JP2000240509A - ピストンの油路構造 - Google Patents

ピストンの油路構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピストンピンの冷却性を向上し得ると共にピ
ストンの小型・軽量化を向上する。 【解決手段】 ピストン1のオイルリング溝5に開口
し、ピストンピン支持部2を通って、ピストンピン支持
部2のピストン内方端面2bにおけるピン孔2aの上端
近傍に開口するように、ピストンピン10の冷却・潤滑
用油路12を設ける。特に、ピン孔2aの軸線対して斜
めになるように油路12を設けると良い。 【効果】 ピストンピンの上端部に潤滑油を供給するこ
とから、ピストンピンの冷却効果を向上し得ると共に、
ピン孔上端の直上を避けて油路のピストン内開口位置を
位置させることから、ピン孔上方の肉厚が薄くなって剛
性が低下することがなく、ピストンをコンパクト化で
き、高回転型エンジンに好適に適用し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンに用いら
れるピストンの油路構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンのピストンにあっては、
コンロッド連結用のピストンピンが組み付けられてお
り、そのピストンピンの潤滑・冷却のために、ピストン
のオイルリング溝からピストン内部に至る油路を設け
て、シリンダ内壁に付着している潤滑油をピストンピン
に供給するようにしている。そのような油路を設けたピ
ストンとして、実公昭61−35716号公報に開示さ
れているものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ピ
ストンの油路構造にあっては、ピストンのオイルリング
溝からピストンピンを支持するピン孔の最上端部に至る
1本の油路を設けているため、冷却効果は期待できる
が、大きな爆発荷重を受ける部分であるピストンピン支
持部に油路が設けられていることになり、ビストンの剛
性が低下する虞があると共に、ピストンヘッド部とピス
トンピン孔との間の長さも長くなり、ピストンが大型化
して、特に高回転型エンジンのピストンヘッドに不向き
であるという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決し
て、ピストンピンの冷却性を向上し得ると共にピストン
の小型・軽量化を向上することを実現するために、本発
明に於いては、ピストン(1)の外周面に設けられたオ
イルリング溝(5)内に集められた潤滑油をピストンピ
ン(10)に供給するべく、前記オイルリング溝(5)
から、ピストンピン(10)を挿通するピン孔(2a)
を設けられたピストンピン支持部(2)内を通って、前
記ピストンピン支持部(2)の前記ピストン内方端面
(2b)における前記ピン孔(2a)の上端部の側方部
に至る油路(12)を設けたものとした。
【0005】これによれば、ピストンピンの上端部に潤
滑油を供給することから、ピストンピンの冷却効果を向
上し得ると共に、ピン孔上端の直上を避けて油路のピス
トン内開口位置を位置させることから、ピン孔上方の肉
厚が薄くなって剛性が低下することがなく、ピストンを
コンパクト化し得る。
【0006】請求項2の発明によれば、前記油路(1
2)は、前記ピン孔(2a)の上端部の両側方部に各々
設けられており、前記各々の油路(12)が、ピストン
(1)中心部に向かって前記ピン孔(2a)の軸線に対
して斜めに設けられていることから、油路の形成が容易
であり、しかも潤滑油がピストン内の中心部に向けて十
分に供給されるため、ピストンピンの直上に油路を開口
させることなく、潤滑・冷却の対象となるピストンピン
の上端部に潤滑油を好適に供給し得る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面に示された具体
例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明す
る。
【0008】図1は、本発明が適用されたエンジンのピ
ストン1を示す正面図であり、図2は図1の矢印II−II
線に沿って見た要部拡大断面図である。ピストン1に
は、ピストンヘッド1aと、ピストンヘッド1aの燃焼
室側とは相反する裏面側に突設する一対のピストンピン
支持部2(図2では一方のみを示す)とが設けられてい
る。
【0009】ピストンヘッド1aの外周面には、ビスト
ンの軸線方向に互いに所定の間隔をあけて3本のリング
溝3・4・5が設けられている。図3に示されるよう
に、燃焼室6側(図における上方)の2本のリング溝3
・4にはそれぞれ圧力リング7・8が装着され、クラン
クシャフト側(図における下方)のオイルリング溝とし
てのリング溝5にはオイルリング9が装着されている。
【0010】ピストンピン支持部2にはピストンピン1
0を挿通し得る内径のピン孔2aが設けられており、両
ビストンピン支持部2によりピストンピン10の両端部
が支持される。そのピストンピン6の両ピストンピン支
持部2間に露出する中間部にはコンロッド11の小端部
が圧入固着されている。
【0011】ピストンピン10に対する潤滑及び冷却の
ための潤滑油は、シリンダ内壁面に付着している潤滑油
をオイルリング9でかき落として捕捉し、そのリング溝
5内に流入した潤滑油をピストン1内に送ってピストン
ピン10に供給される。本ピストン1にあっては、上記
潤滑油を送るための油路12が、リング溝5から、ピス
トンピン支持部2内をピストン1の軸線方向に対してリ
ング溝5と略同レベルで通り、ピストンピン支持部2の
ピストン内方端面2bに至るように設けられている。
【0012】図4に良く示されるように、油路12は、
ピストンピン支持部2毎にそれぞれ2本ずつ設けられて
いる。上記したように、油路12の一端はリング溝5に
開口し、油路12の他端はピストンピン支持部2のピス
トン内方端面2bに開口しているが、その他端は、図5
に示されるように、ピン孔2aの上端(燃焼室6側)の
側方近傍に位置している。すなわち、油路12は、ピス
トンピン支持部2のピストン内方端面2bにおけるピン
