JP2008268285A - 光拡散層付光学フィルム、液晶パネルおよび液晶表示装置。 - Google Patents

光拡散層付光学フィルム、液晶パネルおよび液晶表示装置。 Download PDF

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Abstract

【課題】構成する各層の機能を低下させることなく、全体としての厚みを低下させ、同時に特にその端部において糊欠け等の不良が生じにくい光拡散層付光学フィルムを提供する。
【解決手段】光学フィルム層1と光拡散層3とを備え、前記光学フィルム層1と前記光拡散層3との接着性を改善するアンカー層2を、前記光学フィルム層1と前記光拡散層3との間に備える光拡散層付光学フィルムにおいて、前記光拡散層3が粘着力を備える。光拡散層3が粘着力を備えるためアンカー層2と光拡散層3との間に特段の粘着層を設ける必要がなく、光学フィルム層1と光拡散層3との接着力を損なうことなく、全体の厚みを小さくすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、たとえば液晶ディスプレイに機能を付加するために使用する光拡散層付光学フィルムに関する。また、本発明は液晶パネルおよび液晶表示装置に関する。
液晶ディスプレイ等の表面にはその視野角改善や色の偏り補正等の機能を有する偏光板や位相差板等の光学フィルムを付加するのが通常である。この光学フィルム自体も多機能化が求められ、それぞれの機能を持った層を、間に粘着剤からなる粘着層を介して、接着することにより積層したものが用いられる。たとえば光を拡散させる光拡散層を付加した光拡散層付光学フィルム等が用いられている。
しかし光学フィルムに直接粘着剤を塗布すると、粘着剤が偏光板を劣化させる(例えば特許文献1参照)問題や、接着力が不足する(例えば特許文献2参照)問題が生じる。
そこで、特許文献1や特許文献2には、光学フィルムと粘着剤の間にアンカー層をもうけ、これらの問題を解決する技術が記載されている。
特開平4−254803号公報 特開平10−20118号公報
ここで上記技術を使用して光拡散層付光学フィルムを作成すると、図5(a)に示すように、光学フィルム層1、アンカー層2、粘着層4、光拡散層3の順に積層することとなり、4層からなる積層フィルムとなる。また、このフィルムを液晶や他のフィルムに積層するための粘着層付フィルムとするには、図5(b)に示すように、更に粘着層5を加える必要があり、全部で5層の積層フィルムとなる。
現在、特にモバイル用途では、光学フィルムについても薄さが強く求められている。しかし、光学フィルムを構成する上記各層は、それぞれの機能を確保するため、必要最低限の厚みが必要であり、各々の層を薄くすることには限界がある。
また、室内用、モバイル用を問わず、ディスプレイのフレーム部分はますます小さくなる傾向があるため、画面の端部までの視認性が要求される。そのため、製造工程における粘着部分の剥離や糊欠け等の欠陥がフィルム端部に起こった場合でも、画面の端部の視認性を害することとなり、不良品とされる。光学フィルムの層が多くなると、特にその端部において、剥離や糊欠け等の不良が生じやすくなり、問題である。
本発明は係る問題を解決するためになされたもので、光拡散層付光学フィルムを構成する各層の機能を低下させることなく、光拡散層付光学フィルム全体の厚み10を低下させ、その端部における外観不良が生じにくい光拡散層付光学フィルムを提供することにある。
本発明にかかる光拡散層付光学フィルムは、光学フィルム層と光拡散層とを備え、前記光学フィルム層と前記光拡散層との接着性を改善するアンカー層を、前記光学フィルム層と前記光拡散層との間に備える光拡散層付光学フィルムにおいて、前記光拡散層が粘着力を備えることを特徴とする。
光拡散層が粘着力を備えるため、アンカー層と光拡散層の間に粘着層を設けることなく光拡散層を積層することができるため、粘着層を設けたときより、光拡散層付光学フィルム全体の厚みを小さくできる。
従って、光学フィルム層以外の光拡散層付の厚みを15μm〜30μmとすることができ、モバイル用途にも好適に使用することができる。なお、光学フィルム層の厚みは使用する光学フィルムの種類により大きく異なり一概に規定できない。しかし、光学フィルム層以外の光拡散層付の厚みを薄くすることによりいずれの光学フィルムを使用した場合においても従来より光拡散層付光学フィルム全体の厚みを薄くすることができる。
また、アンカー層と光拡散層の間に粘着層を設けないので、同粘着層を原因とする剥離や糊欠けが生じない。
更に、光拡散層が粘着力を備えるため、本発明の光拡散層付光学フィルムは液晶画面等に直接積層できる。
また、本発明に係る光拡散層付光学フィルムは、光拡散層がアクリル系粘着剤を含むものとすることが好ましい。光拡散層がアクリル系粘着剤を含むため、光拡散層は光透過性が高く、耐候性にも優れる。
また、本発明に係る光拡散層付光学フィルムは、アンカー層が水分散型のポリマーを含有するアンカー剤により形成されることが好ましい。
水分散型ポリマーを含有するアンカー剤によりアンカー層を形成すると有機溶媒を必要としないため、有機溶媒による光学層の劣化が生じない。また、製造ラインの汚染が少ないため工程洗浄の頻度を下げることができ、ひいては生産性が向上し、製作コストの削減につながる。
また、本発明に係る光拡散層付光学フィルムは、前記アンカー層が、該光拡散層付光学フィルム1cmあたりアンモニアを10ng以上2000ng未満含むことが好ましい。
