JP2008261271A - 内燃機関の排気還流装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気浄化触媒を通過している排気の流量を簡単な構成で推定することが可能な内燃機関の排気還流装置を提供する。
【解決手段】排気通路5に設けられた排気浄化触媒10と、排気浄化触媒10の上流から燃料を添加する燃料添加弁9と、排気浄化触媒10よりも下流の排気通路5と吸気通路4とを連通するEGR通路20と、排気浄化触媒10よりも下流かつEGR通路20の接続位置よりも上流の排気通路5に配置されるA/Fセンサ33と、を備えた内燃機関の排気還流装置において、内燃機関1が所定の運転状態で運転され、かつ燃料添加弁9から燃料が添加されていない状態の排気の酸素濃度Roxeと内燃機関1が所定の運転状態で運転され、かつ燃料添加弁9から燃料が添加されている状態の排気の酸素濃度Roxeadを取得し、これらの酸素濃度に基づいて排気浄化触媒10を通過している排気の流量を推定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、排気浄化触媒又はパティキュレートフィルタなどの排気浄化手段よりも下流の排気通路と吸気通路とを連通するEGR通路を備えた内燃機関の排気還流装置に関する。
排気浄化触媒が担持されたフィルタを内蔵した触媒コンバータの出口部に連結された排気管と排気ターボチャージャのコンプレッサ上流の空気吸込管とが第1のEGR通路にて連結され、排気ターボチャージャの排気タービンよりも上流に位置する排気マニホルドと内燃機関の吸気ポートに連結されるサージタンクとが第2のEGR通路にて連結された内燃機関が知られている(特許文献1参照)。
特開2005−076456号公報
排気浄化触媒又はパティキュレートフィルタなどの排気浄化手段には、温度を目標温度に昇温する昇温操作によって排気の浄化機能を再生するものが知られている。このような排気浄化手段の温度の制御は、排気浄化手段を通過している排気の流量に影響される。そのため、排気浄化手段の温度の制御精度を高めるには、排気浄化手段を通過している排気の流量を把握する必要がある。排気浄化手段の上流の排気通路からのみ吸気通路に排気が還流される場合は、外部から内燃機関に吸入された空気(以下、新気と称することがある。)とほぼ同量のガスが排気として排気浄化手段を通過する。そのため、新気の流量に基づいて排気浄化手段を通過しているガスの流量(以下、通過ガス量と称することがある。)を算出することができる。一方、特許文献1の内燃機関のように排気浄化手段よりも下流の排気通路から排気が還流される場合は、新気及び吸気通路に還流された排気が排気浄化手段を通過する。この場合は、新気の流量のみからは通過ガス量を算出することは困難となる。通過ガス量を検出するべく排気通路に排気の流量を検出するセンサを設ける場合は、新たにセンサを設ける必要があるため、コストが高くなる。
そこで、本発明は、排気浄化触媒などの排気浄化手段よりも下流の排気通路から吸気通路に排気を還流するEGR通路を備えた内燃機関において、排気浄化手段を通過している排気の流量を簡単な構成で推定することが可能な内燃機関の排気還流装置を提供することを目的とする。
本発明の内燃機関の排気還流装置は、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化手段と、前記排気浄化手段の上流から燃料を添加する燃料添加手段と、前記排気浄化手段よりも下流の排気通路と吸気通路とを連通するEGR通路と、前記排気浄化手段よりも下流かつ前記EGR通路の接続位置よりも上流の排気通路に配置されて排気の酸素濃度を検出する検出手段と、を備えた内燃機関の排気還流装置において、前記内燃機関が所定の運転状態で運転され、かつ前記燃料添加手段から燃料が添加されていない状態の排気の酸素濃度である添加前酸素濃度を取得するとともに、前記内燃機関が前記所定の運転状態で運転され、かつ前記燃料添加手段から燃料が添加されている状態の排気の酸素濃度である添加後酸素濃度を前記検出手段の検出結果に基づいて取得する酸素濃度取得手段と、前記酸素濃度取得手段により取得された前記添加前酸素濃度及び前記添加後酸素濃度に基づいて前記排気浄化手段を通過している排気の流量を推定する排気流量推定手段と、を備えていることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
