JP2008259687A - ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】ミシン釜に収容されるボビンに巻かれている下糸残量をより好適に検出することができると共に、縫製において下糸不足を起こす可能性をより低減することができる下糸残量検出装置を備えたミシンを提供する。
【解決手段】ミシンは、光出力部11と受光部12とを備えた検出部10と制御装置60のCPU61とEPROM62とによって構成される下糸検出装置を備える。EPROMには受光部12が検知する光の透過光量の基準値が記憶されており、制御装置60は受光部12から出力された透過光検知信号が示す光の透過光量と基準値とを比較し、当該透過光量が基準値を超えた場合は下糸残量が所定量を下回ったと判断する。また、ミシンに備えられたボビンの軸部には予備巻き部が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ミシンのミシン釜内に収容されるボビンに巻かれている下糸の残量を検出するミシンの下糸残量検出装置を備えたミシンに関する。
従来、ミシンにおいて、下糸が巻かれたボビンは、ミシンの針棒の下方におけるミシンベッド部内のミシン釜に装着されるため、縫製中に下糸の残量を視認して確認することができない。そのため、ボビンに巻かれた下糸の残量を検出する下糸検出装置を備え、下糸がなくなる前に、下糸を補充すべきタイミングであって、ボビンを交換するタイミングを作業者に認識させることを可能にしたミシンが提案されている。
この下糸の検出に関して、ガイド溝を設けたボビンにおいてボビンの下糸残量に応じて当該ガイド溝内を摺動可能に移動する糸検知体と、糸検知体と連動する披検知帯の変位を検知する検知器とによって下糸の残量を検出する構成(特許文献1)や、ボビンの糸巻き部に光を出力する光出力部と当該光を受光する受光部とを備え、受光部によって検出される糸巻き部の下糸残量に応じて減衰する当該光の強さに基づいて下糸の残量を検出する光学式下糸残量検出装置の構成(特許文献2)が知られている。
図11は特許文献1に基づく従来の下糸残量検出装置の構成の一部を示す説明図である。
ミシンの釜部200は、その内釜208の内側にボビン201とボビンケース204とが設けられている。ボビン201はその軸部において、一段細い軸部であって、下糸の巻き始め端部側が巻き付けられる予備巻き部202aと、検出部材207と係合する切欠が設けられた残量検出部202bとが設けられている。また、ボビン201のフランジ部203aにも検出部材207と係合する切欠が設けられている。ボビンケース204は、コイルばね206の弾性によってボビン201が設けられた方向へと移動する力を受けるよう設けられた被検出部材205が204の中心に設けられた軸部と摺動可能に設けられている。検出部材207は上述のようにボビン201の残量検出部202bに設けられた切欠と係合し、ボビン201のフランジ部203a、203bの面部とほぼ直交する方向について移動可能に設けられている。
また、検出部材207は被検出部材205の端部と係合することで、被検出部材205に生じているボビン201が設けられた方向へと移動する力を受け、ボビン201のフランジ部203aの位置からフランジ部203bの位置へ向かう方向への押圧力を受けている。一方、ボビン201には予備巻き糸211と通常巻き糸212からなる下糸210が巻きつけられており、通常巻き糸212によって検出部材207の爪が係止されている。また、検出部材207が係止されることに伴い、被検出部材205の移動も抑止されている。
さらに、ミシンの釜部200を備えたミシンは図示しない検出装置を備える。検出装置は、被検出部材205の移動を非接触で検知するセンサーである。
ミシンの釜部200を備えたミシンによる縫製作業が行われると、下糸210の通常巻き糸212がなくなり、検出部材207を係止するものがなくなる。よって、コイルばね206の弾性によってボビン201が設けられた方向へと移動する力を受ける被検出部205を介して、検出部材207がボビン201のフランジ部203aの位置からフランジ部203bの位置へ向かう方向へと移動する。これによって被検出部材205もコイルばね206の弾性によってボビン201が設けられた方向へと移動する。図示しない検出装置は被検出部材205の移動を検知することで、下糸210の通常巻き部212が消費されたことを検知し、オペレータへと報知する。
また、下糸210の通常巻き部212がなくなっても、予備巻き部211があるので、下糸の残量に余裕を持った状態で下糸の残量が少なくなったことを報知可能である。
図12は特許文献2に基づく従来の下糸残量検出装置の構成の一部を示す説明図である。
ミシンの釜部300は、その内釜303に設けられてボビンケース302に収められているボビン301の軸部に対して略平行の光を出力する光出力部311と、ミシンの釜部300の底部に設けられて略平行の光を出力する光出力部313と、光出力部311,312の光を受光する受光部313,314とを備える。また、外釜304、内釜303、ボビンケース302及びミシンの釜部300の各部には光出力部311,312の光が出力される方向について受光部313,314にその光が届くようそれぞれ開口部が設けられている。
また、光出力部312,313、受光部313,314は図示しない制御装置に接続され、受光部313,314が受光した光によってボビン301に巻きつけられた下糸の残量を検出するようになっている。
ボビン301に下糸が十分に巻きつけられている場合、光出力部311の光はボビン301に巻きつけられた下糸によって遮られ、受光部313が光を検知することは無い。この場合、制御装置は下糸が十分にあると判別する。
ミシンの釜部300を備えたミシンによる縫製作業が行われ、ボビン301の下糸が消費されると、光出力部311の光が受光部312に届くようになるので、受光部312は光を検知したことを制御装置に出力する。この場合、制御装置は下糸が少なくなったと判別する。なお、このとき受光部312が検知する光の強さは、下糸の残量だけではなく、縫製作業等によって発生する綿埃等によって光が遮られることによって減衰する。
