JP2013075971A - 洗浄剤組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】銅系材や亜鉛系材について付着有機物の除去を適切に行いつつ、耐食層の除去に基づいて生じる洗浄上がりおよびめっき後の外観不良を抑制することが可能な洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】水溶性リン酸イオン物質、当該水溶性リン酸イオン物質以外の水溶性アルカリ性イオン物質、キレート剤、および界面活性剤を含有し、pHが10〜12であって、腐食抑制剤を含有しない水系組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、銅系材または亜鉛系材のための洗浄剤組成物に関する。
本発明において、銅系材とは銅または銅合金の表面を有する部材をいい、亜鉛系材とは亜鉛または亜鉛合金の表面を有する部材をいう。
銅系材や亜鉛系材は、通常の環境下では、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金といった金属系材料の表面(以下、「金属系表面」という。)上に耐食性を有する酸化物や水酸化物からなる層(以下、「耐食層」)が形成されており、この耐食層によってその下の金属系表面の腐食が防止されている。
このように耐食層は通常環境下では有益であるが、これらの部材にめっきを施そうとする場合には、この耐食層は抵抗層となり、そのままでは均一なめっき形成の障害となる。このため、通常、脱脂工程において部材表面に付着した有機物等を除去することとともに、この耐食層を除去することが行われる。
この脱脂工程において使用される洗浄剤組成物は、これまで、付着有機物および耐食層を除去できる高アルカリ性の液状組成物が一般的であった。
ところが、高アルカリ性の液状組成物は、付着有機物および耐食層の除去には有効であったが、耐食層が除去されて液状組成物中に露出した金属系表面が高アルカリ性の液状組成物によって冒され、その部分が他の部分に比べて変色し、外観不良をもたらしていた。
この金属系表面の腐食抑制に関し、例えば特許文献1には、アルキレンオキシ−アルキルホスフェートジエステルまたはトリエステルを腐食抑制剤とするアルミニウムまたは着色金属およびその合金の表面用洗浄・腐食抑制組成物が提案されている。
特表2007−530785号公報
しかしながら、特許文献1に開示される手段は、金属系表面の腐食量を低減させることを優先しているため、洗浄対象となる部材(以下、「被洗浄材」という。)が切削などの二次加工を受けて加工油が付着した状態である場合には、洗浄力が低すぎるものであった。このように、従来技術に係る金属系表面の腐食量抑制を目指した洗浄剤組成物は、洗浄力を十分に得ることができていなかった。また、後述するように、腐食抑制剤を用いることは、腐食量の抑制には効果があるが、腐食に基づく外観不良の発生を抑制する観点からは必ずしも有効な手段とはいえない。
本発明は、このような技術背景を鑑み、銅系材や亜鉛系材について付着有機物の除去を適切に行いつつ、耐食層の除去に基づいて生じる洗浄上がりおよびめっき後の外観不良を抑制することが可能な洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らが検討した結果、洗浄剤組成物に接した銅系材または亜鉛系材からなる被洗浄材に外観不良をもたらす要因として、次の3つがあることが明らかになった。
(要因1)洗浄剤組成物によって被洗浄材表面の耐食層が除去されて金属系表面が露出し、この露出した金属系表面が洗浄剤組成物によって冒されて他の領域に比べて変色した領域が形成される。
(要因2)洗浄剤組成物による被洗浄材表面の耐食層の除去が不均一に行われると、局所的に耐食層の厚さが薄い領域が形成され、これが変色領域となる。
(要因3)洗浄剤組成物によって露出した金属系表面は速やかに溶存酸素と反応してその表面上に耐食層が形成され、局所的に形成された耐食層の厚さが厚い領域が変色領域となる。
従来技術に係る洗浄剤組成物は、被洗浄材表面の耐食層を除去して金属系表面を露出させることを前提とし、この露出した金属系表面を洗浄剤組成物に含有される腐食抑制剤によって覆い、洗浄剤組成物の高いアルカリ性に基づく金属系表面の腐食を防止している。
しかしながら、アルカリ性が高く耐食層が除去された状態では、露出した金属系表面の腐食は不可避であり、腐食抑制剤の存在により腐食量を抑制することはできても、腐食に基づく変色領域の発生を抑制することまでは実現できていなかった。
また、腐食抑制剤の存在は、洗浄剤組成物に含有される耐食層を除去するための成分の働きにばらつきを与え、腐食抑制剤に覆われた部分には耐食層が形成されにくくなるため耐食層の生成にもばらつきを与える。このため、腐食抑制剤は要因2および3に基づく外観不良の発生原因となっていた。
以上の検討に基づき、本発明者らは次の方針を導いた。
