JP2008251941A - キャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法 - Google Patents
キャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】キャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法において、これまで廃棄されていたキャリア銅箔を銅張積層板の材料として使用することができ、銅張積層板の製造コスト低減と環境負荷の軽減を図ることが可能なフレキシブル銅張積層板の製造方法を提供する。
【解決手段】剥離層2を介してキャリア銅箔1より薄い極薄銅箔3が形成されてなるキャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法であって、極薄銅箔3及びキャリア銅箔1の表面にそれぞれ第1及び第2の絶縁層12、13を設けて、キャリア銅箔付極薄銅箔と第1及び第2の絶縁層12、13とを備える多層積層体を得る工程と、多層積層体を、剥離層にて分離して、極薄銅箔3と前記第1の絶縁層12とを備える第1のフレキシブル銅張積層板、並びに、キャリア銅箔1と第2の絶縁層13とを備える第2のフレキシブル銅張積層板を得る工程と、を含む。
【選択図】図1
【解決手段】剥離層2を介してキャリア銅箔1より薄い極薄銅箔3が形成されてなるキャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法であって、極薄銅箔3及びキャリア銅箔1の表面にそれぞれ第1及び第2の絶縁層12、13を設けて、キャリア銅箔付極薄銅箔と第1及び第2の絶縁層12、13とを備える多層積層体を得る工程と、多層積層体を、剥離層にて分離して、極薄銅箔3と前記第1の絶縁層12とを備える第1のフレキシブル銅張積層板、並びに、キャリア銅箔1と第2の絶縁層13とを備える第2のフレキシブル銅張積層板を得る工程と、を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、キャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法に関する。
近年、電子機器の高機能化、軽薄短小化に伴い、微細配線加工が可能なフレキシブルプリント基板の材料が必要とされている。そのため、従来の銅箔をエッチングして配線を形成するサブトラクティブ工法よりも微細配線加工が可能な、回路を銅めっきで形成するセミアディティブ工法が注目されており、本工法用材料が要求されている。そして、セミアディティブ工法用材料に必要な特徴として、銅めっきで回路を形成する前の金属層(以下、シード層という)の厚みが薄いことが要求される。そのため、例えば、特開平10−60661(特許文献1)に記載されているような、ポリイミドフィルム上にスパッタリングで導体層を設けるスパッタ材料や、特開2006−130747号公報(特許文献2)に記載されているような、銅箔をエッチングで薄くさせたハーフエッチング材料が一般的に用いられている。しかしながら、前者においてはシード層除去時の回路保持性の問題あり、後者においては銅箔を薄くする場合に時間を要し、また廃液が生ずるという問題や、ピンホールが発生するといった問題があった。
また、これらの問題を解決する技術として、例えば、特開2003−340963号公報(特許文献3)には、キャリア上に剥離層を介して極薄銅箔が形成されている複合銅箔(以下、キャリア付極薄銅箔という)を用いて、銅箔の厚みが薄い両面銅張積層板を得る技術が開示されている。さらに、近年は回路基板材料の低コスト化も求められているため、例えば、特開2004−273531号公報(特許文献4)には、キャリア付極薄銅箔のキャリア銅箔側同士を張り合わせることで両面に極薄銅箔層を有し、ラミネート法等により同時に両側に樹脂層を設け、一度の工程で二つの片面銅張積層板が得られるような、工程費用が削減可能な材料が開示されている。しかしながら、上記特許文献3及び4に記載されているようなキャリア付極薄銅箔を使用した場合には、銅張積層板の製造コストという点で問題があった。すなわち、このようなキャリア付極薄銅箔においては、専らキャリアには銅箔を用いているが、一般に、使用する極薄銅箔の厚みが1〜5μmであるのに対し、キャリア銅箔の厚みが18〜35μmと厚い。この厚みはキャリア付極薄銅箔製造時の搬送性保持のために必要であるが、このようなキャリアは再び同じキャリアとしては使用し難く廃棄されるものであるため、キャリア付極薄銅箔の材料価格の上昇にもつながっていた。
特開平10−60661号公報
特開2006−130747号公報
特開2003−340963号公報
