JP2008254965A - 水分添加によるオゾン発生促進方法および装置 - Google Patents

水分添加によるオゾン発生促進方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】沿面放電もしくは無声放電、または沿面放電と無声放電の複合放電によるオゾン発生装置およびオゾン発生方法に関して、オゾン発生効率のより一層の向上を図る。
【解決手段】酸素供給手段により電極31に純酸素もしくは高濃度の酸素を供給し、該電極間に高電圧を印加して、沿面放電もしくは無声放電、または沿面放電と無声放電の複合放電を行うオゾン発生装置において、前記電極よりも酸素供給経路の上流側に、水または水蒸気を供給する水分供給手段6を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、効率的にオゾンを発生させる技術に関する。
上水道のオゾン処理は広く行われるようになり、下水処理水においても高度処理の要望がたかまっている。オゾン処理において、オゾンはエネルギー多消費型の原材料物質であり、1kgのオゾンを製造するために13kWhもの電力を要している。このような製造コストの高さがオゾン処理の普及を阻害している。
オゾン発生器の原理としては、空気または酸素ガス中での電気放電および紫外線ランプを用いたものが大部分を占め、大規模・低コスト化が図れるのは電気放電を用いた方式である。電気放電式では放電の制御方法が各種考案され数々のオゾン発生器が製造されてきた。電極形状によりオゾン生成率を向上させる技術も知られている。例えば、高電圧電極を接地電極の反りや曲がりに順応させてオゾン発生効率を向上させるものが知られている(特許文献1を参照)。
また、供給された酸素ガスを解離させ酸素原子を生成する酸素原子発生部6と、この酸素原子発生部より送給される酸素原子を含む第1のガスと、反応ガス入口1より供給される酸素を含む第2のガスとを酸素原子発生部6より高い圧力下で混合して反応させてオゾンを生成するオゾン発生部(スロート3およびディフューザ4)と、酸素原子発生部6の圧力を大気圧以下の所定の低圧力にすると共に、第1のガスを低圧状態のままオゾン発生部に送給する減圧送給手段とを備えた装置を用いてオゾンを発生させる方法も知られている(特許文献2を参照)。
これは、低圧下において酸素分子を解離させて酸素原子を生成した後に、この酸素原子を含むガスに空気を供給してオゾンを発生するものである。
特開2003−146622号公報 特開平9−86904号公報
しかし、オゾン発生の技術において、放電部分のメカニズムとオゾン発生のメカニズムについて個別に考慮しており、十分に考慮されたものではない。また、近年酸素原料によるオゾン発生法等が導入されているが高効率化のために必要なメカニズム解析がなされておらず、つまり、オゾン発生に必要な要素である分子・原子についての特定がなされておらず、原料ガス中で電気放電させるだけであった。特にオゾンが放電空間中において窒素・アルゴン・二酸化炭素等の不活性ガスを触媒として生成されると考えられてはいるが、オゾン生成効率を向上させる要素についての特定が十分に出来ていない。このため、電極表面でオゾンが生成される場合のオゾン生成効率を向上させる要素をさらに特定していく必要がある。
そこで本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、沿面放電もしくは無声放電、または沿面放電と無声放電の複合放電によるオゾン発生装置およびオゾン発生方法に関して、オゾン発生効率のより一層の向上を図ることを目的とする。
本発明者等は、上記課題について鋭意研究を行った結果、酸素雰囲気中で水分吸着層を持たないニッケル電極を用い、水分(HO)のオゾン生成に果たす役割を確認したところ、電極表面に吸着した水分(HO)がオゾン生成率を向上させることが判明した。これによりオゾン生成に水分(もしくは水蒸気)が大きく関与していることがわかり、電極よりも前段(上流側)において、水分を添加することによりオゾン生成に寄与させることができ、これにてオゾン生成効率の格段の向上を図ることができることを見出して、本発明を完成するに至った。
