JP2008261305A - ピストン - Google Patents

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Abstract

【課題】オイルリング溝内に連通する連通孔からピストン内側に潤滑油を良好に排出可能なピストンを提供する。
【解決手段】ピストン20は、外周面(30a,40a)にオイルリングが装着されるオイルリング溝36が形成されており、さらにオイルリング溝36内とピストン内側とを連通させる連通孔であるオイル排出孔80が設けられている。オイル排出孔80のピストン内側開口80cよりスカート裾40e側には、内周面(30c,40c)からピストン中心軸C側に突出する突出壁90が設けられている。ピストン下降時において生じるスカート裾40e側から頂面22側に向かう気流又はオイル流により、オイル排出孔80のピストン内側開口80cが塞がれてしまうことを抑制することができる。オイルリングがシリンダ壁から掻き落としてオイルリング溝36内に取り込んだ潤滑油を、オイル排出孔80からピストン20の内側に良好に排出することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関に用いられるピストンに関し、特に、外周面に形成されたオイルリング溝内と、ピストン内側とを連通させる連通孔が設けられているピストンに関する。
内燃機関に用いられるピストンは、通常、気筒内の気密を保つためのコンプレッションリングと、シリンダ壁のおける潤滑油の量を適正に保つためのオイルリングとを備えている。オイルリングは、通常、ピストンに複数装着されるリングのうち最もクランクケース側すなわちピストンのスカート側に設けられており、シリンダ壁にある余分な潤滑油をクランクケースに掻き落とすことができる。ピストンには、その外周面に、ピストンリングを装着するための複数のリング溝が形成されており、オイルリングは、最もピストンスカート側に形成されたオイルリング溝に装着されることとなる。
ピストンには、オイルリングがシリンダ壁から掻き落としオイルリング溝内に取り込んだ潤滑油を排出するため、オイルリング溝の溝底と、ピストンの内面より内側とを連通させる連通孔であるオイル排出孔が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。オイルリングがシリンダ壁上を摺動してシリンダ壁から掻き落とし、オイルリング溝内に取り込まれた潤滑油は、オイルリング溝内からオイル排出孔を通ってピストン内側に導かれ、クランクケースに向けて流れ落ちる。このように構成されたピストンは、オイルリングがシリンダ壁に付着している潤滑油を良好に掻き落として、オイルリング溝内に取り込むことができる。
実開平6−14455号公報
ところで、内燃機関用のピストンは、シリンダブロックに形成されたシリンダボア内を高速で往復運動するため、膨張行程や吸気行程など、ピストンがクランク側に移動している時(ピストン下降時)において、ピストンの内側には、ピストンのスカートの裾側から頂面側に向かう上向きの気流が生じる。このような気流が生じると、オイル排出孔の内面側にある開口が気流の影響を受けて塞がれて、オイル排出孔からピストン内側への潤滑油の排出性が悪化することがある。
また、シリンダボアのクランク側からピストン頂面の裏側にある天井面に向けて、潤滑油を噴射するオイルジェットを内燃機関が備えている場合、オイルジェットから噴射されてオイル排出孔のピストン内面側の開口にかかった潤滑油により、当該開口が塞がれてオイル排出孔からピストン内側へのオイル排出性が悪化することもある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、オイルリング溝内に連通するオイル排出孔からピストン内側に潤滑油を良好に排出可能なピストンを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係るピストンは、内燃機関に用いられ、頂面とスカートを有して円筒状をなしており、オイルリングが装着されるオイルリング溝が外周面に形成され、当該オイルリング溝内とピストン内側とを連通させる連通孔が設けられているピストンであって、連通孔のピストン内側開口よりスカート裾側には、内周面からピストン中心軸側に突出する突出壁が設けられていることを特徴とする。
本発明に係るピストンにおいて、突出壁は、互いに対向して設けられている2つのピンボスの間に、ピストン周方向に沿って延設されているものとすることができる。
