しかしながら、ロードセルにおいて、このようなヒステリシス誤差やクリープ誤差に対処するだけでは、さらに大きい最大目量数、例えば10000(いわゆる1/10000精度)目量を実現するまで計量精度を高めることは困難である。
つまり、従来より、ロードセルの起歪体の材料としては、合金鋼やアルミニウム合金が用いられており、また、歪ゲージの材料としては、コンスタンタン(Cu−Ni合金)やカルマ(商標)(Ni−Cr合金)が用いられているが、この種のロードセルを内蔵したロードセル式秤が用いられる環境において、温度変化が大きい環境、例えば屋外で、ロードセル式秤が用いられる場合(例えばトラックスケール)などでは、ロードセルが配設されている箇所の温度が時間とともに過渡的に変化し、これに伴って、ロードセルの起歪体や歪ゲージも過渡的な温度誤差を生じるので、従来のロードセルでは、ロードセルの温度感度特性、特に、過渡温度感度特性を良好に補償しなければ、6000目量よりも大きな目量数を有するまで精度を高めることができない。
ここで、ロードセルの温度感度特性の変動(誤差)は、主に起歪体のヤング率およびポアソン比の温度変化と歪ゲージのゲージ率の温度変化とにより生じ、これらの和が温度感度特性の変動となる。そして、起歪体や歪ゲージの温度変化を検出する方法としては、従来より、起歪体の表面における歪ゲージの近傍に温度センサや温度補償用抵抗を配設し、この温度センサで検出した温度に基づいて温度補正(温度補償)を行ったり、前記温度補償用抵抗にて温度に応じた補正を行ったりして、最終的に、ロードセルの温度感度誤差が0に近づくようにしている。
従来より、ロードセルの温度感度特性を調整するための温度センサや温度補償用抵抗は、通常、起歪体の表面に配設される。また、温度センサや温度補償用抵抗を歪ゲージと近接した箇所に配設することで、過渡温度感度特性に関して、歪ゲージの過渡温度を、温度センサによりほぼ良好に検出することができ、これにより出力の正確な温度補正が可能となる。
しかしながら、これに対して、起歪体は、周囲環境の温度変動が大きい過渡温度変化時には、温度センサが貼り付けられる起歪体の表面とこれよりも内部の部分(例えば薄肉部等の起歪部分の中心)とに温度差を生じ、この際、起歪体の表面と内部とではヤング率も異なる状態である。
なお、特許文献6には、ロードセルの過渡温度感度特性を補償する技術として、起歪体における歪ゲージの貼付箇所と同様な形状の薄肉部を形成し、この薄肉部の表面に温度補償用抵抗や温度センサを貼り付けることで、歪ゲージと同様な過渡温度を測定し、過渡温度感度特性の影響を抑えようと図った構成が開示されているが、この構成によっても、前記過渡温度変化時における、起歪体の表面とこれよりも内部の部分とに温度差に起因する誤差を減少させることはできない。
以下に、ロードセルの温度感度誤差について説明する。
下記の(式1)は、起歪体のポアソン比の温度変化がロードセルの温度感度変化に影響を及ぼさない場合を例にとって、ロードセルの温度感度誤差ΔErを求める計算式を示すもので、この(式1)に示すように、ロードセルの温度感度誤差ΔErは、起歪体のヤング率の温度係数(温度変化率)ΔEt1と、ゲージ率の温度係数(温度変化率)ΔFt2と、温度センサによる補正による温度係数相当値(または温度補償抵抗の温度係数)ΔCt3との和により表され、温度係数相当値ΔCt3はロードセルの温度感度誤差ΔErが0に近づくように調整される。そして、起歪体の温度t1と歪ゲージの温度t2と温度センサ(または温度補償抵抗)の温度t3とが全く同じ温度(すなわち、t1=t2=t3)であれば、温度感度誤差ΔErを0にすることができる。
しかしながら、過渡温度の変動が大きい場合には、起歪体の温度t1と歪ゲージの温度t2とは一致しない。また、歪ゲージと温度センサ(または温度補償抵抗)とが近接して配設されている場合には歪ゲージの温度t2と温度センサ(または温度補償抵抗)の温度t3とはほぼ同じとなるが、これらが離れて配置されているときには、これらの温度t2、t3が互いに異なってしまう。
ここで、具体的な起歪体のヤング率の温度係数や、歪ゲージのゲージ率の温度係数について説明する。
(表1)に示すように、起歪体のヤング率の温度係数(温度変化率)は、起歪体の材料が合金鋼の場合は約280ppm/℃、アルミ合金の場合は約550ppm/℃である。また、(表2)に示すように、歪ゲージのヤング率に相当するゲージ率の温度係数(温度変化率)は、歪ゲージの材料がコンスタンタン(Cu−Ni)の場合は約+100ppm/℃であり、カルマ(Ni−Cr合金)の場合:約−150〜−600ppm/℃(熱処理方法により、ゲージ率の温度係数を異ならせる(制御する)ことができる)である。
したがって、下記の(表3)に示すように、例えば、アルミ合金の起歪体とコンスタンタンの歪ゲージとを用いた場合には、ロードセルの温度感度誤差は、550+100=約650ppm/℃であり、アルミ合金の起歪体とカルマの歪ゲージとを用いた場合には、カルマの歪ゲージとして例えば−500ppm/℃のものを用いることで、ロードセルの温度感度誤差は、0ppm/℃に近づけることが可能である。また、合金鋼の起歪体とコンスタンタンの歪ゲージとを用いた場合には、ロードセルの温度感度誤差は、280+100=約380ppm/℃であり、合金鋼の起歪体とカルマの歪ゲージとを用いた場合には、カルマの歪ゲージとして例えば−380ppm/℃のものを用いることでロードセルの温度感度誤差は、0ppm/℃に近づけることが可能である。
そして、これらの温度誤差特性を打ち消すように、ロードセルの温度感度特性を調整するための温度センサを設けて、この検出温度で補正したり、温度補償抵抗を設けたりすることで、見かけ上は温度感度誤差を0に近づけることは可能である。
しかしながら、過渡温度変化時に歪検出部の断面全体の平均ヤング率に対応する温度と、起歪体の表面温度との差が仮に0.2℃あったとすると、理想的に温度感度の補正を行えたとしても、温度補正による誤差が、起歪体の材料が合金鋼の場合には、280ppm/℃×0.2℃=56ppm(約1/17800)であり、また、起歪体の材料がアルミ合金の場合には、550ppm/℃×0.2℃=110ppm(約1/9090)であり、比較的大きな誤差を生じてしまう。
したがって、6000目量よりも大きな目量数、例えば、10000目量(1/10,000精度)を得ようとしても、この目量に対して大きな誤差(計量器の1目量の1/1.78倍、または、1.1倍)を生じてしまい、10000目量(いわゆる1/10000精度)を実現するまで計量精度を高めた計量装置を実現することが困難となってしまう。
本発明は上記課題を解決するもので、起歪体のヤング率の温度係数および歪ゲージのゲージ率の温度係数に着目して、過渡温度特性の影響を最小限に抑えることができて、極めて高精度に計量することが可能なロードセル、ロードセルユニットおよび計量装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明のロードセルは、起歪体に歪ゲージを貼り付けてなるロードセルであって、起歪体を恒弾性材料により構成したことを特徴とする。
この構成により、起歪体を恒弾性材料により構成したので、例え、過渡温度変動が大きくて、起歪体の薄肉部等の起歪部における、表面とこれよりも内部の部分とに温度差を生じていた場合でも、起歪体の起歪部の表面と内部とにおけるヤング率の温度変化の差、およびこれに起因する誤差が殆どなくなり、この結果、起歪体の過渡温度特性の影響を最小限に抑えることができる。
また、本発明のロードセルは、起歪体の表面部における歪ゲージの貼付箇所近傍に起歪体表面部の温度を検出する温度センサを配設したことを特徴とする。
この構成により、温度センサにより測定した温度と歪ゲージの貼付箇所の温度との誤差を最小限に抑えることができるので、歪ゲージのゲージ率の過渡温度感度特性(温度係数)に関する誤差を殆ど無い状態にできる。つまり、歪ゲージと温度センサとが離れて配設されていると、過渡温度変動が大きい場合に歪ゲージと温度センサの測定箇所との温度に差(温度勾配による差)を生じるおそれがあり、この場合には、温度センサによる補正が不正確となるが、上記構成によれば、このような不具合を生じない。
また、本発明のロードセルは、起歪体に複数の歪ゲージを貼り付けて、これらの歪ゲージによりブリッジ回路を形成し、前記ブリッジ回路の歪ゲージとして、ゲージ率の温度係数が正の歪ゲージと負の歪ゲージとを組み合わせて接続したことを特徴とする。
この構成により、ブリッジ回路の歪ゲージのゲージ率の温度係数を、最小限に抑えることができる。したがって、起歪体のヤング率の温度変化を最小限に抑え、かつブリッジ回路の歪ゲージのゲージ率の温度変化を最小限に抑えることができるので、過渡温度変動に起因する誤差を最小限に抑えて、このブリッジ回路を備えたロードセルを用いることで極めて高精度に計量することが可能となる。
また、本発明のロードセルユニットは、ロバーバル機構からなるロバーバルブロックに、前記ロードセルを組み込んだことを特徴とする。
