JP2008261604A - 蒸発式空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】第1容器1と第2容器2とを接続する蒸気ダクト16中に,正逆回転可能にした蒸気圧縮機17を設け,この蒸気圧縮機17を第1容器から第2容器の方向に蒸気圧縮を行うように正方向に回転して冷房運転にし,前記蒸気圧縮機を第2容器から第1容器の方向に蒸気圧縮を行うように逆方向に回転して暖房運転にする蒸発式空調装置において,そのランニングコストの低減を図るとともに,冷房運転の際における大気の上昇に伴う冷暖房箇所の温度上昇を防止する。
【解決手段】前記蒸気ダクト16に前記蒸気圧縮機17に対するバイパス蒸気通路19を設けて,このバイパス蒸気通路に通常閉の蒸気バイパス弁20を設け,前記冷房運転中において,前記第2容器2側の温度が前記第1容器1側の温度よりも低くなったとき,前記蒸気圧縮機の回転を停止する一方,前記蒸気バイパス弁20を開く構成にする。
【選択図】図1
【解決手段】前記蒸気ダクト16に前記蒸気圧縮機17に対するバイパス蒸気通路19を設けて,このバイパス蒸気通路に通常閉の蒸気バイパス弁20を設け,前記冷房運転中において,前記第2容器2側の温度が前記第1容器1側の温度よりも低くなったとき,前記蒸気圧縮機の回転を停止する一方,前記蒸気バイパス弁20を開く構成にする。
【選択図】図1
Description
本発明は,例えば,水等のような蒸発性を有する液体,つまり,蒸発性液体を使用して,大気空気にて冷暖房を行うようにした蒸発式の空調装置に関するものである。
先行技術としての特許文献1には,
「少なくとも,減圧に保持した第1容器及び第2容器と,冷暖房箇所に設置した冷暖房用熱交換器と,大気空気との間で熱交換を行う放吸熱用熱交換器とを備え,更に,前記第1容器内における水等の蒸発性液体を前記冷暖房用熱交換器との間を循環する第1循環手段と,前記第2容器内における水等の蒸発性液体を前記放吸熱用熱交換器との間を循環する第2循環手段と,前記第1容器と第2容器の相互間を接続する蒸気ダクト中に回転式の蒸気圧縮機を設けて成る。」
構成が記載されている。
「少なくとも,減圧に保持した第1容器及び第2容器と,冷暖房箇所に設置した冷暖房用熱交換器と,大気空気との間で熱交換を行う放吸熱用熱交換器とを備え,更に,前記第1容器内における水等の蒸発性液体を前記冷暖房用熱交換器との間を循環する第1循環手段と,前記第2容器内における水等の蒸発性液体を前記放吸熱用熱交換器との間を循環する第2循環手段と,前記第1容器と第2容器の相互間を接続する蒸気ダクト中に回転式の蒸気圧縮機を設けて成る。」
構成が記載されている。
この先行技術の構成においては,前記蒸気圧縮機を,前記第1容器から前記第2容器の方向に蒸気圧縮を行うように正方向に回転するとき,前記第1容器における蒸発性液体は沸騰蒸発にて所定温度に冷却されたのち冷暖房用熱交換器に送られたのち再び前記第1容器に戻って沸騰蒸発することを繰り返す一方,前記第1容器内での沸騰蒸発にて発生した蒸気は前記蒸気圧縮機にて圧縮されたのち前記第2容器に至り,この第2容器における蒸発性液体にて凝縮され,この蒸気凝縮にて温度が高くなった蒸発性液体は放吸熱用熱交換器に送られて大気空気との熱交換にて冷却されたのち再び前記第2容器に戻って蒸気を凝縮することを繰り返すから,冷暖房箇所の冷房を行うという冷房運転にすることができる。
また,前記蒸気圧縮機を,今度は,前記第2容器から前記第1容器の方向に蒸気圧縮を行うように逆方向に回転すると,前記第2容器における蒸発性液体は沸騰蒸発にて所定温度に冷却されたのち放吸熱用熱交換器に送られ,ここで,大気空気との熱交換にて暖められたのち再び前記第2容器に戻って沸騰蒸発することを繰り返す一方,前記第2容器内での沸騰蒸発にて発生した蒸気は前記蒸気圧縮機にて圧縮されたのち前記第1容器に至り,この第1容器における蒸発性液体にて凝縮され,この蒸気の凝縮にて温度が高くなった蒸発性液体は冷暖房用熱交換器に送られたのち再び前記第1容器に戻って蒸気を凝縮することを繰り返すから,冷暖房箇所の暖房を行うという暖房運転にすることができる。
特開2006−97989号公報