アンカー層がアンモニアを該光拡散層付光学フィルム1cmあたり10ng以上含むようにアンカー層形成時にアンモニアを加えることにより、アンカー層を形成する水分散性ポリマーの分散性が改善され、生産容易となる。また、アンカー層が含むアンモニア量が2000ng未満であるので、アンモニアが経時的にアンカー層の耐久性を害し光学フィルム層の光学特性を劣化させることを抑制する。
また、本発明に係る光拡散層付光学フィルムは、前記光学フィルムが偏光板または位相差板であることが好ましい。
また、本発明に係る液晶パネルはこの光拡散層付光学フィルムを有する。
また、本発明に係る本発明に係る液晶表示装置は上記液晶パネルを有する。
本発明によれば、アンカー層と光拡散層の間に粘着層を設けないので、光拡散層付光学フィルム全体の厚みを小さくすることができる。また、同粘着層を原因とする剥離や糊欠けが生じない。
以下、本発明を具体化した光拡散層付光学フィルムの一実施形態を説明する。図1は本形態の光拡散層付光学フィルムを示したものである。本形態の光拡散層付光学フィルムは、光学フィルム層1とアンカー層2と光拡散層3とを順に積層してなる。ここで、光拡散層3が粘着力を備えるため、アンカー層2上に光拡散層3を積層するために特段に粘着層を設ける必要がない。また、この光拡散層付光学フィルムを更に液晶画面等に積層する際にも、更に粘着層を設ける必要がない。
まず、この光拡散層付光学フィルムを構成する光学フィルム層1とアンカー層2と光拡散層3とを詳述する。
〔光学フィルム層〕
光学フィルム層1は光学特性を有するフィルムからなる層で、その種類は特に限定されない。例えば液晶モニター用に使用する場合は必要に応じて位相差板、偏光子、保護フィルム等を用いることができる。また、これらを組み合わせたもの、例えば保護フィルム付偏光子(偏光板)や位相差板付偏光板(楕円偏光板、円偏光板)等も用いることができる。
上記位相差板は、高分子材料を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折フィルム、液晶モノマーを配向させた後、架橋、重合させた配向フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどが挙げられる。延伸方法は、例えばロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等により行うことができる。延伸法は、一軸延伸の場合には1.1〜3倍程度が一般的である。位相板の厚さも特に制限されないが、一般的には10〜200μm、好ましくは200〜100μmである。
前記高分子原料としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイト、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合剤、またはこれらの二元型、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンドもの、しクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン等が挙げられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
前記液晶ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどが挙げられる。主鎖型の液晶性ポリマー具体例としては、屈曲性を付与するスペーサー部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどが挙げられる。側鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、またはポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサー部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどが挙げられる。これら液晶ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行なわれる。
本発明の光学フィルム層1に用いられる偏光子は特に限定されず、各種のものが使用できる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン、酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性アルコール系フィルム、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えばポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよい。またヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。更に必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができる他に、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなど不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行なってもよいし、染色しながら延伸してもよい。また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウム等の水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
