JP2008266862A - ガラス合紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 天然パルプ繊維を原料として抄紙されるガラス合紙であって、当該原料は、その全繊維量に対して、長さ加重平均繊維長が1.5〜3.5mm、平均繊維幅が20〜40μm、ルンケル比が1.00〜4.00であるパルプを70質量%以上含有するガラス合紙。天然パルプ繊維により構成されるガラス合紙であって、該パルプ繊維の長さ加重平均繊維長は1.5〜3.5mm、ルンケル比が0.90〜4.00であり、該パルプ繊維の繊維幅が10〜50μmの範囲に含まれるパルプが80質量%以上であるガラス合紙。紙中の樹脂分が0.05質量%以下である前項記載のガラス合紙。平滑度が10秒以下である前項記載のガラス合紙。光学式表面粗さ測定装置で測定される表面粗さが50〜120μmである前項記載のガラス合紙。
【選択図】 なし
Description
古紙を主原料として製造されたガラス合紙は、その紙中に、乾燥性向上のためにインク基剤中に含まれていたビヒクルに由来する多量の樹脂が含まれている。
この樹脂は水溶、揮発または転移してガラス表面にヤケあるいは紙肌付着を発生させるものであり、一定の量に減少するまで取り除かなければならない。
しかしながら、ガラス板を複数枚積層して保管、運搬する時の環境変化は大きく、時には高温高湿となる場合がある。そのような環境下では、水溶性樹脂が溶出しやすくなり、樹脂バインダーを皮膜するという効果はなくなるため、5〜40重量部と多量に含浸した樹脂バインダーが剥き出しになると、ガラス表面に樹脂バインダーが転移し汚染されてしまう。汚染されたガラス表面は、薬液洗浄やブラッシング洗浄、超音波洗浄だけでは簡単に洗い流すことは難しい。
また、ガラス板同士が樹脂バインダーで接着されて剥離するのが非常に困難という問題も発生する。
しかし、最近では、2200×2600mm(第8世代)や2200×3200mm(第10世代)等、液晶パネル用のマザーガラス基板は一層大型化が進んでいる。従って大型の合紙が必要とされているが、合紙の大型化に伴い、ハンドリング適性の面から従来のガラス合紙よりも、さらに透気度や剛性が高いものが必要とされてきている。また、ガラス基板の歩留まりの点から、ガラス合紙の防汚性に対する要求もより厳しいものとなっている。
即ち、より大型化しても優れたハンドリング適性を有し、さらに防汚性にも優れたガラス合紙を提供するために、以下の発明を含包する。
本発明のガラス合紙はフラットパネル・ディスプレイ用のガラス板に最適である。
フラットパネル・ディスプレイ用のガラス板は、一般の建築用窓ガラス板や車両用窓ガラス等とは違って、高精細ディスプレイ用に使用されることから、ガラス表面に化学的な汚染があってはならず、また、微細な傷などの欠陥も許されない。従って、ガラス合紙に要求される品質も重要である。
従来、ガラス合紙としては低坪量(35〜50g/m2)で密度0.60g/cm3以下の紙が多く使用されており、透気度の値が低い合紙が主流であった。
ガラス合紙をガラス板の間へ挟み込む時には、通常は、合紙をバキューム装置によって吸い上げて挟み込む方法が採用されている。
しかし、ガラス基板の大型化で合紙も大面積化するため、透気度の値が10秒未満の場合には、バキューム圧が不足して作業に支障をきたす場合がある。
単に合紙の坪量や密度を上げれば、透気度の値を上げることは可能であるが、密度を上げると合紙のクッション性が低下し、傷つき防止効果が低下する。また、坪量を上げればコストの上昇を招く問題がある。
クラークこわさが40cm3/100未満の場合、ガラス板の間から突出した合紙が直立の状態を保ちにくくなるため、取り出し装置で合紙を掴むことができないという問題が発生する恐れがある。高湿度条件化においては、より高いクラークこわさが求められる。また、場合によっては紙の流れ方向とは逆の幅方向で使用されることもあるので紙のクラークこわさの縦横比は1.0に近いほど好ましい。
一方、このように繊維幅が広く、かつルンケル比が大きいパルプを用いることで、同坪量での厚さが出やすくなるのでクラークこわさを高めることができ、40cm3/100以上とすることが容易となった。また、20μm未満の繊維幅が狭いパルプを多用した場合には、紙表面の粗さが小さくなるためガラスとの接触点が多くなり、ガラス表面を汚染させる確率が大幅に高くなる。
なお、本発明において、繊維幅及びルンケル比は上記範囲で高いほど効果があるが、天然パルプの場合、実質的には、平均繊維幅の上限は40μm、ルンケル比の上限は4.00程度である。
