JP2008208268A - メタンガス精製装置及びメタンガス精製装置システム - Google Patents

メタンガス精製装置及びメタンガス精製装置システム Download PDF

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高敏 加藤
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和雄 佐藤
Nobuyuki Ashikaga
伸行 足利
Masahiko Tsutsumi
正彦 堤
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Abstract

【課題】効率よく硫化水素、シロキサンなどを分解、除去させることができるとともに、吸着剤の寿命を延ばすことを課題とする。
【解決手段】埋立地や下水、し尿処理プロセス等で発生する消化ガス39とオゾンガス40とを、固相または液相中で反応させて精製処理し、消化ガス39中のメタンガスを代表とする炭化水素化合物の純度を高くすることを特徴とするメタンガス精製装置36。
【選択図】 図3

Description

本発明はメタンガス精製装置及びこのメタンガス精製装置を用いたシステムに関し、特に埋立地、湖沼池、下水処理場、し尿処理場で発生する消化ガスを精製してメタンガスを代表とする炭化水素化合物の純度を高くするものである。
近年、地球温暖化防止策が推進され、エネルギーを効率よく利用し、同時にCOの排出量の削減を図るケースが増加しつつある。即ち、下水等の処理場では、集積した廃水を濃縮処理して得た汚泥を微生物の作用によって嫌気性消化し、この過程で得られたメタンを主とする可燃性の消化ガスを、ガスエンジンやガスタービン等の発電設備に供給して電力を得る方式を採るのが一般的となりつつある。
しかしながら、近年、シャンプーやリンス等の頭髪仕上げ剤、カーワックス等の撥水剤等の消費量が増加し、これらに含まれる硫化物、有機珪素化合物(シロキサン化合物)等が処理場に流入する排水中に多量に流下するようになってきた。
これらの化合物の多くは水に不溶であるため、汚泥等の固形物に吸着した形で排水中に存在するが、消化過程では発生ガス側に揮散する。したがって、発生ガス中に含まれる硫化物やシロキサン化合物の除去処理を行わないと、発生ガス中のメタンとともに発電用の燃料ガスとしてエンジンに流入する。その結果、エンジン内の燃焼室でシロキサンは、シリカ(SiO)となり、エンジン内のシリンダーヘッドやその他の構成部品に付着,析出し、磨耗を生じてエンジンが劣化してしまう。また、硫化物は二酸化硫黄等になって大気中に放出されるという不具合が生じることとなる。
一方、埋立地では土中で廃棄物が嫌気処理され、メタンガスを主成分とするガスが発生する。メタンガスも地球温暖化物質として抑制されることが望ましいため、このガスを有効に活用しつつ大気中への放出量を低減させる必要がある。しかし、この発生ガス中にも様々な廃棄物から発生された珪素や硫黄分があるため、ガスの精製処理を行わないと発電機等が劣化してしまう。
例えば、特許文献1に記載の燃料電池発電システムでは、メタン発酵工程で生成した消化ガスを改質して含水素ガスを製造するガス処理工程において、消化ガス中の酸化ガスを吸着及び/又は吸収除去する前処理を行うことによってシロキサン化合物を除去している。また、特許文献2に記載の消化ガス発電設備では、下水汚泥消化ガスをガスエンジンに燃料として供給し、発電するものにおいて、消化ガスを予め精製装置に送り、吸着剤に接触させる等の処置を行ってシロキサン化合物を除去している。
