JP2008260383A - フライホイール・エネルギ蓄積駆動装置とその制御方法 - Google Patents
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Abstract
動力分割型動力伝達装置の入力軸(4a)へフライホイール(3)を連動させた動力伝達系において、出力軸6へ回生制動を加える場合、出力軸6へ連動のモータ・ジェネレータ5と動力分岐を行うモータ・ジェネレータ4あるいは40との作動形態を求めること。
【解決手段】
フライホイール3および原動機1が連動した入力軸4aと駆動輪に連動した出口軸4b との相対回転によって作動する第1のモータ・ジェネレータと、駆動輪あるいは他の駆動輪のいずれかに連動する第2のモータ・ジェネレータとからなる駆動装置であって、駆動輪に回生制動をかける場合において第2のモータ・ジェネレータに発電作用をさせ、その発電作用によって発電した電力によってモーター作用を行う第1のモータ・ジェネレータが前記相対回転の作動によって入力軸を介してフライホイールを加速駆動し且つ出口軸に制動をかける。
【選択図】 図1
Description
図8において、エンジン1の出力軸1aはクラッチ2を介してフライホイール3の駆動軸3aに連動している。
なお、モータ・ジェネレータ5は歯車5bおよび5cを介さないで、直接、出力軸6と一体に設けてもよい。
又、出力軸6は車両の駆動輪へ連動している。
すなわち、エンジン1が作動しているときは、駆動軸3aにおけるトルクがフライホイール3の回転を駆動加速し且つモータ・ジェネレータ4に発電作用をさせる。
又、エンジン1が作動していないときは、フライホイール3の回転エネルギのみによってモータ・ジェネレータ4に発電作用をさせるものとなっている。
その出口軸4bに生じたトルクT2dは機械的に、そのまま、出口軸4bを駆動する。
すなわち、トルクT2dによって出口軸4bを駆動する機械的動力Pmは、図8における一点破線に示すようにインナー・ローター4Bから出口軸4bを介して出力軸6へ伝達する。
すなわち、モータ・ジェネレータ4によって発電した電気的動力Peは図8に示す点線のように、モータ・ジェネレータ4、制御装置7A、モータ・ジェネレータ5、駆動軸5a、歯車5bおよび5cを介して出力軸6へ伝達する。
したがって、その一定の関係によって求めた入力軸4aのトルクT1になるレベルにモータ・ジェネレータ4の発電を行えば、入力軸4aがそれに対応した動力をフライホイール3から取り出すことになる。
図7と図8において同一符号同一材を示している。
すなわち、図7が図8と異なるところは、図8におけるモータ・ジェネレータ4の部分が図7において差動歯車41とモータ・ジェネレータ40に置き換わっていることである。
その他、図7におけるエンジン1から出力軸6への動力出力の作用は、上記図8に既述した作用と同じである。
しかし、図7および図8のフライホイール・エネルギ蓄積駆動装置の出力軸6に回生制動をかける場合において、その回生エネルギをどのようにフライホイール3へエネルギ蓄積するかのメカニズムは未だ解明されていない。
駆動輪に回生制動をかける場合において、前記第2のモータ・ジェネレータに発電作用をさせることによって出力軸6に回生制動がかかり、且つ第1のモータ・ジェネレータのモーター作用が出口軸4bを介して更に出力軸6へ回生制動をかけるから、第1のモータ・ジェネレータ4あるいは40と第2のモータ・ジェネレータ5の両者が駆動輪に制動をかけ得ることになる。
したがって、この場合、その車両の全輪に回生制動をかけることが可能になって、車両全輪の制動エネルギをフライホイール3へ回収出来る。
請求項1の効果に加え、出力軸6へ回生制動の指示トルクT2を与えた場合、回生制動の指示トルクT2の関数となった一定の関係式から求められる第2のモータ・ジェネレータ5への発電トルクTgを設定すれば、出力軸6に指示通りの回生制動をかけることが可能になり、且つその回生制動のエネルギをフライホイール3へ蓄積することができる。
