JP2008266742A - 金属表面の洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗浄効果に優れ、洗浄の作業性を向上させることができる金属表面の洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法を提供する。
【解決手段】金属表面の洗浄剤は、キレート剤と腐食性イオンとを含有する水溶液である。キレート剤の含有量は1〜30質量%及び腐食性イオンの含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。この洗浄剤を用いた洗浄方法は、金属の表面に還元剤を作用させた後、上記洗浄剤を作用させて洗浄するものである。この場合、金属の表面に親水性皮膜が形成されていても、その親水性皮膜は溶解されず、剥がれることもない。洗浄剤による洗浄後の洗浄廃液のpHは5〜9の中性領域にあり、中和処理を省略することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば空調機器に備えられているアルミニウム製や銅製のフィンの表面を、空調機器に悪影響を与えることなく洗浄するために用いられる金属表面の洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法に関するものである。
この種の金属表面洗浄剤としては、例えば強アルカリ性の薬剤が知られているが、取扱いが難しいため作業性が悪いという欠点があった。そのような欠点のない金属表面洗浄剤として、キレート剤と防食剤とを含有する洗浄剤が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この洗浄剤は具体的には、キレート剤1質量部と、防食剤として炭酸塩を0.5〜20質量部とを含有し、アルミニウムやアルミニウム合金の表面洗浄に使用されている。
特開2004−175871号公報(第2頁、第6〜8頁)
しかしながら、特許文献1に記載されている金属表面の洗浄剤は、防食剤として炭酸塩が配合されていることから、金属の腐食を減少させることはできるが、金属表面の洗浄について機能を発現することができるのはキレート剤だけであることから、十分な洗浄効果を得ることはできなかった。そのため、洗浄剤による洗浄作業を長時間行ったり、洗浄操作を繰返し行ったりしなければならず、満足できるものではなかった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、洗浄効果に優れ、洗浄の作業性を向上させることができる金属表面の洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の金属表面の洗浄剤は、キレート剤と腐食性イオンとを含有することを特徴とするものである。
請求項2に記載の金属表面の洗浄剤は、請求項1に係る発明において、前記キレート剤の含有量が1〜30質量%及び腐食性イオンの含有量が0.01〜10質量%の水溶液であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の金属表面の洗浄方法は、金属の表面に還元剤を作用させた後、請求項1又は請求項2に記載の金属表面の洗浄剤を作用させて洗浄することを特徴とするものである。
請求項4に記載の金属表面の洗浄方法は、請求項3に係る発明において、前記洗浄後の洗浄廃液のpHは5〜9の中性領域に設定されていることを特徴とするものである。
請求項5に記載の金属表面の洗浄方法は、請求項3又は請求項4に係る発明において、前記金属の表面には親水性皮膜が形成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の金属表面の洗浄剤においては、キレート剤に加えて腐食性イオンを含有することから、金属表面の特に金属腐食生成物に対してキレート剤が配位すると共に、腐食性イオンが作用してそれを溶解し、洗浄除去することができるものと考えられる。従って、金属表面の洗浄を容易かつ速やかに行うことができる。よって、金属表面の洗浄剤は、洗浄効果に優れ、洗浄の作業性を向上させることができる。
請求項2に記載の金属表面の洗浄剤では、キレート剤の含有量が1〜30質量%及び腐食性イオンの含有量が0.01〜10質量%の水溶液である。このため、請求項1に係る発明の効果に加えて、キレート剤と腐食性イオンの効果を有効に発揮させることができる。
請求項3に記載の金属表面の洗浄方法では、金属の表面に還元剤を作用させた後、前記金属表面の洗浄剤を作用させて洗浄するものである。従って、金属表面の特に金属腐食生成物が還元剤によって還元され、還元生成物にキレート剤が配位すると共に、腐食性イオンが作用してそれを溶解し、洗浄除去されるものと考えられる。従って、金属表面の洗浄効果に優れ、洗浄の作業性を向上させることができる。