周知のように排気中に燃料を添加した場合、その添加した燃料によって排気中の酸素が消費されるため、排気の酸素濃度が低下する。排気中の酸素の量は排気の流量が多いほど多いため、添加した燃料量が同じであれば排気の流量が少ないほど添加前の酸素濃度と添加後の酸素濃度との差が大きくなる。すなわち、排気中に燃料を添加した際の添加前後における排気の酸素濃度の変化は、そのときに排気浄化手段を通過しているガス量(通過ガス量)と相関関係を有している。そのため、酸素濃度取得手段が取得した添加前酸素濃度及び添加後酸素濃度に基づいて排気浄化手段を通過している排気の流量を推定することができる。
本発明の排気還流装置の一形態において、前記酸素濃度取得手段は、前記内燃機関の吸入空気量及び前記内燃機関の気筒内にて燃焼させるべく前記気筒に供給した燃料量に基づいて前記添加前酸素濃度を算出してもよい(請求項2)。排気に燃料が添加されていない場合、新気に含まれていた酸素量から気筒内で燃料の燃焼に消費された酸素量を引いた値が排気に含まれる酸素量となる。そのため、排気の酸素濃度は、新気の流量と内燃機関の気筒内にて燃焼させるべく気筒に供給した燃料量とを足した値でその排気に含まれる酸素量を割ることによって求めることができる。また、このように添加前酸素濃度を算出する場合、吸入空気量及び燃料量を取得することにより、添加前酸素濃度と添加後酸素濃度とをほぼ同じ時期に算出することができる。
本発明の排気還流装置の一形態においては、前記内燃機関が前記所定の運転状態で安定に運転されているか否か判定する判定手段をさらに備え、前記酸素濃度取得手段は、前記判定手段により前記内燃機関が前記所定の運転状態で安定に運転されていると判定された場合、前記検出手段の検出結果に基づいて前記添加前酸素濃度を取得し、次に前記燃料添加手段から燃料を添加させ、その後前記検出手段の検出結果に基づいて前記添加後酸素濃度を取得してもよい(請求項3)。周知のようにセンサは検出精度を有しており、各センサでその検出精度は異なっている。そのため、添加前酸素濃度と添加後酸素濃度とをそれぞれ異なるセンサの検出結果に基づいて算出した場合、添加前酸素濃度には添加前酸素濃度の算出に使用したセンサの検出誤差が、添加後酸素濃度には添加後酸素濃度の算出に使用したセンサの検出誤差がそれぞれ含まれる。これらの酸素濃度に基づいて通過ガス量を推定すると、推定した通過ガス量には各酸素濃度の検出誤差が含まれることになる。この形態では、同じ検出手段の検出結果に基づいて添加前酸素濃度及び添加後酸素濃度をそれぞれ取得するので、通過ガス量の推定精度に影響を与える原因を減少させることができる。そのため、通過ガス量の推定精度を向上させることができる。
本発明の排気還流装置の一形態においては、前記排気流量推定手段により推定された排気の流量、前記内燃機関の吸入空気量、及び前記内燃機関の気筒内にて燃焼させるべく前記気筒に供給した燃料量に基づいて前記EGR通路を介して吸気通路に還流される排気であるEGRガスの流量を算出するEGRガス流量算出手段をさらに備えていてもよい(請求項4)。吸入空気量、燃料量、及びEGRガスの流量の合計が、排気浄化手段を通過している排気の流量(通過ガス量)になるため、通過ガス量から吸入空気量及び燃料量を引くことによりEGRガスの流量を算出することができる。
