JP2008264061A - 液体口紅塗布具に用いる塗布部材及びその製造方法 - Google Patents

液体口紅塗布具に用いる塗布部材及びその製造方法 Download PDF

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伸介 山田
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Abstract

【課題】液体口紅を収容する関連部品の点数を低減して、構造を簡素化し、製造を容易に行いコストを低減することができる液体口紅塗布具に用いる塗布部材を提供する。
【解決手段】本体ケース11に収容ケース12を係合し、この収容ケース12の内部に液体口紅を含浸する三次元連続網状骨格を有する樹脂多孔体によりクレヨン状に形成された塗布部材13を収容する。この塗布部材13の下半部に液体口紅の貯留室15を形成する。塗布部材13の上半部に貯留室15に連通する閉塞通路16を形成する。液体口紅の貯留室15が塗布部材13自体に形成されるので、液体口紅を収容する関連部品の点数が低減され、構造が簡素化される。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体口紅塗布具に用いる塗布部材及びその製造方法に関する。
従来、液体口紅を唇に塗布する塗布部材又は塗布具を対象とした技術として、例えば以下に説明する特許文献1〜3に開示されたものが提案されている。
特許文献1に開示された流動体の塗布部材は、軸筒の先端に連結した先軸の内部に導出口及び吐出口を形成したパイプ芯を収容し、該パイプ芯の先端部にウレタンフォームよりなるキャップ状の弾性外被体を嵌装している。そして、前記軸筒の内部に形成された流動体収容部から流動体(口紅)を前記導出口及び吐出口を通して弾性外被体に導き、流動体(口紅)を例えば唇に塗布するようになっている。
特許文献2に開示された液体塗布具は、筒状をなす本体部の先端に毛筆状部材を設け、前記本体部の内部に収納した塗布液体(口紅)を前記本体部に取り付けた液体押圧機構により前方へ押圧し、液漏れ抑制機構を兼ねる塗布液供給体を通して前記毛筆状部材へ供給し、例えば唇に塗布するようになっている。
特許文献3に開示された液体化粧料塗布具は、化粧液貯蔵管の先端部に吐出孔を有する塗布部本体を連結し、前記塗布部本体の内部に導流棒を収容している。そして、化粧液貯蔵管から加圧されて送り出される化粧液(口紅)の圧力により柔軟性のある塗布部本体の吐出孔は変形して導流棒頭部との間から化粧液(口紅)が吐出され、例えば唇に塗布されるようになっている。
実用新案登録第2596664号公報 特開2002−10829号公報 実用新案登録第3109917号公報
ところが、特許文献1に開示された流動体の塗布部材は、軸筒、先軸、パイプ芯及び弾性外被体の計四つの部材が必要であるため、構造が複雑になり、材料及び製造コストを低減することができないという問題があった。同様に、特許文献2に開示された液体塗布具は、本体部、塗布体、液体押圧機構及び塗布液供給体の計四つの部材が必要であり、特許文献3に開示された液体化粧料塗布具は、化粧液貯蔵管、塗布部本体及び導流棒の計三つの部材が必要であるため、両者ともに構造が複雑になり、材料及び製造コストを低減することができないという問題があった。
本発明は、上記従来の問題点を解消して、液体口紅を収容する関連部品の点数を低減して、構造を簡素化し、製造を容易に行いコストを低減することができる液体口紅塗布具に用いる塗布部材及びその製造方法を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、液体口紅を含浸する三次元連続網状骨格を有する樹脂多孔体により形成された塗布部材本体の内部に液体口紅を貯留するための貯留室を形成し、前記塗布部材本体の先端部に対し液体口紅を唇に塗布するための斜面を形成したことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記貯留室は塗布部材本体の基端部側に設けられ、該塗布部材