JP2008258320A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】湿式成膜法により形成された有機層を有する、長寿命な有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】陽極と、陰極と、該陽極と該陰極の間に配置された、1層または2層以上の有機層とを有する有機電界発光素子において、該有機層のうち、少なくとも1層は、分子量3000以上の有機化合物を含有せず、有機溶媒を0.01〜20mol%含有する有機電界発光素子。この有機溶媒含有層は湿式成膜法により形成された発光層であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機電界発光素子に係り、詳しくは湿式成膜法により形成された有機層を有する有機電界発光素子に関するものである。
コダック社による真空蒸着法を用いた有機電界発光素子(以下、有機EL素子と略称する場合がある。)の発表以来、有機ELディスプレイの開発が盛んに行われ、現在実用化されつつある。
このような有機EL素子では、陽極と陰極の間に、正孔注入層、発光層、電子輸送層などの有機層が形成される。これらの有機層の形成は、多くの場合、低分子系の有機材料を真空蒸着することにより行われている。しかし、真空蒸着法では均質で欠陥がない薄膜を得ることは困難であった。
そこで、最近では、有機層を湿式成膜法で形成する方法が提案されている(特許文献1,2参照)。
しかしながら、湿式成膜法で形成された有機層は、塗布膜に含まれる溶剤を除去するために、超音波処理、赤外線処理、高真空処理、高温加熱処理など、有機層を非常に厳しい条件下にさらさなければならないという問題点があった。また、これにより得られた有機電界発光素子は寿命が短いという問題点があった。
特開2003−17252号公報 国際公開WO2006/070713号パンフレット
本発明は、湿式成膜法により形成された有機層を有する有機電界発光素子であって、長寿命な有機電界発光素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、有機層中の有機溶媒の量をある一定量に制御することにより、湿式成膜法により形成される有機層を有する有機電界発光素子の長寿命化を図ることができることを見出し、本発明に到達した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 陽極と、陰極と、該陽極と該陰極の間に配置された、1層または2層以上の有機層とを有する有機電界発光素子において、該有機層のうち、少なくとも1層は、分子量5000以上の有機化合物を含有せず、有機溶媒を0.01〜20mol%含有することを特徴とする、有機電界発光素子。
[2] 分子量5000以上の有機化合物を含有せず、有機溶媒を0.01〜20mol%含有する有機層の水の含有量が0.01〜300mol%であることを特徴とする、[1]に記載の有機電界発光素子。
[3] 該有機溶媒の沸点が130℃以上であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の有機電界発光素子。
[4] 該有機溶媒が芳香族炭化水素系溶媒である、[1]ないし[3]のいずれかに記載の有機電界発光素子。
[5] 分子量5000以上の有機化合物を含有せず、有機溶媒を0.01〜20mol%含有する有機層が、発光層であることを特徴とする、[1]ないし[4]のいずれかに記載の有機電界発光素子。
有機層中の有機溶媒の含有量を本発明の範囲とすることにより、厳しい条件下での溶媒除去を不要とすることができる。そのため、本発明によれば、陽極と陰極との間に、湿式成膜法により形成された有機層を有する有機電界発光素子において、長寿命な有機電界発光素子を提供することができる。
湿式成膜法によれば、素子の形成プロセスも容易であり、従って、本発明によれば低コストで高性能の素子を提供することが可能となる。
以下に、本発明の有機電界発光素子の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に特定はされない。
本発明の有機電界発光素子は、陽極、陰極、および該陽極と該陰極の間に配置された有機層を有する有機電界発光素子であって、該有機層は、1層または2層以上からなり、該有機層のうち、少なくとも1層は、分子量5000以上の有機化合物を含有せず、有機溶媒を0.01〜20mol%含有することを特徴とする。
ここで、有機層とは、陽極および陰極により挟持された有機化合物を含有する層である。該有機層は、1層からなるものであってもよいし、2層以上の積層体からなるものであってもよい。
本発明において、陽極と陰極の間に配置された有機層としては、例えば、以下詳述する有機電界発光素子を構成する、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層などの層が挙げられる。
本発明においては、該有機層のうち、少なくとも1層が、分子量5000以上の有機化合物を含有せず、有機溶媒を0.01〜20mol%含有することを特徴とする。以下、分子量5000以上の有機化合物を含有せず、有機溶媒を0.01〜20mol%含有する層を「有機溶媒含有層」という。
該有機溶媒含有層は、分子量5000未満の有機化合物であれば、有機化合物の1種のみを含有する層であってもよいし、2種以上が混合してなる層であってもよい。ここでいう有機化合物には、溶媒は含まない。
高分子化合物を含有する層の場合、有機溶媒を除去しにくく、有機溶媒を0.01〜20mol%にするために、乾燥温度を高くしたり、長くしたりする必要がある。そのため、有機層に過度の負荷がかかる恐れがあるため、有機溶媒を0.01〜20mol%としたとしても、本発明の効果を得ることが困難であると推察される。
本発明において、陽極と陰極の間に配置された有機層としては、前述の通り、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層などの層が挙げられるが、特に、発光層が有機溶媒含有層であることが好ましい。
有機溶媒含有層の有機溶媒の含有量は、0.01mol%以上、好ましくは0.02mol%以上、20mol%以下、好ましくは5mol%以下、さらに好ましくは1mol%以下、特に好ましくは0.5mol%以下である。有機溶媒の含有量が、この上限を超えると、素子特性に悪影響を及ぼす恐れがある。下限を下回る値にするためには、有機溶媒を除去するための乾燥工程を厳しい条件で行う必要がある。そのような条件下で有機層を処理すると、有機層の膜密度の低下や残留応力が生じるなどの原因となり、作製された素子の寿命を低下させる原因となると推察される。
なお、本発明において、有機溶媒の含有量とは、1cm×4cmのガラス上に、有機電界発光素子の作製時と同様の条件で湿式成膜法によりサンプル膜を形成し、このサンプル膜についてTPD−MS(質量分析装置つき全自動昇温脱離曲線測定装置)により測定した値をいう。
該有機溶媒含有層の水の含有量は、0.01〜300mol%であることが好ましく、より好ましくは220mol%以下、更に好ましくは200mol%以下、特に好ましくは150mol%以下である。水の含有量がこの上限を超えると、素子特性に悪影響を及ぼす恐れがある。下限を下回ると上記有機溶媒含有層と同様に素子の寿命を低下させる原因となる恐れがある。
水の含有量の測定方法は、上記有機溶媒の含有量の測定方法と同様である。