なお、シロキサン化合物とは、シロキサン結合(Si−O−Si)を基本骨格とした鎖状または環状構造の化合物をさす。鎖状化合物としては、例えばメトキシトリメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、およびドデカメチルペンタシロキサンが挙げられる。環状化合物としては、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3体)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4体)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5体)、およびドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6体)が挙げられる。ここに列挙した化合物は、化合物中の官能基がメチル基で構成されているが、メチル基に類する炭化水素基で置換された化合物、または水素の代わりにフッ素、塩素等で置換された化合物も含まれ、さらには分子量の大きい多重合化合物も存在する。
図13は、従来のメタンガス精製装置システムを示す図である。同システムは、ガス抜き管1(又は貯蔵タンク2)と、ブロワ等のファン付き送風機3と、除湿装置4と、脱硫装置5と、脱シロキサン装置6と、CO除去装置7と、一時貯蔵タンク8と、ブロワ9と、エンジン10と、発電機11とから構成される。ガス抜き管1は、埋立地や湖沼池で発生したメタンガスを主成分とするガス(消化ガス)を収集するために使用される。貯蔵タンク2を使用する場合は、下水処理場等の汚泥を貯蔵し、そこで消化ガスを発生させる。消化ガスは、送風機3で除湿装置4、脱硫装置5、脱シロキサン装置6、CO除去装置7の順番に送られて精製され、一時貯蔵タンク8で貯蔵される。消化ガスにおいて精製されメタン成分の割合が高くなった消化ガスは、ブロワ9等を通じてエンジン10で燃焼して発電機11に電力エネルギーに変換される。
図14は、前記システムの一構成である脱シロキサン装置6の概略図を示す。この脱シロキサン装置6は吸着剤充填タンク15を備え、その内部に吸着剤16が配置されている。この吸着剤16により吸着剤充填タンク15に送られた消化ガス中のシロキサンが吸着される。
なお、図13では、ブロワ9等を通じてエンジン10で燃焼して発電機11に電力エネルギーに変換される場合について述べたが、これに限らない。例えば、図13に示すように、コンプレッサー12で昇圧された後にガスタービンエンジン13を通じて電力エネルギーに変換されてもよい。また、内燃機関を持つ自動車14などの燃料として利用されてもよい。
特開2001−23677号公報 特開2002−138851号公報
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、従来、発生ガス中のシロキサンを吸着させるだけで頻繁に吸着剤を交換しなければいけなかったのに対し、消化ガスに含まれる硫化水素、シロキサン等を効率よく分解、除去させることで吸着剤の寿命を延ばし、安価かつ安定して除去し得るメタンガス精製装置及びメタンガス精製装置システムを提供することを目的とする。
(1)本発明のメタンガス精製装置は、埋立地や下水、し尿処理プロセス等で発生する消化ガスとオゾンガスとを、固相または液相中で反応させて精製処理し、消化ガス中のメタンガスを代表とする炭化水素化合物の純度を高くすることを特徴とする。
(2)本発明のメタンガス精製装置システムは、埋立地等から発生する消化ガスを取り出すガス抜き管、または、下水、し尿処理プロセス等で発生する消化ガスを蓄えておく貯蔵タンクと、消化ガスを所定の場所に送る送風手段と、この送風手段から送られる消化ガスを除湿する除湿装置と、除湿した消化ガスを脱硫する脱硫装置と、この脱硫装置に接続された上記(1)記載のメタンガス精製装置と、このメタンガス精製装置に接続された一時貯蔵タンクとを具備することを特徴とする。
(3)本発明のメタンガス精製装置システムは、埋立地等から発生する消化ガスを取り出すガス抜き管、または、下水、し尿処理プロセス等で発生する消化ガスを蓄えておく貯蔵タンクと、消化ガスを所定の場所に送る送風手段と、この送風手段から送られる消化ガスを除湿する除湿装置と、この除湿装置に接続された,脱硫機能を有した上記(1)記載のメタンガス精製装置と、このメタンガス精製装置に接続された一時貯蔵タンクとを具備することを特徴とする。
本発明によれば、各廃水処理場、埋立地、湖沼池などで発生した硫化水素、シロキサンなどを含むメタンガスを主成分とする炭化水素ガスにおいて、効率よく硫化水素、シロキサンなどを分解、除去させることができるとともに、吸着剤の寿命を延ばすこともできる。