図1のフライホイール・エネルギ蓄積装置における動力分割機構は、モータ・ジェネレータ4がアウター・ローター4Aもインナー・ローター4Bも共に回転するから、モータ・ジェネレータ4と固定部との間の電力のやり取りにスリップ・リングを必要とする。
それに対して、請求項3におけるフライホイール・エネルギ蓄積装置の動力分割機構は、差動歯車を使用することによって上記スリップ・リングを使用しない方式となっているから、実用化が容易である。
そのように実用化が容易な差動歯車方式のフライホイール・エネルギ蓄積装置において、請求項2と同じ発明の効果を得ることが出来る。
又、本実施例における説明であって機械動力が伝達する径路の説明において、「連動」と言う言葉を使用している。その「連動」とは、例え図1あるいは図2のシステム図において便宜上単一の駆動軸による表現の図示をしていても、それは「機械動力が駆動軸、歯車あるいはチェイン等のいずれか、あるいはそれらの組み合わせの機械的動力伝達機構を介して伝達することが可能である」ことを意味している。
したがって、その車両の発進時における速度比e=ω2 / ω1はe = 0であり、その車両の走行速度が増してゆくと、すなわち出力軸6の回転角速度ω2が増大してゆくと、該速度比eも増大してゆく。
それは入力軸4aから出力軸6までの駆動系が公知の入力分割型無段変速機になっており、0≦e≦1.0の範囲において動力伝達効率に優れ1.0<eの範囲において速度比eが増大するにつれ急速に動力伝達効率が悪化するからである。
すなわち、図8におけるフライホイール・エネルギ蓄積駆動装置が速度比e = 1.0になっているとき、モータ・ジェネレータ4において発生する電気動力PeはPe = 0になる。
このPe = 0になる速度比eを基準速度比ecと呼び、図8の場合はec = 1.0である。
すなわち、上記図8における場合と同様に、図7における出力軸6を駆動する場合も、上記速度比eは0≦ e < ecの範囲を使用することにしている。
すなわち、図7および図8共に、出力軸6をフライホイール3の側から駆動している状態においての上記速度比eは、0≦ e < ecの範囲の使用になっている。
以上が、本実施例における予備的説明である。
図1の作動図は、図8が出力軸6を駆動している作動を示した図であることに対して、図8と同じフライホイール・エネルギ蓄積駆動装置が出力軸6に回生制動をかけている作動の場合を示した図である。したがって、図1と図8の機構は同一であって、図1と図8における符号は同一符号同一材を示している。
唯、図8と図1の異なりは駆動と回生制動の場合との異なりであって、その動力PmおおよびPeの流れの源流を各図の左側として、図8はエンジン1の側を左側に図示し、図1は出力軸6の側を左側に図示していることである。
すなわち、従来例としての図8は動力PmおよびPeの流れがフライホイール3の側から出力軸6の側に流れ、本実施例における図1は回生制動によって生ずる動力PmおよびPeの流れが出力軸6の側からフライホイール3の側へ流れる作動図となっている。
又、回生制動をかける直前迄は図1におけるフライホイール・エネルギ蓄積駆動装置は出力軸6を駆動していたのであって、その駆動状態における入力軸4aの回転角速度ω1と出力軸6の回転角速度ω2との関係は、上述のように速度比e = ω2/ ω1の関係が0≦ e ≦ ecの範囲であった。なお、基準速度比ecの定義については既に言及し、図8の機構にあってはec =1.0であることも既に言及している。
又、そのようなことより上記基準速度比も以下の回生制動の解析において、基準速度比をecdとし、且つ上記出力軸6の駆動時における基準速度比ecとの関係はecd = 1 / ecの関係になっている。
以下、その速度比edの使用範囲∞> ed ≧1.0における図1の回生制動時における解析を行う。
又、モータ・ジェネレータ4におけるそのモーター作用は、フライホイール3の回転を更にその回転方向へ加速駆動する方向に作動させる。
モータ・ジェネレータ5による上記発電は、駆動軸5aの回転方向に対して逆方向への制動をかける発電トルクTgを生じさせる。
