JP2008251322A - プラズマディスプレイパネルとその製造方法 - Google Patents

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浩貴 山本
Takashi Naito
内藤  孝
Yuichi Sawai
裕一 沢井
Motoyuki Miyata
素之 宮田
Fusao Hojo
房郎 北條
Keiichi Kanazawa
啓一 金澤
Takashi Fujimura
孝史 藤村
Mitsuo Hayashibara
光男 林原
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Abstract

【課題】隔壁の側面及び底面からの反射強度を高めて輝度を向上させ、かつ前面板側からの黒色コントラストを上昇させることができ、しかも隔壁材料に鉛、ビスマスなどの環境負荷の大きい材料を含まないプラズマディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】タングステン−リン−バリウム−バナジウム系黒色ガラスを用いた隔壁材を用い、隔壁側面のみに反射率を向上させるために高屈折率の薄膜材料を形成する。
【選択図】図13

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネルとその製造方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略す)は、近年の大画面高精細の平面画像表示装置として開発、製造され、広く一般に普及している。PDPでは、上面板と背面板の間に形成された隔壁間にR、G、Bの三色の蛍光体を塗布し、パネル内に封止されたキセノンガスを電離させて紫外線を発光させ、この紫外線によって蛍光体を発光させて画像を表示する。
現状では、蛍光体を隔離する隔壁材として、鉛(Pb)を含有する低融点ガラス材料が用いられている。また、隔壁を作製するために、まず鉛系ガラスフリット厚膜を形成した後、サンドブラストで隔壁形状に加工している。このため、Pb含有ガラスが大量に廃棄され、環境への負荷が大きくなる。従って、ビスマス、亜鉛、バナジウムなど、鉛ガラスを代替するガラス素材が検討されている。
現行のPDPの別な課題として、コントラストの向上がある。隔壁材に起因するコントラスト低下の要因として、隔壁材の上面板側の白味、蛍光体からの裏面への発光の利用効率向上が上げられる。隔壁材の上面板側の黒コントラストを向上させるために、隔壁上面の上面板に接する部分は黒色であることが望まれる。また、蛍光体から発光した光は蛍光体の周囲に広がるため、画像表示に無関係な裏面側にも発光する。従って、高効率で蛍光を上面板側に発光させるためには、隔壁材側面の反射率を上げることが望まれる。
Pb系隔壁材に代わるガラス素材として、ビスマス、スズ−亜鉛等を主成分とするガラス材料が開発されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2006−342044号公報(要約) 特開2006−312568号公報(要約)
しかしながら、ビスマス系ガラスは欧州等で実施されている環境規制には抵触しないものの、やはり環境負荷が大きい材料である。また、ビスマス系ガラス、あるいはスズ−リン−亜鉛系ガラスではその端面が白色となるため、黒色コントラストを上昇させることが難しい。
本発明の目的は、鉛、ビスマスを含有せず、環境負荷の小さい隔壁を備えたPDP及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、対向して設けられ、周縁部が接着された前面基板及び背面基板と、前記前面基板上に設けられた電極とその電極上に設けられた誘電体層及び前記誘電体層上に設けられた保護層と、前記背面基板上に設けられた電極及び誘電体層と、前記前面基板及び前記背面基板の間隙を保持する隔壁と、前記隔壁と前記前面基板及び前記背面基板により形成される空間内に充填された蛍光体とを有するPDPにおいて、前記隔壁が少なくともタングステン、リン、バリウム、バナジウムの酸化物を含有するガラスよりなることを特徴とする。
本発明のPDPにおいて、隔壁の抵抗率は10〜1011Ωcmであることが好ましい。また、隔壁の高さは100μm以上500μm以下とすることが好ましい。
本発明は、対向して設けられ、周縁部が接着された前面基板及び背面基板と、前記前面基板上に設けられた電極と前記電極上に設けられた誘電体層及び前記誘電体層上に設けられた保護層と、前記背面基板上に設けられた電極及び誘電体層と、前記前面基板及び前記背面基板の間隙を保持する隔壁と、前記隔壁と前記前面基板及び前記背面基板により形成される空間内に充填された蛍光体とを有するPDPにおいて、前記隔壁が酸化物換算で、WO:25〜60重量%、P:15〜40重量%、BaO:8〜30重量%、V:8〜20重量%の酸化物を含有するガラスよりなることを特徴とする。
この構成のPDPにおいて、隔壁材料にはさらに酸化物換算でMoO:0〜5重量%、Cr:0〜5重量%、ZrO:0〜10重量%、HfO:0〜3重量%、Gd:0〜3重量%、Al:0〜3重量%を含有することができる。
本発明は、対向して設けられ、周縁部が接着された前面基板及び背面基板と、前記前面基板上に設けられた電極と前記電極上に設けられた誘電体層及び前記誘電体層上に設けられた保護層と、前記背面基板上に設けられた電極及び誘電体層と、前記前面基板及び前記背面基板の間隙を保持する隔壁と、前記隔壁と前記前面基板及び前記背面基板により形成される空間内に充填された蛍光体とを有するPDPにおいて、前記隔壁が基材とその側面に形成された薄膜とから構成され、前記基材が少なくともタングステン、リン、バリウム、バナジウムの酸化物を含有するガラスよりなり、前記薄膜が鉄酸化物、クロム酸化物、鉄とガリウムの複合酸化物、タンタル窒化物、シリコン、ゲルマニウムから選ばれた少なくとも1種よりなることを特徴とする。
