JP2008249524A - ユビキチンを標的とした腫瘍の判定方法 - Google Patents

ユビキチンを標的とした腫瘍の判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、早期診断が可能な胃癌、肺小細胞癌、肺非小細胞癌等に対する新規腫瘍マーカーを提供すること。
【解決手段】ヒトから採取した生体試料中のユビキチン(Ubiquitin)の発現量を測定する。ユビキチンの発現を検出した場合、対象者は癌である可能性が高いと判定される。ユビキチンの発現量の測定には、抗ユビキチンモノクローナル抗体や、ユビキチンのmRNAの存在を検出するためのプライマーセット若しくはプローブ、又はそれらの標識物が好適に用いられる。また、ヒト腫瘍細胞株を被検物質の存在下に培養し、細胞培養上清中のユビキチンの発現量を測定し、被検物質の非存在下における場合と比較・評価することにより、腫瘍の抑制剤・治療剤をスクリーニングすることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ユビキチン(Ubiquitin)を標的とした、胃癌、肺小細胞癌、肺非小細胞癌等の腫瘍の判定方法及びそのためのキット、並びに、腫瘍の抑制剤・治療剤のスクリーニング方法等に関する。
癌治療における診断・判定として血中腫瘍マーカーの計測が挙げられる。腫瘍マーカーは腫瘍または腫瘍と反応した正常細胞が作る物質の中で、血中や尿中などに放出され腫瘍の体外診断を可能としているものである。
上記腫瘍マーカーに関しては、乳癌患者と正常人の胸部組織に差異的に発現する遺伝子を使用した悪性腫瘍、特に乳癌を予想、診断 、予後判定、予防および処置するための新規な組成物、方法および使用(例えば、特許文献1参照)や、肝炎ウイルスの感染に起因し慢性肝炎または肝硬変を発症した患者に対し、肝炎ウイルスに感染した患者のミトコンドリアDNAの塩基配列を評価することによって肝臓癌の発癌リスクを評価する方法(例えば、特許文献2参照)や、その遺伝子産物がCLL細胞および前立腺癌細胞の新生物性または腫瘍形成性増殖を抑制するmiR15およびmiR16のコピー数、変異状態または遺伝子発現を検出することによる慢性リンパ性白血病または前立腺癌の診断方法(例えば、特許文献3参照)や、無症候性期または初期段階の患者における発癌過程の存在を検出するのに適当な迅速な癌の診断方法や、癌患者の血清中に存在する炭酸脱水酵素IIの活性化化合物、すなわち腫瘍マーカー 、該癌の診断方法によって、無症候性期または初期段階の患者の癌を検出することを特徴とする癌の処置方法;ならびに該癌の診断方法を行うためのキット(例えば、特許文献4参照)等が知られている。
胃癌は、日本と東南アジアでは消化管で最も多くみられる悪性腫瘍であり、癌死亡率では、胃癌が世界で第2位を占めている。胃癌の予後は、診断技術や胃癌の治療法の発達により改善しているが、進行癌の治癒的切除の後に起こる再発の主原因は腹膜播種である。胃漿膜にまで浸潤した胃癌の予後は、5年生存率が35%と低い。また、進行胃癌術後の腹膜播種再発においてはいまだに有効な治療法がなく、5年生存率は5%以下と報告されている。胃癌細胞のこのような悪性の特性のうちで、腹膜への転移は特に複雑な現象であり、多くのステップと多くの遺伝子が関与している。胃癌の腹膜播種には、接着分子、アポトーシス関連遺伝子および他の遺伝子が深く関与しているという報告があるが、胃癌の転移のメカニズム解明には、さらなる研究が必要であるとされている。
胃癌に関しては、既知のI型コラーゲンのC端非3重鎖テロペプチド(ICTP)の変動をマーカーにすることを特徴とする、進行胃癌、特にスキルス胃癌の適切な診断マーカー(例えば、特許文献5参照。)や、従来のRLGS法に比較して少量のDNAサンプルを用い簡便で、迅速、安価に癌患者の予後が良好か否かを診断することのできる技術を確立するものであって、癌部または非癌部組織検体より得られたDNA繰り返し配列中に存在する脱メチル化DNA数を測定し、その割合に基づいて胃癌をはじめ、種々の癌疾患の予後が良好か否かを判断する方法(例えば、特許文献6参照。)