すなわち、出力軸6の駆動時(図8)において入力軸4aと出力軸6および出口軸4bの回転方向は同じであったから、その出力軸6における駆動時の直後の本回生制動に入った状態においても、入力軸4aと出力軸6および出口軸4bの回転方向は同じであり、その結果、上記回生制動に入ってからの出口軸4bに生じたトルクT2dは出力軸6の回転方向に抗した制動をかける状態になる。
又、駆動軸5aの上記発電入力動力がモータ・ジェネレータ5において発電をさせ、その発電した電力が制御装置7Aを介してモータ・ジェネレータ4にモーター作用させて上記モーター出力動力となるまでの間の動力伝達効率をηeとすると、
Tg×ω2×ηe = ( ω1−ω2)×T2d
あるいは
Tg = { ( ed −1)×T2d }/ ηe ( a )
となる。
T2d + Tg = T2 ( b )
となる。
T2d = T1 ( c )
の関係にある。
したがって、( a ) 式, ( b ) 式および( c ) 式より、
T1+[{ ( ed −1)×T1 }/ ηe ]= T2
あるいは整理して、
T2 =[{ ed −( 1−ηe)}×T1]/ ηe ( d )
となる。
Tg ={( ed −1 )×T2 }/ { ed − (1−ηe)} ( e )
を得る。
又、( e ) 式におけるηeの値はモータ・ジェネレータ5とモータ・ジェネレータ4の間における動力伝達効率ηeを実機による各作動状態ごとに実験的に計測しておき、その計測値を制御装置7Aに記憶させて置けば良い。
Tg = {( ed −1)×T2}/ ed
あるいは
Tg / T2 = 1−( 1 / ed ) ( f )
となる。
( f ) 式の物理的な意味は、出力軸6へ回生制動トルクT2を指示している状態において、速度比ed = ω1/ ω2が1.0なるとき発電トルクTgが零になって、出力軸6の回生制動トルクT2が全てモータ・ジェネレータ4および入力軸4aを介してフライホイール3に伝達し、速度比ed = ω1/ ω2が無限大なるとき発電トルクTgが出力軸6の回生制動トルクT2の全てを負担してTg = T2になり、それらの中間における0<ed <∞においては、Tg < T2となってモータ・ジェネレータ5が出力軸6における回生制動トルクT2のうちの一部を負担し、出力軸6の回生制動トルクT2のうち残部は出口軸4bに生ずる上記反力トルクT2dが負担することを意味している。
その際、モータ・ジェネレータ4においてモーター作用を行う関係式は、( d ) 式を変形して、
T1 = (ηe×T2)/{ed −( 1−ηe )} ( g )
となる。
又、そのモータ・ジェネレータ4の制御によって入力軸4aにトルクT1が生ずると、そのトルクT1はフライホイール3を加速回転させ、フライホイール3に回生制動のエネルギを回転エネルギとして蓄積させる。
以上が図1のフライホイール・エネルギ蓄積駆動装置の回生制動時における作用説明である。
図2の作動図は、図7が出力軸6を駆動している作動を示した図であることに対して、出力軸6に回生制動をかけている作動を示した図である。したがって、図2と図7の機構は同一であって、図2と図7における符号は同一符号同一材を示している。
唯、図7と図2の異なりは駆動と回生制動の場合との異なりであって、その動力の流れの源流を各図の左側として、図7はエンジン1の側を左側に図示し、図2は出力軸6の側を左側に図示していることである。
又、図8、図7および図1におけると同様に、図2における7Aは制御装置であり、7a 、7b 、7cおよび7dのそれぞれは配線(複数の電線あるいは信号線を単一の配線によって表現している)であり、7は二次電池あるいはキャパシタ等の電源である。
又、回生制動をかける直前迄は図2におけるフライホイール・エネルギ蓄積駆動装置は出力軸6をフライホイール3側から駆動していたのであって、その駆動状態における入力軸4aの回転角速度ω1と出力軸6の回転角速度ω2の使用範囲は、上述のように速度比e = ω2/ ω1の関係が0≦ e ≦ ecの範囲であった。なお、図2における基準速度比ecdの定義は反力軸41fを拘束した状態におけるω1/ ω2であり、図7の機構にあっては既述のようにec >1.0であることが望ましい。