有機溶媒含有層の水分量を低減する方法としては、例えば、湿式成膜工程における窒素ガスシール、形成された有機電界発光素子に対する乾燥剤の使用、湿式成膜時に用いる溶媒を予め脱水する、湿式成膜の際に水の溶解度が低い有機溶媒を使用する等が挙げられる。なかでも、水の溶解度が低い溶媒を使用する場合は、湿式成膜工程中に、液膜が大気中の水分を吸収して白化する現象を防ぐことができるため好ましい。
本発明において、有機溶媒含有層に含有される有機溶媒は、通常、当該有機溶媒含有層を成膜する際に使用する溶媒である。
このような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;シクロヘキサノン、シクロオクタノン等の脂環を有するケトン;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環を有するアルコール;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル等が挙げられる。
これらのうち、水の溶解度が低い点、容易には変質しない点で、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶媒が好ましい。
また、成膜安定性の低下を防止するためには、溶媒として、沸点が通常130℃以上、好ましくは沸点が150℃以上、より好ましくは沸点が200℃以上の溶媒を用いることが効果的である。また、より均一な膜を得るためには、成膜直後の液膜から溶媒が適当な速度で蒸発することが必要で、このためには通常沸点270℃未満、好ましくは沸点250℃未満、より好ましくは沸点230℃未満の溶媒を用いることが効果的である。
溶媒は有機溶媒含有層中に1種含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。2種以上が含有されている場合には、有機溶媒含有層中の合計量が、0.01〜20mol%である。
本発明において、有機溶媒含有層は、通常湿式成膜法により形成される。ここで、湿式成膜法とは、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ダイコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット等により湿式で層を形成する方法である。具体的には、各有機層に含有される材料を溶媒に溶解または分散させた組成物を、上記方法により、塗布などして形成する。
本発明において、有機溶媒含有層の有機溶媒の含有量は、成膜後の有機溶媒含有層を乾燥させる工程において、乾燥温度を調整したり、乾燥時間や乾燥雰囲気を調整したり、または乾燥方法を調整したりすること、あるいはこれらを組合わせることにより、調整することができる。
本発明において、分子量3000以上の高分子量の有機化合物を含有しない有機層、即ち、分子量3000未満の比較的低分子量の有機化合物を含有する有機層の有機溶媒含有量を0.01〜20mol%とすることにより、有機電界発光素子の長寿命化が図れる理由の詳細は明らかではないが、例えば、次のように推定される。
有機溶媒が多く残留していると、有機EL素子の特性(例えば寿命)に悪影響を及ぼす恐れがあることは従来よく知られている。そこで、この有機溶媒を除去するための乾燥条件は厳しい条件下(例えば、赤外線加熱、高真空)で行われている。このような条件で乾燥することにより、確かに有機溶媒を除去することができるが、その代わりに、有機層の膜密度を低下させたり、残留応力などを生じたりすると推察される。これが寿命を低下させる原因となっていると予想される。本発明では、ある程度の有機溶媒が残っていても、寿命に影響を及ぼさない範囲を見出し、厳しい乾燥条件を施さなくても長寿命の素子を得ることができた。
以下に、基板上に少なくとも陽極、陰極およびこれらの両極間に設けられた、1層または2層以上の有機層を有し、該有機層のうち、少なくとも1層は、分子量3000以上の有機化合物を含有せず、有機溶媒を0.01〜20mol%含有する有機溶媒含有層であって、この有機溶媒含有層が、湿式成膜法により形成された発光層である有機電界発光素子について、図面を参照してより詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態が適用される有機電界発光素子に好適な構造例を示す断面模式図である。図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4発光層、5は正孔阻止層、6は電子輸送層、7は電子注入層、8は陰極を各々表す。
[1]基板
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
[2]陽極
基板1上には陽極2が設けられる。陽極2は発光層側の層(正孔注入層3または発光層4等)への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法等により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極2の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、陽極2は基板1と同一でもよい。
また、さらには、上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。陽極2に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極2表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
[3]正孔注入層
正孔注入層3は陽極2から発光層4へ正孔を輸送する層であるため、正孔注入層3は正孔輸送性化合物を含むことが好ましく、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含むことがさらに好ましい。さらに、必要に応じて、正孔注入層3には電荷のトラップになりにくいバインダー樹脂や、塗布性改良剤を含んでいてもよい。
(正孔輸送性化合物)
正孔輸送性化合物としては、4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン化合物、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましい。特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型炭化水素化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい
例として、下記一般式(V)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 2008258320
(一般式(V)中、Ar21,Ar22はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar23〜Ar25は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar21〜Ar25のうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。)
Figure 2008258320
(上記各式中、Ar31〜Ar41は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、または置換基を有していてもよい芳香族複素環由来の1価または2価の基を表す。R51およびR52は、それぞれ独立して、水素原子または任意の置換基を表す。)