(A)従来はpHを13以上として強アルカリ性としていた洗浄剤組成物の液性を、耐食性が安定に存在するpH10から12の範囲として、金属系表面が露出して洗浄剤組成物に冒されるという上記の要因1に係る外観不良の発生を抑制する。
(B)洗浄剤組成物に腐食抑制剤を非含有として、上記の要因2および3に係る外観不良の発生を抑制する。
(C)キレート剤を含有させることによって耐食層の厚さを薄くして、洗浄上がりの状態で外観不良が生じたり、その後のめっきにおいてめっき厚さのばらつきが生じたりすることを抑制する。
以上の検討に基づき完成された本願発明は次のとおりである。
(1)水溶性リン酸イオン物質、当該水溶性リン酸イオン物質以外の水溶性アルカリ性イオン物質、キレート剤、および界面活性剤を含有し、pHが10以上12以下であって、腐食抑制剤を含有しない水系組成物であることを特徴とする銅系材または亜鉛系材の洗浄剤組成物。
ここで、「腐食抑制剤を含有しない」とは、その含有に基づき外観不良を発生させる程度に腐食抑制剤を含有しないという意味であり、微量の含有まで否定する意味ではない。
(2)前記リン酸塩以外のアルカリ性塩が珪酸塩を含む、上記(1)記載の洗浄剤組成物。
(3)上記(1)または(2)に記載される洗浄剤組成物の製造方法であって、前記洗浄剤組成物に含有される前記水溶性リン酸イオン物質、前記水溶性リン酸イオン物質以外の水溶性アルカリ性イオン物質、および前記キレート剤のぞれぞれの原料物質を含有する第一の組成物と、前記洗浄剤組成物に含有される前記界面活性剤の原料物質を含有する第二の組成物とを用いて、pHが10以上12以下の液状組成物を得ることを特徴とする銅系材または亜鉛系材の洗浄剤組成物の製造方法。
上記の発明によれば、従来は両立することが困難であった、付着有機物の除去と耐食層の除去に基づく外観不良発生の抑制とを両立することが実現される。
本発明の一実施形態は、水溶性リン酸イオン物質、当該水溶性リン酸イオン物質以外の水溶性アルカリ性イオン物質、キレート剤、および界面活性剤を含有し、pHが10〜12であって、腐食抑制剤を含有しない水系組成物からなる洗浄剤組成物に関する。
この本実施形態に係る洗浄剤組成物は、従来の一般的な高アルカリ性の洗浄剤組成物に比べてpHが低く、水溶性リン酸イオン物質の緩衝作用によってpHが10から12の範囲に設定されている。このため、銅系材および亜鉛系材の表面には、それぞれ、耐食層(耐食性を有する酸化物や水酸化物層であって、具体的にはCuO、CuO、Zn(OH)などが例示される。)が安定に存在することができる。それゆえ、金属系材料が露出して洗浄剤組成物によって冒されることが本質的に抑制されている。その一方で、本実施形態に係る洗浄剤組成物はキレート剤を含有することから、このキレート剤によって耐食層が適切に除去されてその厚さが薄くなっている。すなわち、pHを10〜12の範囲とするとともにキレート剤を含有させることによって、本実施形態に係る洗浄剤組成物の金属系材料の表面にはごく薄い耐食層が形成された状態となる。前述のように、従来技術においては、耐食層はめっき工程において抵抗層であるから完全に除去されるべきものとされていたが、本実施形態では、これを完全に除去すれば必ず外観不良をもたらすことから、抵抗層としてめっき工程において弊害をもたらす厚さよりも耐食層の厚さを薄くすることによって、耐食層が抵抗層となることおよび耐食層が除去されることに基づく外観不良の双方の問題の発生を回避している。
以下、本実施形態に係る洗浄剤組成物の成分について説明する。
(1)水溶性リン酸イオン物質
水溶性リン酸イオン物質とは、オルトリン酸イオン(PO 3−)を含み、洗浄剤組成物中でイオンの形態である水溶性物質をいう。この水溶性リン酸イオン物質は本実施形態に係る洗浄剤組成物のpHを10〜12の範囲とする緩衝作用をもたらすものであり、おおむね、オルトリン酸イオンからなる。
この水溶性リン酸イオン物質は、通常、リン酸塩の形で配合される。その際のカウンターイオンは限定されず、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属のイオンが典型的である。
水溶性リン酸イオン物質のリン換算含有量は、本実施形態に係る洗浄剤組成物のpHを10〜12の範囲とする限り限定されない。過度に少ない場合には緩衝作用をもたらすことができないこと、および過度に多い場合には洗浄剤組成物の粘度が高まって洗浄力が低下したり廃液処理の負荷が増大したりすることを考慮して、適宜設定すればよい。水溶性リン酸イオン物質のリン換算含有量の好ましい含有量の一例を挙げれば、0.1g/L以上0.5g/L以下である。
(2)水溶性リン酸イオン物質以外の水溶性アルカリ性イオン物質
水溶性リン酸イオン物質以外の水溶性アルカリ性イオン物質とは、水中でアルカリ性を示す塩類を溶解して得られるものであって、その塩がリン酸塩以外のものをいう。そのような塩として、珪酸塩および炭酸塩が例示される。以下、上記物質を「アルカリ性イオン物質」、該アルカリ性イオン物質を与える塩を「アルカリ塩」と略記する。