本体の先端側内部には、前記貯留室に連通し、かつ液体口紅の流路となる閉塞通路が形成されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記塗布部材本体の曲げ弾性を0.167〜0.899MPa、アスカーC硬度を7〜35に設定したことを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記塗布部材本体の空孔径を1〜200μm、空隙率を65〜90%に設定したことを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4において、前記塗布部材本体の先端部の斜面は、山形状に形成されていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか一項において、前記塗布部材本体の曲げ弾性を0.20〜0.30MPa、アスカーC硬度を25〜35に設定し、空孔径を50〜150μm、空隙率を70〜85%に設定したことを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記塗布部材を形成する熱可塑性樹脂は、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びポリプロピレンの群の中から選択されたものであることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7において、前記塗布部材を形成する熱可塑性樹脂は、低密度ポリエチレンであることを要旨とする。
請求項9に記載の発明は、溶融された熱可塑性樹脂、水溶性気泡形成材及び水溶性高分子化合物を混練して塗布部材用原料を製造する工程と、上記塗布部材用原料を用いて塗布部材本体を成形する工程と、上記塗布部材本体の内部に貯留室を形成する工程と、前記塗布部材本体の先端部に液体口紅を唇に塗布するための斜面を形成する工程と、前記塗布部材本体の内部に含浸された前記水溶性気泡形成材及び水溶性高分子化合物を抽出して三次元連続網状骨格を有する樹脂多孔体の塗布部材を製造する工程とを含むことを要旨とする。
(作用)
この発明は、三次元連続網状骨格を有する樹脂多孔体の塗布部材本体に液体口紅が含浸されるとともに、貯留室に液体口紅が貯留されるので、一つの塗布部材に適量の液体口紅が収容される。このため、液体口紅を収容する関連部品の点数が低減される。
本発明によれば、液体口紅を収容する関連部品の点数が低減されるので、構造を簡素化して、製造を容易に行いコストを低減することができる。
以下、本発明の塗布部材を備えた液体口紅塗布具を具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1に示すように、この実施形態の液体口紅塗布具は、有底円筒状の本体ケース11と、該本体ケース11の上端開口部に嵌入固定された同じく有底円筒状の収容ケース12と、該収容ケース12に収容され、かつ液体口紅を含浸する三次元連続網状骨格を有する樹脂多孔体よりなる塗布部材13と、前記収容ケース12の外周面に取り外し可能に嵌合される有蓋円筒状のキャップ14とにより構成されている。
前記塗布部材13には液体口紅が含浸され、塗布部材13の基端部側には、液体口紅を貯留する閉塞円筒状の貯留室15が形成され、塗布部材13の先端部側の中心部には、前記貯留室15に連通するように、かつ前記貯留室15の内径よりも小径の液体口紅の流路となる閉塞通路16が直線状に形成されている。
前記塗布部材13の気泡(セル)の平均セル径は、1〜200μmに、望ましくは50〜150μmに設定され、適切な液体口紅浸透量を得ることができる。ここで、平均セル径は、後述する水溶性気泡形成材(粉体)の平均粒子径に相当する。
前記塗布部材13の平均セル径が1μm未満の場合には、塗布部材13における液体口紅の流れ(滲み出し)が極端に抑えられ、塗布部材13の機能を果たすことができなくなる。一方、平均セル径が200μmを越える場合には、塗布部材13での液体口紅の浸透量が大きくなり過ぎて、塗布部材13から液体口紅の漏れを引き起こす。平均セル径を50〜150μmにすると、液体口紅の滲み出しや漏れを抑制する観点から望ましい。