前記先行技術の装置は,前記したように,蒸発性液体を使用して,大気にて冷房及び暖房を行うように構成したものであるが,前記第1容器及び第2容器のうち第2容器側の温度は,当該第2容器における蒸発性液体が放吸熱用熱交換器において熱交換を行う大気の温度によって決まる一方,この大気の温度は,四季の変化等において可成り大きく変動する。
前記冷房運転中において,大気の温度が低くなることに伴い,第2容器側の温度が,前記第1容器から冷暖房箇所に供給する蒸発性液体の温度,つまり,第1容器側の温度,ひいては,冷暖房箇所において必要とする所定温度よりも低くなるように下がる場合があり,このような場合においては,第1容器で発生した蒸気を,前記蒸気圧縮機を使用することなく第2容器に導いて凝縮することができる。
しかし,前記した先行技術の装置では,前記蒸気圧縮機を,冷房運転中の全てにわたって常時運転するという構成にしているから,前記したように,大気の温度が下がることに伴って,前記第2容器側における温度が第1容器側における所定温度よりも低くなった状態においては,前記蒸気圧縮機が無駄に運転されることになり,この無駄な運転により冷暖房に要するランニングコストが嵩むという問題があった。
このランニングコストの低減を図るには,第2容器側の温度が第1容器側の所定温度よりも低くなった場合に,前記蒸気圧縮機の回転を停止するように構成すれば良いが,この構成にした場合には,第1容器から第2容器への蒸気の流れが,前記蒸気圧縮機の回転停止によって殆ど閉ざされた状態になって,第1容器での沸騰蒸発が略完全に止まることになるから,前記第1容器での沸騰蒸発による蒸発性液体の冷却を持続することができず,ひいては,冷暖房用熱交換器に送られる蒸発性液体の温度が,冷暖房箇所における熱負荷を受けて上昇し,冷暖房箇所に供給する蒸発性液体における温度を,当該冷暖房箇所において必要とする所定温度に維持することができないという事態を招来することになる。
本発明は,冷房運転と暖房運転とを,前記したような問題を招来することなく,確実に行うことができるようにした蒸発式の空調装置を提供することを技術的課題とするものである。
この技術的課題を達成するため請求項1は,
「少なくとも,減圧に保持した第1容器及び第2容器と,冷暖房箇所に設置した冷暖房用熱交換器と,大気との間で熱交換を行う放吸熱用熱交換器とを備え,更に,前記第1容器内における蒸発性液体を前記冷暖房用熱交換器との間を循環する第1循環手段と,前記第2容器内における蒸発性液体を前記放吸熱用熱交換器との間を循環する第2循環手段と,前記第1容器と第2容器の相互間を接続する蒸気ダクト中に正逆回転可能な回転式蒸気圧縮機を設け,この蒸気圧縮機を前記第1容器から前記第2容器の方向に蒸気圧縮を行うように正方向に回転することで冷房運転にする一方,前記蒸気圧縮機を逆に前記第2容器から前記第1容器の方向に蒸気圧縮を行うように逆方向に回転することで暖房運転にするように構成して成る蒸発式空調装置において,
前記蒸気ダクトに前記蒸気圧縮機に対するバイパス蒸気通路を設けて,このバイパス蒸気通路に,前記冷房運転及び暖房運転のときに通常閉の蒸気バイパス弁を設け,前記冷房運転中において,前記第2容器側の温度が前記第1容器側の温度よりも低くなったとき,前記蒸気圧縮機の回転を停止する一方,前記蒸気バイパス弁を開く構成にした。」
ことを特徴としている。
「少なくとも,減圧に保持した第1容器及び第2容器と,冷暖房箇所に設置した冷暖房用熱交換器と,大気との間で熱交換を行う放吸熱用熱交換器とを備え,更に,前記第1容器内における蒸発性液体を前記冷暖房用熱交換器との間を循環する第1循環手段と,前記第2容器内における蒸発性液体を前記放吸熱用熱交換器との間を循環する第2循環手段と,前記第1容器と第2容器の相互間を接続する蒸気ダクト中に正逆回転可能な回転式蒸気圧縮機を設け,この蒸気圧縮機を前記第1容器から前記第2容器の方向に蒸気圧縮を行うように正方向に回転することで冷房運転にする一方,前記蒸気圧縮機を逆に前記第2容器から前記第1容器の方向に蒸気圧縮を行うように逆方向に回転することで暖房運転にするように構成して成る蒸発式空調装置において,
前記蒸気ダクトに前記蒸気圧縮機に対するバイパス蒸気通路を設けて,このバイパス蒸気通路に,前記冷房運転及び暖房運転のときに通常閉の蒸気バイパス弁を設け,前記冷房運転中において,前記第2容器側の温度が前記第1容器側の温度よりも低くなったとき,前記蒸気圧縮機の回転を停止する一方,前記蒸気バイパス弁を開く構成にした。」