本発明者は、鋭意検討した結果、オゾンガスによって硫化水素、シロキサンが容易に効率よく分解できることを見出し、またオゾンガスによって吸着剤に吸着した硫化水素、シロキサンを分解、除去することで吸着剤が再生処理され、吸着剤の寿命を延ばすこともできることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のメタンガス精製装置は、上述したように、埋立地や下水、し尿処理プロセス等で発生する消化ガスとオゾンガスとを、固相または液相中で反応させて精製処理し、消化ガス中のメタンガスを代表とする炭化水素化合物の純度を高くすることを特徴とする。
こうしたメタンガス精製装置の例として、次の場合が挙げられる。
(1) 吸着剤充填タンクと、この吸着剤充填タンク内に収容された吸着剤とからなり、消化ガスとオゾンガスとを吸着剤の上流側において混合して供給することを特徴とするメタンガス精製装置。吸着剤としては、一般的に使用されているもので、例えば活性炭、ゼオライト、酸化チタン、珪素黄土が挙げられる。吸着剤充填タンクは2塔以上備えることができる。このメタンガス精製装置によれば、効率よく硫化水素、シロキサン等を分解,除去させることができると共に、吸着の寿命を延ばすことができる。
(2) 吸着剤充填タンクと、この吸着剤充填タンク内に収容された吸着剤と、オゾン水を噴霧,散水する噴霧散水器とを有し、オゾン水は吸着剤の上方より噴霧散水され、消化ガスは吸着剤の下方から吸着剤充填タンクに導入されることを特徴とするメタンガス精製装置。オゾン水を吸着剤に噴霧,散水することにより、吸着剤上に吸着できなかった硫黄分、シロキサン分がオゾン水に吸収され、反応して分解、除去することが可能となる。
(3) オゾン処理タンクと、このオゾン処理タンクに設けられた水供給口とを有し、オゾン処理タンクに水を一定量以上蓄え、その中に消化ガスとオゾンガスを導入して、液相中で硫化水素や有機珪素化合物とを除去することを特徴とするメタンガス精製装置。ここで、液相中に吸着剤を配置することが好ましい。これにより、消化ガス中の硫黄分(硫化水素、メチルメルカプトン等)、シロキサン分の捕集効率を向上させることができる。
(4) オゾン処理タンクと、このオゾン処理タンクに設けられた水供給口と、前記オゾン処理タンクに接続するオゾン水製造タンクと、このオゾン水製造タンクに設けられたオゾンガス供給口と有し、オゾン処理タンクにオゾン水製造タンクにて製造したオゾン水を導入することを特徴とするメタンガス精製装置。
オゾン処理タンクにオゾン水を導入する手段としては、(a)オゾン処理タンク中のオゾン濃度を監視して一定濃度のオゾン濃度となるようにオゾン発生器(図示しない)中の電圧を制御する方法(又は図示しない電磁バルブの開閉を制御する方法)、(b)オゾン処理タンク中のシロキサン濃度を監視して一定濃度のオゾン濃度となるようにオゾン発生器(図示しない)中の電圧を制御する方法(又は図示しない電磁バルブの開閉を制御する方法)、(c)オゾン処理タンク中の硫化水素濃度を監視して一定濃度のオゾン濃度となるようにオゾン発生器(図示しない)中の電圧を制御する方法(又は図示しない電磁バルブの開閉を制御する方法)が挙げられる。いずれの場合も、電圧を上げると発生オゾン量が増加し、また電磁バルブを開けるとオゾン供給量が増えてオゾン濃度を上げることができる。
(5) 水吸収タンクと、この水吸収タンクに設けられた水供給口と、前記水吸収タンクに接続する水再生処理タンクと、この水再生処理タンクに設けられたオゾンガス供給口と、水再生処理タンクからの水を水吸収タンクに送るポンプとを有し、発生ガスを水に一旦吸収させ、その後で水再生タンクにて吸収水をオゾンガスと反応させて精製除去処することを特徴とするメタンガス精製装置。ここで、水再生処理タンク中に吸着剤を備えていることが好ましい。これにより、消化ガス中の硫黄分(硫化水素、メチルメルカプタン等)、シロキサン分の捕集効率を向上させることができる。
また、上記メタンガス精製装置を用いたシステムとしては、次の(1),(2)が挙げられる。
