JP2008268339A - 位相差板、その製造方法、その製造装置、並びに光学パラメータ決定方法、および偏光解析装置 - Google Patents

位相差板、その製造方法、その製造装置、並びに光学パラメータ決定方法、および偏光解析装置 Download PDF

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洋 岩崎
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Abstract

【課題】簡単な製造工程で作製できる位相差板、その製造方法、その製造装置、並びにより正確な値を特定可能な光学パラメータ決定方法、および偏光解析装置を提供する。
【解決手段】位相差板1は、基材層11と、基材層11の一方の側に設けられる光学異方性層12とで構成され、基材層11の面内の所定方向に電場ベクトルを有する偏光に対する、基材層11の屈折率と光学異方性層12の屈折率とが異なるものである。光学異方性層12は、基材の表面をラビングすることによって形成され、表面に微細な擦過痕を有する。
【選択図】図1

Description

この発明は、位相差板、その製造方法、その製造装置、並びに光学パラメータ決定方法、および偏光解析装置に関し、詳しくは液晶ディスプレイの視野角補償板などに用いられる位相差板、その製造方法、その製造装置、並びに光学パラメータ決定方法、および偏光解析装置に関する。
光の偏光方向に依存する屈折率を示し、光がその媒質を透過する際に偏光方向に応じた位相差を与える複屈折材料や、屈折率異方性により入射偏光を変換する位相差板は、偏光を利用する光学系の重要な構成要素である。とくに近年では、液晶ディスプレイのコントラストや色調などの視野角に依存する見え方の不均一を補償する目的で、位相差板の使用が顕著である。液晶ディスプレイの大面積化に伴って、これら位相差板の使用量は増大の一途をたどっている。
図15Aは従来の位相差板101の斜視図である。なお、この明細書において、面内の所定の方向をx方向、x方向と面内に垂直な方向をy方向、x方向と面法線方向に垂直な方向をz方向とする。位相差板101の光学異方性を説明するには、図15Bおよび図15Cに示すような屈折率楕円体を用いて、屈折率楕円体の主軸の長さ、すなわち主屈折率nX、nY、nZと、それらの主軸が外界に対してどちら向きになっているかによって表すことができる。
図15Bに示す屈折率楕円体で光学特性が表される位相差板101は、面内x方向の屈折率nXとy方向屈折率nYとの大きさが等しく、面法線方向の屈折率nZだけ大きさが異なるもので、このような位相差板はcプレートと呼ばれる。cプレートは面法線方向に異方性を有するため、z方向から入射し、面内のxまたはy方向に電場ベクトルを持つ偏光と、cプレートの斜め方向から入射し、面法線のz方向に電場ベクトルを持つ偏光とで進行速度が異なり、位相差が生じる。以下、この明細書において、このような面法線方向の異方性により生じる位相差を、面外方向の位相差と称する。
また、図15Cに示す屈折率楕円体で光学特性が表される位相差板101は、面内y方向の屈折率nYと面法線方向のnZとの大きさが等しく、面内x方向の屈折率nXだけ大きさが異なるもので、このような位相差板はaプレートと呼ばれる。aプレートは面内方向に異方性を有するため、z方向に入射する光に対し、x方向に電場ベクトルを持つ偏光と、y方向に電場ベクトルを持つ偏光とで進行速度が異なり、位相差が生じる。以下、この明細書において、このような面内方向の異方性により生じる位相差を、面内方向の位相差と称する。
しかしながら、位相差板を液晶ディスプレイなどの視野角補償の目的で用いるには、これら単純なaプレートやcプレート単体では作用が得られない場合が多い。したがって、面法線方向とは異なる方向に主軸をもつような液晶性媒質を利用したり、aプレートとcプレートとを重ねて一体として用いられることが多い。
例えば下記特許文献1には、光学異方性層を少なくとも2層有する位相差板について記載されている。特許文献1の位相差板は、図16に示すように基板111上に第1の光学異方性層112と第2の光学異方性層113とが積層されており、第1の光学異方性層112と第2の光学異方性層113とは液晶化合物を含むものである。この位相差板110の第1の光学異方性層112は、負の光学異方性を有しており、正の光学異方性などを補正することができる。
特開2005−84278号公報
しかしながら、特許文献1のように複数層からなる位相差板は、液晶化合物を含む層などを形成する工程を必要とする。また、複数の位相差板を用いた場合は、これらを貼り合わせる工程などを有する。そのため、工程数が増え、製造工程が複雑化する難点があった。したがって、簡単な工程で作製可能な高機能な位相差板、その製造方法、およびこのような位相差板を製造することができる位相差板製造装置が望まれている。
また、より高機能な位相差板を製造するため、位相差の光学パラメータをより正確に特定する方法および測定装置が求められている。
したがって、この発明の目的は、簡単な製造工程で作製できる位相差板、その製造方法、その製造装置、並びに光学パラメータ決定方法、および偏光解析装置を提供することにある。
上述の課題を解決するために、第1の発明は、基材層と、
基材層の一方の側に設けられ、表面に微細な擦過痕を有する光学異方性層と、を備え、
基材層の面内の所定方向に電場ベクトルを有する偏光に対する、基材層の屈折率と光学異方性層の屈折率とが異なる
ことを特徴とする位相差板である。
第2の発明は、基材または基材上に設けられた高分子膜の一方の側をラビングして光学異方性層を形成する工程を備え、
基材の面内の所定方向に電場ベクトルを有する偏光に対する、基材の屈折率と光学異方性層の屈折率とが異なる
ことを特徴とする位相差板の製造方法である。
第3の発明は、基材表面をラビングするラビング部と、
基材表面のラビングの前およびラビングの後の少なくとも一方において基材の表面の位相差を測定する光学異方性測定部と、
光学異方性測定部の測定結果に基づいて、ラビング部のラビングの強度を調節する制御部と、を備え
光学異方性測定部は、位相差板の法線方向からの入射光に対する面内方向の位相差と、基材の斜め方向からの入射光に対する面外方向の位相差とを検出する
ことを特徴とする位相差板製造装置である。
第4の発明は、板状ないしシート状試料を対象とする屈折率および吸収係数の空間分布を記述する光学パラメータ決定方法であって、
試料上の同一領域に対して、領域からの反射光に対する偏光解析と、領域からの透過光に対する偏光解析を併せて実行し、
試料内に仮定された屈折率および吸収係数の分布に基づく偏光解析結果の計算が、反射光および透過光に対する偏光解析の測定結果の両方を整合的に再現し得る場合に、基材内に仮定された屈折率および吸収係数が基材の屈折率および吸収係数の推定値として良い値であると判断する光学パラメータ決定方法である。
第5の発明は、板状ないしシート状試料を対象として反射光と透過光に対する偏光解析を併せて実行する偏光解析装置であって、
試料上の所定の領域を照射する第1の光源部と、
第1の光源部からの光束の上記試料からの透過光に対して偏光解析に必要な測定値を得る第1の検出部と、
試料上の上記所定の領域と同一の領域を照射する第2の光源部と、
第2の光源部からの光束の試料からの反射光に対して偏光解析に必要な測定値を得る第2の検出部とを有する
ことを特徴とする偏光解析装置である。
第6の発明は、板状ないしシート状試料を対象として反射光と透過光に対する偏光解析を併せて実行する偏光解析装置であって、
基材上の所定の領域を照射する光源部と、
光源部からの光束の試料からの透過光に対して偏光解析に必要な測定値を得る第1の検出部と、
光源部からの光束の試料からの反射光に対して偏光解析に必要な測定値を得る第2の検出部とを有する
ことを特徴とする偏光解析装置である。
第7の発明は、板状ないしシート状試料を対象として反射光と透過光に対する偏光解析を併せて実行する偏光解析装置であって、
試料の一方の側に配置され、試料上の所定の領域を照射する第1の光源部と、
試料の上記一方の側と対向する他方の側に配置され、試料上の上記所定の領域を照射する第2の光源部と、
試料の上記一方の側で、且つ第1の光源部を出て試料で反射された光束と、第2の光源部を出て試料を透過した光束とを受ける場所に配置され、所定の領域の透過光および反射光に対して偏光解析に必要な測定値を得る第1の検出部と、
試料の他方の側で、且つ第1の光源部を出て試料を透過した光束と、第2の光源部を出て試料で反射された光束とを受ける場所に配置され、所定の領域の透過光および反射光に対して偏光解析に必要な測定値を得る第2の検出部とを有する
ことを特徴とする偏光解析装置である。
第8の発明は、板状ないしシート状試料を対象として反射光に対する偏光解析を実行する偏光解析装置であって、
試料の一方の側に配置され、試料上の所定の領域を照射する光源部と、
光源部からの光束の試料からの反射光に対して偏光解析に必要な測定値を得る検出部と、
試料の一方の側と対向する他方側で光源部からの光束に照射される領域を覆い、試料表面に接する様態に配置された透明媒質からなるプリズムとを有する
ことを特徴とする偏光解析装置である。
第1および第2の発明では、所定の方向に電場ベクトルを有する偏光に対し、光学異方性層の屈折率の値と基材層の屈折率の値とが異なるので、透過光に偏光方向に応じた位相差を与えることができる。
第2および第3の発明では、ラビングの強度や方向などの製造条件の調節容易な物理的手段によって、基材表面に異方性を導入することができる。
第4の発明では、試料の偏光解析の測定結果と試料内に仮定された屈折率および吸収係数の分布に基づく偏光解析結果の計算から、試料の屈折率および吸収係数の推定値を得ることができる。
第5ないし第7の発明では、共通の光束で照射された試料からの透過光および反射光を受光可能な位置に光源部と検出部とがそれぞれ配置されるため、試料上の同一の領域の透過光および反射光に対する偏光解析を実行することができる。
第6の発明では、一台の光源部を用いて試料上の同一箇所を対象に反射光と透過光に対する偏光解析を同時並行的に実現することができる。
第8の発明では、試料上の所定の領域にプリズムが配置されることにより、光源部から試料へ入射した光がプリズム内に入り、試料裏面で反射する光を減少させることができる。
この発明の第1ないし第3の発明によれば、簡単な製造工程で位相差板を得ることができる。
この発明の第4の発明によれば、試料の屈折率および吸収係数の値としてより適切と考えられる推定値を決定することができる。
