JP2008258020A - 軟式電気導通体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来のメタルフィルムガスケットを更に改良して、導電性の両面テープを使用せずに済み、しかも電気的導通の安定性が高い軟式電気導通体を提供する。
【解決手段】 この軟式電気導通体30は、弾力性を有する芯材32の外周を、少なくとも外側の面が導体から成り可撓性を有する導電材34によって、その両側縁34a、34bが互いに重ならずに開いた領域38が生じるように被覆している。かつ開いた領域38に面する芯材32の表面および上記両側縁34a、34b付近と芯材32との間に、上記両側縁34a、34b付近を芯材32に接着すると共に、当該軟式電気導通体30を固定対象物に接着固定するための固定用接着層40を設けている。
【選択図】 図5
【解決手段】 この軟式電気導通体30は、弾力性を有する芯材32の外周を、少なくとも外側の面が導体から成り可撓性を有する導電材34によって、その両側縁34a、34bが互いに重ならずに開いた領域38が生じるように被覆している。かつ開いた領域38に面する芯材32の表面および上記両側縁34a、34b付近と芯材32との間に、上記両側縁34a、34b付近を芯材32に接着すると共に、当該軟式電気導通体30を固定対象物に接着固定するための固定用接着層40を設けている。
【選択図】 図5
Description
この発明は、例えばテレビ、ディスプレイ、パソコン、携帯電話等の電気製品、医療機器、自動車部品等の電気関連製品において、複数の導体間に挟まれて圧縮されて、複数の導体間を電気的に導通させることに使用される軟式電気導通体に関する。
例えば上記のような電気関連製品を構成する複数(例えば二つ)の導体間に隙間がある場合、この隙間の間隔は、振動、衝撃、温度変化等によって変化する可能性がある。この複数の導体は、例えば、基板の表面に形成された導体(例えばグラウンド導体)と、それに対向する電子部品の表面の導体である。複数の相対向する基板の表面に形成された導体の場合もある。
従って、そのような隙間を挟む複数の導体間を電気的に導通させる電気導通体には弾力性が要求され、当該電気導通体は、複数の導体間に挟まれて圧縮されて使用される。上記のように導通させる目的は、例えば、電子部品をグラウンド(アース)に接地したり、複数の基板表面のグラウンド導体間を電気的に接続して同電位にしたりするため等である。
そのような電気導通体の従来例として、例えば図1に示す例のような硬式フィンガー10がある。この硬式フィンガー10は、弾力性を有する金属から成り、例えば、相対向する二つの導体2、4間に挟まれて矢印A、Bに示すように圧縮されて、両導体2、4間を電気的に導通させる。但し硬式フィンガー10の形状は、図1に示すものに限らない。
なお、この硬式フィンガー10は拡大して図示しており、実物は、図示よりも通常は遥かに小さい。後述するメタルフィルムガスケット20および軟式電気導通体30も同様である。
この硬式フィンガー10は、(a)それを形成する金属の硬さがウレタンフォームやゴム等の弾性材に比べて大きいので、変形に対する追随性が良くない、(b)追随性が良くないので、変形時の導体2、4との接触面積を安定して確保するのが難しい、(c)変形時の導体2、4との接触面積をなるべく大きく安定して確保するために、硬式フィンガー10の形状を用途に合わせて用途ごとに決める必要があり汎用性に乏しい、等の課題を有している。
このような硬式フィンガー10の持つ課題を解決するために、本発明者は、特許文献1に記載されている電磁波シールド用ガスケット(以下、これをメタルフィルムガスケットと呼ぶ)を、上記電気導通体として使用することを試みた。このメタルフィルムガスケットの一例を図2に示す。
このメタルフィルムガスケット20は、弾力性を有する芯材22の外周を、導電性フィルム24で、その両側縁が互いに重なって重ね合わせ部25が生じるように被覆し、この重ね合わせ部25の上に両面テープ28を貼り付けた構造をしている。両面テープ28は、当該メタルフィルムガスケット20を相手に貼り付けて固定するためのものであるが、重ね合わせ部25を補強する働きもする。導電性フィルム24と芯材22との間には、両者を接着する接着層26が設けられている。