一方、光出力部313から出力された光は受光部314によって検知される。このとき、受光部314が検知する光の強さは、縫製作業等によって発生する綿埃等によって光の一部が遮られることで減衰する。つまり、受光部314が検知する光の強さを制御装置に出力することで、制御装置はミシン300の釜部の綿埃等の積もり具合を検知することが可能となる。制御装置は受光部314によって検知された光の強さに基づき受光部312が検知した光の強さに補正を加え、下糸の残量を検出する。
実開昭55−017563号公報 特開平1−126996号公報
しかしながら、上記特許文献1の場合、下糸210の通常巻き部212の残量が少なくなると、検出部材207を係止する支持力が弱くなる。このとき、検出部材207は被検出部材205から受ける押圧力によって移動し、通常巻き部212に巻かれた下糸をフランジ部203bが設けられた方向へと圧縮する。このため、通常巻き部212の下糸がフランジ部203b側に寄ってしまう。一方、被検出部材205は検出部材207の移動に伴って移動しているので、検出装置は下糸が減ったものと判別する。
つまり、通常巻き部212に下糸がまだ残っているにも関らず、被検出部材205が移動してしまうことで、下糸の残量を誤検出するといった問題点があった。
また、上記特許文献2の場合、受光部314によって検知される綿埃等の量は、必ずしも受光部312が検知する光を減衰する綿埃等の量と一致しない。そのため、受光部312によって検知される光の強さに基づく下糸残量の検出には誤差があった。例えば受光部314によって検知された綿埃量よりも受光部312が検知する光を減衰する綿埃量の方が多かった場合、受光部312の検知する光はより減衰する。この条件で制御装置によって下糸残量が少なくなったと判別された際には下糸残量が本来の設定よりもより消費された状態となっており、縫製作業において下糸切れを起こす可能性があるといった問題点があった。このため、残量有りと判定しながら下糸切れを発生させることがないように、下糸なしと判定するための光の強さの設定値を完全に糸が存在しない場合の光強度よりも高めに設定せざるを得ないという問題があった。
本発明の目的は、ミシン釜に収容されるボビンに巻かれている下糸残量をより好適に検出することができると共に、縫製において下糸不足を起こす可能性をより低減することができる下糸残量検出装置を備えたミシンを提供することである。
請求項1記載の発明は、ミシンのミシン釜内に収容されるボビンに巻かれている下糸の残量を検出するミシンの下糸残量検出装置を備えたミシンであって、前記ボビンの軸部には軸方向について一部が小径となる予備巻き部が形成されており、前記下糸残量検出装置は、前記ボビンの前記予備巻き部以外の軸部に向けて光を出力する光出力部と前記光出力部から出力された光を受光する受光部とを有する検出部と、前記検出部における前記受光部が受光する光の強さに基づき、前記ボビンの下糸の残量を判断する判断手段と、前記検出部における受光部が受光する光の強さの基準値を記憶する記憶手段と、を備え、前記判断手段は、前記検出部における受光部が受光する光の強さが前記基準値を超えた場合に、前記ボビンの下糸の残量が所定量を下回ったと判断することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のミシンであって、複数の工程に区切られた一連の縫製パターンに従って縫いを実行する制御を行う制御装置を備え、前記制御装置は、縫製中に前記判断手段によって前記ボビンの下糸の残量が所定量を下回ったと判断された場合は、その後の最初の区切りで縫製を停止することを特徴とする。
請求項2における「所定針数内に設けられた区切り」とは縫製作業中に発生する縫製以外の作業を行うタイミング(例えば糸切りや、縫いパターンの変更等)とする。
請求項3記載の発明は、請求項2に記載のミシンであって、下糸の交換が行われたことをミシンに入力する入力手段を備え、前記入力手段によって下糸の交換が行われたことが入力されるまで縫製を再開しないことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかひとつに記載のミシンであって、前記ボビンは、少なくとも軸部において光が貫通可能な光貫通部を有し、前記検出部の光出力部は前記ボビンの前記光貫通部に向けて光を出力し、前記検出部の受光部は前記光出力部から出力されて前記光貫通部を通過した光を受光することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれかひとつに記載のミシンであって、前記ボビンには複数の予備巻き部が形成されており、前記ボビンの予備巻き部に対して光を出力する光出力部と前記光出力部から出力された光を受光する受光部とを有する他の検出部をさらに設け、各検出部の受光部が受光する光の強さが基準値を超えるごとに段階的に残量が下回ったことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれかひとつに記載のミシンであって、前記判断手段に基づく前記ボビンの下糸残量を報知する報知手段を備え、前記報知手段は、前記判断手段によって前記ボビンの下糸の残量が所定量を下回ったと判断されたときに前記ボビンの下糸の残量を報知することを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、判断手段は受光部が受光する光の強さと記憶手段に記憶された基準値とによって下糸の残量を判断する。そして、ボビンには予備巻き部が設けられているので、縫製作業中に下糸残量が所定量を下回った場合であっても、縫製を中断することなく当該縫製作業を完了させた上で下糸を交換することが可能となる。よって、下糸切れを起こすことでミシンによる縫製作業の効率が落ちるといった問題点や、下糸が残りすぎているにも関らず下糸交換のために縫製を中断してしまうことでミシンによる縫製作業の効率が落ちるといった問題点を解消でき、ミシンによる縫製作業の効率が大幅に向上する。
さらに、確実に予備巻き部の分だけ糸を確保できるので、残量有りと判定しながら下糸切れを発生させることがないことから、下糸なしと判定するための光の強さの設定値を完全に糸が存在しない場合の光強度に近い値に設定することができ、検出精度の向上を図ることが可能となる。