特開2004−273531号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、キャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法において、これまで廃棄されていたキャリア銅箔を銅張積層板の材料として使用することができ、銅張積層板の製造コスト低減と環境負荷の軽減を図ることが可能なフレキシブル銅張積層板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、キャリア銅箔上に剥離層を介して前記キャリア銅箔より薄い極薄銅箔が形成されてなるキャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法において、極薄銅箔及びキャリア銅箔の表面にそれぞれ第1及び第2の絶縁層を設けた後、剥離層にて分離し、2つのフレキシブル銅張積層板を得ることにより、これまで廃棄されていたキャリア銅箔を銅張積層板の材料として使用することができ、銅張積層板の製造コスト低減と環境負荷の軽減を図ることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法は、キャリア銅箔上に剥離層を介して前記キャリア銅箔より薄い極薄銅箔が形成されてなるキャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法であって、
前記極薄銅箔及び前記キャリア銅箔の表面にそれぞれ第1及び第2の絶縁層を設けて、前記キャリア銅箔付極薄銅箔と前記第1及び第2の絶縁層とを備える多層積層体を得る工程と、
前記多層積層体を、前記剥離層にて分離して、前記極薄銅箔と前記第1の絶縁層とを備える第1のフレキシブル銅張積層板、並びに、前記キャリア銅箔と前記第2の絶縁層とを備える第2のフレキシブル銅張積層板を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
前記極薄銅箔及び前記キャリア銅箔の表面にそれぞれ第1及び第2の絶縁層を設けて、前記キャリア銅箔付極薄銅箔と前記第1及び第2の絶縁層とを備える多層積層体を得る工程と、
前記多層積層体を、前記剥離層にて分離して、前記極薄銅箔と前記第1の絶縁層とを備える第1のフレキシブル銅張積層板、並びに、前記キャリア銅箔と前記第2の絶縁層とを備える第2のフレキシブル銅張積層板を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
また、本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法においては、前記多層積層体が、前記第1及び/又は第2の絶縁層の表面に設けられた金属箔を更に備えるものであることが好ましい。
さらに、本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法においては、前記多層積層体を得るにあたり、前記第1及び/又は第2の絶縁層の表面に更に前記金属箔を積層してもよい。
また、本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法においては、前記多層積層体を得るにあたり、前記金属箔と前記絶縁層との積層体を用いて、前記第1及び/又は第2の絶縁層と前記金属箔とを設けてもよい。
さらに、本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法においては、前記キャリア銅箔付極薄銅箔の極薄銅箔の厚みが0.1〜10μmの範囲であり、且つキャリア銅箔の厚みが5〜100μmの範囲であることが好ましい。
また、本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法においては、前記第1及び第2の絶縁層のうちの少なくとも1層がポリイミド樹脂層であることが好ましい。
本発明によれば、キャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法において、これまで廃棄されていたキャリア銅箔を銅張積層板の材料として使用することができ、銅張積層板の製造コスト低減と環境負荷の軽減を図ることが可能なフレキシブル銅張積層板の製造方法を提供することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法は、キャリア銅箔上に剥離層を介して前記キャリア銅箔より薄い極薄銅箔が形成されてなるキャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法であって、