アルカリ性イオン物質は、本実施形態に係る洗浄剤組成物中において、液性をアルカリ性にする作用を有し、洗浄力の一因となる場合もある。
アルカリ性イオン物質が珪酸イオンを含む場合におけるアルカリ塩として、メタ珪酸ナトリウム(1種、2種)、セスキ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸ナトリウム、1号珪酸ナトリウム、2号珪酸ナトリウム、3号珪酸ナトリウムなどが例示される。アルカリ性イオン物質が炭酸イオンを含む場合におけるアルカリ塩として、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが例示される。
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、pHが10〜12の範囲で優れた洗浄力を有するものであるから、アルカリ性イオン物質は、珪酸イオンを含むものであることが好ましい。つまり、アルカリ塩は珪酸塩であることが好ましい。pHが10〜12の範囲において、珪酸イオンはコロイド状物質となって本実施形態に係る洗浄剤組成物中に分散し、被洗浄材である銅系材や亜鉛系材から脱離した有機物、特に油分を吸着して、解離した有機物が被洗浄剤の表面に再付着することを抑制する。
アルカリ性イオン物質の含有量はその種類により設定されるべきものである。アルカリ性イオン物質が珪酸イオンを含む場合には、アルカリ性イオン物質のシリコン換算含有量は1.7g/L以上8.3g/L以下であることが好ましく、2.7g/L以上6.6g/L以下であることがさらに好ましい。当該含有量が過度に少ない場合には上記の珪酸イオンを含むアルカリ性イオン物質を含有させた効果が得られない。逆に上記含有量が過度に高い場合には、pHが10〜12の範囲として珪酸イオンをコロイド状物質としても、被洗浄材の表面に吸着してゲル状物質を形成する可能性が高まる。このとき、この珪酸イオンを含むゲル状物質は被洗浄材の表面を覆い、実質的に腐食抑制剤と同等の機能を有することになるため、前述の要因2や3に基づく外観不良が発生する可能性が高まる。
(3)キレート剤
本実施形態に係る洗浄剤組成物は被洗浄材の表面における耐食層を除去する目的でキレート剤を含有する。その種類は特に限定されない。
上記のキレート剤としては、例えば、アミノポリカルボン酸系キレート剤、芳香族または脂肪族カルボン酸系キレート剤、アミノ酸系キレート剤、エーテルカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤、高分子電解質(オリゴマー電解質を含む)系キレート剤、ポリアルコール、ジメチルグリオキシム等の窒素含有キレート剤、チオグリコール酸等の硫黄含有キレート剤などが挙げられる。
これらのキレート剤の形態は任意であり、酸系キレート剤の場合には、フリーの酸型であっても、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の塩の形であってもよい。さらに、それらは、加水分解可能なそれらのエステル誘導体の形であってもよい。
アミノポリカルボン酸系キレート剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレンジアミンジ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(DHEDDA)、ニトリロ酸酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、β−アラニンジ酢酸、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸、イミノジ酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリ酢酸、グリコールエーテルジアミンテトラ酢酸、グルタミン酸ジ酢酸、アスパラギン酸ジ酢酸、メチルグリシンジ酢酸、イミノジコハク酸、セリンジ酢酸、ヒドロキシイミノジコハク酸、ジヒドロキシエチルグリシン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸、ならびにこれらの塩類およびエステル類など誘導体が挙げられる。
芳香族または脂肪族カルボン酸系キレート剤としては、例えば、グリオキシル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イタコン酸、アコニット酸、ピルビン酸、グルコン酸、ピロメリット酸、ベンゾポリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸(アントラニル酸を含む)、フタル酸、フマル酸、トリメリット酸、没食子酸、およびヘキサヒドロフタル酸、ならびにこれらの塩類および誘導体が挙げられる。
アミノ酸系キレート剤としては、例えば、グリシン、セリン、アラニン、リジン、シスチン、システイン、エチオニン、チロシン、およびメチオニン、ならびにこれらの塩類および誘導体が挙げられる。