この形態においては、前記排気浄化手段よりも上流の排気通路と前記吸気通路とを連通する高圧EGR通路と、前記内燃機関の気筒に吸入されるガスの流量を推定する吸入ガス量推定手段と、をさらに備え、前記燃料添加手段は前記高圧EGR通路の接続位置よりも下流、かつ前記排気浄化手段よりも上流の排気通路に設けられ、前記EGRガス流量算出手段は、算出した前記EGRガスの流量、前記吸入ガス量推定手段により推定されたガスの流量、及び前記内燃機関の吸入空気量に基づいて前記高圧EGR通路を介して前記吸気通路に還流される排気である高圧EGRガスの流量を算出してもよい(請求項5)。内燃機関の気筒に吸入されるガスは、高圧EGRガス、EGRガス、新気を合計したものである。そのため、内燃機関の気筒に吸入されたガスの流量からEGRガスの流量及び吸入空気量を引くことにより、容易に高圧EGRガスの流量を算出することができる。
以上に説明したように、本発明の排気還流装置によれば、新たにセンサを設けることなく簡単な構成で排気浄化手段を通過している排気の流量を取得することができる。
(第1の形態)
図1は、本発明の第1の形態に係る排気還流装置が組み込まれた内燃機関を示している。図1の内燃機関(以下、エンジンと称することがある。)1は、車両に走行用動力源として搭載されるディーゼルエンジンであり、複数の気筒2が設けられる機関本体3と、各気筒2にそれぞれ接続される吸気通路4及び排気通路5とを備えている。吸気通路4には、新気の流量である吸入空気量に対応した信号を出力するエアフローメータ6と、ターボ過給機7のコンプレッサ7aと、吸気を冷却するためのインタークーラ8とが設けられている。排気通路5には、排気中に燃料を添加する燃料添加手段としての燃料添加弁9と、ターボ過給機7のタービン7bと、排気を浄化する排気浄化手段としての排気浄化触媒10とが設けられている。図1に示したように燃料添加弁9は、排気浄化触媒10よりも上流の排気通路5に設けられる。排気浄化触媒10としては、例えば吸蔵還元型のNOx触媒が設けられる。
図1に示したようにエンジン1は、排気浄化触媒10よりも下流の排気通路5とコンプレッサ7aよりも上流の吸気通路4とを連通するEGR通路20を備えている。EGR通路20には、吸気通路4に還流されるEGRガスの流量を調整するためのEGR弁21が設けられている。
エンジン1の運転状態は、エンジンコントロールユニット(ECU)30によって制御される。ECU30は、マイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を含んだコンピュータとして構成され、気筒2に燃料を噴射するためのインジェクタ40、インジェクタ40へ供給される燃料圧力を蓄えるコモンレール41の圧力調整弁といった各種の装置を操作してエンジン1の運転状態を制御する周知のコンピュータユニットである。ECU30は、例えばエンジン1の回転数及び吸入空気量に基づいてエンジン1の空燃比が目標空燃比になるように各インジェクタ30から噴射すべき燃料量(以下、噴射燃料量と称することがある。)を算出し、その算出した燃料量の燃料が噴射されるように各インジェクタ30の動作を制御する。また、ECU30は、燃料添加弁9から排気中に添加すべき燃料量を算出し、その算出した燃料量の燃料が排気中に添加されるように燃料添加弁9の動作を制御する。ECU30による制御対象はその他EGR弁21など種々存在する。ECU30には、これら制御対象への制御において参照されるべき各種の物理量又は状態量を検出する検出手段として、エンジン1のクランク角に対応して信号を出力するクランク角センサ31、アクセルの開度に対応した信号を出力するアクセル開度センサ32、排気の空燃比に対応した信号を出力するA/Fセンサ33、及びエアフローメータ6などが接続されている。図1に示したようにA/Fセンサ33は、排気浄化触媒10よりも下流、かつEGR通路20の接続位置よりも上流の排気通路5に設けられる。周知のように、排気の酸素濃度は排気の空燃比に基づいて算出できる。そのため、A/Fセンサ33が本発明の検出手段として機能する。