フリーネスが600mlを越える場合は、合紙の弾性率が低くなり、クラークこわさを高めることが難しい。また透気度も出にくくなる。逆に200ml未満の場合は、透気度は出やすくなるが厚さが出にくくなるため、クラークこわさが低くなることや合紙の表面粗さが小さくなる。
叩解の程度については、主構成パルプの種類に応じて、ガラス合紙として求められる性能に合致する物性が得られるように適宜定めるものとする。
なお、パルプの叩解を行うにあたって、叩解装置の種類、パルプ濃度、仕込み速度等の各種叩解条件は特にこれを限定するものではない。また、叩解手法は限定されるものではないが、遊離状叩解よりも粘状叩解の方がより好ましい。
その他のパルプとしては、楮、三椏等を原料とする非木材繊維パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプ等がある。
これら主構成パルプ以外の原料パルプは、単独でも、二種以上混合使用しても良い。
従って、主構成パルプとその他のパルプはそれぞれ単独で叩解することが好ましい。
なお、これらのガラス合紙を構成するパルプの長さ加重平均繊維長、繊維幅、ルンケル比、及び全繊維量に対する質量比率等は、本発明のガラス合紙を再離解した後、定法により測定した数値である。
従って、木材パルプを主構成パルプとして使用する場合でも、それ以外の原料パルプとして使用する場合も、樹脂分の少ない樹種を選定するほうが良い。
なお、光学式表面粗さ測定装置は、加圧された条件化での表面粗さを測定するものであるため、ガラス合紙の表面粗さの評価方法として特に好適である。
本発明で使用可能な内添薬品については、ガラス表面を傷つけない、もしくは汚染しない範囲内で、ロジン、スチレン・マレイン酸、アルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、各種紙力増強剤、硫酸アルミニウム、濾水歩留り向上剤、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等の湿潤紙力増強剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、タルク等の填料、染料等を任意に使用することができる。
また、必要に応じて、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、デンプン等を用いることができる。例えば、高ケン化度PVA、低ケン化度PVA、変性PVA、変性ポリアクリルアミド、生デンプン、酸化デンプン、変性デンプン等を塗布または含浸させることも可能である。
エンボス加工はエンボッサーや凹凸の金型などにより行われ、点状、鎖線状、直線状、波状などの形状に加工される。凹凸の高低差は0.1mm以下、ピッチは2mm以下の状態で、表裏全面に分布されるものが好ましい。
クレープ化処理を付与する方法としては、抄紙機のウェットパートにおけるプレスロール上もしくはドライヤーパートにおけるシリンダー型ドライヤー上に設置されたドクターにて密着したシートを剥離してクレープ化する方法が挙げられる。前者をウエットクレープ、後者をドライクレープと区別している。これらのロールとポープリールの速度差などによりクレープ化率を変更することが可能であり、クレープ化率が大きいほど合紙の柔軟性や伸び等が増大する。一方では、抄紙段階でクレープ化処理を行わず、抄紙後のシートに2次加工として凹凸に成形された金型に挟み込み、クレープパターンを製造する方法もある。この方法では、ある程度均一化したクレープ形状を成形することが可能である。
なお、配合、濃度等を示す数値は、固形分又は有効成分の質量基準の数値である。
また、実施例及び比較例で得たガラス合紙は、特に記載のない場合は、抄造した紙はJIS P 8111に準拠して処理を行なった後、測定やテストに供した。
市販NBKP(平均繊維長2.0mm、繊維幅29μm、ルンケル比1.13)をダブルディスクリファイナーにてCSF450mlまで叩解したパルプ80質量%と、市販LBKP(平均繊維長0.82mm、繊維幅16μm、ルンケル比1.35)をCSF500mlまで叩解したパルプ20質量%を混合した。
上記のパルプを長網抄紙機にて抄紙し、坪量50g/m2、密度0.57g/cm3のガラス合紙を作製した。
市販NBKP(平均繊維長1.9mm、繊維幅34μm、ルンケル比1.54)をダブルディスクリファイナーにてCSF500mlまで叩解してパルプを得た。