本発明の光学フィルム層1に用いられる保護フィルムは特に限定されないが、透明性、機械的強度、熱安定性、水分社団性、等方性などに優れたものが好ましい。例えば、ポリエチレンフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエチレン系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン重合体(AS)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有する、エチレン・プロピレン重合体の如きポリオレフィン系のポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アクリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコーン等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
保護フィルムの厚さは適宜に決定し得るが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性等の点より1〜500μm程度であり、特に5〜200μmが好ましい。
また保護フィルムはできるだけ色付がないことが好ましい。従って、Rth=(nx−nz)・d(但し、nxはフィルム平面内の遅層軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルムの厚みである)で表せるフィルム厚み方向の位相差が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する着色(光学的着色)はほぼ解消することができる。厚み方向位相差(Rth)は、更に好ましくは−80nm〜+60nm、特に好ましくは−70nm〜+45nmである。
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性等の点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。
本発明の光学フィルム層1に用いられる偏光板は上記偏光子の両面または片面に上記保護フィルムを設けることにより作成される。ここで偏光子の両面に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系接着剤、水系ポリウレタン系接着剤、水系ポリエステル系接着剤等を例示できる。
本発明の光学フィルム層1に用いられる楕円偏光板や円偏光板は、偏光板に更に位相差板が積層されてなる。偏光板により生じた直線偏光を、位相差板により、楕円偏光または円偏光に変えることができる。直線偏光を円偏光に変えるときはいわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。なお、直線偏光の偏光方向を変えるときは1/2波長板(λ/2板とも言う)を用いる。
〔アンカー層〕
アンカー層2は光学フィルム層1と光拡散層3との接着性を改善し、粘着剤による光学フィルムの劣化を防止するため用いられる。アンカー層2を形成する材料は特に限定されないが、例えば、各種ポリマー類、金属酸化物のゾル、シリカゾル等が挙げられる。これらの中でも特にポリマー類が好ましく用いられる。ポリマー類の使用形態は溶剤可溶型、水分散型、水溶解型のいずれでもよい。
上記ポリマー類としては、例えばポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特にポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂が好ましい。これら樹脂には適宜に架橋剤を配合することができる。これら他のバインダー成分は1種または2種以上を適宜用途に合わせて用いることができる。
アンカー層2を形成する水分散型ポリマーとしては、ポリウレタンやポリエステル等の各種の樹脂を、乳化剤を用いてエマルジョン化したものや、前記樹脂中に、水分散性のアニオン基、カチオン基またはノニオン基を導入して自己乳化したもの等が挙げられる。水分散型材料は有機溶媒に溶解させる必要がなく、光学フィルム層1が耐薬品性に劣る場合にも、変質を抑制することができる。
アンカー剤としてこれら水分散型ポリマーを用いる場合には、アンカー剤をアンモニア水により中和して用いる。アンモニア水は、通常、濃度1〜20%の水溶液として用いられる。アンモニア水の配合は、光拡散層付光学フィルム1cmあたりのアンモニア量が10ng以上であり、かつ、2000ng未満となるように制御される。またその厚さは特に制限されないが、一般的に5〜100nm度である。
上記のほか、アンカー層2を形成するポリマー類としては、分子中にアミノ基を含むポリマー類が挙げられる。例えば、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリジン、ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノ基含有モノマーの重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンイミンが好ましい。
ポリエチレンイミンは、末端に1級アミノ基を有し、かつ主鎖中に2級アミノ基を有しており、樹脂中のアミノ基の割合が多く、アンカー層2と粘着剤との界面およびその近傍で、ポリエチレンイミンのアミン基と光拡散層3に含まれる粘着剤中の官能基が反応して、アンカー層2と光拡散層3が強固に密着することができる。ポリエチレンイミンは水/アルコールに可溶であり、光学フィルム層1が耐薬品性に劣る場合にも、変質を抑制することができる。