請求項4に記載の金属表面の洗浄方法では、洗浄後の洗浄廃液のpHは5〜9の中性領域に設定されている。このため、請求項3に係る発明の効果に加えて、洗浄廃液を中和剤で中和処理する必要がなく、作業性を向上させることができる。
請求項5に記載の金属表面の洗浄方法では、金属の表面には親水性皮膜が形成されている。この場合、請求項3又は請求項4に係る発明の効果に加えて、親水性皮膜を溶解又は剥離することなく、金属表面の洗浄を行うことができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態における金属表面の洗浄剤は、キレート剤と腐食性イオンとを含有するもの、通常は水溶液である。この洗浄剤は、キレート剤にさらに腐食性イオンを含有することから、金属表面の特に金属腐食生成物に対してキレート剤が配位すると同時に、腐食性イオンが作用してそれを溶解し、洗浄除去することができるものと考えられ、金属表面に対して優れた洗浄効果を発現することができる。
前記キレート剤は、金属原子又は金属イオンに配位してキレート化合物を形成する機能を発現することができる多座配位子である。このキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)とそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、グルコン酸とそのアルカリ金属塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸とそのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸とそのアルカリ金属塩、トリエチレンテトラミン六酢酸とそのアルカリ金属塩、ニロリロ三酢酸とそのアルカリ金属塩等が挙げられる。上記アルカリ金属塩を形成するアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が用いられる。
次に、腐食性イオンは、金属、金属酸化物、金属腐食生成物等に作用してそれを溶解する機能を発現するイオンである。この腐食性イオンとしては、その機能を十分に果たすために一価又は二価のアニオン(マイナスイオン)であることが好ましい。さらに、腐食性イオンとしては、特に金属腐食生成物の種類に応じて複数種類(例えば2種類)の腐食性イオンを組合せて使用することが望ましい。腐食性イオンとして具体的には、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、硝酸イオン(NO )、硫酸イオン(SO 2−)等が挙げられる。
金属表面の洗浄剤は、前記キレート剤の含有量が1〜30質量%及び腐食性イオンの含有量が0.01〜10質量%の水溶液であることが好ましい。従って、残部は水である。キレート剤と腐食性イオンの含有量をそれぞれこのような範囲に設定することにより、弊害をもたらすことなく、キレート剤と腐食性イオンの機能を十分に発現することができ、洗浄剤の効果を高めることができる。キレート剤の含有量が1質量%より少ない場合には、キレート作用を十分に発現することができず、金属表面の洗浄効果が低下して好ましくない。その一方、30質量%より多い場合には、キレート作用を発現することなく残存するキレート剤の割合が多くなり、洗浄後の廃液にそのまま含まれるため好ましくない。
また、腐食性イオンの含有量が0.01質量%を下回る場合には、金属表面の特に金属腐食生成物を溶解する機能が十分に発揮されず、洗浄効果が低下して好ましくない。一方、腐食性イオンの含有量が10質量%を上回る場合には、洗浄後の洗浄廃液のpHが酸性になったりして中和処理が必要となるなどの弊害が生じて好ましくない。
次に、上記金属表面の洗浄剤を用いた金属表面の洗浄方法について説明する。係る洗浄方法は、金属の表面に還元剤を作用させた後、前記金属表面の洗浄剤を作用させて洗浄するものである。この洗浄方法によれば、金属表面の汚れ、特に金属腐食生成物を溶解し、洗浄除去することができるため、空調機器に備えられているアルミニウム製や銅製のフィンの表面を綺麗に洗浄することができる。
前記還元剤は、金属表面の金属酸化物、金属腐食生成物等を還元させて金属、金属イオン等の還元生成物を生成させるものである。この還元剤としては、重亜硫酸ナトリウム(亜硫酸水素ナトリウム、NaHSO)、無水重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、チオ硫酸ナトリウム(Na)等の無機系還元剤や、エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)、アスコルビン酸、シュウ酸又はそれらのアルカリ金属塩等の有機系還元剤が用いられる。この還元剤は通常水溶液として金属表面に適用されるが、その適用方法としてはスプレー塗布、刷毛塗り、浸漬塗布などいずれの方法も採用される。還元剤水溶液中の還元剤の濃度は、好ましくは1〜5質量%である。還元剤の濃度が1質量%より低い場合には還元作用が不足する傾向を示し、5質量%より高い場合には過剰の還元剤が残存するおそれがあって好ましくない。