図1は酸素ガスへの放電により発生する物質のエネルギー状態を示す図である。
電気放電による酸素気体中の放電生成物としては、図1に示すように、O 、O(E、F)、O(D)、O、O(bΣg)、O、O(aΔg)、O が揚げられる。この内、オゾンの生成エネルギーに近い生成エネルギーを有するO(D)、O、O(b)、O(a)等の粒子が主にオゾンの生成に関与すると考えられている。
例えば、O(b)の酸素分子よりの生成エネルギーを1.63、O(a)の酸素分子よりの生成エネルギーを0.93、Oの酸素分子よりの生成エネルギーを、3.0とすると、O(b)とOもしくは、O(a)とOによりオゾンが生成されると、そのエネルギーは4.63、3.93となり、オゾンの生成に必要なエネルギー2.6を上回り、円滑なオゾン生成が阻害されてしまう。
ここで、前述した水分の添加は、酸素分子と酸素原子のエネルギーとオゾン分子のエネルギー差を調整する物質、またはエネルギー差を調整する物質への補助促進剤として作用すると考えられ、放電室前段において酸素に水または水蒸気を供給し、該酸素ガスへの放電を行うことでオゾンを効率的に生成するものである。
図2は水分供給手段を備えたオゾン発生装置を示す図である。
図2に示すオゾン発生装置は、オゾン発生器5、チャンバー10、水分供給手段6、酸素ガス供給管8、およびオゾンガス排出管9により構成されている。酸素ガス供給管8には、酸素ガスボンベ等より酸素ガスが供給され、オゾン発生器5には放電用の高電圧電源が接続される。なお、オゾン発生装置には、バルブ、ガス流量制御装置、オゾン濃度計などを必要に応じて接続可能である。
酸素ガス供給管8はチャンバー10を介してオゾン発生器5に接続しており、オゾン発生器5内に酸素ガスを供給可能としている。すなわち、酸素ガス供給管8は、チャンバー10内に酸素ガスを供給し、該チャンバー10内より酸素ガスがオゾン発生器5内に導入される。該オゾン発生器5の下流側には、オゾンガス排出管9が接続されている。また、オゾン発生器5内には、図示せぬ沿面放電素子もしくは無声放電素子、または沿面放電と無声放電の複合放電素子が配置されており、この放電素子には高電圧に印加するための高電圧電源が接続されている。
また、水分供給手段6は、水分導入部6aと、該水分導入部6aに接続した水分供給源6bとで構成されており、水分導入部6aはチャンバー10に配設され、チャンバー10内に水または水蒸気を導入可能に構成されている。このような装置により水または水蒸気等の水分を酸素ガスに添加することにより、オゾンの発生効率を向上できる。
上記オゾン発生装置の構成においては、オゾン発生器5の前段となる上流側に酸素に水分の添加を行うチャンバー10を設けたことにより、該チャンバー10内において酸素ガス供給管8を介して供給される純酸素もしくは高濃度酸素に水分供給手段6により水分を添加し、該水分を含む酸素ガスをオゾン発生器5へと導入し、放電によりオゾン発生を行う構成としている。こうすることで、オゾン発生効率の向上が図られ、オゾン濃度をさらに向上することが可能となる。
即ち、請求項1においては、電極間に高電圧を印加して、沿面放電もしくは無声放電、または沿面放電と無声放電の複合放電により、オゾンを発生させるオゾン発生方法において、水または水蒸気の供給を行った供給ガスに、放電を行うものである。
請求項2においては、酸素供給手段により電極に純酸素もしくは高濃度の酸素を供給し、該電極間に高電圧を印加して、沿面放電もしくは無声放電、または沿面放電と無声放電の複合放電を行うオゾン発生装置において、前記電極よりも酸素供給経路の上流側に、水または水蒸気を供給する水分供給手段を備えるものである。
このように、オゾンの発生を行うことにより、効率的なオゾンの発生を可能とすると共に、オゾン濃度を容易に調節することも可能となるものである。水分を添加するだけであるため過剰なエネルギーを必要とせず、オゾン発生のエネルギー効率を向上できる。そして、生成されるオゾンにおいて、酸化力など、その化学的性質が維持される。