導電性フィルム24は、図3に示すように、合成樹脂製のフィルム241の外側(即ち芯材22と反対側)の面に金属層242を形成して成る。
なお、後で剥がすことができる状態の接着を特に粘着と呼ぶことがあるが、粘着も接着の一種であるので、この明細書において、「接着」は、粘着を含む広い概念で用いている。従って、「接着」を、必要に応じて、粘着と読み替えても良い。
このメタルフィルムガスケット20を、上記電気導通体として使用する場合は、導電性の両面テープ28を用いて、それで当該メタルフィルムガスケット20を相手の導体に接着固定する。その状態の一例を図4に示す。導電性の両面テープ28は、例えば、金属箔の両面に、接着剤と金属粉との混合層を形成したものである。
そしてこのメタルフィルムガスケット20は、図4に示す例のように、上記二つの導体2、4間に挟まれて矢印A、Bに示すように圧縮されて、両導体2、4間を、導電性の両面テープ28および導電性フィルム24(より具体的にはその表面の金属層242)を介して、電気的に導通させることができる。従ってこのメタルフィルムガスケット20は、軟式電気導通体と呼ぶことができる。
なお、導電性フィルム24と導体4との直接の導通については、両者間に所定の厚さを有する両面テープ28が介在しているために、安定した導通は殆ど期待できない。
上記メタルフィルムガスケット20は、弾力性を有する芯材22と導電性フィルム24等とを組み合わせたものであり、上記金属製の硬式フィンガー10に比べて軟らかいので追随性が良く、上記硬式フィンガー10が有している上記課題を解決することができる。
しかし、上記メタルフィルムガスケット20を軟式電気導通体として使用するためには、両面テープ28として、導電性の両面テープ28を使用しなければならず、導電性の両面テープ28は一般的な接着剤に比べて高価であるので、その分、軟式電気導通体が高価になるという課題がある。
しかも、上記メタルフィルムガスケット20を軟式電気導通体として使用する試験を行ったところ、電気的導通(換言すれば導通抵抗)の安定性に欠けることが分かった。即ち、メタルフィルムガスケット20を図4に示す状態に挟んで圧縮したときの両導体2、4間の直流抵抗を測定したところ、安定した状態では約0.2Ω〜0.4Ωであるけれども、挟んだ初期には瞬間的に高い抵抗値(例えば300Ω程度)を示すことがあり、測定中も時々、例えば10Ω程度の抵抗値を示すことがあった。これは、両面テープ28側には、導体4と両面テープ28間および両面テープ28と導電性フィルム24間の2箇所に接着箇所があり、しかもこの2箇所での接触抵抗が互いに直列になるために、電気的導通の安定性に欠けるものと考えられる。これでは、例えば前述したように、振動、衝撃、温度変化等が加わる環境で使用する場合の信頼性に欠ける。
そこでこの発明は、上記のような従来のメタルフィルムガスケットを更に改良して、導電性の両面テープを使用せずに済み、しかも電気的導通の安定性が高い軟式電気導通体を提供することを主たる目的としている。
この発明に係る軟式電気導通体の一つは、複数の導体間に挟まれて圧縮されて、複数の導体間を電気的に導通させることに使用される軟式電気導通体であって、弾力性を有する芯材の外周を、少なくとも外側の面が導体から成り可撓性を有する導電材によって、当該導電材の両側縁が互いに重ならずに開いた領域が生じるように被覆しており、かつ前記開いた領域に面する芯材の表面および前記導電材の両側縁付近と芯材との間に、前記導電材の両側縁付近を芯材に接着すると共に、当該軟式電気導通体を固定対象物に接着固定するための固定用接着層を設けていることを特徴としている。