排気浄化触媒10として設けられる吸蔵還元型のNOx触媒は、排気中の硫黄酸化物(SOx)によって被毒されその浄化性能が徐々に低下する。このSOxによる被毒は、排気浄化触媒10に流入する排気の空燃比を理論空燃比よりリッチにするとともに排気浄化触媒10の温度を目標温度(例えば、650°C)に昇温する昇温操作を実行することにより回復させることができる。そこで、ECU30は所定の間隔で燃料添加弁9から排気中に燃料を添加し、この回復処理(以下、S再生と称することがある。)を実行する。ECU30は、S再生を実行する場合、まず排気浄化触媒10をS再生時の目標温度まで昇温するために必要な燃料量を算出し、次に算出した燃料量の燃料が排気中に添加されるように燃料添加弁9の動作を制御する。排気浄化触媒10の温度は排気浄化触媒10を通過している排気の流量(通過ガス量)に影響されるため、このように排気浄化触媒10の温度を制御する場合は通過ガス量を把握する必要がある。
排気中に燃料を添加した場合、その添加した燃料が排気中で燃焼して排気中の酸素を消費するので、排気の酸素濃度が低下する。添加した燃料量が同じであれば、排気の流量が少ないほど排気の酸素濃度は低くなる。燃料添加弁9から燃料を添加したときの排気の酸素濃度Roxeadは、燃料添加弁9から燃料が添加されていないときの排気の酸素濃度Roxe、通過ガス量Gcat、燃料添加弁9から排気中に添加した燃料量(以下、添加燃料量と称することがある。)Qad、及び燃料添加弁9から添加された燃料が燃焼するときに消費される酸素量(以下、消費酸素量と称することがある。)αより式(1)で示すことができる。なお、このように計算式で使用するため、本発明におけるガスの流量は重量流量で示される。
Figure 2008261271
なお、消費酸素量αは、添加燃料量Qad、燃料の理論空燃比A/Fth、及び空気中の酸素の重量比Rairより式(2)で示すことができる。なお、燃料が軽油の場合、理論空燃比A/Fthには例えば14.6が用いられる。また、重量比Rairには例えば0.233が用いられる。
Figure 2008261271
式(1)に式(2)を代入して変形することにより、以下の式(3)を導くことができる。
Figure 2008261271
式(3)において添加燃料量QadはECU30が算出する。そのため、燃料添加弁9から燃料を添加したときの排気の酸素濃度Roxead、及び燃料添加弁9よりも上流の排気の酸素濃度Roxeを取得することにより、通過ガス量Gcatを算出することができる。
そこで、ECU30は、通過ガス量Gcatを推定するべく図2に示した触媒通過ガス量推定ルーチンをエンジン1の運転中に所定の周期で繰り返し実行する。図2のルーチンにおいてECU30は、まずステップS11でエンジン1の運転状態を取得する。エンジン1の運転状態としては、エンジン1の回転数、アクセル開度、吸入空気量、及び噴射燃料量が取得される。続くステップS12においてECU30は、所定の推定条件が成立しているか否か判定する。上述したように通過ガス量Gcatの算出は燃料添加弁9から燃料を添加した際の酸素濃度の変化に基づいて行う。そのため、各気筒2から排出される排気の温度が高く、燃料添加弁9から燃料を添加する前の時点で既に排気浄化触媒10の温度が高い場合は燃料添加弁9から燃料を添加すると排気浄化触媒10が過熱され、排気浄化触媒10が焼損するおそれがある。そこで、例えば排気中に燃料を添加しても排気浄化触媒10の温度を焼損が生じない温度域に抑えることが可能な場合に所定の推定条件が成立していると判断する。所定の推定条件が不成立と判断した場合は今回のルーチンを終了する。
一方、所定の推定条件が成立していると判断した場合はステップS13に進み、ECU30は排気への燃料添加を実行する。上述したように通過ガス量Gcatは、燃料を添加したときの排気の酸素濃度の変化に基づいて算出する。A/Fセンサ33は燃料添加弁9よりも下流に設けられているため、燃料が添加された排気の酸素濃度は、A/Fセンサ33の検出結果に基づいて取得することができる。そこで、排気に添加する添加燃料量Qadには、A/Fセンサ33にて検出可能な範囲で排気の酸素濃度を変化させることが可能な燃料量が設定される。この添加燃料量Qadは、予め所定値を設定しておいてもよいし、燃料添加時のエンジン1の運転状態に応じて設定してもよい。