また、酸素原料によるオゾンの発生において、すでに導入されている既存のオゾン発生器の前段(電極部の上流側)に水分を添加できる水分供給手段の設置でオゾン発生効率を向上させてオゾン濃度を高められる。
また、前記水分供給手段を追加設置するだけなので、装置改良に費用がかからず、非常に経済的である。
次に、発明の実施の形態を説明する。
図3は実験装置の全体構成を示す図、図4はオゾン発生器の側面一部断面図、図5は実験によるオゾンの濃度変化を示す図である。
図3を用いて実験装置の全体構成を説明する。
図3に示すように、オゾン発生装置の一例である実験装置は酸素ガスボンベ11、ガス流量制御装置12、水分供給手段であるインピンジャー6、オゾン発生器5、冷却装置19、オゾン濃度計14、排オゾン処理装置16、高電圧電源17等により構成される。
酸素ガスボンベ11はガス流量制御装置12に接続しており、酸素供給手段として構成されている。該ガス流量制御装置12は酸素ガス供給管8を介してオゾン発生器5に接続している。前記酸素ガス供給管8の中途部には切換バルブ8aが設けられており、該切換バルブ8aの上流側の酸素ガス供給管8から分岐管20が分岐している。該分岐管20は切換バルブ20aを介してインピンジャー6の導入管6aに接続されている。また、前記切換バルブ8aの下流側の酸素ガス供給管8から分岐管21が分岐している。該分岐管21は切換バルブ21aを介してインピンジャー6の排出管6bに接続されている。前記オゾン発生器5は、オゾンガス排出管9を介してオゾン濃度計14および排オゾン処理装置16に接続している。また、オゾン発生器5には、高電圧に印加するための高電圧電源17が接続されている。
オゾン発生器5の構成について、図4を用いて説明する。
オゾン発生器5は、セラミックス誘電体41・41に挟まれたニッケル製エキスパンドメタルにより構成される電極31において放電を行い、前記酸素ガス供給管8と接続している酸素ガス供給口43より供給された酸素より、オゾンを生成して、オゾン化ガス排出口44に接続されている前記オゾンガス排出管9を介してオゾンを排出する。オゾン発生器5には冷却ジャケット42a・42bが装着されており、オゾン発生器5の温度調節可能となっている。
なお、本実施例のオゾン発生器5の電極31は、該電極31の表面で無声放電と沿面放電の複合放電を生じさせるような構成としているが、特にこれに限定するものではなく、例えば沿面放電または無声放電を生じるように構成される素子を用いてもかまわない。
前記冷却ジャケット42a・42bの内部には、冷却装置19から送られてきた冷却水を流すための冷却水通路が蛇行状に形成されており、それぞれの冷却ジャケット42a・42bの上部には、冷却水通路へ冷却水を導入する冷却水導入管32と冷却水を排出する冷却水排出管33がそれぞれ接続されている。
これら冷却装置19と二つの冷却ジャケット42a・42bとの間には、冷却水の循環経路が形成されている。すなわち、冷却装置19から送られてきた冷却水は、冷却ジャケット42aの冷却水導入管32から冷却水通路内に流入したのち、冷却ジャケット42aと冷却ジャケット42bとを接続するチューブ34を介して、冷却ジャケット42a内の冷却水通路内から冷却ジャケット42bの冷却水通路に送られる。そして、冷却水は冷却ジャケット42bの冷却水通路を流れて冷却ジャケット42bの冷却水排出管33から冷却装置19に回収される。
インピンジャー6は、筒状のガラス瓶で形成されているものであり、上端の開口部はゴム製のキャップで閉じられている。インピンジャー6には、蒸留水25が所定量注入されており、ガス流量制御装置12を介して送られてくる酸素を取り入れる側の導入管6aの先端が蒸留水25の水中まで延ばされ、酸素を排出させる側の排出管6bの先端は蒸留水22の水面より上方に位置されて、取り入れた酸素の気泡28を発生させて、バブリングが行えるようになっている。
なお。本実施例においては水分供給手段としてインピンジャー6を使用したが特に限定するものではなく、水または水蒸気を酸素ガス中に添加できるものであれば、例えば超音波式や気化式などの加湿装置等を使用してもかまわない。