この構成のPDPにおいて、前記薄膜の屈折率は400nm〜800nmの波長域において2.3以上とすることが好ましい。
本発明は、対向して設けられ、周縁部が接着された前面基板及び背面基板と、前記前面基板上に設けられた電極と前記電極上に設けられた誘電体層及び前記誘電体層上に設けられた保護層と、前記背面基板上に設けられた電極及び誘電体層と、前記前面基板及び前記背面基板の間隙を保持する隔壁と、前記隔壁と前記前面基板及び前記背面基板により形成される空間内に充填された蛍光体とを有するPDPにおいて、前記隔壁が基材とその側面に形成された薄膜から構成され、前記薄膜が鉄酸化物、クロム酸化物、鉄とガリウムの複合酸化物、タンタル窒化物、シリコン、ゲルマニウムから選ばれた少なくとも1種よりなることを特徴とする。
本発明は、対向して設けられ、周縁部が接着された前面基板及び背面基板と、前記前面基板上に設けられた電極と前記電極上に設けられた誘電体層及び前記誘電体層上に設けられた保護層と、前記背面基板上に設けられた電極及び誘電体層と、前記前面基板及び前記背面基板の間隙を保持する隔壁と、前記隔壁と前記前面基板及び前記背面基板により形成される空間内に充填された蛍光体とを有するPDPにおいて、前記隔壁の底面および側面が一体になっていることを特徴とする。
この構成のPDPにおいて、前記隔壁は画素ごとに格子状に形成されていることが好ましい。また、隔壁の底面部、側面部に薄膜が形成され、この薄膜が鉄酸化物、クロム酸化物、鉄とガリウムの複合酸化物、タンタル窒化物、シリコン、ゲルマニウムから選ばれる少なくとも1種よりなることが好ましい。
本発明は、少なくともタングステン、リン、バリウム、バナジウムの酸化物を含有するガラス厚膜を背面板上に形成する工程と、隔壁のネガ形状に加工され、通電による加熱が可能な金型をガラスに押し当ててガラスに隔壁形状を転写する工程とを含むことを特徴とするPDPの製造方法にある。
また、前記製造方法において、ガラスに隔壁形状を転写する工程を終えたのち、さらに隔壁の上端面にマスクを形成する工程と、隔壁の内壁に薄膜を形成したのち、マスクを除去する工程を含むことが好ましい。
本発明によれば、鉛、ビスマス系ガラスなどの隔壁を使用せず、かつ製造工程において廃棄物の量を抑制できるため、環境負荷の小さいPDPを提供できる。また、本発明のPDP製造方法によれば、隔壁形成の際に通電過熱を使用するためパネルガラスの反りなどの問題が解消される。
本発明によれば、隔壁材料にタングステン−リン−バリウム−バナジウム系ガラスを用いたことで、隔壁の電気抵抗値を10〜1011Ωcmと適切にすることができ、このため、隔壁内部に蓄積される残存電荷による異常放電を抑制でき、表示の際の壁電荷量が適切で表示異常の生じにくいPDPが提供できるという効果が得られる。また、前面板上面から見たときの黒色のコントラストに優れたPDPを提供することができる。
また、隔壁の側面部のみに高屈折率の薄膜を形成することで、蛍光体から裏面に発せられる光を前面板に向けて放射することが可能になり、高効率で高輝度なPDPが提供できる。
図10に、本発明のPDPの断面の模式図を示した。隔壁4の基材としてタングステン−リン−バリウム−バナジウム系ガラスを用い、隔壁4の側面部並びに底面部のみに鉄酸化物、クロム酸化物、鉄とガリウムの複合酸化物、窒化タンタル、シリコン、ゲルマニウムなどの高屈折率を有する薄膜13を形成することにより、蛍光体3から裏面に発せられる光を前面板に向けて放射することが可能になり、白色輝度、黒色コントラストの優れたPDPを得ることができた。
以下、実施例により、詳細に説明する。
図22は、従来のPDPの断面の概略図である。図22において、符号の1は背面基板、2はデータ電極、3は蛍光体、4は隔壁、5、5aは封着ガラス、6は枠ガラス、7はバス電極、8は表示電極、9は保護膜、10、20は誘電体層、11は前面基板である。
PDP装置は、ネオン、キセノン等の希ガスを充填した微小空間内に放電を生じさせて、空間内に充填された蛍光体を発光させる表示装置である。PDPは、前面基板11と背面基板1を約100〜200μmの間隙をもって対向させ、各基板の間隙を隔壁4で維持する。基板の周縁部はガラスを主成分とする接着材で封止され、内部に希ガスが充填される。各基板と隔壁で区切られた微小空間をセルと称し、1つのセルには、R(Red:赤色),G(Green:緑色),B(Blue:青色)(以後、RGBと記す)の3色の蛍光体のいずれかが充填され、3色のセルで一画素を構成して各色の光を発光する。
各基板には、規則的に配列した電極が設けられ、対となる前面基板上の電極と、背面基板上の電極の間に表示信号に応じて選択的に100〜200ボルトの電圧を印加し、電極間の放電により紫外線を発生させて蛍光体を発光させ、画像情報を表示する。
PDPの背面基板側には、基板上にデータ電極(またはアドレス電極)が形成されている。データ電極はCr/Cu/Cr配線、銀配線等よりなる。同電極は、印刷法、スパッタ法により形成される。
点灯させたいセルのアドレス電極と表示電極の間でアドレス放電を行い、セル内に壁電荷を蓄積する。次に表示電極対に一定の電圧を印加することで、アドレス放電で壁電荷が蓄積されたセルのみ表示放電が起こり、紫外線を発生するしくみでプラズマディスプレイの表示が行われる。