や、転移性結腸直腸癌あるいは原発性および/または転移性の胃癌または食道癌をスクリーニング・診断するための試薬、キットおよび方法や、その患者を処置するためにインビボでイメージングするための化合物や組成物、その治療や予防のための薬物、遺伝子療法薬およびアンチセンス化合物を運搬するための組成物、ワクチンおよび方法(例えば、特許文献7参照。)や、細胞の生体エネルギー的指数を作成するため、構造タンパク質およびミトコンドリアの呼吸(それぞれ例えば、hsp60やチトクロームオキシダーゼのサブユニットIおよびIV)に関して、ミトコンドリアの生体エネルギー的機能のタンパク質(H−ATP合成酵素のβ−触媒サブユニットなど)の発現についての研究を使用すること、そしてグリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素およびピルビン酸キナーゼMなどの細胞の解糖経路のタンパク質の発現に関連する前記ミトコンドリア生体エネルギー指数(β−ATPase/hsp60比;β−ATPase/COXI比;β−ATPase/COXIV比)を使用することからなる、細胞の代謝性マーカーの研究に基づいて、癌の検出、進行の解析、および悪性腫瘍を予後診断するための方法(例えば、特許文献8参照。)等が提案されている。
さらに、胃癌腹膜播種又は腹腔内遊離癌細胞の検出のため、特異性の高い新規マーカーを同定する方法としては、被験者から生体試料を採取するステップと、アルデヒドデヒドロゲナーゼ又はドーパデカルボキシラーゼの少なくとも一方の存在を被検者の生体試料から検出するステップと、アルデヒドデヒドロゲナーゼ又はドーパデカルボキシラーゼの少なくとも一方が存在する場合には、胃癌由来の転移癌細胞が前記試料中に含まれている可能性が高いと判断するステップとを含む方法により、胃癌由来の転移癌細胞を検出し、これらを胃癌由来の転移癌細胞のマーカーとして使用することによって、胃癌患者の腹膜転移の有無を迅速かつ確実に検出することができ、腹腔内癌化学療法を適用すべきかの決定のための有力な材料を提供することができる方法(例えば、特許文献9参照。)が開発されている。
また、肺癌は小細胞癌と非小細胞癌の2つの型に大きく分類され、非小細胞癌はさらに腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌の3タイプに分類され、それぞれのタイプによって発生する部位がある程度決まっており、小細胞癌と扁平上皮癌は肺門部に、腺癌と大細胞癌は肺野部にできやすい肺癌といわれている。肺癌に関して、小細胞肺癌 (SCLC)を患う患者を治療し、またはSCLC腫瘍の存在を検出するための、比較的短いペプチド、詳細には、α−コノトキシンペプチドMIIおよびU002を使用して小細胞肺癌の存在または位置を決定することにより検出する方法(例えば、特許文献10参照)や、血清中の肺癌マーカーとして優れる血管透過性因子を測定することにより、特に化学発光検出系酵素免疫測定法を用いて高感度で測定することにより、肺癌の早期診断、さらには治療効果の判定、経過観察を行う方法(例えば、特許文献11参照。)等が知られている。
特開2004−159640号公報 特開2004−121029号公報 特表2006−506469号公報 特表2001−524815号公報 特開2001−33460号公報 特開2002−112799号公報 特表2003−532389号公報 特表2005−526980号公報 特開2004−321102号公報 特表平11−506737号公報 特開平9−33531号公報
これまでに様々な腫瘍マーカーが開発されているが、擬陽性が多く初期の癌の検出が困難であるなど改善の余地が多く残されている。特に肺癌・胃癌・大腸癌など難治性の癌のマーカーの開発が求められている。現在日本において肺癌は男性の癌死亡率の第1位であり、女性では第2位である。また胃癌は男性の癌死亡率の第2位であり女性では第1位である。このため肺癌ならびに胃癌に対する腫瘍マーカーが新たに開発され早期診断が可能となれば、治療成績の大きな向上が期待できる。本発明の課題は、早期診断が可能な胃癌、肺小細胞癌、肺非小細胞癌等に対する新規腫瘍マーカーを提供することにある。