本発明に係るピストンにおいて、突出壁のピストン周方向の両端は、ピンボスに接続されているものとすることができる。
本発明に係るピストンにおいて、連通孔のピストン内側開口に対応して、突出壁のピストン頂面側とスカート裾側とを連通させるバイパス孔が設けられているものとすることができる。
本発明に係るピストンにおいて、連通孔とバイパス孔は、略直交するように延びているものとすることができる。
本発明に係るピストンにおいて、連通孔は、ピストン径方向に沿って延設されるものとすることができ、バイパス孔は、ピストン軸方向に沿って延設されているものとすることができる。
本発明に係るピストンにおいて、ピストンの外周面には、ピストンリングが装着される複数のリング溝が形成されており、オイルリング溝は、複数あるリング溝のうち最もスカート裾側に設けられているものとすることができる。
本発明によれば、ピストン下降時において生じるスカートの裾側から頂面側に向かう気流又はオイル流により、オイル排出孔のピストン内側開口が塞がれてしまうことを抑制することができる。これにより、オイルリングがシリンダ壁から掻き落とし、オイルリング溝内に取り込んだ潤滑油を、オイル排出孔からピストンの内側に良好に排出することができる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
まず、本実施例に係るピストン及び内燃機関の概略構成について、図1を用いて説明する。図1は、内燃機関のピストン周辺の構成を示す断面図である。なお、図1には、本発明に関連する要部のみを模式的に示している。
図1に示すように、内燃機関10は、機関本体を構成する部品として、シリンダブロック12、ピストン20、コネクティングロッド16(以下、単に「コンロッド」と記し、図に二点鎖線で示す)、及び図示しないクランク軸、シリンダヘッド等を有している。シリンダブロック12には、シリンダボア14が形成されており、ピストン20は、後述するピストンリングをシリンダボア14の内壁面15(以下、シリンダ壁と記す)に摺接させながら、シリンダボア14内を往復運動する。ピストン20は、ピストンピン18によりコンロッド16に対して首振り可能に接続されている。内燃機関10は、ピストン20が受けた燃焼荷重をクランク軸の回転運動に変換して出力することができる。
シリンダブロック12には、ピストン20の頂面22に対向してシリンダボア14を塞ぐようにシリンダヘッド(図示せず)が結合されている。シリンダブロック12には、ピストン20の頂面22の裏側の面26(以下、天井面と記す)に対向して、クランク軸を収容するクランクケース(図示せず)が形成されている。
ピストン20は、その中心軸C(図に一点鎖線Cで示す)が、シリンダボア14の軸心に一致するようにシリンダボア14内に挿入されている。以下の説明において、シリンダボア14の軸心、すなわちピストン20の中心軸Cに沿う方向を、「ピストン軸方向」と記す。また、シリンダボア14の径方向すなわちピストン20の径方向を、単に「ピストン径方向」と記して、図に矢印Rで示す。また、シリンダボア14の周方向すなわちピストン20の中心軸Cを中心とする周方向を「ピストン周方向」と記し、図に矢印Gで示す。
また、ピストン軸方向のうちピストン20がシリンダヘッド側に向かう向きを「ヘッド側」と記し、図に矢印Uで示す。また、ピストン軸方向のうちピストン20がクランクケースに向かう向きを「クランク側」と記し、図に矢印Dで示す。
ピストン20には、ピストンピン18を支持するピストンピンボス(以下、単に「ピンボス」と記す)が設けられている。ピンボス60には、ピストンピン18が嵌め込まれるピストンピン穴62(以下、単に「ピン穴」と記す)が形成されている。ピストン20が頂面22から受けた力は、ピンボス60のピン穴62からピストンピン18を介してコンロッド16に伝達される。ピストン20の天井面26からクランクケース側には、ピンボス60を補強して頂部30からの力をピン穴62に伝達するピンボスリブ65が設けられている。なお、ピンボスリブ65は、ピンボス60に含まれている。
また、ピストン20のうち頂部30よりクランク側には、シリンダボア14内におけるピストン20の首振り挙動を抑制するため、スカート40が設けられている。スカート40は、頂部30に比べて薄い壁体で構成されており、その外周面40aがシリンダ壁15に対向している。スカート40の内周面40cは、コンロッド16の小端部に対向している。なお、以下の説明において、スカート40のうち最もクランク側の部位を、スカート40の「裾」と記して符号40eで示す。ピストン20は、裾40eを含むスカート40がシリンダ壁15に摺接して、側圧(サイドスラスト反力)を受けることでピストン20の首振り挙動を抑制している。