この発明の第5ないし第8の発明によれば、位相差板などの試料の所定の領域の透過光および反射光に対する偏光解析を実行することで、試料の有する光学的特性をより正確に特定することができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
(1)第1の実施形態
(1−1)位相差板の構成
この発明の第1の実施形態による位相差板1の構成を図1に示す。図1Aは位相差板1の斜視図の一例であり、図1Bは位相差板1の拡大断面図の一例である。第1の実施形態の位相差板1は、例えば板状ないしシート状の基材表面を直接ラビングすることにより光学異方性が導入されて形成された光学異方性層12と、基材表面のラビングの影響が及ばない基材層11とで構成される。なお、第1の実施形態では、図1Aに示すように例えば略長方形の基板11の長手方向と平行な方向をx方向、長手方向と垂直な方向、すなわち短手方向と平行な方向をy方向、基材11の法線方向をz方向とする。
基材には、例えば透明性を有するプラスチックフィルムなどの可撓性フィルムを使用することができる。基材に可撓性フィルムを用いることにより、基材を作製後にロールしておくことができるため、大面積の位相差板1を連続生産することが可能となる。このようなプラスチックフィルムとしては、公知の高分子フィルムを使用することができる。公知の高分子フィルムとしては、具体的には例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アモルファスポリオレフィン、ポリイミド(PI)、ポリアミド、アラミド、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ジアセチルセルロース、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられ、これらの中から適宜選択して用いることができる。中でも、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネートは、ラビングによって異方性を導入しやすい。このような高分子フィルムは、必要に応じて光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤などを有していてもよい。また、高分子フィルムは光学的に等方性のものでも、異方性を有するものでもよい。
また、基材としてガラスを使用することができる。これにより、基材の有する異方性を小さく抑えることができると共に、耐熱性や機械的保持などの特性を向上させることができる。
基材の厚さは、生産性の観点から、また可撓性や強度の観点から選択され、好ましくは20μm〜1200μmであるが、この範囲に特に限定されるものではない。
光学異方性層12は、上述のように基材表面をラビングすることにより光学異方性が導入されて形成されたものである。基材の有する光学異方性にもよるが、基材表面を例えばx方向にラビングすることによって、面内x方向に遅相軸を有する光学異方性が導入される。すなわち、x方向の屈折率nxがy方向の屈折率nyよりも大きくなる。この光学異方性層12の有する光学異方性によって、位相差板の法線方向であるz方向に伝搬し、x方向に電場ベクトルを持つ光(以下、X偏光と適宜称する)に対する屈折率は、z方向に伝搬し、面内y方向に電場ベクトルを持つ光(以下Y偏光と適宜称する)に対する屈折率より高くなり、X偏光はY偏光に対して相対的に位相が遅れる。なお、ラビングの方向はx方向に限定されるものではなく、基材表面の所定の方向に行うことができる。
基材表面のラビングにより光学異方性が導入された光学異方性層12は、ラビングの効果が及ばない基材層11と、屈折率、吸収係数などの光学パラメータが異なるものである。したがって、第1の実施形態の位相差板1は、位相差板1の面内の所定方向に電場ベクトルを有する偏光に対する、基材層11の屈折率と光学異方性層12の屈折率とが異なり、好ましくは基材層11の屈折率の値と光学異方性層12の屈折率の値とが0.003以上異なるものである。0.003より小さい値の屈折率の変化は、意図的に施したラビング以外の接触によって生じる場合があるためである。この屈折率の相違は、光学異方性層12において分極率異方性を有する分子の配向の集中度合いがラビングによって変化することによって生じる場合もあれば、分子軸が集中を示す方向がラビングによって傾くことによって生じる場合もある。
光学異方性層12の厚さは、0.001μmより大きく、1μmより小さいことが好ましく、より好ましくは0.005μm以上0.1μm以下である。表面から厚さ0.001μm以下の領域では、意図的に施したラビング以外の接触によっても影響を受け易く、工業的な制御が困難であるからである。0.005μm以上の領域では、ラビング以外の接触によって影響をより受けにくくなる。一方、1μm以上では、基材の深部まで異方性を誘起する目的でラビングによる圧しつけ摩擦を強く行うため、高分子媒質などからなる基材の表面が傷で白濁してしまい、光学異方性層12を透明な状態で保つことが困難であるからである。光学異方性層12の表面を目だって傷つけず、ヘイズ値の上昇を抑制して透明性を損なわないことを重視する場合は、光学異方性層12の厚さを0.1μm以下とすることがより望ましい。また、基材としてトリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アモルファスポリオレフィンなどの高分子フィルムを用いた場合、光学異方性層の厚さを例えば0.03μm以下にとどめれば、光学的利用の障害となる光の散乱の増加を招かずに異方性の導入ができる。
光学異方性層12の屈折率、厚さ、および基材層11の屈折率は、例えば基材層11と、基材層11の一方の側に設けられる光学異方性層12とで構成される光学的構造モデルを決定することにより求められる。均一な媒質は、屈折率楕円体の軸の長さ(主屈折率)、屈折率楕円体の傾きなどのパラメータ、また吸収を示す場合には屈折率の虚数成分も含めた光学パラメータの組みによって特徴づけられる。複数の層の集合体からなる試料の光に対する応答ないし光に対する作用は、それらすべての層に関する光学パラメータと厚さのすべての値の組みに基づいて決定される。その意味で、それらパラメータおよび厚さの総体を、試料の光学的構造モデルと呼ぶ。あるパラメータの値を仮定した光学的構造モデルから予期される偏光解析の結果を計算によって求めた値と、位相差板1の有する位相差の実測値とを用いて、パラメータ・フィッティングを行うことによってパラメータの正しい値(推定された候補値として出発するが、実測との比較の過程を経て合理的信頼性が保証された確定値)が決定される。
以下、パラメータ・フィッティングの具体的な方法について説明する。まず、ラビング処理を行う前の基材の位相差を、例えば後述する光学異方性測定部を用いた偏光解析によって検出する。そして、検出した値を再現できる基材の光学的構造モデルを仮定して、光学的構造モデルから予期される偏光解析の結果を計算によって求め、実測結果がよく再現できる光学的構造モデルを特定する。基材が均質な媒質であれば、光学的構造モデルは一つの層だけを含むもので実測結果がよく再現される。これにより、基材の光学パラメータ(すなわち、基材層11の光学パラメータ)を特定する。
次に、ラビング処理を行った後の位相差板1の位相差を例えば光学異方性測定部を用いて検出する。そして、検出した値を再現できる位相差板1の光学的構造モデルを求める。ここではラビングによって基材表面に基材深部(基材層11)とは異なる光学パラメータをもつ光学異方性層12が形成されているので、段落[0038]で求めた基材層11の光学パラメータを持つ第1の層と、ラビングされた表面側に位置し、第1の層とは異なる光学パラメータを有する第2の層との二つの層からなる光学的構造モデルが、想定される最も簡単な構造となる。この光学的構造モデルに基づいて実測結果を矛盾なく再現することができれば、位相差板1の光学パラメータを特定できたことになる。なお、この処理は、例えば後述する位相差板製造装置の演算部30で行うことができる。
ラビングにより光学異方性層12に導入された光学異方性の特徴、すなわち屈折率や厚さなどは、上述の段落[0038]、段落[0039]で対象となった基材単層の光学的構造モデルと、表面に光学異方性を有する層を含む光学的構造モデルとの両方を決定する過程で得られている。このようにして特定された基材層11と、光学異方性層12とからなる光学的構造モデルにより、位相差板1のあらゆる光学的特性を知ることができる。
ラビングの影響が、光学異方性層12の表面では顕著で、深さに伴って減少する場合もある。このような場合には、光学異方性層12の内部を、光学異方性層A、光学異方性層Bのようにさらに分割してモデル化を行い、計算を行うことによって、より正確な光学的構造モデルとすることができる。
光学異方性層12の表面には、基材表面にラビングを施すことにより生じる光学異方性の変化に付随して、機械的な形状変化が生じ、擦過痕が形成される。この擦過痕は、基材のラビング方向に従って形成される条痕で、例えばx方向にラビングした場合には、擦過痕はx方向に揃って存在する。この光学異方性層12の微細な表面形状の観察には、例えば原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)が用いられる。
光学異方性層12の表面形状の具体的な観察方法の一例を以下説明する。例えば光学異方性層12上の1μm×1μmの方形領域を対象に、512点×512点の分解能で表面の高さデータを取り込み、2次元フーリエ変換によって凹凸の空間周波数、あるいは波数ベクトルkを引数とするパワースペクトル密度関数p(k)を得る。波数ベクトルkの大きさは0〜0.25(1/nm)の範囲とする。
表面の擦過痕形状の方向性を調べる目的で、ある方向の波数ベクトルk1に沿うパワースペクトル密度関数p(k)と、それに直行する波数ベクトルk2に沿うパワースペクトル密度関数p(k)の分布とを比較しながら、波数ベクトルk1および波数ベクトルk2の方向を相互の角度を直角に保ったまま回転させると、ラビングを施した表面では、波数ベクトルk1に沿って、パワースペクトル密度が波数ベクトルk2に沿ったパワースペクトル密度よりも明らかに高くなるような波数ベクトルk1の方向がある。一方、ラビングを施さない表面の観察結果については、パワースペクトル密度関数p(k)は概ね等方的で、ある方向に沿った値が別の方向よりも著しく大きな値を示すことは特にない。