エーテルカルボン酸塩としては、カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノサクシネート、および酒石酸ジサクシネート、ならびにこれらの塩類および誘導体が挙げられる。
ホスホン酸系キレート剤としては、例えば、イミノジメチルホスホン酸、アルキルジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸およびフィチン酸、ならびにこれらの塩類および誘導体が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸系キレート剤としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、ヘプトン酸、酒石酸、および乳酸、ならびにこれらの塩類および誘導体が挙げられる。
高分子電解質(オリゴマー電解質を含む)系キレート剤としては、例えば、アクリル酸重合体、無水マレイン酸重合体、α−ヒドロキシアクリル酸重合体、イタコン酸重合体、これらの重合体の構成モノマー2種以上からなる共重合体およびエポキシコハク酸重合体が挙げられる。
ポリアルコールとしては、エチレングリコール、ピロカテコール、ピロガロール、ビスフェノール、およびタンニン酸、ならびにこれらの誘導体が挙げられる。
キレート剤は1種の化合物から構成されていてもよいし、2種以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
銅系材を被洗浄材とする場合および亜鉛系材を被洗浄材とする場合の双方における好ましいキレート剤はアミノポリカルボン酸系キレート剤であり、その中でもEDTA(エチレンジアミン四酢酸)が特に好ましい。
キレート剤の含有量は、その耐食層除去能力および被洗浄材の表面に堆積した耐食層の状態(種類、厚さなど)などを考慮して適宜設定すればよい。被洗浄材の表面が特に粗であるなどの特段の事情がない限り、通常環境下にあった被洗浄材の表面に形成された耐食層の単位面積あたりの堆積量が大きく変動する可能性は通常低いため、キレート剤の種類を選定した段階でその耐食層除去能力に応じて含有量範囲を設定することができる。
キレート剤の含有量が過度に低い場合には耐食層の除去が不十分であるため、洗浄上がりの段階で外観不良が発生したり、めっきの厚さに不均一が発生したりする可能性が高まる。一方、本実施形態に係る洗浄剤組成物のpHが10〜12の範囲にある限り、被洗浄材の表面は金属系表面からなるよりも耐食層からなる方が化学的に安定となるため、上記のキレート剤の含有量が高くても、被洗浄材の表面は耐食層からなるものとなる。ただし、キレート剤の含有量が過度に高くなって耐食性層の回復よりもその除去の方が支配的になると実質的に金属系表面が露出した状態となって、前述の要因1に基づく外観不良の発生が懸念されるようになる。こうした検討に基づいて設定されるキレート剤の含有量範囲について一例を挙げれば、銅系材が被洗浄材であってキレート剤としてEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を用いる場合には、EDTAの含有量は0.5g/L以上2.6g/L以下である。
(4)界面活性剤
本実施形態に係る洗浄剤組成物は付着有機物を除去する目的で界面活性剤を含有する。その種類は特に限定されない。
界面活性剤の具体例として、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルまたはアルケニル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、αスルホ脂肪酸誘導体、αオレフィンスルホン酸塩、αスルホ脂肪酸アルキルエステル塩、スルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、天然脂肪酸石鹸、アルキルエトキシサルフェート、アミドエーテルカルボン酸、アミノ酸系アニオン活性剤等が例示される。
ノニオン系界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ソルビタンエステル、ソルビトールエステル、蔗糖脂肪酸エステル、メチルグルコシドエステル、メチルマンノシドエステル、エチルグルコシドエステル、N−メチルグルカミド、環状N−メチルグルカミド、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエステル、脂肪酸グリコシドエステル、脂肪酸メチルグリコシドエステル、アルキルメチルグルカミド等が例示される。
両性界面活性剤としては、具体的には、カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩、アルキルスルホベタイン、ヒドロキシアルキルスルホベタイン、アルキルイミダゾリニウムベタイン、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン等が例示される。