アンカー層2を形成するポリエチレンイミンは、特に制限されず、各種のものを使用できる。ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくは100〜1000000である。例えば、ポリエチレンイミンの市販品の例としては、株式会社日本触媒社製のエポミンSPシリーズ(SP−003、SP−006、SP−012、SP−018、SP−103、SP−110、SP−200等)、エポミンP−1000等が挙げられる。これらの中でも、エポミンP−1000が好適である。またその厚さは特に制限されないが、一般的に5〜50nm程度である。
〔光拡散層〕
本実施の形態における光拡散層3は粘着力を備えることを特徴とする。よって上述のアンカー層2の上に直接積層できる。かかる要件を満たすため、基材となる光透過性を示す適当な粘着性物質と、光を拡散させるための光透過性の無着色微粒子とを組み合わせて形成する。この無着色微粒子を粘着性物質中に一様に分散させて光拡散層3を形成しても、微粒子を粘着性物質中に重畳形態に形成してもよい。
光透過性を示す粘着性物質としては、例えばゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ピニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピドリン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などが挙げられる。これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら粘着物質のうち、光透過性および耐侯性がともに優れたアクリル系粘着剤が特に好ましく用いられる。
光を拡散させるための微粒子としては光透過性の無着色粒子が好ましい。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の無機あるいは有機系粒子が挙げられる。
光拡散層3中の微粒子の量は目的とする光拡散率により適宜決定されるが、粘着力を確保する点などにより、粘着剤層(固形分)100重量部あたり、好ましくは5〜200重量部、より好ましくは10〜150重量部、更に好ましくは15〜100重量部用いる。また光拡散層3の厚さは目的とする光拡散率や粘着力等に応じて決定し得るが、好ましくは15μm〜30μmである。15μm未満であると粘着力が維持できず、30μmを超えるとモバイル用途として用い難いためである。より好ましくは18μm〜28μm、更に好ましくは21μm〜25μmである。
上記光拡散層3の形成は、例えば粘着性物質と光透過性の無着色粒子の混合物をカレンダーロール法等による圧延方式、とドクターブレード法やグラビアロールコータ法等による塗工方式などの任意の適当な方式で光学素子等からなる支持基材に付設する方式、あるいはその支持基材にセパレータ(離型シート)を用いてそのセパレータ上に前記に準じ光拡散層3を形成してそれを光学素子等からなる他の支持基材に移着する方式など、任意の適宜な方法を取ることができる。
〔液晶パネルおよび液晶表示装置〕
この光拡散層付光学フィルムを、液晶画面に積層することにより、液晶パネルを製造する。光拡散層付光学フィルムは単独で積層しても、他の光学フィルムと併せて積層してもよい。いずれの場合でもこの光拡散層付光学フィルムは光拡散層3が粘着力を有しているので、液晶画面あるいは他の光学フィルム上に直接積層できる。
更にこの液晶パネルを用いて液晶表示装置を製造する。液晶表示装置としては例えばテレビ画面やコンピュータ用ディスプレイの他にノートパソコン、携帯情報端末(PDA)、携帯電話等のモバイル機器が挙げられる。この光拡散層付光学フィルムが薄く軽いため、液晶パネルも機能を低下させずに薄く軽くすることができ、この液晶パネルを用いた液晶表示装置は、特に小型、軽量が求められるモバイル機器に好適である。
本形態の光拡散層付光学フィルムによれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本形態にかかる光拡散層付光学フィルムは、アンカー層2と光拡散層3の間に粘着層を設けない。ここで粘着層の厚みは通常7〜17μmであるので、光拡散層付光学フィルム全体の厚み10を従来より7〜17μm薄くできる。その結果、本形態にかかる光拡散層付光学フィルムの光学フィルム層以外の厚みは15〜30μmの膜厚となる。薄さ、軽さがより強く要求されるモバイル用途において、液晶画面に積層する光拡散層付光学フィルムの厚さは光学フィルム層を除き30μm以下であることが望まれる。本実施例は当該要件を満たし、モバイル用途に特に好適に用いることができる。
(2)本形態にかかる光拡散層付光学フィルムはアンカー層2と光拡散層3の間に粘着層を設けないため、同粘着層における剥離や糊欠けが生じない。
(3)光拡散層3が粘着力を備えるので、本発明の光拡散層付光学フィルムは液晶画面等に、特段に粘着層を設けることなく直接積層できる。従って、粘着層を更に積層することによる膜厚の増加が生じない。
(4)本形態にかかる光拡散層付光学フィルムは、アンカー層2と光拡散層3の間に粘着層を設けないため、生産時において、粘着剤層を積層する工程を減らすことができ、生産性の向上に資する。
(5)また、水分散型または水可溶性のポリマーを含有するアンカー剤によりアンカー層2を形成した場合は、有機溶媒を含まないため、有機溶媒による光学層の劣化が生じない。