データ電極の上には、誘電体層を形成する。誘電体層はアドレス電極の電流を制御することと、絶縁破壊から保護するために設ける。誘電体層の上にはストライプ形状、格子形状等の開口部を有する隔壁を形成する。隔壁は直線状(ストライプ状、リブ状)や、各画素が隔壁によって仕切られた格子状などの形状で構成される。隔壁はガラスペーストを印刷法で塗布する方法や、厚膜をサンドブラスト法で削る方法等により形成される。隔壁で区切られたセル内には、各色の蛍光体が充填され、壁面に塗布される。
一方、前面基板上には表示電極が形成される。表示電極は、透明電極、バス電極よりなる。透明電極はインジウム−スズの酸化物膜(ITO膜)等、バス電極はCr/Cu/Cr配線、銀配線等よりなる。表示電極は、背面基板上に形成されるデータ電極と直交するように配置される。これらの電極上には、電極の保護と放電時に壁電荷を形成するメモリ機能を有する誘電体層が形成される。誘電体層上には、プラズマより電極等を保護する保護層が形成される。保護層としては、MgO膜を形成することが一般的である。一般のPDPでは、さらに前面基板側に、各画素に対応した開口部を有する黒色層(ブラックマトリクス)が形成される。黒色が前面基板側より見えることで、画像のコントラストを向上させる効果がある。黒色層はデータ電極の上下のいずれに形成してもよい。
背面基板及び前面基板は正確に位置を合わせて対向させ、周縁部を接着する。接着材としてはガラス接着材を使用する。加熱しながら内部のガスを排気し、希ガスを封入する。データ電極と表示電極の交差する部位で電圧を印加して希ガスを放電させ、プラズマ状態とする。希ガスがプラズマ状態から元の状態に戻る際に生じる紫外線を利用して蛍光体が発光する。
図1に、本発明の一実施例に係るPDPの断面図を示す。本実施例のPDPは、図22に示した従来のPDPに存在するブラックマトリックスを含まない。また、誘電体層20が隔壁と一体になっている。
図1に示すPDPの作製方法について、図2〜図9を用いて詳細に述べる。
まず、背面基板1に、データ電極2をスパッタ法で形成した。本実施例では、背面基板1としてソーダライムガラスを用い、データ電極としてCr/Cu/Crのスパッタ膜を用いた。なお、データ電極(アドレス電極とも言う)として、この材料のほかに銀や銀に導電性ガラスペーストを混入させたものなどを用いてもよい
さらに、このデータ電極を、フォトリソグラフィー法を用いて電極構造となるように加工した(図2)。
次に、枠を固定するために、枠ガラス6として低温軟化ガラスフリット、ならびに隔壁4の前駆体として隔壁材のペースト40を塗布によって形成した。枠ガラス6及び隔壁を形成するガラスには鉛を含まないガラスを用いた。枠ガラス6にはバナジウム−リン−アンチモン−バリウム系のガラスにフリットとしてSiOを混入させたものを用いた。また、隔壁4には後に実施例2にて詳細に検討するタングステン−リン−バリウム−バナジウム系ガラスのフリットを用いた(図3)。
そして、これらの枠ガラス6、隔壁ガラスの軟化温度で焼成して固定した。本実施例では焼成温度を580℃とした(図4)。
焼成した隔壁4を隔壁形状に加工するため、本発明では通電加熱法を用いた。用いたタングステン−リン−バリウム−バナジウム系ガラスは、室温では10〜1011Ωcm程度の電気抵抗を有するが、これを加熱すると半導体的電子伝導性のため電気抵抗値が低下し、200℃では10kΩcm程度まで低下する。これに直流電圧を印加して隔壁4、並びに隔壁のネガ型にあらかじめ加工された金型12に通電することにより、隔壁4を通電加熱して軟化温度以上に加熱した。
さらに、上部から圧力を加えて隔壁4を金型12のポジ型となるように押し付けた。本実施例では金型としてSUSを用いた(図5、図6)。
隔壁形状が損なわれないように、加熱環境下で、この金型をゆっくりと離型した。さらにR、G、B三色の蛍光体を隔壁内部に塗布し(図8)、460℃で焼成して図9に示すようなPDPの背面板を得た。
さらに、別途作製された前面板を上部から封着ならびに真空に排気し、キセノンガス等を充填することにより、図1に示すPDPを得た。
このような方法を用いることにより、背面基板1に応力が残存せず、反りなどの問題の少ない隔壁を形成することが可能である。この方法は、従来のサンドブラスト法などに比較して材料の損失がなく、環境負荷の少ない製造方法である。このような製造方法に適用できる隔壁4の材料として、半導体的な電子伝導性を示すガラスが有効である。
本発明では隔壁4の側面のみならず、隔壁の底面部もすべて同一の材質で構成することができる。従来は図22に示すように隔壁の底面部に誘電体膜等が形成されているが、本発明では誘電体層20を隔壁4と一体とすることが可能である。このため、誘電体層20形成の一工程を省くことができるのみならず、隔壁に蓄積される電荷の除去にも有効である。
また、本実施例では、隔壁側面部に薄膜を形成したPDPも作製した。図10に、隔壁側面部に薄膜を形成したPDPの断面の模式図を示す。隔壁側面部のみに薄膜13を形成するのは、側面部には蛍光体3が塗布されるため、蛍光体3の裏面への発光をできる限り前面板側に向けて輝度を向上させるためである。また、前面板側の上面にこの膜が形成されてしまうと、前面板から見たときの隔壁の反射率が向上してしまうため、黒色コントラストが悪くなるため好ましくない。従って、このような膜は蛍光体が塗布される隔壁側面部及び底面部のみに限定される必要がある。
図10に示す実施例では、隔壁の側面部並びに底面部のみに薄膜が形成されており、隔壁の前面基板11側にはこの薄膜は形成されていない。この製法について図11〜14を用いて説明する。