Ar21〜Ar25およびAr31〜Ar41としては、任意の芳香族炭化水素環または芳香族複素環由来の、1価または2価の基が適用可能である。これらはそれぞれ同一であっても、互いに異なっていてもよい。また、任意の置換基を有していてもよい。Ar21〜Ar25およびAr31〜Ar41の芳香族炭化水素環および/または芳香族複素環由来の基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。Ar21、Ar22としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の1価の基が好ましく、フェニル基、ナフチル基がさらに好ましい。また、Ar23〜Ar25としては、耐熱性、酸化還元電位を含めた正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環由来の2価の基が好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基がさらに好ましい。
一般式(V)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、WO2005/089024号公報に記載のものが挙げられる。
正孔注入層3の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種または2種以上とを併用するのが好ましい。
(電子受容性化合物)
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。例としては、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート等の有機基の置換したオニウム塩、塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物、テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物、フラーレン誘導体、ヨウ素等が挙げられる。上記の化合物のうち、強い酸化力を有する点で有機基の置換したオニウム塩、高原子価の無機化合物が好ましく、種々の溶媒に可溶で湿式塗布に適用可能である点で有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物が好ましい。電子受容性化合物として好適な有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物の具体例としては、WO2005/089024号公報に記載のものが挙げられ、その好適例も同様であり、例えば下記構造式で表される化合物(A−1)が挙げられるが、何らそれらに限定されるものではない。
Figure 2008258320
正孔注入層3は、湿式成膜法または真空蒸着法により陽極2上に形成される。湿式成膜法による層形成の場合は、前述した各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物)の1種または2種以上の所定量を、必要により電荷のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤を添加して、溶媒に溶解させて、塗布溶液を調製し、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ダイコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット法等の湿式成膜法により陽極2上に塗布し、乾燥して、正孔注入層3を形成させる。
湿式成膜法による層形成のために用いられる溶媒としては、前述の各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物)を溶解することが可能な溶媒であれば、その種類は特に限定されないが、正孔注入層3に用いられる各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物)を失活させる恐れのある、失活物質または失活物質を発生させるものを含まないものが好ましい。好ましくは、エーテル系溶媒またはエステル系溶媒である。
このようにして形成される正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。なお、正孔注入層3は省略してもよい。
[4]正孔輸送層
図1には図示されていないが、正孔注入層3上または陽極2上に正孔輸送層を設けてもよい。
正孔輸送層の材料に要求される条件としては、陽極2からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、更に安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。また、発光層4に接するために発光層4からの発光を消光したり、発光層4との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させないことが求められる。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子には更に耐熱性が要求される。従って、ガラス転移温度として80℃以上、更に好ましくは85℃以上の値を有する材料が好ましい。
このような正孔輸送材料としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いてもよいし、必要に応じて複数種混合して用いてもよい。
上記の化合物以外に、正孔輸送層の材料として、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym.Adv.Tech.,7巻、33頁、1996年)等の高分子材料が挙げられる。
正孔輸送層は、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの通常の塗布法や、インクジェット法、スクリーン印刷法など各種印刷法等の湿式成膜法や、真空蒸着法などの乾式成膜法で形成することができる。湿式成膜法の場合は、正孔輸送材料の1種または2種以上に、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤を添加し、上記説明した適当な溶媒に溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により陽極2上または正孔注入層3上に塗布し、乾燥して正孔輸送層を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、正孔輸送層中の含有量で50重量%以下が好ましい。
正孔輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
[5]発光層
正孔注入層3または正孔輸送層の上には、通常、発光層4が設けられる。発光層4は、電界を与えられた電極間において、陽極2から正孔注入層3を通じて注入された正孔と、陰極9から電子注入層7を通じて注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。発光層4は、発光材料(ドーパント)と1種または2種以上のホスト材料を含むことが好ましく、湿式成膜法により形成されることが好ましい。