ことを特徴としている。
請求項2は,
「前記請求項1の記載において,前記冷房運転中において前記蒸気バイパス弁を開くときにおける当該蒸気バイパス弁の開度を,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度に応じて,この温度が下がると小さく,この温度が上がると大きくするように制御する一方,前記暖房運転中において前記蒸気圧縮機を逆回転しているときの回転数を,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度に応じて,この温度が下がると加速し,この温度が上がると減速するように制御する。」
ことを特徴としている。
「前記請求項1の記載において,前記冷房運転中において前記蒸気バイパス弁を開くときにおける当該蒸気バイパス弁の開度を,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度に応じて,この温度が下がると小さく,この温度が上がると大きくするように制御する一方,前記暖房運転中において前記蒸気圧縮機を逆回転しているときの回転数を,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度に応じて,この温度が下がると加速し,この温度が上がると減速するように制御する。」
ことを特徴としている。
請求項3は,
「前記請求項1の記載において,前記冷房運転中において前記蒸気バイパス弁が開くときにおける当該蒸気バイパス弁の開度を,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度に応じて,この温度が下がると小さく,この温度が上がると大きくするように制御する一方,前記暖房運転中において,前記蒸気バイパス弁を,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度上昇に比例して開くように制御する。」
ことを特徴としている。
「前記請求項1の記載において,前記冷房運転中において前記蒸気バイパス弁が開くときにおける当該蒸気バイパス弁の開度を,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度に応じて,この温度が下がると小さく,この温度が上がると大きくするように制御する一方,前記暖房運転中において,前記蒸気バイパス弁を,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度上昇に比例して開くように制御する。」
ことを特徴としている。
前記請求項1の記載において,冷房運転を行うときには,前記蒸気バイパス弁を閉じた状態で前記蒸気圧縮機を,前記第1容器から前記第2容器の方向に蒸気圧縮を行うように正方向に回転することにより,前記第1容器における蒸発性液体は沸騰蒸発にて所定温度に冷却されたのち冷暖房用熱交換器に送られたのち再び前記第1容器に戻って沸騰蒸発することを繰り返す一方,前記第1容器内での沸騰蒸発にて発生した蒸気は前記蒸気圧縮機にて圧縮されたのち前記第2容器に至り,この第2容器における蒸発性液体にて凝縮され,この蒸気凝縮にて温度が高くなった蒸発性液体は放吸熱用熱交換器に送られて大気空気との熱交換にて冷却されたのち再び前記第2容器に戻って蒸気を凝縮することを繰り返すから,冷暖房箇所の冷房を行うことができる。
また,暖房運転を行うときには,前記蒸気バイパス弁を閉じた状態で前記蒸気圧縮機を,今度は,前記第2容器から前記第1容器の方向に蒸気圧縮を行うように逆方向に回転することにより,前記第2容器における蒸発性液体は沸騰蒸発にて所定温度に冷却されたのち放吸熱用熱交換器に送られ,ここで大気空気との熱交換にて暖められたのち再び前記第2容器に戻って沸騰蒸発することを繰り返す一方,前記第2容器内での沸騰蒸発にて発生した蒸気は前記蒸気圧縮機で圧縮されたのち前記第1容器に至り,この第1容器における蒸発性液体にて凝縮され,この蒸気の凝縮にて温度が高くなった蒸発性液体は冷暖房用熱交換器に送られたのち再び前記第1容器に戻って蒸気を凝縮することを繰り返すから,冷暖房箇所の暖房を行うことができる。