この軟式電気導通体においては、固定用接着層の一部分は、導電材の開いた領域において露出している。この固定用接着層を固定対象物に向けた状態で、この軟式電気導通体を複数の導体間に挟み圧縮すると、弾力性を有する芯材および可撓性を有する導電材が変形し、芯材の変形によって固定用接着層は芯材と共に外側に幾分押し出されて、固定対象物に押し付けられる。この固定用接着層によって、この軟式電気導通体を固定対象物に接着固定することができる。
しかも、この軟式電気導通体を複数の導体間に挟んで圧縮したとき、固定用接着層は導電材と相手の導体間には介在しないので、上記圧縮によって、導電材の導体から成る外側の面は、固定用接着層を介在することなく複数の導体に直接接触する。従ってこの導電材を介して、複数の導体間を電気的に安定して導通させることができる。
前記導電材と芯材との間に、両者を接着する内側接着層を更に設けていても良い。
前記導電材は、前記固定用接着層によってのみ前記芯材に接着されていても良い。
この発明に係る軟式電気導通体の他のものは、弾力性を有する芯材の外周を、少なくとも外側の面が導体から成り可撓性を有する導電材によって、当該導電材の両側縁が互いに重ならずに開いた領域が生じるように被覆しており、前記導電材と芯材との間に両者を接着する内側接着層を設けており、かつ前記開いた領域に面する芯材の表面に、当該軟式電気導通体を固定対象物に接着固定するための固定用接着層を設けていることを特徴としている。
前記導電材は、例えば、合成樹脂製のフィルムの外側の面に金属層を形成して成るものである。
前記芯材は、その内部に、前記開いた領域に面する芯材の表面と実質的に平行な方向に配置されている補強フィルムを有していても良い。
前記固定対象物は、例えば、前記複数の導体の内のいずれかの導体または当該いずれかの導体と位置関係が固定された物体である。
請求項1、4に記載の発明によれば、上記のような固定用接着層を設けたことによって導電性の両面テープを使用せずに済み、固定用接着層は導電性の両面テープに比べて一般的に安価であるので、当該軟式電気導通体の低コスト化を図ることができる。
しかも、軟式電気導通体を複数の導体間に挟んで圧縮したとき、導電材の導体から成る外側の面は固定用接着層を介在することなく相手の導体に直接接触するので、導電性の両面テープを介在する場合に比べて接触抵抗が介在する箇所が1箇所減り、電気的導通の安定性が高い。従って、この軟式電気導通体によって、複数の導体間を電気的に安定して導通させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、内側接着層によって、導電材を芯材に、より確実に接着固定することができる。
請求項3に記載の発明によれば、導電材は固定用接着層によってのみ芯材に接着されていて、固定用接着層が、導電材を芯材に接着する接着層と、当該軟式電気導通体を固定対象物に接着固定する接着層とを兼ねているので、内側接着層を設ける場合に比べて、工数および接着層材料の低減を図ることができ、ひいてはコスト低減を図ることができる。
しかも、当該軟式電気導通体を導体間に挟んで圧縮して変形させたときに、導体と接触しない面の導電材は、芯材に接着されていないために芯材の変形形状に依らずに独自形状に変形することができるので、導電材に無理な力が加わるのを防止して、導電材の耐久性を高めることができる。
請求項5に記載の発明によれば、導電材は、合成樹脂製のフィルムの外側の面に金属層を形成して成るものであるので、金属箔から成る導電材に比べて強度が高く、しかも導電布から成る導電材に比べて表面抵抗が低くかつクリーン度が高い。
請求項6に記載の発明によれば、芯材の外周を導電材で覆うときに、補強フィルムによって芯材を補強して、芯材の変形を抑制することができるので、導電材で覆う加工が容易になり、加工性が向上する。
図5は、この発明に係る軟式電気導通体の一実施形態を拡大して示す斜視図である。この軟式電気導通体30は、複数の導体間(例えば、図7に示す前述したような二つの導体2、4間、または図8に示す三つの導体2a、2b、4間等)に挟まれて圧縮されて、複数の導体間を電気的に導通させることに使用されるものである。このような軟式電気導通体30を設ける目的、導通させる箇所の例は、前述したとおりである。