より定量的に示すと、ラビングを施した表面については、波数ベクトルk1に沿った積分∫p(k)dkの値が、波数ベクトルk1と直行する波数ベクトルk2に沿った積分∫p(k)dkの値より、20%以上大きいことが好ましい。あるいは、等方的な表面形状が多く共存する場合には波数ベクトルkの全範囲にわたる積分∫p(k)dkの方向による差は顕著な値にならないが、その場合にもパワースペクトル密度が等方的に高い波数範囲を除いて、ある限定されたkm<|k|<kMの範囲についての積分∫p(k)dkの値を比較すると、ある波数ベクトルk1に沿った積分∫p(k)dkの値が、それと直行する波数ベクトルk2に沿った∫p(k)dkの値の3倍に達するような異方性が観察されることが好ましい。これは、空間周波数がkm<|k|<kMの範囲にあるような擦過痕が一方向に揃って存在することを示している。
このような擦過痕の深さないし高さは、0.1nm〜10nmの範囲にある場合が多い。
(1−2)位相差板の製造方法
次に、この発明の第1の実施形態による位相差板1の製造方法について説明する。第1の実施形態の位相差板1では、強度の変更、調節が容易なラビングという物理的手段によって基材表面に光学異方性層12を形成するため、光学異方性層12に導入される光学異方性の大きさを機械的手段によって瞬時に変更することができる利点をもっている。一方、ラビングにより光学異方性を導入する効果は、ラビング布とラビングされる媒質である基材との相対速度、圧しつけの強さ、ラビングによる摩擦面からの放熱など様々な要因に依存するので、単純に1個の工程変数によって結果として得られる位相差の値を制御することは容易ではない。したがって、所定の大きさの光学異方性を導入して目標とする位相差の値を得る方法として、ラビング工程において位相差板1の有する位相差の値をその場で計測し、目標値との違いをラビング強度にフィードバック的に反映させるものが好ましい。以下、位相差板1の位相差計測に基いてラビング強度を制御し、所望の位相差値を有する位相差板1を製造する位相差板製造装置について説明する。
[位相差板製造装置]
図2は、位相差計測にもとづきラビング強度を制御する位相差板製造装置の一例を示す概略図である。図2に示す位相差板製造装置は、基材供給部21と、ラビング処理前の基材の光学異方性を測定する第1の光学異方性測定部25と、ラビング処理を行うラビング部22と、ラビング処理後の基材(位相差板1)の光学異方性を測定する第2の光学異方性測定部26と、第1の光学異方性測定部25および第2の光学異方性測定部26で検出された結果に基づいてラビング強度を決定する演算部30と、演算部30からの結果に基づいてラビング強度を調節するラビング制御部24とで主に構成される。
基材供給部21は、例えばロールされたシート状の基材を図2中の矢印Aの方向に所定の速度で順次送り出す。基材としてガラス板を用いた場合は、所定の速度で動く搬送ベルト上にガラス板を載せ、矢印Aの方向に順次移動させるようにすることができる。
第1の光学異方性測定部25は、基材供給部21から供給された基材の位相差を測定する。第1の光学異方性測定部25は、基材に光を照射する光源部27a、27b(以下、特定の光源部27a、27bを示さないときは、光源部27と適宜称する)、および基材を透過した光の成分を検出し、位相差を求める検出部28a、28b(以下、特定の検出部28a、28bを示さないときは、検出部28と適宜称する)で構成される。
光源部27aは、基材の法線方向から光を照射する。この法線方向からの光は基材を透過した後、検出部28aにより検出される。すなわち、光源部27aおよび検出部28aは、基材の法線方向からの入射光に対する、面内の所定の方向に電場ベクトルを有する偏光と、上記所定の方向と面内垂直方向に電場ベクトルを有する偏光との位相差(面内方向の位相差)を検出する。
一方、光源部27bは、基材の斜め方向から光を照射する。この斜め方向からの光は基材を透過した後、検出部28bにより検出される。すなわち、光源部27bおよび検出部28bは、基材の斜め方向からの入射光に対する、面内の所定の方向に電場ベクトルを有する偏光と、面法線方向に電場ベクトルを有する偏光との位相差(面外方向の位相差)を検出する。
このように、光源部27aおよび光源部28bからの光の入射角を変えて透過光を検出することにより、面内方向の位相差のみならず、面外方向の位相差を求めることができ、基材の面内方向に電場をもつ偏光に対する屈折率と、面法線方向に電場をもつ偏光に対する屈折率との差異に関する計測を可能とすることができる。また、入射角の異なる複数組の光源部27と検出部28とを併置して用いることで、基材への光の入射角を変えて測定を繰り返す時間を短縮することができる。図示はしないが光源部27からの光として基材表面に対して角度をもって集束する光線束を用い、光線束の部分であって異なる入射角で基材を透過した成分を、それぞれ検出部28を配列させた配列型の構成によって位相差を検出することにより、入射角依存を調べることもできる。
ラビング部22には、第1の光学異方性測定部25により位相差が測定された基材が供給される。ラビング部22は、例えばラビング布の巻かれたラビングローラ23を有する。ラビングローラ23は、例えば回転モ−タ(図示せず)により所定の回転数で回転駆動される。
ラビングローラ23の回転、および基材の移動に伴うラビング布と基材表面との接触により、基材表面にラビングが行なわれる。この時のラビングロ−ラ23の回転数、基材の移動速度およびラビング布の基材表面に与える押圧力(押し込み量)などのラビング条件が、ラビング制御部24によって適宜制御される。
ラビング処理された基材は、第2の光学異方性測定部26において位相差が測定される。第2の光学異方性測定部26は、例えば面内方向の位相差を検出する光源部27aおよび検出部28aと、面外方向の位相差を検出する光源部27bおよび検出部28bにより構成される。
光学異方性測定部で求められた位相差は、演算部30に供給される。演算部30では、ラビング処理前後の位相差の差、すなわち基材においてラビング処理により生じた位相差が求められる。また、目標の位相差の値と測定された位相差の値などを比較し、比較結果に基いてラビング条件を決定する。ラビング制御部24には、演算部30からラビング強度などのラビング条件の情報が供給される。ラビング制御部24は、目標の値の位相差が得られるようにラビング強度を調節する。
次に、光学異方性測定部における位相差の測定方法について具体的に説明する。位相差の測定方法は特に限定されるものではなく、公知の方法で行うことができる。公知の方法としては、例えば特許第2988164号公報に開示されているように、光源部27から一定の周波数差fを有し、互いに電場ベクトルが直交するふたつの直線偏光を同一の光路で位相差板1に入射させ、検出部28で透過波から検出される両周波数成分のビート周波数を測定し、位相差を求める方法がある。周波数f1の成分が例えば位相差板1の長手方向と平行であるx方向に偏光しており、周波数がfだけ高いf2=f1+fの成分が例えば位相差板1の長手方向と垂直であるy方向に偏光している場合、これらの光が透過している位相差板1の屈折率に変化がなければ、透過光から得られるビート信号の周波数は常にf2−f1=fである。しかし、例えばX方向の屈折率、すなわちx方向の偏光に対する屈折率が漸増すると、その間に周波数f1の成分は次第に長い光路長を通って検出部28に達するようになり、その間は検出部28で検出される周波数がf1よりΔfだけ低くなる。したがって、ビート周波数は、f2−(f1−Δf)=f+Δfのように、屈折率変化が無い場合に較べて高くなる。検出部28ではこのようにして検出されたビート周波数の変化に基いて、位相差板1の光路長の変化、さらには屈折率の変化を遡って求めることができる。
上述のような位相差測定方法では、全面透明で均一な厚さのフィルムなどの均質な基材からなる位相差板1上の一点から測定を開始して、対象点を動かしながら測定を行なう場合には、移動に伴うビート周波数の変化に基づいて、各点での位相差と測定の始点での位相差の両者の差の値を求めることができる。しかしながら、例えば位相差板1が画素境界などの不透明部分を有する液晶ディスプレイ・パネル用基板で、光源部27からの光がこの不透明部分を横切った場合や、厚みのある位相差板1の縁を横切った場合など、途中でビート周波数の測定が途切れるような不連続が生じる場合には、その前後で位相差の値を比較できなくなる。すなわち、個別の1点での測定に基づいて、その点における位相差の絶対値を求めることができない。
上述のような前後連続する測定結果の比較ではなく、個別の1点での測定に基づいて位相差を求めるためには、エリプソメトリー(偏光解析)のいくつかの方式によればよい。エリプソメトリー(偏光解析)の様々な形式が、例えば下記参考文献1に紹介されている。この参考文献1に紹介された回転検光子型、回転補償子型、位相変調器型などのいずれかを用いれば、個別箇所での測定に基づき、他所の測定結果を参照する必要なしに、その箇所を透過する光の位相差を求めることができる。
(参考文献1)
藤原裕之著、「分光エリプソメトリー」(丸善株式会社(2003)) 第4章
図3Aに、個別の1点での測定に基づいて位相差を求められる光学異方性測定部の具体的な構成を示す。光源部27は、光源31と、偏光子32と、ファラデー変調器33と、1/4波長移相子34により構成される。光源31は、例えばHe−Neレ−ザが用いられ、発振周波数の安定化した光を位相差板1へ照射する。偏光子32は、光源31からの光を直線偏光に変化させる。
ファラデー変調器33は、ガラス棒にコイルを巻いて磁場を印加するもので、偏光子32からの偏光を、磁化された媒質中を透過する際のファラデー効果によって偏光面を回転させると共に、交流的に振動させる。
ここで、この光学異方性測定部に用いたファラデー変調器33に流す電流と、偏光面の回転角θFとの関係を示す一例のグラフを図4に示す。図4のグラフは波長532nmの光に対するものである。1mAの電流の変化の検出は容易であるから、図4に示すグラフの傾きから、このファラデー変調器33を用いた光学異方性測定方法には、位相差Δについて7.2×10-4度の検出感度があるといえる。あるいは、位相差を光路差δで表すと、δ=(光の波長)×Δ/360°によって換算し、0.001nmレベルの感度があることがわかる。
ファラデー変調器33を通過した光は、1/4波長移相子34を通過後、位相差板1に入射する。位相差板1を通過した透過光は、偏光面の方向を検出する検光子35を通過して光検出子36で受光される。