さらに、塗布部材13の空隙率は、65〜90%に設定され、望ましくは70〜85%以下に設定されている。この空隙率と前記樹脂多孔体の平均セル径の設定とにより塗布部材13で口紅の保持量を確保でき、適切な液体口紅浸透量を得ることができる。ここで、空隙率(%)は、後述する塗布部材13の原料の体積に対する水溶性気泡形成材、水溶性高分子化合物等の水溶性成分の体積の割合に相当する。
前記塗布部材13の空隙率が65%未満の場合、液体口紅の塗布部材13の表面への流れ(滲み出し)が不足し、塗布部材13の機能を果たすことができなくなる。一方、空隙率が90%以上の場合、塗布部材13における液体口紅の浸透量が過大となり、塗布部材13から液体口紅漏れを引き起こす。
又、塗布部材13の硬さは、液体口紅の浸透性、保持性及び化粧時の塗布性(感触)等の観点から、アスカーC硬度は7〜35に設定され、25〜35であることが好ましい。この硬さは基本的には、塗布部材13の骨格を形成する熱可塑性樹脂自体の物性値に大きく依存するため、塗布部材13の塗布性(感触)の仕様に応じて適切な熱可塑性樹脂が選択される。ここで、アスカーC硬度は、SRIS0101(日本ゴム協会標準規格)に規定された硬度計(スプリング式硬度計であるデュロメータ硬度計の1種)によって測定された硬さを表す。
前記塗布部材13でのアスカーC硬度が7未満の場合には、塗布部材13が柔らかくなって化粧時における変形量が大きく、液体口紅の滲み出しが過剰となって好ましくない。一方、アスカーC硬度が35を越える場合には、塗布部材13が硬くなって液体口紅の滲み出しが悪くなるので、化粧時に唇への口紅のつきが悪くなり、塗布性が低下する。
前記塗布部材13の曲げ弾性は、化粧時の塗布性(感触)の観点から0.167〜0.899MPaに設定され、0.2〜0.3MPaであることが好ましい。この曲げ弾性も基本的には、塗布部材13の骨格を形成する熱可塑性樹脂自体の物性値に大きく依存するため、塗布部材13の塗布性(感触)の仕様に応じて適切な熱可塑性樹脂が選択される。ここで、曲げ弾性は、日本工業規格のJIS.K7221−2(硬質発泡プラスチック−曲げ試験)の規定に準じて曲げ試験機(島津オートグラフ:AGS−500)によって測定された曲げ弾性を表す。具体的には、試験条件は、ロードセル100ニュートン(7)、測定雰囲気温度23℃、50%RH(相対湿度)、試験速度50mm/min、支点距離30mm、試験片の直径7.0mm、長さ50mmである。そして、曲げ弾性R(kPa)を演算する次の式に基づいて演算される。
R=1.5×FR×L×10−6/b×d(kPa)
但し、FR:最大荷重(kN)、L:支点間距離(mm)、b:試験片の幅(mm)、d:試験片の厚さ(mm)
上記曲げ弾性は、試験片の幅b及び厚さdとして、試験片の直径(7.0mm)をそれぞれ用いて近似的に求められたものである。
次に、前記塗布部材13の製造方法について説明する。
図2に示す塗布部材13を製造する素材を押し出し成形するための押出成形装置18には、溶融した塗布部材13用原料を押し出すための押出機19が接続されている。押出成形装置18では、例えば130〜150℃の温度条件で押出成形が行われるようになっている。この実施形態では、溶融した塗布部材13の原料として熱可塑性樹脂、水溶性気泡形成材及び水溶性高分子化合物が用いられ、必要に応じてさらに機能性物質等が用いられ、これらの各材料を混練して、溶融した塗布部材13の原料を製造する。
図2の押出成形装置18及び押出機19により溶融した塗布部材13の原料を用いて塗布部材13を製造するための長尺の円柱状の素材131を押し出し成形する。このとき、素材131の中心には図3(a)に示すように円筒状の小径孔13aが軸方向に貫通形成される。
次に、前記素材131を図示しない切断装置により図3(b)に示すように、所定長さに切断し、多数の塗布部材本体132を製造する。