ピストン20の頂部30の外周面30aには、シリンダ壁15と摺接するためにピストンリングとして、トップリング72及びセカンドリング74と、オイルリング76が装着されている。なお、ピストン20の「頂部」とは、頂面22を含むピストン軸方向ヘッド側の部分である。内燃機関10は、シリンダボア14内に形成される混合気を圧縮するためのコンプレッションリング(圧縮リング)として、トップリング72とセカンドリング74を備えており、シリンダボア14内の気密を確保している。加えて、内燃機関10は、シリンダ壁15から潤滑油を掻き落とし、シリンダ壁15に付着する潤滑油を適正に保つために、オイルリング76を備えている。
オイルリング76は、頂部30の外周面30aに形成された複数のリング溝のうち最もクランク側にあるオイルリング溝36に装着されている。オイルリング76は、シリンダ壁15に摺接して、シリンダ壁15に付着している余分な潤滑油を掻き落とし、その一部をオイルリング溝36内に取り込む機能を有している。これに対し、トップリング72及びセカンドリング74は、シリンダボア14内の気密を確保する機能を有している。オイルリング溝36を含むリング溝の詳細については、後述する。
また、シリンダブロック12のうち、シリンダボア14のクランク側の開口縁部12eには、ピストン20の内側に潤滑油を供給するオイルジェット100が設けられている。オイルジェット100は、オイル通路104から潤滑油の供給を受けており、ノズル部102の先端102aからピストン20の天井面26に向けて潤滑油を噴射する。オイルジェット100から噴射された潤滑油により、ピストン20の頂部30は、その天井面26から冷却されることとなる。
以上のように、ピストン20は、ピンボスリブ65を含むピンボス60とスカート40が、頂面22を含む頂部30の天井面26からピストン軸方向に突出して設けられており、有底の円筒状をなしている。ピストン20の「外周面」とは、ピストン20のうちシリンダ壁15に対向する面を意味している。これに対して、ピストン20の「内周面」とは、外周面の裏側にある面であり、ピストン20のうち中心軸C側に向いている面を意味している。本実施例において、ピストン20の「内周面」には、頂部30の内周面30cと、スカート40の内周面40cが含まれている。なお、「ピストン内側」とは、頂部30の内周面30c及びスカート40の内周面40cよりピストン中心軸C側にある空間を意味している。
次に、本実施例に係るピストンのオイルリング溝周辺の構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、ピストンのオイルリング溝周辺の構成を示す断面図である。図3は、ピストンをスカートの裾側から見た底面図である。なお、図2は、図3のA−A線による断面図となっている。
図2に示すように、ピストン20の頂部30の外周面30aには、トップリング72、セカンドリング74、及びオイルリング76が装着可能に、それぞれトップリング溝32、セカンドリング溝34、及びオイルリング溝36が形成されている。ピストン20の頂部30の外周面30aにおいて、頂面22からスカート40の裾40e側(以下、スカート裾側と記す)にかけて、トップリング溝32、セカンドリング溝34、オイルリング溝36の順序で配設されている。すなわち、オイルリング溝36は、複数あるリング溝32,34,36のうち最もスカート裾40e側に設けられている。オイルリング76がシリンダ壁15から掻き落とす潤滑油の一部は、オイルリング溝36内に取り込まれることとなる。
オイルリング溝36は、図3に示すように、ピストン頂部30の外周面30aの全周に亘って形成されている。オイルリング76のピストン径方向Rの溝幅は、全周に亘って略均一なものとなっている。これに対して頂部30の内周面30cは、ピンボス60に近づくに従って、頂部30の外周面30aとの間隔(径方向の距離)が長くなるよう設定されている。