図3Bに、上述の光源部27、位相差板1、および検出部28における各要素の光の変換に対応するジョーンズ行列を用いた光学系の記述を示す。(1、1)偏光を入れて、(1、−1)偏光出力を極小化するものである。位相差板1は、誘電主軸が(0、1)方向になるように固定し、光軸まわりの回転は省略している。図3B中、θFは偏光面の回転角、Δsは位相差であり、透過率の非対称を取り入れるため、位相差板1の行列にτ≡|ts|/|tp|を含めている。(τ:前式で定義される振幅透過係数の絶対値の比、ts:s偏光に対する振幅透過係数、tp:p偏光に対する振幅透過係数)
光検出子36は、検光子35を通過した光を受光し、下記に示す式1により透過光強度(I)を検出する。
(式1)
I=I0×[1+τ2−2τcos(Δs+2θF)]
位相差Δsは、ある大きさの偏光面回転θFをファラデー変調器33によって与え、上記式1により求められる透過光強度(I)が極小化されたときの値、すなわちΔs=2θFで求められる。上述のように、ファラデー変調器33を用いて位相差を測定する方法は変調法であることから、高速かつ高感度であるという利点を有する。また、零位法であるため、光源31の強度のドリフトの影響も受けず、精度が高い。また、測定の際に光源部27および検出部28などの光学素子の回転が不要で、変調のために機械的な振動などを用いることもなく、可動部がないため、堅牢かつ安定である。
このように、エリプソメトリー(偏光解析)でも特にファラデー変調を利用した方法によって位相差を求めることで、特許第2988164号公報のように他所の測定結果を参照する必要なしに、試料上の各点での個別の測定に基づいて、各点での位相差の値を測定することができる。また、特許第2988164号公報では加工ないし測定の対象となる試料の面内方向の異方性にのみ着目しており、垂直方向の異方性に関しては測定も制御も考慮されていないが、第1の実施形態の光学異方性測定部は上述のように光源部からの光の入射角を変えて透過光を検出することにより、面内方向の位相差のみならず、面外方向の位相差を求めることができる。
以下、光学異方性測定部として用いることのできる偏光解析装置の他の構成例について説明する。図5に示す光学異方性測定部の一例は、光源部27cと検出部28cとを透過配置型の構成として位相差板1の透過光を検出すると共に、光源部27dと検出部28dとを反射配置型の構成として位相差板1の反射光を検出するものである。透過配置と反射配置とはそれぞれ敏感な情報が異なることから、これら透過配置と反射配置との測定を組み合わせて偏光解析を行うことにより、位相差板1の位相差や、特に光学異方性層11の厚さなどの測定値は、透過配置または反射配置のいずれかの測定のみを行う場合に比べて、より精度の高いものとなる。検出部28cおよび検出部28dに、2つの光源部27からの光束や散乱光が同時に入ると雑音源となるため、例えば光源部27cと光源部27dとの入射角を相互に変えたり、スイッチやシャッターによって光源部の照射の切り替えをして測定することができる。
なお、試料面内の光学異方性の測定を目的とする場合には、透過光に対する偏光解析のための光束の入射角、すなわち光源部27cからの光束の位相差板1への入射角は、位相差板1の法線方向から5°以内であることが好ましい。このように垂直入射に近くすることで、透過光に関する測定結果に対しては、面外異方性の影響が小さくなるからである。
図6に示す光学異方性測定部の一例は、光源部27eと、透過測定用の検出部28cと、反射測定用の検出部28dとを備え、1つの光源部27eを共通に用いて、位相差板1からの反射光と透過光とをそれぞれ検出するものである。例えばシート状の位相差板1の厚みには大なり小なりのムラがあることから、異なる箇所で行った透過配置と反射配置との測定結果を組み合わせると、正しい結果が得られない場合があるが、このように1つの光源部27eを用いることにより位相差板1の同じ箇所において測定を行うことができるため、測定場所の狂いが生じなくなる。また、光源部27の個数を削減できると共に、他の光源部27からの光束や散乱光が同時に入るという問題もないことから、検出部28cおよび検出部28dで同時に測定して差し支えないため、測定の高速化に有利である。さらに、光源部27eの強度変動が検出部28cおよび検出部28dに共通に現れるので、透過光強度と反射光強度との比の測定値が強度変動に影響されないという利点を有する。
図7に示す光学異方性測定部の一例は、位相差板1の一方の側に設けられた光源部27eからの光束の透過光を検出部28eで検出し、反射光を検出部28fで検出すると共に、位相差板1の他方の側に設けられた光源部27fからの光束の透過光を検出部28fで検出し、反射光を検出部28eで検出するものである。これにより、偏光解析結果の精密性と信頼性をより向上させることができる。例えば、反射光の測定が透過光の測定に比べて位相差板1の表面に敏感であるような入射角が選ばれている場合、位相差板1の一方の面側の反射光は検出部28fによって敏感な測定ができ、位相差板1の他方の面側の反射光は検出部28eによって敏感な測定ができる。こうして、位相差板1が特に一方の面と他方の面とでそれぞれ異なる光学異方性を有する場合、互いに情報を補い合うことで、より詳細な情報が得られる。
なお、一つの検出部、例えば28fが測定を行なう際に、光源部27eと光源部27fからの光を同時に受けたくない場合には、スイッチやシャッターによって光源部27eおよび光源部27fの照射の切り替えをして測定することができることは言うまでもない。
図8Bに示す光学異方性測定部の一例は、反射光の測定において裏面反射の影響を軽減するものである。図8Aに示す反射光測定部では、光源部27dからの反射光を測定する検出部28dに、裏面反射光L2が入り、反射光に対する測定の精度が落ちるという問題がある。図8Bに示す光学異方性測定部は、板状試料の光源部27dが配置される面と対向する面に、プリズム29を有する。これにより、試料に入射した光がプリズム29内に入り、検出部28dには裏面反射光が入射しなくなるため、検出部28dは表面反射光L1の成分をより精度よく検出できる。プリズム29の有する屈折率は、屈折率が試料に近い値を持つことが好ましい。また、プリズム29と試料との圧接面に、試料と同じかそれよりも屈折率の高いカップリング液を入れることも、圧接された界面からの反射を抑制する点から効果的である。
[位相差板の製造]
まず、例えば上述の高分子材料などから高分子フィルムを作製し、基材とする。必要に応じて一軸延伸または二軸延伸などを行うことにより異方性を導入してもよい。
次に、例えば上述の位相差板製造装置を用いて基材表面にラビング処理を施す。第1の光学異方性測定部25は基材のラビング処理前の位相差を、第2の光学異方性測定部26は基材のラビング処理後の位相差をそれぞれ測定する。演算部30では、これらの位相差の値に基いて、ラビング処理により基材に導入された位相差の値を計測し、目標となる位相差の値との比較を行う。ラビング制御部24では、演算部30で求められた比較結果に基き、例えば基材に導入された位相差の値が目標となる位相差の値よりも小さい場合は、ラビングの強度が徐々に高まるよう、ラビング条件を調整する。また、基材に導入された位相差の値が目標となる位相差の値よりも大きい場合は、ラビングの強度が徐々に小さくなるよう、ラビング条件を調整する。このように、ラビングによって導入される位相差を常にモニタリングし、目標値との差をラビング強度にフィードバック的に反映させることにより位相差の微調整を行い、最終的に基材に所望の値の位相差を導入できる。
ラビングによって生じる異方性の遅相軸を、基材が予め有する異方性の遅相軸に合わせる方向にラビングを行なうことで、全体の位相差の絶対値を増大させることができる。一方、ラビングによって生じる異方性の遅相軸を、基材が予め有する異方性の遅相軸と面内で垂直となる方向にラビングを行うことで位相差が相殺し、絶対値を小さくすることができる。このように、基材が予め有する異方性の微調整を行うことも可能である。
第1の実施形態の位相差板1は、基材表面を直接ラビングするという物理的手段を用いて光学異方性を導入することができる。また、ラビングの強度や方向などを調節することにより光学異方性の大きさを制御し、位相差板1の位相差の大きさを所望の値にすることができる。したがって、所与の位相差板1枚では達成できなかった位相差を得る目的で基材11に例えば液晶性化合物などを有する層などを複数設けたり、複数の位相差板を張り合わせたりする工程を削減することができ、作業工程を簡略化することができる。
(2)第2の実施形態
(2−1)位相差板の構成
この発明の第2の実施形態による位相差板1は、図1に示す第1の実施形態の位相差板1と同様に基材層11と、基材層11の一方の側に設けられた光学異方性層12とで構成される。第2の実施形態では、基材上に設けられた透明な高分子膜の表面をラビングすることにより光学異方性層12が形成される。したがって、第2の実施形態では、高分子膜においてラビングの影響が及ばない層(以下、中間層と適宜称する)と基材とを合わせたものを基材層11と称する。なお、高分子膜表面のラビングの影響が高分子膜の全体に及ぶ場合には、基材自体が基材層11となる。
基材は、上述の第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
基材上に設けられる高分子膜としては、例えばポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル系紫外線硬化型樹脂などを用いることができる。特に、ポリイミド(PI)は耐熱性が高く、比較的高温の動作環境、たとえば画像投影装置などの内部での使用にも耐える利点をもっている。近年とくに可視域の吸収が小さい材料が開発されており、着色がないのでディスプレイ用途には好適である。この用途の位相板に用いるポリイミドについては、吸収係数αの値が波長500nmにおいてα<10(cm-1)であるものが望ましく、α<3(cm-1)であるものは特に好適である。
なお、中間層と基材とは、同様の屈折率を有することが好ましい。中間層と基材との界面における反射を抑制できるからである。
このような第2の実施形態の位相差板1について、上述のようにパラメータ・フィッティングによって光学的構造モデルを特定する場合には、基材層11を基材と中間層とからなる層として光学的構造モデルを仮定することが好ましい。これにより、位相差の実測結果をより定量的に再現できる光学的構造モデルが得られるからである。
これ以外のことは上述の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
(2−2)位相差板の製造方法