発光層を湿式成膜法により形成する場合には、発光材料(ドーパント)やホスト材料などの材料を溶媒に溶解または分散させた組成物を調製し、この組成物を塗布などして成膜する。溶媒としては、上記本発明の有機溶媒含有層に含まれる有機溶媒の例として挙げた溶媒を使用することができる。
発光材料とは、有機電界発光素子において主として発光する成分を指し、有機電界発光素子の発光層ドーパント成分に当たる。該有機電界発光素子用組成物から発せられる光量(単位:cd/m)の内、通常10%〜100%、好ましくは20%〜100%、より好ましくは50%〜100%、最も好ましくは80%〜100%が、ある成分材料からの発光と同定される場合、それを発光材料と定義する。
本発明においては、有機溶媒含有層が発光層であることが好ましい。発光層は前述したように、発光材料やホスト材料などの材料を溶媒に溶解または分散させた組成物を調製し、この組成物を湿式成膜法により成膜する。ここで、溶媒は前記有機溶媒含有層に含有される有機溶媒として記載したものが使用される。
該組成物は、湿式成膜法に適した物性を持たせる必要がある。例えば、インクジェット法に用いるならば、組成物の粘度は低い方が好ましく、表面張力は高い方が好ましい。また、pHは中性〜弱アルカリ性であることが好ましい。
発光材料としては、任意の公知材料を適用可能であり、蛍光発光材料あるいは燐光発光材料を単独若しくは複数を混合して使用できるが、内部量子効率の観点から、好ましくは、燐光発光材料である。また、発光材料は低分子材料であることが好ましい。
なお、溶媒への溶解性を向上させる目的で、発光材料分子の対称性や剛性を低下させたり、あるいはアルキル基等の親油性置換基を導入したりしてもよい。
青色発光を与える蛍光発光材料としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。緑色発光を与える蛍光発光材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色発光を与える蛍光発光材料としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色発光を与える蛍光発光材料としては、DCM系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば周期表第7族ないし11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
周期表第7族ないし11族から選ばれる金属を含む燐光性有機金属錯体における金属として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
これらの有機金属錯体として、好ましくは下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
ML”(q−j)L’ (3)
(一般式(3)中、Mは金属を表し、qは上記金属の価数を表す。また、L”およびL’は二座配位子を表す。jは0、1または2を表す。)
Figure 2008258320
(一般式(4)中、Mは金属を表し、Tは炭素または窒素を表す。R92〜R95は、それぞれ独立に置換基を表す。ただし、Tが窒素の場合は、R94およびR95は無い。
以下、一般式(3)で表される化合物について説明する。
一般式(3)中、Mは任意の金属を表し、好ましいものの具体例としては、周期表第7族ないし第11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。
また、一般式(3)中の二座配位子L”およびL’は、それぞれ、以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 2008258320
Figure 2008258320
L’として、錯体の安定性の観点から、特に好ましくは、下記のものが挙げられる。
Figure 2008258320
上記L”の部分構造において、環A1は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、これらは置換基を有していてもよい。また、環A2は、含窒素芳香族複素環基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
環A1,A2が置換基を有する場合、好ましい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基、フェナンチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
一般式(3)で表される化合物として、さらに好ましくは、下記一般式(3a)、(3b)、(3c)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008258320
(一般式(3a)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 2008258320
(一般式(3b)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 2008258320
(一般式(3c)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、jは0、1または2を表す。さらに、環A1および環A1’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。また、環A2および環A2’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
上記一般式(3a)、(3b)、(3c)において、環A1および環A1’の基としては、好ましくは、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
また、環A2、環A2’の基としては、好ましくは、例えばピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フェナントリジル基等が挙げられる。
さらに、一般式(3a)、(3b)、(3c)で表される化合物が有していてもよい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。
なお、これら置換基は互いに連結して環を形成してもよい。具体例としては、環A1が有する置換基と環A2が有する置換基とが結合するか、または、環A1’が有する置換基と環A2’が有する置換基とが結合するかして、一つの縮合環を形成してもよい。このような縮合環基としては、7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
中でも、環A1、環A1’、環A2および環A2’の置換基として、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、カルバゾリル基が挙げられる。
また、一般式(3a)、(3b)、(3c)におけるM,M,Mとして好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられる。
上記一般式(3)、(3a)、(3b)、(3c)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるものではない(以下において、Phはフェニル基を表す。)。
Figure 2008258320