上記パルプ100質量%を長網抄紙機にて抄紙し、坪量50g/m2、密度0.60g/cm3のガラス合紙を作製した。
市販NBKPをマニラ麻(商品名:N−4、エクアドル産、平均繊維長3.4mm、繊維幅22μm、ルンケル比1.18)に変更し、傾斜ワイヤー抄紙機で抄紙した以外は実施例1と同様にしてガラス合紙を作製した。
市販LBKP(平均繊維長0.8mm、繊維幅15μm、ルンケル比1.21)をCSF500mlまで叩解してパルプを得た。
上記のパルプ100質量%を長網抄紙機にて抄紙し、坪量50g/m2、密度0.58g/cm3のガラス合紙を作製した。
市販NBKP(平均繊維長2.1mm、繊維幅24μm、ルンケル比0.97)をダブルディスクリファイナーにてCSF500mlまで叩解してパルプを得た。
上記パルプ100質量%を長網抄紙機にて抄紙し、坪量50g/m2、密度0.55g/cm3のガラス合紙を作製した。
ダブルディスクリファイナーにてCSFを150mlにした以外は実施例2と同様にして、坪量50g/m2、密度0.55g/cm3のガラス合紙を作製した。
長さ加重平均繊維長は市販の測定機(商標:Fiber Lab、Kajaani社製)を用いて測定した。
なお、本測定機は、JAPAN TAPPI No.52で規定された光学的自動計測法の装置であり、繊維長以外にも、画像処理により、繊維幅、繊維壁の厚さの測定が可能である。
繊維幅は、前述の長さ加重平均繊維長を測定した時に用いたものと同じ測定機を使用して測定した。
前述の長さ加重平均繊維長を測定した時に用いたものと同じ測定機を使用して、繊維径と繊維壁を測定し、下記の式1によってルンケル比を求めた。
式1:α=2c/(d1−2c)
α:ルンケル比
c:壁厚(μm)
d1:繊維径(μm)
JAPAN TAPPI−5に準拠して、王研式により透気度を測定した。
JIS P 8143に準拠してクラークこわさを測定した。
JAPAN TAPPI−5に準拠して、王研式により表裏の平滑度を測定した。
ISO環境下(温度23℃、湿度50%)で光学式表面粗さ測定装置/(株)東洋精機製を用いて、同装置のプリズムに圧力6.0kg/cm2で合紙を押し付け、プリズム側から入射角45度で照明し、光学的接触率の変化から平均粗さを測定した。
以下の通りの方法でISO624−1974に準じて測定を行なった。
絶乾約10gのガラス合紙を試料とし、ジクロロメタンを溶媒として、定温ヒーター下で4時間かけて抽出を行い、下記の式2にて紙中の樹脂量を求めた。
式2:m=(m0/m1)×100
m:樹脂量(%)
m0:ジクロロメタン抽出物(g)
m1:試料の絶乾質量(g)
液晶ガラス用のガラス板とガラス合紙を平置きの状態で交互に積層し、加圧用冶具を用いて上方より2kg/cm2の加重をかけた状態で温度50℃、湿度90%の環境下に4日間放置して加速試験を行なった。その後、ガラス板表面のブラッシング洗浄と超音波洗浄を実施した後、汚染度を評価した。
評価は目視によるものとし、全く汚染されていないものを○、部分的に汚染されていたものを△、全面が汚染されていたものを×とした。
Claims (5)
- 天然パルプ繊維を原料として抄紙されるガラス合紙であって、当該原料は、その全繊維量に対して、長さ加重平均繊維長が1.5〜3.5mm(J.TAPPI No.52)、平均繊維幅が20〜40μm、ルンケル比が1.00〜4.00であるパルプを70質量%以上含有することを特徴とするガラス合紙。
- 天然パルプ繊維により構成されるガラス合紙であって、該パルプ繊維の長さ加重平均繊維長は1.5〜3.5mm(J.TAPPI No.52)、ルンケル比が0.90〜4.00であり、該パルプ繊維の繊維幅が10〜50μmの範囲に含まれるパルプが80質量%以上であることを特徴とするガラス合紙。
- 紙中の樹脂分(ISO−624−1974)が0.05質量%以下であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のガラス合紙。
- 平滑度が10秒以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラス合紙。
- 光学式表面粗さ測定装置で測定される表面粗さが50〜120μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラス合紙。
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