そして,前記冷房運転中において,季節の変化等に伴い大気の温度が低くなることで第2容器側の温度が前記第1容器側の温度よりも低い温度にまで下がったとき,前記蒸気圧縮機における正方向の回転が停止することにより,冷房運転中のうち大気温度が低くなった状態でのランニングコストの低減を達成することができる。
その一方で,前記蒸気圧縮機に対するバイパス蒸気通路中の蒸気バイパス弁が開くことにより,前記第1容器において発生した蒸気は前記バイパス蒸気通路を通って第2容器に流れることになるから,前記第1容器における沸騰蒸発が,前記蒸気圧縮機の停止で止まることを確実に防止でき,ひいては,前記第1容器における沸騰蒸発による蒸発性液体の冷却を持続できることにより,前記第1容器から冷暖房箇所における冷暖房用熱交換器に供給する蒸発性液体の温度が,前記蒸気圧縮機の停止で所定温度を越えて上昇することを確実に阻止できる。
つまり,冷房運転と暖房運転とを,前記冷房運転中におけるランニングコストの低減を図りながら確実に達成できる。
次に,前記請求項1の記載を前提として請求項2の記載にすることにより,冷房運転のうち前記蒸気圧縮機を停止し蒸気バイパス弁を開いた状態において,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度が下がると,前記蒸気バイパス弁の開度が小さくなって,第1容器から第2容器に流れる蒸気の流量が減少されることにより,前記第1容器における温度の低下を防止できる一方,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度が上がると,前記蒸気バイパス弁の開度が大きくなって,第1容器から第2容器に流れる蒸気の流量が増加されることにより,前記第1容器における温度の上昇を防止できるから,冷房運転の際に,前記第1容器から冷暖房箇所に供給する蒸発性液体の温度を,所定温度に近い値に維持することができる。
一方,前記蒸気圧縮機を逆回転しての暖房運転中において,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度が下がると,前記蒸気圧縮機における逆回転の回転数が加速することになって,第2容器から第1容器に向かって圧縮される蒸気量が増大することにより,前記第1容器における温度の低下を防止できる一方,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度が上がると,前記蒸気圧縮機における逆回転の回転数が減速することになって,第2容器から第1容器に向かって圧縮される蒸気量が減少することにより,前記第1容器における温度の上昇を確実に防止できるから,暖房運転の際においても,前記第1容器から冷暖房箇所に供給する蒸発性液体の温度を,所定温度に近い値に維持することができる。
そして,前記第1容器から冷暖房箇所に供給する蒸発性液体の温度を,暖房運転中においても所定温度に近い値に維持することは,請求項3に記載したように構成することによっても達成できる。
すなわち,前記暖房運転のときにおいて,前記蒸気バイパス弁が開くことにより,前記蒸気圧縮機の逆回転によって第2容器から第1容器に向かって圧縮された蒸気の一部が,蒸気圧縮機をバイパスして第2容器の方向に逆流することになるから,前記蒸気圧縮機にて圧縮された蒸気のうち実際に第1容器に入る蒸気量は,前記逆流する分だけ減少することになる。
この場合,前記蒸気バイパス弁は,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度上昇に比例して開くように制御されていることにより,実際に第1容器に入る蒸気量は,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度上昇に比例して減少することになって,前記第1容器側における温度の上昇を確実に防止できるから,暖房運転の際においても,前記第1容器から冷暖房箇所に供給する蒸発性液体の温度を,所定温度に近い値に維持することができる。
以下,本発明の実施の形態を図面について説明する。
図1は,第1の実施の形態を示す。