上記構成において、ロバーバルブロックに、前記ロードセルを組み込むことで、前記ロードセルとして小型のものを用いることが可能となる。つまり恒弾性材料は単価が高い上に、冷間圧延や熱処理費用の加工費が高く、その他、加工性が悪いための加工費増加等を招きやすい。したがって、例えば、従来から、ロードセルの荷重受部に直接、載台を固定したいわゆるワンポイントロードセル等には比較的形状の大きいロードセルが用いられているが、この種のロードセルとして、本発明の恒弾性材料からなる起歪体を備えたロードセルを単に置き換えて配設した場合、ロードセルとして大きな体積のものが必要となって極めて高価となり、多大なコストアップを招いてしまう。これに対処すべく、上記のように、ロバーバルブロックに、前記ロードセルを組み込むことで、恒弾性材料からなる起歪体を備えたロードセルとして小型のものを用いることができて、コストアップ費用を抑えることができる。また、このロードセルを、ロバーバルブロックに組込むことで、ロバーバルブロックに対して負荷が作用した際に、仮にこの負荷に横荷重や曲げや捩れなどの非鉛直荷重が含まれていたとした場合でも、前記非鉛直荷重がロバーバルブロックにより受けられ、ロードセルには非鉛直荷重が除かれた鉛直荷重だけが良好に作用し、極めて高精度に計量することができる。
また、本発明のロードセルユニットは、ロバーバルブロックの温度を検知する温度センサを設けたことを特徴とする。
この構成により、ロバーバルブロックの温度情報も含めて、ロバーバルブロックの荷重分担率分の温度感度補正(ヤング率の温度変化に伴う補正)を加味したロードセルの温度感度補正値を補正することで、ロバーバルブロックに関する温度感度の過渡特性についての影響を最小限に抑えることができて、精度の低下を防止することが可能である。
また、本発明のロードセルユニットは、ロバーバルブロックに、秤量が互いに異なる大秤量と小秤量とのロードセルを、一方のロードセルが、前記ロバーバルブロックの荷重受部側にその固定部が固定され、他方のロードセルが、前記ロバーバルブロックの固定部側にその固定部が固定された状態で組付け、各ロードセルの荷重点が鉛直方向に一致し、かつ、荷重が鉛直方向に沿って各ロードセルに伝達するように配置し、これら2つのロードセルのうちの少なくとも1つのロードセルとして、前記したロードセルを用いたことを特徴とする。
上記構成により、小秤量のロードセルによる秤量の範囲内では、小秤量のロードセルにより測定した計量値を出力することで、大秤量のロードセルだけを用いた場合と比較して、小秤量範囲内での精度を高めることが可能となる。また、各ロードセルの荷重点が鉛直方向に一致するように配設されているので、各ロードセルに作用する荷重が、荷重点を通る鉛直方向に良好に作用し、各ロードセルにより精度よく計量することができる。すなわち、2つのロードセルを組み合わせるように配設した場合に、平面視して荷重点が異なる(鉛直方向に対してずれる)ように配設されていた場合には、ロードセル間において、力が鉛直に作用しないので、横荷重や曲げや捩れなどの力が発生して計量精度を低下させるおそれがあるが、上記構成ではこのような不具合を生じない。
また、本発明のロードセルユニットは、小秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重がロバーバルブロックの荷重受部に作用した際に当接して、小秤量のロードセルの秤量よりも大きな荷重が前記小秤量のロードセルの薄肉部に作用することを阻止するストッパを、各ロードセルの荷重点と鉛直方向に一致するように設けたことを特徴とする。
この構成により、小秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重がロバーバルブロックの荷重受部に作用した場合でも、小秤量のロードセルの薄肉部には秤量以下しか作用しないため、ロードセルの過負荷による損傷などが発生せず、信頼性を向上させることができる。また、この場合には、ロバーバルブロックの荷重受部側に負荷された小秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重は、ストッパを介して、大秤量のロードセルの荷重点に鉛直方向に負荷されて伝達されるので、大秤量のロードセルにより正確に計量することができる。
また、本発明のロードセルユニットは、ロバーバルブロックに、秤量が互いに異なる大秤量と中秤量と小秤量とのロードセルを、少なくとも1つのロードセルが、前記ロバーバルブロックの荷重受部側にその固定部が固定され、残りの少なくとも1つのロードセルが、前記ロバーバルブロックの固定部側にその固定部が固定された状態で組付け、これら複数のロードセルのうちの少なくとも1つのロードセルとして、請求項1〜3の何れか1項に記載のロードセルを用い、小秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重がロバーバルブロックの荷重受部に作用した際に小秤量のロードセルの荷重受部に当接して、小秤量のロードセルの秤量よりも大きな荷重が前記小秤量のロードセルの薄肉部に作用することを阻止する小秤量用ストッパを設け、中秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重がロバーバルブロックの荷重受部に作用した際に中秤量のロードセルの荷重受部に当接して、中秤量のロードセルの秤量よりも大きな荷重が前記中秤量のロードセルの薄肉部に作用することを阻止する中秤量用ストッパを設け、前記小秤量用ストッパと前記小秤量のロードセルの荷重受部と前記中秤量用ストッパと前記中秤量のロードセルの荷重受部と大秤量のロードセルの荷重受部とが鉛直方向に沿って並ぶように配設したことを特徴とする。
上記構成により、小秤量のロードセルによる秤量の範囲内では、小秤量のロードセルにより測定した計量値を出力し、小秤量のロードセルの秤量範囲よりも大きくて、中秤量のロードセルによる秤量の範囲内では、中秤量のロードセルにより測定した計量値を出力することで、大秤量のロードセルだけを用いた場合と比較して、小秤量範囲内や中秤量範囲内での計量精度を高めることが可能となる。また、この構成により、小秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重が作用した場合には、小秤量のロードセルの薄肉部にはその秤量以下の荷重しか作用せず、また、中秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重が作用した場合には、中秤量のロードセルと小秤量のロードセルとの各薄肉部にはその秤量の荷重以下しか作用しないため、ロードセルの過負荷による損傷などが発生せず、信頼性を向上させることができる。また、ロバーバルブロックの荷重受部側に小秤量のロードセルの秤量や中秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重が負荷された場合には、小秤量のロードセルの秤量や中秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重は、小秤量用ストッパや中秤量用ストッパを介して、中秤量のロードセルの荷重受部側や大秤量のロードセルの荷重受部側に鉛直方向に負荷されて伝達されるので、中秤量のロードセルや大秤量のロードセルにより正確に計量することができる。
また、本発明の計量装置は、前記ロードセルユニットと、被計量物が載せられる載台と、計量値の重力加速度補正をするための自己補正機構とを備えたことを特徴とする。
上記構成により、自己補正機構を用いて計量値の重力加速度補正をすることが可能となり、さらに信頼性を向上させることができ、また、自己補正できるため、計量装置の製造調整場所で検定を受ければ、計量装置の使用場所での検定を受けなくて済む。
また、本発明の計量装置は、自己補正機構として、計量値の重力加速度補正をするための自己補正用錘と、ロバーバルブロックの荷重受部、またはこの荷重受部に固定した固定部材に対して前記自己補正用錘を載せ降ろしする錘係脱手段とを備えたことを特徴とする。
上記構成により、計量値の重力加速度補正をする際には、ロバーバルブロックの荷重受部や固定部材に対して自己補正用錘を載せて計量し、この計量値に基づいて演算することで、計量装置の設置場所(使用場所)での重力加速度がわからなくても、重力加速度補正をすることができる。そして、この構成によれば、ロバーバルブロックの荷重受部に固定する固定部材の配置位置を変更することなどにより、計量装置内のロバーバルブロックと自己補正用錘や錘係脱手段との相対位置を自由に変更してレイアウトすることが可能になるなど、設計の自由度が大きくなる。
また、本発明の計量装置は、秤量が互いに異なる複数のロードセルを備えた前記ロードセルユニットと、被計量物が載せられる載台と、計量値の重力加速度補正をするための小秤量用の自己補正用錘と、制御手段とを備え、前記制御手段は、計量装置を製造して調整した場所における前記自己補正用錘の計量値と、計量装置の使用場所における計量値との比率に基づいて小秤量のロードセルのスパン補正を行い、同じ補正比率で他のロードセルのスパン補正を行うことを特徴とする。
上記構成により、小秤量用の自己補正用錘を用いて小秤量ロードセルに対して計量値の重力加速度補正をするための自己補正(ロードセルのスパン補正)を行うことができ、また、同じ使用場所であれば重力加速度は何れのロードセルに対しても同様に作用するので、同じ補正比率で他のロードセルのスパン補正を行うことで、全てのロードセルに対して計量値の重力加速度補正を良好にすることができる。この場合に、自己補正用錘は、小秤量ロードセルの秤量に対応するものであればよいので、大きな自己補正用錘を有しなくても済み、計量装置のコストアップや大型化を抑えることができる。
また、本発明の計量装置は、制御手段に、被計量物を計量した際に、複数のロードセルのそれぞれの計量値の差が一定の値を超えたとき、異常と判断して警告するスパンチェック機能を設けたことを特徴とする。