(6)また同様に水分散型のポリマーを含有するアンカー剤によりアンカー層2を形成した場合は、製造ラインの汚染が少ないため工程洗浄の頻度を下げることができ、ひいては生産性が向上し、製作コストの削減につながる。
(7)また同様に水分散型のポリマーを含有するアンカー剤によりアンカー層2を形成した場合は、アンカー層2形成時にアンモニアを加えることにより、アンカー層2を形成する水分散性ポリマーの分散性が改善され、不良品発生率が低くなり、ひいては生産性が向上し、製作コストの削減につながる。
(8)アンカー層2が含むアンモニア量は所定量以下に制限されるので、アンモニアによる光拡散層付光学フィルムの光学特性の経時的劣化が抑制される。
(9)従来の光拡散層付光学フィルムを用いた液晶表示パネルより、薄く、軽い液晶表示パネルを供給することができ、対応して小さく、軽い液晶表示装置を供給できる。かかる液晶表示装置はモバイル機器に最適である。
以下、実施例によって本発明を図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。図1に示すように本実施例は光学フィルム層1、アンカー層2、光拡散層3を順に積層して成る。各層の製造方法および、比較例で使用される粘着剤層の製造方法をまず説明する。
〔光学フィルム層の製造〕
光学フィルム層1としてポリカーボネート系位相差板、ノルボルネン系位相差板、液晶系位相差板、偏光板を作成し、比較検討した。其々の製法を示す。
(ポリカーボネート系位相差板(PC))
ポリカーボネートのフレーク(三菱化学エンジニアリングプラスチックス製、商品名:ユーピロン)を塩化メチレンに溶解した溶液を、平滑なSUS板上に均一にキャストし、表面が結露しないように溶剤雰囲気中で乾燥した。十分に乾燥した後、SUS板上よりポリカーボネートを剥がし、熱循環式オーブンで乾燥して、無延伸ポリカーボネートフィルムを得た。このフィルムを140℃で加熱しつつ、1.2倍に一軸延伸し、コロナ処理を施し、ポリカーボネート系位相差板を得た。この位相差板の厚みは20μm、Re=(nx−ny)・d(但し、nxはフィルム平面内の遅層軸方向の屈折率、nyは進層軸方向の屈折率、dはフィルムの厚みである)で表せるフィルム面内の位相差Reが168nmであった。
(ノルボルネン系位相差板(N))
ノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名:Zeonor、厚み40μm、光弾性係数の絶対値:3.10×10−12[m/N])を140℃で加熱しつつ、1.52倍に一軸延伸し、ノルボルネン系位相差板を得た。この位相差板の厚みは35μm、面内位相差Reは140nmであった。
(液晶系位相差板(液晶))
下記式(1)に示すネマチック液晶化合物90重量部、下記式(2)に示すカイラル剤10重量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガキュア907)5重量部、およびメチルエチルケトン300重量部を均一となるように混合し、液晶塗工液を調整した。次に、この液を基板(二軸延伸PETフィルム)上にコーティングし、80℃で3分間熱処理し、次いで紫外線を照射して重合処理し、基板上にコレステリック配向固化層(液晶層)を形成した。この液晶層の厚みは3μm、Rth=(nx−nz)・d(但し、nxはフィルム平面内の遅層軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルムの厚みである)で表せるフィルム厚み方向の位相差Rthが240nm、面内位相差Reは実質的に0であった。
Figure 2008268285
Figure 2008268285
このコレステリック配向固化層(液晶層)を、厚み2μmのイソシアネート系接着剤を介してノルボルネン系位相差板に積層する。その後コレステリック配向固化層(液晶層)から基板を剥がし、ノルボルネン系位相差板に支持された液晶系位相差板を得た。
(偏光板)
ポリビニールアルコールフィルム(クラレ社製:商品名VF―PS)を、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液中で6倍程度延伸した後、乾燥して、厚さ30μmの偏光子を作成した。保護フィルムとして富士写真フィルム社製のトリアセチルセルロースフィルム(厚さ40μm)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いてこの偏光子の両面に積層し偏光板を製造した。全体の厚みは約110μmであった。
〔アンカー層の形成〕
上述の光学フィルム層1に積層するアンカー層2として、水分散型ポリマーを用いたものと、アミノ基を含むポリマーを用いたものを比較検討した。其々の形成方法を示す。
(水分散型ポリマー(水分散))
水分散型ポリチオフェニン系導電性ポリマーと水分散型ポリエステル樹脂とを含む溶質(株式会社ナガセケムテックス製、商品名:デナトロンP−502RG)を、水とエタノールを主剤とした混合溶剤(日本アルコール販売株式会社、製商品名:ソルミックスAP−7)とを容量比で1:4.5に混合した溶媒と、10%のアンモニア水とで分散させて固形分4%に調整し、アンカー剤とした。このアンカー剤を上述した光学フィルム層1に塗布した後、揮発成分を蒸発させアンカー層2を形成した。なお、このアンカー層2の厚みは約0.10μmであった。
実施例1、4、7、10については、光拡散層付光学フィルム1cmあたり14ngとなるよう上記アンモニア水を加えた。実施例13〜17については其々光拡散層付光学フィルム1cmあたり2.5〜2800ngとなるよう上記アンモニア水を加えた。アンモニア量は以下のように測定した。