また、ピストン20には、図2に示すように、オイルリング溝36内の潤滑油をピストン内側に排出すため、オイルリング溝36内とピストン内側を連通させる連通孔であるオイル排出孔80が設けられている。オイル排出孔80の一方の開口80aは、オイルリング溝36の溝底36aに設定されており、以下、この開口を「溝側開口」と記す。なお、「溝底」とは、オイルリング溝36の形状を規定する壁面のうち最もピストン中心軸C側にあり、シリンダ壁15と対向している壁面を意味している。これに対し、オイル排出孔80の他方の開口80cは、頂部30の内周面30cに設定されており、以下、「ピストン内側開口」と記す。
なお、オイル排出孔80の溝側開口80aは、溝底36aのみに設定されるものに限定されるものではない。オイルリング溝36内に設定されれば良く、例えば、オイルリング溝36の溝底36aと隣接する側面に、溝側開口80aの一部が設定されているものとしても良い。
オイル排出孔80は、図3に示すように、オイルリング溝36のピストン20の片側に複数箇所(図3においては4箇所)設けられている。オイル排出孔80は、オイルリング溝36の溝底36aに対して直交して延びている、すなわち、溝底36aからピストン20の中心軸Cに向けてピストン径方向Rに延びている。オイル排出孔80の長さは、ピンボス60に近づくに従って長いものとなっている。
オイル排出孔80は、ピストン20の往復運動により、オイルリング76がシリンダ壁15から掻き落としてオイルリング溝36内に取り込んだ潤滑油を、溝側開口80aからピストン径方向R内側に導き、ピストン内側開口80cからピストン内側すなわちクランクケースに排出することが可能となっている。
このようなピストン20は、シリンダボア14内を高速で移動するため、内燃機関10の吸気行程や膨張行程など、ピストン20がクランク側に移動している時(以下、ピストン下降時と記す)、ピストン20の内側において、スカート裾40e側から、頂面22側すなわち頂部30の天井面26に向かう気流が生じる。このような気流が生じると、オイル排出孔80のピストン内側開口80cが気流の影響を受けて塞がれて、オイル排出孔80からの潤滑油の排出性が悪化することがある。
また、本実施例のように、内燃機関10が、シリンダボア14のクランク側からピストン20の天井面26に向けて潤滑油を噴射するオイルジェット100を備えている場合、オイルジェット100から噴射された潤滑油がオイル排出孔80のピストン内側開口80cを塞いでしまい、オイル排出孔80からの潤滑油の排出性が悪化することもある。
そこで、本実施例に係るピストンでは、スカートの裾側から頂面側に向けて流れる気流やオイル流により、オイル排出孔のピストン内側開口が塞がれてしまうことを防止するために、当該ピストン内側開口より裾側には、ピストンの内周面からピストン径方向R内側に突出する突出壁が設けられており、以下に図2及び図3を用いて説明する。
図2に示すように、突出壁90は、ピストン20のうちオイル排出孔80のピストン内側開口80cより裾40e側に設けられている。ピストン内側開口80cに略隣接して設けられている。突出壁90は、ピストン20の頂部30の内周面30cから、ピストン径方向R内側すなわち中心軸C側に突出している。
突出壁90のうちスカート裾40e側の壁面92は、スカート40の内周面40cと頂部30の内周面30cとを接続する接続面39と滑らかに連続している。接続面39及び突出壁90のスカート裾40e側の壁面92は、ピストン径方向R内側に向かうに従って、頂面22とのピストン軸方向距離が小さくなるよう構成されている。一方、突出壁90のうちヘッド側、すなわちピストン20の頂面22側の壁面94は、オイル排出孔80と同様に、ピストン径方向Rに延びている。
また、突出壁90は、図3に示すように、ピストン周方向Gに湾曲する円弧状に延設されている。突出壁90の両端90eは、ピンボス60に接続されている。すなわち、突出壁90は、互いに対向して設けられている2つのピンボス60の間に、ピストン周方向Gに沿って延設されている。突出壁90のピストン径方向R内側の端93は、ピンボス60のピンボスリブ65に接続されている。突出壁90は、2つのピンボス60を接続する、ピストン周方向Gのリブ(補強用部材)としても機能することが可能となっている。
このように構成されたピストン20がシリンダボア14内をクランク側に移動している時(ピストン下降時)、ピストン20の内側には、図2に示すように、スカート裾40e側から天井面26に向けて流れる気流やオイル流が形成される。この気流(又はオイル流)は、矢印Fで流動経路を示すように、突出壁90に衝突し、流動方向を変えて、スカート裾40e側の壁面92に沿ってピストン中心軸C側に向けて流れる。このように、突出壁90は、スカート裾40e側からの気流をピストン径方向R内側に偏向させる。