本発明者らは、腫瘍マーカー候補物質の探索を目的として、ヒト胃癌由来培養細胞株であるSNU−1細胞の培養上清に放出されるタンパク質・ペプチドのプロテオーム解析を行い、ユビキチンが放出されていることを見い出し、ユビキチンがヒト胃癌由来培養細胞株ばかりでなく、ヒト肺小細胞癌由来培養細胞株、ヒト肺非小細胞癌由来培養細胞株をはじめとして、多くの種類のヒト腫瘍由来培養細胞株において放出されるという知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)ヒトから採取した生体試料中の細胞外に放出された、配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチド又は/及び該ペプチドの結合物を該ペプチド量として測定することを特徴とする腫瘍の判定方法。
(2)腫瘍が、胃癌、肺小細胞癌、又は肺非小細胞癌であることを特徴とする上記(1)記載の腫瘍の判定方法。
(3)配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する抗体、又はそれらの標識物を備えたことを特徴とする腫瘍判定用キット。
(4)配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチドのmRNAの存在を検出するためのプライマーセット若しくはプローブ、又はそれらの標識物を備えたことを特徴とする腫瘍判定用キット。
(5)腫瘍が、胃癌、肺小細胞癌、又は肺非小細胞癌であることを特徴とする上記(3)又は(4)記載の腫瘍判定用キット。
(6)配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチドを腫瘍マーカーとして使用する方法。
(7)腫瘍が、胃癌、肺小細胞癌、又は肺非小細胞癌であることを特徴とする上記(6)記載の方法。
(8)ヒト腫瘍細胞株を被検物質の存在下に培養し、細胞培養上清中の、配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチドの発現量を測定し、被検物質の非存在下における場合と比較して、前記ペプチドの発現量が低下しているとき、被検物質を腫瘍抑制剤と評価することを特徴とする腫瘍の抑制剤・治療剤のスクリーニング方法。
(9)腫瘍が、胃癌、肺小細胞癌、又は肺非小細胞癌であることを特徴とする上記(8)記載のスクリーニング方法。
本発明によると、胃癌、肺小細胞癌、肺非小細胞癌等の腫瘍の判定、胃癌、肺小細胞癌、肺非小細胞癌等の腫瘍の抑制剤・治療剤のスクリーニングを行うことができる。
本発明の腫瘍の判定方法としては、被検者から採取した血清又は血漿、腫瘍組織等の生体試料、好ましくはその培養上清中の、配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチド(ユビキチン)の発現量を測定する方法であれば特に制限されるものではなく、また本発明の腫瘍判定用キットとしては、ユビキチンに特異的に結合する抗体、又はそれらの標識物を備えたキットや、ユビキチンのmRNAの存在を検出するためのプライマーセット若しくはプローブ、又はそれらの標識物を備えたキットであれば特に制限されるものではなく、上記の配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチド(ユビキチン)には、遊離の状態にある1つのユビキチン(ユビキチンモノマー)や、2つ以上のユビキチンが結合したポリユビキチン鎖や、さらに、ユビキチン以外の標的タンパク質のリジンに一つのユビキチンが共有結合したモノユビキチン化タンパク質や、標的タンパク質のリジンにユビキチンポリマー鎖が共有結合したポリユビキチン化タンパク質が含まれ、また、上記ユビキチンの発現量の測定は、血清又は血漿、腫瘍組織、好ましくはその培養上清等を対象サンプルとして、上記本発明の腫瘍の判定用キットを用いる、ELISA法等の免疫反応を利用する方法や、ドットブロット法、ノーザンブロット法、RNアーゼプロテクションアッセイ法、RT(Reverse Transcription)−PCR法等の発現している遺伝子を転写レベルで検出する方法の他、二次元電気泳動に供試して、所定箇所に現れるスポットの大きさを測定する方法を挙げることができる。そして、上記腫瘍としては、胃癌、肺小細胞癌、肺非小細胞癌を特に好適に例示することができるが、これらの癌の他、前立腺癌、子宮頸癌、乳癌、肝臓癌、大腸癌、膵臓癌等を挙げることができ、ユビキチンの発現を検出した場合、対象者は癌である可能性が高いと判定され、特に発現量が顕著な場合は悪性腫瘍である可能性が高いと判定されることになる。