まず、例えばガラス板などからなる基材の一面側に、スピンコート法などにより高分子膜を形成する。基材上に設けられる高分子膜の厚さは、0.01μm〜1.0μmであることが好ましい。基材上の高分子膜表面のラビングにより形成される光学異方性層12が高分子膜内に納まる厚さだからである。
次に、例えば上述の位相差板製造装置を用いて、基材上に設けられた高分子膜表面をラビングして光学異方性を導入することにより、光学異方性層12を形成する。以上のようにして、第2の実施形態の位相差板1を簡単な工程で得ることができる。第2の実施形態の位相差板1は第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ラビングの強度や方向などを調節することにより光学異方性の大きさを制御することができる。
(3)第3の実施形態
(3−1)位相差板の構成
この発明の第3の実施形態による位相差板1は、図1に示す第1および第2の実施形態の位相差板1と同様の構成である。第3の実施形態の光学異方性層12は、ラビングにより面内方向の光学異方性(以下、面内異方性と適宜称する)と、面法線方向の光学異方性(以下、垂直異方性と適宜称する)とが導入されたものである。
光学異方性層12は、ラビングにより面内異方性および垂直異方性が導入されている。面内異方性を有することにより、面内方向の位相差に影響を及ぼすことができる。垂直異方性を有することにより、面外方向の位相差に影響を及ぼすことができる。したがって、第3の実施形態の位相差板1は、複数の光学異方性層を積層したり、位相差板を複数用いることなく、所望とする光学性能を達成することができる。
これ以外のことは上述の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
(3−2)位相差板の製造方法
第3の実施形態による位相差板1は、第1の実施形態と同様の方法により、例えば上述の位相差板製造装置を用いて製造することができる。位相差板1に用いる材料やラビング条件を適宜選択することによって、面内異方性と垂直異方性とを導入することができる。
第3の実施形態では、上述の第1の実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
(4)第4の実施形態
(4−1)位相差板の構成
図9は、第4の実施形態による位相差板40の拡大断面図の一例である。第4の実施形態の位相差板40は、基材と、この基材の一方の側に設けられた透明な高分子膜の表面をラビングして形成された第1の光学異方性層42と、基材の他方の側に設けられた透明な高分子膜の表面をラビングして形成された第2の光学異方性層43とで構成される。したがって、第4の実施形態の基材層41は、高分子膜においてラビングの影響が及ばない層(中間層)と基材とを合わせたものである。なお、高分子膜表面のラビングの影響が高分子膜の全体に及ぶ場合には、基材自体が基材層41となる。
位相差板40は、第1の光学異方性層42と第2の光学異方性層43とがそれぞれ有する異方性により、位相差板40全体として面内異方性が無くなるよう調節されている。すなわち、位相差板1の法線方向に進行する、x方向に電場ベクトルを有する偏光(X偏光と)と、y方向に電場ベクトルを有する偏光(Y偏光)とに位相差は生じない。
基材および基材上に設けられる高分子膜は、上述の第1および第2の実施形態と同様のものを用いることができる。
第1の光学異方性層42は、上述のようにラビングにより所定の面内異方性および垂直異方性が導入された層である。第4の実施形態では、例えば基材の一方の側に設けられた高分子膜表面をx方向にラビングすることにより、面内x方向の屈折率nx1がy方向の屈折率ny1よりも大きい第1の光学異方性層42が形成される。
第2の光学異方性層43も、上述のようにラビングにより所定の面内異方性および垂直異方性が導入された層である。第4の実施形態では、基材の一方の側に形成された光学異方性層42と対向する基材の他方の側に設けられた高分子膜表面をy方向にラビングすることにより、面内x方向の屈折率nx2がy方向の屈折率ny2よりも小さい第2の光学異方性層43が形成される。
なお、第1の光学異方性層42と第2の光学異方性層43のラビング方向は特に限定されるものではなく、第1の光学異方性層42はy方向のラビングを行い、第2の光学異方性層43はx方向のラビングを行ってもよい。
第1の光学異方性層42および第2の光学異方性層43は、第1の実施形態と同様にラビングによって生じる擦過痕を有する。第1の光学異方性層42および第2の光学異方性層43の厚さ、擦過痕などの特性などは上述の第1の実施形態と同様である。また、第1の光学異方性層42および第2の光学異方性層43と基材層41との屈折率の相違も、上述の第1の実施形態と同様である。
ここで、x、y、z方向の偏光成分に対する、第1の光学異方性層42および第2の光学異方性層43の異方性層厚に相当する光学的厚さは、屈折率×幾何学的厚さ(第1の光学異方性層42または第2の光学異方性層43の厚さ)により見積ることができる。第1の光学異方性層42の幾何学的厚さをd1、第2の光学異方性層43の幾何学的厚さをd2とすると、X偏光に対して光学的厚さはnx1×d1+nx2×d2、Y偏光に対して光学的厚さはny1×d1+ny2×d2となる。
第4の実施形態では、X偏光に対する光学的厚さおよびY偏光に対する光学的厚さが等しい、すなわち下記の式2を満たすよう調整される。これにより、位相差板40全体としての面内異方性を無くすことができる。
(式2)
x1×d1+nx2×d2=ny1×d1+ny2×d2
上述の式2を満たすような第1の光学異方性層42および第2の光学異方性層43を実現できることは、以下のように確認される。例えば、基材の両面に同種の材料から成る高分子膜を形成し、段落[0095]および段落[0096]に記述したように互いに直交する方向に、強度など同じ条件でのラビングを施す。この場合、高分子材料とラビング条件とが共通であることから、異方性が生じる第1の光学異方性層42の厚さd1と第2の光学異方性層43の厚さd2とは等しくなる。また、ラビング方向に電場ベクトルをもつ偏光に対する屈折率も等しい値をもつから、nx1=ny2である。また、ラビング方向に垂直方向に電場ベクトルをもつ偏光に対しても、光学異方性層の屈折率は等しく、ny1=nx2である。したがって、上述の式2が満たされる。このように、第1の光学異方性層42の有する面内異方性および垂直異方性と、第2の光学異方性層43の有する面内異方性および垂直異方性異方性のうち、両層の面内異方性が互いに相殺するような値に制御することにより、面内異方性が無く垂直異方性のみを有する位相差板40を得ることができる。
(4−2)位相差板の製造方法
まず、上述の第2の実施形態と同様の方法により、基材の両面に例えばスピンコート法などにより高分子膜を形成する。次に、例えば上述の位相差板製造装置を用いて、基材の一方の側に設けられた高分子膜上を例えばx方向にラビングを行い、第1の光学異方性層42を形成する。
次に、基材において第1の光学異方性層42が形成された側と対向する他方の側に設けられた高分子膜表面に、例えば位相差板製造装置を用いてラビングを行い、第2の光学異方性層43を形成する。ラビングを行う方向は、例えばx方向と面内において垂直な方向であるy方向である。なお、上述のように位相差板製造装置に目標とする位相差値を設定することにより、第1の光学異方性層42および第2の光学異方性層43に加わるラビング強度が調整され、第1の光学異方性層42および第2の光学異方性層43に所望の大きさの光学異方性が付与される。このようにして、面内方向の位相差の無い位相差板40を得ることができる。
第4の実施形態の位相差板40は、上述の第1の実施形態の有する効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
第4の実施形態の位相差板40は、基材の両面に設けられた高分子膜上を互いに異なる方向にラビングするという制御性良好な方法により、面内異方性の無い位相差板40を得ることができる。
(5)第5の実施形態
(5−1)位相差板の構成
図10は、第5の実施形態による位相差板50の拡大断面図の一例である。第5の実施形態の位相差板50は、基材と、この基材の一方の側に設けられた透明な高分子膜の表面をラビングして形成された第1の光学異方性層52と、基材の他方の側に設けられた透明な高分子膜の表面をラビングして形成された第2の光学異方性層53とで構成される。したがって、第5の実施形態の基材層51は、高分子膜においてラビングの影響が及ばない層(中間層)と基材とを合わせたものである。なお、高分子膜表面のラビングの影響が高分子膜の全体に及ぶ場合には、基材自体が基材層51となる。
基材および基材上に設けられる高分子膜は、上述の第1および第2の実施形態と同様のものを用いることができる。基材の一方の側に設けられる有機高分子膜と他方の側に設けられる高分子膜とは、それぞれ異なる材料を用いてもよいし、同じ材料を用いてもよい。基材の一方の側および他方の側に設けられる高分子膜の材料は、ラビングによって所望の異方性を導入するために適切な材料を選択することができる。
第1の光学異方性層52は、上述のようにラビングにより所定の面内異方性および垂直異方性が導入された層である。第5の実施形態では、基材の一方の側に設けられた高分子膜表面を例えば面内x方向に所定の強さでラビングすることにより、第1の光学異方性層52は、所定の面内方向の位相差δ‖1と面外方向の位相差δ⊥1とを有する。
第2の光学異方性層53も、上述のようにラビングにより所定の面内異方性および垂直異方性が導入された層である。第5の実施形態では、基材の一方の側と対向する他方の側に設けられた高分子膜表面を例えば面内y方向に所定の強さでラビングすることにより、面内方向の位相差δ‖2と面外方向の位相差δ⊥2とを有する。
なお、第1の光学異方性層52および第2の光学異方性層53のラビング方向は特に限定されるものではなく、例えば第1の光学異方性層52はy方向のラビングを行い、第2の光学異方性層53はx方向のラビングを行ってもよいし、第1の光学異方性層52および第2の光学異方性層53を同じ方向にラビングを行ってもよい。また、両面のラビング方向は、目的に応じて、直交あるいは平行でなくてもよい。
第1の光学異方性層52および第2の光学異方性層53は、第1の実施形態と同様にラビングによって生じる擦過痕を有する。第1の光学異方性層52および第2の光学異方性層53の厚さ、擦過痕などの特性などは上述の第1の実施形態と同様である。また、第1の光学異方性層52および第2の光学異方性層53と基材層51との屈折率の相違も、上述の第1の実施形態と同様である。