このような構成において、酸素ガスボンベ11より高純度の酸素ガス(純度99.5%)を、ガス流量制御装置12を介して、酸素ガス供給管8に流し、インピンジャー6により酸素に水分を添加する場合は、切換バルブ20a・21aを開けておき、切換バルブ8aを閉じて酸素を蒸留水25内へと導入する。そうして酸素の気泡を発生させて、水分を含む酸素をオゾン発生器5へと導く。そして、該オゾン発生器5内に導入された水分を含んだ酸素ガスが、前記電極31近傍上で、放電されてオゾンガスが生成する。該オゾンガスは、オゾンガス排出管9から排出されてオゾン濃度計14に導入されて、オゾン濃度の測定を行うものである。また、インピンジャー6により酸素に水分を添加しない場合は、切換バルブ8aを開けておき、切換バルブ20a・21aを閉めて、酸素をインピンジャー6を介さずにオゾン発生器5内へと導く。つまり、本実施例では水分を供給するための迂回路を設けた構成となっている。こうして切換バルブの開閉を行うことで、水分を添加しない場合においても上記同様にオゾン濃度計により、オゾン濃度の測定が行えるようにしている。
次に、本実施例の実験装置でオゾン発生を行う場合において、水分添加条件によるオゾン濃度変化を測定した。
図5は実験によるオゾンの濃度変化を示す図である。まずは、水分を添加しないでしばらくの間(本実施例では約5時間)、オゾン発生器5により放電を行って、オゾンを発生させる。こうして、オゾン濃度がある程度低下し、冷却水温が略一定になるまで待つ。そして、オゾン発生器5の前段(上流側)で酸素ガスを所定時間(本実施例では1分間)、インピンジャー25に導入して水分の添加を行い、水分を含む酸素ガスに放電を行った。その後酸素ガスのインピンジャー6への迂回を中止し、1時間程度、水分添加を中止した。このように水分添加の有無を4回繰り返してオゾンの濃度変化を観察した。
図5において、横軸は時間(時)であり、縦軸はオゾン濃度(g/Nm)を示すものである。
結果としては、酸素ガスに水分を添加しない時から水分を添加した時(インピンジャー6への迂回時)のオゾン濃度の変化を観察すると、オゾン濃度が上昇していた。
詳しくは、オゾン発生器5内に供給される酸素に水分を添加した時期(インピンジャー6への迂回時)は、図5に示す添加時期A・B・C・Dである。添加時期A・B・C・Dにおいては、添加前のオゾン濃度よりも添加時期内のオゾン濃度が明らかに高くなっており、水分を添加した時(迂回時)において、多くのオゾンが発生したものと考えられる。この結果から一定のインターバルで水分を供給ガス中に添加することにより、容易にオゾン濃度を高められオゾン生成効率が向上することがわかる。
つまり、酸素供給手段により電極31に純酸素もしくは高濃度の酸素を供給し、該電極間に高電圧を印加して、沿面放電と無声放電の複合放電を行うオゾン発生装置において、前記電極31よりも酸素供給経路の上流側で、前記酸素供給手段から供給される酸素に水または水蒸気を供給する水分供給手段6を備えることにより、オゾン発生が促されて、オゾン濃度が向上したものである。
酸素ガスへの放電により発生する物質のエネルギー状態を示す図。 水分供給手段として水分添加装置を備えたオゾン発生装置を示す図。 実験装置の全体構成を示す図。 オゾン発生器の側面一部断面図。 実験によるオゾンの濃度変化を示す図。
符号の説明
5 オゾン発生器
6 インピンジャー
7 沿面放電素子
8 酸素ガス供給管
11 酸素ガスボンベ
12 ガス流量制御装置
31 電極

Claims (2)

  1. 電極間に高電圧を印加して、沿面放電もしくは無声放電、または沿面放電と無声放電の複合放電により、オゾンを発生させるオゾン発生方法において、
    水または水蒸気の供給を行った供給ガスに、放電を行うことを特徴とするオゾン発生促進方法。
  2. 酸素供給手段により電極に純酸素もしくは高濃度の酸素を供給し、該電極間に高電圧を印加して、沿面放電もしくは無声放電、または沿面放電と無声放電の複合放電を行うオゾン発生装置において、
    前記電極よりも酸素供給経路の上流側に、水または水蒸気を供給する水分供給手段を備えることを特徴とするオゾン発生装置。
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