この軟式電気導通体30は、弾力性を有する芯材32を備えている。そしてこの芯材32の外周を、導電材34によって、当該導電材34の両側縁34a、34bが互いに重ならずに開いた領域38が生じるように被覆している。開いた領域38は、この軟式電気導通体30の長さL方向に沿って伸びた溝状をしている。導電材34は、その少なくとも外側(即ち芯材32とは反対側。以下同様)の面が導体から成り、可撓性を有している。
導電材34の開いた領域38の幅W1 、およびその両側の側縁34a、34bを含む面の幅W2 、W3 は、用途等に合わせて適宜決めれば良い。後述する他の実施形態においても同様である。
更に、開いた領域38に面する芯材32の表面から、導電材34の両側縁34a、34b付近と芯材32との間にかけて、一連の固定用接着層40を設けている。この固定用接着層40は、この実施形態では、開いた領域38側の芯材32の表面の実質的に全面に設けている。この固定用接着層40は、導電材34の両側縁34a、34b付近を芯材32に接着すると共に、当該軟式電気導通体30を固定対象物に接着固定するためのものである。固定対象物の例は後述する。開いた領域38における固定用接着層40は、この軟式電気導通体30が圧縮されていない自然の状態では、図5に示すように、導電材34の両側縁34a、34bよりも芯材32側へ、導電材34および内側接着層36の合計厚さだけ凹んでいる。
導電材34と芯材32との間には、この実施形態のように、両者34、32を接着する内側接着層36を更に設けておいても良い。そのようにすれば、導電材34を芯材32に、より確実に接着することができる。
内側接着層36を設けている場合は、固定用接着層40は、内側接着層36と協働して、導電材34の両側縁34a、34b付近を芯材32に接着する働きをする。
芯材32は、弾力性を有していて圧縮可能な材料(即ち弾性材)から成る。この芯材32は、例えばウレタンフォームまたはゴムから成るが、これに限られるものではない。例えば、ウレタンラバーでも良いし、広くは、ポリウレタン系発泡体、ポリエチレン系発泡体、ゴム系発泡体等から成っていても良い。
芯材32は、図5に示す例では一層から成るが、それに限られるものではなく、上記のような弾性材を複数層積層したものでも良い。また、図12を参照して後述する例のように、複数層の上記のような弾性材と補強フィルム44とを積層したものでも良い。
芯材32の形状は、図5に示す例では断面四角形の柱状のものであるが、これに限られるものではない。例えば、断面が長方形または長円形のような板状のもの等でも良く、用途に応じてその形状を選定すれば良い。長さLも用途に応じて選定すれば良い。長い軟式電気導通体30を製造しておいて、適当な長さに切って使用しても良い。
導電材34は、その少なくとも外側の面が導体から成っていれば良く、全体が導体から成っていても良い。例えば、導電材34は、金属箔でも良いし、導電布でも良い。この実施形態では、導電材34は、図6に示す例のように、合成樹脂製のフィルム341の外側の面に金属層342を形成した構造をしている。
フィルム341は、例えばポリエステルフィルムまたはポリプロピレンフィルムから成るが、これに限られるものではない。他のプラスチックフィルムから成っていても良い。
フィルム341の厚さは、例えば3〜5μm程度であるが、これに限られるものではない。必要とされる機械的強度等に応じて厚さを選定すれば良い。
金属層342は、金属であるから導電性を有している。この金属層342は、例えば銅またはニッケルから成るが、これに限られるものではない。例えば、スズ、アルミニウム等の導電性の良い金属から成っていても良い。また、金属層342は、上記各金属の単層から成っていても良いし、上記各金属から成る層を複数層に積層したものでも良い。例えば、銅の層を下地層としてその上にニッケルの層を形成したものでも良い。
金属層342は、フィルム341の表面に例えば蒸着またはメッキによって形成(被着)されたものであるが、これに限られるものではなく、他の成膜方法によって形成されていても良い。蒸着は、例えば蒸発源を用いた真空蒸着や、スパッタリングによる蒸着等の物理的蒸着である。