ここで、基材の両面に設けられた高分子膜表面をラビングすることにより導入された面内方向の位相差は、第1の光学異方性層52の面内方向の位相差δ‖1と第2の光学異方性層53の面内方向の位相差δ‖2とを合わせた値である。同様に、基材の両面に設けられた高分子膜表面をラビングすることにより生じた面外方向の位相差は、第1の光学異方性層52の面外方向の位相差δ⊥1と第2の光学異方性層53の面外方向の位相差δ⊥2とを合わせた値である。第5の実施形態の位相差板50は、基材の両面に設けられた高分子膜表面に施すラビング強度を調節することにより、位相差板50に所望の面内方向の位相差と面外方向の位相差を生じさせる。
以下、第1の光学異方性層52に加えるラビング強度および第2の光学異方性層53に加えるラビング強度を求める方法の一例を、ラビング強度と位相差との関係を表すシミュレーション結果に基づいて説明する。ラビングによって生じる異方性あるいは位相差は、ラビング強度がある程度以上強くなっても飽和する性質をもつが、飽和に至るまでのラビング強度範囲においては、位相差の絶対値はほぼラビング強度に比例して増大する傾向を示す。図11には、そのような比例的領域において、基材上に設けられた材質Aからなる高分子膜表面を強度XAでラビングすることにより形成された第1の光学異方性層52の面内方向の位相差(リタデーションδ‖A)および面外方向の位相差(リタデーションδ⊥A)と、基材上に設けられた材質Bからなる高分子膜表面を強度XBでラビングすることにより形成された第2の光学異方性層53の面内方向の位相差(リタデーションδ‖B)および面外方向の位相差(リタデーションδ⊥B)との関係を表すグラフをそれぞれ示す。なお、ラビング方向0°とは面内x方向にラビングしたもので、ラビング方向90°とは面内y方向にラビングしたものである。
図11のグラフより、高分子膜材料Aに対してx方向(0°)にラビングした場合の第1の光学異方性層52のリタデーションδ‖Aおよびリタデーションδ⊥Aはラビング強度XAに比例し、比例係数はそれぞれp、rである。また、高分子膜材料Bに対してy方向(90°)にラビングした場合の第2の光学異方性層53のリタデーションδ‖Bおよびリタデーションδ⊥Bはラビング強度XBに比例し、比例係数はそれぞれq、sである。
これより、ラビング処理により生じる位相差板50の面内方向の位相差δは下記の(式3)により求められ、面外方向の位相差δは下記の(式4)により求められる。
(式3)
δ=δ‖A+δ‖B=pXA+qXB
(式4)
δ=δ⊥A+δ⊥B=rXA+sXB
所望の面内方向の位相差δと面外方向の位相差δとを実現するためには、上記式3と上記式4に所望の値を代入することにより、式3と式4とはXAおよびXBに関する連立2元1次方程式となるから、通常の解法によってXAおよびXBを求めることができる。
なお、このシミュレーションでは、基材において高分子膜がAである側をx方向、高分子膜がBである側をy方向にラビングする条件でラビング強度XAおよびXBを算出したが、例えば高分子膜がAである側をx方向、高分子膜がBである側もx方向にラビングする条件で、ラビング強度XAおよびXBを算出してもよい。
このように、基材両面に設けられる高分子膜の材料、および高分子膜表面に施すラビング方向や強度などを調整することにより、位相差板50の全体としての面内方向の位相差と面外方向の位相差とをそれぞれ個別に制御することができ、所望の面内方向の位相差値および面外方向の位相差の値を得ることができる。
(5−2)位相差板の製造方法
まず、上述の第2の実施形態と同様の方法により、基材の両面に例えばスピンコート法などにより高分子膜を形成する。高分子膜は、基材の一方の側と他方の側とで異なる材料とすることができる。
次に、例えば上述の位相差板製造装置を用いて、基材の一方の側に設けられた高分子膜上をx方向にラビングを行い、第1の光学異方性層52を形成する。このとき、所望の面内方向の位相差および面外方向の位相差を得るために、上述の式2および式3を用いて算出されたラビング強度に基づいてラビングを行う。これにより、第1の光学異方性層52に所定の大きさの光学異方性を導入することができる。
次に、基材において第1の光学異方性層52が形成された側と対向する他方の側に設けられた高分子膜表面に、例えば位相差板製造装置を用いてy方向にラビングを行い、第2の光学異方性層53を形成する。このとき、所望の面内方向の位相差および面外方向の位相差を得るために、上述の式2および式3算出されたラビング強度に基づいてラビングを行う。これにより、第2の光学異方性層53に所定の大きさの光学異方性を導入することができる。
第5の実施形態の位相差板50は、第1の実施形態の位相差板1で得られる効果に加えて以下の効果を得ることができる。
第5の実施形態では、第1の光学異方性層52と第2の光学異方性層53のそれぞれの有する面内異方性および垂直異方性を個別に制御することにより、所望の面内方向の位相差および面外方向の位相差を得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、以下の試験例および実施例では、ラビング布には吉川化工(株)製のYA−20Rを用いてラビングを行った。また、特に記載の無い場合、ラビング強度は毛先の押しつけ量0.2mm、相対速度1.7m/sで1秒間とした。
<試験例1>
試験例1では、光学異方性測定部を用いた偏光解析による測定結果を用いてパラメータ・フィッティングを行い、位相差板の光学的構造を調べた。
まず、基材として略長方形であるガラス板を用い、このガラス板の一方の面上に、スピンコート法でポリイミドを塗布し、その後加熱乾燥と焼成により厚さ約90nmの等方性のポリイミド層を形成した。次に、このポリイミド層表面を位相差板製造装置を用いて、ガラス板の長手方向と平行にラビング処理を行い、光学異方性層を形成し、試験例1の位相差板を得た。
試験例1の位相差板を、図12Aに示すように、光の入射面を図中矢印aで示すラビング方向と平行に保って測定光線の入射角度θを変え、入射角θに対する位相差δを測定した。また、試験例1の位相差板を、図12Bに示すように、光の入射面を図中矢印aで示すラビング方向と垂直に保って測定光線の入射角度θを変えて、入射角θに対する位相差δを測定した。測定は、位相差測定装置を用いて行った。なお、入射角の通常の定義に従い、位相差板の法線Vの方向からの光の入射角θを0°とした、また、図12中の矢印は、入射角度θを変えるための位相差板の回転軸を示している。
次に、ラビング処理前のガラス板および等方性のポリイミド層の位相差の実測値に基づき、光学的構造モデルを仮定してパラメータ・フィッティングを行い、等方性ポリイミド層の光学パラメータを特定した。次に、ラビング処理後の位相差板の光学的構造モデルの位相差の実測値に基づき、光学的構造モデルを仮定してパラメータ・フィッティングを行い、位相差板の光学パラメータを特定した。ラビングによって形成された光学異方性層の光学パラメータは、ラビング処理前のガラス板および等方性のポリイミド層の光学的構造モデルと、ラビング処理後の位相差板の光学的構造モデルとを比較することにより求められた。
特定された光学的構造モデルを図13に示す。この光学的構造モデルは、ガラス基板62上に等方性ポリイミド層63と、光学異方性層64とを有するものである。ガラス基板62とラビングの影響が及ばない等方性ポリイミド層63とを仮定して光学的構造モデルを特定することで、実験結果を定性的に再現することができた。この光学的構造モデルの等方性ポリイミド層63の屈折率nは1.620、厚さd2は78nmである。光学異方性層64の厚さd1は10nm、屈折率楕円体の主軸の傾きθ1は15°、主屈折率の差Δnは0.0032である。
図14に、試験例1の位相差板の実測結果と、光学的構造モデルに基づく計算結果とを示す。図14中の記号「△」は、ラビング方向に平行な入射面内で測定した、入射角θに対する位相差δの実測結果である。記号「●」は、ラビング方向に垂直な入射面内で測定した、入射角θに対する位相差δの実測結果である。記号「○」は、ラビングを行っていない等方性ポリイミド層の形成された試料の測定結果である。また、曲線Aは、試験例1の位相差板に対応する光学的構造モデルに基づく計算によって、ラビング方向に平行な入射面内での入射角に対する位相差を求めた結果である。曲線Bは、試験例1の位相差板に対応する光学モデルに基づく計算によって、ラビング方向に垂直な入射面内での入射角に対する位相差を求めた結果である。
図14中の記号「△」の分布ならびに曲線Aの極小は入射角ゼロの位置には無く、図中矢印bに示すようにゼロから数度離れた位置にあることが認められる。すなわち、ラビング方向に平行な入射面内で測定された位相差δにおいて、入射角θの正負に関して位相差δの値が非対称である結果が得られた。この結果は、下記参考文献2において開示されている通り、屈折率楕円体の主軸の傾きを反映した非対称な結果が検出されたものである。
(参考文献2)
K. Sakamoto, et. al.,“Molecular orientation of polyimide films determined by an optical retardation method”, Applied Surface Science 100/101 (1996) 124-128
また、図14より、特定された光学モデルに基づく計算結果は実測結果をよく再現することがわかる。これより、試験例1の各段落において記述された解析手順によって位相差板の各方向の屈折率を求められ、面内成分の位相差に限らず位相板としてのあらゆる光学特性を知ることができることを確認できた。
<実施例1>
実施例1は、第1の実施形態に対応するものである。4.86nm位相差を有するトリアセチルセルロース(TAC)を基材として用い、位相差板製造装置を用いて、この基材の一方の側の表面に直接ラビングを行った。ラビングは、略長方形の基材の長手方向と平行に行い、相対速度1.7m/sの強度(中程度の強度)でラビングを行い、実施例1の位相差板を得た。この位相差板の位相差は、4.98nmであった。
<実施例2>
ラビングの強度を実施例1の強度よりも強くして、相対速度2.3m/sの強度とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の位相差板を得た。この位相差板の位相差は、5.02nmであった。
実施例1および実施例2より、既に位相差を有する基材の表面に施すラビングの強度によって、位相差の値が変化することがわかった。したがって、最終的に得たい位相差値を微調整することができ、所望の位相差値を得ることができる。