この図1において,符号1は,密閉構造にした第1容器を,符号2は,同じく密閉構造にした第2容器を各々示し,これら両容器1,2のうちいずれか一方又は両方には,前記第1容器1及び前記第2容器2内の両方を大気圧より低い減圧にするための真空ポンプ3等の真空発生装置が接続されている。
前記第1容器1内に入れた水等の蒸発性液体は,循環ポンプ4にて汲み出し冷暖房用循環管路5を介して間接熱交換式の冷暖房用熱交換器6に送られたのち,冷暖房用循環管路7を介して再び前記第1容器1内の上部にノズル8から噴出するように戻るという循環を行うように構成されている。
また,前記第2容器2内に入れた水等の蒸発性液体は,循環ポンプ9にて汲み出し放吸熱用循環管路10を介して密閉型に構成した放吸熱用熱交換器11に送られたのち,放吸熱用循環管路12を介して再び前記第2容器2内の上部にノズル13から噴出するように戻るという循環を行うように構成されている。
この場合,前記冷暖房用熱交換器6は,室内等のような冷暖房箇所14に,当該冷暖房箇所14における空気と間接的に熱交換するように設置されている。
一方,前記放吸熱用熱交換器11は,屋外に設置した通風塔11aと,その内部に設けた密閉構造の伝熱管11bとを備えて,前記第2容器2内における蒸発性液体が前記伝熱管11aの内部との間を循環するように構成する一方,前記通風塔11a内において,前記伝熱管11bの外側を,ポンプ11cにて循環する水を散布することに加えて,フアン11dにて大気の空気を強制通風するように構成している。
なお,前記第1容器1と前記第2容器2の相互間は,その各々における水等の蒸発性液体が互いに往来するように,底部における連通路15を介して接続されている。
また,前記第1容器1の上部と前記第2容器2の上部の間は,蒸気ダクト16を介して接続され,この蒸気ダクト16の途中には,回転式蒸気圧縮機における一つの例であるところのルーツ式圧縮機17が設けられている。
このルーツ式圧縮機17は,正逆回転が可能であるとともに回転数が変更可能である電動モータ21又は内燃機関等の動力源からの直接又はベルト等を介しての動力伝達にて回転するように駆動されている。
更に,前記蒸気ダクト16には,前記ルーツ式圧縮機20を迂回するバイパス蒸気通路19が設けられ,このバイパス蒸気通路19の途中には,蒸気バイパス弁20を設けている。
前記図1において,符号21は,コントローラであり,このコントローラ21は,前記第1容器1又は前記冷暖房用循環管路5,7に設けた温度センサー22,及び前記第2容器2又は放吸熱用循環管路10,12に設けた温度センサー23等を入力として,ルーツ式圧縮機17及び前記蒸気バイパス弁20を,以下に述べるように制御するという構成である。
すなわち,前記コントローラ21は,冷房運転を行うときには,前記バイパス蒸気通路20を閉じて,前記ルーツ式圧縮機17を,実線矢印24で示すように,前記第1容器1から前記第2容器2の方向に蒸気圧縮を行うように正方向に回転する。
また,前記コントローラ21は,暖房運転を行うときには,前記バイパス蒸気通路20を閉じて,前記ルーツ式圧縮機17を,今度は,点線矢印25で示すように,前記第2容器2から前記第1容器1の方向に蒸気圧縮を行うように逆方向に回転する。
更にまた,前記コントローラ21は,前記冷房運転中において,前記第2容器2側の温度が,季節の変化等により,前記第1容器1側の温度よりも低い状態になったときに,前記ルーツ式圧縮機17における正方向の回転を停止する一方,前記蒸気バイパス弁20を開くように作動することに加えて,前記蒸気バイパス弁20が開いているときにおける開度を,前記第2容器2側の温度又は前記第1容器1側の温度に応じて,この温度が下がると小さく,この温度が上がると大きくするように制御するという構成にしている。
この構成において,冷房運転を行うときには,前記蒸気バイパス弁20を閉じた状態で前記ルーツ式圧縮機17を,前記第1容器1から前記第2容器2の方向に蒸気圧縮を行うように正方向に回転することにより,前記第1容器1における蒸発性液体は沸騰蒸発にて所定温度に冷却されたのち冷暖房箇所14における冷暖房用熱交換器6に送られたのち再び前記第1容器1に戻って沸騰蒸発することを繰り返す一方,前記第1容器1内での沸騰蒸発にて発生した蒸気は前記ルーツ式圧縮機17にて圧縮されたのち前記第2容器2に至り,ここにおける蒸発性液体にて凝縮され,この蒸気凝縮にて温度が高くなった蒸発性液体は放吸熱用熱交換器11に送られてここでの大気空気との熱交換にて冷却されたのち再び前記第2容器2に戻って蒸気を凝縮することを繰り返すから,冷暖房箇所の冷房を行うことができる。