この構成の計量装置においては、複数のロードセルで計量する構成であるため、本来は、各秤量範囲内で計量する限り、全てのロードセルの出力に対応する計量値が一致するはずであるが、使用回数や使用年数によっては、各ロードセルの出力に対応する計量値が異なってしまう恐れがある。これに対処すべく、上記のように、小秤量ロードセルの測定範囲内の被計量物を計量した際の、例えば大秤量のロードセルの計量値と小秤量のロードセルの計量値とを比較することで、これらの計量値の差が一定の値以内であれば、何れのロードセルも良好に機能していることを確認できる。一方、これらの計量値の差が一定の値を超えたときは警告されるので、使用者等は何れかのロードセルの計量値(出力)が異常であると判断でき、この場合には、現地検定を行ったり、製造メーカ等にメンテナンスを依頼するなど対処することで、各ロードセルを正常な状態に修復することが可能となる。
また、本発明の計量装置は、スパンチェックを行う際に載台上の被計量物の位置に起因する偏荷重を検出する偏荷重検出手段を設け、制御手段に、前記偏荷重検出手段からの偏荷重の情報に基づいて、載台上の被計量物の位置を変更するよう警告する載置位置チェック機能を設けたことを特徴とする。
これにより、被計量物が載台の中央に置かれずに比較的大きな偏荷重が発生した場合には、この偏荷重の情報に基づいて、載台上の被計量物の位置を変更するよう警告され、偏荷重により、スパンチェックが不正確となることを防止することができる。
本発明によれば、起歪体を恒弾性材料により形成することにより、ロードセルの起歪体のヤング率の温度変化を最小限に抑えることができて、起歪体の過渡温度特性に関する誤差を殆ど無い状態にでき、このような構成のロードセルを用いることで極めて高精度、例えば10000目量まで計量精度を高めることが可能となる。
また、起歪体の表面部における歪ゲージの貼付箇所近傍に起歪体表面部の温度を検出する温度センサを配設したことにより、歪ゲージのゲージ率の過渡温度感度特性に関する誤差を殆ど無い状態にできる。つまり、歪ゲージと温度センサとが離れて配設されていると、過渡温度変動が大きい場合に歪ゲージと温度センサの測定箇所との温度に差(温度勾配による差)を生じるおそれがあり、この場合には、温度センサによる補正が不正確となるが、上記構成によれば、このような不具合を生じず、これによりさらに計量精度を高めることが可能となる。
また、ブリッジ回路の歪ゲージとして、ゲージ率の温度係数が正の歪ゲージと負の歪ゲージとを接続することにより、ブリッジ回路の歪ゲージのゲージ率の温度変化を、最小限に抑えることができて、このブリッジ回路を備えたロードセルを用いることで極めて高精度に計量することが可能となる。
また、起歪体として恒弾性材料を用いて、ヤング率の温度変化を最小限に抑え、かつ、ブリッジ回路の歪ゲージのゲージ率の温度変化を最小限に抑えることにより、最終的に温度感度補正する温度センサの補正値が小さくでき、このように、温度センサによる補正量が小さい場合には、温度センサと歪ゲージとの温度差が比較的大きくても、影響度合いが小さく済むので、温度センサを歪ゲージから若干離れた場所、例えば、制御用のプリント基板などに配置でき、設計上の自由度が向上する利点もある。また、温度センサを歪ゲージが貼られた薄肉部等に貼り付けた場合に、温度センサの収容ケース等の剛性によっては、起歪体の歪特性に悪影響を与えるおそれがあるが、このような不具合を防止できる利点もある。
また、ロードセルユニットとして、ロバーバル機構からなるロバーバルブロックに、本発明のロードセルを組み込むことにより、ロードセルとして小型のものを用いることができて、コストアップ費用を抑えることができる。また、このロードセルを、ロバーバルブロックに組込むことで、ロバーバルブロックに対して負荷が作用した際に、仮にこの負荷に横荷重や曲げや捩れなどの非鉛直荷重が含まれていたとした場合でも、非鉛直荷重がロバーバルブロックにより受けられ、非鉛直荷重が除かれた鉛直荷重だけがロードセルに良好に作用し、極めて高精度に計量することができる。
また、ロバーバルブロックの温度を検知する温度センサを設けたことにより、ロバーバルブロックの温度情報も含めて、ロバーバルブロックの荷重分担率分の温度感度補正を行い、このロバーバルブロックの荷重分担率分の温度感度補正を加味してロードセルの温度感度補正値を補正することで、ロバーバルブロックに関する温度変化の過渡特性についての影響を最小限に抑えることができて、精度の低下を防止することができ、信頼性を向上できる。
また、ロードセルユニットとして、ロバーバルブロックに、秤量が互いに異なる大秤量と小秤量とのロードセルを、一方のロードセルが、前記ロバーバルブロックの荷重受部側にその固定部が固定され、他方のロードセルが、前記ロバーバルブロックの固定部側にその固定部が固定された状態で組付け、各ロードセルの荷重点が鉛直方向に一致し、かつ、荷重が鉛直方向に沿って各ロードセルに伝達するように配置し、これら2つのロードセルのうちの少なくとも1つのロードセルとして、前記したロードセルを用いることにより、大秤量のロードセルだけを用いた場合と比較して、小秤量範囲内での精度を高めることが可能となり、また、各ロードセルに作用する荷重が、荷重点を通る鉛直方向に作用し、各大秤量と小秤量とのロードセルにより精度よく計量することができる。
また、ロードセルユニットとして、小秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重がロバーバルブロックの荷重受部に作用した際に当接して、小秤量のロードセルの秤量よりも大きな荷重が前記小秤量のロードセルの薄肉部に作用することを阻止するストッパを、各ロードセルの荷重点と鉛直方向に一致するように設けたことにより、小秤量のロードセルに対する過負荷に起因する損傷などが発生せず、信頼性を向上させることができる。また、この場合には、ロバーバルブロックの荷重受部側に負荷された小秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重は、ストッパを介して、大秤量のロードセルの荷重点に鉛直方向に負荷されて伝達されるので、大秤量のロードセルにより正確に計量することができて、良好な信頼性を維持できる。
また、ロードセルユニットとして、ロバーバルブロックに、秤量が互いに異なる大秤量と中秤量と小秤量とのロードセルを、少なくとも1つのロードセルが、前記ロバーバルブロックの荷重受部側にその固定部が固定され、残りの少なくとも1つのロードセルが、前記ロバーバルブロックの固定部側にその固定部が固定された状態で組付け、これら複数のロードセルのうちの少なくとも1つのロードセルとして、請求項1〜3の何れか1項に記載のロードセルを用い、小秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重がロバーバルブロックの荷重受部に作用した際に小秤量のロードセルの荷重受部に当接して、小秤量のロードセルの秤量よりも大きな荷重が前記小秤量のロードセルの薄肉部に作用することを阻止する小秤量用ストッパを設け、中秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重がロバーバルブロックの荷重受部に作用した際に中秤量のロードセルの荷重受部に当接して、中秤量のロードセルの秤量よりも大きな荷重が前記中秤量のロードセルの薄肉部に作用することを阻止する中秤量用ストッパを設け、前記小秤量用ストッパと前記小秤量のロードセルの荷重受部と前記中秤量用ストッパと前記中秤量のロードセルの荷重受部と大秤量のロードセルの荷重受部とが鉛直方向に沿って並ぶように配設したことで、各秤量に対応する範囲でそれぞれ精度よく計量することができて、小秤量範囲内や中秤量範囲内での精度を高めることが可能となる。また、この構成により、小秤量のロードセルや中秤量のロードセルの過負荷による損傷などが発生せず、信頼性を向上させることができる。また、ロバーバルブロックの荷重受部側に小秤量のロードセルの秤量や中秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重が負荷された場合には、小秤量のロードセルの秤量や中秤量のロードセルの秤量よりも過大な荷重は、小秤量用ストッパや中秤量用ストッパを介して、中秤量のロードセルの荷重受部側や大秤量のロードセルの荷重受部側に鉛直方向に負荷されて伝達されるので、中秤量のロードセルや大秤量のロードセルにより正確に計量することができる。
また、計量装置として、前記ロードセルユニットと、被計量物が載せられる載台と、計量値の重力加速度補正をするための自己補正機構とを備えることで、使用場所での検定を受けなくて済み、この際の手間などを省くことができる。
また、計量装置の自己補正機構として、計量値の重力加速度補正をするための自己補正用錘と、ロバーバルブロックの荷重受部、またはこの荷重受部に固定した固定部材に対して前記自己補正用錘を載せ降ろしする錘係脱手段とを備えることで、ロバーバルブロックの荷重受部に固定する固定部材の配置位置を変更することなどにより、計量装置内のロバーバルブロックと自己補正用錘や錘係脱手段との相対位置を自由に変更してレイアウトすることが可能になるなど、計量装置の設計の自由度が大きくなる。
また、本発明の計量装置として、秤量が互いに異なる複数のロードセルを備えた前記ロードセルユニットと、被計量物が載せられる載台と、計量値の重力加速度補正をするための小秤量用の自己補正用錘と、制御手段とを備え、前記制御手段は、計量装置を製造して調整した場所における前記自己補正用錘の計量値と、計量装置の使用場所における計量値との比率に基づいて小秤量のロードセルのスパン補正を行い、同じ補正比率で他のロードセルのスパン補正を行うことにより、全てのロードセルに対して重力加速度を良好に補正することができながら、自己補正用錘は、小秤量ロードセルの秤量に対応するものであればよいので、大きな自己補正用錘を有しなくても済み、計量装置のコストアップや大型化を抑えることができる。