薄膜を形成しないPDPと同様に、隔壁4を形成した後(図7に相当)、薄膜形成のためのマスク14を隔壁上面に配置する(図11)。たとえばストライプ形状の隔壁を形成する場合には、図12に示すようなマスクが用いられる。マスク形成後、スパッタ法や蒸着法などを用いて薄膜13を形成する(図13)。この際、隔壁上部にはマスクが形成されているため薄膜13は形成されない。この後、マスクを除去し、図14に示すように、薄膜が隔壁内部にのみ形成された背面板が出来上がる。
さらに蛍光体を塗布、焼成し、蛍光体を隔壁内部に焼付ける(図15)。この上面に別途作製された前面板を封着排気し、キセノンガス等を充填してプラズマディスプレイパネルが完成する。
本実施例では、タングステン−リン−バリウム−バナジウム系ガラス材料について詳細に検討した結果について述べる。
本発明の隔壁ガラスは、実施例1に述べたように通電加熱によって成型されるため、抵抗は通電による発熱が生じるのに適したものである必要がある。また、蛍光体塗布後の焼成によっても、その形状が変形しないようにするために、蛍光体の焼成温度である460℃においても変形しないことが望まれる。従って、隔壁用ガラスのガラス転移温度は470℃以上であることが好ましい。また、背面基板1への焼付けの際には、背面板の材料であるソーダライム系ガラス基板よりも低温で作業可能な程度に軟化する必要がある。
PDPに利用されるソーダライムガラスのガラス転移温度は610℃程度であることから、軟化温度は600℃以下であることが好ましい。また、通常のガラス材料では、ガラス転移温度が470℃であれば軟化温度は570℃程度であり、軟化温度が600℃であればガラス転移温度は500℃程度であることから、本発明の隔壁用ガラスのガラス転移温度は470℃以上500℃以下であることが好ましく、軟化温度は570℃以上600℃以下であることが好ましい。
また、ソーダライムガラスの熱膨張係数は室温から350℃までの測定温度範囲において80×10−7/℃であることから、多少圧縮、引っ張り応力が存在しても破損などが認められない熱膨張域として70〜90×10−7/℃であることが望ましい。熱膨張係数が70×10−7/℃未満では、ガラスが剥離する方向にせん断応力が生じて隔壁材が破損する。また、熱膨張係数が90×10−7/℃を超えると、引っ張り応力によって隔壁の縦方向に破壊が生じるため好ましくない。
さらに、隔壁材に導電性があると、表示の際に残存する電荷をアースできるため好ましいが、電気抵抗が低すぎると表示のために予備的に表示電極近傍に蓄積する電荷までアースしてしまうため、表示の応答性が低下するため好ましくない。表示の際に電荷が残存すると誤表示の原因になったり、電荷が蓄積しすぎて異常放電の原因になったりするため好ましくない。
このような異常が生じないで、適切にセル内の電荷状態を維持できる隔壁の体積抵抗率は、1×10Ωcm〜1×1011Ωcmであった。
また、言うまでもないが、ガラスが結晶析出などにより失透すると、隔壁の通電加熱による成型の際に流動性が損なわれ、適切な形状が得られないので、失透は生じない方が好ましい。
さらに黒色表示コントラストを向上させるためには、隔壁の上面パネルに接する端面は黒色であることが好ましい。
以上のような特性を満足できるガラス組成としてタングステン、リン、バリウム、バナジウムの酸化物を構成成分とするガラスを作製し、その特性を評価した。
表1に、検討したガラス材料の組成、失透の有無、熱膨張係数、ガラス転移温度、軟化温度、外観の色、および体積抵抗率を示す。
Figure 2008251322
表1において、組成はガラスの分析組成であり、それぞれの酸化物をWO、P、BaO、Vの酸化物換算で表示した。なお、組成の分析は得られたガラスをICPS(誘導プラズマ発光分析)法を用いて分析することで行った。
また、ガラスの溶融は所望のガラス組成となるように各元素の原料を配合し、白金製の坩堝中に原料粉末を投入し、電気炉中で1400℃に2時間加熱溶融後、その温度から急冷することによって行った。電気炉溶融中、坩堝内に白金製の攪拌棒を挿入して溶融物を攪拌した。溶解後、400℃に予備加熱された黒鉛治具に流し込んだ。そして、800℃に再加熱して2時間保持後、0.5℃/分の冷却速度で徐冷して歪のないガラスブロックを得た。
なお、各構成酸化物の原料は、バリウムの原料として燐酸バリウムを用いた他は、WO,P,Vよりなる酸化物原料を用いた。
また、表1において、失透の有無は、ガラスを溶解、歪取り後、カレットをホウケイ酸ガラス基板上に載せて再度800℃に加熱してボタンフロー試験を行い、その表面を目視、ならびに光学顕微鏡観察によって観察して、結晶化が認められた場合を×とし、結晶化が認められず、清浄なガラス自然面が見られた場合を○とした。
また、熱膨張係数は石英ガラスを標準試料として用い、5℃/分で昇温して示差熱膨張計を用いて測定した。第一の変曲点をガラス転移温度とした。また、ガラスの粘度曲線を測定してガラス粘度が107.6Poiseになる点を軟化温度とした。外観の色は20mm×20mm×50mmのガラスブロックを作製し、その外観の色を示した。
さらに、体積抵抗率はガラスブロックから1mm×10mm×3mmのガラス棒を切り出し、1mm×10mmの両端面にPt電極を蒸着して、電極間距離を3mmとして、電極ごと恒温槽内に挿入し、125℃に一旦加熱して水分を除去した後、25℃に戻して測定した。抵抗値測定のため、電圧は直流で500Vを印加し、そのときに流れる電流値を計測することにより求めた。