又、そのようなことより上記基準速度比も以下の回生制動の解析において、基準速度比をecdとし、且つ上記出力軸6の駆動時(図7)における基準速度比ecとの関係はecd = 1 / ecの関係になっている。
以下、速度比edの使用範囲 ∞> ed ≧ ecdにおける図2の回生制動時における解析を行う。
図2における差動歯車41の図示は差動歯車41内における具体的な機構をブラックボックスとした一般的な表現になっている。
図3は、図2における差動歯車41内の具体的な機構についての具体例を示している。
駆動軸3aから延長した入力軸4aがキャリヤ41cに連動し、遊星歯車41bは太陽歯車41aおよびリング歯車41dと歯車係合し、太陽歯車41aは反力軸41fを介してモータ・ジェネレータ40におけるローター40Bに連動しており、40Aはモータ・ジェネレータ40における固定子である。
それは、図7あるいは図2における入力軸4aから出力軸6までの動力分割型伝動装置の動力伝達効率が、速度比e = ω2 / ω1として0≦ e ≦ ecの範囲において優れており、ec < eにおいては速度比eが増大するにつれ急速に動力伝達効率が劣化するから、その動力伝達効率の良好な上記0≦ e ≦ ecの範囲を出来るだけ広く使用したいからである。
したがって、一般的には、図3における差動歯車41の仮想線(2点破線)によって示した中身がブラック・ボックスであって、上記3部材のうち仮想線から外部に出ている各部材を反力軸41f、入力軸4aおよび出口軸4bとして図2のように表現出来る。
図2における各符号は、図3および図1におけるものと同一符号同一材を示している。
差動歯車41について、入力軸4aの回転角速度をω1とし、出口軸4bの回転角速度をω2とし、反力軸41fの回転角速度をωrとし、
速度比ed = ω1 / ω2 ,
反力軸速度比erd = ωr / ω2
とし、反力軸41fの回転を拘束した状態における速度比edをecd(以下、基準速度比ecdと呼ぶ)とすると、反力軸速度比erd の特性が図4における実線Laあるいは破線Lbによって示すようになる。
すなわち、実線Laあるいは破線Lbの特性のように、反力軸速度比erdの特性は図4のように、必ず(ed =1.0 , erd =1.0)点を通る直線特性になることは公知である。
その公知例としては、例えば油空圧学会誌、第5巻第2号、宮尾:自動車用油圧変速機開発の技術的動向、図9がある。
言い換えれば、差動歯車41の差動歯車内における歯車の組み合わせを任意に選択することによって、基準速度比ecd の値を自由に選択できる。
(但し、図2における差動歯車方式にあっては、実用上ecd =1.0は存在し得ず、ecd = 1.0
を実用化させるためには図1の一方のロータ4Aと他方のロータ4Bがそれぞれ回転する方式のモータ・ジェネレータ4を使用することになる。)
erd = ( ed −ecd ) / (1−ecd ) (1)
の関係になる。
又、入力軸4a、出口軸4bおよび反力軸41fとの間には一定のトルク比関係がある。
それは、差動歯車41内が歯車の連動関係にあるため、それら連動している歯車の歯車比によって入力軸4a、出口軸4bおよび反力軸41fとの間に一定のトルク比関係が決まってしまうからである。
以上が、差動歯車41の機構についての予備的な説明である。
そのモータ・ジェネレータ40のモーター作用は、反力軸41f 、差動歯車41および入力軸4aを介してフライホイール3の回転を更にその回転方向へ加速駆動する方向に作動させ、モータ・ジェネレータ5による上記発電は駆動軸5aにその回転方向に抗して制動をかける発電トルクTgを生じさせ、そのことはモータ・ジェネレータ5による上記発電が駆動軸5a 、歯車5bおよび5cを介して出力軸6へ回生制動をかけることになる。
又、本回生制動におけるモータ・ジェネレータ5の上記発電作用とモータ・ジェネレータ40の上記モーター作用による入力軸4a ,出力軸6および出口軸4bの回転方向およびトルクの生ずる状態は下記のようになる。