孔2aの上端部の両側方部に各々設けられており、しか
も、各々の油路12がピストン中心部に向かって、ピン
孔の軸線に対して斜めに設けられ、ピストン内方端面2
bに開口している。したがって、油路12は、ピン孔2
aの軸線に対して斜めに延在している。なお、図示例の
ものでは、ピン孔2aの軸線に対して2本の油路12が
互いに左右対称に配設され、ハの字状をなしている。ま
た、図示されない他方のピストンピン支持部についても
同様に2本の油路が配設されている。
【0013】このように油路12が形成されていること
により、その油路12を通って送られる潤滑油が図4の
矢印に示されるようにピストン1内の中心部に向けて十
分に供給されるため、ピストンピン10の直上に油路を
開口させることなく、潤滑・冷却の対象となるピストン
ピン10の上端部に潤滑油を好適に供給し得る。
【0014】また、油路を、ピン孔2a上端の直上に開
口させた場合や、ピン孔2aの近傍であってかつその軸
線に沿うように設けた場合には剛性確保のために肉厚を
厚くする必要があるが、本発明による油路12は、比較
的肉厚が薄くなるピン孔2aの上方部分に対してはピス
トン1内側開口部分のみであり、図4に併せて示される
ようにリング溝5に向かうに連れてピン孔2aから遠ざ
かることから、ピストン1の軸線方向厚さを厚くしなく
ても剛性を確保できる。さらに、図示例では、ピン孔2
aの上端よりも油路12の下端の方がピストン1の軸線
方向について下に位置するようにされており、ピストン
の小型化をより一層向上している。したがって、ピスト
ン1をコンパクト化でき、本ピストン1を高回転型エン
ジンのピストンとして好適に適用することができる。
【0015】また、油路12が通る部分以外の所、すな
わち各々の油路12を挟むように、油路12の両側部
に、図4に示されるように肉抜き部としての凹部13・
14が適所に設けられており、このようにすることによ
り、ピストン1が軽量化されるため、上記と同様に本ピ
ストン1を高回転型エンジンのピストンとして好適に適
用することができる。
【0016】また、油路12は、本図示例のようにリン
グ溝5からピストンピン支持部2のピストン内方端面2
bに至るまで直線に形成されていて良く、そのため、油
路の形成が容易であり、製造コストの高騰化を防止し得
る。しかも、リング溝5に対して油路12が直交してい
るので、加工精度も向上する。
【0017】なお、本実施の形態におけるピストン1に
あっては、ピストン1の上死点位置を示す図3に示され
るように、ピストンヘッド1aの上端縁1bが、上死点
位置でシリンダヘッド15のシリンダブロック16との
合わせ面15aのレベルよりも燃焼室6側に飛び出して
位置するようになっている。これは、シリンダヘッド1
5及びシリンダブロック16間に挟持されたガスケット
17が、温度が高温になるとその耐力が低下してガスシ
ール性が悪化することから、爆発時の高温の燃焼ガスが
直接的にガスケットに達しないようにするためである。
これにより、ガスケット17の耐力が向上するため、本
構造を高回転型エンジンに好適に適用し得る。
【0018】さらに図示例のものでは、上死点位置でピ
ストンヘッド1aの上端縁1bがシリンダヘッド15の
合わせ面15aの下端縁と衝当しないように、ピストン
ヘッド1aの上端縁1bを図に示されるように面取り
(C1)加工している。なお、対応するシリンダヘッド
15の合わせ面15aの下端縁も面取り(C2)加工し
ている。
【0019】
【発明の効果】このように本発明によれば、ピストンピ
ンの上端部に潤滑油を供給することから、ピストンピン
の冷却効果を向上し得ると共に、ピン孔上端の直上を避
けて油路のピストン内開口位置を位置させることから、
ピン孔上方の肉厚が薄くなって剛性が低下することがな
く、ピストンをコンパクト化でき、高回転型エンジンに
好適に適用し得る。特に、油路がピストン中心部に向か
ってピン孔の軸線に対して斜めに設けられていることか
ら、油路の形成が容易であり、しかも、潤滑油がピスト
ン内の中心部に向けて十分に供給されるため、ピストン
ピンの直上に油路を開口させることなく、潤滑・冷却の
対象となるピストンピンの上端部に潤滑油を供給し得
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたエンジンのピストンを示す
正面図。
【図2】図1の矢印II−II線に沿って見た要部拡大断面
図。
【図3】ピストンが上死点位置にある場合の状態を示す
部分拡大側面図。
【図4】図2の矢印IV−IV線に沿って見た要部断面図。
【図5】図2の矢印V−V線に沿って見た断面図。
【符号の説明】
1 ピストン 2 ピストンピン支持部 2a ピン孔 5 リング溝 10 ピストンピン 12 油路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 幸宏 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 宮下 英明 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3G013 BA01 BA04 BC03 BD01 BD32 3J044 AA12 CA11 CA27 DA09

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピストンの外周面に設けられたオイルリ
    ング溝内に集められた潤滑油をピストンピンに供給する
    べく、前記オイルリング溝から、ピストンピンを挿通す
    るピン孔を設けられたピストンピン支持部内を通って、
    前記ピストンピン支持部の前記ピストン内方端面におけ
    る前記ピン孔の上端部の側方部に至る油路を設けたこと
    を特徴とするピストンの油路構造。
  2. 【請求項2】 前記油路は、前記ピン孔の上端部の両側
    方部に各々設けられており、前記各々の油路が、ピスト
    ン中心部に向かって前記ピン孔の軸線に対して斜めに設
    けられていることを特徴とする請求項1に記載のピスト
    ンの油路構造。
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