表1において、No.1〜No.7はWOの量を変化させて、その物性を評価したものである。No.1から試料番号が増加するにつれ、WOの含有量を増大させているが、それに応じてガラス転移温度、軟化温度が上昇していくという特徴があった。No.1〜2のガラスはTが470℃未満であり、蛍光体焼成温度である460℃で変形が生じる可能性が高く、問題があった。No.3〜6は、いずれのパラメータも問題がなく、隔壁用のガラス材料として好適であった。また、No.7のガラスは、軟化温度が600℃を超えたため、背面板の材料であるソーダライムガラスのガラス移転温度以上に加熱しないとガラス成型できないことが分かった。
以上より、WOの含有量は、25重量%から60重量%が好ましかった。WO含有量が25重量%未満ではガラスの転移温度が低く、蛍光体焼付け工程において変形するという不具合を生じる可能性がある。また、60重量%を超えると、軟化温度が600℃を超えるため、このガラスを基板上で成型焼成する際、背面板ガラス材料を劣化させる可能性があるため、好ましくなかった。
次に、試料No.8〜13により、Pの含有量を変化させたガラスを作製した。No.8、No.9に示すように、Pの含有量が少ないとき、ガラス表面に結晶化の様相が観察されたため、好ましくなかった。Pの含有量の多いNo.9のガラスの方が良好であったが、非常にわずかであるが結晶化の兆候が見られた。P含有量を15重量%としたNo.10ガラスでは、このような結晶化の様子は見られなくなり、清浄なガラス面が得られた。
以上より、P含有量は15重量%以上であることが好ましいことが分かった。Pの含有量を増加させると、このような結晶化の兆候がなくなる一方、T、Tが上昇していく傾向が見られた。P含有量を増加させて作製したNo.10〜12のガラスでは、T,Tともに良好な値を示したが、Pを41重量%含有させたNo.13のガラスでは、Tが600℃を超えたため、処理工程で背面板を変形させる恐れがあった。
以上より、Pの含有量は15重量%以上40重量%以下であることが好ましかった。P含有量が15重量%未満であると、ガラスが失透するため好ましくない。また、40重量%以上であると、軟化温度が高くなりすぎるため、好ましくない。
次に、No.14〜18のガラスを作製してBaOの含有量の検討を行った。BaO含有量が増加すると、このガラス系の熱膨張係数が大きくなるという特徴を有していた。BaOを6重量%含有したNo.14のガラスでは、熱膨張係数が65×10−7/℃と、背面板ガラスに対して小さすぎ、成型後剥離状のクラックが生じる可能性が高く、好ましくなかった。さらにNo.15〜18のガラスでは熱膨張係数は71〜89×10−7/℃と好適な値を示したが、No.18に示すガラスでは熱膨張係数は97×10−7/℃と大きすぎ、熱処理工程において背面板ガラスから受ける引っ張り応力が大きく、縦方向に亀裂が生じる可能性があり、好ましくなかった。
以上より、BaOの含有量は8重量%以上30重量%以下であることが好ましかった。BaO含有量が8重量%未満であると熱膨張係数が小さすぎ、剥離方向の亀裂が生じるため好ましくない。一方、BaO含有量が30重量%を超えると熱膨張係数が大きくなりすぎるため、縦方向の亀裂による破損が生じるため、好ましくない。
さらに、No.19〜23に示すガラスでVの含有量を検討した。Vの含有量が増大するほど、体積抵抗率が顕著に低下していく様子が見られた。No.19のガラスはVの含有量が6重量%のものであるが、体積抵抗率が1.2×1012Ωcmと大きく、パネル内で残存電荷をアースすることが困難なため、異常放電の原因となる可能性があることが分かった。
No.20〜22のガラスでは、体積抵抗率が1.0×1012〜1.0×10Ωcmの範囲にあり、パネル内での異常放電なども見られる可能性が少なく好適であった。一方、No.23に示すVを21重量%含有させたガラスでは、体積抵抗率が1.0×10Ωcmを下回っていた。この場合、上面パネルの表示電極近傍に表示のマーキングのために施される蓄積電荷までもがアースされてしまい、表示の応答性が極端に低下するという問題を生じる可能性があった。従って、No.23のガラスは好ましくないことが分かった。
以上より、Vの含有量は8重量%以上20重量%以下であることが好ましかった。Vの含有量が8重量%未満であると、抵抗が高くなり、異常放電の原因になるため好ましくない。また、Vの含有量が20重量%を超えると、抵抗が低くなりすぎ、表示の応答性が低下するため好ましくない。
表1に検討したすべてのガラスにおいて、外観の色は黒色であり、黒色コントラストを向上させることができるため好ましかった。
次に、タングステン、リン、バリウム、バナジウム系ガラスの耐候性を向上させるため、種々の添加元素を検討した。表2にその結果を示す。
Figure 2008251322
耐候性を向上させるため、MoO、Cr、HfO、ZrO、Al、Gdの5種類の酸化物を検討した。表2において、水への溶解量は、10mm立方のガラスブロック(約4g)を80℃の温水に24時間浸漬して120℃の乾燥機内に5時間挿入して十分に乾燥させた後、浸漬前後のガラスブロックの重量を0.1mgの単位まで測定して、その差を浸漬前の重量で規格化して溶解量として算出した。
No.24は、上記の酸化物を含まないWO−P−BaO−V系の4元系ガラス組成物であるが、0.5%の重量減少が認められた。一方、MoOを含有させたガラスでは、5重量%以下では溶解量が低下したが、5重量%を超えると溶解量が悪化していくことが分かった。