金属の表面に還元剤を作用させた後に前記金属表面の洗浄剤を作用させる方法も特に制限されず、還元剤の適用方法と同様の方法が採用される。金属表面に洗浄剤を作用させるに当たっては、前述した洗浄剤の要件に従って行われる。金属表面の洗浄に際しては、洗浄効果を高めるために例えば40〜60℃に加熱して行うことが好ましい。
洗浄後における洗浄廃液のpHが好ましくは5〜9、より好ましくは6〜8の中性領域になるように設定することが好ましい。この場合、洗浄廃液の中和処理を省略することができる。洗浄廃液のpHが5未満の酸性の場合又はpHが9を超えるアルカリ性の場合には、洗浄廃液にアルカリ又は酸を添加して中和処理を行う必要がある。また、金属表面の洗浄を行うに際し、金属表面に親水性樹脂又は珪酸などによる親水性皮膜が形成されているときには、還元剤と洗浄剤とを用いる洗浄方法に従えば親水性皮膜を溶解又は剥離することなく、金属表面の洗浄を行うことができる。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような作用及び効果が発揮される。
・ 本実施形態における金属表面の洗浄剤においては、キレート剤に加えて腐食性イオンを含有することから、特に金属表面の金属酸化物、金属腐食生成物等に対してキレート剤が配位すると共に、そこへアニオン等の腐食性イオンが作用してそれを溶解し、洗浄除去することができるものと推測される。なお、金属酸化物や金属腐食生成物の洗浄に伴って、金属表面の汚垢、油脂類等も洗浄、除去される。従って、金属表面の洗浄を簡単かつ迅速に行うことができる。よって、金属表面の洗浄剤は、金属表面の金属酸化物、金属腐食生成物等に対する洗浄効果に優れ、洗浄の作業性を向上させることができる。その結果、空調機器に備えられているアルミニウム製や銅製のフィンの表面を綺麗に洗浄することができ、フィンの機能を蘇らせることができる。
・ 金属表面の洗浄剤は、キレート剤の含有量が1〜30質量%及び腐食性イオンの含有量が0.01〜10質量%の水溶液であることにより、キレート剤と腐食性イオンの効果を有効に、しかも相乗的に発揮させることができる。
・ 金属表面の洗浄方法は、金属の表面に還元剤を作用させた後、前記金属表面の洗浄剤を作用させて洗浄するものである。このため、金属表面の特に金属酸化物や金属腐食生成物が還元剤によって金属や金属イオンに還元され、その還元生成物にキレート剤が配位すると共に、アニオンよりなる腐食性イオンが作用してそれを溶解し、洗浄除去されるものと考えられる。従って、金属表面の洗浄効果に優れ、洗浄の作業性を向上させることができる。
・ 金属表面の洗浄方法において、洗浄後の洗浄廃液のpHが5〜9の中性領域に設定されることにより、洗浄廃液を中和剤で中和処理する必要がなく、作業性を向上させることができる。
・ 金属の表面に親水性皮膜が形成されている場合においても、前記洗浄剤は親水性皮膜を溶解又は剥離することなく、金属表面の洗浄を行うことができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1〜4)
洗浄剤を構成するキレート剤及び腐食性イオンの割合と、金属腐食生成物の洗浄力との関係を示すために、酸化したアルミニウム(Al)と銅(Cu)をテストピースとし、キレート剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)四ナトリウム(EDTA4Na)又はニトリロ三酢酸(NTA)三ナトリウム(NTA3Na)を表1〜表4に示す濃度、及び腐食性イオンとして表1〜表4に示す種類及び濃度で使用した。そして、テストピースを洗浄剤の10質量%水溶液に、30℃で15分間浸漬した後のテストピースの質量減少量(mg/cm)を測定した。その結果を表1〜表4に示した。表1〜表4中において、「不溶」は洗浄剤が水に溶解しなかったことを意味する。
ここで、実施例1ではテストピースとしてアルミニウムを用い、キレート剤としてEDTA4Naを用いた例、実施例2ではテストピースとしてアルミニウムを用い、キレート剤としてNTA3Naを用いた例を示す。実施例3ではテストピースとして銅を用い、キレート剤としてEDTA4Naを用いた例、実施例4ではテストピースとして銅を用い、キレート剤としてNTA3Naを用いた例を示す。
Figure 2008266742
表1に示したように、実施例1ではEDTA4Naの濃度が1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%の範囲で、腐食性イオンとしてNO +Clの濃度が0.1質量%、1.0質量%及び5.0質量%で、SO 2−+Brの濃度が0.1質量%、1.0質量%及び5.0質量%の場合に、アルミニウムの質量減少量が0.050(mg/cm)以上という十分な効果が得られた。
Figure 2008266742