光拡散層付光学フィルムを9cm×9cmに切断し、90℃で1時間の純水抽出を行なった。この抽出液から、イオンクロマトグラム(DIONEX社製、DX−500)によりアンモニウムイオンを定量した。試料ごとに5検体測定し、その平均値を求めた。
(アミノ基を含むポリマー(イミン))
アミノ基を含むポリマーとしてポリエチレンイミン(株式会社日本触媒製、商品名:エポミンP1000)を、イソプロピルアルコールを容量比で1:4.5に混合した溶媒で分散させて固形分1%に調整し、アンカー剤とした。このアンカー剤を上述した光学フィルム層1に塗布した後、揮発成分を蒸発させアンカー層2を形成した。なお、このアンカー層2の厚みは約0.15μmであった。
〔光拡散層の形成〕
ブチルアルコールとアクリル酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの重量比100:5:0.1の共重合体からなる重量平均分子量200万のアクリル系ポリマーを含有する溶液(固形分24%)をベースポリマーとして用いた。このベースポリマーに、イソシアネート系多官能性化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:コロネートL)をポリマーの固形分100重量部に対して3.2重量部、添加剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM403)を0.6重量部、光透過性無着色粒子(ジーイー東芝シリコーン合同会社製、商品名:トスパール145、真球状シリコーン微粒子、平均粒子径:4.5μm) を7.9重量部、粘度調整のための溶剤(酢酸エチル)を加え光拡散剤入溶液を調整した。この光拡散剤入溶液を、乾燥後の厚みが23μmとなるように離型フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、商品名:ダイヤホイルMRF38、ポリエチレンテレフタレート基材)上に塗布した後、熱循環式オーブンで130℃・3分間乾燥し、光拡散層3を形成した。この光拡散層3のヘイズは50%である(株式会社村上色彩技術研究所製ヘーズメータ:HM−150により測定)。同光拡散層3を上述のアンカー層2の上に積層し、光拡散光学フィルムを得た。
〔粘着剤層の形成〕
比較例2、3においては粘着層を形成した。粘着層は以下のように形成する。
ブチルアルコールとアクリル酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの重量比100:5:0.1の共重合体からなる重量平均分子量200万のアクリル系ポリマーを含有する溶液(固形分24%)をベースポリマーとして用いた。このベースポリマーに、イソシアネート系多官能性化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:コロネートL)をポリマーの固形分100重量部に対して3.2重量部、添加剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM403)を0.6重量部、粘度調整のための溶剤(酢酸エチル)を加え粘着剤溶液を調整した。この粘着剤溶液を、乾燥後の厚みが12μmとなるように離型フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、商品名:ダイヤホイルMRF38、ポリエチレンテレフタレート基材)上に塗布した後、熱循環式オーブンで130℃・3分間乾燥し、粘着剤層を形成した。
〔光拡散層付楕円偏光板の形成〕
こうして作成された光拡散層付光学フィルムのうち光拡散層付位相差板については、更に偏光板を積層して、光拡散層付楕円偏光板(光拡散層付偏光板付相差板)を作成した。すなわち、光拡散層付位相差板の光学フィルム層1側(離型フィルムのない側)にアクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して上述の偏光板を更に積層した。図2にその状態を示す。図にあきらかに示されるように、この光拡散層付楕円偏光板の光学フィルム層1は位相差板1a、粘着層1b、偏光板1cからなる。
この光拡散層付楕円偏光板は実施例1〜9、13〜17および比較例1〜5で使用した。
〔実施例、比較例の説明〕
上述した光学フィルム層1、アンカー層2、光拡散層3を其々組み合わせて積層し、実施例1〜17、および比較例1〜6の光学フィルムを作成した。その組み合わせについては表1に記載している。ここで、実施例1〜17は本発明にかかる光拡散層付光学フィルムであり、比較例1〜6は本発明にかかる光拡散層付光学フィルムの要件を満たさない光学フィルムである。なお、表1のサンプル欄のアンカー層2、粘着層および光拡散層3の欄の○はその層が存在することを示し、−はその層が存在しないことを示す。
比較例1は実施例1におけるアンカー層2を省略した例である。比較例2は比較例1と同様にアンカー層2を形成せず、代わりに粘着層を形成した。その他は実施例1と同様である比較例3は実施例6におけるアンカー層2(イミン)と光拡散層3の間に、更に比較例2で示した粘着剤層を積層した。比較例4は実施例4におけるアンカー層2を省略した。比較例5は実施例7におけるアンカー層2を省略した。比較例6は実施例10におけるアンカー層2を省略した。
〔実施例および比較例の評価方法〕
上述の各実施例および比較例につき以下の測定および試験を実施し、その結果を評価した。
(膜厚の測定)