次のステップS14においてECU30は、エンジン1が所定の運転状態で運転され、かつ燃料添加弁9から燃料が添加されていない状態の排気の酸素濃度である添加前酸素濃度Roxeと、エンジン1が所定の運転状態で運転され、かつ燃料添加弁9から燃料が添加されている状態の排気の酸素濃度である添加後酸素濃度Roxeadとを算出する。上述したように添加後酸素濃度RoxeadはA/Fセンサ33の出力信号に基づいて算出する。一方、添加前酸素濃度Roxeは、燃料の理論空燃比A/Fth、吸入空気量Ga及び噴射燃料量Qを以下の式(4)に代入することにより求めることができる。噴射燃料量QはECU30によりそれぞれ設定され、吸入空気量Gaはエアフローメータ6にて検出できるので、これらは既知の値である。そのため、添加前酸素濃度Roxeを算出することができる。なお、燃料の理論空燃比A/Fthの代わりにECU30によって設定されるエンジン1の目標空燃比を用いてもよい。この処理を実行することにより、ECU30が本発明の酸素濃度取得手段として機能する。
Figure 2008261271
続くステップS15においてECU30は、算出した添加前酸素濃度Roxe及び添加後酸素濃度Roxeadを上述の式(3)に代入して通過ガス量Gcatを算出する。これにより、ECU30が本発明の排気流量推定手段として機能する。その後、今回のルーチンを終了する。
このように図2のルーチンを実行し、添加前酸素濃度Roxeと添加後酸素濃度Roxeadとを算出することにより、通過ガス量Gcatを算出することができる。そして、例えばS再生時に燃料添加弁9から添加すべき燃料量の算出を、この算出した通過ガス量Gcatを参照して行うことにより、排気浄化触媒10の温度の制御精度を向上させることができる。また、この算出方法ではエアフローメータ6及びA/Fセンサ33の検出結果によって通過ガス量Gcatを算出できるので、新たにセンサを設ける必要がない。
図3のルーチンは、触媒通過ガス量推定ルーチンの変形例を示している。なお、図3において図2と同一の処理には同一の参照符号を付して説明を省略する。図3のルーチンにおいてECU30は、ステップS12まで図2と同様に処理を進める。ステップS12で所定の推定条件が成立していると判断した場合はステップ21に進み、ECU30はエンジン1の運転状態が予め設定した定常状態で安定に運転されているか否か判断する。定常状態としては、例えばアクセル開度及びエンジン1の回転数がほぼ一定の運転状態が設定される。この処理を実行することにより、ECU30が本発明の判定手段として機能する。エンジン1の運転状態が定常状態ではないと判断した場合は今回のルーチンを終了する。
一方、エンジン1の運転状態が定常状態と判断した場合はステップS22に進み、ECU30はA/Fセンサ33の出力信号に基づいて排気の酸素濃度を算出する。この時点では燃料添加弁9から排気中に燃料が添加されていないため、この酸素濃度は添加前酸素濃度Roxeである。続くステップS13においてECU30は排気中への燃料添加を実行する。次のステップS23においてECU30は、A/Fセンサ33の出力信号を参照して排気の酸素濃度を算出する。この時点では燃料添加弁9から排気中に燃料が添加されているため、この酸素濃度は添加後酸素濃度Roxeadである。続くステップS15においてECU30は、添加前酸素濃度Roxe及び添加後酸素濃度Roxeadを式(3)に代入して通過ガス量Gcatを算出する。その後、今回のルーチンを終了する。
周知のように異なるセンサでは、その検出精度も異なる。そのため、添加前酸素濃度Roxeの算出に用いたセンサと添加後酸素濃度Roxeadの算出に用いたセンサとが異なる場合は、これらの酸素濃度を使用して通過ガス量を算出には添加前酸素濃度Roxeの算出に用いたセンサの検出誤差と添加後酸素濃度Roxeadの算出に用いたセンサの検出誤差とが含まれる。図3のルーチンでは、添加前酸素濃度Roxeも添加後酸素濃度Roxeadも同じA/Fセンサ33の検出結果に基づいて算出するため、通過ガス量に含まれる検出誤差を減少させ、通過ガス量の推定精度に影響を与える原因を減少させることができる。そのため、通過ガス量の推定精度を向上させることができる。