請求項2記載の発明によれば、制御装置は下糸の残量の低減を検出後の区切りにおいて縫製作業を自動的に停止する。これによって、下糸交換のタイミングが自動的に設けられる。よって、下糸の残量が所定量を下回った状態で縫製作業を継続したために下糸切れを起こしてしまうといった問題点や、下糸の交換にそぐわないタイミングで下糸を交換するために縫製を中断してしまった結果ミシンによる縫製作業の効率が落ちるといった問題点を解消することが可能となり、ミシンによる縫製作業の効率がより向上する。なお、各工程の区切りとは、例えば、各工程の間で糸切りが行われる場合などが該当する。
請求項3記載の発明によれば、制御装置は下糸交換が行われたことが入力手段によって入力されない限り、上述の縫製作業の自動的停止後の縫製作業を再開しない。よって、下糸の残量が不足している状態で誤って縫製作業を再開して下糸切れを起こす可能性をなくすことが可能となる。よって、ミシンによる縫製作業の効率がより向上する。
請求項4記載の発明によれば、光出力部はボビンに設けられた光貫通部に光を出力し、受光部は光貫通部を通過した光を受光する。これによって、従来技術のようにボビンの軸部の近傍を通過する光を受光部が受光する仕組みにおいて、ボビンががたつくことでボビンの軸部と光の通過点との距離が変動し、下糸の残量検出に誤差が生じる可能性があるといった問題点を解消することが可能となる。よって、下糸残量検出装置の信頼性がより向上し、ミシンによる縫製作業の効率がより向上する。
請求項5記載の発明によれば、ボビンに複数の予備巻き部が設けられて、制御装置は当該ボビンに巻きつけられた下糸の残量を段階的に検出する。これによって、下糸の残量をより詳細に検出することが可能となり、オペレータは縫製作業に伴う下糸の消費をより好適に把握することができる。つまり、当該縫製作業に要する下糸の量をより好適に把握でき、その後同様の縫製作業を行う場合に最適な下糸の量を設定できる。よって、ミシンによる縫製作業の効率がより向上する。
請求項6記載の発明によれば、判断手段によって下糸の残量が所定量を下回った場合に報知手段によって下糸の残量が所定量を下回ったことが報知される。このとき、上述のようにボビンには予備巻き部が設けられているので、下糸の残量には最低限の余裕がある。よって、オペレータは下糸の残量が所定量を下回った後の縫製作業において下糸を交換するタイミングをより好適に選定でき、ミシンによる縫製作業の効率がより向上する。
(実施形態の全体構成)
以下、図面を参照して、本発明に係るミシンの実施形態について詳細に説明する。
本発明によるミシンは、ミシンのミシン釜内に収容されるボビンに巻かれている下糸の残量を検出する下糸残量検出装置を備えたミシンである。
図1はミシンの要部構成を示すブロック図であり、図2はミシン釜近傍の構成を示す説明図である。図3はミシン釜近傍の構成を図2の光軸に沿った断面で示した断面図である。
ミシン100は、図1及至図3に示すように、ボビン1における光透過性を有する軸部2に向けて光を出力する光出力部11と、光出力部11から出力されて軸部2に設けられた光貫通部2bを透過した光を受光する受光部12とを有する検出部10と、ミシンのミシン主軸(図示省略)を回転させるミシンモータ30と、ミシン主軸(図示省略)の軸角度を検出するエンコーダ40と、ボビン1の下糸残量が所定量以下になったことを報知する「報知手段」として機能すると共に、下糸の交換が完了したことをミシン100に入力する「入力手段」として機能する入力表示部50と、検出部10の受光部12によって検出された透過光の透過光量の基準値を記憶する「記憶手段」と受光部12によって検出された透過光の透過光量が当該基準値を超えた場合に下糸残量が所定量以下になったことを判別する「判断手段」とを備えると共に、ミシン100による縫製作業の各種処理を行う制御装置60と、ミシン100の動作と停止とを切替可能な動作スイッチ90等を備えている。
なお、ミシン100の下糸残量検出装置は、検出部10と制御装置60とによって構成される。検出部10と制御装置60とによって下糸残量が検出される仕組みについては後述する。
また、ミシン100は被縫製物としての布地を固定する布押え(図示省略)と、布押えを針板に沿った水平面上で移動させる布移動機構(図示省略)とを備えている。布移動機構は上述の制御装置60によって制御され、ミシン針の上下動に連動して布押えを移動させる。
また、ボビン1を収容するミシン釜70は、図2及び図3に示すように、下糸が巻かれたボビン1が装着される内釜71と、内釜71の外側に回転可能に備えられる外釜72等を有している。
この内釜71と外釜72には、図3に示すように、検出部10の光出力部11が出力した光をボビン1に向けて照射し、ミシン釜70を通過した当該光を受光部12が検出するための複数の開口711,711,721,721が形成されている。
このミシン釜70は、例えば、垂直全回転釜であって、図示しないミシン主軸の回転に連動して回転する下軸(図示省略)に連結されており、図示しない下軸の回転に応じてミシン釜70(外釜72)が回転するようになっている。
なお、ミシンのミシン主軸が回動することによって、ミシン針を備える針棒が上下動するとともに、連動して回転する下軸によってミシン釜70が回転する。そして、上糸を供給するミシン針と下糸を供給するミシン釜70との協働によって、縫い目が形成される。さらに、針棒の上下動に連動して上述のように布押えが布移動機構によって移動し、ミシン100による縫製作業が行われる。このミシン針、針棒、ミシン主軸、下軸、ミシン釜70、布押え、布移動機構等の接続構成や動作は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
また、ボビン1は、図3に示すように、下糸が巻回される軸部2と、軸部2の両側に設けられる円盤状のフランジ部3とを有している。
軸部2の一端側には、一段細い軸部であって、下糸の巻き始め端部側が巻き付けられる予備巻き部2aが形成されている。この予備巻き部2aを埋めるように下糸が巻回された後、軸部2全体に下糸が巻回されるようになっている。
また、ボビン1は、例えば、透明な樹脂によって成型されてなり、特に、軸部2の光貫通部2bは光透過性を有するようになっている。この光貫通部2bは、軸部2を中心とする全方位が透過可能である。つまり、軸部2の断面全体が軸方向の一部の範囲について透明となっている。
(検出部)
検出部10は、光出力部11と受光部12を有しており、光出力部11と受光部12はミシン釜70における外釜72の外側であって、ミシン釜70内のボビン1、特にボビン1の軸部2を挟んで対向する位置に配されている。特に、光出力部11は、軸部2の光貫通部2bに向けて光を出力する位置に配されている。