上記の塗布部材本体132は水溶性気泡形成材及び水溶性高分子化合物を含んでいるため、機械加工に耐える硬度を有し、ドリルによる穿孔作業が可能である。このため、図示しない穿孔装置のドリルを用いて、塗布部材本体132の中心にドリルにより図3(c)に示すように、塗布部材本体132の基端(右端)から前記小径孔13aよりも大径寸法の円筒状の大径孔13bを塗布部材本体132の途中まで形成する。
その後、前記塗布部材本体132の両端部を図示しないプレス装置により加熱して塗布部材本体132を軸方向に圧縮し、図3(d)に示すように小径孔13aの外端開口部及び大径孔13bの外端開口部をそれぞれ閉塞する遮蔽部13c,13dを形成する。この状態で前記大径孔13bが閉塞されて前記貯留室15が形成されるとともに、小径孔13aの先端が閉塞されて前記閉塞通路16が形成される。
次に、図3(e)に示すように塗布部材本体132の基端部(遮蔽部13d)を機械加工により成形し、塗布部材本体132の先端部(遮蔽部13c側)に対し山形状の二つの斜面13e,13fを形成する。最後に、塗布部材本体132を抽出工程で水に浸漬し、水溶性気泡形成材及び水溶性高分子化合物等の水溶性成分を抽出除去し、乾燥することにより図3(f)に示すように三次元連続網状骨格を有する樹脂多孔体よりなる塗布部材13の製造が完了する。
次に、上記塗布部材13を貯留容器に収容された液体口紅中に浸漬し、真空雰囲気下に所定時間(例えば0.5〜1.0時間)保持すると、塗布部材13の気泡(セル)に液体口紅が含浸されるとともに、貯留室15及び閉塞通路16にも液体口紅が貯留される。なお、複数の塗布部材13にそれぞれ色の異なる液体口紅を含浸させることもできる。
塗布部材13を形成する樹脂多孔体の骨格となる熱可塑性樹脂としては、熱可塑性エラストマー(TPE)、オレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリオレフィン系樹脂等が用いられる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等が挙げエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。
水溶性気泡形成材は、水に可溶性であって、かつ前記熱可塑性樹脂が熱溶融する際にも熱的に安定な物質であれば何れも使用することができる。この水溶性気泡形成材を使用することで、図3(f)に示す塗布部材本体132を水に浸漬したとき、水溶性気泡形成材が水に溶解して溶け出し気泡(セル)が形成される。そのため、水溶性気泡形成材の平均粒子径が実質上セルの平均セル径に相当する。従って、水溶性気泡形成材の平均粒子径は、前述した理由により1〜200μmに設定され、50〜150μmであることが好ましい。このような水溶性気泡形成材は、その除去跡がそのまま気泡(セル)となるものであり、該水溶性気泡形成材の粒径を所望の値とすることで前記塗布部材13における平均セル径(平均気泡径)を容易に制御することができる。
水溶性気泡形成材として無機物又は有機物が用いられる。無機物としては、例えば、硝酸ナトリウム(NaNO)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl)、塩化アンモニウム(NHCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、亜硝酸ナトリウム(NaNO)等が挙げられる。有機物としては、トリメチロールエタン(TME)、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、しょ糖、可溶性でんぷん、ソルビトール、グリシン又は各有機酸(リンゴ酸、クエン酸、グルタミン酸又はコハク酸)のナトリウム塩等が挙げられる。
次に、水溶性高分子化合物は水に溶解し、前記熱可塑性樹脂の粘度を低下させるための成分である。この水溶性高分子化合物としては、例えばポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジアセテート等のポリエチレングリコール誘導体等が挙げられる。その他、水に溶解し、前記熱可塑性樹脂の粘度を低下させる働きをする化合物であれば如何なるものであっても使用可能である。