(1) 埋立地等から発生する消化ガスを取り出すガス抜き管、または、下水、し尿処理プロセス等で発生する消化ガスを蓄えておく貯蔵タンクと、消化ガスを所定の場所に送る送風手段と、この送風手段から送られる消化ガスを除湿する除湿装置と、除湿した消化ガスを脱硫する脱硫装置と、この脱硫装置に接続された上記記載のメタンガス精製装置と、このメタンガス精製装置に接続された一時貯蔵タンクとを具備することを特徴とするメタンガス精製装置システム。消化ガスには主としてメタンガス、COガスが存在し、その他硫化水素、シロキサン及び水分が存在するが、除湿装置で水分を除去され、脱硫装置で硫化水素が除去され、メタンガス精製装置でメタンガスが精製され、CO除去装置でCOガスが除去されて、一時貯蔵タンクには効率よく硫化水素、シロキサン等を分解、除去してメタン成分の割合の高い精製されたガスが貯蔵される。
(2) 埋立地等から発生する消化ガスを取り出すガス抜き管、または、下水、し尿処理プロセス等で発生する消化ガスを蓄えておく貯蔵タンクと、消化ガスを所定の場所に送る送風手段と、この送風手段から送られる消化ガスを除湿する除湿装置と、この除湿装置に接続された,脱硫機能を有した上記記載のメタンガス精製装置と、このメタンガス精製装置に接続された一時貯蔵タンクとを具備することを特徴とするメタンガス精製装置システム。このシステムの場合、上記(1)のシステムと同様な効果が得られる他、メタンガス精製装置が脱硫機能を有しているので、脱硫装置を省くことができるというメリットがある。
次に、本発明の具体的な実施例について図面を参照して説明する。なお、本実施例は下記に述べることに限定されない。
(実施例1)
図1を参照する。図1は、本発明の実施例1に係るメタンガス精製装置システムを示す概略図である。同システムは、複数のガス抜き管21(又は貯蔵タンク22)と、ブロワ等のファン付き送風機23と、除湿装置24と、脱硫装置25と、メタンガス精製装置26と、CO除去装置27と、一時貯蔵タンク28と、ブロワ29と、エンジン30と、発電機31とから構成される。ガス抜き管21は、埋立地や湖沼池等の消化ガス発生場所で発生したメタンガスを主成分とするガス(消化ガス)を収集するために使用される。貯蔵タンク22を使用する場合は、下水処理場等の汚泥を貯蔵し、そこで消化ガスを発生させる。前記メタンガス精製装置26は、後述するように、吸着剤充填タンク内に吸着剤を配置し、前記タンク内に消化ガスとオゾンガスが供給され、シロキサン[HSiO(HSiO)SiH]とオゾンガスは、下記式(1)のように反応する。
SiO(HSiO)SiH+O→SiO+CO+HO …(1)
消化ガスは、送風機23で除湿装置24、脱硫装置25、メタンガス精製装置26、CO除去装置27の順番に送られて精製され、一時貯蔵タンク28で貯蔵される。消化ガスにおいて精製されてメタン成分の割合が高くなった消化ガスは、ブロワ29等を通じてエンジン30で燃焼して発電機31に電力エネルギーに変換される。
こうした構成のメタンガス精製装置システムにおいて、送風機23から送られる消化ガスは例えばメタンガス:60%、COガス:40%未満、残りが硫化水素、シロキサン及び水分から構成されているが、除湿装置24で水分を除去され、脱硫装置25で硫化水素が除去され、メタンガス精製装置26でメタンガスが精製され、CO除去装置27でCOガスが除去されて、一時貯蔵タンク28には効率よく硫化水素、シロキサン等を分解、除去してメタン成分の割合の高い精製されたガスが貯蔵される。
図15は、実施例1によるメタンガス精製装置システムを用いた場合のシロキサン除去率(%)と時間(月)をとの関係を示す特性図である。図15より、シロキサンとオゾンによる分解反応(式(1))が進むので、吸着剤にシロキサンが残留せず、吸着剤の寿命を長持ちさせることができることが判った。これに対し、従来のシステムの場合、図16に示すような特性図が得られた。即ち、従来は、吸着剤でシロキサンを捕集するため、時間の経過とともにシロキサン除去率が低下し、ある一定値となったところで吸着剤を交換してシロキサン除去率を低下させないようにする必要があった。図16の場合、1月毎に吸着剤を交換して除去率を維持している。図16中のT,Tは、吸着剤の交換によって除去率を100%に戻している時間を示している。なお、図15、図16ともに、消化ガス中に高濃度のシロキサンが含まれている場合の吸着剤寿命を示している。