また、本発明の計量装置として、制御手段に、被計量物を計量した際に、複数のロードセルのそれぞれの出力値の差が一定の値を超えたとき、異常と判断して警告するスパンチェック機能を設けたことにより、使用者等はスパンチェックを行って警告されない際は、何れのロードセルも良好であることを確認できる。一方、何れかのロードセルのスパン出力が不良となった場合にはスパンチェックにおいて警告されるので、この不良状態を使用者等が確認でき、この場合には、現地検定を行ったり、製造メーカ等にメンテナンスを依頼するなど対処することで、各ロードセルが正常な状態に修復することが可能となる。これにより、信頼性が向上する。
また、本発明の計量装置として、スパンチェックを行う際に載台上の被計量物の位置に起因する偏荷重を検出する偏荷重検出手段を設け、制御手段に、前記偏荷重検出手段からの偏荷重の情報に基づいて、載台上の被計量物の位置を変更するよう警告する載置位置チェック機能を設けたことにより、載台上の被計量物を載せた位置が不適であり、スパンチェックが不正確となることを防止することができ、スパンチェックの信頼性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態に係るロードセルおよびロードセルユニット、並びにこれを用いた計量装置について図面に基づき説明する。
図1(a)は本発明の実施の形態1、2に係るロードセルの正面図、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線矢視側面断面図である。
図1(a)および(b)に示すように、ロードセル1は、恒弾性材料により形成されてなる起歪体2に歪ゲージ3が貼り付けられて構成されている。以下の実施の形態では、起歪体2の恒弾性材料として、エリンバーが用いられているが、これに限るものではなく、Ni−SPAN−C(商標)等を用いてもよい。また、この実施の形態では、起歪体2は、一方側(例えば、図1(a)に示すように、正面視して左側)に、負荷が作用する荷重受部2aが形成され、他方側(図1(a)に示すように、正面視して右側)に、所定位置に固定される固定部2bが形成されている。また、起歪体2は、側面視して上部と下部とに厚み方向に貫通する複数の貫通孔2cがそれぞれ形成されているとともに(この実施の形態では、上部と下部とにそれぞれ幅方向に貫通する3つの貫通孔2cが横方向につながるように形成されている)、正面視して、これらの上部と下部との貫通孔2cの間に、幅方向に対して中心となる箇所に薄肉の薄肉部2dが形成されている。そして、この薄肉部2dの両面にそれぞれ複数枚の歪ゲージ3(この実施の形態では剪断型歪ゲージ)が貼り付けられて、前記複数枚の歪ゲージ3が接続されてブリッジ回路が形成されている。また、この実施の形態1では、全ての歪ゲージ3が同じ材料、たとえばコンスタンタン(Cu−Ni合金)のものが用いられている。また、薄肉部2dにおいて歪ゲージ3に近接して温度センサ4が貼り付けられている。なお、図示しないが、歪ゲージ3や温度センサ4が配設される箇所は樹脂で覆われたり、カバーで覆われたりして、直接には外気に触れないように配設されている。
上記構成によれば、起歪体2を恒弾性材料により構成したので、ロードセル1における起歪体2のヤング率の温度変化を最小限に抑えることができて、起歪体2の過渡温度特性の影響を最小限に抑えることができる。具体的には、例えば恒弾性材料の代表例としてのエリンバーを用いることで、(表4)に示すように、起歪体2のヤング率の温度係数(温度変化率)を約10ppm/℃程度に抑えることができる。このように、起歪体2が恒弾性材料なので、歪を検出する薄肉部2dの断面内部と表面との間に温度差が生じても、ヤング率の温度変化は10ppm/℃以内と小さく、問題視する必要がなくなる。
つまり、仮に、過渡温度変化時に起歪体2の歪検出部分の断面全体の平均ヤング率に対応する温度と、起歪体2の表面温度との差が0.2℃あった場合でも、起歪体2に起因する温度補正による誤差が、10ppm/℃×0.2℃=2ppm(1/500000)しか生じないことになる。
また、上記のように、歪ゲージ3としてコンスタンタン(Cu−Ni合金)(ゲージ率の温度係数:約+100ppm/℃)を使用した場合でも、ロードセル1全体の温度感度特性は10+100=110ppm/℃となり(表2、表5参照)、起歪体の材料として合金鋼を用いた場合の380ppm/℃の約1/3.7、アルミ合金を用いた場合の650ppm/℃の1/6となり、精度を大幅に向上させることができる。
しかも、歪ゲージ3のゲージ率の温度変化については、起歪体2の表面温度のみに影響されるので、上記のように歪ゲージ3に近接した位置に温度センサ4を設置しておけば、歪ゲージ3の温度変化に追従して温度補正が十分可能となり、ロードセル1全体の温度感度の過渡特性が向上する。つまり、歪ゲージ3と温度センサ4とが離れて配設されていると、過渡温度変動が大きい場合に歪ゲージ3と温度センサ4の測定箇所との温度に差(温度勾配による差)を生じるおそれがあり、この場合には、温度センサ4による補正が不正確となるが、上記構成によれば、歪ゲージ3に近接した位置に温度センサ4を設置しているので、このような不具合を生じない。なお、温度センサ4に代えて、温度補償用抵抗を配設してブリッジ回路に接続してもよい。
また、上記実施の形態1では、全ての歪ゲージ3として同じ材料のもの(たとえばコンスタンタン(Cu−Ni合金))を用いてブリッジ回路を形成したが、これに限るものではない。すなわち、本実施の形態2では、ブリッジ回路を形成する複数の歪ゲージ3として、ゲージ率の温度係数が正の歪ゲージと負の歪ゲージとを組み合わせて接続する。例えば、4枚の歪ゲージ3によりブリッジ回路を形成し、これらの4枚の歪ゲージ3のうち、2枚はコンスタンタン(Cu−Ni合金)(ゲージ率の温度係数:約+100ppm/℃)、2枚はカルマ(商標)(Ni−Cr合金)(例えば、ゲージ率の温度係数:約−150ppm/℃のもの)を使用する。なお、カルマについては、熱処理方法により、ゲージ率を異ならせる(制御する)ことができ、上記の場合には、ゲージ率の温度係数が約−150ppm/℃のものを用いた場合を示している(前記表5参照)。
この構成によれば、ゲージ率の温度変化率(温度係数)はトータルとして100−150=約−50ppm/℃となり、ロードセル1の温度感度特性は10−50=−40ppm/℃とさらに小さくなるので、最終的に温度感度補正する温度センサ4の補正値が小さくなり、ロードセル1全体の温度感度の過渡特性がさらに向上する。
なお、これに限るものではなく、本実施の形態2の変形例として、例えば8枚の歪ゲージ3のうち、5枚のコンスタンタンと、3枚のカルマとを用いるなど、コンスタンタンとカルマとの枚数の比を3:2に近づけることで、ゲージ率の温度変化やロードセル1の温度感度特性をさらに小さくすることが可能である。
なお、起歪体2はこの形状に限るものではなく、例えば、ロバーバル機構からなる片持ち平行ビーム形で曲げ歪を検出するもの(後述するロバーバルブロック11と同様な形状のもの)を用いてもよい。
また、上記のように、起歪体2として恒弾性材料を用いて、ヤング率の温度変化を最小限に抑え、かつ、ブリッジ回路の歪ゲージ3のゲージ率の温度変化を最小限に抑えることにより、最終的に温度感度補正する温度センサ4の補正値が小さくなる。このように、温度センサ4による補正量が小さいと、温度センサ4と歪ゲージ3との温度差が比較的大きくても、影響度合いが小さく済むので、温度センサ4を歪ゲージ3から若干離れた場所、例えば、制御用のプリント基板などに配置でき、設計上の自由度が向上する利点もある。また、温度センサ4を歪ゲージ3が貼られた薄肉部2d等に貼り付けた場合に、温度センサ4の収容ケース等の剛性によっては、起歪体の歪特性に悪影響を与えるおそれがあるが、このような不具合を防止できる利点もある。
ところで、前記ロードセル1をいわゆるワンポイントロードセルとして用いる場合、所定位置に固定された固定部材5に、前記ロードセル1の起歪体2の固定部2bを固定し、起歪体2の荷重受部2aに載台6を直接取り付けることで計量装置を構成することができる。しかしながら、起歪体2をなす恒弾性材料は、単価が高い上に、冷間圧延や熱処理費用の加工費が高く、その他、加工性が悪いための加工費増加等を招きやすいので、ワンポイントロードセル等のロードセルとして、上記実施の形態1、2の恒弾性材料からなる起歪体2を備えたロードセル1を単に置き換えて配設した場合、ロードセル1として大きな体積のものが必要となって極めて高価となり、多大なコストアップを招いてしまう。
これに対処したものが、図2、図3に示す本発明の実施の形態3に係るロードセルユニットである。図2(a)および(b)は、本発明の実施の形態3に係るロードセルユニットの左側面図および正面図、図3は同ロードセルユニットの斜視図であり、図4はこのロードセルユニットを備えた計量装置の簡略的な部分切断正面図である。
図2、図3における10は、本発明の実施の形態に係るロードセルユニットで、いわゆるブロック状平行ビーム型のロバーバル機構からなるロバーバルブロック11の内部に、小型の前記ロードセル1を組み込んだ構成とされている。詳しくは、ロバーバルブロック11は、上下に平行なビーム部11a,11bと固定部11cと荷重受部11dとが薄肉部11fを介して一体的に接続されて構成されてなり、ロバーバルブロック11の内部の空間部11gに、小型のロードセル1を組み込んだ構成とされている。