また、Cr、HfO、ZrO、Al、Gdを含有させても大幅な耐水性の改善が見られたが、いずれも含有しすぎると失透が生じ、好ましくなかった。具体的にはCrは5重量%以下では耐水性が改善されて失透も見られなかったが、5重量%を超えると失透が見られた。また、HfO、ZrO、Al、Gdはいずれも3重量%以下では耐水性の改善が見られ、かつ良好なガラスが得られたが、3重量%を超えると失透が見られ、好ましくなかった。その他の熱膨張係数、ガラス転移温度、軟化温度、色、体積抵抗率などの諸特性は、問題がなかった。
以上より、ガラスの耐候性を向上させるため、MoOを0〜5重量%の範囲、Crを0〜5重量%の範囲、ZrOを0〜3重量%の範囲、HfOを0〜3重量%の範囲、Gdを0〜3重量%の範囲、Alを0〜3重量%の範囲で含有させることができる。それぞれ、この量を超えると、MoOの場合には耐候性向上の効果がなくなり、その他の酸化物については結晶化が生じるため、好ましくない。
次に、表1で検討したガラスにフィラーを添加してその効果を検証した。本実施例では、熱膨張係数が好適で、タングステン−リン−バリウム−バナジウム系ガラスに添加しても焼結性が良好なアルミナ(Al)を用いて検討を行った。表3に、Alをフィラーとして添加して焼成したガラス材料の外観の色と体積抵抗率を示す。添加したAl粒子の粒径は平均で2μmとした。
Figure 2008251322
表3において、体積抵抗率はAlフィラーの添加量が増大していくにつれ、外観の色は灰色に近くなり、体積抵抗率は上昇する。フィラー充填量が70体積%までは体積抵抗率は1.0×1012Ωcm以下で好適であったが、フィラー充填量が70体積%を超えると体積抵抗率が1.3×1012Ωcmとなり、好ましくなかった。また、フィラー添加量が多すぎると、通電過熱方式による隔壁形成の際、ガラスの流動性が損なわれるため好ましくなかった。
以上より、フィラーを充填しても好適な隔壁材が得られるが、その充填量は70体積%以下であることが好ましかった。
次に、実施例2、3、4で検討したガラス組成物を隔壁として用いた図1および図10に示すPDPを作製し、実施例1に示すガラスを隔壁として用いた場合の黒色コントラスト、白色輝度を評価した。なお、本実施例では白色輝度を増加させるため、図10に示すように隔壁の蛍光体と接する面に反射膜を設けて裏面への発光を前面側に反射させることによって輝度を増加させる構成とした
なお、図1は薄膜を形成しない場合のPDP断面の概略図であり、図10は薄膜を形成した場合のPDP断面の概略図である。
表4に、検討した隔壁、薄膜の構成ならびに各隔壁材料の薄膜の屈折率、基板の波長530nmにおける屈折率、ならびにガラス基材上に薄膜を形成した場合ならびに形成しない場合の波長530nmにおける反射率、吸収率、透過率、図1或いは図10にPDPを作製した際の黒色コントラストと白色輝度を示す。
表4において、屈折率、反射率、吸収率、透過率の基礎的な光学定数の値は、図1および10に示すパネルを作製する前に、鏡面研磨された20mm角×0.5mm厚さの基材薄片を作製し、この上にスパッタ法を用いて各薄膜を形成して測定した。
また、表4の相対黒色コントラストと相対白色輝度は、図1或いは図10に示すPDPを作製した後にパネル特性として評価した。相対黒色コントラストは、電圧を印加しつつ全画面黒画像を表示させた際の画面から放出される輝度を、試料No.48のビスマス系ガラスの隔壁を用いて作製した図1に示すPDPの輝度を1としたときの相対値として示した。また、相対白色輝度は全体をフル表示にして白色としたときの輝度を、試料No.48のビスマス系ガラスの隔壁を用いて作製した図1に示すPDPの輝度を1としたときの相対値として示した。
Figure 2008251322
薄膜を作製するためのスパッタ法は、Fe、Ga、Fe−Ga、Cr系薄膜を形成するために、Ar+5%Oのスパッタガスを用いて各組成の酸化物ターゲットを用いてRF電源を用いて成膜した。膜厚は、20〜200nmの間で変化させた。また、TaNを成膜する際にはAr+5%N雰囲気で、Taターゲットを用いて反応性スパッタリングを用いて行った。スパッタパワーは500W、ターゲットサイズは152.4mmφ、到達真空度は4.0×10−5Pa、成膜時ガス圧は0.7Paとして行った。
得られた薄膜、および基材の屈折率及び消衰係数を、分光エリプソメータを用いて測定した。測定光源はタングステンランプとし、波長350〜850nmの範囲で測定した。試料No.50〜53に示すFe、Fe−Ga系薄膜の屈折率及び消衰係数の波長分散を図17、図18に示す。
試料No.50のFe単体の薄膜では波長400〜800nmの可視光域全般において屈折率は2.8以上と高い値を示した。Gaを添加することにより可視光域における屈折率、消衰係数ともにGaの添加量が増加するとともに低下していくが、試料No.51の70Fe−30Gaでは屈折率は2.4以上の値を示した。しかし、試料No.52、No.53の試料では、可視光域での屈折率はさらに低下し、この波長域における最低の屈折率は2.1〜2.0と下がっていった。
また、試料No.49のWO−P−BaO−V系ガラス基板の屈折率及び消衰係数を図19、図20に示す。WO−P−BaO−V系ガラス基板の屈折率は波長の増加に伴って屈折率は低下するが、800nmでは約1.75の値を示した。
表4に示した材料の波長400〜800nmの可視光域における反射率を測定した。測定は(株)日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U−4100)を用いて行った。一例として、試料No.49とNo.51について、その分光反射率曲線を図16に示す。試料No.49のWO−P−BaO−V系ガラス基材では、可視光の波長域で反射率は9%〜11%程度であったが、試料No.51の70Fe−30Ga薄膜を形成した場合には、反射率は16%〜23%と向上することが分かった。