Figure 2008258320
上記一般式(3)、(3a)、(3b)、(3c)で表される有機金属錯体の中でも、特に、配位子L”および/またはL’として2−アリールピリジン系配位子、即ち、2−アリールピリジン、これに任意の置換基が結合したもの、および、これに任意の基が縮合してなるものを有する化合物が好ましい。
次に、前記一般式(4)で表される化合物について説明する。
一般式(4)中、Mは金属を表し、具体例としては、周期表第7族ないし11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。中でも好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
また、一般式(4)において、R92およびR93は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
さらに、Tが炭素の場合、R94およびR95は、それぞれ独立に、R92およびR93と同様の例示物で表される置換基を表す。また、前述の如く、Tが窒素の場合はR94およびR95は無い。
また、R92〜R95はさらに置換基を有していてもよい。この場合のさらに有していてもよい置換基には特に制限はなく、任意の基を置換基とすることができる。
さらに、R92〜R95は互いに連結して環を形成してもよく、この環がさらに任意の置換基を有していてもよい。
一般式(4)で表される有機金属錯体の具体例(T−1,T−10〜T−15)を以下に示すが、下記の例示化合物に限定されるものではない。なお、以下において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
Figure 2008258320
また、有機金属錯体としては、WO2005/019373号公報に記載の化合物も使用することができる。
燐光発光材料は、通常ホスト材料に混合して用いられる。
ホスト材料は、任意の公知材料を適用可能であり、適用可能な化合物としては、以下のようなものが挙げられる。
カルバゾール系化合物(トリアリールアミン系化合物を含む)としては、特開昭63−235946号公報、特開平2−285357号公報、特開平2−261889号公報、特開平3−230584号公報、特開平3−232856号公報、特開平5−263073号公報、特開平6−312979号公報、特開平7−053950号公報、特開平8−003547号公報、特開平9−157643号公報、特開平9−268283号公報、特開平9−165573号公報、特開平9−249876号公報、特開平9−310066号公報、特開平10−041069号公報、特開平10−168447号公報、欧州特許第847228号明細書、特開平10−208880号公報、特開平10−226785号公報、特開平10−312073号公報、特開平10−316658号公報、特開平10−330361号公報、特開平11−144866号公報、特開平11−144867号公報、特開平11−144873号公報、特開平11−149987号公報、特開平11−167990号公報、特開平11−233260号公報、特開平11−241062号公報、WO−00/70655号公報、米国特許第6562982号明細書、特開2003−040844号公報、特開2001−313179号公報、特開2001−257076号公報、特願2003−202925号明細書、特願2003−204940号明細書、特願2003−299512号明細書等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、フェニルアントラセン誘導体としては、特開2000−344691号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
さらに、縮環アリーレンのスターバースト型化合物としては、特開2001−192651号公報、特開2002−324677号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、縮環型イミダゾール系化合物としては、「Appl.Phys.Lett.,78巻,1622項、2001」、特開2001−335776号公報、特開2002−338579号公報、特開2002−319491号公報、特開2002−367785号公報、特開2002−367786号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
さらに、アゼピン系化合物としては、特開2002−235075号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、縮環型トリアゾール系化合物としては、特開2002−356489号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
さらに、プロペラ型アリーレン系化合物としては、特開2003−027048号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、モノトリアリールアミン型化合物としては、特開2002−175883号公報、特開2002−249765号公報、特開2002−324676号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
さらに、アリールベンジジン系化合物としては、特開2002−329577号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、トリアリール硼素化合物としては、特開2003−031367号公報、特開2003−031368号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
さらに、インドール系化合物としては、特開2002−305084号公報、特開2003−008866号公報、特開2002−015871号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、インドリジン系化合物としては、特開2000−311787号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
さらに、ピレン系化合物としては、特開2001−118682号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、ジベンゾオキサゾール(またはジベンゾチアゾール)系化合物としては、特開2002−231453号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
さらに、ビピリジル系化合物としては、特開2003−123983号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
また、ピリジン系化合物としては、特開2005−276801号公報、特開2005−268199号公報等に電荷輸送材料として記載の化合物などが挙げられる。
これらの中でも、有機電界発光素子を用いた場合の優れた発光特性の点から、カルバゾール系化合物(トリアリールアミン系化合物を含む)、縮環アリーレンのスターバースト型化合物、縮環型イミダゾール系化合物、プロペラ型アリーレン系化合物、モノトリアリールアミン型化合物、インドール系化合物、インドリジン系化合物、ビピリジル系化合物、ピリジン系化合物等が好ましい。