ロバーバルブロック11は、例えば、アルミ合金などで押し出し成形又は機械加工したものが使用されている。そして、ロバーバルブロック11の固定部11cの内壁部に、ロードセル1における起歪体2の固定部2bをボルト18などにより固定している。
また、ロバーバルブロック11の荷重受部11dには、この荷重受部11dの両側面から、ロバーバルブロック11の内部の空間部11gにおける上方寄り側に延びてロバーバルブロック11の厚み方向につながる、平面視略コ字形状の支持アーム12が固定されている。また、この支持アーム12における、ロバーバルブロック11の空間部11gに内に突出した部分の厚み方向中間部から下方に突出するように、荷重受部11dに作用する荷重を支持アーム12を介して伝達する負荷金具13が取り付けられている。さらに、この負荷金具13からの荷重が、上下に球面部が形成された円柱状のロッカーピン14を介して、ロードセル1の荷重受部2aに作用するように配設されている。
なお、ロッカーピン14の上面球面部分と下面球面部分とに当接する負荷金具13の当接面とロードセル1の荷重受部2aの当接面とは、それぞれ平面形状とされ、負荷金具13とロードセル1の荷重受部2aとの荷重の負荷位置(荷重点)を鉛直方向に一致させるよう構成されている。また、負荷金具13の下部(ロッカーピン14の上面球面部分が当接する負荷金具13の当接面の外周部)はその外周部分が下方に延びる鍔形状とされ、また、ロードセル1の荷重受部2aにおけるロッカーピン14の下面球面部分が当接する当接部分の外周部はロッカーピン14の直径よりも若干太径の孔部が形成され、この孔部の一部に収容されたOリング15がロッカーピン14の下部に接触する状態でロッカーピン14が配設されている。また、ロッカーピン14の上部が、負荷金具13の下面部の鍔形状部分から離脱することを防止すべく、ロバーバルブロック11の荷重受部11dが過度に上方に移動することを阻止する上向きストッパ(ボルトを加工して形成したもの)16がロバーバルブロック11の荷重受部11dの下部にねじ込まれており、その先端部がロードセル1の荷重受部2aの下面部近傍箇所に突出されている。
このロードセルユニット10は、例えば、図4に示すようにして計量装置20に組込まれる。すなわち、図4に示すように、計量装置20の基台部21上において立設して配設された支持部22上に、ロードセルユニット10におけるロバーバルブロック11の固定部11cがボルト(図示せず)等により固定され、ロードセルユニット10におけるロバーバルブロック11の荷重受部11d上に、被計量物が載せられる載台23の支持フレーム23aが固定されている。
なお、載台23の四隅部分から下方に延びるようにそれぞれ過負荷防止ボルト24が配設され、載台23上に、秤量よりも大きい荷重の被計量物が載せられた場合や、載台23上において偏った箇所に被計量物が載せられた場合などに、過負荷防止ボルト24の下端部が計量装置20の基台部21に当接して、過大な荷重や、過大な偏荷重がロードセルユニット10に作用することを防止している。なお、この実施の形態では、図4に示すように、ロードセルユニット10の中心部と載台23の中心部とがほぼ一致するように配設されている。
また、基台部21の四隅部に取り付けられた脚部25は上下位置を調節可能に構成されており、基台部21の一部から横に突出された部分に保持された水準器26を見ながら、計量装置20が良好な水平姿勢に設置できるようになっている。
上記構成により、被計量物の鉛直荷重は、一定の割合でその大部分が、負荷金具13、ロッカーピン14等を介してロードセル1に作用してこのロードセル1が負担し、残り(後述する荷重分担率の割合)の鉛直荷重はロバーバルブロック11が負担する。さらに、荷重を受ける載台23の任意位置に負荷された場合に生じる曲げ、捩りモーメントはロバーバルブロック11が負担する。
上記構成によれば、ロバーバル機構であるロバーバルブロック11の内部に、ロードセル1を組み込むことで、材料単価や加工費が高い恒弾性材料からなる起歪体2を備えたロードセル1として小型のものを用いることができて、製造コストなどのコストアップを抑えることができる。
また、ロードセル1を、ロバーバル機構からなるロバーバルブロック11の内部に組込むことで、ロードセルユニット10に対して負荷が作用した際に、仮にこの負荷に横荷重や曲げや捩れなどの非鉛直荷重が含まれていたとした場合でも、前記非鉛直荷重がロバーバルブロック11により受けられ、ロードセル1には非鉛直荷重が除かれた鉛直荷重だけが良好に作用し、高精度に計量することが可能となる。
なお、上記実施の形態3では、ロードセル1をロバーバルブロック11の固定部11c側に取り付けた場合を述べたが、これに限るものではない。すなわち、これに代えて、ロバーバルブロック11の荷重受部11d側にロードセル1を取り付け、負荷金具13やロッカーピン14の機構をロバーバルブロック11の固定部11c側に設け、荷重が負荷した際に、ロードセル1に対して上向きに力が作用するように配置してもよい。
次に、図5は本発明の実施の形態4に係るロードセルユニット10を示す斜視図である。図5に示すように、このロードセルユニット10は、前記実施の形態3に係るロードセルユニット10の構成に加えて、ロードセルユニット10におけるロバーバルブロック11の薄肉部11f、またはその近傍箇所に、ロバーバルブロック11の温度を検出する温度センサ17が取り付けられている。
この構成において、このロードセルユニット10が用いられた計量装置20の載台23(図4参照)に被計量物が載せられると、ロバーバルブロック11において、ロードセルユニット10の荷重負荷時における鉛直変位分の撓みが発生し、その撓みに相当する反力が、いわゆる計量したい荷重に対する荷重分担率となり、ロバーバルブロック11によりこの荷重分担率分の荷重が受けられる。したがって、この荷重分担率に相当する荷重が計量精度を阻害しないように、かつ荷重を受ける載台23の任意位置に負荷された場合に生じるロバーバルブロック11への曲げ、捻りモーメントに十分耐える強度を有するようにロバーバルブロック11の寸法が決定される。
しかしながら、ユーザーの要求で載台23の寸法を大きくした場合は、被計量物の置かれる位置が載台23の片隅に偏った場合にロバーバルブロック11に対して大きな曲げモーメントまたは捩りモーメントが作用することがあり得る。その場合にはロバーバルブロック11、特にその薄肉部11fの板厚寸法を大きくする必要性があるが、薄肉部11fの板厚寸法を大きくすると、ロバーバルブロック11が同一荷重に対して撓み難くなるから、結局ロバーバルブロック11の荷重分担率が増加することとなる。
仮に、ロバーバルの荷重分担率を3%としなければならない場合を想定した場合、前記ロードセルユニット10を用いた計量装置20が、秤量10kg、目量1g(すなわち、1/10,000の計量精度)の秤として使用される場合を例にとると、標準分銅で校正する際はロードセルユニット10全体で校正され、負荷特性的には荷重をロードセル1が殆ど(97%)分担するので、ロバーバルブロック11の負荷特性に関しては、例えば直線性が0.05%程度であっても、ロードセルユニット10全体に及ぼす影響は0.05%×3%=0.0015%(1/67,000)なので、1目量の1/6.7ほどの影響しかない。
しかしながら、温度感度の過渡特性については、比較的大きな影響を受ける場合がありえる。
すわなち、この計量装置20の使用場所の温度分布が一定であれば、ロードセル1とロバーバルブロック11(薄肉部11fも含めて)とが同一温度なので、ロードセル1に設けられた温度センサ4で検出された温度によって温度感度補正され、必要な計量精度以内に収めることができる。しかし、温度の過渡状態時には、ロバーバルブロック11の薄肉部11fは周囲温度に敏感に反応するが、ロードセル1に設けられた温度センサ4(つまり、ロードセル1の歪ゲージ3の貼付部周辺位置)は、通常外気に直接触れないように配置され(例えば、上記したように、樹脂で覆われたり、カバーで覆われたりする)、かつ、ロードセル1の起歪体2の熱容量に影響を受けるため、ロバーバルブロック11の薄肉部11fの温度と大きな差を生じることがある。
仮に、ロバーバルブロック11の薄肉部11fとロードセル1の歪ゲージ3の貼付箇所との温度差が5℃あった場合は、ロバーバルブロック11の材料であるアルミ合金のヤング率の温度係数が約550ppm/℃だから、単に、ロバーバルブロック11を含めたロードセルユニット10全体の温度が、前記ロードセル1の歪ゲージ3の貼付箇所に配設した温度センサ4で検出した温度であるとみなして校正した秤量値では、550ppm/℃×5℃×3%=82.5ppm=1/1,2000となり、比較的大きな誤差を生じる。
したがって、この問題に対処すべく、本実施の形態ではロバーバルブロック11の薄肉部11fの近傍に、ロバーバルブロック11の温度を検知する温度センサ17を取り付けて、その温度情報をも含めて、ロバーバルブロック11の荷重分担率分の温度感度補正を行って、ロードセル1の温度感度補正値を再補正する。ただし、もともと荷重分担率が3%程度であり、その影響は相対的には少ないので、ロバーバルブロック11に取り付ける温度センサ17の検出温度精度はかなりおおまかなものでも十分再補正するに足る温度情報を与えることが可能である。したがって、必ずしも各薄肉部11fの温度を正確に測定する必要はなく、図5において仮想線で示すように、ロバーバルブロック11の適当な箇所に温度センサ17を貼り付けてロバーバルブロック11の温度を検出してもよい。