前記極薄銅箔及び前記キャリア銅箔の表面にそれぞれ第1及び第2の絶縁層を設けて、前記キャリア銅箔付極薄銅箔と前記第1及び第2の絶縁層とを備える多層積層体を得る工程(第1の工程)と、
前記多層積層体を、前記剥離層にて分離して、前記極薄銅箔と前記第1の絶縁層とを備える第1のフレキシブル銅張積層板、並びに、前記キャリア銅箔と前記第2の絶縁層とを備える第2のフレキシブル銅張積層板を得る工程(第2の工程)と、
を含むことを特徴とする方法である。
前記極薄銅箔及び前記キャリア銅箔の表面にそれぞれ第1及び第2の絶縁層を設けて、前記キャリア銅箔付極薄銅箔と前記第1及び第2の絶縁層とを備える多層積層体を得る工程(第1の工程)と、
前記多層積層体を、前記剥離層にて分離して、前記極薄銅箔と前記第1の絶縁層とを備える第1のフレキシブル銅張積層板、並びに、前記キャリア銅箔と前記第2の絶縁層とを備える第2のフレキシブル銅張積層板を得る工程(第2の工程)と、
を含むことを特徴とする方法である。
第1の工程においては、先ず、キャリア銅箔付極薄銅箔4を準備する。
キャリア銅箔付極薄銅箔4は、図1に示すように、キャリア銅箔1、剥離層2及び極薄銅箔3を備えるものである。キャリア銅箔付極薄銅箔4は、後述する絶縁層を銅箔上に設ける工程において、ある程度変形しにくいことが必要である。そのため、キャリア銅箔付極薄銅箔4は一定以上の厚みを有していることが望ましく、具体的には、極薄銅箔3とキャリア銅箔1を合わせた厚みが、8μm以上であることが好ましく、9μm以上であることがより好ましい。厚みが前記下限未満では、フレキシブル銅張積層板の製造における搬送性が安定せず、得られる銅張積層板に破断又はしわが発生する傾向がある。
キャリア銅箔付極薄銅箔4にかかる剥離層2は、極薄銅箔3とキャリア銅箔1との剥離を容易にする目的(又は弱接着性を与える目的)で設けられる層である。そのため、剥離層2の厚みは薄い方が望ましく、0.5μm以下であることが好ましく、50〜100nmの範囲にあることがより好ましい。また、剥離層2はキャリア銅箔1と極薄銅箔3との剥離を安定して容易にするものであれば特に限定されるものではないが、銅、クロム、ニッケル、コバルト或いはそれらの元素を含む化合物から選択される少なくとも1種を含有するものが好ましい。また、極薄銅箔3とキャリア銅箔1の剥離開始強度は、それぞれに隣接して設けられる第1及び第2の絶縁層との剥離開始強度より十分低いことが必要である。
キャリア銅箔付極薄銅箔4にかかる極薄銅箔3及びキャリア銅箔1は、銅又は銅を主成分とする合金から形成されているものである。また、極薄銅箔3は、キャリア銅箔1よりも薄いものである。さらに、極薄銅箔3の厚みは、フレキシブル銅張積層板製造後の回路形成の際に、ファインパターンを形成するという観点から、0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、0.1〜6μmの範囲であることがより好ましく、1〜5μmの範囲であることが特に好ましい。また、キャリア銅箔1の厚みは、5〜100μmの範囲が好ましく、11〜36μmの範囲がより好ましい。
また、極薄銅箔3及びキャリア銅箔1における表面粗度(Rz)は、エッチング性の観点から1.0μm以下であることが好ましく、0.01〜0.1μmの範囲であることがより好ましい。また、これらの表面粗度は、後述する第1及び第2の絶縁層が設けられる面が上記範囲にあることが好ましいが、両方の面が上記範囲にあることで回路形成後のパターン形状と直線性がより優れたフレキシブル銅張積層板とすることができる。なお、表面粗度(Rz)とは、JIS B 0601−1994に記載された方法に準じて表面粗さにおける十点平均粗さを測定した値を示す。
第1の工程においては、次に、キャリア銅箔付極薄銅箔4の極薄銅箔3及びキャリア銅箔1の表面にそれぞれ第1の絶縁層12及び第2の絶縁層13を設けて、図2に示すような多層積層体14を得る。
第1の絶縁層12及び第2の絶縁層13は、同じ種類のものであっても、それぞれ異なる種類のものであってもよい。また、第1の絶縁層12及び第2の絶縁層13は、絶縁樹脂からなる層であることが好ましく、耐湿性、耐熱性等の観点から、ポリイミド樹脂や液晶ポリマーからなる層であることが好ましい。さらに、これらの絶縁層はフィルム状のものを積層したものであってもよく、また、樹脂溶液を塗工して形成したものであってもよい。また、これらの絶縁層をポリイミド樹脂層とする場合には、ポリイミド前駆体樹脂溶液を塗工し、熱処理により硬化させてポリイミド樹脂層を形成する方法が好ましい。
キャリア銅箔付極薄銅箔4に第1及び第2の絶縁層12、13を設ける方法としては、例えば、図3〜図5に示す方法が挙げられる。以下、それぞれの方法についてより詳細に説明する。