ここで、既述のように、入力軸4aおよび出力軸6の回転方向は同一方向であり且つその速度比ed = ω1/ω2の使用範囲がecd ≦ ed < ∞であるから、入力軸4aおよび出力軸6の回転角速度をベクトル表示すると図5におけるω1およびω2になっている。
そのトルクT2dは、図5に示すように、リング歯車41dの回転方向(ω2)に抗して制動をかけるトルクとなる。
すなわち、リング歯車41dの回転方向に抗して制動をかけるトルクT2dは、出口軸4bを介して出力軸6への制動トルクとなる。
以上が差動歯車41の具体例としての図5の歯車列を使用した図2の回生制動時における入力軸4a 、反力軸41f 、出口軸4bおよび出力軸6に生ずるトルクの方向の説明である。
このことは、第1のモータ・ジェネレータ4あるいは40も第2のモータ・ジェネレータ5も共に出力軸6に制動をかける作用を行っていることになる。
又、そのようにモータ・ジェネレータ5が出力軸6を介さず直接に駆動輪へ連動してもよいことは、モータ・ジェネレータ5が出力軸6へ連動した駆動輪以外の駆動輪に連動しても、その機構は実質、図1あるいは図2の機構と同じになる。
通常、前輪あるいは後輪のいずれかを駆動輪とした2輪駆動の場合、モータ・ジェネレータ5を出力軸6へ連動させた図1あるいは図2の機構において、上記回生制動を行うと、その2輪駆動の駆動輪のみの回生エネルギがフライホイール3へ回収することになり、その駆動輪となった2輪以外の残る2輪の制動エネルギは熱エネルギとして損失せざるを得ない。
すなわち、モータ・ジェネレータ5が出力軸6へ連動していなくとも、上述のように、回生制動時において、図1における方式も図2における方式も、出口軸4bが出力軸6を介して一方の駆動輪(前輪あるいは後輪)を回生制動することが出来る。
以上が、モータ・ジェネレータ5を出力軸6が連動した駆動輪以外の駆動輪へ連動させた場合の効果である。
(T2d×ω2)+(Tr×ωr)+(T1×ω1)=0
となり、上記式の両辺をT2d×ω2で除し、且つTr / T2d = trd 、T1 / T2d = td 、ωr / ω2=erdおよびω1/ ω2=edと置くと、
上式は、
1+(trd×erd ) + ( td×ed ) = 0 (2)
となる。
T2d +Tr +T1 = 0
となり、上式を(2)式における場合と同様に両辺をT2dで除し、Tr / T2d = trd 、T1 / T2d = tdとおくと、上式は、
1+ trd + td = 0 (3)
となる。
trd = (1−ecd ) / ecd (4)
あるいはtrd =Tr / T2d であることより、
Tr ={(1−ecd )×T2d }/ ecd (4a)
を得る。
td = −1/ ecd (5)
あるいはtd = T1 / T2dゆえ、
T2d =−ecd ×T1 (5a)
を得る。
T1 = Tr / (ecd −1) (6)
を得る。
しかし、(6)式は差動歯車41の作動における損失を考慮していない理論式であって、実際には,反力軸41f から差動歯車41を介して入力軸4aに至る迄の間のトルク効率ηm1を考慮しなければならないから、(6)式は
T1 =(Tr×ηm1)/ (ecd −1) (6a)
となる。
T1 = −T2d / ecd (7)
を得る。
又、(6)式および(7)式より
T2d = ecd×Tr / (1−ecd )
を得る。しかし、上式は(6)式における場合と同様に差動歯車41の作動における損失を考慮していない理論式であって、実際には,モータ・ジェネレータ40のモーター作用による反力軸41f からのトルクTrが差動歯車41を介して出口軸4bに至る迄の間のトルク効率ηm2を考慮しなければならないから、上式は
T2d =(ecd×ηm2×Tr) / (1−ecd )
となり、あるいは
Tr = (1−ecd )×T2d / ( ecd×ηm2) (8)
となる。
Tg×ω2×ηe = Tr×ωr
あるいは整理して、
Tg = (1/ηe )×erd×Tr (9)
を得る。
但し、ηeは、駆動軸5aの駆動によってモータ・ジェネレータ5に発電をさせ、その発電電力が制御装置7Aを介してモータ・ジェネレータ40にモーター作用をさせ、そのモーター作用による機械動力が反力軸41fへ伝達する迄の間の動力伝達効率であり、Tgは駆動軸5aにおけるトルクであり、Trは反力軸41fのトルクであり、erd = ωr / ω2である。