(第2の形態)
図4は、本発明の第2の形態に係る排気還流装置が組み込まれた内燃機関を示している。なお、図4において図1と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図4に示したように、EGR通路20に加えて吸気通路4と排気通路5とを連通する高圧EGR通路22が設けられる点が図1と異なる。図4に示したように高圧EGR通路22は、燃料添加弁9よりも上流の排気通路5とEGR通路20の接続位置よりも下流の吸気通路4とを連通する。すなわち、第2の形態においては、燃料添加弁9が、高圧EGR通路22の接続位置よりも下流、かつ排気浄化触媒10よりも上流の排気通路5に設けられる。高圧EGR通路22には、高圧EGR通路22を介して吸気通路4に還流される排気(以下、高圧EGRガスと称することがある。)の流量を調整するための高圧EGR弁23が設けられている。それ以外は、第1の形態と同じである。
このように排気通路5と吸気通路4とが複数のEGR通路20、22で接続されているエンジン1では、各EGR通路20、22を介して吸気通路4に還流されるEGRガスの流量の変化がエンジン1の運転状態に種々の影響を与える。そのため、各EGR通路20、22を介して還流されるEGRガスの流量をそれぞれ把握することにより、エンジン1の運転状態を適切に制御することができる。
図5は、図4のエンジン1の各部におけるガス量の関係を示している。図5に示した関係によれば、通過ガス量Gcatは、下記の式(5)に示したようにEGRガスの流量Glpl、吸入空気量Ga、及び噴射燃料量Qを合計した値となる。
Figure 2008261271
この式(5)を変形すると式(6)を導出することができる。
Figure 2008261271
また、機関本体3の気筒2に吸入されるガスの流量(以下、筒内吸入ガス量と称することがある。)Gcylは、下記の式(7)に示したように吸入空気量Ga、高圧EGRガスの流量Ghpl、及びEGRガスの流量Glplを合計した値となる。
Figure 2008261271
そのため、高圧EGRガスの流量Ghplは、式(7)を変形した式(8)のように示すことができる。
Figure 2008261271
筒内吸入ガス量Gcylは、吸気通路4の一部を形成し、各気筒2の吸気ポートと接続するインテークマニホールド(以下、インマニと称することがある。)4aにおける吸気の温度及び圧力に基づいて推定することができる。インマニ4aの吸気の温度が高いほど密度が小さくなるので、筒内吸入ガス流量Gcylは少なくなる。また、インマニ4aの吸気の圧力が低いほど、筒内吸入ガス流量Gcylは少なくなる。そこで、筒内吸入ガス流量Gcylの算出は、例えばインマニ4aにおける吸気の温度及び圧力と筒内吸入ガス流量Gcylとの関係を予め実験などで求めてECU30のROMにマップとして記憶させておき、そのマップを参照して行えばよい。なお、インマニ4aの吸気の温度及び圧力は、吸気通路4に温度センサ及び圧力センサを設けて検出してもよいし、エンジン1の運転状態に基づいて推定してもよい。インマニ4aの吸気の温度及び圧力の推定方法は周知の方法で行えばよいため、詳細な説明は省略する。
このように筒内吸入ガス量Gcylの算出は可能であるため、通過ガス量Gcatを算出することができれば、式(6)及び式(8)からEGRガスの流量Glpl及び高圧EGRガスの流量Ghplを算出することができる。そこで、ECU30は図6に示したEGRガス流量推定ルーチンをエンジン1の運転中に所定の周期で繰り返し実行して各EGRガスの流量Glpl、Ghplを算出する。図6のルーチンは、図2のルーチンのステップS15の下にステップS31〜S33を追加したものである。そのため、図6において図2と同一の処理には同一の参照符号を付して説明を省略する。
