JP5145549B2 - 腫瘍マーカー - Google Patents
腫瘍マーカー Download PDFInfo
- Publication number
- JP5145549B2 JP5145549B2 JP2006218276A JP2006218276A JP5145549B2 JP 5145549 B2 JP5145549 B2 JP 5145549B2 JP 2006218276 A JP2006218276 A JP 2006218276A JP 2006218276 A JP2006218276 A JP 2006218276A JP 5145549 B2 JP5145549 B2 JP 5145549B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cxcl16
- cancer
- expression
- cells
- antibody
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
Description
ケモカインとがんに係るものとして、CXCR4/CXCL12、CCR7/CCL21などががんの転移に関与していることが報告されている(非特許文献1)。
CXCL16は、スカベンジャー受容体活性とリンパ球遊走活性を有する特異的な膜結合型ケモカインである。このCXCL16の発現とがんとの関係について、CXCL16はヒト直腸がんに浸潤している免疫細胞に発現しているが、がん組織では発現が低下することが報告されている。(非特許文献2)
腫瘍マーカーには糖タンパク質、ホルモン、酵素など多くの種類があり、CEA(がん胎児性抗原)、CA19−9、CA50、Span−1、Dupan−2などが臨床応用されている。しかし、例えば、大腸がんのマーカーとして汎用されるCEAやCA19−9などは、肝炎や膵炎といった消化器系の炎症でも高値を示すなどするため、さらなるがんマーカーの探索が行われている。
また、一つの腫瘍マーカーだけでがんの有無や悪性度を判定することは実際上不可能であり、他種のマーカーとの併用およびレントゲン、CT、MRI等による診断との組み合わせが重要となる。
すなわち、がん特異性およびがんの悪性度、転移性、大きさ、予後に相関する新規の腫瘍マーカーが多数開発されればされるほど、がんの診断は正確性を増すといえる。
(1)5種類のヒト大腸がん培養細胞におけるCXCL16発現を逆転写酵素-ポリメラーゼ連鎖反応法(Reverse Transcriptase-Polymerase Chain Reaction:RT-PCR)および酵素免疫測定法(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)で検索した結果、全てにおいてCXCL16が発現している。
(2)外科的切除症例の大腸がん組織におけるCXCL16mRNAの発現は、非がん粘膜に対して大腸がんに強く発現している。
(3)CXCL16の発現と周囲浸潤細胞に関して免疫組織染色により検討を行った結果、CXCL16の発現は、58例中43例(74%)に認めた。しかし、非がん粘膜においてはCXCL16の発現を確認できたのはわずかに2例であり、大腸がん特異的に発現していると考えられた。
(4)前がん病変のアデノーマにおいてもCXCL16が発現している。
(5)CXCL16陽性群と陰性群とに分け、がん周囲の浸潤CD4T細胞とCD8T細胞をカウントしたところ、陽性群において有意な増加を認めた。最終的に両群間の予後を比較するとCXCL16陽性群は予後良好であった。
(6)ヒト肺がん、乳がんの細胞株においてもCXCL16は高発現していることが確認した。
特に、大腸がんにおけるがん部と非がん粘膜部位での発現の差を指標に見出されたCXCL16は、免疫染色においても、おいてもCXCL16は高発現がん部に限局した染色性を示し、その発現とリンパ球浸潤との相関性が認められ、その強発現群が予後良好であり、予後マーカーとしての有用性が高い。
・抗CXCL16抗体の作製
抗CXCL16抗体は、CXCL16の検出・測定に使用可能な限りにおいて、特にその構造・種類等は限定されるものではない。抗CXCL16抗体は、CXCL16の精製タンパク質、その組換えタンパク質(融合タンパク質等)、またはそのフラグメント(合成ペプチド等)などを免疫原(抗原)として用いることにより、公知の方法によりポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体として得ることができる。公知の方法としては、Harlowらの「Antibodies : A laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York(1988)」、岩崎らの「単クローン抗体 ハイブリドーマとELISA 講談社(1991)」、「タンパク質実験ハンドブック 羊土社2003年8月15日発行」などの文献に記載の方法が例示されるが、特にこれらの方法に限定されるものではなく、これらの方法の改変法を含めた公知の抗体作製法の中から使用目的などに応じて適切な方法を選択すればよい。
また、モノクローナル抗体は、ファージディスプレイを用いて作製してもよい(Griffiths, A.D. and Duncan, A.R., Curr. Opin. Biotechnol., 9, 102-108(1998)他)。
抗CXCL16抗体を使用したCXCL16の検出方法としては、ウエスタンブロット法(イムノブロット法)、ELISA法、サンドイッチELISA法などを挙げることができる。サンドイッチELISA法は、例えば、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を用いて血液など体液中のCXCL16を定量化することができる。
前述のように、本発明は、CXCL16を検出することにより、がんの検査・診断に利用できる。
CXCL16を用いてがん診断、特に血液によるがんの存在診断が実現すれば、治療後再発の超早期診断の新戦略となる。従って、病院の臨床検査部門、外部の臨床検査機関、医薬品および医学系研究所などにおいて、本発明は、腫瘍の検査・診断、手術後の再発・転移の確認などに利用できる。
実施例1
[ヒト大腸がん組織・大腸がん細胞株でのCXCL16の発現(遺伝子レベル)]