一方,暖房運転を行うときには,前記蒸気バイパス弁20を閉じた状態で前記ルーツ式圧縮機17を,今度は,前記第2容器2から前記第1容器1の方向に蒸気圧縮を行うように逆方向に回転することにより,前記第2容器2における蒸発性液体は沸騰蒸発にて所定温度に冷却されたのち放吸熱用熱交換器11に送られ,ここで大気空気との熱交換にて暖められたのち再び前記第2容器2に戻って沸騰蒸発することを繰り返す一方,前記第2容器2内での沸騰蒸発にて発生した蒸気は前記ルーツ式圧縮機17で圧縮されたのち前記第1容器1に至り,ここにおける蒸発性液体にて凝縮され,この蒸気凝縮にて温度が高くなった蒸発性液体は冷暖房箇所14における冷暖房用熱交換器6に送られたのち再び前記第1容器1に戻って蒸気を凝縮することを繰り返すから,冷暖房箇所の暖房を行うことができる。
そして,前記冷房運転中において,季節の変化等により大気の温度が低くなることで,前記第2容器2側の温度が,第1容器1側の温度よりも低くなる状態になった場合には,前記ルーツ式圧縮機17が回転停止される一方,前記バイパス蒸気通路19における蒸気バイパス弁20が開いて,前記第1容器1において発生した蒸気は,前記バイパス蒸気通路19を通って第2容器2側に流れることになるから,前記第1容器1における沸騰蒸発が,前記ルーツ式圧縮機17の回転停止で止まることを確実に防止でき,ひいては,前記第1容器1における沸騰蒸発による蒸発性液体の冷却を持続できることにより,前記第1容器1から冷暖房箇所14における冷暖房用熱交換器に供給する蒸発性液体の温度が,前記ルーツ式圧縮機17の回転停止で前記所定温度を越えて上昇することを確実に阻止できる(このような運転状態を,ルーツ式圧縮機17を回転停止するということで,フリークーリングと称する)。
この場合(フリークーリング)においては,前記第1容器1における蒸発性液体の温度は,第2容器2側の温度,ひいては,大気温度の変化によって変動することに加えて,冷暖房箇所14における熱負荷の増減によっても変動するが,前記蒸気バイパス弁20が開いているときにおける当該蒸気バイパス弁20の開度を,前記第2容器2側の温度又は前記第1容器1側の温度に応じて,この温度が下がると小さく,この温度が上がると大きくするように制御するという構成にしていることにより,前記冷暖房箇所14に供給する蒸発性液体の温度を,当該冷暖房箇所14において必要とする所定温度(例えば,冷房の場合には,20℃)に近い値に維持できる。
ところで,前記冷房運転中において,前記ルーツ式圧縮機17を正方向に回転する一方前記蒸気バイパス弁20を閉じている状態から,前記ルーツ式圧縮機17を回転停止して前記蒸気バイパス弁20を開くように切り換えるときにおける温度は,前記第1容器1における蒸気のバイパス蒸気通路19を通って第2容器2への流れを確保するために,前記第2容器2側の温度が第1容器1側の温度よりも約5℃以上に低い温度に設定することが好ましく,例えば,冷暖房箇所14において必要とする所定温度が20℃である場合には,前記第2容器2側の温度が,15℃以下に下がったときに,前記ルーツ式圧縮機17を回転停止して前記蒸気バイパス弁20を開くに切り換えるように構成する。
なお,前記冷房運転に際しては,前記コントローラ21により,前記ルーツ式圧縮機17における正方向への回転数を,前記第2容器2側の温度又は第1容器1側の温度に応じて,この温度が高くなると加速し,この温度が低くなると減速するように制御するという構成にすることができる。
この構成によると,冷暖房箇所14に供給する蒸発性液体の温度を,大気温度の変化及び冷房負荷の変化に対して,冷房運転の全ての領域にわたって,所定温度(例えば,20℃)に近い値に維持することができる。
また,前記コントローラ21は,前記した制御に加えて,前記暖房運転中において,前記ルーツ式圧縮機17における逆回転の回転数を,前記第1容器1側の温度又は前記第2容器2側の温度に応じて,この温度が下がると加速し,この温度が上がると減速するように制御するという構成にしている。