半極性界面活性剤としては、具体的には、アルキルアミンオキシド、アルキルアミドアミンオキシド、アルキルヒドロキシアミンオキシド等が例示される。
これらの界面活性剤の中で、アニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤が好ましい。更に、好ましい界面活性剤の具体例として、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ヤシ脂肪酸アルカノールアミド、および脂肪酸アミドプロピルベタインが挙げられる。
界面活性剤は1種から構成されていてもよいし、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤の含有量は限定されず、除去すべき付着有機物量に応じて適宜設定される。一般的なプレス加工により形成された銅系材であれば、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いた場合における含有量範囲として、2g/L以上10g/L以下が例示される。
(5)その他の成分
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、上記の成分に加え、これらの成分の機能を著しく阻害しない限り、他にいかなる成分が含まれていてもよい。そのような成分として、アルカリ成分、金属イオン封鎖剤、中性無機塩、および消泡剤が例示される。
アルカリ成分は、洗浄対象部材の表面にある油分をケン化して乳化を促進する。典型的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが例示される。ただし、洗浄剤組成物のpHが12を超える程度までアルカリ成分を含有させると被洗浄材表面の耐食層が不安定になるため、洗浄剤組成物のpHが12以下となる含有量にとどめることが必要である。
金属イオン封鎖剤としては、リン酸(オルソリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラリン酸、ヘキサメタリン酸など)および有機酸(シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、L−アスコルビン酸、乳酸など)ならびにこれらの塩に代表されるキレート作用を有する有機化合物や、ゼオライトなどの金属イオンを吸着する無機物質が例示される。ただし、キレート剤はすでに含有させているため、そのキレート剤が金属イオン封鎖剤として十分に機能している場合にはあえて含有させる必要はなく、金属イオン封鎖剤として別の物質を含有させることが必要な場合にはゼオライトなどの無機物質を用いることが好ましい。
硫酸ナトリウム10水和物のような界面活性剤の界面活性能を高める作用を有する中性無機塩を含有させてもよい。消泡剤としては鉱油が例示される。
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、前述のように、腐食抑制剤(インヒビター)を含有しない。なお、本発明において、「腐食抑制剤」とは、被洗浄材の表面にある金属と化学的に相互作用した状態でその表面に吸着する物質を意味し、「キレート剤」とは、被洗浄材の表面にある金属と化学的に相互作用し、その金属との配位化合物の状態で洗浄剤組成物内に拡散する物質を意味する。本発明における腐食抑制剤としてはベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールなどが例示される。
(6)溶媒、pH
本実施形態に係る洗浄剤組成物は水系組成物であるから、その溶媒は水を主成分とする。水以外の溶媒としてアルコール、エーテル、ケトンなど水への溶解度が高い有機溶媒を混在させてもよい。この場合には、洗浄剤組成物全体の安定性および廃液処理への負荷の緩和の観点から、その比率は全溶媒に対して10体積%以下とすることが好ましい。
2.被洗浄材
本実施形態に係る洗浄剤組成物の処理対象となる被洗浄材は、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金といった金属系材料の表面(金属系表面)を有している限り任意である。銅系材(銅または銅合金の表面を有する部材)を例示すれば、銅または銅合金めっきが施された鋼材、ベリリウム銅、リン青銅、真鍮および洋白が例示される。亜鉛系材(亜鉛または亜鉛合金の表面を有する部材)を例示すれば、亜鉛または亜鉛合金めっきが施された鋼材、ダイカスト用などのZn−Al系合金およびチタン亜鉛合金が例示される。
被洗浄の形状は任意である。平板、棒材、線材といった一次加工品でもよいし、これらの一次加工品に対して機械加工等を行って得られる二次加工品でもよい。そのような二次加工品として切削品、曲げ加工品、プレス加工品、鋳造品および押し出し成型品が例示され、これらは自動車などの輸送機器向け部品や電気製品向け部品などに広く使用されている。
3.付着有機物