キャリア銅箔付極薄銅箔4に第1及び第2の絶縁層12、13を設ける方法としては、図3に示すように、絶縁層となる樹脂フィルム5、6をプレスロール7、8によりキャリア銅箔付極薄銅箔4に連続的に圧着する方法(以下、場合によりロールラミネート法と総称する)が挙げられる。圧着する樹脂フィルム5、6としては、ポリイミドフィルムや液晶ポリマーフィルムが挙げられる。これらのフィルムは、市販されているものを適宜用いることができる。そして、ポリイミドフィルムとしては、カネカ社製のアピカル、宇部興産社製のユーピレックス、東レ・デュポン社製のカプトン等が挙げられ、液晶ポリマーフィルムとしては、クラレ社製のベクスター等が挙げられる。このようなロールラミネート法は、熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合に特に適しているが、非熱可塑性樹脂フィルムを使用する場合にも接着剤層を設けることによって容易にこの方法の適用することが可能となる。また、これらの樹脂フィルムの厚みは5〜100μmの範囲であることが好ましい。厚みが5μm未満では、搬送の際にシワが入る恐れがあると共に破断する可能性もある。
このような樹脂フィルム5、6は、プレスロール7、8により圧着されるが、圧着の条件としては、ロール表面温度が100〜300℃の範囲であり、プレスロール間圧力の線圧が100〜200kN/cmの範囲であり、通過時間が1〜5秒の範囲であることが好ましい。このように、樹脂フィルム5、6をキャリア銅箔付極薄銅箔4に連続的に熱圧着することにより、図2に示すような層構成の多層積層体14を得ることができる。また、圧着ロールの手前に100〜300℃程度の予熱ロール10及び11やその他の予熱手段を設けることでフィルムの柔らかさを高め、接着性を高めてもよい。また、図3においては、両面同時に樹脂フィルム5、6を圧着しているが、片面毎に樹脂フィルムを圧着してもよい。
キャリア銅箔付極薄銅箔4に第1及び第2の絶縁層12、13を設ける他の方法としては、樹脂溶液を塗布するいわゆるキャスティング法があり、(i)図4に示すように、キャリア銅箔付極薄銅箔4の両側から塗工機15により一度に樹脂溶液17を塗布し、乾燥機16により乾燥する方法、(ii)図5に示すように、キャリア銅箔付極薄銅箔4の片側から塗工機15により樹脂溶液17を塗布し、乾燥機16により乾燥し、その後、他方の面に樹脂溶液17を塗布し乾燥する方法が挙げられる。
このようなキャスティング法に用いる樹脂溶液17は、特に限定されないが、耐湿性、耐熱性等の観点からポリイミド樹脂が好適であるので、以下ポリイミド樹脂を用いる場合を例に挙げて説明する。また、このようなポリイミド樹脂層は単一層であってもよく、複数層から構成されていてもよい。さらに、このようなポリイミド樹脂層を複数層とする場合には、図4又は図5に示す塗工機15や乾燥機16を後工程に更に設置すればよい。また、このようなポリイミド樹脂とは、樹脂骨格中にイミド結合を有するものをいう。そして、このようなポリイミド樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドエステルが挙げられる。また、これらのポリイミド樹脂は、原料となるジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを溶媒中で反応させポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸を合成し、イミド化することにより得ることができる。さらに、このようにして設けられる絶縁層(ポリイミド樹脂層)の厚みは、5〜100μmの範囲であることが好ましく、10〜50μmの範囲であることがより好ましい。
このようなキャスティング法においては、先ず、キャリア付極薄銅箔4を準備し、極薄銅箔3及びキャリア銅箔1の表面、或いはどちらか一方の表面にポリイミド樹脂層を形成するための樹脂溶液17を所望の厚みとなるように塗工する。樹脂溶液17は図4又は図5に示す塗工機15により行われる。塗工機15としては、適宜公知の方法を用いることができ、例えば、ロールコーター、ダイコーター、バーコーターを用いることができる。さらに、このような樹脂溶液の塗布量としては、熱処理後のポリイミド樹脂層の厚みを5〜100μmの範囲とすることが好ましく、10〜50μmの範囲となるように制御することがより好ましい。
そして、このような樹脂溶液17が極薄銅箔3及びキャリア銅箔1のうちのいずれか一方又は両方の表面に塗工された後に、図4又は図5に示す乾燥機16にて乾燥され、さらにイミド化のための熱処理を行うことにより絶縁層(ポリイミド樹脂層)を形成する。乾燥条件は、樹脂溶液中の溶媒を除去できる条件であればよく、例えば、150℃以下の温度であることが好ましい。また、イミド化のための熱処理は、120〜400℃の温度で、15分以上行うことが好ましい。ここで、絶縁層が複数層からなる場合、上記塗工、乾燥を繰り返し、多層形成後に一括してイミド化することも有効である。