QIA shredder(QIAGEN;USA)およびRNeasy Mini Kit (QIAGEN;USA)を用いて、ヒト大腸がん組織、ヒト正常大腸粘膜組織およびヒト大腸がん細胞株(Colo205、LS174T、SW480、T84)から全RNAを抽出し、Oligo(dT)12−18 Primer(Invitrogen;USA)およびSuperScriptII reverse transcription(Invitrogen;USA)を用いて相補的DNA(cDNA)を作製した。PCRにはTaKaRa Ex TaqTM (TaKaRa;日本)、ヒト・グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プライマーおよびヒトケモカインCXCL16プライマーを用い、thermocycler(Bio−Rad;USA)により変性(94℃、30秒)、アニーリング(60℃、60秒)、伸長(72℃、90秒)をプライマー特異的に行った。PCR産物はアガロースゲル電気泳動により分離、エチジウムブロマイド染色により検出した。アガロースゲルの濃度は1.5%、泳動バッファーにはTAE buffer(2M−Tris、2M酢酸、0.05M−EDTA、pH8.0)を用いた。Real−time PCRには、SYBR Premix Ex Taq(TaKaRa;日本)および7300 Real Time PCR System (Applied Biosystems;USA)を用いた。その結果、遺伝子レベルでのCXCL16の発現が確認された。(図1)
[ヒト大腸がん組織・大腸がん細胞株でのCXCL16の発現(タンパク質レベル)]
4種類のヒト大腸がん培養細胞株(Colo205,LS174T,SW480およびT84)について、各細胞の培養上清を用い、ELISA(Enzyme−Linked Immuno Sorbent Assay)法(Human CXCL16 EKISA Development Kit 900−K230, PEPROTECH)によりCXCL16の発現量を測定した。その結果、Colo205;232pg/ml、SW480:300pg/ml、LS174T:1084pg/ml、T84:1193pg/mlであった。
[ケモカインとしての機能性の確認]
大腸がん培養細胞株から産生されるCXCL16がケモカインとしての機能性を有しているかを調べるため、遊走活性試験 (chemotaxis assay)を行った 。CXCL16の受容体であるCXCR6の発現細胞の遊走細胞数を計測することにより遊走活性能を評価した。LS174T細胞の培養上清を用い、遊走したCXCR6発現細胞数を測定した。この培養上清は、対象の培養液と比較し、およそ1.5倍の遊走活性を示した。また、CXCL16中和抗体を添加することにより、この遊走活性は認められなくなった。以上より、大腸がん細胞株が産生するCXCL16は、ケモカイン活性を有することを確認した。
[がん組織と非がん組織でのCXCL16mRNAの発現]
外科的に切除された大腸がん手術標本3例から、大腸がん組織および非がん部大腸粘膜(正常大腸粘膜)のRNAを抽出し、それぞれにおけるCXCL16の発現を調べた。実施例1と同様のRT-PCR法を用いた。その結果CXCL16 mRNAは、がん組織において正常組織より強く発現していることが確認された(図2)。
[外科的切除標本を用いた免疫組織染色法による大腸がんにおけるCXCL16の発現]
外科的切除標本(1998年〜2001年)を用い免疫組織染色法により大腸がんにおけるCXCL16の発現を検討した。大腸がん組織におけるCXCL16の発現は、58例中43例(74%)に認められた。また周囲の正常粘膜細胞でCXCL16の発現が確認できたのはわずか2例であった。
外科的切除標本(1998年〜2001年)中に腺腫病変を数例認めた。それらを免疫組織染色したところ、がん組織と同様にCXCL16の発現が確認できた。なお、大腸腺腫は大腸がんの前がん病変である。
[がん周囲の浸潤CD4T細胞とCD8T細胞]
免疫組織染色法にて大腸がん症例をCXCL16陽性群43例とCXCL16陰性群15例とに分けがん組織周囲浸潤細胞で検討を行った。CD4+細胞およびCD8+細胞を免疫組織染色にて判別し、光学顕微鏡にてがん組織と正常組織境界又はがん先進部におけるそれぞれの浸潤細胞数を用手的に計測した。1症例につき200倍視野で5視野計測し、その平均を浸潤細胞数とした。
CD4+細胞は、CXCL16陽性群71.9、陰性群44.2、CD8+細胞は、陽性群58.2 陰性群29.3と両細胞ともに、陽性群は浸潤細胞数が増加していた。
[統計学的検討]
CXCL16発現陽性群43例と発現陰性群15例に分け、年齢、性別および病理学的因子(腫瘍局在、組織型、壁深達度、静脈浸潤、リンパ管浸潤、リンパ節転移、肝転移およびDukes分類)に関し統計学的検討を行ったが、何れの因子に関しても両群間に有意差は認なかった。しかしながら、それぞれの予後を検討すると、CXCL16陽性群は有意に予後良好な結果であった。(Log−lank test p=0.041)(図3)。
[乳がん細胞株および肺がん細胞株での検討]
肺がん細胞3種(A549、Lu99、SBC5)、乳がん細胞5種(MCF7、MDA−MB−231、MDA−MB−468、SK−BR−3、ZR−75−1)を用い、実施例1と同様に、RT−PCR法でCXCL16の発現を調べた。その結果、いずれのがん細胞株においても、CXCL16が発現していた。
Claims (2)
- ケモカインCXCL16の発現量を指標とする大腸がんの予後の状況を検査する方法。
- 抗ケモカインCXCL16抗体を用いてケモカインCXCL16を検出する請求項1の検査する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006218276A JP5145549B2 (ja) | 2006-08-10 | 2006-08-10 | 腫瘍マーカー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006218276A JP5145549B2 (ja) | 2006-08-10 | 2006-08-10 | 腫瘍マーカー |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008035836A JP2008035836A (ja) | 2008-02-21 |
JP5145549B2 true JP5145549B2 (ja) | 2013-02-20 |
Family
ID=39171597