ところで、上記実施の形態3、4においては、計量装置20(ロードセルユニット10)において、1つ(単体)のロードセル10を用いた構成とされている。このような1つのロードセル1を用いて、大秤量で、極めて小さな荷重から、最大秤量までの全ての領域で、小さな目量で極めて高精度の計量装置を実現しようとすると、ロードセルを構成する起歪体や歪ゲージの選定をさらに厳密に行わなければならなくなるとともに、ADコンバータの精度等として極めて高度なものが求められるため、極めて高価格となり、また、これらの一部に少しでも不良要因があると、高精度に保たれずに十分な信頼性が得られないことがある。
これに対処するものとして、次に述べる実施の形態5では、図6、図7に示すように、大秤量のロードセル1と小秤量のロードセル30とを、ロバーバル機構からなるロバーバルブロック11に組付けたロードセルユニット40を用いている。なお、実施の形態3、4と同機能の構成要素には同符号を付す。
ここで、大秤量のロードセル1としては、前記実施の形態1〜4のロードセル1と同機能のもので、例えば、秤量60kg(定格容量120kg)、目量10g(精度1/6000)のものを用いる。また、小秤量のロードセル30としては、例えば、秤量10kg(定格容量20kg)、目量1g(精度1/10000)の、いわゆる平行ビーム式のもの、すなわち、上下に平行なビーム部31a,31bと固定部31cと荷重受部31dとが薄肉部31fを介して一体的に接続された起歪体31が用いられ、この起歪体31の各薄肉部30fの表面に歪ゲージ32が貼り付けられて、これらの歪ゲージ32によりブリッジ回路が形成されている。また特に、この小秤量のロードセル30の起歪体31も、恒弾性材料から構成されている。
そして、ロバーバルブロック11の荷重受部11dに、ボルト33で固定されたロードセル取付ブラケット34を介して、小秤量ロードセル30の固定部31cがボルト35等で、ロバーバルブロック11内に貫通孔11hを通して突入するような姿勢で、固定されている。また、小秤量ロードセル30の荷重受部31dと大秤量のロードセル1の荷重受部2aとが上下に対向するように配置され、これらの荷重受部31d、2a間に上下に球面部を有するロッカーピン14が当接されて支持された状態で介装されている。そして、これにより、平面視して、各ロードセル30、1の荷重点30a、1aが一致し(すなわち鉛直方向に一致し)、かつ、荷重が、小秤量ロードセル30から大秤量ロードセル1にロッカーピン14を介して鉛直方向に伝達するように配置されている。
また、ロバーバルブロック11の荷重受部11dには、その両側面に取り付けられた取付アーム36を介してボルトからなるストッパ37が、小秤量ロードセル30の荷重受部31dに上方から対向し、かつその隙間を位置調整可能な状態で取り付けられている。ここで、このストッパ37の軸心も、各ロードセル30、1の荷重点30a、1aと一致するように配設されている。そして、小秤量ロードセル30の秤量(または定格容量)よりも大きな荷重が、ロバーバルブロック11の荷重受部11dに作用した場合には、小秤量ロードセル30の荷重受部31dが、ロッカーピン14と同一鉛直線上に位置するこのストッパ37に接触し、このストッパ37および、このストッパ37が当接する小秤量ロードセル30の荷重受部31dを介して荷重が、ロッカーピン14側に伝達されて、定格容量よりも大きな荷重が小秤量ロードセル30に作用しないようセットされている。
また、別途設けられた制御部(図示せず)により、小秤量(0〜10kg)の計量範囲内においては、小さい目量で荷重を測定できる小秤量のロードセル30で測定した値をロードセルユニット40の計量値として採用し、前記小秤量よりも大きな大秤量(10〜60kg)の範囲では大きい目量の大秤量ロードセル1で測定した値をロードセルユニット40の計量値として切り換えて、採用する。そして、制御部は、計量した値に応じて、小秤量のレンジと、大秤量のレンジとを切り換えて表示する。
上記構成において、ロバーバルブロック11の荷重受部11dに負荷された荷重は、小秤量ロードセル30、ロッカーピン14、大秤量のロードセル1の順に負荷される。小秤量(0〜10kg)の計量範囲では、ストッパ37が小秤量ロードセル30の荷重受部31dに当接することは無く、ロバーバルブロック11の荷重受部11dに負荷された荷重が、そのまま、小秤量ロードセル30と大秤量のロードセル1とに作用して同一負荷となる。したがって、各ロードセル30、1の出力を比較した場合、当然ながら小秤量ロードセル30の方が大秤量のロードセル1よりも大きな出力を得られて、計量精度も高い。
一方、計量範囲(0〜10kg)を超えると、ストッパ37が小秤量ロードセル30の荷重受部31dに当接し、これにより、小秤量ロードセル30の秤量(10kg)を超えた荷重はロバーバルブロック11の荷重受部11dからストッパ37および小秤量ロードセル30の荷重受部31d、ロッカーピン14を介して、大秤量のロードセル1の順に伝達される。すなわち、計量範囲10kg〜60kgでは、大秤量のロードセル1によって計量された値が表示される。
これにより、小さい秤量の計量範囲において特に高精度で計量することができる。また、上記構成により、荷重が小秤量ロードセル30の秤量以上に増加しても、小秤量ロードセル30の薄肉部31fには定格荷重以下もしくは近傍の荷重しか作用しないため、いわゆる小秤量ロードセル30の過負荷による損傷や、過負荷状態から荷重が大きく減少する際に発生するヒステリシスの悪影響などが発生せず、信頼性を向上させることができる。
また、上記実施の形態によれば、各ロードセル30、1の荷重点30a、1aおよびストッパ37からの荷重点が鉛直方向に一致するように配置されているので、小秤量ロードセル30やストッパ37からの荷重が大秤量のロードセル1に対して荷重点30a、1aを通る鉛直方向に作用し、この結果、横荷重や曲げや捩れなどの力が大秤量のロードセル1に作用することを防止できて高い計量精度を維持できる。すなわち、複数のロードセルを組み合わせるように配設した場合に、平面視して荷重点が異なる(すなわち、鉛直方向に対して一致しない)ように配設されていた場合には、ロードセル間において、力が横方向にずれて作用するので、横荷重や曲げや捩れなどの力が発生して計量精度を低下させるおそれがあるが、本実施の形態ではこのような不具合を生じない。
しかも、ロバーバルブロック11の荷重受部11d側に小秤量のロードセル30の秤量よりも過大な荷重が負荷された場合には、小秤量のロードセル30の秤量よりも過大な荷重は、ストッパ37を介して、この鉛直方向真下に配置される小秤量のロードセル30の荷重受部31d(荷重点30a)およびロッカーピン14を介して、ロードセル1の荷重点1aに負荷されて伝達されるので、大秤量のロードセル1により正確に計量することができる。
なお、上記の実施の形態5等では、小秤量ロードセル30が大秤量のロードセル1に対して相対的に上方となるように配置され、ロバーバルブロック11の荷重受部11dに負荷された荷重が、小秤量ロードセル30やストッパ37から大秤量のロードセル1に上方から作用するように構成されているが、これに限るものではなく、図8に示すように、小秤量ロードセル30が大秤量のロードセル1よりも下方となるように配置し、大秤量のロードセル1の荷重受部2aに取り付けた、側面視して矩形枠状の連結金具38、および連結金具38の下面部上に載せた荷重伝達金具39を介して、大秤量のロードセル1により、小秤量ロードセル30の荷重受部31dを引き上げるような力が作用するように配置してもよい(実施の形態5の変形例)。
また、上記実施の形態5では、何れのロードセル1、30もその起歪体2、32を恒弾性材料で形成した場合を述べたが、これに限るものではなく、必要に応じて、一方のロードセルの起歪体だけを恒弾性材料で形成してもよい。例えば、小秤量ロードセル30の起歪体32のみを恒弾性材料で形成し、大秤量ロードセル1の起歪体2については、アルミ合金や鋼合金を用いることで、特に、小秤量ロードセル30の秤量内範囲において精度の高い計量を行うことが可能となる。
さらに、図9に示す実施の形態6のように、大秤量のロードセル1と小秤量のロードセル30とに加えて、さらに、秤量がこれらの中間である中秤量のロードセル50を追加して、秤量範囲に応じて、その出力を切り換えるよう構成してもよい。
例えば、小秤量(0〜10kg)領域では小秤量のロードセル30の出力に基づいて表示するようにして目量1gを実現し、中秤量(10kg〜20kg)領域では中秤量のロードセル50の出力に基づいて表示するようにして目量2gを実現し、大秤量(20kg〜60kg)領域では大秤量ロードセル1の出力に基づいて表示するようにして目量10gを実現し、いわゆる3段階レンジ切り替え計量方式に対応する高精度の計量装置(デジタルロードセルユニット)を実現できる。通常、この例では各ロードセル30、50、1の定格容量は20kg、40kg、120kgを採用する。
すなわち、図9に示すように、前記の小秤量のロードセル30、大秤量ロードセル1に加えて、同等な構造の中容量の起歪体51を備えた中秤量のロードセル50の固定部51aを、ロードセル取付ブラケット34を介して、ロバーバルブロック11の荷重受部11dに固定し、中秤量のロードセル50の荷重受部51bには連結板53を固定し、この連結板53の他端に、小秤量のロードセル30の固定部31cを固定する。小秤量のロードセル30の荷重受部31dに形成した凹部にロッカーピン14の上面の球面部を挿入して当接させ、ロッカーピン14の下面の球面部を大秤量ロードセル1の荷重受部2aにより下方から支持する。