この構成により,暖房運転中において,前記第1容器1側の温度又は前記第2容器2側の温度が下がると,前記ルーツ式圧縮機17における逆回転の回転数が加速することになって,第2容器2から第1容器1に向かって圧縮される蒸気量が増大することにより,前記第1容器1における温度の低下を確実に防止できる一方,前記第1容器1側の温度又は前記第2容器2側の温度が上がると,前記ルーツ式圧縮機17における逆回転の回転数が減速することになって,第2容器2から第1容器1に向かって圧縮される蒸気量が減少することにより,前記第1容器1における温度の上昇を確実に防止できるから,暖房運転の際においても,前記第1容器1から冷暖房箇所14に供給する蒸発性液体の温度を,所定温度に近い値に維持することができる。
或いは,前記第1容器から冷暖房箇所14に供給する蒸発性液体の温度を,暖房運転中においても所定温度に近い値に維持することは,前記ルーツ式圧縮機17における逆回転の回転数を前記コントローラ21にて前記したように制御することに代えて,前記蒸気バイパス弁20を前記コントローラ21にて以下に述べるように制御することによっても達成できる。
すなわち,前記コントローラ21は,前記ルーツ式圧縮機17における逆回転しての暖房運転中において,前記蒸気バイパス弁20を,前記第1容器1側の温度又は前記第2容器2側の温度上昇に比例して開くように制御するという構成にしている。
この構成において,暖房運転中に前記前記蒸気バイパス弁20が開くことにより,前記ルーツ式圧縮機17の逆回転によって第2容器2から第1容器1に向かって圧縮された蒸気の一部が,ルーツ式圧縮機17をバイパスしてその上流側である第2容器2の方向に逆流することになるから,前記ルーツ式圧縮機17にて圧縮された蒸気のうち実際に第1容器1に入る蒸気量は,前記逆流する分だけ減少することになる。
そして,前記蒸気バイパス弁20は,前記第1容器1側の温度又は前記第2容器2側の温度上昇に比例して開くように制御されていることにより,実際に第1容器1に入る蒸気量は,前記第1容器1側の温度又は前記第2容器2側の温度上昇に比例して減少することになって,前記第1容器1側における温度の上昇を確実に防止できるから,暖房運転の際においても,前記第1容器1から冷暖房箇所14に供給する蒸発性液体の温度を,所定温度に近い値に維持することができる。
次に,図2は,第2の実施の形態を示す。
前記第1の実施の形態は,前記第2容器2における蒸発性液体を密閉型の放吸熱用熱交換器11に送って大気と間接的に熱交換する場合であったが,この第2の実施の形態は,前記第2容器2における蒸発性液体と大気との間接的な熱交換に,開放型の放吸熱用熱交換器26を使用した場合であり,その他の構成は,前記第1の実施の形態の場合と同様である。
すなわち,この第2の実施の形態における開放型の冷却用熱交換器26は,不凍液を入れた流体室26a内に密閉型の伝熱管26bを設けて,この伝熱管26bの内部と前記第2容器2との間を,前記第2容器2内における蒸発性液体が循環するようにして,前記流体室26a内において,前記第2容器2における蒸発性液体と,当該流体室26a内に入れた不凍液との間で間接的な熱交換を行うように構成する一方,フアン26cによる強制通風の通風塔26d内に,ラシヒリング等の充填層26eを設け,この通風塔26dの底に溜まる前記不凍液を循環ポンプ26fにて汲み出して,前記流体室26a内に供給し,次いで,この流体室26a内における不凍液を前記通風塔26d内における充填層26eに対してノズル26gにて散布して,この充填層26eを流下するという循環を行うことにより,前記不凍液を,前記通風塔26d内における大気空気との直接接触にて熱交換し,この熱交換したあとの不凍液と,前記第2容器2と前記伝熱管26b内との間を循環する蒸発性液体とを間接的に熱交換するように構成したものである。
この第2の実施の形態においては,前記第1容器1内及び第2容器2内を大気圧よりも低い減圧に保った状態のもとで,「開放型の冷却用熱交換器26」を使用することができる。また,大気との熱交換に不凍液を使用することにより,大気温度が氷点以下に下がった場合において,前記第2容器2における蒸発性液体に凍結が発生することを確実に回避できる。