Tg = (1/ηe ) ×{( ed −ecd ) ×Tr }/ (1−ecd ) (10)
となる。
又、(8)式および(10)式より
Tg ={T2d / (ηe×ηm2 ) }×{(ed−ecd ) / ecd } (11)
を得る。
T2 = Tg + T2d (12)
の関係にある。
したがって、(11)式および(12)式より、
T2 = {1 / (ecd×ηe×ηm2 ) }×[ed −
{ecd ×(1−(ηe×ηm2 ) )}]×T2d (13)
を得る。
Tg = {(ed −ecd )×T2 }/ [ed −
{ecd×(1−(ηe×ηm2 ) )}] (14)
を得る。
Tr = ηe×(1−ecd )×T2 / [ed −
{ecd×(1−(ηe×ηm2))}] (15)
を得る。
T1 = ηm1×ηe×T2 / [ed −
{ecd×(1−(ηe×ηm2))}] (16)
を得る。
その(14)式の演算において、基準速度比ecdは差動歯車41における具体的な歯車列によって決まる一定値であり、速度比ed = ω1/ω2は制御装置7Aが演算を行うごとに入力軸4aの回転角速度ω1と出力軸6の回転角速度ω2を検出器(図示せず)によって検出した値を使用して速度比edを求めることが可能であり、効率ηeおよびηm2の値は、図2におけるフライホイール・エネルギ蓄積駆動装置の実機によって、実験的に各作動状態における値を求め、その値を制御装置7Aへ記憶させておき、制御装置7Aの各演算ごとにそれら効率ηeおよびηm2の値を使用すればよい。
したがって、(14)式においてηm2=1.0と置くと、(14)式は、
Tg = {(ed −ecd )×T2 }/ [ed −{ecd×(1−ηe)}] (14a)
となる。
Tg ={( ed −1 )×T2 }/ { ed − (1−ηe)} ( e )
となっている。
しかも、( e ) 式は既述のように基準速度比ecdがecd = 1.0である。
したがって、図1のフライホイール・エネルギ蓄積駆動装置の場合も、図2のフライホイール・エネルギ蓄積駆動装置の場合も、共に、モータ・ジェネレータ5の発電トルクTgを求める式は、(14a )式によって代表させることが出来る。
Tg = {(ed −ecd )×T2 }/ ed
あるいは
Tg / T2 = {1−( ecd / ed ) } (14b )
となる。
図6は、ed = ecdのとき、すなわち反力軸41の回転を拘束している状態において、モータ・ジェネレータ5の発電トルクTgがTg =0となり、速度比edが無限大(すなわちω2=0)においてTg = T2となり、ecd < ed <∞において(Tg / T2 ) <1.0となる。
又、(14)式における効率ηeおよびηm2の値は、簡易的に、一定値としてもよい。
一般的に、モータ・ジェネレータ5が発電しその発電した電力がモータ・ジェネレータ40にモーター作用をさせる迄の間の動力伝達効率ηeの値は0.65〜0.90に入り、差動歯車41の動力伝達効率ηm2は1.0に近い値である。
したがって、それらηeおよびηm2の値は変数ではなく一定値として、例えば、ηeを平均的な値のηe = 0.75およびηm2を簡略的にηm2 =1.0と置くと、(14)式は、
Tg = {(ed −ecd )×T2 }/ {ed −(0.25×ecd)} (14c)
となる。
それに対して、運転者が出力軸6に指示する回生制動トルクT2は瞬時に大きく変化することもある。
しかし、上記のように制御装置7Aが(14c)式を使用しモータ・ジェネレータ5の発電によって駆動軸5aにトルクTgを生じさせれば、その制御の微小演算時間において、そのTg値に比例して回生制動トルクT2の値も増減することを示している。
それは、制御装置7Aが(14c)式の関係から駆動軸5aにトルクTgを生じさせた結果、(14)式を使用した場合に比し精度は落ちている回生制動トルクT2を生じさせることになる。
すなわち、(14c)式はその関係を充たしているのである。