図6のルーチンにおいてECU30はステップS15まで図2のルーチンと同様に処理を進める。次のステップS31においてECU30は、算出した通過ガス量Gcat、吸入空気量Ga、及び噴射燃料量Qを式(6)に代入してEGRガスの流量Glplを算出する。続くステップS32においてECU30は、インマニ4aにおける吸気の温度及び圧力に基づいて筒内吸入ガス流量Gcylを算出する。この処理を実行することにより、ECU30が本発明の吸入ガス量推定手段として機能する。次のステップS33においてECU30は、算出した筒内吸入ガス流量Gcyl、EGRガスの流量Glpl、及び吸入空気量Gaを式(8)に代入して高圧EGRガスの流量Ghplを算出する。その後、今回のルーチンを終了する。
このように図6のルーチンによれば、添加前酸素濃度Roxe及び添加後酸素濃度Roxeadに基づいて通過ガス量Gcatを算出し、その通過ガス量Gcatに基づいてEGRガスの流量Glpl及び高圧EGRガスの流量Ghplをそれぞれ容易に算出することができる。図6のルーチンを実行することにより、ECU30が本発明のEGRガス流量算出手段として機能する。
図4のエンジン1ではEGRガス及び高圧EGRガスの両方のEGRガスが吸気通路4に還流されるが、高圧EGRガスはEGRガスよりも上流側で取り出されるので、高圧EGRガスの温度はEGRガスの温度よりも高い。そのため、EGRガスの流量Glplと高圧EGRガスの流量Ghplの比が変動して高圧EGRガスの流量が増加すると吸気の温度が上昇する。この場合、エンジン1の運転状態が変化したり、気筒2内の燃焼温度が上昇して排気エミッションが悪化するおそれがある。そこで、例えば算出したEGRガスの流量Glpl及び高圧EGRガスの流量Ghplを用いてEGRガスの流量と高圧EGRガスの流量との比が一定に維持されるようにEGR弁21の開度及び高圧EGR弁23の開度をそれぞれフィードバック制御する。このように各EGR弁21、23の開度をそれぞれ制御することにより、エンジン1の運転状態を安定化させたり、排気エミッションの悪化を防止したりすることができる。
本発明は、上述した各形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本発明はディーゼルエンジンに限らず、ガソリンその他の燃料を利用する各種の内燃機関に適用してよい。本発明が適用される内燃機関の排気浄化手段は吸蔵還元型のNOx触媒に限定されない。例えば、排気浄化手段は、排気中の粒子状物質(PM)を捕集するパティキュレートフィルタでもよい。また、このパティキュレートフィルタに吸蔵還元型のNOx触媒が担持されたものでもよい。パティキュレートフィルタにおいては、パティキュレートフィルタをPMが酸化除去される温度まで昇温する昇温操作、いわゆるPM再生を行う。そのため、本発明を適用し、パティキュレートフィルタを通過している排気の流量を把握することにより、PM再生時のパティキュレートフィルタの温度を適切に制御できる。さらに、排気浄化手段は、三元触媒又は酸化触媒でもよい。これらの触媒が設けられた内燃機関に本発明を適用することにより、触媒の温度を適切に制御できるので、触媒の焼損を防止できる。
排気浄化触媒よりも上流の排気中に燃料を添加する手段は、燃料添加弁に限定されない。例えば排気行程中にインジェクタから燃料を噴射させる、いわゆるポスト噴射を行って排気中に燃料を添加してもよい。この場合、インジェクタが本発明の燃料添加手段として機能する。
なお、本発明において吸蔵還元型のNOx触媒は、窒素酸化物(NOx)を触媒にて保持できるものであればよく、吸収又は吸着いずれの態様でNOxが保持されるかは吸蔵の用語によって制限されない。また、硫黄酸化物(SOx)の被毒についてもその態様を問わないものである。さらに、NOxやSOxの放出についてもその態様を問わない。