光出力部11は、例えば、狭指向性の発光ダイオードであり、略平行な光を出力する発光素子である。
受光部12は、例えば、フォトトランジスタ、フォトダイオードなどの光センサであり、光出力部11が出力した照射光を検知する受光素子である。
ここで、ミシン釜70の内釜71の検出部用の開口711と、外釜72の検出部用の開口721は、、4つの開口(721、711、711、721)がボビン1の軸部2に設けられた光貫通部2bを挟んで連通する配置(図4(a)の状態)となるミシン主軸角度が既知であり、
この位相タイミングにおいて、光出力部11が出力した光を各開口及び軸部2の光貫通部2bを通じて受光部12が検出するようにそれぞれ制御される。
なお、上述の位相タイミングの算出及び光出力部の制御はエンコーダ40によって検出されるミシン主軸の軸角度に基づき制御装置60によって行われる。
この検出部10は、ボビン1の軸部2の光貫通部2bに向けて光出力部11が出力した光を、受光部12が受光するようになっているので、ボビン1の軸部2に下糸が多く巻かれている際には、その出力された光は下糸束に当たり光貫通部2bを透過することができないため、受光部12はその光を検知できない。そして、ボビン1の軸部2に巻かれている下糸が少なくなった際、又は軸部2に巻かれている下糸がなくなった際に、その出力された光が軸部2の光貫通部2bを透過するようになり、受光部12がその光を受光して検知するようになっている。
特に、光出力部11は、軸部2の予備巻き部2a以外の軸部部分に設けられた光貫通部2b向けて光を出力するようになっているので、下糸残量が予備巻き部2a以外に巻かれている下糸が少なくなった時或いはなくなった場合にのみその光出力部11が出力した照射光が好適に光貫通部2bを透過することができることとなって、受光部12が透過光を受光して検知することが可能になっている。
そして、受光部12が光出力部11による照射光、特にボビン1の軸部2に設けられた光貫通部2bを透過した透過光を検知すると、検出部10は、透過光検知信号を制御装置60に出力する。透過光検知信号は受光部12によって検知された透過光の透過光量を示す値をその信号内に情報として含んでおり、制御装置60は透過光検知信号が入力されることで受光部12が透過光を検知したことと当該透過光の透過光量とをパラメータとして扱うことが可能となる。
なお、透過光の透過光量と下糸残量との関係については後述する。
(入力表示部)
入力表示部50は、例えば、ミシンにおける操作パネルなどの液晶表示パネルであって、各種データ等が表示可能になっている。
そして、ミシン100の「報知手段」として機能する入力表示部50は、制御装置60のCPU61によって上述のように下糸の残量が所定量を下回ったと判断された際に、制御装置60の制御に従い、ボビン1の下糸残量が所定量以下になったことを作業者に報知するように、所定のメッセージを表示するようになっている。
また、後述する制御装置60が下糸の残量が所定量以下になったことに伴いミシン100による縫製作業を停止した際に、ミシン100の「入力手段」として機能する入力表示部50は、制御装置60の制御に従いボビンの交換を促すメッセージを表示すると共に、ボビンを交換することで下糸を補給する作業が終わったことをミシンに入力するためのボビン交換完了確認ボタンを表示する。このとき、オペレータによってボビンが交換された後にボビン交換完了確認ボタンが押下されると、入力表示部50は制御装置60にボビン交換完了確認ボタンが押下されたことを示す信号を出力する。
(制御装置)
制御装置60は、例えば、各種の演算処理等を行うCPU61と、このCPU61のワークエリア等として使用されるRAM62と、CPU61により実行される各種制御プログラム及びデータ等が格納される書き換え可能な記憶装置としてのEPROM63等を備えて構成されている。
EPROM63には、検出部10の受光部12が検出する透過光の透過光量の基準となる基準値が記憶されている。上述のように受光部12によって透過光検知信号が制御装置60に入力されると、制御装置60のCPU61は透過光検知信号に含まれる光の強さを示す値と基準値とを比較する。当該光の強さを示す値が基準値を超えると、制御装置60のCPU61は下糸の残量が所定値を下回ったと判断する。
つまり、制御装置60のEPROM63は透過光の透過光量の基準となる基準値を記憶する「記憶手段」として機能する。また、制御装置60のCPU61は透過光検知信号に含まれる光の強さを示す値と基準値とを比較して下糸の残量を判断する「判断手段」として機能する。よって、検出部10の光出力部11によって出力された光を受光部12が検知し、その透過光の透過光量と基準値とによって制御装置60が下糸の残量を判断することから、検出部10及び制御装置60は下糸残量検出装置として機能する。
また、制御装置60のEPROM63には縫製の手順を示す縫製プログラムが記憶されている。縫製プログラムはミシン100による縫製における縫いパターン、縫いのストローク、針数、糸切りのタイミング及び縫製の終了等の一連の縫製作業内容及びその順番をその記憶内容として保有している。また、この縫製プログラムは、複数工程からなる縫いの実行に要する各種のパラメータが含まれており、各工程の「区切り」をしめす糸切りの実行コマンドが設定されている。制御装置60が当該縫製プログラムの内容に従ってミシン100の各部を制御することにより、ミシン100による縫製作業が行われる。
また、縫製プログラムに従った縫製作業の実行中に、上述の下糸残量の判断によって下糸が所定量を下回ったと判断された際、制御装置60のCPU61は縫製プログラムの「区切り」の時点で縫製作業を一時的に停止するようミシン100の各部を制御する。
ここで、縫製プログラムの「区切り」について説明する。縫製プログラムはその一連の縫製作業内容の中で下糸が途切れても縫製作業全体に差し支えないタイミングを「区切り」として定義している。例えば糸切りの実行が縫製作業内容に含まれている縫製プログラムの場合、糸切りと糸切り後の縫製作業との間が「区切り」として定義されている。これによって、縫製プログラムに従った縫製作業中に下糸の残量が所定量以下になったことでボビンの交換が必要になった場合、その後、最初に実行される糸切りで縫製が停止され、次の工程の縫製作業を始める前に下糸を交換することが可能となる。