前記機能性物質としては、着色物質、防黴物質、抗菌性物質、消臭性物質等が挙げられ、発現させる機能に応じて適宜選択される。又、その形状としては、前記熱可塑性樹脂中に混合できるものであれば何れの形状でも可能であり、粉体状又は繊維状が考えられる。
前記抽出工程では、図3(e)に示す塗布部材本体132内に分散されている前記水溶性気泡形成材を、溶媒である水に所定時間接触させることで抽出及び除去する工程である。この場合、塗布部材本体132全体を水に浸漬させる方法が最も効率が良い。
前記熱可塑性樹脂とその他の成分との配合比については、塗布部材用原料中の熱可塑性樹脂の含有量が25体積%以上、38体積%以下であることが好ましい。従って、その他の成分の含有量は、塗布部材用原料中には62体積%以上、75体積%以下であることが好ましい。塗布部材13用原料中の熱可塑性樹脂の含有量が25体積%未満の場合には、骨格となる熱可塑性樹脂の割合が少なくなり過ぎて必要な強度が得られなくなる。一方、38体積%を越える場合には、熱可塑性樹脂の割合が多く、気泡(セル)の形成が不十分となって液体口紅の浸透性が低下する。
前記水溶性気泡形成材の含有量は、25〜80体積%であることが好ましく、50〜70体積%であることがより好ましい。水溶性気泡形成材の含有量が25体積%未満の場合には、三次元的に連通した多孔体構造が得られ難くなるばかりか、水溶性気泡形成材が熱可塑性樹脂に被覆されて抽出除去され難くなる。一方、前記含有量が80体積%を越える場合には機械加工による成形性が低下する傾向を示す。
さらに、前記水溶性高分子化合物の含有量は、10〜25体積%であることが好ましい。水溶性高分子化合物の含有量が10体積%未満の場合には熱可塑性樹脂の滑りが悪化し、結果として機械加工による成形性が低下してしまい、25体積%を越える場合には水溶性高分子化合物が過剰になるため、加熱時に混合物( 塗布部材13の原料) の粘度が低下してやはり機械加工による成形が困難となる傾向を示す。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
(1)本実施形態においては、樹脂多孔体により一体的に形成され塗布部材13の内部に貯留室15が形成されている。このため、液体口紅を貯留する貯留容器を別途設ける必要がなく、液体口紅を収容する関連部品の点数を低減して、製造及び組み付け作業を容易に行い、コストの低減を図ることができる。
(2)本実施形態では、前記塗布部材13は曲げ弾性が0.167〜0.899MPaに設定されている。従って、塗布部材13は唇の化粧時に適度に弾性変形により曲がるので、液体口紅の塗布性(感触)を向上することができる。
(3)本実施形態では、前記塗布部材13はアスカーC硬度が7〜35に設定されている。従って、塗布部材13は唇の化粧時に適切な硬さとなり、液体口紅の塗布性(感触)を向上することができる。又、化粧作業の際に、塗布部材13の先端部に応力が作用するが、これによって刷毛のように一定方向の癖が付くことはない。
(4)本実施形態では、塗布部材13の平均セル径が1〜200μmに設定されている。かつ、塗布部材13は空隙率が65〜90%に設定されている。従って、塗布部材13の気泡に液体口紅を十分に含浸保持できるとともに、唇の化粧の際に、唇に液体口紅を適切に塗布することができる。
なお、本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。
・図3(c)に示すように大径孔13bを形成する工程の前又は後において、前記小径孔13aをドリルにより形成するようにしてもよい。
・図4に示すように、前記塗布部材本体132に対しドリルにより小径孔13aを途中まで形成するようにしてもよい。この場合には、塗布部材本体132の先端部に遮蔽部13dを形成する工程を省略することができる。
・図5に示すように、塗布部材13の大径孔13bの開口を閉塞しないで、収容ケース12の底面により塗布部材13を挿入することにより閉塞状態の貯留室15が形成されるようにしてもよい。この場合には、貯留室15の液体口紅が無くなった場合に、塗布部材13を収容ケース12から取り外して液体口紅を容易に補充することができる。
