動する。これにより、補正レンズ15の移動を介して像ぶれを解消し、綺麗な画像を得ることができる。
以上説明したように、本発明の像ぶれ補正装置、レンズ装置及び撮像装置によれば,軸と軸受けの隙間で発生する主ガイド軸の傾きがあっても、補正レンズと位置検出素子の主ガイド軸摺動方向の相対距離の変化を最小限に防ぐことができる。そのため、主ガイド軸の傾きによる位置ズレを最小限にして、補正レンズと位置検出手段との上記摺動方向の相対変化による位置検出精度の悪化を抑制し、高精度の像ぶれ補正を実現することができる。また、コイル及びホール素子の周囲における温度を温度検出手段で、第1の方向と第2の方向との間で絶対値の差を生ずることなく検出し、温度による位置検出誤差を抑えて、補正レンズの位置制御を行うことができる。これにより、構造がシンプルでありながら、小型で位置検出精度が高い、高性能な像ぶれ補正装置、その像ぶれ補正装置を有するレンズ装置、及び、そのレンズ装置を備えた撮像装置を提供することができる。
本発明は、前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施例においては、撮像装置としてデジタルスチルカメラを適用した例について説明したが、デジタルビデオカメラは勿論のこと、カメラ付きパーソナルコンピュータ、カメラ付き携帯電話その他各種の撮像装置に適用できるものである。更に、レンズ装置として5群レンズを用いた例について説明したが、4群レンズ以下であってもよく、また、6群レンズ以上のものに適用できることも勿論である。
1…レンズ装置、 2…レンズ系、 3…レンズ鏡筒、 4…撮像手段(CCD、CMOS等)、 5,5A,6,6A…像ぶれ補正装置、 15…補正レンズ、 21,21A…第1の移動枠、 21a…レンズ固定部、 21b、21c…ヨーク固定部、 21d、21e…コイル固定部、 22…第2の移動枠、 23,23A…固定基盤(支持枠)、 23a…ベース部、 23b,23c…コイル支持部、 23d,23e…ヨーク支持部、 24…第1の電動アクチュエータ(第1の駆動手段)、 25…第2の電動アクチュエータ(第2の駆動手段)、 26,27…ホール素子(位置検出手段)、 31…第1の主軸受部、 33…第1の主ガイド軸、 35…第1の副ガイド軸、 36A,36B…ヨーク、 37A,37B…マグネット、 41…第2の主軸受部、 42…第2の副軸受部、 45…第3の主軸受部、 46…第3の副軸受部、 47…第2の主ガイド軸、 49…第2の副ガイド軸、 52…第4の主軸受部、 54…第4の副軸受部、 56…フレキシブル配線板、 57…第1のコイル(偏平コイル)、 57a,57b…推進力発生部、 58…第2のコイル(筒状コイル)、 63…第1の副軸受部、 100…デジタルスチルカメラ(撮像装置)、 101…カメラ本体、 X…第1の方向、 Y…第2の方向、 MA1,MB1…極境界垂直面、 MA2,MB2…極境界水平面