さらに、有機電界発光素子を用いた場合の駆動寿命の点から、カルバゾール系化合物、ビピリジル系化合物、およびピリジン系化合物がより好ましく、カルバゾール系化合物とビピリジル系化合物を混合して、またはカルバゾール系化合物かつピリジン系化合物を混合して用いるのが、最も好ましい。
また、カルバゾリル基とピリジル基とを併せ持つ化合物を採用するのも、同様に好ましくい。
なお、溶媒への溶解性を向上させる目的で、分子の対称性や剛性を低下させたり、あるいはアルキル基などの親油性置換基を導入することも、重要である。
ホスト材料として用いる化合物は、そのガラス転移点が、通常70℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは130℃以上、最も好ましくは150℃以上であることが望ましい。ガラス転移点が低すぎると、有機電界発光素子としての耐熱性が低下する虞があるほか、駆動寿命が短くなる可能性があるためである。
ホスト材料として用いる化合物は、その分子量が、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下、また、通常100以上、好ましくは300以上、より好ましくは500以上である。分子量が100未満であると、耐熱性が著しく低下したり、ガス発生の原因となったり、膜を形成した際の膜質の低下を招いたり、あるいはマイグレーションなどによる有機電界発光素子のモルフォロジー変化を来したりするため、好ましくない。分子量が10000を超えると、精製が困難であったり、溶媒に溶解させる際に時間を要したりするため、好ましくない。
ただし、発光層を本発明に係る有機溶媒含有層とする場合、前述の発光材料についても、ホスト材料についても、分子量は5000未満である必要がある。この場合のホスト材料の分子量の上限は好ましくは3000以下、特に好ましくは1000以下である。
ホスト材料として用いる化合物は、そのバンドギャップが、通常3.0V以上、好ましくは3.2V以上、より好ましくは3.5V以上のものが望ましい。青色蛍光発光材料、あるいは燐光発光材料、とりわけ緑〜青色発光材料は、バンドギャップが大きく、この燐光発光材料を用いて有機電界発光素子を作製する場合には、燐光発光材料をとりまくホスト材料は、通常この燐光発光材料のバンドギャップ以上のバンドギャップを有していることが、有機電界発光素子としての発光効率や寿命の点で好ましいためである。
なお、発光層4は、本実施の形態の有機電界発光素子性能を損なわない範囲で、他の材料、成分を含んでいてもよい。
本発明において、この発光層が前述の有機溶媒含有層である場合、発光層の形成に当っては、湿式成膜法において、前述の如く、乾燥条件の調整に留意して、有機溶媒含有量を0.01〜20mol%とする必要がある。
一般に有機電界発光素子において、同じ材料を用いた場合、電極間の膜厚が薄い方が、実効電界が大きくなる為、注入される電流が多くなるので、駆動電圧は低下する。その為、電極間の総膜厚は薄い方が、有機電界発光素子の駆動電圧は低下するが、あまりに薄いと、ITO等の電極に起因する突起により短絡が発生する為、ある程度の膜厚が必要となる。
本実施の形態においては、発光層4以外に、正孔注入層3および後述の電子注入層7等の有機層を有する場合、発光層4と正孔注入層3や電子注入層7の他の有機層とを合わせた総膜厚は通常30nm以上、好ましくは50nm以上であり、さらに好ましくは100nm以上で、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは300nm以下である。
また、発光層4以外の正孔注入層3や後述の電子注入層7の導電性が高い場合、発光層4に注入される電荷量が増加する為、例えば正孔注入層3の膜厚を厚くして発光層4の膜厚を薄くし、総膜厚をある程度の膜厚を維持したまま駆動電圧を下げることも可能である。よって、発光層5の膜厚は、通常10nm以上、好ましくは20nm以上で、通常300nm以下、好ましくは200nm以下である。
なお、本実施の形態の素子が、陽極2および陰極9の両極間に、発光層4のみを有する場合の発光層4の膜厚は、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、通常500nm以下、好ましくは300nm以下である。
[6]正孔阻止層
発光材料として燐光発光性色素を用いたり、青色発光を与える蛍光発光材料を用いたりする場合、正孔阻止層5を設けることが効果的である。正孔阻止層5は正孔と電子を発光層4内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。即ち、正孔阻止層5は、発光層4から移動してくる正孔が電子輸送層6に到達するのを阻止することで、発光層4内で電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層4内に閉じこめる役割と、電子輸送層6から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送する役割がある。正孔阻止層5は、陽極2から移動してくる正孔を陰極8に到達するのを阻止する役割と、陰極8から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送することができる化合物により、発光層4の上に、発光層4の陰極8側の界面に接するように積層形成される。
正孔阻止層5を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層5の材料としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)が挙げられる。さらに、WO2005/022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も正孔阻止材料として好ましい。
正孔阻止層5の膜厚は、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上で、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
正孔阻止層5は正孔注入層3と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
[7]電子輸送層
電子輸送層6は素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、発光層4と電子注入層7との間に設けられる。
電子輸送層6は、電界を与えられた電極間において陰極8から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層6に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極8または電子注入層7からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体等の金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−または5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛等が挙げられる。
電子輸送層6の膜厚は、通常下限は1nm、好ましくは5nm程度であり、上限は通常300nm、好ましくは100nm程度である。
電子輸送層6は、正孔注入層3と同様にして湿式製膜法、或いは真空蒸着法により発光層4または正孔阻止層5上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