さらに、上述の「区切り」を迎えるまでの縫製作業における下糸はボビン1の軸部2に設けられた予備巻き部2aに巻かれた下糸によって確保されているので、下糸の残量が所定量以下になった後も「区切り」を迎えるまでは縫製を継続しても下糸が途切れることはない。なお、予備巻き部2aには、縫製プログラムのいずれの工程であっても当該各工程一つ分の下糸消費量を超える分量の下糸を巻くことができるようにその大きさが設定されている。
つまり、縫製プログラムに下糸に切れ目が生じても差し支えない「区切り」を定義することで、縫い目の途中で交換前の下糸の終端と交換後の下糸の始端との間に生ずる下糸の切れ目あるいは下糸の締結が発生することを防ぐことが可能となることに加え、縫い目形成の途中で下糸がなくなることにより縫い目が形成できなくなるといった問題点を解消することが可能となる。
また、制御装置60は、下糸の残量が所定値を下回ったと判断した際、ボビン1の下糸残量が所定量以下になったことを報知するように、所定のメッセージを入力表示部50に表示させる。
また、制御装置60は、下糸の残量が所定量以下になったことに伴いミシンによる縫製作業を停止した際に、オペレータにボビンの交換を促すガイドメッセージを入力表示部50に表示させる。さらに、ボビンを交換することで下糸を補給する作業が終わったことを制御装置60に入力するためのボビン交換完了確認ボタンとボビンの交換後にボビン交換完了確認ボタンを押下するよう案内するガイドメッセージとを入力表示部50に表示させる。
さらに、入力表示部50によってボビン交換完了確認ボタンが押下されたことを示す信号が入力されると、制御装置60のCPU61はボビンが交換されたことで下糸が補給されたと判断し、一時的に停止していた縫製プログラムによる縫製作業を再開するようミシン100の各部を制御する。
(動作スイッチ)
動作スイッチ90は、ミシン100のフレーム部(図示省略)の所定位置に設けられ、ミシン100の動作と停止とを切替可能に制御する。動作スイッチ90はミシン100の停止とミシン100の動作との2つの状態を切り替えるスイッチである。
動作スイッチ90によってミシン100が停止した際、制御装置60のCPU61はミシン100の各部を停止させる。これによってミシン100による縫製作業は停止する。このとき、ミシン100が縫製プログラムに従った縫製作業を行っている最中であった場合は当該縫製プログラムによる縫製作業が強制的に停止され、ミシン100による縫製作業が終了する。また、動作スイッチ90がミシン100の停止を選択している状態ではミシン100による縫製作業は行えない。
動作スイッチ90がミシン100の動作を選択している際は、ミシン100による縫製作業が可能となる。
(透過光の透過光量と下糸残量との関係)
次に、受光部12が検知する透過光の透過光量と下糸残量との関係について、図5を用いて詳細に説明する。
図5は図3に示す構成において光出力部11が出力した光が受光部12によって検知される仕組みを示す説明図である。図5(a)は下糸の残量が十分にある場合、図5(b)は下糸の残量が少なくなった場合、図5(c)は予備巻き部2aに巻かれた下糸以外の下糸が消費された場合を示す。
まず、ボビン1がミシン釜70に設置されるとき、ボビン1の軸部2には十分な下糸が巻かれている。このとき、軸部2に巻かれた下糸は厚い層となって軸部2の光貫通部2bの周囲を覆っており、光出力部11から光貫通部2bに向けて出力される光Lは下糸によって遮られる。つまり、図5(a)に示すように光出力部11の光Lは下糸によって遮断され、受光部12に届かない。よって、受光部12から透過光検知信号が制御装置60に出力されることはない。
その後、縫製作業が進むことによってボビン1の軸部2に巻かれた下糸が消費されると、図5(b)に示すように、軸部2に巻かれた下糸の量が減少する。これによって、軸部2の光貫通部2bの周囲を覆う下糸の層が薄くなる。このとき光出力部11から出力される光Lは光貫通部2bを薄く覆う下糸によって減衰するものの、光Lの一部が受光部12に検知される。
その後、さらに縫製作業が進むことによってボビン1の軸部2に巻かれた下糸が消費されると、図5(c)に示すように、予備巻き部2aに巻かれた下糸以外の下糸が完全に消費される。これによって、軸部2の光貫通部2bの周囲を覆っていた下糸が完全になくなる。このとき光出力部11から出力される光Lは透過光量最大の透過光として受光部12に検知されることとなり、受光部12は透過光量最大を示す値を含んだ透過光検知信号を制御装置60に出力する。
(透過光量と基準値との関係)
次に、受光部12によって検出される透過光の透過光量と制御装置60のEPROM63に記憶された基準値との関係について図6を用いて詳細に説明する。
図6は下糸の残量と透過光の透過光量との関係を示すグラフである。ここで、図6のT1はボビン1の軸部2に設けられた予備巻き部2aに巻かれた下糸の残量を示し、T2は予備巻き部2a以外の下糸の残量を示す。
図6に示すように、透過光の透過光量は予備巻き部2a以外の下糸の残量T2によって決定する。上述のように、縫製作業が進むことによってボビン1の軸部2に巻かれた下糸が消費されると、軸部2の光貫通部2bの周囲を覆う下糸の層が薄くなり、透過光が減衰しながらも受光部12に届くようになる。当該透過光量は予備巻き部2a以外の下糸の残量T2が完全になくなる(0巻きになる)と最大となり、以降予備巻き部2aに巻かれた下糸の残量T1によって変動することはない。
このとき、制御装置60のEPROM63に記憶された基準値を透過光量最大値と等しい値とした場合、制御装置60のCPU61によって下糸の残量が所定量以下になったと判断されるのは図5(c)に示すように予備巻き部2a以外の下糸の残量T2が完全になくなった際となる。
また、制御装置60のEPROM63に記憶された基準値を透過光量最大値の50%程度の値とした場合、制御装置60のCPU61によって下糸の残量が所定量以下になったと判断されるのは図5(b)に示すように軸部2に巻かれた下糸の量が減少し、軸部2の光貫通部2bの周囲を覆う下糸の層が薄くなることで光Lの一部が受光部12に検知される状態において、受光部12に検知される透過光量が透過光量最大値の50%を上回った際となる。