まず、図1に示す薄膜を形成しないPDPについて評価を行った。試料No.48に示す試料は、基材としてビスマスを主成分とする低温軟化ガラスを用いたものである。試料No.49の試料は基材としてWO−P−BaO−V系ガラスを用いて作製した例であるが、隔壁の上面が黒色であるために、画面全体の黒味が増し、相対黒色コントラストは0.5と大幅に向上していた。
一方、白色相対輝度は、蛍光体の発光効率が同じであるのでほとんど同じであった。さらに基材としてWO−P−BaO−V系ガラスに50体積%のAlを添加した基材を用いた試料No.59の試料では、Alの反射率が高いため、波長530nmにおける反射率が4%向上した。また、相対黒色コントラストはAlが基材に入った分、白味が増加し、0.7となった。しかし、蛍光体裏面の反射率が向上したため、相対白色輝度が1.1と、10%ほど上昇した。
以上のように、本実施例で作製したタングステン、リン、バリウム、バナジウム系ガラスを用いた場合には、黒色のコントラストが従来のビスマス系ガラスを用いたときに比べて大幅に向上した。また、これにAlフィラーを添加すると、黒色コントラストの改善効果は若干低下するものの、従来のものよりは良好であり、さらに白色の輝度が向上するため好ましい。
次に、これらの基材の上に薄膜を形成した図10に示す形状のプラズマディスプレイパネルについての評価結果について述べる。
表4に示すように、屈折率の高い材料を用いるほど、高い反射率を得ることができる。図21に、試料No.49の基板に、屈折率の異なる各種薄膜を付した場合の屈折率に対する反射率を示す。この図では、代表例として波長530nmの場合について示す。屈折率が上昇するほど、反射率が上昇していくことが分かる。なお、膜厚に関しては各屈折率の薄膜で最大の反射率が得られる膜厚とした。
図21より明らかなように、屈折率1.78の基材として試料No.49のWO−P−BaO−V系ガラスを用いた場合には、波長530nmでは反射率20%を得る場合には屈折率を2.2以上にする必要があることが分かる。さらに、反射率を50%以上にするためには、薄膜の屈折率を3.3以上にする必要があることが分かる。
表4の反射率と相対黒色コントラストの関係を見ると、試料No.50のように反射率が23%のときに相対白色輝度は1.3と、30%程度と大幅に改善することが分かる。また、試料No.52のように反射率が20%の時には10%程度の白色輝度の改善があることが分かった。
しかしながら、試料No.53、No.54のように、反射率が12%以下の場合には相対白色輝度は1.0と、輝度改善には効果が少なかった。
また、TaN、Si、Geのように高屈折率の薄膜を用いた場合にも相対白色輝度は1.4〜1.6と、大幅に向上していた。さらに、No.58の試料のように、基材としてビスマス系ガラスを用いた場合にも、薄膜としてFeを形成すると、その反射率は向上し、相対白色輝度は薄膜を形成しない試料No.48の場合に比べて1.5と、50%向上していることが分かった。
また、基材として50体積%のAlフィラーを添加したWO−P−BaO−V系ガラスを用いて、その隔壁側面にFe,Crを形成したNo.60、No.61の試料の場合には、相対黒色コントラストは基材のみの場合と同様0.7程度であるが、白色輝度は1.6と向上した。
以上のように、隔壁の側面に高屈折率の薄膜を形成すると輝度を上昇させることができる。用いる薄膜の材料は、鉄酸化物、クロム酸化物、鉄とガリウムの複合酸化物、タンタル窒化物、シリコン、あるいはゲルマニウムから選ばれることが好ましい。
本発明で作製したPDPの断面の概略図。 本発明で作製したPDPの電極形成工程を示す図。 本発明で作製したPDPの隔壁、封着ガラス形成工程を示す図。 本発明で作製したPDPの隔壁、封着ガラス形成工程を示す図。 本発明で作製したPDPの隔壁形成工程の一部を示す図。 本発明で作製したPDPの隔壁形成工程の一部を示す図。 本発明で作製したPDPの隔壁形成工程の一部を示す図。 本発明で作製したPDPの蛍光体塗布工程を示す図。 本発明で作製したPDPの蛍光体焼成工程を示す図。 本発明で作製したPDPの断面の概略図。 本発明で作製したPDPの薄膜形成工程の一部を示す図。 本発明で用いた薄膜形成時のマスク材料の概略図。 本発明で作製したPDPの薄膜形成工程の一部を示す図。 本発明で作製したPDPの薄膜形成工程の一部を示す図。 本発明で作製したPDPの蛍光体焼成工程を示す図。 本発明による隔壁材の可視光域の分光反射率曲線図。 隔壁材上に形成される薄膜の可視光域の屈折率の波長分散特性図。 隔壁材上に形成される薄膜の可視光域の消衰係数の波長分散特性図。 本発明で使用する隔壁材基材用ガラスの屈折率の波長分散特性図。 本発明で使用する隔壁材基材用ガラスの消衰係数の波長分散特性図。 薄膜の屈折率に対する反射率の変化を示す図。 従来の一般的なPDPの断面の模式図。
符号の説明
1…背面基板、2…データ電極、3…蛍光体、4…隔壁、5、5a…封着ガラス、6…枠ガラス、7…バス電極、8…表示電極、9…保護膜、10…誘電体層、11…前面基板、12…金型、13…薄膜、14…マスク、20…誘電体層。

Claims (13)

  1. 対向して設けられ、周縁部が接着された前面基板及び背面基板と、前記前面基板上に設けられた電極と前記電極上に設けられた誘電体層及び前記誘電体層上に設けられた保護層と、前記背面基板上に設けられた電極及び誘電体層と、前記前面基板及び前記背面基板の間隙を保持する隔壁と、前記隔壁と前記前面基板及び前記背面基板により形成される空間内に充填された蛍光体とを有するプラズマディスプレイパネルであって、