金属層342の厚さは、例えば0.3μm〜0.5μm程度であるが、これに限られるものではない。必要とされる電気抵抗、強度等に応じて厚さを選定すれば良い。
導電材34が、上記のように合成樹脂製のフィルム341の外側の面に金属層342を形成して成る場合は、金属箔から成る導電材34に比べて強度が高く、しかも導電布から成る導電材34に比べて表面抵抗が低くかつクリーン度が高いという利点がある。
固定用接着層40は、例えば、両面テープ(即ち、表裏両面が接着面になっている接着テープ)、ホットメルト(即ち、加熱によって溶融させるタイプの接着剤)、その他の接着剤から成る。この固定用接着層40は、導電性を要しない。
この軟式電気導通体30においては、固定用接着層40の一部分は、導電材34の開いた領域38において露出している。この軟式電気導通体30を使用する場合は、固定用接着層40を固定対象物に向けた状態で、この軟式電気導通体30を複数の導体間に挟み圧縮する。
上記固定対象物は、例えば、電気的に導通させようとする複数の導体の内のいずれかの導体または当該いずれかの導体と位置関係が固定された物体である。
上記軟式電気導通体30を導体間に挟んで圧縮した状態の一例を図7に示す。この図7は、導体が相対向する二つの導体2、4であり、固定対象物が導体4の場合の例である。
図7に示すように、固定用接着層40を、二つの導体2、4の内の一方の導体4に向けた状態で、軟式電気導通体30を導体2、4間に挟み矢印A、Bで示すように圧縮する。これによって、弾力性を有する芯材32および可撓性を有する導電材34が変形し、芯材32の変形によって固定用接着層40は芯材32と共に外側に幾分押し出されて、導体4に押し付けられる。この固定用接着層40によって、軟式電気導通体30を導体4に接着固定することができる。導電材34および内側接着層36の厚さは通常は非常に薄いので(図9に示す例のように内側接着層36を設けない場合もある)、固定用接着層40を少し押し出せばそれを導体4に押し付けて接着することができる。
この固定用接着層40による軟式電気導通体30の導体4への接着固定は、両導体2、4間に軟式電気導通体30を挟んで圧縮する前に、例えば機械や人手等によって行っても良いし、両導体2、4間に軟式電気導通体30を挟んで圧縮することと同時に行っても良い。後述する他の実施形態においても同様である。
しかも、この軟式電気導通体30を二つの導体2、4間に挟んで矢印A、Bに示すように圧縮したとき、固定用接着層40は導電材34と相手の導体4間には介在しないので、上記圧縮によって、導電材34の導体から成る外側の面(例えば図6に示す金属層342)は、固定用接着層40を介在することなく導体4に直接接触する。より具体的には、導電材34の両側縁34a、34b付近の外側面は、導体4に直接接触する。固定用接着層40と反対側に位置する導電材34の外側面も、邪魔になるものはないので、導体2に直接接触する。従ってこの導電材34を介して、二つの導体2、4間を電気的に安定して導通させることができる。
この軟式電気導通体30によれば、上記のような固定用接着層40を設けたことによって導電性の両面テープを使用せずに済み、固定用接着層40は導電性の両面テープに比べて一般的に安価であるので、当該軟式電気導通体30の低コスト化を図ることができる。
しかも、軟式電気導通体30を複数の導体2、4間に挟んで圧縮したとき、導電材34の導体から成る外側の面は固定用接着層40を介在することなく相手の導体4に直接接触するので、導電性の両面テープを介在する場合に比べて接触抵抗が介在する箇所が1箇所減る。即ち、前記図4と図7とを比べれば分かるように、導体4側において、図4の例では、導体4と導電性の両面テープ28との間、および当該両面テープ28と導電性フィルム24との間の2箇所に接触抵抗が直列に介在していたのに対して、この図7の例では、接触抵抗が介在する箇所は導体4と導電材34との間の1箇所になる。従って、図4の例に比べて、電気的導通の安定性が高い。従って、この軟式電気導通体30によって、複数の導体2、4間を電気的に安定して導通させることができる。