[8]電子注入層
電子注入層7は陰極8から注入された電子を効率よく発光層4へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行うには、電子注入層7を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましく、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウム等のアルカリ土類金属が用いられる。
電子注入層7の膜厚は0.1〜5nmが好ましい。
また、陰極8と発光層4または前述の電子輸送層6との界面にLiF、MgF、LiO、CsCO等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl.Phys.Lett.,70巻,152頁,1997年;特開平10−74586号公報;IEEETrans.Electron.Devices,44巻,1245頁,1997年;SID 04 Digest,154頁)。
さらに、後述するバソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体等の金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報等に記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は通常5nm以上、好ましくは10nm以上で、通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子注入層7は、発光層4と同様にして湿式製膜法、或いは真空蒸着法により発光層4または正孔阻止層5または電子輸送層6上に積層することにより形成される。真空蒸着法の場合には、真空容器内に設置されたるつぼまたは金属ボートに蒸着源を入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、るつぼまたは金属ボートを加熱して蒸発させ、るつぼまたは金属ボートと向き合って置かれた基板上に電子注入層7を形成する。アルカリ金属の蒸着は、クロム酸アルカリ金属と還元剤をニクロムに充填したアルカリ金属ディスペンサーを用いて行う。このディスペンサーを真空容器内で加熱することにより、クロム酸アルカリ金属が還元されてアルカリ金属が蒸発される。有機電子輸送材料とアルカリ金属とを共蒸着する場合は、有機電子輸送材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、各々のるつぼおよびディスペンサーを同時に加熱して蒸発させ、るつぼおよびディスペンサーと向き合って置かれた基板1上に電子注入層7を形成する。このとき、電子注入層7の膜厚方向において均一に共蒸着されるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。なお、電子注入層7は、これを省略してもよい。
[9]陰極
陰極8は、発光層4側の層(電子注入層7または発光層4等)に電子を注入する役割を果たす。
陰極8として用いられる材料は、陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
陰極8の膜厚は通常、陽極2と同様である。
低仕事関数金属から成る陰極8を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
[10]その他の構成層
以上、図1に示す層構成の素子を中心に説明してきたが、本実施の形態においては、有機電界発光素子における陽極2および陰極8と発光層4との間には、その性能を損なわない限り任意の層を有していてもよく、また発光層4以外の任意の層を省略してもよい。例えば、電子輸送層6および正孔阻止層5は必要に応じて、適宜設ければよく、1)電子輸送層のみ、2)正孔阻止層のみ、3)正孔阻止層/電子輸送層の積層、4)用いない等の用法がある。
正孔阻止層5と同様の目的で、正孔注入層3と発光層4の間に電子阻止層(図示せず。)を設けることも効果的である。電子阻止層は、発光層4から移動してくる電子が正孔注入層3に到達するのを阻止することで、発光層4内で正孔との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層4内に閉じこめる役割と、正孔注入層3から注入された正孔を効率よく発光層4の方向に輸送する役割がある。電子阻止層に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
また、発光層4を湿式成膜法で形成する場合、電子阻止層も湿式製膜法で形成することが、素子製造が容易となるため、好ましい。このため、電子阻止層も湿式成膜適合性を有することが好ましく、このような電子阻止層に用いられる材料としては、上述した有機電界発光素子組成物の他、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(WO2004/084260号公報記載)等が挙げられる。
なお、図1とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極8、電子注入層7、電子輸送層6、正孔阻止層5、発光層4、正孔注入層3、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に有機電界発光素子を設けることも可能である。さらに、図1に示す層構成を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その際には段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV等を電荷発生層(CGL)として用いると段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
本実施の形態が適用される有機電界発光素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
以下に本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[有機溶媒および水含有量測定]
(比較参考例1)
下記構造の有機化合物E−1、E−2、およびイリジウム錯体D−1を以下調製条件に記載の組成でキシレンに溶解させた溶液を、スピンコート法によって1cm×4cmのガラス上に成膜した。スピンコート時の回転数は1500rpm、回転時間は30秒とした。以上のスピンコートによって46nmの均一な薄膜を得た。
Figure 2008258320
<調製条件>
溶媒 キシレン
E−1濃度 1.0重量%
E−2濃度 1.0重量%
D−1濃度 0.1重量%
上記方法によって作製された膜に対して、TPD−MS法によってキシレンおよび水の残量の検出を行った。結果を表1に示す。
TPD−MS測定は、KM理化製昇温脱離装置とAgilent社製5973N質量検出器を用いて行った。測定時、昇温速度は10℃/分、測定温度範囲は室温〜200℃とした。
(比較参考例2)
スピンコートによって得られた膜を、大気中、80℃で1分間乾燥した他は、比較参考例1と同様に、膜を作製し、作製された膜に対して、TPD−MS法によってキシレンおよび水の残量の検出を行った。結果を表1に示す。
(参考例1)