・塗布部材13の斜面13e,13fを一つにしてもよい。又、塗布部材13の先端部を例えば半球状等の斜面を有する任意の形状にしてもよい。
以下に、実施例1〜8を挙げて、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例1〜8に限定されるものではない。
(実施例1〜3)
図2に示した製造装置等を用いて塗布部材13の製造を行った。塗布部材13を形成する原料の熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレンを用いた。水溶性気泡形成材としてNaCl(塩化ナトリウム)、水溶性高分子化合物としてポリエチレングリコールジアクリレートを用いた。そして、表1に示す配合量(質量部)で塗布部材13を形成する各原料を調製した。NaClの平均粒子径(μm)を表1に併せて示した。
Figure 2008264061
そして、塗布部材用原料を押出機19に供給し、押出成形装置18で140℃の温度にて常法に従って押出成形を行い、直径が7.0mmの塗布部材13の素材131を得た。
得られた素材131から塗布部材13を形成し、この塗布部材13を水に24時間浸漬した。その結果、塗布部材13中の水溶性気泡形成材であるNaCl及びポリエチレングリコールジアクリレートが水に溶出し、多数の気泡(セル)が形成された。これを乾燥することにより、目的とする樹脂多孔体からなる塗布部材13を得た。得られた塗布部材13の平均セル径及び空隙率を以下に示す方法で測定するとともに、曲げ弾性及びアスカーC硬度を前述した試験装置及び試験条件により測定し、それらの結果を表1に示した。
平均セル径(μm):水溶性気泡形成材の平均粒子径をもって塗布部材13の平均セル径とした。
空隙率(%):熱可塑性樹脂に対する水溶性気泡形成材及び水溶性高分子化合物からなる水溶性成分の体積配合率を空隙率とした。
以上のようにして製造された塗布部材13に液体口紅(資生堂製の商品名:インテグレートグラマラスルージュ:RD309)を染み込ませた後、図1に示す収容ケース12内に収容し、唇の化粧を繰り返したところ、斜面13eで良好に化粧を行うことができた。
(実施例4〜8)
次に、実施例4〜8について説明すると、この実施例4〜8では、表2に示すように、塗布部材13を形成する原料の熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレンを用いている。又、水溶性気泡形成材としてNaCl(塩化ナトリウム)、水溶性高分子化合物としてポリエチレングリコールジアクリレートを用いた。表2には、熱可塑性樹脂(低密度ポリエチレン)、水溶性気泡形成材、水溶性高分子化合物の各配合量がそれぞれ記載されている。
Figure 2008264061
これらの実施例4〜8について、前述した実施例1〜3と同様に塗布部材13を製造し、その特性を前述した試験装置を用いて同様に特性を測定したところ、表2に示すように平均セル径、空隙率、曲げ弾性(最大荷重)、アスカーC硬度のデータが得られた。
さらに、実施例4〜8の塗布部材13を用いて、5名の評価者が唇に口紅を塗布して性能(官能試験)を評価したところ、図6のレーダチャートに示す結果が得られた。各項目は5名の評価者の平均を表す。図6中の評価項目の「やわらかさ」は、塗布部材13を唇に当てたときに感じる塗布部材13のやわらかさである。「なめらかさ」は、唇に塗布部材13の表面を接触させて移動したときに感じる滑りの良し悪しを表す。「使いやすさ」は塗布部材13により唇に口紅を塗布した際の感触の良さと使い勝手とを纏めて表す。「鋭角な線の再現」は、塗布部材13を用いて口紅を塗布する際に、口紅の縁がぼやけるのはあまり良くないので、塗布された口紅の端縁が鋭角な線となっている度合いを表す。「塗りの均一さ」は、唇に塗布された口紅の擦れの程度を表す。「つきの良さ」は、唇に対する口紅の付着の良し悪しを表す。「すべりの良さ」は、塗布部材13を唇の上でスムーズに動かすことができる度合いを表す。