運転者が与えた“指示トルクT2”によって、制御装置7Aが(14c)式を使用してモータ・ジェネレータ5の発電によって駆動軸5aにトルクTgを生じさせ、そのTgが生ずると、現実の出力軸6には(14c)式から求めたTgを(14)式に代入して求められる「実際のトルクT2」が生ずることになる。
すなわち、(14c)式を使用した場合、その「実際のトルクT2」は“指示トルクT2”と幾分、異なったトルク値となる。
しかし、「実際のトルクT2」が“指示トルクT2”と幾分、異なったトルク値となっていても、上記理由から実用上は問題ない。
すなわち、ブレーキペダルを踏込んだ結果、運転者がその車両の減速度に不足を感じたとき、運転者は更にブレーキペダルを踏込んで出力軸6における減速トルクT2を更に増大させるからである。
そのような理由によって、上記(14)式においては、ηeおよびηm2の値を簡易的に一定値としてもよいことになる。
以上が、(14)式におけるηe及びηm2を一定値とした場合の説明である。
続いて、制御装置7Aは、モータ・ジェネレータ40のモーター作用が反力軸41fのトルクをその演算結果のトルク値Trに一致するレベルに制御する。
それは、(15)式においてηeおよびηm2を一定値とした式も、回生制動の指示トルク値T2と反力軸トルクTrも比例関係にあるからである。
又、その(15)式においてηeおよびηm2を一定値とした式の使用は、上記のように、出口軸4bのトルクT2dがトルクTrに比例して出力軸6を制動する。
そのトルクT1の値は、ブレーキ・ペダルからの回生制動信号Brに基づいた回生制動指示トルクT2を使用して、(16)式から求めることが出来る。
入力軸4aに生じたそのトルクT1は、既述したように、フライホイール3をその回転方向に加速駆動を行い、その加速駆動によって回生制動エネルギがフライホイール3へ回転エネルギとして蓄積する。
又、差動歯車41は、上記の反力軸41fのトルクTr、入力軸4aのトルクT1および出口軸4bのトルクT2dによってトルク平衡している。
本来、図1あるいは図2におけるクラッチ2の必要性は、本発明の作用における回生制動の場合ではなく、出力軸6を駆動する場合において必要となっているものである。
すなわち、出力軸6を駆動する場合、エンジン1とフライホイール3とを係合してエンジン1からの動力をフライホイール3へ回転エネルギとして蓄積させ、又、フライホイール3へのエネルギ蓄積を不用としてエンジン1への燃料供給を停止しているときエンジン1とフライホイール3を切り離すためにクラッチ2を設けている。
それは、エンジン1がフライホイール3を駆動しているときは、勿論、クラッチ2を必要とせず、駆動軸1aと駆動軸3aは直結のままでよい。
更に、エンジン1へ燃料供給を停止し且つフライホイール3の回転エネルギから出力軸6への動力取り出しを行っている場合、駆動軸1aと駆動軸3aは直結のままであっても、エンジン1は駆動軸3aの側から駆動されるだけであって、図8あるいは図7の作動図に示す出力軸6の駆動は可能である。
又、本実施例の回生制動時(図1あるいは図2)の作動において、入力軸4aがクラッチ2を介して係合していてもエンジン1はフライホイール3の側から駆動されるだけであって、その場合も上記した回生制動の制御は可能である。
又、図1あるいは図2の実施例における第2のモータ・ジェネレータ5は、出力軸6が駆動している駆動輪ではなく、他の側の駆動輪に連動しても、実質上、図1あるいは図2の機構と同じになることは、既に述べた。
(T2×ω2)= (Tt×ωt)×ηme
あるいは
T2 =ηme×(ωt /ω2)×Tt
であり、(ω2 /ωt)は、出力軸6と駆動輪との間に存在する最終減速機の歯車比idであるから上式は、
T2 = ηme×Tt / id (17)
の一定な関係にある。
したがって、その出力軸6を駆動する場合であってフライホイール3における回転エネルギの補充を行うエネルギ供給源となる手段は、エンジン以外に回転動力を出力し得る動力源であれば良いことになる。
例えば、その動力源は、電力源からの電力によって作動する電動機等であってもよい。