    前記隔壁が少なくともタングステン、リン、バリウム、バナジウムの酸化物を含有するガラスよりなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記隔壁の抵抗率が10〜1011Ωcmであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記隔壁の高さが100μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 対向して設けられ、周縁部が接着された前面基板及び背面基板と、前記前面基板上に設けられた電極と前記電極上に設けられた誘電体層及び前記誘電体層上に設けられた保護層と、前記背面基板上に設けられた電極及び誘電体層と、前記前面基板及び前記背面基板の間隙を保持する隔壁と、前記隔壁と前記前面基板及び前記背面基板により形成される空間内に充填された蛍光体とを有するプラズマディスプレイパネルであって、
    前記隔壁が酸化物換算で、WO:25〜60重量%、P:15〜40重量%、BaO:8〜30重量%、V:8〜20重量%の酸化物を含有するガラスよりなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  5. 前記隔壁がさらに酸化物換算でMoO:0〜5重量%、Cr:0〜5重量%、ZrO:0〜10重量%、HfO:0〜3重量%、Gd:0〜3重量%、Al:0〜3重量%を含有するガラスよりなることを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 対向して設けられ、周縁部が接着された前面基板及び背面基板と、前記前面基板上に設けられた電極と前記電極上に設けられた誘電体層及び前記誘電体層上に設けられた保護層と、前記背面基板上に設けられた電極及び誘電体層と、前記前面基板及び前記背面基板の間隙を保持する隔壁と、前記隔壁と前記前面基板及び前記背面基板により形成される空間内に充填された蛍光体とを有するプラズマディスプレイパネルであって、
    前記隔壁が基材とその側面に形成された薄膜とから構成され、前記基材が少なくともタングステン、リン、バリウム、バナジウムの酸化物を含有するガラスよりなり、前記薄膜が鉄酸化物、クロム酸化物、鉄とガリウムの複合酸化物、タンタル窒化物、シリコン、ゲルマニウムから選ばれた少なくとも1種よりなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  7. 前記薄膜の屈折率が400nm〜800nmの波長域で2.3以上であることを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイパネル。
  8. 対向して設けられ、周縁部が接着された前面基板及び背面基板と、前記前面基板上に設けられた電極と前記電極上に設けられた誘電体層及び前記誘電体層上に設けられた保護層と、前記背面基板上に設けられた電極及び誘電体層と、前記前面基板及び前記背面基板の間隙を保持する隔壁と、前記隔壁と前記前面基板及び前記背面基板により形成される空間内に充填された蛍光体とを有するプラズマディスプレイパネルであって、
    前記隔壁が基材とその側面に形成された薄膜から構成され、前記薄膜が鉄酸化物、クロム酸化物、鉄とガリウムの複合酸化物、タンタル窒化物、シリコン、ゲルマニウムから選ばれた少なくとも1種よりなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  9. 対向して設けられ、周縁部が接着された前面基板及び背面基板と、前記前面基板上に設けられた電極と前記電極上に設けられた誘電体層及び前記誘電体層上に設けられた保護層と、前記背面基板上に設けられた電極及び誘電体層と、前記前面基板及び前記背面基板の間隙を保持する隔壁と、前記隔壁と前記前面基板及び前記背面基板により形成される空間内に充填された蛍光体とを有するプラズマディスプレイパネルであって、
    前記隔壁の底面および側面が一体になっていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  10. 前記隔壁が画素ごとに格子状に形成されていることを特徴とする請求項9に記載のプラズマディスプレイパネル。
  11. 前記隔壁の底面部と側面部に薄膜が形成され、この薄膜が鉄酸化物、クロム酸化物、鉄とガリウムの複合酸化物、タンタル窒化物、シリコン、ゲルマニウムから選ばれる少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項9又は10に記載のプラズマディスプレイパネル。
  12. 少なくともタングステン、リン、バリウム、バナジウムの酸化物を含有するガラス厚膜を背面板上に形成する工程と、隔壁のネガ形状に加工され、通電による加熱が可能な金型をガラスに押し当ててガラスに隔壁形状を転写する工程とを含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  13. 前記ガラスに隔壁形状を転写する工程を終えたのち、さらに隔壁の上端面にマスクを形成する工程と、隔壁の内壁に薄膜を形成したのち、マスクを除去する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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