本発明はまた、配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチド(ユビキチン)を腫瘍マーカーとして使用する方法に関し、腫瘍マーカーとして使用方法としては、腫瘍の判定方法の他、腫瘍再発のリスク評価方法(ユビキチンの発現を検出した場合、対象者は癌が再発している可能性が高いと判定される)、抗癌剤の有効性の判定方法(抗癌剤を服用している癌患者から採取した血清、癌組織等の生体試料中の、ユビキチンの発現量を測定し、抗癌剤の服用の結果、ユビキチンの発現量が減少した場合、当該抗癌剤は癌の治療に有効であると判定される)、腫瘍抑制剤・治療剤のスクリーニング方法などを挙げることができる。例えば、抗癌剤の有効性を判定することにより、各患者個人に適した治療、いわゆるテーラーメイド治療が可能となる。また、ユビキチンの発現量を測定には、前記本発明の腫瘍判定用キットを有利に用いることができる。
本発明の腫瘍の抑制剤・治療剤のスクリーニング方法としては、ヒト胃癌由来株化細胞(MKN1、KATOIII、SNU−1、SNU−5、SNU−16、AZ−521、MKN45、IM95)や、ヒト肺小細胞癌由来株化細胞(SBC−3、SBC−5、SBC−1、NCI−H69、NCI−H841、RERF−LC−MA、RERF−LC−FM、NCI−H128)や、ヒト肺非小細胞癌由来株化細胞(NCI−H650、NCI−H661、NCI−H2170、NCI−H1869)や、ヒト前立腺癌由来株化細胞(PC−3)や、ヒト子宮頚管癌由来株化細胞(HeLa)や、ヒト乳癌由来株化細胞(SK−BR−3)や、ヒト肝臓癌由来株化細胞(HepG2)や、ヒト大腸癌由来株化細胞(LoVo)や、ヒト膵臓癌由来株化細胞(Panc−1)などを、抗癌剤、抗癌候補物質、低分子化合物、天然有機高分子物質、天然の動植物の抽出物、ペプチドなどの被検物質の存在下に培養し、細胞溶解物中のユビキチンの発現量を測定し、被検物質の非存在下における場合と比較して、前記ペプチドの発現量が低下しているとき、被検物質を腫瘍抑制剤と評価する方法であれば特に制限されず、上記ユビキチンの発現量を測定する方法としては、これら株化培養細胞株の細胞溶解物を二次元電気泳動に供試して所定箇所に現れるスポットの大きさを測定する方法の他、ユビキチンに特異的に結合する抗体、又はそれらの標識物を用いるELISA法等の免疫反応を利用する方法や、ユビキチンのmRNAの存在を検出するためのプライマーセット若しくはプローブ、又はそれらの標識物を用いるドットブロット法、ノーザンブロット法、RNアーゼプロテクションアッセイ法、RT−PCR法等の発現している遺伝子を転写レベルで検出する方法を挙げることができる。
上記ユビキチンに特異的に結合する抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、2つのエピトープを同時に認識することができる二機能性抗体等を例示することができる。これら抗体は、慣用のプロトコールを用いて、動物(好ましくはヒト以外)に、配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチド又はエピトープを含む断片を投与することにより産生され、例えばモノクローナル抗体の調製には、連続細胞系の培養物により産生される抗体をもたらす、ハイブリドーマ法(Nature 256, 495-497, 1975)、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Immunology Today 4, 72, 1983)及びEBV−ハイブリドーマ法(MONOCLONAL ANTIBODIESAND CANCER THERAPY, pp.77-96, Alan R.Liss, Inc., 1985)など任意の方法を用いることができる。