第2の工程においては、図6に示すように、前記第1の工程により得られた多層積層体14を、剥離層2にて分離して、第1のフレキシブル銅張積層板30、並びに、第2のフレキシブル銅張積層板31を得る。
多層積層体14は、搬送のためロール25により搬送される。そして、搬送ロール26、27付近を剥離部位として、剥離された第1のフレキシブル銅張積層板30及び第2のフレキシブル銅張積層板31は直線的に搬送され、任意の工程を経て巻き取られる。この際、搬送ロール26、27と更に後続して設けられた搬送ロール28及び29によって、分離された第1及び第2のフレキシブル銅張積層板30、31を安定して搬送することができる。また、搬送ロール26又は27の2つもしくはいずれか1つが無くても、多層積層体14が安定した剥離強度を有していれば張力を制御することで安定した剥離は可能である。なお、剥離強度がばらついていたり、剥離強度が高い場合には、第1のフレキシブル銅張積層板30と第2フレキシブル銅張積層板31とが剥離する点が移動して、多層積層体にシワが入ったり、基板のカールが変化したり、更には第1及び第2のフレキシブル銅張積層板30、31が剥がれないまま巻き取られる恐れがある。
第2の工程においては、以上説明したようにして、図7に示すような、分離された2つのフレキシブル銅張積層板を得ることができる。図7において、極薄銅箔3及び第1の絶縁層12は第1のフレキシブル銅張積層板30を構成し、また、キャリア銅箔1及び第2の絶縁層13は第2のフレキシブル銅張積層板31を構成する。すなわち、本発明において中間体として作製された多層積層体14は、分離された後に2つの可撓性を有するフレキシブル銅張積層板となる。
以上説明したような本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法においては、従来のキャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法では廃棄されていたキャリア銅箔にも絶縁層(第2の絶縁層)を設け、その後、剥離層にて分離した際に、極薄銅箔を備えるフレキシブル銅張積層板(第1のフレキシブル銅張積層板)と共に、キャリア銅箔を備えるフレキシブル銅張積層板(第2のフレキシブル銅張積層板)を得ることができる。そのため、これまで廃棄されていたキャリア銅箔を別途の銅張積層板の材料として使用することができ、銅張積層板の製造コスト低減と環境負荷の軽減を図ることが可能となる。また、本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法は、ロール・トゥ・ロール方式で連続的に実施をすることができる。そのため、銅張積層板の生産性の更なる向上を図り、製造コストの更なる低減を図ることができる。
以上、本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法においては、前記多層積層体が、前記第1及び/又は第2の絶縁層の表面に設けられた金属箔を更に備えるものであってもよい。このような多層積層体を中間体として作製した場合には、前記第2の工程において、多層積層体を分離した際に、両面に銅箔や金属箔を備えるフレキシブル銅張積層板を得ることが可能となる。なお、このような金属箔としては、例えば、銅箔やステンレス箔が挙げられる。
また、このように金属箔を更に備える多層積層体としては、例えば、図8に示すような多層積層体24を挙げることができる。図8に示す多層積層体24は、キャリア銅箔1、剥離層2、極薄銅箔3、第1の絶縁層12、第2の絶縁層13、及び金属箔18、19を備えるものである。さらに、このような多層積層体24を得るにあたり、第1の絶縁層12及び第2の絶縁層13を設けた後に、その表面に更に金属箔18、19を積層してもよいが、図9に示すように、キャリア銅箔付極薄銅箔4の極薄銅箔3及びキャリア銅箔1の表面に、絶縁層12、13と金属箔18、19との積層体20、21(金属箔−樹脂積層体20、21)を積層してもよい。