従って,前記した請求項1のうち「大気との間で熱交換を行う放吸熱用熱交換器」には,前記第1の実施の形態において説明した「密閉型の放吸熱用熱交換器11」は勿論のこと,前記第2の実施の形態において説明した「開放型の放吸熱用熱交換器26」を当然に含むものである。
なお,前記各実施の形態において,第1容器1における蒸発性液体及び第2容器2における蒸発性液体としては,前記各実施の形態として説明した水か,又は各種の水溶液に限らず,アルコール等のようなその他の蒸発性液体を使用することができるほか,これら水等の蒸発性液体に不凍結剤,防蝕剤,防錆剤又は防スケール剤を適宜添加しても良いことはいうまでもない。
また,正逆回転可能な回転式の蒸気圧縮機としては,前記各実施の形態で説明したルーツ式圧縮機に限らず,可変翼式圧縮機又はねじ式圧縮機等のような正逆回転可能な回転式圧縮機を使用することができる。
1 第1容器
2 第2容器
3 真空ポンプ
5,7 冷暖房用循環管路
6 冷暖房用熱交換器
10,12 放吸熱用循環管路
11,26 放吸熱用熱交換器
14 冷暖房箇所
15 連通路
16 蒸気ダクト
17 ルーツ式圧縮機(蒸気圧縮機)
19 バイパス蒸気通路
20 蒸気バイパス弁
21 コントローラ
22,23 温度センサー
2 第2容器
3 真空ポンプ
5,7 冷暖房用循環管路
6 冷暖房用熱交換器
10,12 放吸熱用循環管路
11,26 放吸熱用熱交換器
14 冷暖房箇所
15 連通路
16 蒸気ダクト
17 ルーツ式圧縮機(蒸気圧縮機)
19 バイパス蒸気通路
20 蒸気バイパス弁
21 コントローラ
22,23 温度センサー
Claims (3)
- 少なくとも,減圧に保持した第1容器及び第2容器と,冷暖房箇所に設置した冷暖房用熱交換器と,大気との間で熱交換を行う放吸熱用熱交換器とを備え,更に,前記第1容器内における蒸発性液体を前記冷暖房用熱交換器との間を循環する第1循環手段と,前記第2容器内における蒸発性液体を前記放吸熱用熱交換器との間を循環する第2循環手段と,前記第1容器と第2容器の相互間を接続する蒸気ダクト中に正逆回転可能な回転式蒸気圧縮機を設け,この蒸気圧縮機を前記第1容器から前記第2容器の方向に蒸気圧縮を行うように正方向に回転することで冷房運転にする一方,前記蒸気圧縮機を逆に前記第2容器から前記第1容器の方向に蒸気圧縮を行うように逆方向に回転することで暖房運転にするように構成して成る蒸発式空調装置において,
前記蒸気ダクトに前記蒸気圧縮機に対するバイパス蒸気通路を設けて,このバイパス蒸気通路に,前記冷房運転及び暖房運転のときに通常閉の蒸気バイパス弁を設け,前記冷房運転中において,前記第2容器側の温度が前記第1容器側の温度よりも低くなったとき,前記蒸気圧縮機の回転を停止する一方,前記蒸気バイパス弁を開く構成にしたことを特徴とする蒸発式空調装置。 - 前記請求項1の記載において,前記冷房運転中において前記蒸気バイパス弁を開くときにおける当該蒸気バイパス弁の開度を,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度に応じて,この温度が下がると小さく,この温度が上がると大きくするように制御する一方,前記暖房運転中において前記蒸気圧縮機を逆回転しているときの回転数を,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度に応じて,この温度が下がると加速し,この温度が上がると減速するように制御することを特徴とする蒸発式空調装置。
- 前記請求項1の記載において,前記冷房運転中において前記蒸気バイパス弁が開くときにおける当該蒸気バイパス弁の開度を,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度に応じて,この温度が下がると小さく,この温度が上がると大きくするように制御する一方,前記暖房運転中において,前記蒸気バイパス弁を,前記第1容器側の温度又は前記第2容器側の温度上昇に比例して開くように制御することを特徴とする蒸発式空調装置。
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