図6の各評価項目は、それぞれ数値1〜10の10段階で評価され、中心から外側に行くに従い、数値が小さくなり評価が高くなることを意味する。表2には前記各評価項目の数値が記載されている。実施例4は、全ての評価項目について最も良く、総合的に最も評価が高い。次は実施例7であり、以下、実施例8、実施例6、実施例5の順に評価が低くなっている。
図7は、塗布部材13の曲げ弾性と、評価項目の一つである「やわらかさ」との関係を表している。この図7から明らかなように、「曲げ弾性」と「やわらかさ」とは相関関係にあることが判った。
前述した評価項目のうち、「やわらかさ」、「なめらかさ」、「使いやすさ」、「塗りの均一さ」、「つきの良さ」及び「すべりの良さ」は、唇の化粧時の液体口紅の塗布性(感触)を向上するものである。
液体口紅塗布具を具体化した一実施形態を示す縦断面図。 押出成形装置を示す略体説明図。 (a)〜(f)は塗布部材の製造工程を示す説明図。 この発明の塗布部材の別の実施形態を示す縦断面図。 この発明の液体口紅塗布具の別の実施形態を示す縦断面図。 塗布部材の評価結果を示すレーダーチャート。 塗布部材の曲げ弾性と「やわらかさ」との関係を示す棒グラフ。
符号の説明
R…曲げ弾性、13…塗布部材、13e,13f…斜面、15…貯留室、16…閉塞通路、132…塗布部材本体。

Claims (9)

  1. 液体口紅を含浸する三次元連続網状骨格を有する樹脂多孔体により形成された塗布部材本体の内部に液体口紅を貯留するための貯留室を形成し、前記塗布部材本体の先端部に対し液体口紅を唇に塗布するための斜面を形成したことを特徴とする液体口紅塗布具に用いる塗布部材。
  2. 請求項1において、前記貯留室は塗布部材本体の基端部側に設けられ、該塗布部材本体の先端側内部には、前記貯留室に連通し、かつ液体口紅の流路となる閉塞通路が形成されていることを特徴とする液体口紅塗布具に用いる塗布部材。
  3. 請求項1又は2において、前記塗布部材本体の曲げ弾性を0.167〜0.899MPa、アスカーC硬度を7〜35に設定したことを特徴とする液体口紅塗布具に用いる塗布部材。
  4. 請求項3において、前記塗布部材本体の空孔径を1〜200μm、空隙率を65〜90%に設定したことを特徴とする液体口紅塗布具に用いる塗布部材。
  5. 請求項3又は4において、前記塗布部材本体の先端部の斜面は、山形状に形成されていることを特徴とする液体口紅塗布具に用いる塗布部材。
  6. 請求項3〜5のいずれか一項において、前記塗布部材本体の曲げ弾性を0.20〜0.30MPa、アスカーC硬度を25〜35に設定し、空孔径を50〜150μm、空隙率を70〜85%に設定したことを特徴とする液体口紅塗布具に用いる塗布部材。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項において、前記塗布部材を形成する熱可塑性樹脂は、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びポリプロピレン(PP)の群の中から選択されたものであることを特徴とする液体口紅塗布具に用いる塗布部材。
  8. 請求項7において、前記塗布部材を形成する熱可塑性樹脂は、低密度ポリエチレンであることを特徴とする液体口紅塗布具に用いる塗布部材。
  9. 溶融された熱可塑性樹脂、水溶性気泡形成材及び水溶性高分子化合物を混練して塗布部材用原料を製造する工程と、
    上記塗布部材用原料を用いて塗布部材本体を成形する工程と、
    上記塗布部材本体の内部に貯留室を形成する工程と、
    前記塗布部材本体の先端部に液体口紅を唇に塗布するための斜面を形成する工程と、
    前記塗布部材本体の内部に含浸された前記水溶性気泡形成材及び水溶性高分子化合物を抽出して三次元連続網状骨格を有する樹脂多孔体の塗布部材を製造する工程と
    を含むことを特徴とする液体口紅塗布具に用いる塗布部材の製造方法。
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