実施例および比較例で作成した光学フィルムをダイヤルゲージ(株式会社尾崎製作所製;DG−205)を使用して、膜厚を測定した。
(密着力の測定)
実施例および比較例で作成した光学フィルムを幅25mm×長さ100mmに切断する。この光学フィルムより離型フィルムをはずし、酸化インジウム錫基材に張り合わせ、50℃・5気圧の環境下に15分放置する。その後、引張試験機(株式会社島津製作所社製;オートグラフAG−1)を用いて、剥離速度酸化インジウム錫基材より光学フィルムを300mm/minにて180°剥離し、アンカー層2と光拡散層3との密着性[N/25mm]を測定した。
(糊欠け試験1−突き当て試験)
図3を用いて突き当て試験について説明する。実施例および比較例で作成した光学フィルムを幅26mm×長さ76mmに切断する。図3(a)に示すように、このサンプル31の幅26mm×長さ66mmの範囲を、離型フィルム面を下側にして板ガラス32で両面から挟み、最上面に500gの重り34を載せた。従ってサンプルの幅26mm×長さ10mmの部分がカラスの間より突出する。この突出した部分を水平面より25°の角度を保った状態で、別のガラス板35に75回/minの速度で50回突き当てる。その後離型フィルムを剥離し、ガラス板との突き当て部を顕微鏡で観察し、その結果を以下のように評価した。
・評価方法
糊欠けが生じていない、または図3(b)に示すように、サンプル31の突き当てた端面に沿って連続した糊欠けが生じ、その深さ36が500μm以下である。…◎(良)
図3(c)に示すように、サンプル31の突き当てた端面に不連続な糊欠けが生じ、その深さ37が1000μm未満である。 …○(可)
サンプル31の突き当てた端面に深さ1000μm以上の糊欠けが生じている。
…×(不可)
(糊欠け試験2−こすり試験)
実施例および比較例で作成した光学フィルムを幅40mm×長さ35mmに切断する。このサンプルの離型フィルムを剥離し、図4(a)に示すように、25枚積層する。この端面をポリフッ化エチレンの角棒41で膜平面と直行する方向に擦傷する。この角棒41の端面に接する側の幅42は15mm、端面をこする長さは50mmである。このようにして10往復擦傷した後、端面に生じた、図4(b)に示すような剥がれ、糊玉、糊欠の状態を目視観察し、その結果を以下のように評価した。
・評価方法
剥がれ、糊玉、糊欠けが生じていない(図4(b)における1.の状態)。…◎(良)
弱い剥がれが生じている(同図における2.の状態)。 …○(可)
糊玉、糊欠け、糊引きのいずれかが生じている(同図における3.〜5.の状態)。
…×(不可)
(偏光度の経時変化試験)
実施例や比較例で作成した光学フィルムを幅1160mm×長さ870mmに切断したサンプルを其々3組ずつ作成した。このサンプルの1組目をガラス板に張り合わせて偏光度を分光光度計(株式会社村上色彩研究所;DOT−3C)で測定した。このときの偏光度を初期偏光度(A)とする。
2組目のサンプルを気温90℃雰囲気下で1000時間静置した後、1組目と同様に偏光度を測定した。このときの偏光度を90℃処理偏光度(B)とする。
3組目のサンプルは気温60℃・湿度90%の雰囲気下で1000時間静置した後、1組目、2組目と同様に偏光度を測定した。このときの偏光度を60℃処理偏光度(C)とする。90℃処理偏光度(B)又は60℃処理偏光度(C)と、初期偏光度(A)とから其々の雰囲気下での偏光度変化量(B)−(A)および(C)−(A)を算出した。
(生産性試験)
光学フィルムを連続生産すると、生産量に応じて工程が汚染され、異物混入や輝点発生といった不具合の原因となるため、定期的に工程洗浄を行なう必要がある。この頻度が頻繁であると、生産性が下がり、コスト上昇に繋がる。そこで生産性について以下の試験を行なった。
実施例や比較例で作成した光学フィルムをテストプラントにて実際に生産し、不具合が発生するまでの平均時間を測定した。次に従来の光学フィルム、すなわち光学フィルム層1、アンカー層2、粘着層、光拡散層3の計4層を順に積層したフィルムを生産する場合の不良品が発生するまでの平均時間で除して、その比を以下のように評価した。
・評価方法
比率 評価
従来品と同等。 …0.8以上 …◎(良)
従来品より劣るが生産性への影響小。…0.15以上0.8未満 …○(可)
従来品より劣り、生産性に影響する。…0.15未満 …×(不可)
Figure 2008268285
〔結果および分析〕
(1)実施例6にかかる光拡散層付光学フィルムの、光学フィルム層(ノルボルネン系位相差板(N))以外の厚さは23.1μmであり、比較例3にかかる光拡散層付光学フィルムの、光学フィルム層(ノルボルネン系位相差板(N))以外の厚さは35.1μmであった。すなわち、12.0μm膜厚が小さくなっている。また、実施例6の光学フィルム層(ノルボルネン系位相差板(N))以外の厚さは30μm以下であり、モバイル用途に最適である。
また、実施例6のアンカー層2と光拡散層3との間に粘着剤層を加えたものが比較例3であり、比較例3は従来の光拡散層付光学フィルムに該当する。従って、液晶画面等に積層できる状態においての膜厚の差も12.0μm程度となると考えられる。
(2) ポリカーボネート系位相差板(PC)、ノルボルネン系位相差板(N)、液晶系位相差板(液晶)および偏光板のいずれについてもアンカー層2を省略すると接着性が大きく下がっている。例えば実施例1〜3と比較例1を比較すると、アンカー層2を省略すると接着力はほぼ半減しており、また、比較例2より明らかなように、接着力の低下は粘着層を追加しても改善されない。同じことがノルボルネン系位相差板(N)についても実施例4〜6と比較例4との比較により判り、液晶系位相差板(液晶)についても実施例7、8と比較例5との比較により判り、偏光板についても実施例10、11と比較例6との比較により判る。