そして、突出壁90のスカート裾40e側の壁面92に沿って流れた気流又はオイル流は、突出壁90の径方向内側の端93で剥離して、ピストン軸方向に沿って天井面26に向かう。突出壁90より天井面26側の空間、すなわちオイル排出孔80のピストン内側開口80cの近傍の空間は、スカート裾40e側からの気流やオイルジェット100からのオイル流を直接受けることがなく、気流及びオイル流の影響を受けにくいものとなり、ピストン下降時において周囲に比べて圧力の低い領域となる。オイルリング76によりシリンダ壁15から掻き落とされオイルリング溝36内に取り込まれた潤滑油は、溝底36aからオイル排出孔80に流れて、ピストン内側開口80cからクランクケースに良好に排出される。
これにより、オイルリング76はシリンダ壁15から良好に潤滑油を掻き落とし、オイルリング溝36内に取り込むことができる。この結果、シリンダ壁15に付着する潤滑油の量を適正なものとすることができ、オイル排出孔80からのオイル排出性の悪化による内燃機関10のオイル消費量の増大を抑制することができる。
以上に説明したように本実施例に係るピストン20は、オイルリング溝36内に連通する連通孔であるオイル排出孔80のピストン内側開口80cよりスカート裾40e側には、内周面(30c,40c)からピストン中心軸C側に突出する突出壁90が設けられているものとしたので、ピストン下降時において生じるスカート裾40e側から天井面26に向かう気流又はオイル流により、オイル排出孔80のピストン内側開口80cが塞がれてしまうことを抑制することができる。これにより、オイルリング76がシリンダ壁15から掻き落とし、オイルリング溝36内に取り込んだ潤滑油を、オイル排出孔80からピストン内側に良好に排出することができる。
また、本実施例に係るピストン20において、突出壁90は、互いに対向して設けられている2つのピンボス60の間に、ピストン周方向Gに沿って延設されているものとした。つまり、コンロッド16及びピストンピン18が装着されて上述のような気流又はオイル流が形成されないピンボス60のピストン径方向R内側の部位を除いて、前記突出壁90を設けるものとした。これにより。スカート裾40e側からの気流又はオイル流により、ピストン内側開口80cが塞がれるオイル排出孔80に対応して、突出壁90を設けることができ、オイル排出孔80のピストン内側開口80cからのオイル排出性を良好なものとすることができる。
また、本実施例に係るピストン20において、突出壁90のピストン周方向Gの両端90eは、ピンボス60に接続されているものとしたので、オイル排出孔80からのオイル排出性を良好なものとしつつ、突出壁90を、ピストン20を補強するリブとしても機能させることができる。
また、本実施例に係るピストン20において、突出壁90の頂面22側の壁面94がピストン径方向Rに沿って延びているものとしたので、スカート40の裾40e側から、突出壁90のスカート裾側壁面92に沿って流れてきた気流又はオイル流を、突出壁90のピストン径方向R内側の端93で良好に剥離させることができる。これにより、突出壁90の頂面側壁面より頂面22側、すなわちオイル排出孔80のピストン内側開口80cの近傍に、気流又はオイル流が剥離して、周囲に比べて圧力の低い領域を形成することが可能となる。これにより、オイル排出孔80のピストン内側開口80cからのオイル排出性をより良好なものすることができる。
本実施例に係るピストンの構成について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、ピストンのオイルリング溝周辺の構成を示す断面図である。図5は、ピストンをスカートの裾側から見た底面図である。なお、図4は、図5のB−B線による断面図となっている。本実施例に係るピストンは、オイル排出孔のピストン内側開口に対応して、突出壁のピストン頂面側とスカート裾側とを連通させるバイパス孔を備えている点で、実施例1と異なり、以下に詳細を説明する。なお、実施例1に共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、本実施例に係るピストン20Bにおいて、突出壁90には、ピストン軸方向に沿って延びる貫通孔であるバイパス孔96が設けられている。バイパス孔96の一方の開口97は、突出壁90のスカート裾40e側の壁面92に設定されており、以下、この開口97を「スカート裾側開口」と記す。一方、バイパス孔96の他方の開口98は、突出壁90のうちピストン20Bの頂面22側の壁面94に設定されており、以下、この開口を「頂面側開口」と記す。バイパス孔96は、略円柱状の貫通孔であり、バイパス孔96は、ピストン20Bの中心軸Cに沿う方向、すなわちピストン軸方向に延びている。つまり、バイパス孔96は、オイル排出孔80が延びる方向(ピストン径方向)に対して、略直交して延びている。