被洗浄材の表面に付着する有機物(付着有機物)の種類は特に限定されない。二次加工の際に使用された加工油、錆止めの目的で塗布された防錆油、作業者が触れたことに基づく油脂分などが例示される。本実施形態に係る洗浄剤組成物に含有される成分のうち洗浄力に直接的に関与する成分である界面活性剤の含有量を付着有機物の種類および付着量に応じて設定して、適切な洗浄が行われるようにすればよい。
4.洗浄剤組成物の製造方法
本実施形態に係る洗浄剤組成物は、上記の組成を有する限りその製造方法は任意である。次に説明する製造方法を採用することにより、本実施形態に係る洗浄剤組成物を安定的にかつ効率的に製造することが実現される。
本実施形態に係る製造方法では、以下の第一および第二の組成物をあらかじめ調製し、これらを混合する混合工程を有する。
第一の組成物は、前述の本実施形態に係る洗浄剤組成物に含有される水溶性リン酸イオン物質、水溶性リン酸イオン物質以外の水溶性アルカリ性イオン物質(アルカリ性イオン物質)、およびキレート剤のぞれぞれの原料物質を含有する。
水溶性リン酸イオン物質の原料物質の具体例としてリン酸三ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどが挙げられる。この原料物質がリン酸と水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質とから構成されていてもよい。アルカリ性イオン物質の原料物質としては、前述のアルカリ塩が例示される。キレート剤の原料物質は、それ自体がキレート機能を有するキレート剤であってもよいし、例えばエステルなどの形態であるためそれ自体はキレート機能を有さないが、洗浄剤組成物中ではエステル結合が加水分解してキレート機能が発現するものであってもよい。
第一の組成物は液状組成物であってもよいし、固体の組成物であってもよい。あるいは、固体と液体との混合組成物(具体的には液体に固体が分散した分散液、粘土状のスラリーなど)であってもよい。
第二の組成物は、前述の本実施形態に係る洗浄剤組成物に含有される界面活性剤の原料物質を含有する。界面活性剤の原料物質は界面活性剤そのものであってもよい。第二の組成物は、第一の組成物と同様に、液状組成物、固体の組成物および液体と固体との混合組成物のいずれであってもよい。洗浄力に直接的に関連する成分である界面活性剤に係る成分を含有する第二の組成物を、他の成分を含有する第一の組成物と別体とすることにより、被洗浄材の汚れの程度に応じて第二の組成物の使用量を変動させて本実施形態に係る洗浄剤組成物の洗浄力を調整することが実現される。
これらの第一の組成物および第二の組成物を混合することによって、またはこれらの組成物の適量を水系溶媒で希釈するもしくは溶解させることによって、本実施形態に係る洗浄剤組成物を得ることができる。
保管のしやすさや作業性の高さの観点から、第一の組成物および第二の組成物のいずれについても液状の組成物とし、これらの適量を水系溶媒で希釈することにより本実施形態に係る洗浄剤組成物が製造されるようにしてもよい。この場合における第一の組成物および第二の組成物の本実施形態に係る洗浄剤組成物に対する濃縮倍率は特に限定されない。過度に濃縮倍率が高い場合には、第一の組成物や第二の組成物に含有される成分が沈澱して成分濃度が変化したり、粘度が高まり自動補給システムに対応できなくなったりするなどの問題が生じる可能性が高まることから、濃縮倍率は20倍程度を上限とすることが好ましい。
以下、本発明の効果を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
(1)洗浄剤組成物の調製
次に示される組成の洗浄剤組成物を用意した。得られた洗浄剤組成物のpHは11.8であった。
水溶性リン酸イオン物質:リン酸三ナトリウム由来、リン換算含有量0.3g/L
アルカリ性イオン物質:珪酸ナトリウム50%水溶液由来、シリコン換算含有量3.8g/L
キレート剤:EDTA4ナトリウム塩2水和物、含有量1.0g/L
界面活性剤:ポリエチレンアルキルエーテル(酸化エチレン付加モル数:12mol)、含有量4.0g/L
溶媒:水
(2)試験部材の準備
銅系材として、次の3種類を用意した。いずれも表面積は1dmであった。
i)純銅(JIS C 1220、5cm×10cm×t0.2mm)
ii)真鍮(JIS C 2801、5cm×10cm×t0.2mm)
iii)リン青銅(JIS C 5191、5cm×10cm×t0.2mm)
(3)浸漬試験
上記の銅系材からなる試験部材を、前述の調製された洗浄剤組成物(液温60℃)に5分または15分浸漬させた。
浸漬前後の外観変化を観察した。また、浸漬前後の質量変化を測定し、浸漬開始から5分までの間の平均エッチング速度(単位:mg/(dm・分))と浸漬開始後5分から15分の間の平均エッチング速度(単位:mg/(dm・分))を求めた。
(4)光沢評価試験