例えば、図2、図3に示したメタルフィルムガスケット20と実質的に同じ条件で、図5、図6に示す軟式電気導通体30を図7に示すように二つの導体2、4間に挟んで圧縮したときの両導体2、4間の直流抵抗を測定したところ、測定値は最初から安定しており、約0.1Ω〜0.2Ωであった。
また、この軟式電気導通体30によれば、前述した金属製の硬式フィンガー10が有している課題を解決することができる。即ち、(a)弾力性を有する芯材32と可撓性を有する導電材34等とを組み合わせたものであるので、金属製の硬式フィンガー10に比べて軟らかく、追随性が良い。(b)追随性が良いので、硬式フィンガー10に比べて、導体2、4との間で安定した接触面積を確保することができる。(c)追随性が良いので、この軟式電気導通体30の設計時に、相手の導体との接触面の形状を特に考えなくても良く、隙間の投影平面を考慮すれば良いので、設計が容易である。しかも、同一の軟式電気導通体30を多くの用途に用いることができるので、汎用性が高い。
なお、この軟式電気導通体30によって導通させる導体は、上記例に示した二つの導体2、4に限られるものではない。例えば、導体2、4が、それぞれ複数の導体に分かれていても良い。このことは、後述する他の実施形態においても同様である。例えば、図8に示す例のように、上記導体2側を、例えば基板(例えば絶縁性基板)6の表面に形成された二つの導体2a、2bにしても良い。この例の場合は、軟式電気導通体30によって、三つの導体2a、2b、4間を電気的に導通させて同電位にすることができる。導体2側を二つ以外の複数の導体にしても良い。導体4側を二つ等の複数の導体にしても良い。
また、固定対象物は、上記導体4とは反対側の導体2、2a、2bでも良い。後述する他の実施形態の軟式電気導通体30についても同様である。
更に、固定対象物は、上記複数の導体の内のいずれかの導体と位置関係が固定された物体でも良い。後述する他の実施形態の軟式電気導通体30についても同様である。この場合の一例を図14に示す。この例では、基板(例えば絶縁性基板)8の表面に導体4が形成されていて、導体4と基板8とは互いに位置関係が固定されており、この基板8が固定対象物である。導体4は穴5を有しており、この穴5の内側に、基板8の一部が表れている。より具体的にはこの例では、基板8の一部であって周りよりも厚さが大きい凸部9が表れている。穴5、凸部9の平面形状は、特定のものに限定されない。例えば、四角形、円形、その他の形状でも良い。軟式電気導通体30を上記のように挟み圧縮すると、固定用接着層40が凸部9に押し付けられ、それによって軟式電気導通体30を凸部9(即ち基板8)に接着固定することができる。
上記図14は、基板8が凸部9を有している場合の例であるが、凸部9は必ずしもなくても良い。例えば導体4の厚さが薄い場合は、凸部9がなくても、固定用接着層40は基板8に押し付けられるので、それによって軟式電気導通体30を基板8に接着固定することができる。また、導体4は、穴5を有する導体4の代わりに、穴5に相当する隙間をあけた複数の導体であっても良い。
次に軟式電気導通体30の他の実施形態を、図5、図6に示した実施形態との相違点を主体に説明すると、図9に示す軟式電気導通体30のように、上記内側接着層36を設けずに、導電材34を、固定用接着層40によってのみ芯材32に接着した構造にしても良い。導電材34は、より具体的には、その両側縁34a、34bを含む面側でのみ、固定用接着層40によって芯材32に接着している。
この軟式電気導通体30では、固定用接着層40が、導電材34を芯材32に接着する接着層と、当該軟式電気導通体30を固定対象物である導体4に接着固定する接着層とを兼ねているので、内側接着層36を設ける場合に比べて、工数および接着層材料の低減を図ることができ、ひいてはコスト低減を図ることができる。