実施例1によれば、消化ガス中の硫化水素及びシロキサンを効率よく分解、除去させることができので、メタン成分の割合が高い消化ガスが得られ、電力エネルギー等のへの変換効率を高めることができる。また、吸着剤の寿命を延ばすことができる。
なお、図1では、ブロワ29等を通じてエンジン30で燃焼して発電機31に電力エネルギーに変換される場合について述べたが、これに限らない。例えば、図1に示すように、コンプレッサー32で昇圧された後にガスタービンエンジン33を通じて電力エネルギーに変換されてもよい。また、内燃機関を持つ自動車34等の燃料として利用されてもよい。
(実施例2)
図2を参照する。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。
実施例2に係るメタンガス精製装置システムの一構成であるメタンガス精製装置35は、図1の脱硫装置25及びメタンガス精製装置26の代わりに組み込んだことを特徴としている。即ち、図2のメタンガス精製装置35は、脱硫機能と脱シロキサン機能の両方の機能を備えている。
実施例2によれば、実施例1と同様な効果を有する他、脱硫機能と脱シロキサン機能の両方の機能を備えたメタンガス精製装置35を用いているので、図1の脱硫装置を省くことができる。
(実施例3)
図3を参照する。図3は、本発明の実施例3に係るメタンガス精製装置概略図である。メタンガス精製装置36は、吸着剤充填タンク37と、この吸着剤充填タンク37内の略中央部に配置された吸着剤38を備えている。吸着剤38としては、例えば活性炭が用いられている。吸着剤充填タンク37の例えば底部側(吸着剤38の上流側)には、消化ガス39とオゾンガス40が同時に導入される。ここで、消化ガス39と同時に供給されるオゾンガス量は、少なくとも硫黄分、シロキサン分のモル量と同等以上であることが望ましい。この理由は、それ以下では未反応分が残ってしまうからである。
消化ガス39中の硫黄分、シロキサン分は吸着剤38で一旦捕集される。その後、オゾンガスによって分解、除去される。消化ガス39中の硫化水素(HS)とオゾンとの反応は、下記式(2)に示すとおりである。オゾンガスは吸着剤38上で化学吸着を行い、分子状、原子状の酸素に解離される。このとき原子状の酸素になった状態の吸着種は反応性も高く、硫黄分、シロキサン分との反応性も高くなり、効率的に分解できる。
2HS+2O→S+SO+2HO+O …(2)
不純物を分解、除去されたメタンガス成分が豊富な消化ガスは、吸着剤充填タンク37の上部側(吸着剤38の下流側)より放出される。
実施例3によれば、実施例1と同様に、消化ガス中の硫化水素及びシロキサンを効率よく分解、除去させることができるとともに、吸着剤の寿命を延ばすことができる。
なお、実施例3では、消化ガス及びオゾンガスガ吸着剤充填タンクの底部側から導入する場合について述べたが、これに限らず、これらのガスは吸着剤充填タンクの上部側(吸着剤より上側)から同時に導入してもよい。
(実施例4)
図4を参照する。図4は、本発明の実施例4に係るメタンガス精製装置の概略図である。但し、図3と同部材は同符番を付して説明を省略する。このメタンガス精製装置36は、図3の機能を備えた吸着剤充填タンク37(37a,37b)を2塔以上設置し、切り替え器41によりいずれか1つの吸着充填タンク36を運転できるようになっている。
実施例4によれば、切り替え器41により吸着充填タンク37a,37bを切り替えできるような構成であるので、メンテナンス時や故障時にガス経路を切り替えることができ、連続した運転が可能となる。
(実施例5)
図5を参照する。図5は、本発明の実施例5に係るメタンガス精製装置の概略図である。但し、図3と同部材は同符番を付して説明を省略する。実施例5のメタンガス精製装置36は、吸着剤充填タンク37の略中央部に位置する内側に吸着剤38を配置し、上部にオゾン水42を噴霧,散水するための噴霧散水器43を設けた構成になっている。なお、消化ガス39は吸着剤タンク37の底部側に導入される。なお、吸着剤の材質は実施例3で述べた通りである。