キャリア銅箔付極薄銅箔4へ金属箔−樹脂積層体20、21を圧着する方法は、前記ロールラミネート法において樹脂フィルムに代えて金属箔−樹脂積層体20、21を用いること以外は類似している。金属箔−樹脂積層体20、21としては、市販されているものを適宜用いることができる。樹脂層がポリイミド樹脂であるものとしては、例えばESPANEX Sシリーズ、ESPANEX Mシリーズの銅張積層板が挙げられ、樹脂層が液晶ポリマーであるものとしては、ESPANEX Lシリーズ(いずれも新日鐵化学株式会社製)が挙げられる。以下、ESPANEX Mシリーズを使用する場合について説明する。金属箔−樹脂積層体20、21(ESPANEX Mシリーズの片面銅張積層板)は、図9に示すように、プレスロール7及び8によりキャリア銅箔付極薄銅箔4に圧着され、ポリイミド樹脂層12、13に加え、更に銅箔18、19を備える多層積層体24が得られる。圧着の条件としては、ロール表面温度が250〜430℃の範囲であり、プレスロール間圧力の線圧が100〜200kN/cmの範囲であり、通過時間が1〜5秒の範囲であることが好ましい。また、この方法においても、圧着ロールの手前に200℃〜350℃程度の予熱ロール10及び11を用いることで金属箔−樹脂積層体20、21のポリイミド樹脂層12、13の柔らかさを高め、接着性を高めることが可能となる。また、図9においては、両面同時に金属箔−樹脂積層体20、21を圧着しているが、片面毎に圧着してもよい。
また、上記実施態様の応用例として、キャリア付極薄銅箔の片面に絶縁層を、他方の面に金属箔と樹脂層との積層体を個別に、又は同時に設けることもでき、当然、本発明の範囲に含まれるものである。
以上説明したように、本発明によれば、キャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法において、これまで廃棄されていたキャリア銅箔を銅張積層板の材料として使用することができ、銅張積層板の製造コスト低減と環境負荷の軽減を図ることが可能なフレキシブル銅張積層板の製造方法を提供することが可能となる。
1…キャリア銅箔、2…剥離層、3…極薄銅箔、4…キャリア銅箔付極薄銅箔、5,6…樹脂フィルム、7,8…プレスロール、10,11…予熱ロール、12…第1の絶縁層、13…第2の絶縁層、14…多層積層体、15…塗工機、16…乾燥機、17…樹脂溶液、18,19…金属箔、20,21…金属箔−樹脂積層体、24…多層積層体、25,26,27,28,29…搬送ロール、30…第1のフレキシブル銅張積層板、31…第2のフレキシブル銅張積層板。
Claims (6)
- キャリア銅箔上に剥離層を介して前記キャリア銅箔より薄い極薄銅箔が形成されてなるキャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法であって、
前記極薄銅箔及び前記キャリア銅箔の表面にそれぞれ第1及び第2の絶縁層を設けて、前記キャリア銅箔付極薄銅箔と前記第1及び第2の絶縁層とを備える多層積層体を得る工程と、
前記多層積層体を、前記剥離層にて分離して、前記極薄銅箔と前記第1の絶縁層とを備える第1のフレキシブル銅張積層板、並びに、前記キャリア銅箔と前記第2の絶縁層とを備える第2のフレキシブル銅張積層板を得る工程と、
を含むことを特徴とするフレキシブル銅張積層板の製造方法。 - 前記多層積層体が、前記第1及び/又は第2の絶縁層の表面に設けられた金属箔を更に備えるものであることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法。
- 前記多層積層体を得るにあたり、前記第1及び/又は第2の絶縁層の表面に更に前記金属箔を積層することを特徴とする請求項2に記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法。
- 前記多層積層体を得るにあたり、前記金属箔と前記絶縁層との積層体を用いて、前記第1及び/又は第2の絶縁層と前記金属箔とを設けることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法。
- 前記キャリア銅箔付極薄銅箔の極薄銅箔の厚みが0.1〜10μmの範囲であり、且つキャリア銅箔の厚みが5〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法。
- 前記第1及び第2の絶縁層のうちの少なくとも1層がポリイミド樹脂層であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のフレキシブル銅張積層板の製造方法。
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JP2007092981A JP2008251941A (ja) | 2007-03-30 | 2007-03-30 | キャリア銅箔付極薄銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板の製造方法 |
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2007
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