また、図4及び図5に示すように、バイパス孔96は、オイル排出孔80に対応して設けられている。詳細には、バイパス孔96の頂面側開口98は、オイル排出孔80のピストン内側開口80cのピストン中心軸C側(ピストン径方向内側)に設定されている。つまり、バイパス孔96の頂面側開口98は、オイル排出孔80のピストン内側開口80cと略直交して設けられている。
このように構成されたバイパス孔96は、スカート裾40e側から突出壁90に衝突して、ピストン中心軸C側に流れる気流の一部を、スカート裾側開口97から取り込み、頂面側開口98に導くことが可能となっている。つまり、バイパス孔96は、ピストン下降時において、突出壁90に衝突する気流の一部を、突出壁90よりスカート裾40e側の空間から突出壁90より頂面22側の空間にバイパスさせることが可能となっている。
以上のように構成されたピストン20Bは、その下降時において、ピストン内側をスカート裾40e側から天井面26に向けて流れる気流のうち、一部をスカート裾側開口97から取り込むことで分流して、図に矢印Eで示すように、頂面側開口98からピストン軸方向に沿って天井面26に向かう気流を形成することができる。これにより、ピストン20Bのバイパス孔96は、突出壁90より頂面22側に、周囲に比べて流速が速く、圧力が低い領域(以下、負圧領域と記す)を形成することができる。このようにして、ピストン20Bの下降時においては、オイル排出孔80のピストン内側開口80cのピストン径方向R内側に、負圧領域が形成される。
このようにオイル排出孔80のピストン内側開口80cの近傍に負圧領域を形成することで、オイルリング76がシリンダ壁15から掻き落としてオイルリング溝36内に取り込んだ潤滑油を、ピストン下降時に、ピストン内側開口80cのピストン径方向R内側に形成された負圧領域により吸引して、オイル排出孔80からピストン内側に排出することができる。排出された潤滑油は、気流と共に頂部30の内周面30cに沿って流れ、その後クランクケースに流れ落ちる。
以上に説明したように本実施例に係るピストン20Bは、オイル排出孔80のピストン内側開口80cに対応して設けられ、突出壁90のピストン頂面22側とスカート裾40e側とを連通させるバイパス孔96を備えるものとしたので、ピストン下降時に、ピストン20の内側をスカート裾40e側からピストン頂面22側に天井面26に向けて流れる気流のうち、一部をスカート裾側開口97から取り込み、頂面側開口98から天井面26に向かう流れを形成することができる。これにより、オイル排出孔80のピストン内側開口80cのピストン径方向R内側に周囲に比べて流速が速く圧力の低い負圧領域を形成することができ、オイル排出孔80から潤滑油を吸引してピストン内側に良好に排出することができる。
また、本実施例に係るピストン20において、オイル排出孔80とバイパス孔96は、略直交して延びているものとしたので、ピストン下降時において、ピストン内側開口80cの近傍に、オイル排出孔80が延びる方向と略直交した方向の気流を、バイパス孔96の頂面側開口98から形成することができる。バイパス孔96からの気流により、オイル排出孔80から良好に潤滑油を吸引して排出することができる。
また、本実施例に係るピストン20において、オイル排出孔80は、ピストン径方向Rに沿って延設されており、バイパス孔96は、ピストン軸方向すなわち中心軸Cに沿って延設されているものとした。ピストン下降時において、バイパス孔96は、スカート裾40e側からピストン軸方向に流れる気流をスカート裾側開口97から良好に取り込んで、オイル排出孔80が延びる方向と直交する方向の気流を、頂面側開口98から良好に形成することができる。ピストン下降時においてピストン内側に生じるピストン軸方向の気流を極力活用して、オイル排出孔80から潤滑油を吸引して排出することができる。
なお、上述した各実施例において、突出壁90は、互いに対向するピンボス60の間に、ピストン周方向Gに沿って延設されており、その両端90eがピンボス60に接続されているものとしたが、突出壁の態様は、これに限定されるものではない。オイル排出孔のピストン内側開口よりスカート裾側において、ピストンの内周面からピストン径方向R内側に突出していれば良く、オイル排出孔が形成されている部位のみに対応させて突出壁を設けることも好適である。