実施例5によれば、オゾンをオゾン水42にして噴霧散水器43により噴霧,散水することで、吸着剤上に吸着できなかった硫黄分、シロキサン分がオゾン水に吸収され、反応して分解、除去することが可能となる。
なお、実施例5では、充填剤を用いた場合について述べたが、この代わりにセラミックスやデュポン社製のテフロン(登録商標)など一般的耐食性を持つ充填剤であれば、様々な材質、形状が使用可能である。
(実施例6):請求項7に対応
図6を参照する。図6は、本発明の実施例6に係るメタンガス精製装置の概略図である。但し、図3と同部材は同符番を付して説明を省略する。実施例6のメタンガス精製装置36は、水44を収容したオゾン処理タンク45と、このオゾン処理タンク45の上部に設けられた水供給口46とを備えている。即ち、本実施例4のメタンガス精製装置36は、図5の吸着剤38の代わりに水44を貯えて、その中を消化ガス39が通過することでさらに硫黄、シロキサン分の捕集効率を高めるものである。
なお、実施例6では、水を噴霧、散水する場合について述べたが、これに限らず、オゾン水を散水しても問題ない。また、図6のエタンガス製造装置の下流側には、一般的にミストセパレータ等を設置して水分が下流側の配管、装置に行かないような機構を具備している。
(実施例7):請求項8に対応
図7を参照する。図7は、本発明の実施例7に係るメタンガス精製装置の概略図である。但し、図3,図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。
実施例7のメタンガス精製装置は、主に、オゾン処理タンク45と、オゾンガス供給口47を備えたオゾン水製造タンク48と、オゾン発生器49と、オゾン濃度センサー50を備えたオゾン濃度計51と、電磁バルブ52を具備している。前記オゾン濃度センサー48の先端は、オゾン処理タンク45内の水42の上方の空間部に位置している。オゾン発生器49とオゾン濃度計51は信号ケーブル53により電気的に接続されている。電磁バルブ52は、オゾン発生器49とオゾン水製造タンク48を結ぶラインに介装されている。
こうした構成のメタンガス製造装置では、オゾン処理タンク45中のオゾン濃度をオゾン濃度計51により監視して、一定濃度のオゾン濃度となるようにオゾン発生器49中の電圧を制御する、あるいは電磁バルブ52の開閉を制御している。ここで、電圧を上げると発生オゾン量が増加し、電磁バルブ52を開けるとオゾン供給量が増え、オゾン濃度を上げることができる。
実施例7によれば、オゾン処理タンク45以外に、オゾン水製造タンク48と、オゾン発生器49と、オゾン濃度センサー50を備えたオゾン濃度計51と、電磁バルブ52等を備えた構成となっているので、オゾン処理タンク45中のオゾン濃度に基づいてオゾン発生器49の電圧を制御するか、あるいは電磁バルブ52の開閉により、オゾン処理タンク45中のオゾン濃度を一定に維持することができる。
(実施例8):請求項8に対応
図8を参照する。図8は、本発明の実施例8に係るメタンガス精製装置の概略図である。但し、図3,図6,図7と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番55はシロキサン濃度計であり、先端がオゾン処理タンク45の空間部まで達するシロキサン濃度センサー56を備えている。シロキサン濃度計55はオゾン発生器49と信号ケーブル53を介して電気的に接続されている。
実施例8は、オゾン処理タンク45中のシロキサン濃度を監視する点を除いて、図7のメタンガス精製装置の場合と同じ作用を有する。実施例8によれば、オゾン処理タンク45中のシロキサン濃度に基づいてオゾン発生器49の電圧を制御するか、あるいは電磁バルブ52の開閉により、オゾン処理タンク45中のシロキサン濃度を一定に維持することができる。
(実施例9):請求項8に対応
図9を参照する。図9は、本発明の実施例9に係るメタンガス精製装置の概略図である。但し、図3,図6,図7と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番57は硫化水素濃度計であり、先端がオゾン処理タンク45の空間部まで達する硫化水素濃度センサー58を備えている。硫化水素濃度計57はオゾン発生器49と信号ケーブル53を介して電気的に接続されている。