<実施例3>
実施例3は、第2の実施形態に対応するものである。まず、略長方形であるガラス板の一方の面上に、スピンコート法でポリイミドを塗布し、その後加熱乾燥と焼成により厚さ約80nmの等方性のポリイミド層を形成した。次に、このポリイミド層を位相差板製造装置を用いて、ガラス基板の長手方向と平行にラビング処理を行い、光学異方性層を形成し、実施例3の位相差板を得た。
次に、実施例3の位相差板の位相差を光学異方性測定部を用いて測定した。実施例3の位相差板は、位相差板の法線方向に入射する光に対する面内x方向に電場ベクトルを有する偏光と、y方向に電場ベクトルを有する偏光とに1.22nmの位相差が生じた。
次に、光学異方性測定部を用いて得られた測定結果に基いてパラメータ・フィッティングを行い、実施例3の位相差板に対応する光学的構造モデルを得た。
求められた光学的構造モデルより、ラビング方向に電場ベクトルをもつ波長540nmの光線に対して、光学異方性層の厚さは15nm、屈折率は1.781であった。一方、ガラス板とラビングの影響がおよばない高分子膜との屈折率(基材層の屈折率)は1.729であった。
以上の結果より、ラビングにより光学異方性が導入された光学異方性層の屈折率と基材層の屈折率との差は0.052であることから、光学異方性層の屈折率は基板の屈折率と比べて0.003以上異なる値であることが分かった。
<実施例4>
実施例4は、第3の実施形態に対応するものである。まず、略長方形であるガラス板の一方の面上に、スピンコート法でポリイミドを塗布し、その後加熱乾燥と焼成により厚さ約60nmの等方性のポリイミド層を形成した。次に、このポリイミド層表面を位相差板測定装置を用いてガラス板の長手方向と平行にラビング処理を行い、光学異方性層を形成し、実施例4の位相差板を得た。
実施例4の位相差板の位相差を光学異方性測定部を用いて測定した。その後、得られた測定結果に基いてパラメータ・フィッティングを行い、実施例4の位相差板に対応する光学的構造モデルを得た。
求められた光学的構造モデルより、ラビング方向に電場ベクトルをもつ偏光に対しては、屈折率が1.775で、位相差板の面内でラビング方向と垂直な方向の偏光に対する屈折率は1.703であること、また位相差板の法線方向に電場ベクトルをもつ偏光に対しては、屈折率が1.708であることがわかった。
以上の結果より、ラビングによって、面内異方性および垂直異方性を有する位相差板が得られることが分かった。
<実施例5>
実施例5は、第4の実施形態に対応するものである。長方形であるガラス板の両面上に、スピンコート法でポリイミドを塗布し、その後加熱乾燥と焼成により厚さ約60nmの等方性のポリイミド層を形成した。なお、実施例5において、略長方形のガラス板の長手方向と平行な方向をx方向、短手方向と平行な方向をy方向、ガラス基板の法線方向をz方向とする。
次に、このガラス板の一方の面に形成されたポリイミド層表面を、位相差板製造装置を用いてx方向にラビング処理を行い、第1の光学異方性層を形成した。その後、ガラス板上に設けられたポリイミド層表面に第1の光学異方性層を有する光学的構造モデルをパラメータ・フィッティングによって特定した。第1の光学異方性層の厚さd1はd1=15(nm)、x方向の屈折率nx1はnx1=1.775、y方向の屈折率nY1はnY1=1.703、z方向の屈折率nZ1はnZ1=1.708であった。
次に、このガラス板の他方の面に形成されたポリイミド層を、位相差板製造装置を用いてy方向にラビング処理を行い、第2の光学異方性層を形成した。このとき、ラビング方向は異なるが、ラビングの強度に関わる条件はすべて、第1の光学異方性層を形成したときと共通であった。以上により、実施例5の位相差板を得た。第2の光学異方性層の厚さd2はd2=15(nm)、x方向の屈折率nx2はnx2=1.703、y方向の屈折率ny2はny2=1.775、z方向の屈折率nz2はnz2=1.708であると、第1の光学異方性層のラビング条件との比較に基づいて考えられる。
実施例5の位相差板を、x、y、およびz方向にそれぞれ電場ベクトルを有する偏光成分に対し、第1の光学異方性層および第2の光学異方性層の厚さに相当する光学的厚さを、屈折率(n)×幾何学的厚さ(d)により見積った。結果を表1に示す。
Figure 2008268339
表1に示すように、x方向に電場ベクトルを有する偏光と、y方向に電場ベクトルを有する偏光に対して、第1の光学異方性層と第2の光学異方性層との両方を合わせた全体の光学的厚さが等しくなることから、実施例5の位相差板に面内異方性は無いことがわかった。一方、面内方向、例えばx方向に電場ベクトルを有する偏光に対する光学的厚さと、z方向に電場ベクトルを有する偏光に対する光学的厚さの差より、面内偏光に対してよりも垂直偏光に対して1nm弱だけ小さいリタデーションを示すネガティブcプレート型の位相差板であることがわかった。
<実施例6>
実施例6は、第5の実施形態に対応するものである。長方形であるガラス板の一方の面上に、スピンコート法でポリイミドを塗布し、その後加熱乾燥と焼成とにより厚さ約60nmの等方性のポリイミド層を形成した。また、ガラス板の他方の面上に、スピンコート法でアクリル系紫外線硬化樹脂を塗布し、その後紫外線照射により厚さ約55nmのアクリル系紫外線硬化樹脂層を形成した。なお、実施例6において、略長方形のガラス板の長手方向と平行な方向をx方向、短手方向と平行な方向をy方向、ガラス基板の法線方向をz方向とする。
次に、このガラス板の一方の面に形成されたポリイミド層表面を、x方向に、相対速度 1.7m/s、接触時間1sの強度でラビング処理を行い、第1の光学異方性層を形成した。
次に、このガラス板の他方の面に形成されたアクリル系紫外線硬化樹脂層表面を、ガラス板のy方向に、相対速度5m/s、接触時間2sの強度でラビング処理を行い、第2の光学異方性層を形成した。以上により、実施例6の位相差板を得た。
<実施例7>
実施例6において、ガラス板の一方の面に形成されたポリイミド層を、x方向に、相対速度3m/s、接触時間1sの強度でラビング処理を行い、第1の光学異方性層を形成した。また、ガラス板の他方の面に形成されたアクリル系紫外線硬化樹脂層を、x方向に、相対速度2m/s、接触時間1sの強度でラビング処理を行い、第2の光学異方性層を形成した。これ以外は実施例6と同様にして、実施例7の位相差板を得た。結果を表2に示す。
Figure 2008268339
表2より、基材の一方の側と他方の側とに設けられた高分子膜表面に施すラビング方向および強度によって、面外方向の位相差を一定の値に保ち、面内方向の位相差だけを約6倍も変化させ得たことがわかる。また、面内方向の位相差を一定値に保ったまま、面外方向の位相差を変化させることも可能である。こうして、ラビングを施す材料、ラビングの方向、ラビングの強度(ラビング布の押し付け量、相対速度、接触時間)などの条件の選択によって、位相差板全体としての面内方向の位相差と面外方向の位相差とを独立に制御することができることがわかった。
以上、この発明の第1〜第5の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の一実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形、組み合わせなどが可能である。例えば、上述の一実施形態において挙げた数値・材料・手順はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値・材料・手順を用いてもよい。
例えば、上述の第1の実施形態の位相差板製造装置は、第1の光学異方性測定部および第2の光学異方性測定部を備えるが、第1の光学異方性測定部および第2の光学異方性測定部のいずれか一つを備え、測定した位相差値に基いてラビング強度を調節するようにしてもよい。
また、上述の第1の実施形態の位相差板製造装置における光学異方性測定部は、光源部27aおよび検出部28aと光源部27bおよび検出部28bとを備えるが、光源部27aおよび検出部28a、または光源部27bおよび検出部28bのいずれか一方を備えて、面内方向の位相差または面外方向の位相差のみを測定するようにしてもよい。
また、上述の第4および第5の実施形態では、基材に設けられた高分子膜表面をラビングすることにより光学異方性層を形成する構成であるが、基材表面を直接ラビングすることにより光学異方性層を形成する構成としてもよい。
また、上述の第1〜第5の実施形態では単層からなる基板について説明したが、複数の材料の貼り合せなどの方法で積層化された基板を用いてもよい。なお、複数層からなる基板を用いた場合は、パラメータ・フィティングにおいて、これら複数層を光学的な構造モデルに含めて計算することが必要な場合もある。
また、上述の第4の実施形態では、基材の一方の側に設けられる高分子膜と他方の側に設けられる高分子膜とを異なる材料としたが、異なる材料の高分子フィルムを貼り合わせた基材を用い、この基材表面を直接ラビングすることにより位相差板を製造してもよい。
また、上述の第4の実施形態では同じ高分子膜材料を利用した例を用いて面内異方性を相殺した位相差板について説明したが、基材両面の高分子膜の材料が異なる場合にも、ラビング強度を適切に選ぶことによって面内異方性の相殺は可能であり、同じ材料からなる高分子膜の形成された基材を利用する位相差板に限定されるものではない。
また、上述の第3および第4の実施形態では、基材の一方の側と他方の側に設けられた高分子膜表面をそれぞれラビングして位相差板を製造する方法について説明したが、基材の一方の側に設けられた高分子膜表面をラビングした位相差板を2つ作製し、これらをラビングされた面が外側になるようにして貼り合わせることにより製造してもよい。あるいは、ラビングされた面が内側になるように貼り合せること、またそうした貼り合わせ板の外面にさらにラビングを施して得られる位相差板も、本発明の自然な拡張例であり、ラビング面を多く含むことで絶対値の大きな位相差まで達成できるようになる。
また、上述の第1の実施形態において、位相差板製造装置の演算部30は、光学異方性測定部で測定された偏光解析の測定結果と試料内に仮定された屈折率および吸収係数の分布に基づいて計算によって導出される偏光解析結果とを比較し、結果の一致が良好であれば仮定された光学パラメータを合理的に信頼性が保証された正しい値として採用する処理を行ってもよい。