また、一本鎖抗体をつくるために、一本鎖抗体の調製法(米国特許第4,946,778号、米国特許第5,260,203号、米国特許第5,091,513号、米国特許第5,455,030号)を用いることができ、ヒト化抗体をつくるために、ヒト化抗体の調製法(米国特許第5,585,089号、Nature, 321, 522-525, 1986、Protein Engineering, 4, 773-783, 1991)を用いることができ、キメラ抗体をつくるために、キメラ抗体の調製法(米国特許第4,816,567号、Science, 229, 1202-1207, 1985、BioTechniques, 4, 214, 1986、Nature, 312, 643-646, 1984、Nature, 314, 268.270, 1985)を用いることができる。二機能性抗体は、2つの関連した抗体を産生する2つのモノクローナル細胞系同士のハイブリッド、または2つの抗体の断片の化学結合によって産生することができる。
また、上記抗体のFab断片やF(ab’)断片等も、上記抗体と同様に用いることができる。例えば、Fab断片は抗体をパパイン等で処理することにより、またF(ab’)断片はペプシン等で処理することにより調製することができる。
これら抗体に、例えば、FITC(フルオレセインイソシアネート)又はテトラメチルローダミンイソシアネート等の蛍光物質や、125I、32P、14C、35S又はH等のラジオアイソトープや、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ又はフィコエリトリン等の酵素で標識したものや、グリーン蛍光タンパク質(GFP)等の蛍光発光タンパク質などを融合させた融合タンパク質を用いることによって、上記配列番号1に示されるアミノ酸からなるペプチドを免疫学的測定方法により測定することができる。かかる免疫学的測定方法としては、RIA法、ELISA法、蛍光抗体法、プラーク法、スポット法、血球凝集反応法、オクタロニー法等の方法を挙げることができる。
上記ユビキチンのmRNAの存在を検出するためのプライマーセットとしては、これらユビキチンのmRNA又はcDNAのうち、上流及び下流の配列の一部とハイブリダイズしうる相補的なプライマーセットであれば、プライマー配列の長さ及びmRNA又はcDNAのどの部位と相補的であるかなどは特に制限されず、例えば、これらのプライマーは、5’側又は3’側、又はその両方に、上記ペプチドのmRNA又はcDNA配列と一部に相補的ではない配列を含んでも、これらとハイブリダイズできる限り、プライマーとして用いることができる。また、非特異的な増幅を防ぐためや、適当な制限酵素認識部位を導入するために、これらのmRNA又はcDNAと相補的でないミスマッチ配列を持つプライマーを使用することができる。
上記ユビキチンのmRNAの存在を検出するためのプローブとしては、これらペプチドをコードするDNA(cDNA)又はRNA(cRNA)とハイブリダイズしうるアンチセンス鎖の全部又は一部であり、プローブとして成立する程度の長さ(少なくとも20ベース以上)を有するものが好ましく、例えば、これらのプローブは、5’側又は3’側、又はその両方に、上記ペプチドのmRNA又はcDNA配列と一部に相補的ではない配列を含んでも、これらとハイブリダイズできる限り、プローブとして用いることができ、また、検出しやすいように、任意の配列を付加したものを用いることができる他、検出しやすいように5’末端を標識したものを用いることもでき、そのような標識としては、たとえば、ビオチン、蛍光、又は32Pなどを例示することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(細胞培養および培養上清の調製)