実施例9は、オゾン処理タンク45中の硫化水素濃度を監視する点を除いて、図7のメタンガス精製装置の場合と同じ作用を有する。実施例9によれば、オゾン処理タンク45中の硫化水素濃度に基づいてオゾン発生器49の電圧を制御するか、あるいは電磁バルブ52の開閉により、オゾン処理タンク45中のる硫化水素濃度を一定に維持することができる。
(実施例10):請求項9に対応
図10を参照する。図10は、本発明の実施例10に係るメタンガス精製装置の概略図である。但し、図3,図6,図7と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番61は、上部に水供給口46を備えた水吸収タンクを示す。この水吸収タンク61には、下部にオゾンガス供給口47を備えた水再生処理タンク62が接続されている。水吸収タンク61と水再生処理タンク62の夫々の底部側は、ポンプ63を介装したライン64により接続されている。
こうした構成のメタンガス精製装置では、水を水吸収タンク57の上部から噴霧,散水することで、水吸収タンク57の水に捕集した硫黄,シロキサン分を、ポンプ(図示せず)によって水再生処理タンク58へライン61より送る。水再生処理タンク62では、吸収水をオゾンガスまたはオゾン水と接触させて、吸水中の硫黄,シロキサン分を分解,除去する。分解,除去した後の水は、ポンプ63を用いてライン64から水吸収タンク61に再び送られる。水吸収タンク61中でまた消化ガス中の硫黄,シロキサン分の捕集を行う。
実施例10は、上部に水供給口46を備えた水吸収タンク61と、下部にオゾンガス供給口47を備えた水再生処理タンク62と、ポンプ63を備えた構成であるので、消化ガス39を水に一旦吸収させ、その後で水再生処理タンク62にて吸収水をオゾンガスと反応させて精製除去処理することができる。従って、従来のように頻繁に吸着剤を交換することなく、消化ガスに含まれる硫化水素、シロキサン等を効率よく分解、除去することができる。
(実施例11):請求項10に対応
図11を参照する。図11は、本発明の実施例11に係るメタンガス精製装置の概略図である。但し、図3,図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。
本実施例11は、液相としての水44中に吸着剤38を配置したことを特徴とする。実施例11によれば、実施例6で述べた効果の他、水44中に吸着剤38を配置することにより、硫黄,シロキサン分の捕集効率を向上させることができる。
(実施例12):請求項11に対応
図12を参照する。図12は、本発明の実施例12に係るメタンガス精製装置の一例を示す概略図である。但し、図3,図7,図10と同部材は同符番を付して説明を省略する。
本実施例12は、図10(実施例10)と比べ、水再生処理タンク62内の水44中に吸着剤38を配置した点が異なる。実施例12によれば、実施例10で述べた効果の他、水再生処理タンク62内の水44中に吸着剤38を配置することにより、硫黄,シロキサン分の捕集効率を向上させることができる。
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。具体的には、上記実施形態では、メタンガス精製装置システムにおいて、除湿装置、脱粒装置、メタン精製装置、CO除去装置をこの順に配置する場合について述べたが、各装置の目的が達成できれば各装置を任意に配置してもよい。
本発明の実施例1に係るメタンガス精製装置システムの概略図。 本発明の実施例2に係るメタンガス精製装置システムの概略図。 本発明の実施例3に係るメタンガス精製装置の概略図。 本発明の実施例4に係るメタンガス精製装置の概略図。 本発明の実施例5に係るメタンガス精製装置の概略図。 本発明の実施例6に係るメタンガス精製装置の概略図。 本発明の実施例7に係るメタンガス精製装置の概略図。 本発明の実施例8に係るメタンガス精製装置の概略図。 本発明の実施例9に係るメタンガス精製装置の概略図。 本発明の実施例10に係るメタンガス精製装置の概略図。 本発明の実施例11に係るメタンガス精製装置の概略図。 本発明の実施例12に係るメタンガス精製装置の概略図。 従来のメタンガス精製装置システムの概略図。 図13のシステムの一構成であるCO除去装置の概略図。 図1のメタンガス精製装置システムを用いた場合のシロキサン除去率と時間との関係を示す特性図。 図13のメタンガス精製装置システムを用いた場合のシロキサン除去率と時間との関係を示す特性図。