この発明の第1の実施形態による位相差板の構成を示す拡大図の一例である。 この発明の第1の実施形態の位相差板を製造する位相差製造装置の一例である。 この発明の第1の実施形態による位相差製造装置の備える光学異方性測定部の一例である。 この発明の第1の実施形態による光学異方性測定部の有するファラデー変調器に流す電流と、偏光面の回転角θFとの関係を示す一例のグラフである。 この発明の第1の実施形態による位相差製造装置の備える光学異方性測定部の他の例である。 この発明の第1の実施形態による位相差製造装置の備える光学異方性測定部の他の例である。 この発明の第1の実施形態による位相差製造装置の備える光学異方性測定部の他の例である。 この発明の第1の実施形態による位相差製造装置の備える光学異方性測定部の他の例である。 この発明の第4の実施形態による位相差板の構造を示す拡大断面図の一例である。 この発明の第5の実施形態による位相差板の構造を示す拡大断面図の一例である。 この発明の第5の実施形態による位相差板のラビング強度を求めるためのシュミレーション図である。 位相差板において、ラビング方向に平行な入射角およびラビング方向に垂直な入射角を説明するための図である。 この発明の試験例1の位相差板についてパラメータ・フィッティングを行うことによって決定された光学構造モデルである。 この発明の試験例1の位相差板の位相差の実測結果および光学構造モデルに基づく計算結果である。 従来の位相差板の一例を示す斜視図である。 従来の位相差板の拡大断面図の一例である。
符号の説明
1、40、50・・・・位相差板
11、41、51・・・基材層
12・・・光学異方性層
21・・・基板供給部
22・・・ラビング部
23・・・ラビングローラ
24・・・ラビング制御部
25、26・・・第1の光学異方性測定部
27・・・光源部
28・・・検出部
30・・・演算部
42、52・・・第1の光学異方性層
43、53・・・第2の光学異方性層

Claims (27)

  1. 基材層と、
    上記基材層の一方の側に設けられ、表面に微細な擦過痕を有する光学異方性層と、を備え、
    上記基材層の面内の所定方向に電場ベクトルを有する偏光に対する、上記基材層の屈折率と上記光学異方性層の屈折率とが異なる
    ことを特徴とする位相差板。
  2. 上記光学異方性層はラビングにより形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の位相差板。
  3. 上記基材層の屈折率の値と、上記光学異方性層の屈折率の値とが、0.003以上異なる
    ことを特徴とする請求項1記載の位相差板。
  4. 上記光学異方性層の厚さが、0.001μmより大きく1μmより小さい
    ことを特徴とする請求項1記載の位相差板。
  5. 上記光学異方性層の有する上記擦過痕は、上記所定方向に揃って形成される
    ことを特徴とする請求項1記載の位相差板。
  6. 上記光学異方性層の有する上記擦過痕の深さが0.1nm〜10nmである
    ことを特徴とする請求項1記載の位相差板。
  7. 上記基材層が高分子材料またはガラスからなる
    ことを特徴とする請求項1記載の位相差板。
  8. 上記光学異方性層は、面内方向の光学異方性および/または面法線方向の光学異方性を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の位相差板。
  9. 上記基材層は、上記一方の側と対向する他方の側に、表面に微細な擦過痕を有する光学異方性層を備える
    ことを特徴とする請求項1記載の位相差板。
  10. 上記基材層の一方の側に設けられた上記光学異方性層の上記擦過痕は所定方向に揃って形成され、
    上記基材層の上記他方の側に設けられた上記光学異方性層の上記擦過痕は、上記所定方向と異なる方向に揃って形成される
    ことを特徴とする請求項9記載の位相差板。
  11. 上記所定方向と異なる方向が、上記所定方向に対して垂直方向である
    ことを特徴とする請求項10記載の位相差板。
  12. 上記基材層および上記光学異方性層の屈折率は、上記基材層の法線方向からの入射光の位相差が上記基材層および上記光学異方性層の透過前後でほぼ等しくなるように調整され、上記基材層の斜め方向からの入射光の位相差が上記基材層および上記光学異方性層の透過前後で異なるように調整されている
    ことを特徴とする請求項9記載の位相差板。
  13. 上記基材層が、一方の面および他方の面に高分子膜を有するガラス板からなり、
    上記一方の面に設けられた高分子膜の高分子材料と、上記他方の面に設けられた高分子膜の高分子材料とが異なる
    ことを特徴とする請求項9記載の位相差板。
  14. 基材または基材上に設けられた高分子膜の一方の側をラビングして光学異方性層を形成する工程を備え、
    上記基材の面内の所定方向に電場ベクトルを有する偏光に対する、上記基材の屈折率と上記光学異方性層の屈折率とが異なる
    ことを特徴とする位相差板の製造方法。
  15. 上記基材または上記基材上に設けられた高分子膜の上記一方の側に形成された上記光学異方性層と対向する他方の側をラビングして光学異方性層を形成する工程を備える
    ことを特徴とする請求項14記載の位相差板の製造方法。
  16. 上記基材または上記基材上に設けられた高分子膜の上記一方の側を所定方向にラビングし、
    上記基材または上記基材上に設けられた高分子膜の上記一方の側と対向する他方の側を、上記所定方向と異なる方向にラビングする
    ことを特徴とする請求項15記載の位相差板の製造方法。
  17. 上記所定方向と異なる方向が、上記所定方向に対して垂直方向である
    ことを特徴とする請求項16記載の位相差板の製造方法。
  18. 上記光学異方性層を形成する工程の前および上記光学異方性層を形成する工程の後の少なくとも一方において、上記基材または上記基材上に設けられた高分子膜の位相差を測定する工程を備え、
    上記光学異方性層を形成する工程では、測定された上記基材または上記基材上に設けられた高分子膜の位相差値に基づいて上記基材をラビングする
    ことを特徴とする請求項14記載の位相差板の製造方法。
  19. 上記位相差値を検出する工程において、上記基材の法線方向からの入射光に対する面内方向の位相差と、上記基材の斜め方向からの入射光に対する面外方向の位相差とを検出する
    ことを特徴とする請求項18記載の位相差板の製造方法。
  20. 基材表面をラビングするラビング部と、
    上記基材表面の上記ラビングの前および上記ラビングの後の少なくとも一方において上記基材の表面の位相差を測定する光学異方性測定部と、
    上記光学異方性測定部の測定結果に基づいて、上記ラビング部の上記ラビングの強度を調節する制御部と、を備え
    上記光学異方性測定部は、上記位相差板の法線方向からの入射光に対する面内方向の位相差と、上記基材の斜め方向からの入射光に対する面外方向の位相差とを検出する
    ことを特徴とする位相差板製造装置。
  21. 上記光学異方性測定部は、対象試料の位相差測定手段として、ファラデー変調法を用いる
    ことを特徴とする請求項20記載の位相差板製造装置。
  22. 板状ないしシート状試料を対象とする屈折率および吸収係数の空間分布を記述する光学パラメータ決定方法であって、
    上記試料上の同一領域に対して、該領域からの反射光に対する偏光解析と、該領域からの透過光に対する偏光解析を併せて実行し、
    上記試料内に仮定された屈折率および吸収係数の分布に基づく偏光解析結果の計算が、上記反射光および上記透過光に対する偏光解析の測定結果の両方を整合的に再現し得る場合に、上記試料内に仮定された上記屈折率および上記吸収係数が上記試料の屈折率および吸収係数の推定値として良い値であると判断する光学パラメータ決定方法。
  23. 板状ないしシート状試料を対象として反射光と透過光に対する偏光解析を併せて実行する偏光解析装置であって、
    上記試料上の所定の領域を照射する第1の光源部と、
    上記第1の光源部からの光束の上記試料からの透過光に対して偏光解析に必要な測定値を得る第1の検出部と、
    上記試料上の上記所定の領域と同一の領域を照射する第2の光源部と、
    上記第2の光源部からの光束の上記試料からの反射光に対して偏光解析に必要な測定値を得る第2の検出部とを有する
    ことを特徴とする偏光解析装置。
  24. 上記第1の光源部からの光束の上記試料への入射角が、上記試料面の法線方向から5°以内である
    ことを特徴とする請求項23記載の偏光解析装置。
  25. 板状ないしシート状試料を対象として反射光と透過光に対する偏光解析を併せて実行する偏光解析装置であって、
    上記試料上の所定の領域を照射する光源部と、
    上記光源部からの光束の上記試料からの透過光に対して偏光解析に必要な測定値を得る第1の検出部と、
    上記光源部からの光束の上記試料からの反射光に対して偏光解析に必要な測定値を得る第2の検出部とを有する
    ことを特徴とする偏光解析装置。
  26. 板状ないしシート状試料を対象として反射光と透過光に対する偏光解析を併せて実行する偏光解析装置であって、
    上記試料の一方の側に配置され、上記試料上の所定の領域を照射する第1の光源部と、
    上記試料の上記一方の側と対向する他方の側に配置され、上記試料上の上記所定の領域を照射する第2の光源部と、
    上記試料の一方の側で、且つ上記第1の光源部を出て上記試料で反射された光束と、上記第2の光源部を出て上記試料を透過した光束とを受ける場所に配置され、上記所定の領域の透過光および反射光に対して偏光解析に必要な測定値を得る第1の検出部と、
    上記試料の上記他方の側で、且つ上記第1の光源部を出て上記試料を透過した光束と、上記第2の光源部を出て上記試料で反射された光束とを受ける場所に配置され、上記所定の領域の透過光および反射光に対して偏光解析に必要な測定値を得る第2の検出部とを有する
    ことを特徴とする偏光解析装置。
  27. 板状ないしシート状試料を対象として反射光に対する偏光解析を実行する偏光解析装置であって、
    上記試料の一方の側に配置され、上記試料上の所定の領域を照射する光源部と、
    上記光源部からの光束の上記試料からの反射光に対して偏光解析に必要な測定値を得る検出部と、
    上記試料の上記一方の側と対向する他方側において上記光源からの光束によって照射される領域に接触して配置された透明媒質からなるプリズムとを有する
    ことを特徴とする偏光解析装置。
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