表2に示したように、実施例2ではNTA3Naの濃度が1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%の範囲で、腐食性イオンとしてNO +Clの濃度が0.1質量%、1.0質量%及び5.0質量%で、SO 2−+Brの濃度が0.1質量%、1.0質量%及び5.0質量%の場合に、アルミニウムの質量減少量が0.030(mg/cm)以上という十分な効果が得られた。
Figure 2008266742
表3に示したように、実施例3ではEDTA4Naの濃度が1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%の範囲で、腐食性イオンとしてNO +Clの濃度が0.1質量%、1.0質量%及び5.0質量%で、SO 2−+Brの濃度が0.1質量%、1.0質量%及び5.0質量%の場合に、アルミニウムの質量減少量が0.040(mg/cm)以上という十分な効果が得られた。
Figure 2008266742
表4に示したように、実施例4ではNTA3Naの濃度が1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%の範囲で、腐食性イオンとしてNO +Clの濃度が0.1質量%、1.0質量%及び5.0質量%で、SO 2−+Brの濃度が0.1質量%、1.0質量%及び5.0質量%の場合に、アルミニウムの質量減少量が0.030(mg/cm)以上という十分な効果が得られた。
(実施例5〜10)
酸化したアルミニウム及び銅のテストピースの表面を下記に示す2種類の還元剤で前処理を施すか、又は前処理を施すことなく、下記に示す洗浄剤の10質量%溶液に、洗浄温度20〜60℃で15分間浸漬した後の質量減少量(mg/cm)を測定した。その結果を表5に示した。
(還元剤)
SBSNa:無水重亜硫酸ナトリウム2.0質量%水溶液
OANa:シュウ酸ナトリウムの2.0質量%水溶液
(洗浄剤)
キレート剤としてEDTA4Naを20質量%及び腐食性イオンとしてNO +Clの濃度が1.0質量%の水溶液。
ここで、実施例5ではテストピースとしてアルミニウムを用い、テストピースの表面を還元剤としてSBSNaで前処理した例、実施例6ではテストピースとしてアルミニウムを用い、テストピースの表面を還元剤としてOANaで前処理した例を示す。実施例7ではテストピースとしてアルミニウムを用い、テストピースの表面を還元剤で前処理しなかった例を示す。実施例8ではテストピースとして銅を用い、テストピースの表面を還元剤としてSBSNaで前処理した例、実施例9ではテストピースとして銅を用い、テストピースの表面を還元剤としてOANaで前処理した例、実施例10ではテストピースとして銅を用い、テストピースの表面を還元剤で前処理しなかった例を示す。
Figure 2008266742
表5に示した結果より、テストピースがアルミニウム及び銅のいずれの場合にも、洗浄温度が高いほどアルミニウム及び銅の溶解量が増加した。また、テストピースの表面を還元剤(SBSNa又はOANa)で前処理した場合の方が前処理しなかった場合に比べて、アルミニウム及び銅の溶解量が増加することが明らかになった。
(実施例11〜18及び比較例1、2)
テストピースとしてアルミニウム製フィンの表面に形成された下記の樹脂系親水性皮膜又は珪酸系親水性皮膜の影響について、以下に示す評価方法で評価した。ここで、還元剤として前記SBSNaを用いてアルミニウム製フィンの表面を前処理した場合と前処理をしなかった場合について評価した(実施例11〜14)。また、還元剤としてSBSNaに代えて、OANaを用いて同様に評価した(実施例15〜18)。なお、比較例1及び2では水酸化ナトリウム水溶液をベースとする洗浄剤を用いた例である。
樹脂系親水性皮膜:アルミニウム製フィンの表面に親水性樹脂を用いた樹脂系皮膜処理を施したもの。
珪酸系親水性皮膜:アルミニウム製フィンの表面に水ガラスを主成分とした珪酸系皮膜処理を施したもの。
(評価方法)
1)表6及び表7に示す洗浄剤を10質量%に調整した洗浄剤(水溶液)をシャーレに入れた。なお、表6及び表7における%は質量%を意味する。
2)アルミニウム製フィンを2組用意し、1組は常温で4時間洗浄剤に浸漬し、他の1組はブランクとして蒸留水に室温で4時間浸漬した。
3)アルミニウム製フィンを洗浄剤から取り出した後、純水を入れたハンドスプレーで水洗し、24時間以上自然乾燥した。
4)洗浄剤に浸漬させたアルミニウム製フィンは純水に浸漬させ、1時間経過後に引き上げ、24時間以上自然乾燥した。
5)各アルミニウム製フィンの外観変化を目視により判定し、下記の判断基準にて評価した。
判断基準:○;剥離及び溶解がない、×;剥離及び溶解あり。
Figure 2008266742
Figure 2008266742
表6及び表7に示した結果より、実施例11〜18においては、前処理として還元剤を使用した場合としなかった場合、及び樹脂系親水性皮膜、珪酸系親水性皮膜のいずれの場合についても、親水性皮膜の剥離及び溶解はなく、良好な結果が得られた。