つまり、制御装置60のEPROM63に記憶された基準値の値を変更することで、制御装置60のCPU61によって下糸の残量が所定量以下になったと判断される下糸の残量を調整することが可能となる。これによって、縫製作業ごとに要求される最低限必要な下糸残量に応じた基準値を設定することで、当該縫製作業に最適な下糸残量を確保可能となる。
なお、上述の基準値の記載は一例であり、上述の値に限定されないことは言うまでもない。例えば透過光量最大値の10%程度の値を基準値とし、透過光検知信号が生じ始めたごく初期段階から下糸の残量が所定量を下回ったと制御装置60のCPU61が判断するようにしても構わない。
(ミシン100による縫製作業時の動作)
次に、本発明に係るミシン100による、下糸残量検出処理を含んだ縫製処理について、図7に示すフローチャートに基づき説明する。
まず、ミシンが起動して、縫製プログラムに従った縫製動作が実行される(ステップS1)。即ち、縫製プログラムに含まれた複数の工程が順番に実行され、各工程ごとに糸切りが順次実行される。
次に、縫製プログラムによる縫製作業の指示が継続しているかどうか判別する(ステップS2)。縫製プログラムが縫製作業の終了を示した場合(ステップS2:YES)、制御装置60は当該縫製プログラムによる縫製作業を終了させるよう各部を制御し、ミシン100による縫製を終了する。そうでない場合(ステップS2:NO)、制御装置60は当該縫製プログラムに基づく縫製作業の実行を継続するようミシン100の各部を制御する。
次に、制御装置60は動作スイッチ90の状態を読み込む(ステップS3)。制御装置60はステップS3にて読み込んだ動作スイッチ90の状態に基づき、動作スイッチ90によってミシン100を停止する操作がされていないかどうか判別する(ステップS4)。動作スイッチ90によってミシン100の停止が選択されている場合(ステップS4:YES)、制御装置60は当該縫製プログラムによる縫製作業を終了させるよう各部を制御し、ミシン100による縫製を終了する。そうでない場合、即ち動作スイッチ90によってミシン100の動作が選択されている場合(ステップS4:NO)、制御装置60は当該縫製プログラムに基づく縫製作業の実行を継続するようミシン100の各部を制御する。
次いで、エンコーダ40により検出されるミシン主軸の軸角度に基づいて、所定の位相タイミングに光出力部11が出力した光を受光部12が受光して検知する検出部10による光検出を行う(ステップS5)。
そして、制御装置60は、透過光検知信号に含まれた透過光の透過光量を示す値が基準値を超えているかどうか判別する(ステップS6)。透過光検知信号に含まれた透過光の透過光量を示す値が基準値未満であった場合、又は透過光検知信号が受光部12から出力されなかった場合(ステップS6:NO)、制御装置60は当該縫製プログラムに基づく縫製作業の実行を継続するようミシン100の各部を制御する。即ちステップS2に戻る。
ステップS6において透過光検知信号に含まれた透過光の透過光量を示す値が基準値を超えている場合(ステップS6:YES)、制御装置60はボビン1の下糸残量が所定量以下になったことを報知するよう所定のメッセージを入力表示部50に表示させる(ステップS7)。また、このとき制御装置60は現在の工程が縫製プログラムに従った一連の縫製作業の中に定義された「区切り」であるかどうか判別する(ステップS8)。現在の工程が「区切り」でない場合(ステップS8:NO)、制御装置60は当該縫製プログラムに基づく縫製作業の実行を継続するようミシン100の各部を制御する。即ちステップS2に戻る。
ステップS8において現在の工程が「区切り」である場合(ステップS8:YES)、制御装置60は当該縫製プログラムに基づく縫製作業の実行を一時的に停止するようミシン100の各部を制御すると共に、ボビンの交換を促すメッセージを表示すると共に、ボビンを交換することで下糸を補給する作業が終わったことをミシンに入力するためのボビン交換完了確認ボタンを入力表示部50に表示させる(ステップS9)。
ステップS9の後、オペレータによってボビンが交換され、ボビン交換完了確認ボタンが押下されると(ステップS10)、制御装置60は当該縫製プログラムに基づく縫製作業の実行を再開するようミシン100の各部を制御する(ステップS11)。その後、ステップS2に戻る。
上述のフローにおけるステップS2〜S11の処理の繰り返しは、ステップS2において縫製プログラムが終了を示した場合(ステップS2:YES)、あるいは動作スイッチ90によってミシン100の停止が選択された場合(ステップS4:YES)によって
ミシン100による縫製が終了するまで行われる。
(実施形態に示す下糸残量検出装置を備えたミシンの効果)
上述の実施形態によれば、制御装置60は受光部12が受光する光の強さと基準値とによって下糸の残量を判断する。
そして、ボビン1の軸部2には予備巻き部2aが設けられているので、縫製作業中に下糸残量が所定量を下回った場合であっても、縫製を中断することなく当該縫製作業を完了させた上で下糸を交換することが可能となる。よって、下糸切れを起こすことでミシンによる縫製作業の効率が落ちるといった問題点や、下糸が残りすぎているにも関らず下糸交換のために縫製を中断してしまうことでミシンによる縫製作業の効率が落ちるといった問題点を解消でき、ミシンによる縫製作業の効率が大幅に向上する。
さらに、確実に予備巻き部2aの分だけ糸を確保できるので、残量有りと判定しながら下糸切れを発生させることがないことから、下糸なしと判定するための光の強さの設定値を完全に糸が存在しない場合の光強度に近い値に設定することができ、検出精度の向上を図ることが可能となる。
また、例えば、EEPROM得63に記憶された基準値を入力表示部50等を用いて書き換え可能とした場合には、基準値は任意に設定可能となるので、基準値を縫製作業ごとに要求される最低限必要な下糸の量に応じて変更することで当該縫製作業に最適な下糸残量の確保が可能となる。
さらに、制御装置60は下糸の残量の低減を検出後、縫製プログラムに設けられた区切りにおいて縫製作業を自動的に停止する。これによって、下糸交換のタイミングが自動的に設けられる。よって、下糸の残量が所定量を下回った状態で縫製作業を継続したために下糸切れを起こしてしまうといった問題点や、下糸の交換にそぐわないタイミングで下糸を交換するために縫製を中断してしまった結果ミシンによる縫製作業の効率が落ちるといった問題点を解消することが可能となり、ミシンによる縫製作業の効率がより向上する。