また、この実施の形態においては、連結板53を通して中秤量のロードセル50の荷重受部51bにストッパ54が取り付けられており、このストッパ54の先端が、小秤量のロードセル30の荷重受部31dに上方から対向するように配設されている。そして、小秤量の計量範囲(10kg)を超え、かつ、小秤量のロードセル30の定格容量以内の荷重では、前記ストッパ54が、小秤量のロードセル30の荷重受部31dに上方から当接するように取り付けられている。なお、このストッパ54は、中秤量のロードセル50に連結板53を固定するボルトを兼用している。
また、この実施の形態においても、ロバーバルブロック11の荷重受部11dにストッパ37が、中秤量のロードセル50の荷重受部51bに上方から対向し、かつその隙間を位置調整可能な状態で取り付けられている。ここで、各ロードセル50、30、1の荷重点50a、30a、1aと、ストッパ37、54の軸心とは鉛直方向に全て一致するように(ロッカーピン14と同一鉛直線上)配設されている。また、中秤量の計量範囲(20kg)を超え、かつ、中秤量ロードセル50の定格容量以内の荷重がロバーバルブロック11の荷重受部11dに作用した際には、ロッカーピン14と同一鉛直線上に配置されたこのストッパ37が、中秤量のロードセル50の荷重受部51bに上方から当接して、定格容量よりも大きな荷重が中秤量のロードセル50に作用しないようセットされている。
この構成においては、ロバーバルブロック11の荷重受部11dに負荷された荷重は、基本的に、ロバーバルブロック11から、中秤量のロードセル50、連結板53、小秤量のロードセル30、ロッカーピン14、大秤量ロードセル1の順に伝達される。
小秤量(0〜10kg)の計量範囲では何れのロードセル50、30、1に対しても同一負荷だから、各ロードセル50、30、1の出力を比較した場合、当然小秤量のロードセル30の方が大きな出力を得て、計量精度も高い。
小秤量の計量範囲(0〜10kg)を超え、かつ、中秤量のロードセル50の秤量以内の荷重では、小秤量のロードセル30の変形により、連結板53および中秤量のロードセル50の荷重受部51bから下方に突出するように取り付けられたストッパ54が、小秤量のロードセル30の荷重受部31dに当接し、これにより、小秤量の計量範囲(0〜10kg)を超えた荷重は、ロバーバルブロック11の荷重受部11dから、中秤量のロードセル50、ストッパ54、小秤量のロードセル30の荷重受部31d、ロッカーピン14、大秤量ロードセル1の順に伝達される。この中秤量の計量範囲(10kg〜20kg)では中秤量のロードセル50も大秤量ロードセル1も同一負荷だから、各ロードセル50、1の出力を比較した場合、当然、中秤量のロードセル50の方が大きな出力を得て、計量精度も高い。
中秤量の計量範囲(10〜20kg)を超え、かつ、大秤量のロードセル1の秤量以内の荷重では、中秤量のロードセル50の変形により、ストッパ37が、中秤量のロードセル50の荷重受部51bに上方から当接し、これにより、荷重が中秤量の計量範囲(10kg〜20kg)を超えた場合には、ロバーバルブロック11の荷重受部11dに負荷された荷重は、ロバーバルブロック11から、ストッパ37、中秤量のロードセル50、連結板53、小秤量のロードセル30、ロッカーピン14、大秤量ロードセル1の順に伝達される。この大秤量ロードセル1では20kgを超えて60kgまでの領域を計量する。
各ロードセル50、30、1の計量範囲を超えた負荷は各ロードセル50、30、1の定格容量以下でストッパ54やストッパ37に当接するから、各ロードセル50、30、1のいわゆる過負荷による損傷や、過負荷状態から荷重が大きく減少する際でのヒステリシスの悪影響などが発生しない。また、計量範囲を超えた負荷は、ストッパ54やストッパ37に当接した、ロードセル50の荷重受部50aや、ロードセル30の荷重受部31d(荷重点30a)を通して真下に作用し、さらにこの真下に配置されたロッカーピン14を介して、ロードセル1の荷重点1aに負荷されて伝達されるので、大秤量のロードセル1(または中秤量のロードセル30)により正確に計量することができる。
なお、この実施の形態においても、すべてのロードセル50、30、1の起歪体2、31、51を恒弾性材料で形成してもよいが、これに限るものではなく、必要に応じて、一部のロードセルの起歪体だけを恒弾性材料で形成してもよい。
ところで、1000目量を超えるロードセル式の計量装置においては、計量装置の製造調整場所と設置場所(使用場所)とが異なる場合、双方の場所の重力加速度の差を計量値として補正して製造者から指定された重力加速度の地域に出荷される。しかし、高精度の計量装置では設置場所(使用場所)の重力加速度を厳密に指定しなければならないため実用的でないし、誤って重力加速度の異なる場所で使用した場合にはスパン誤差を生じる。
このため、計量法では、6000目量を超えるロードセル式の特定計量器は、使用場所での検定を義務付けている。あるいは、重力加速度補正を自動的にすることが可能な自己補正機構を計量装置に設けていれば調整場所(多くは製造者の工場)で検定を受けることができる。
一般に現地での検定作業は検定所への申請業務等が伴うので、販売者やユーザの手間が掛かる。上記したように、計量法では、6000目量を超えるロードセル式の特定計量器は、使用場所での検定が必要であるにもかかわらず、現地での検定作業は、積極的には利用されない場合が多く、電子天秤においては、内蔵校正分銅を自己補正機構として採用することが多くみられる。すなわち、上記したロードセルユニット、並びにロードセル式の計量装置において、重力加速度補正をする自己補正機構を備えることで、使用場所での検定を受けなくても済み、販売者やユーザの手間を省くことができる。
本発明の以下の実施の形態では、上記したロードセルユニット、並びにロードセル式の計量装置において、重力加速度補正をする自己補正機構を備えたものである。
図10は、重力加速度の自己補正機構を備えたロードセル式の計量装置を簡略的に示した正面図である。図10に示すように、この計量装置60には、上記実施の形態5におけるロードセルユニット40を備えており、ロードセルユニット40においては、大秤量のロードセル1と小秤量のロードセル30とが、ロバーバル機構からなるロバーバルブロック11に組付けられ、ロバーバルブロック11の荷重受部11dの上方に、被計量物が載せられる載台61が取り付けられている。なお、実施の形態3、4と同機能の構成要素には同符号を付す。
また、重力加速度の自己補正機構70として、ロバーバルブロック11の荷重受部11dから側方に突出するように固定された固定部材としてのハンガー71と、このハンガー71に対して載せ降ろしされる自己補正用錘72と、この自己補正用錘72をハンガー71に対して載せ降ろしする錘係脱手段73とが設けられている。錘係脱手段73は、ロバーバルブロック11の固定部11cが固定されて支持された基台62の、ロバーバルブロック11とは反対側に固定された固定アーム74と、この固定アーム74の上端に設けられた回転支持軸76を中心として揺動自在の揺動アーム75と、この揺動アーム75の中間部に取り付けられた摺動ローラ77と、この摺動ローラ77に下方から摺接する錘昇降用カム78と、この錘昇降用カム78を回転する図示しない回転モータとからなる。
そして、揺動アーム75の先端に形成されたV状溝75aに、自己補正用錘72の保持軸72aが載せられ、前記回転モータを駆動させて錘昇降用カム78を回動させることで、自己補正用錘72が、ハンガー71に載った状態(詳しくは、ハンガー71に形成されたV状溝71aに載った状態)と、ハンガー71から離反して、揺動アーム75により保持された状態とに切り換えられる。なお、自己補正用錘72は例えば3〜5kgの、小秤量のロードセル30に対応した計量範囲(0〜10kg)のものが用いられている。また、通常の計量時には、自己補正用錘72がハンガー71から離反して、自己補正用錘72の荷重がロバーバルブロック11に負荷していない状態で、計量動作が行われる。
上記構成の自己補正機構70を備えた計量装置60は、製造工場の製造調整場所で出荷前の調整時に、所定質量の分銅が載せられて、当該計量装置60の最大分解能で質量と計量値とのスパン係数が記憶され、図示しない制御部等の記憶部に記憶される。
そして、このようにスパン調整が行われて、製品として出荷可能な状態となった後に、自己補正用錘72の荷重が負荷される。つまり、揺動アーム75が下降するように回転モータが駆動され、自己補正用錘72がハンガー71に載せられ、ロバーバルブロック11の荷重受部11dに自己補正用錘72の荷重が負荷される。これにより、小秤量のロードセル30の出力を用いて自己補正用錘72が計量され、製造調整場所における小秤量のロードセル30の最大分解能での出力値(または、対応する計量値)が記憶される。
この後、計量装置60が使用場所に設置された段階で、自己補正動作を行う。すなわち、使用場所で再度、自己補正用錘72をハンガー71に載せて荷重を負荷させ、小秤量のロードセル30により、自己補正用錘72を計量する。この際、前記製造調整場所の重力加速度と、使用場所の重力加速度とに違いがある場合には、自己補正用錘72は同じ質量であるにもかかわらず荷重(重量)が異なる。したがって、これに対応して、小秤量のロードセル30による製造調整場所における自己補正用錘72の計量値(小秤量のロードセル30の内部分解能での出力値)と、使用場所における計量値(小秤量のロードセル30の内部分解能での出力値)との比率を算出し、この比率に基づいて小秤量のロードセル30のスパン補正(質量に対する出力値の傾きの補正:小秤量レンジの校正)を行う。また、同じ使用場所であれば重力加速度は何れのロードセル30、1に対しても同じように作用するので、この重力加速度の補正と同じ比率で残りの各ロードセル1のスパン補正を行う。これにより、全てのロードセル30、1の計量値に対して重力加速度を良好に補正することができる。