ヒト胃癌由来細胞株であるSNU−1細胞を用い、このSNU−1細胞を1x10個となるよう10cmシャーレに播種し、一晩インキュベートして細胞をシャーレに接着させた。培地は10%のウシ胎児血清(FBS)を含むRPMI1640培地(Sigma社製)を用いた。リン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline:PBS)で2回洗浄した後、FBSを含まないRPMI1640培地に交換した。質量分析法による分析を行う際には、系内にFBSが存在すると測定誤差が大きくなるため、本研究では無血清培地を使用した。RPMI1640培地で1時間インキュベートした後、培地を捨て、PBSでさらに2回洗浄した。その後、新たにRPMI1640培地を7ml加え、48時間インキュベートした後に培地を回収した。回収した培地を1000xgで5分間遠心し、細胞等を沈殿させた後、遠心上清を回収した。
(逆相カラムクロマトグラフィーによる培養上清の分画)
SNU−1細胞培養上清を逆相カラムクロマトグラフィーにより分画した。カラムクロマトグラフィーシステムとしてProteomeLab PF2D(ベックマン社製)を、カラム充填剤としてMightysil RP−18 GP250−4.6(5μm:関東化学社製)を用いた。溶出曲線を図1に示す。逆相カラムクロマトグラフィーで得られた17.25−17.75分の画分を回収し、減圧下で遠心し濃縮・乾固した。
(MS/MS解析によるタンパク質の同定)
得られた画分をタンパク質酵素消化促進剤であるRapiGest SF(Waters社製)で処理した。次に、トリプシン溶液(8.3ng/μ l50mM 炭酸水素アンモニウム)を15μl加え、37℃で1時間インキュベートした。500mM 塩酸3μlを加えて反応を停止し、Zip Tip(ミリポア社製)を用いて脱塩を行い、MSスペクトルとMS/MSスペクトルを測定用のサンプルを調製した。
MALDI−TOF−TOF型分析機によりMSスペクトルを測定した結果、質量数が805.4、1754.8にピークが検出された。これらのタンパク質断片のペプチドに対しMS/MSスペクトルを測定し、NCBInrのデータベースを用いてMascot(Matrix Science社)によるMS/MSイオンサーチ分析を行い、アミノ酸配列を決定した。MALDI型質量分析計を用いたトリプシン消化断片の配列決定の結果を表1に示す。その結果、これらの3種のペプチド(配列番号2〜4)はユビキチンの一部のペプチド断片であることが分かった。
次に、実施例2で得られた画分に、トリプシン溶液(16.6ng/μl 50mM 炭酸水素アンモニウム)を30μl加え、37℃で18時間インキュベートした。このうち5μlを、ESI−LIT−TOF型分析機であるNanoFrontierシステム(日立ハイテクノロジーズ社製)で分析した。LC−ESI型質量分析計を用いたトリプシン消化断片の配列決定の結果を表2に示す。その結果、これらの4種のペプチド(配列番号5〜8)はユビキチンの一部のペプチド断片であることが分かった。
図2に、にユビキチンのアミノ酸配列(配列番号1)を示す。太字で示した箇所が2種類のプロテアーゼを用いて検出されたペプチド配列であり、N末端及びC末端を含むほとんどのユビキチン配列が検出できている。
(様々なヒト癌由来株化細胞の培養上清の分析)
他の様々なヒト癌由来株化細胞からのユビキチン分泌をMS/MAスペクトル解析により調べた。解析に用いた細胞株は全部で33種であり、9種の胃癌由来株化細胞(MKN1、KATOIII、SNU−1、SNU−5、SNU−16、AZ−521、MKN45、IM95、MKN74)、9種の肺小細胞癌由来株化細胞(SBC−3、SBC−5、SBC−1、NCI−H69、NCI−H841、NCI−H1048、RERF−LC−MA、RERF−LC−FM、NCI−H128)、8種の肺非小細胞癌株由来細胞(NCI−H1650、NCI−H650、NCI−H1581、RERF−LC−Ad1、NCI−H460、NCI−H661、NCI−H2170、NCI−H1869)、2種の前立腺癌由来株化細胞(LNCaP、PC−3)、子宮頚管癌由来株化細胞(HeLa)、乳癌由来株化細胞(SK−BR−3)、肝臓癌由来株化細胞(HepG2)、大腸癌由来株化細胞(LoVo)、膵臓癌由来株化細胞(Panc−1)を用いた。これらの細胞株は、American Type Culture Collection (ATCC社)、財団法人ヒューマン振興財団、又はRIKENから入手することができる