さらに、制御装置60は下糸交換が行われたことが入力表示部50に表示されたボビン交換完了確認ボタンによって入力されない限り、上述の縫製作業の自動的停止後の縫製作業を再開しない。よって、下糸の残量が不足している状態で誤って縫製作業を再開して下糸切れを起こす可能性をなくすことが可能となる。よって、ミシンによる縫製作業の効率がより向上する。
さらに、光出力部11はボビン1の軸部2に設けられた光貫通部2bに光を出力し、受光部12は光貫通部2bを透過した光を受光する。これによって、従来技術のようにボビンの軸部の近傍を通過する光を受光部が受光する仕組みにおいて、ボビンががたつくことでボビンの軸部と光の通過点との距離が変動し、下糸の残量検出に誤差が生じる可能性があるといった問題点を解消することが可能となる。よって、下糸残量検出装置の信頼性がより向上し、ミシンによる縫製作業の効率がより向上する。
また、制御装置60によって下糸の残量が所定量を下回った場合に入力表示部50に所定のメッセージが表示されることによって下糸の残量が所定量を下回ったことがオペレータに報知される。このとき、上述のようにボビン1には予備巻き部2aが設けられているので、下糸の残量には最低限の余裕がある。よって、オペレータは下糸の残量が所定量を下回った後の縫製作業において下糸を交換するタイミングをより好適に選定でき、ミシンによる縫製作業の効率がより向上する。
(他の実施形態)
上述の実施形態とは異なる他の実施形態について、図8を用いて詳細に説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明は省略するものとする。
図8は複数の予備巻き部が設けられたボビンと、複数の検出部を備えるミシンのミシン釜近傍の構成を示した説明図である。
図8に示すように、ミシン100Aのボビン1Aは、メインの軸部2Aに対して一段細い軸部であって、下糸の巻き始め端部側が巻き付けられる第1の予備巻き部2Aaと、軸部2Aと第1の予備巻き部2Aaの中間程度の太さの軸部であって、予備巻き部2Aaの巻き終わりから軸部2Aの巻き始めまでの糸が巻きつけられる第2の予備巻き部2Abと、が形成されている。
また、ボビン1Aは、例えば、透明な樹脂によって成型されており、特に、軸部2Aの光貫通部2Ac、2Adは光透過性を有するようになっている。このとき、光貫通部2Acは第1の予備巻き部2Aa及び第2の予備巻き部2Ab以外の軸部2Aの所定位置に設けられている。また、光貫通部2Adは第2の予備巻き部の軸部の所定位置に設けられている。
また、ミシン100Aは光出力部11Aから出力されて軸部2Aに設けられた光貫通部2Acを透過した光を受光する受光部12Aとを有する検出部10Aと、光出力部11Bから出力されて軸部2Aの第2の予備巻き部2Abに設けられた光貫通部2Adを透過した光を受光する受光部12Bとを有する検出部10Bとを備える。
また、ボビン1Aを収容するミシン釜70Aは、図8に示すように、下糸が巻かれたボビン1Aが装着される内釜71Aと、内釜71Aの外側に回転可能に備えられる外釜72A等を有している。
この内釜71Aと外釜72Aには、図8に示すように、検出部10Aの光出力部11Aが出力した光をボビン1Aに向けて照射し、ミシン釜70Aを通過した当該光を受光部12Aが検出するための複数の開口711A,711A,721A,721Aと、検出部10Bの光出力部11Bが出力した光をボビン1Bに向けて照射し、ミシン釜70Bを通過した当該光を受光部12Bが検出するための複数の開口711B,711B,721B,721Bが形成されている。
なお、4つの開口711A,711A,721A,721Aと図示しないミシン主軸におけるミシン縫製動作時の位相タイミングとの関係は上述の実施形態における4つの開口711,711,721,721と図示しないミシン主軸におけるミシン縫製動作時の位相タイミングとの関係と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、4つの開口711B,711B,721B,721Bと図示しないミシン主軸におけるミシン縫製動作時の位相タイミングとの関係についても同様である。
上述の構成によるミシン100Aの検出部10Aは、軸部2Aに巻きつけられた下糸が少なくなる、又はなくなることによって受光部12Aが透過光を検知すると、受光部12Aが検知した透過光の透過光量を示す値を含んだ第1の透過光検知信号を制御装置60に出力する。制御装置60は、第1の透過光検知信号が示す透過光の透過光量と基準値とを比較し、透過光の透過光量が基準値を超えている場合は、ボビン1Aに巻かれた下糸の残量が減り、残り僅かであることを作業者に予備的に報知するように、まもなく下糸残量警告報知が行われる旨の予備報知メッセージを入力表示部50に表示する。
また、検出部10Bは、軸部2Aに設けられた第2の予備巻き部2Abに巻きつけられた下糸が少なくなる、又はなくなることによって受光部12Bが透過光を検知すると、受光部12Bが検知した透過光の透過光量を示す値を含んだ第2の透過光検知信号を制御装置60に出力する。制御装置60は、第2の透過光検知信号が示す透過光の透過光量と基準値とを比較し、透過光の透過光量が基準値を超えている場合は、ボビン1Aに巻かれた下糸の残量がボビン1の下糸残量が所定量以下になったことを報知するように、所定のメッセージを入力表示部50に表示させる。その後、制御装置60は縫製プログラムの区切りの時点で縫製を一時的に停止し、ボビンの交換を促すメッセージを表示すると共に、ボビンを交換することで下糸を補給する作業が終わったことをミシンに入力するためのボビン交換完了確認ボタンを入力表示部50に表示させる。
(他の実施形態に示す下糸残量検出装置を備えたミシンの効果)
かかる他の実施形態によれば、上述の実施形態の発明の効果に加え、ボビン1Aに複数の予備巻き部2Aa,2Abが設けられ、制御装置60はボビン1Aに巻きつけられた下糸の残量を軸部2Aに巻きつけられた下糸の消費と第2の予備巻き部2Abに巻きつけられた下糸の消費とを段階的に検出する。これによって、下糸の残量をより詳細に検出することが可能となり、オペレータは縫製作業に伴う下糸の消費をより好適に把握することができる。つまり、当該縫製作業に要する下糸の量をより好適に把握でき、その後同様の縫製作業を行う場合に最適な下糸の量を設定できる。よって、ミシンによる縫製作業の効率がより向上する。