このように、小秤量のロードセル30だけでなく、大秤量のロードセル1の計量値に対しても高精度にスパン補正を行うことができる。また、計量装置60としては、小秤量ロードセル30の秤量に対応する質量の自己補正用錘72だけを備えておればよく、大型の自己補正用錘を有しなくても済むため、計量装置60のコストアップや大型化を抑えることができる。
また、この計量装置60には、図示しない制御部に、被計量物を計量した際に、複数のロードセル30、1のそれぞれの計量値の差が一定の値を超えたとき、異常と判断して警告するスパンチェック機能が設けられている。例えば、長年にわたって使用されている場合や一定期間毎の検査などに、前記スパンチェックを行うことで、何れのロードセル30、1も良好に動作していることを確認できるようになっている。
具体的には、小秤量ロードセル30により計量できる範囲内で、できるだけ大きな質量、すなわち秤量(10kg)に近い質量(9〜10kg)の任意の被計量物を載台61に載せる。そして、この時の小秤量のロードセル30による内部分解能での計量値と大秤量のロードセル1による内部分解能での計量値とを比較し、その計量値の差(理想的には0)が工場調整時に予め測定しておいた差以内であれば、何れのロードセル30、1も良好に機能していることを確認できる。
一方、これらの計量値の差が一定の値を超えたときは、何れかのロードセル1の計量精度が低下しているおそれがあるため、アラームの発信等の警報動作を行う。これにより、使用者等は何れかのロードセル30、1の計量値(出力)が異常であり、何れかのロードセル30、1が良好には機能していないと判断できる。そして、この場合には、現地検定を行ったり、製造メーカ等にメンテナンスを依頼するなど対処することで、各ロードセル30、1が正常な状態に修復することが可能となる。このように各ロードセル30、1の出力を対比してスパンチェックを行うことにより、各ロードセル30、1の検査を行うことができ、信頼性が向上する。
なお、上記のように、被計量物を載台61に載せた状態で、この時の小秤量のロードセル30による計量値と大秤量のロードセル1による計量値とを比較し、その差が、殆ど無い場合には、前記補正をした状態のままとするが、予め設定した所定値以内である程度発生した場合には、小秤量のロードセル30による計量値が正しいとみなし、この計量値と、大秤量のロードセル1による出力値に基づいて大秤量のロードセル1のスパンを再補正するように構成してもよい。また、大秤量のロードセル1に係るスパン係数として、使用場所での使用開始前に実施された重力加速度補正を加味したスパン係数を予め記憶しておき、この記憶されたスパン係数と、小容量レンジ秤のスパン係数(自己補正用錘72を用いて補正されたスパン係数)とを毎回比較することで、大秤量のロードセル1が安定した精度を保っているかどうかを確認することも可能であり、これらのスパン係数の比が所定範囲より大きくなった場合に、警告動作を行うようにしてもよい。
また、上記のようにスパンチェック動作を行うに際して、小秤量ロードセル30の秤量に近い質量の任意の被計量物を載台61に載せることにより補正動作が適正であるかどうかの確認を行うが、この際、前記被計量物は載台61の中央に載せる必要がある。つまり、載台61の中央ではない箇所に前記被計量物を載せると、偏置誤差の悪影響を受けて、小秤量のロードセル30と大秤量のロードセル1との計量値が信頼性の少ない値となるため、スパンチェックの信頼性が低下する。
これに対処するものとして、本実施の形態の計量装置60には、スパンチェックを行う際に載台61上の被計量物の位置に起因する偏荷重を検出する偏荷重検出手段を設けて、図示しない制御部において、前記偏荷重検出手段からの偏荷重の情報に基づいて、載台61上の被計量物の位置を変更するよう警告する載置位置チェック機能を設けている。
具体的には、図11(a)、(b)に簡略的に示すように、ロバーバルブロック11の上面の中央部に、ロバーバルブロック11の長手方向軸線に対して±45°傾いた角度を有する偏荷重検出手段としての歪ゲージ(いわゆる剪断型歪ゲージ)41を貼り付け、載台61上の偏荷重によって発生する捻じりモーメント(図11(a)における仮想線部参照)を検出し、また、前記長手方向軸線に沿って中央から等間隔のピッチで左右対称な位置(ロバーバルブロック11の薄肉部11fの位置に限定されない)に軸線方向に沿って偏荷重検出手段としての歪ゲージ42(いわゆる曲型歪ゲージ)を貼り付け、載台61上の偏荷重によって発生する曲げモーメント(図11(b)参照)を検出することが好ましい。
この構成によれば、被計量物Aの載台61上の重心位置が分かるので、その重心位置が中央部の許容位置内にあるかどうかを判定できる(例えば、特開平8−247834号公報参照)。この手法を採用することで、被計量物の載台61上の重心位置が中央部に近いと判断された場合は、継続してスパンチェック動作を行う。一方、載台61の中央部から離れた位置に被計量物Aの重心位置がある場合は、被計量物の載せる位置を変更せしめるよう警告を発することで、中央部への移動を促す。これにより、載台61上の被計量物Aを載せた位置が不適であり、スパンチェックが不正確となることを防止することができ、スパンチェックの信頼性を向上させることができる。
なお、上記の実施の形態では、大秤量のロードセル1と小秤量のロードセル30とを、ロバーバル機構からなるロバーバルブロック11に組付けたロードセルユニット40を用いた構成において、小秤量のロードセル30を小秤量の計量範囲で計量装置(いわゆる秤)として用いた場合を述べたが、これに限るものではなく、小秤量のロードセル30を、単に自己補正用として、あるいは日常点検するための荷重センサとして用い、実際の計量は大秤量のロードセル1のみで行う構成としてもよい。
また、上記の実施の形態では、1つのロードセルユニット40で載台61全体を支持する構造の場合を述べたが、これに限るものではなく、図12に示すように、複数のロードセルにより、1つの載台85を支持するいわゆるマルチロードセル型のロードセル式計量装置80に適用してもよく、この場合には、自己補正機構は1箇所に設けるだけでよい。
すなわち、この種のマルチロードセル型のロードセル式計量装置80の場合には、ロードセルと載台85との間に、横荷重を逃がす、例えば、上下の球面座81、82と鋼球83とからなる横揺れ機構84を介装することで、ロードセル側には横荷重の影響を抑えることができる。したがって、例えば、4箇所で支持する場合には、1箇所のみ、前記したと同様な構造の、小秤量のロードセル30と大秤量のロードセル1とがロバーバルブロック11に組みつけられているロードセルユニット40’を配置し、他の箇所は、単に、エリンバーで代表される恒弾性材料からなる起歪体2に歪ゲージ3が貼り付けられた大秤量のロードセル1を配設する。そして、前記1箇所のロードセルユニット40’にのみ自己補正機構70’を付加し、この補正機能により得たロードセルユニット40’に内蔵された大秤量のロードセル1と、単独に設置された他の大秤量のロードセル1とのスパン係数を合わせればよい。
なお、他の変形例としての図13においては、ロバーバルブロック11を基台部91に固定するための、ロバーバルブロック11の固定ブラケット92上に、自己補正用錘72を昇降自在に支持する錘昇降用機構93が設けられて自己補正機構90が構成されている。そして、錘昇降用機構93において、昇降自在に配設された昇降台94および昇降アーム95を下降させることで、自己補正用錘72が、ロバーバルブロック11の荷重受部11dから、前記固定ブラケット92側まで延設されて固定されたハンガー96上に載せられることで、自己補正用錘72による自己補正が可能に構成されている。
なお、図13における97、98は昇降台94を昇降させるねじ軸と昇降自在に案内する案内ロッド、99A、99Bは、昇降台94や昇降アーム95の上限位置と下限位置とを検知するリミットスイッチ、100は、必要時に取り付けられる着脱自在の昇降用ハンドルで、昇降用ハンドル100を回すことで、昇降台94や昇降アーム95を昇降させて、自己補正用錘72を昇降させるよう構成されている。
この構成では、ロバーバルブロック11の固定ブラケット92上に錘昇降用機構93を設けていることで、これらの横方向に対する配置スペースを比較的小さく済ますことができる利点がある。
なお、この自己補正機構90に代えて、前記した自己補正機構70を用いてもよい。また、自己補正機構70において、ロバーバルブロック11の荷重受部11d自体を側方に延長してハンガー71と同様な形状の部分を形成し、自己補正用錘72の保持軸72aに係脱自在に構成してもよい。
このように、計量装置60の自己補正機構70、70’、90として、重力加速度を補正するための自己補正用錘72と、ロバーバルブロック11の荷重受部11d、またはこの荷重受部11dに固定した固定部材としてのハンガー71、96に対して前記自己補正用錘72を載せ降ろしする錘係脱手段73や錘昇降用機構93とを備え、ハンガー71、96の固定位置を変更することなどにより、計量装置60内のロバーバルブロック11と自己補正用錘72の錘係脱手段73や錘昇降用機構93との相対位置を自由に変更してレイアウトすることが可能になるなど、計量装置60の設計の自由度が大きくなる利点がある。