また、上述した各実施例において、オイル排出孔80は、ピストン径方向Rに沿って延設されており、バイパス孔96は、ピストン軸方向に沿って延設されているものとしたが、オイル排出孔80及びバイパス孔96が延設される方向は、この態様に限定されるものではない。オイル排出孔のピストン内側開口よりスカート裾側にバイパス孔の頂面側開口が設定されていれば良く、例えば、ピストン径方向R内側に向かうに従ってピストン軸方向をスカート裾側に延びるようにオイル排出孔を設定すると共に、これに直交するようバイパス孔が延びる方向を設定することも好適である。このように構成した場合、ピストンがヘッド側に移動している時(ピストン上昇時)においても、オイル排出孔からのオイル排出性を良好なものとすることができる。
以上のように、本発明に係るピストンは、内燃機関に有用であり、特に、自動車に原動機として搭載される内燃機関に適している。
実施例1に係る内燃機関におけるピストン周辺の構成を示す断面図である。 実施例1に係るピストンのオイルリング溝周辺の構成を示す断面図である。 実施例1に係るピストンをスカートの裾側から見た底面図である。 実施例2に係るピストンのオイルリング溝周辺の構成を示す断面図である。 実施例2に係るピストンをスカートの裾側から見た底面図である。
符号の説明
10 内燃機関
12 シリンダブロック
15 シリンダ壁
16 コンロッド
18 ピストンピン
20,20B ピストン
22 頂面(ピストン頂面)
26 天井面
30 頂部(ピストン頂部)
30a 頂部の外周面
30c 頂部の内周面
32 トップリング溝(リング溝)
34 セカンドリング溝(リング溝)
36 オイルリング溝(リング溝)
36a 溝底
40 スカート
40a スカートの外周面
40c スカートの内周面
60 ピストンピンボス(ピンボス)
72 トップリング(コンプレッションリング)
74 セカンドリング(コンプレッションリング)
76 オイルリング
80 オイル排出孔(連通孔)
80a オイル排出孔の溝側開口
80c オイル排出孔のピストン内側開口
90 突出壁
92 スカート裾側の壁面
93 ピストン径方向内側の端
94 頂面側の壁面
96 バイパス孔
97 バイパス孔のスカート裾側開口
98 バイパス孔の頂面側開口
100 オイルジェット

Claims (7)

  1. 内燃機関に用いられ、頂面とスカートを有して筒状をなしており、オイルリングが装着されるオイルリング溝が外周面に形成され、当該オイルリング溝内とピストン内側とを連通させる連通孔が設けられているピストンであって、
    連通孔のピストン内側開口よりスカート裾側には、内周面からピストン中心軸側に突出する突出壁が設けられていることを特徴とするピストン。
  2. 請求項1に記載のピストンにおいて、
    突出壁は、互いに対向して設けられている2つのピンボスの間に、ピストン周方向に沿って延設されていることを特徴とするピストン。
  3. 請求項1又は2に記載のピストンにおいて、
    突出壁のピストン周方向の両端は、ピンボスに接続されていることを特徴とするピストン。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のピストンにおいて、
    連通孔のピストン内側開口に対応して、突出壁のピストン頂面側とスカート裾側とを連通させるバイパス孔が設けられていることを特徴とするピストン。
  5. 請求項4に記載のピストンにおいて、
    連通孔とバイパス孔は、略直交するように延びていることを特徴とするピストン。
  6. 請求項5に記載のピストンにおいて、
    連通孔は、ピストン径方向に沿って延設されており、
    バイパス孔は、ピストン軸方向に沿って延設されていることを特徴とするピストン。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のピストンであって、
    ピストンの外周面には、ピストンリングが装着される複数のリング溝が形成されており、
    オイルリング溝は、複数あるリング溝のうち最もスカート裾側に設けられていることを特徴とするピストン。
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