符号の説明
23…送風機、24…除湿装置、25…脱硫装置、26,36…メタンガス精製装置、27…CO除去装置、28…一次貯蔵タンク、37,37a,37b…吸着剤充填タンク、38…吸着剤、39…消化ガス、40…オゾンガス、41…切り替え器、42…オゾン水、43…噴霧散水器、45…オゾン処理タンク、46…水供給口、47…オゾンガス供給口、48…オゾン水製造タンク、49…オゾン発生器、50…電磁バルブ、51…オゾン濃度計、55…シロキサン濃度計、57…硫化水素濃度計、62…水再生処理タンク。

Claims (11)

  1. 埋立地や下水、し尿処理プロセス等で発生する消化ガスとオゾンガスとを、固相または液相中で反応させて精製処理し、消化ガス中のメタンガスを代表とする炭化水素化合物の純度を高くすることを特徴とするメタンガス精製装置。
  2. 埋立地等から発生する消化ガスを取り出すガス抜き管、または、下水、し尿処理プロセス等で発生する消化ガスを蓄えておく貯蔵タンクと、消化ガスを所定の場所に送る送風手段と、この送風手段から送られる消化ガスを除湿する除湿装置と、除湿した消化ガスを脱硫する脱硫装置と、この脱硫装置に接続された請求項1記載のメタンガス精製装置と、このメタンガス精製装置に接続された一時貯蔵タンクとを具備することを特徴とするメタンガス精製装置システム。
  3. 埋立地等から発生する消化ガスを取り出すガス抜き管、または、下水、し尿処理プロセス等で発生する消化ガスを蓄えておく貯蔵タンクと、消化ガスを所定の場所に送る送風手段と、この送風手段から送られる消化ガスを除湿する除湿装置と、この除湿装置に接続された,脱硫機能を有した請求項1記載のメタンガス精製装置と、このメタンガス精製装置に接続された一時貯蔵タンクとを具備することを特徴とするメタンガス精製装置システム。
  4. 吸着剤充填タンクと、この吸着剤充填タンク内に収容された吸着剤とからなり、消化ガスとオゾンガスとを吸着剤の上流側において混合して供給することを特徴とする請求項1記載のメタンガス精製装置。
  5. 前記吸着剤充填タンクを2塔以上備えたことを特徴とする請求項4記載のメタンガス精製装置。
  6. 吸着剤充填タンクと、この吸着剤充填タンク内に収容された吸着剤と、オゾン水を噴霧,散水する噴霧散水器とを有し、オゾン水は吸着剤の上方より噴霧散水され、消化ガスは吸着剤の下方から吸着剤充填タンクに導入されることを特徴とする請求項1記載のメタンガス精製装置。
  7. オゾン処理タンクと、このオゾン処理タンクに設けられた水供給口とを有し、オゾン処理タンクに水を一定量以上蓄え、その中に消化ガスとオゾンガスを導入して、液相中で硫化水素や有機珪素化合物とを除去することを特徴とする請求項1記載のメタンガス精製装置。
  8. オゾン処理タンクと、このオゾン処理タンクに設けられた水供給口と、前記オゾン処理タンクに接続するオゾン水製造タンクと、このオゾン水製造タンクに設けられたオゾンガス供給口と有し、オゾン処理タンクにオゾン水製造タンクにて製造したオゾン水を導入することを特徴とする請求項1記載のメタンガス精製装置。
  9. 水吸収タンクと、この水吸収タンクに設けられた水供給口と、前記水吸収タンクに接続する水再生処理タンクと、この水再生処理タンクに設けられたオゾンガス供給口と、水再生処理タンクからの水を水吸収タンクに送るポンプとを有し、発生ガスを水に一旦吸収させ、その後で水再生タンクにて吸収水をオゾンガスと反応させて精製除去処することを特徴とする請求項1記載のメタンガス精製装置。
  10. 液相中に吸着剤を備えていることを特徴とする請求項7記載のメタンガス精製装置。
  11. 前記水再生処理タンク中に吸着剤を備えていることを特徴とする請求項9記載のメタンガス精製装置。
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