上記の試験部材のうち、純銅からなる試験部材の全体を、公知の中性の洗浄剤組成物であるパクナFD−137N(ユケン工業株式会社製)50ml/L水溶液(液温25℃)に3分間浸漬して脱脂した後、前述の調製された洗浄剤組成物(液温60℃)に試験片の下半分を5分または15分間浸漬させた。浸漬完了後、試験部材を洗浄剤組成物から取り出して、水洗(水温25℃の水槽内に、揺動しつつ10秒間浸漬)を行った。
その後、試験部材をエアブローにより乾燥させ、得られた試験部材における上半分(公知の洗浄剤組成物のみ)と下半分(実施例1に係る洗浄剤組成物によっても処理)とを色差計(東京電色(株)製デジタルカラーメーター TC−3600)を用いて測定し、これらの外観の差をJIS Z8701に規定される、XYZ表色系における反射による物体色の三刺激値の一つであるY値(以下、「Y値」と略記する。)によって評価した。光の乱反射が大きい場合にY値が大きくなるため、Y値により洗浄剤組成物によって素材がエッチングされた程度を評価することができる。
(5)めっき試験
上記の光沢評価試験における洗浄剤組成物への浸漬後の水洗までのプロセスを行った試験部材に対して、めっき前活性化処理として、試験部材全体を62.5%硫酸200ml/L水溶液(液温25℃)に1分間浸漬させる処理を行った。その後、活性化処理された試験部材を、無電解ニッケルめっき浴(ユケン工業株式会社製 メタスNi−880、標準組成、液温90℃±2℃)に1分間浸漬させることにより、試験部材上にめっきを析出させた。
得られた試験部材における、上半分(公知の洗浄剤組成物のみ)のめっき外観と下半分(実施例1に係る洗浄剤組成物によっても処理)のめっき外観とを対比して評価した。評価基準は次のとおりであった。
○(良好):光沢の明るい外観
×(不良):白く光沢が弱い外観
(6)洗浄試験
上記の試験部材のうち、純銅からなる試験部材の全体に対して、公知の油(スギムラ化学工業株式会社製 サンプレスS−605)を均一に塗布した。塗布量はおおむね0.1mg/dmから0.2mg/dmの範囲であった。塗布後の試験部材を120℃にて30分加熱して油を焼き付けたのち、自然冷却して被洗浄材を得た。
液温が50℃に維持された前述の洗浄剤組成物中に、上記の被洗浄材を5分間浸漬させた。浸漬完了後、被洗浄材を洗浄剤組成物から取り出して、水洗(水温25℃の水槽内に、揺動しつつ10秒間浸漬)を行った。続いて、めっき前活性化処理として、被洗浄材全体を62.5%硫酸200ml/L水溶液(液温25℃)に1分間浸漬させた。その後、活性化処理された被洗浄材を、電気ニッケルめっき浴(株式会社ムラタ製 SNコンク185:300ml/L、塩化ニッケル:5g/L、およびホウ酸:40g/L、液温50℃±2℃)に浸漬させ、電流密度1A/dmにて5分間通電して被洗浄材上にめっきを析出させた。
得られた被洗浄材上のめっき面積を測定した。洗浄が適切に行われた部分にはめっきが析出し、洗浄が不適切であって油が残留している部分にはめっきが析出しないことから、測定されためっき面積の1dmに対する比率により、洗浄剤組成物の洗浄力を評価することができる。
また、上記のめっき試験の場合と同一の評価基準でめっき外観を評価した。
[比較例1]
実施例1における洗浄剤組成物を次の組成の洗浄剤組成物に変更して、pHが13.3の洗浄剤組成物を得た。この洗浄剤組成物について、実施例1において行った評価と同じ評価を行った。
水溶性リン酸イオン物質:リン酸三ナトリウム由来、リン換算含有量0.3g/L
アルカリ性イオン物質:オルソ珪酸ナトリウム由来、シリコン換算含有量3.9g/L
キレート剤:EDTA4ナトリウム塩2水和物、含有量1.0g/L
界面活性剤:ポリエチレンアルキルエーテル(酸化エチレン付加モル数:12mol)、含有量4.0g/L
溶媒:水
[比較例2]
実施例1における洗浄剤組成物を次の組成の洗浄剤組成物に変更して、pHが12.9の洗浄剤組成物を得た。この洗浄剤組成物について、実施例1において行った評価と同じ評価を行った。
水溶性リン酸イオン物質:リン酸三ナトリウム由来、リン換算含有量0.3g/L
アルカリ性イオン物質:メタ珪酸ナトリウム由来、シリコン換算含有量3.3g/L
キレート剤:EDTA4ナトリウム塩2水和物、含有量1.0g/L
界面活性剤:ポリエチレンアルキルエーテル(酸化エチレン付加モル数:12mol)、含有量4.0g/L
溶媒:水
[比較例3]
実施例1における洗浄剤組成物に、公知の腐食抑制剤であるベンゾトリアゾールを1.0g/L含有させて得られた洗浄剤組成物(pHは11.8のままであった。)について、実施例1において行った評価と同じ評価を行った。
また、めっき試験を、前述の銅系材のうち真鍮からなる試験部材についても行った。なお、この場合における洗浄剤組成物への浸漬時間は15分間、めっき時間は3分間とした。
実施例1および比較例1から3の結果を表1に示す。
Figure 2013075971