本発明の第1の形態に係る排気還流装置が組み込まれた内燃機関を示す図。 図1のECUが実行する触媒通過ガス量推定ルーチンを示すフローチャート。 触媒通過ガス量推定ルーチンの変形例を示すフローチャート。 本発明の第2の形態に係る排気還流装置が組み込まれた内燃機関を示す図。 図4のエンジンの各部におけるガス量の関係を示す図。 図4のECUが実行するEGRガス流量推定ルーチンを示すフローチャート。
符号の説明
1 内燃機関
2 気筒
4 吸気通路
5 排気通路
9 燃料添加弁(燃料添加手段)
10 排気浄化触媒(排気浄化手段)
20 EGR通路
22 高圧EGR通路
30 エンジンコントロールユニット(酸素濃度取得手段、排気流量推定手段、判定手段、EGRガス流量推定手段、吸入ガス量推定手段)
33 A/Fセンサ(検出手段)
Roxe 添加前酸素濃度
Roxead 添加後酸素濃度

Claims (5)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化手段と、前記排気浄化手段の上流から燃料を添加する燃料添加手段と、前記排気浄化手段よりも下流の排気通路と吸気通路とを連通するEGR通路と、前記排気浄化手段よりも下流かつ前記EGR通路の接続位置よりも上流の排気通路に配置されて排気の酸素濃度を検出する検出手段と、を備えた内燃機関の排気還流装置において、
    前記内燃機関が所定の運転状態で運転され、かつ前記燃料添加手段から燃料が添加されていない状態の排気の酸素濃度である添加前酸素濃度を取得するとともに、前記内燃機関が前記所定の運転状態で運転され、かつ前記燃料添加手段から燃料が添加されている状態の排気の酸素濃度である添加後酸素濃度を前記検出手段の検出結果に基づいて取得する酸素濃度取得手段と、前記酸素濃度取得手段により取得された前記添加前酸素濃度及び前記添加後酸素濃度に基づいて前記排気浄化手段を通過している排気の流量を推定する排気流量推定手段と、を備えていることを特徴とする内燃機関の排気還流装置。
  2. 前記酸素濃度取得手段は、前記内燃機関の吸入空気量及び前記内燃機関の気筒内にて燃焼させるべく前記気筒に供給した燃料量に基づいて前記添加前酸素濃度を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気還流装置。
  3. 前記内燃機関が前記所定の運転状態で安定に運転されているか否か判定する判定手段をさらに備え、
    前記酸素濃度取得手段は、前記判定手段により前記内燃機関が前記所定の運転状態で安定に運転されていると判定された場合、前記検出手段の検出結果に基づいて前記添加前酸素濃度を取得し、次に前記燃料添加手段から燃料を添加させ、その後前記検出手段の検出結果に基づいて前記添加後酸素濃度を取得することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気還流装置。
  4. 前記排気流量推定手段により推定された排気の流量、前記内燃機関の吸入空気量、及び前記内燃機関の気筒内にて燃焼させるべく前記気筒に供給した燃料量に基づいて前記EGR通路を介して吸気通路に還流される排気であるEGRガスの流量を算出するEGRガス流量算出手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の排気還流装置。
  5. 前記排気浄化手段よりも上流の排気通路と前記吸気通路とを連通する高圧EGR通路と、前記内燃機関の気筒に吸入されるガスの流量を推定する吸入ガス量推定手段と、をさらに備え、
    前記燃料添加手段は前記高圧EGR通路の接続位置よりも下流、かつ前記排気浄化手段よりも上流の排気通路に設けられ、
    前記EGRガス流量算出手段は、算出した前記EGRガスの流量、前記吸入ガス量推定手段により推定されたガスの流量、及び前記内燃機関の吸入空気量に基づいて前記高圧EGR通路を介して前記吸気通路に還流される排気である高圧EGRガスの流量を算出することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気還流装置。
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