Claims (3)
- 駆動輪に回生制動をかける場合において、前記駆動輪あるいは他の駆動輪のいずれかに連動して発電作用を行う第2のモータ・ジェネレータと、前記第2のモータ・ジェネレータの前記発電した電力によってモーター作用を行い且つそのモーター作用がフライホイール(3)および原動機(1)を連動させた入力軸(4a )と前記駆動輪に連動した出口軸(4b )とを相対回転させる第1のモータ・ジェネレータとからなる駆動装置であって、前記第1のモータ・ジェネレータの前記モーター作用による前記相対回転の作動が前記入力軸を介して前記フライホイールを加速駆動し且つ前記出口軸に制動をかけるフライホイール・エネルギ蓄積駆動装置。
- フライホイール(3)および原動機(1)が連動している入力軸(4a )と出口軸(4b )との相対回転によって作動する第1のモータ・ジェネレータと、前記出口軸を介して駆動輪に連動する出力軸(6)と、前記駆動輪あるいは他の駆動輪のいずれかに連動する第2のモータ・ジェネレータとからなる駆動装置の制御であって、且つ前記駆動輪に回生制動をかける場合において前記第2のモータ・ジェネレータに発電作用をさせ、その発電作用によって発電した電力によってモーター作用を行う前記第1のモータ・ジェネレータが前記相対回転の作動によって前記入力軸を介して前記フライホイールを加速駆動する制御であって、且つ前記第2のモータ・ジェネレータが前記出力軸に連動している場合に相当したその出力軸に回生制動トルクT2の値を指示する制御において、
前記出力軸の回転角速度ω2と前記入力軸の回転角速度ω1との比をω1/ω2=ed とし、前記入力軸と前記出口軸との前記相対回転が前記第1のモータ・ジェネレータの前記モーター作動を停止する状態における前記edをecdとし、前記第2のモータ・ジェネレータの駆動軸、その第2のモータ・ジェネレータおよび前記第1のモータ・ジェネレータを介してその第1のモータ・ジェネレータの出力軸に至る迄の間の動力伝達効率をηeとし、
Tg={(ed - ecd )×T2}/[ed -{ecd×(1 - ηe )}]
の関係式によってトルクTgを求め、前記第2のモータ・ジェネレータの発電がその第2のモータ・ジェネレータの駆動軸へその求めたトルクTgを発生させる制御を行うフライホイール・エネルギ蓄積駆動の制御方法。 - 反力軸(41f )、入力軸(4a )および出口軸(4b )を有した差動歯車(41)において、前記反力軸には第1のモータ・ジェネレータ(40)が連動し、前記入力軸にはフライホイール(3)と原動機(1)が連動し、前記出口軸(4b )は出力軸(6)を介して車両における駆動輪に連動し、第2のモータ・ジェネレータ(5)は前記車両における前記駆動輪あるいは他の駆動輪のいずれかに連動し、前記駆動輪に回生制動をかける場合において前記第2のモータ・ジェネレータに発電作用をさせ、その発電作用によって発電した電力によってモーター作用を行う前記第1のモータ・ジェネレータは前記反力軸、前記差動歯車および前記入力軸を介して前記フライホイールを加速駆動する制御であって、前記第2のモータ・ジェネレータが前記出力軸に連動している場合に相当したその出力軸に回生制動トルクT2の値を指示する車両の制御において、
前記出力軸の回転角速度ω2と前記入力軸の回転角速度ω1との比をω1/ω2=edとし、前記反力軸を固定させた状態における前記edを基準速度比ecdとし、前記反力軸から前記差動歯車を介して前記出口軸へトルクが伝達するトルク効率をηm2とし、前記第2のモータ・ジェネレータの駆動軸、その第2のモータ・ジェネレータおよび前記第1のモータ・ジェネレータを介して前記反力軸に至る動力伝達効率をηeとし、
Tg ={(ed - ecd ) ×T2 }/ [ed −{ ecd×(1−(ηe×ηm2))}]
の関係式によってトルクTgを求め、前記第2のモータ・ジェネレータの発電がその第2のモータ・ジェネレータの駆動軸へその求めたトルクTgを発生させる制御を行うフライホイール・エネルギ蓄積駆動の制御方法。
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