しかも、この軟式電気導通体30を例えば図9に示す例のように導体2、4間に挟んで圧縮して変形させたときに、導体2、4と接触しない面の導電材34は、芯材32に接着されていないために芯材32の変形形状に依らずに独自形状に変形することができるので、導電材34に無理な力が加わるのを防止して、導電材34の耐久性を高めることができる。
上記内側接着層36を設けている場合は、図10に示す軟式電気導通体30のように、導電材34の開いた領域38(図13も参照)に面する芯材32の表面に、当該軟式電気導通体30を固定対象物に接着固定するための固定用接着層40を設けておいても良い。この場合、固定用接着層40の両側部、即ち固定用接着層40と導電材34の両側縁34a、34bとの間には、図13に示す例のように、隙間42があっても良い。
この図10に示す軟式電気導通体30の場合は、厳密に言えば、圧縮されていない自然の状態において、固定用接着層40の表面は、導電材34の両側縁34a、34bの表面と実質的に同一面か、または、両側縁34a、34bの表面よりも幾分芯材32側へ凹んでいるのが好ましい。そのようにすると、例えば図11に示すように軟式電気導通体30を導体2、4間に挟んだときに、固定用接着層40の厚さが大き過ぎてそれが導体4と導電材34間の電気的導通性能を低下させる原因になることを確実に防止することができる。もっとも、少しくらい高くても、軟式電気導通体30を導体2、4間に挟んで圧縮すると、固定用接着層40の内側の芯材32が凹んでその高さの違いを吸収することができるので、導体4と導電材34間の導通に支障はない。
この軟式電気導通体30においては、固定用接着層40は、導電材34の開いた領域38において露出している。図11に示す例のように、この固定用接着層40を一方の導体4に向けた状態で、軟式電気導通体30を導体2、4間に挟み矢印A、Bで示すように圧縮する。これによって、芯材32および導電材34が変形し、芯材32の変形によって固定用接着層40にはそれを外側に向けて押し出する力が働き、固定用接着層40は導体4に押し付けられる。この固定用接着層40によって、軟式電気導通体30を導体4に接着固定することができる。
しかも、この軟式電気導通体30を二つの導体2、4間に挟んで矢印A、Bに示すように圧縮したとき、固定用接着層40は前記開いた領域38に設けられていて導電材34と相手の導体4間には介在しないので、上記圧縮によって、導電材34の導体から成る外側の面は、固定用接着層40を介在することなく導体4に直接接触する。固定用接着層40と反対側に位置する導電材34の外側面も、邪魔になるものはないので、導体2に直接接触する。従ってこの導電材34を介して、二つの導体2、4間を電気的に安定して導通させることができる。
従ってこの軟式電気導通体30の場合も、図5に示した軟式電気導通体30の場合と同様の効果を奏する。即ち、導電性の両面テープを使用せずに済むので、軟式電気導通体30の低コスト化を図ることができる。しかも、導電性の両面テープを介在させる場合に比べて、電気的導通の安定性が高い。
芯材32は、例えば図12に示す例のように、その内部に、導電材34の開いた領域38に面する芯材32の表面と実質的に平行な方向に配置されている補強フィルム44を有していても良い。この図12に示す軟式電気導通体30は、図5〜図7に示した軟式電気導通体30に相当するものであるが、他の実施形態の軟式電気導通体30における芯材32の場合も同様である。
補強フィルム44は、例えば、上記合成樹脂製のフィルム341と同様の材質から成る合成樹脂製のフィルムであるが、金属製のフィルムでも良い。
補強フィルム44は、例えば、2枚の補強フィルムを互いに重ね合わせて接着したものでも良い。その場合、補強フィルム44を内部に有する芯材32は、例えば、補強フィルムの片側に弾性材を接着したものを二つ、補強フィルム同士を互いに重ね合わせて接着することによって製造することができる。この場合の芯材32は、2層の弾性材と2層の補強フィルムとを積層したものであると言うこともできる。