(実施例19)
テストピースの表面を還元剤として前記SBSNaで前処理した後、洗浄剤としてキレート剤のEDTA4Naが20質量%及び腐食性イオンのNO +Clの濃度が1.0質量%の水溶液で洗浄したときの洗浄廃液のpHを確認するための試験を行った。すなわち、上記還元剤と洗浄剤の使用量を表8に示す割合に設定し、その混合液についてpHを測定した。その結果を表8に示した。
Figure 2008266742
表8に示した結果より、混合液のpHを中性領域である5〜9にするためには、還元剤の使用量が洗浄剤1mL当たり0.1〜100mL程度であり、pHを6〜8にするためには、還元剤の使用量が洗浄剤1mL当たり0.5〜5mL程度であることが明らかになった。
(実施例20〜31)
下記に示す手順により、アルミニウム表面に人工的に汚垢を形成したテストピースについて、還元剤(SBSNa及びOANa)で前処理を施した後、表9に示す洗浄剤で洗浄するか、又は係る前処理を行うことなく、洗浄剤のみで洗浄を行った。
1)牛脂と大豆油との混合油脂(質量比は1:1)20g、グリセロール−α−モノオレエート0.25g及びオイルレッド(赤色225号)0.1gをクロロホルム60gに溶解し、汚垢液を調製した。
2)この汚垢液をアルミニウム板(縦50mm、横25mm)の表面に塗布した後乾燥させ、1〜3ヶ月自然酸化させることにより、汚垢が付着したテストピースを作製した。
3)このテストピースを表9に示す洗浄剤中に15分間浸漬し、汚垢の洗浄率を測定し、下記の評価基準で評価した。その結果を表9に示した。
◎:洗浄が非常に良好(洗浄率95〜100%)、○:洗浄が良好(洗浄率50〜95%)、△:洗浄がやや不良(洗浄率25〜50%)、×:洗浄が不良(洗浄率0〜25%)。
Figure 2008266742
表9に示したように、還元剤(SBSNa及びOANa)で前処理した場合(実施例20、21、23、24、26、27、29及び30)には、洗浄の結果は非常に良好であった。また、洗浄剤のみによる洗浄の場合(実施例22、25、28及び31)には、洗浄の結果は良好であった。
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 金属表面の洗浄剤には、エチルアルコール等の有機溶剤を含有させて、洗浄効果を向上させることも可能である。
・ 金属表面の洗浄剤には、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤を配合して界面活性作用により洗浄効果を高めることもできる。
・ 洗浄の対象となる金属としては、ステンレス鋼、真鍮等であってもよい。
次に、前記実施形態から把握される技術的思想について以下に記載する。
・ 前記キレート剤と腐食性イオンとを含有する水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の金属表面の洗浄剤。この場合、請求項1に係る発明の効果に加えて、洗浄剤の洗浄効果を一層向上させることができる。
・ 前記腐食性イオンは、一価又は二価のアニオンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属表面の洗浄剤。この場合、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、金属表面の金属酸化物や金属腐食生成物に対する洗浄効果を一層向上させることができる。
・ 前記腐食性イオンは、複数種類のアニオンで構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属表面の洗浄剤。この場合、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、金属表面の種類の異なる金属酸化物や金属腐食生成物に対する洗浄効果を向上させることができる。

Claims (5)

  1. キレート剤と腐食性イオンとを含有することを特徴とする金属表面の洗浄剤。
  2. 前記キレート剤の含有量が1〜30質量%及び腐食性イオンの含有量が0.01〜10質量%の水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の金属表面の洗浄剤。
  3. 金属の表面に還元剤を作用させた後、請求項1又は請求項2に記載の金属表面の洗浄剤を作用させて洗浄することを特徴とする金属表面の洗浄方法。
  4. 前記洗浄後の洗浄廃液のpHは5〜9の中性領域に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の金属表面の洗浄方法。
  5. 前記金属の表面には親水性皮膜が形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の金属表面の洗浄方法。
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