(その他)
なお、本発明は縫製プログラムに従った縫製を行うミシンならば他のミシン例えば電子制御のボタン付けミシンにも適用可能である。
また、ボビン1は透明な樹脂によって構成され、軸部2の断面全体が透過性を有する光貫通部2bにより検出部10の光出力部11が出力する光を透過させる仕組みとしているが、ボビン1Bの軸部においてフランジ部3Bの直径方向に軸部2Bを貫通する穴2Bbを設けることで光出力部11の光が通過するようにしてもよい。この場合、下糸の消費に伴って自由回転するボビン1Bによって穴2Bbの光出力部11に対する角度は下糸の消費のたびに変位し、尚かつ外釜に光透過を遮られるので、穴2Bbの光出力部11に対する角度によっては光出力部11の光が通過できなくなるが、図9(a),(b)に示すように複数の光検出部10を設けることでより好適に穴2Bbの角度に対して光出力部11の光を出力可能となる。なお、穴2Bbは複数であってもよい。
また、ボビンに透光部を設けず、図10に示すように光出力部11はボビン1Cの軸部2Cの近傍に向けて光を出力するようにしても構わない。
さらに、ボビンを全体が光透過性を有する素材で形成し、遮光性を有する塗装を全くしないようにしても良い。
なお、上述のボビン1B、1Cと検出部10との関係は、他の実施形態におけるボビン1Aと検出部10A,10Bにも適用可能であることは言うまでもない。
また、制御装置60の処理はソフトウェア処理によって行われているが、専用の装置でもよい。
また、入力表示部50は「報知手段」と「入力手段」とを兼ねているが、「報知手段」としての表示部と、「入力手段」としてのボビン交換完了確認ボタンとを別個に設けてもよい。また、ボビン交換完了確認ボタンは入力表示部50に表示されるタッチパネルスイッチに限らず、ミシンの所定位置に別途設けられたスイッチによるものでも構わない。
本発明の実施形態のミシンの要部構成を示すブロック図である。 ミシン釜近傍の構成を示す説明図である。 ミシン釜近傍の構成を図2とは別の角度から示した説明図である。 下糸残量検出装置が配されるミシン釜における第1検出部用の開口に関する説明図であり、平面説明図(a)と、斜視説明図(b)である。 図3に示す構成において光出力部11が出力した光が受光部12によって検知される仕組みを示す説明図である。図5(a)は下糸の残量が十分にある場合、図5(b)は下糸の残量が少なくなった場合、図5(c)は予備巻き部2aに巻かれた下糸以外の下糸が消費された場合を示す。 下糸の残量と透過光の透過光量との関係を示すグラフである。 ミシン100による下糸残量検出処理を含んだ縫製処理について示すフローチャートである。 複数の予備巻き部が設けられたボビンと、複数の検出部を備えるミシンのミシン釜近傍の構成を示した説明図である。 ボビン1Bの軸部2Bに設けられた穴2Bbにおいて、複数の検出部10の光出力部11から出力された光が通過する仕組みを示した説明図である。図9(a)は一方の光出力部11から出力された光が通過する場合、図9(b)は他方の光出力部11から出力された光が通過する場合を示す。 検出部10の光出力部11がボビン1Cの軸部2Cの近傍に向けて光を出力する場合を示す説明図である。 特許文献1に基づく従来の下糸残量検出装置の構成の一部を示す説明図である。 特許文献2に基づく従来の下糸残量検出装置の構成の一部を示す説明図である。
符号の説明
1 ボビン
2 軸部
2a 予備巻き部
2b 光貫通部
10 検出部
11 光出力部
12 受光部
40 エンコーダ
50 入力表示部
60 制御装置
61 CPU
63 EPROM
70 ミシン釜
71 内釜
72 外釜
90 動作スイッチ

Claims (6)

  1. ミシンのミシン釜内に収容されるボビンに巻かれている下糸の残量を検出するミシンの下糸残量検出装置を備えたミシンであって、
    前記ボビンの軸部には軸方向について一部が小径となる予備巻き部が形成されており、
    前記下糸残量検出装置は、
    前記ボビンの前記予備巻き部以外の軸部に向けて光を出力する光出力部と前記光出力部から出力された光を受光する受光部とを有する検出部と、
    前記検出部における前記受光部が受光する光の強さに基づき、前記ボビンの下糸の残量を判断する判断手段と、
    前記検出部における受光部が受光する光の強さの基準値を記憶する記憶手段と、を備え、
    前記判断手段は、前記検出部における受光部が受光する光の強さが前記基準値を超えた場合に、前記ボビンの下糸の残量が所定量を下回ったと判断することを特徴とするミシン。
  2. 複数の工程に区切られた一連の縫製パターンに従って縫いを実行する制御を行う制御装置を備え、
    前記制御装置は、縫製中に前記判断手段によって前記ボビンの下糸の残量が所定量を下回ったと判断された場合は、その後の最初の区切りで縫製を停止することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 下糸の交換が行われたことをミシンに入力する入力手段を備え、
    前記入力手段によって下糸の交換が行われたことが入力されるまで縫製を再開しないことを特徴とする請求項2に記載のミシン。
  4. 前記ボビンは、少なくとも軸部において光が貫通可能な光貫通部を有し、
    前記検出部の光出力部は前記ボビンの前記光貫通部に向けて光を出力し、前記検出部の受光部は前記光出力部から出力されて前記光貫通部を通過した光を受光することを特徴とする請求項1から3のいずれかひとつに記載のミシン。
  5. 前記ボビンには複数の予備巻き部が形成されており、
    前記ボビンの予備巻き部に対して光を出力する光出力部と前記光出力部から出力された光を受光する受光部とを有する他の検出部をさらに設け、
    各検出部の受光部が受光する光の強さが基準値を超えるごとに段階的に残量が下回ったことを判断することを特徴とする請求項1から4のいずれかひとつに記載のミシン。
  6. 前記判断手段に基づく前記ボビンの下糸残量を報知する報知手段を備え、
    前記報知手段は、前記判断手段によって前記ボビンの下糸の残量が所定量を下回ったと判断されたときに前記ボビンの下糸の残量を報知することを特徴とする請求項1から5のいずれかひとつに記載のミシン。
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