上記のような、補強フィルム44を内部に有する芯材32を用いると、芯材32の外周を導電材34で覆うときに、補強フィルム44によって芯材32を補強して、芯材32の変形を抑制することができるので、より具体的には芯材32がその幅W方向に導電材34によって圧縮されて曲がってしまう等の変形が起こるのを抑制することができるので、導電材34で覆う加工が容易になり、加工性が向上する。この効果は、芯材32の幅W方向の寸法が高さH方向の寸法よりも大きい場合に、例えば芯材32が板状の場合に、より顕著になる。
2、2a、2b、4 導体
8 基板
30 軟式電気導通体
32 芯材
34 導電材
34a、34b 側縁
36 内側接着層
38 開いた領域
40 固定用接着層
44 補強フィルム
8 基板
30 軟式電気導通体
32 芯材
34 導電材
34a、34b 側縁
36 内側接着層
38 開いた領域
40 固定用接着層
44 補強フィルム
Claims (7)
- 複数の導体間に挟まれて圧縮されて、複数の導体間を電気的に導通させることに使用される軟式電気導通体であって、
弾力性を有する芯材の外周を、少なくとも外側の面が導体から成り可撓性を有する導電材によって、当該導電材の両側縁が互いに重ならずに開いた領域が生じるように被覆しており、
かつ前記開いた領域に面する芯材の表面および前記導電材の両側縁付近と芯材との間に、前記導電材の両側縁付近を芯材に接着すると共に、当該軟式電気導通体を固定対象物に接着固定するための固定用接着層を設けていることを特徴とする軟式電気導通体。 - 前記導電材と芯材との間に、両者を接着する内側接着層を更に設けている請求項1記載の軟式電気導通体。
- 前記導電材は、前記固定用接着層によってのみ前記芯材に接着されている請求項1記載の軟式電気導通体。
- 複数の導体間に挟まれて圧縮されて、複数の導体間を電気的に導通させることに使用される軟式電気導通体であって、
弾力性を有する芯材の外周を、少なくとも外側の面が導体から成り可撓性を有する導電材によって、当該導電材の両側縁が互いに重ならずに開いた領域が生じるように被覆しており、
前記導電材と芯材との間に両者を接着する内側接着層を設けており、
かつ前記開いた領域に面する芯材の表面に、当該軟式電気導通体を固定対象物に接着固定するための固定用接着層を設けていることを特徴とする軟式電気導通体。 - 前記導電材は、合成樹脂製のフィルムの外側の面に金属層を形成して成るものである請求項1ないし4のいずれかに記載の軟式電気導通体。
- 前記芯材は、その内部に、前記開いた領域に面する芯材の表面と実質的に平行な方向に配置されている補強フィルムを有している請求項1ないし5のいずれかに記載の軟式電気導通体。
- 前記固定対象物は、前記複数の導体の内のいずれかの導体または当該いずれかの導体と位置関係が固定された物体である請求項1ないし6のいずれかに記載の軟式電気導通体。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007099479A JP2008258020A (ja) | 2007-04-05 | 2007-04-05 | 軟式電気導通体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011096525A (ja) * | 2009-10-30 | 2011-05-12 | Chiyoda Integre Co Ltd | 軟式電気導通体 |
KR101503307B1 (ko) * | 2014-09-25 | 2015-03-19 | 주식회사 이송이엠씨 | 노이즈 커플링에 의한 안테나 효과를 차단한 열전도성 탄성체 |
-
2007
- 2007-04-05 JP JP2007099479A patent/JP2008258020A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102074808A (zh) * | 2009-10-30 | 2011-05-25 | 千代田因特格雷株式会社 | 软式电气导通体 |
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