表1に示されるように、pHが10から12の範囲に制御された実施例1に係る洗浄剤組成物に銅系材を浸漬させると、銅系材の種類にかかわらず15分間浸漬させても外観は良好であった。また、エッチング速度も、初期の5分間は0.1mg/(dm・分)程度であるが、エッチング開始から5分間を経過するとエッチング速度は半分から当初の1/3程度となり、エッチングの程度が緩やかになっていることが確認された。pHが10から12の範囲であるため、エッチングにより露出した金属または合金表面上には速やかに耐食層が形成され、過度なエッチングが阻害されているものと解される。
この点は、光沢評価試験によっても定量的に確認された。浸漬時間が5分でも15分でも、実施例1に係る洗浄剤組成物によっても洗浄された部分(上)には、中性の洗浄剤組成物のみの部分(下)と同程度の光沢が洗浄後の素地について得られた。
このように実施例1に係る洗浄剤組成物では銅系材の素材のエッチングが進みにくいため、めっき試験を行うと、中性の洗浄剤組成物のみにより洗浄された部分(上半分)と同様の良好なめっき外観が、実施例1に係る洗浄剤組成物によっても洗浄された部分(下半分)においても得られた。なお、洗浄試験において用意されたような油分が焼き付けられた被洗浄材から油分を除去することは、中性の洗浄剤組成物のみの洗浄によっては達成することが困難である。この点について具体的に示せば、上記の洗浄試験と同じ試験を中性の洗剤剤組成物のみを洗浄剤組成物として行えば、そのめっき面積率は10%以下となってしまう。
一方、pHが12超である比較例1または2に係る洗浄剤組成物によって洗浄した場合には、洗浄力は十分高いものの、エッチング速度はエッチング開始から5分間を経過しても0.07mg/(dm・分)以上となり、銅系材の素材のエッチングがエッチング開始時と同等程度で進行してしまうことが確認された。また、光沢評価試験においても、比較例1または2に係る洗浄剤組成物によって洗浄した場合には、中性の洗浄剤組成物のみによって洗浄した場合との光沢の差が大きくなった。このため、めっき試験を行うと、比較例1または2に係る洗浄剤組成物により洗浄した部分(下半分)は、中性の洗剤剤組成物のみにより洗浄した部分(上半分)とは異なるめっき外観が得られ、外観不良となってしまった。なお、純銅からなる試験部材の場合には、15分間の洗浄あがりの段階ですでに外観の劣化が確認された。
比較例3の結果が示すように、洗浄剤組成物のpHが10から12に制御されていても、ベンゾトリアゾールのような腐食抑制剤を含有する場合には、洗浄力の低下およびめっき外観の低下が確認された。
以上の検討に基づき完成された本願発明は次のとおりである。
(1)水溶性リン酸イオン物質、当該水溶性リン酸イオン物質以外の水溶性アルカリ性イオン物質、キレート剤、および界面活性剤を含有し、pHが10以上12以下であって、腐食抑制剤を含有しない水系組成物であって、前記水溶性リン酸イオン物質は、リン酸アルカリ金属塩を溶解して得られるものであり、前記水溶性リン酸イオン物質以外の水溶性アルカリ性イオン物質は、珪酸アルカリ金属塩を溶解して得られるものであることを特徴とする銅もしくは銅合金の表面を有する部材または亜鉛もしくは亜鉛合金の表面を有する部材の洗浄剤組成物。
ここで、「腐食抑制剤を含有しない」とは、その含有に基づき外観不良を発生させる程度に腐食抑制剤を含有しないという意味であり、微量の含有まで否定する意味ではない。
(2)前記水溶性リン酸イオン物質のリン換算含有量は0.1g/L以上0.5g/L以下であり、前記水溶性アルカリ性イオン物質のシリコン換算含有量は1.7g/L以上8.3g/L以下である、上記(1)記載の洗浄剤組成物。
(3)上記(1)または(2)に記載される洗浄剤組成物の製造方法であって、前記洗浄剤組成物に含有される前記水溶性リン酸イオン物質、前記水溶性リン酸イオン物質以外の水溶性アルカリ性イオン物質、および前記キレート剤のれぞれの原料物質を含有する第一の組成物と、前記洗浄剤組成物に含有される前記界面活性剤の原料物質を含有する第二の組成物とを用いて、pHが10以上12以下の液状組成物を得ることを特徴とする銅系材または亜鉛系材の洗浄剤組成物の製造方法。

Claims (3)

  1. 水溶性リン酸イオン物質、当該水溶性リン酸イオン物質以外の水溶性アルカリ性イオン物質、キレート剤、および界面活性剤を含有し、pHが10以上12以下であって、腐食抑制剤を含有しない水系組成物であることを特徴とする銅系材または亜鉛系材の洗浄剤組成物。
  2. 前記リン酸塩以外のアルカリ性塩が珪酸塩を含む、請求項1記載の洗浄剤組成物。
  3. 請求項1または2に記載される洗浄剤組成物の製造方法であって、前記洗浄剤組成物に含有される前記水溶性リン酸イオン物質、前記水溶性リン酸イオン物質以外の水溶性アルカリ性イオン物質、および前記キレート剤のぞれぞれの原料物質を含有する第一の組成物と、前記洗浄剤組成物に含有される前記界面活性剤の原料物質を含有する第二の組成物とを用いて、pHが10以上12以下の液状組成物を得ることを特徴とする銅系材または亜鉛系材の洗浄剤組成物の製造方法。
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