スピンコートによって得られた膜を、減圧下、80℃で1時間乾燥した他は、実施例1と同様に、膜を作製し、作製された膜に対して、TPD−MS法によってキシレンおよび水の残量の検出を行った。結果を表1に示す。
(参考例2)
スピンコートによって得られた膜を、減圧下、130℃で1時間乾燥した他は、実施例1と同様に、膜を作製し、作製された膜に対して、TPD−MS法によってキシレンおよび水の残量の検出を行った。結果を表1に示す。
(参考例3)
スピンコートによって得られた膜を、減圧下、180℃で1時間乾燥した他は、実施例1と同様に、膜を作製し、作製された膜に対して、TPD−MS法によってキシレンおよび水の残量の検出を行った。結果を表1に示す。
Figure 2008258320
[有機電界発光素子の作製]
(実施例1)
図1に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次いで、正孔注入層3を以下のように湿式成膜法によって形成した。正孔注入層3の材料として、下記に示す構造式の芳香族アミノ基を有する高分子化合物(PB−1(重量平均分子量:29400,数平均分子量:12600))、下記に示す構造式の電子受容性化合物(A−1)および溶媒として安息香酸エチルを以下の濃度で含有する塗布液を用い、下記の条件でスピンコートにより成膜した。膜厚30nmの均一な薄膜が形成された。
Figure 2008258320
<塗布液濃度(正孔注入層)>
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 PB−1 2.0重量%
A−1 0.8重量%
<スピンコート条件(正孔注入層)>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
乾燥条件 230℃×4時間
続いて、発光層4を以下のように湿式成膜法によって形成した。発光層4の材料として、上記参考比較例1に示した有機化合物E−1、E−2、およびイリジウム錯体D−1を以下の組成でキシレンに溶解させた塗布液を用い、下記の条件でスピンコートにより成膜した。膜厚40nmの均一な薄膜が形成された。なお、発光層の成膜は、参考例1の成膜と同様に行った。
<塗布液濃度(発光層)>
溶媒 キシレン
塗布液濃度 E−1 1.0重量%
E−2 1.0重量%
D−1 0.1重量%
<スピンコート条件(発光層)>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
乾燥条件 80℃×1時間(減圧下)
次に、正孔阻止層5として下記に示すピリジン誘導体(HB−1)をるつぼ温度242〜241℃、蒸着速度1.0Å/秒の範囲で制御し、5nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は9.7〜9.8×10−5Paであった。
Figure 2008258320
続いて、正孔阻止層5の上に、電子輸送層6として下記に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(ET−1)を同様にして蒸着した。この時のアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体のるつぼ温度を295〜296℃、蒸着速度を1.0〜1.2Å/秒の範囲で制御し、30nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は9.7×10−5Paであった。
Figure 2008258320
上記の正孔阻止層5および電子輸送層6を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
ここで、電子輸送層6までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が2.0×10−6Torr(約2.7×10−4Pa)以下になるまで排気した。電子注入層7として、フッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.06Å/秒の範囲で制御し、0.5nmの膜厚で電子輸送層6の上に成膜した。電子注入層7の蒸着時の真空度は1.7〜1.8×10−6Torr(約2.3〜2.4×10−4Pa)であった。次に、アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度2〜4Å/秒の範囲で制御し、膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極8を完成させた。陰極8の蒸着時の真空度は2.0〜7.0×10−6Torr(約2.7〜9.3×10−4Pa)であった。
以上の電子注入層7および陰極8の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性を表2に示す。
また、以下の条件で、駆動寿命評価を行った結果を表3に示す。
<駆動条件>
温度 室温
駆動方式 直流駆動(DC駆動)
初期輝度 1,000cd/m
(実施例2)
発光層4の成膜時の乾燥条件を130℃×1時間(減圧下)とした他は、実施例1と同様に素子を作製した。なお、発光層の成膜は、参考例2の成膜と同様に行った。この素子の発光特性を表2に示す。また、駆動寿命評価の結果を表3に示す。
(比較例1)
発光層4の成膜時の乾燥条件を乾燥工程無しとした他は、実施例1と同様に素子を作製した。なお、発光層の成膜は、比較参考例1の成膜と同様に行った。この素子の発光特性を表2に示す。また、駆動寿命評価の結果を表3に示す。
Figure 2008258320
Figure 2008258320
表2に示す如く、効率は同程度であったが、表3に示す如く、本発明の有機電界発光素子により、長寿命化が達成されたことが明らかである。
本発明の実施の形態が適用される有機電界発光素子に好適な構造例を示す断面模式図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 発光層
5 正孔阻止層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極

Claims (5)

  1. 陽極と、陰極と、該陽極と該陰極の間に配置された、1層または2層以上の有機層とを有する有機電界発光素子において、
    該有機層のうち、少なくとも1層は、分子量5000以上の有機化合物を含有せず、有機溶媒を0.01〜20mol%含有することを特徴とする、有機電界発光素子。
  2. 分子量5000以上の有機化合物を含有せず、有機溶媒を0.01〜20mol%含有する有機層の水の含有量が0.01〜300mol%であることを特徴とする、請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 該有機溶媒の沸点が130℃以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の有機電界発光素子。
  4. 該有機溶媒が芳香族炭化水素系溶媒である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  5. 分子量5000以上の有機化合物を含有せず、有機溶媒を0.01〜20mol%含有する有機層が、発光層であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
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