本発明にかかる光拡散層付光学フィルムは光拡散層3が粘着層を有し、アンカー層2を省略するのではなく、粘着層を省略することにより、光学フィルム層1と光拡散層3との接着性の低下を伴うことなく、膜厚を小さくすることができる。
(3)実施例1〜17はいずれも糊欠け試験において○(可)以上の評価を得ている。一方アンカー層2を省略した比較例1、2、4〜6はいずれも糊欠け試験の評価が×(不可)である。すなわちアンカー層2を省略した場合には糊欠けが生じやすくなることが確認された。従って、本発明にかかる光拡散層付光学フィルムによれば、アンカー層2を省略するのではなく、粘着層を省略することにより全体膜厚を小さくし、糊欠けの発生を有効に防止することができる。
(4)比較例3は実施例6におけるアンカー層2と光拡散層3との間に粘着層を設けたものである。その結果特に粘着性は向上せず、糊欠け試験結果は悪化している。従って、本発明にかかる光拡散層付光学フィルムは、粘着層を省略することにより剥がれや糊欠けの発生を有効に防止した。
(5)アンモニアの添加について。
水分散系のアンカー剤を使用した場合には、アンモニアを添加することにより生産性が向上する。このことは、例えばポリカーボネート系位相差板(PC)を光学フィルム層1に使用した場合については、実施例1と2とを比較することで確認できる。他の光学フィルム、すなわちノルボルネン系位相差板(N)、液晶系位相差板(液晶)および偏光板についても、それぞれ実施例4と5とを比較、実施7と8とを比較、実施例10と11とを比較することにより判る。但しアンモニアを多く用いると偏光度の経時変化が生じやすくなり、特に光拡散層付光学フィルム1cmあたり2500ngを超えるとその傾向が顕著であることが、実施例14〜17により判る。また、逆にアンモニア添加量が光拡散層付光学フィルム1cmあたり2.5ng程度では生産性の向上に繋がらないことが実施例13より判る。
したがって、光拡散層付光学フィルム1cmあたりアンモニアを10ng以上2000ng未満含むことが好ましい。
(6)アンカー剤として、アミノ基を含むポリマー(ポリエチレンイミン)を用いた場合(実施例3、6、9、12、比較例3)に比較して水分散型ポリマーを用いた場合(実施例1、2、4、5、7、8、10、11、13〜17)には生産性が向上する。
したがって、アンカー層2が水分散型のポリマーを含有するアンカー剤により形成されることが好ましい。
本発明によれば、アンカー層2と光拡散層3の間に粘着層を積層しない光拡散層付光学フィルムを提供できる。係る光拡散層付光学フィルムは、従来のアンカー層2と光拡散層3の間に粘着層を積層する光拡散層付光学フィルムに比べ、全体の厚み10を小さくできる。よって液晶画面に積層する光学フィルムとして広く用いることができる。特に、薄さ、軽さが強く要求されるモバイル用途の液晶画面に積層する光学フィルムとして、好適に用いることができる。
実施の形態に係る光拡散層付光学フィルムを示す図。 光拡散層付楕円偏光板とその光学フィルム層の拡大図。 突き当て試験の説明図。(a)試験方法の概略図。(b),(c)評価方法の説明図。 こすり試験の説明図。(a)試験方法の概略図。(b)評価方法の説明図。 (a)従来の光拡散層付光学フィルムを示す図。(b)従来の光拡散層粘着層付光学フィルムを示す図。
符号の説明
1…光学フィルム層、1a…位相差板、1b,4,5…粘着層、1c…偏光板、2…アンカー層、3…光拡散層、10…光拡散層付光学フィルム全体の厚み、31…サンプル、32…板ガラス、34重り、35…ガラス板、36連続した糊欠けの深さ、37不連続な糊欠けの深さ、41…角棒、42…幅。

Claims (8)

  1. 光学フィルム層と光拡散層とを備え、前記光学フィルム層と前記光拡散層との接着性を改善するアンカー層を、前記光学フィルム層と前記光拡散層との間に備える光拡散層付光学フィルムにおいて、
    前記光拡散層が粘着力を備えることを特徴とする光拡散層付光学フィルム。
  2. 前記光学フィルム層以外の部分の厚みが15μm〜30μmであることを特徴とする、請求項1に記載の光拡散層付光学フィルム。
  3. 光拡散層がアクリル系粘着剤を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の光拡散層付光学フィルム。
  4. 前記アンカー層が水分散型のポリマーを含有するアンカー剤により形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散層付光学フィルム。
  5. 前記アンカー層が、該光拡散層付光学フィルム1cmあたりアンモニアを10ng以上2000ng未満含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散層付光学フィルム。
  6. 前記光学フィルムが偏光板または位相差板である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光拡散層付光学フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光拡散層付光学フィルムを有する液晶パネル。
  8. 請求項7に記載の液晶パネルを有する液晶表示装置。
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