実施例1に示した方法で各株化細胞を培養し、培養上清を回収した。続いて、実施例2に示した方法で、逆相カラムクロマトグラフィーにより上清を分画した。分離した画分を、実施例3と同様に酵素処理した後、MALDI−TOF−TOF型分析機によりMS/MSスペクトルを測定した。MS/MSイオンサーチ分析の結果得られたタンパクヒットスコアを表4ならびに表5に示す。ヒットスコアは存在するタンパクが多いほど高いことが知られており、表4に示すように胃癌9株中8株、肺小細胞癌9株中8株、肺非小細胞癌8株中4株がユビキチンを放出していることが分かった。また、表5はユビキチンが多くの種類の株化癌細胞から放出されていることを示している。
ユビキチンは蛋白質の分解に関わる蛋白質として広く知られている。蛋白質にユビキチンが結合するとプロテアソーム(Proteasome)がこれを認識し、ユビキチン化された蛋白質を分解する(ユビキチン/プロテアソームシステム)。腫瘍では蛋白質の代謝や分解に多くの異常を来しており、その一部がユビキチン/プロテアソームシステムの異常として認識されている。本研究において腫瘍細胞がユビキチン及び/又はユビキチン化されたタンパク質を放出することが初めて見出された。以上のことから、in vivoにおいても、腫瘍細胞がユビキチンを分泌しており、血中や尿中に放出されたユビキチンは腫瘍マーカーとして有用である可能性が高い。
SNU−1細胞培養上清を逆相カラムクロマトグラフィーにより分画した溶出曲線を示す図である。 ユビキチンのアミノ酸配列(配列番号1)を示す図である。太字で示した箇所が2種類のプロテアーゼを用いてMS/MS解析により検出されたペプチド配列を示す。

Claims (9)

  1. ヒトから採取した生体試料中の細胞外に放出された、配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチド又は/及び該ペプチドの結合物を該ペプチド量として測定することを特徴とする腫瘍の判定方法。
  2. 腫瘍が、胃癌、肺小細胞癌、又は肺非小細胞癌であることを特徴とする請求項1記載の腫瘍の判定方法。
  3. 配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する抗体、又はそれらの標識物を備えたことを特徴とする腫瘍判定用キット。
  4. 配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチドのmRNAの存在を検出するためのプライマーセット若しくはプローブ、又はそれらの標識物を備えたことを特徴とする腫瘍判定用キット。
  5. 腫瘍が、胃癌、肺小細胞癌、又は肺非小細胞癌であることを特徴とする請求項3又は4記載の腫瘍判定用キット。
  6. 配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチドを腫瘍マーカーとして使用する方法。
  7. 腫瘍が、胃癌、肺小細胞癌、又は肺非小細胞癌であることを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. ヒト腫瘍細胞株を被検物質の存在下に培養し、細胞培養上清中の、配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチドの発現量を測定し、被検物質の非存在下における場合と比較して、前記ペプチドの発現量が低下しているとき、被検物質を腫瘍抑制剤と評価することを特徴とする腫瘍の抑制剤・治療剤のスクリーニング方法。
  9. 腫瘍が、胃癌、肺小細胞癌、又は肺非小細胞癌であることを特徴とする請求項8記載のスクリーニング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101525122B1 (ko) * 2013-08-05 2015-06-03 광주과학기술원 Ubb 넉­다운에 의한 암의 예방 또는 치료

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