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006218276A Active JP5145549B2 (ja) | 2006-08-10 | 2006-08-10 | 腫瘍マーカー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5145549B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20120082993A1 (en) * | 2002-11-15 | 2012-04-05 | Morehouse School Of Medicine | Detecting cancer with anti-cxcl16 and anti-cxcr6 antibodies |
US20120064089A1 (en) * | 2002-11-15 | 2012-03-15 | Morehouse School Of Medicine | Anti-cxcl16 and anti-cxcr6 antibodies for the prevention and treatment of cancer and cancer cell migration |
JP5754792B2 (ja) * | 2009-09-25 | 2015-07-29 | 国立大学法人山口大学 | 大腸癌の予後予測方法 |
JP2014505239A (ja) * | 2010-12-14 | 2014-02-27 | モアハウス スクール オブ メディスン | 癌の治療または検出のための抗cxcl13および抗cxcr5抗体の使用 |
JP6453919B2 (ja) | 2017-01-26 | 2019-01-16 | ファナック株式会社 | 行動情報学習装置、行動情報最適化システム及び行動情報学習プログラム |
-
2006
- 2006-08-10 JP JP2006218276A patent/JP5145549B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008035836A (ja) | 2008-02-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5713036B2 (ja) | 癌の検出方法 | |
Zhang et al. | Hsp60 exerts a tumor suppressor function by inducing cell differentiation and inhibiting invasion in hepatocellular carcinoma | |
US8540998B2 (en) | Methods for treating cancer using ephrin type-A receptor 10 antibodies conjugated to cytotoxic agents | |
AU2011250588C1 (en) | Method for the diagnosis of epithelial cancers by the detection of EpICD polypeptide | |
KR102047502B1 (ko) | 포타슘 채널 단백질을 이용한 암 진단용 조성물 | |
Degen et al. | Tenascin‐W, a new marker of cancer stroma, is elevated in sera of colon and breast cancer patients | |
AU2011250588A1 (en) | Method for the diagnosis of epithelial cancers by the detection of EpICD polypeptide | |
MX2013002268A (es) | Metodos para detectar anticuerpos anti-he4 y metodos de diagnosis y/o de prognosis de condiciones asociadas con celulas que expresan he4. | |
JP5145549B2 (ja) | 腫瘍マーカー | |
US7429452B2 (en) | Methods for diagnosis and therapy of pancreatic cancer and composition useful therein | |
EP3144676B1 (en) | Kit comprising antibody specifically binding to complement factor b protein and antibody specifically binding to carbohydrate antigen 19-9 protein for diagnosing pancreatic cancer | |
TW201226903A (en) | Methods and compositions for detection of lethal system and uses thereof | |
JP2022153482A (ja) | 癌のバイオマーカーとしてのpd-ecgf | |
US8257716B2 (en) | Anti-PDEF antibodies and uses thereof | |
TW202204639A (zh) | Rbm10基因的用途 | |
US8652478B2 (en) | Method for treating cancer by administering antibody to ephrin type-A receptor 7 | |
KR101636821B1 (ko) | Aimp2-dx2 단백질 또는 이의 단편을 포함하는 폐암 진단용 조성물 | |
JP2010216826A (ja) | 新規腫瘍マーカーを用いた乳癌の検査方法 | |
JP2009247309A (ja) | シスプラチン耐性遺伝子診断方法及びシスプラチン治療効果遺伝子診断キット | |
US20130095483A1 (en) | Predictive biomarkers for breast cancer | |
KR101594287B1 (ko) | 보체인자 b 단백질에 특이적으로 결합하는 항체를 포함하는 췌장암 진단용 키트 | |
CN118028466A (zh) | Slc6a6基因在作为肿瘤标志物和肿瘤治疗靶点中的应用 | |
JP2008249524A (ja) | ユビキチンを標的とした腫瘍の判定方法 | |
JP2008263840A (ja) | 胃ガンの診断又は検出のための組成物及び方法 | |
JP2008267963A (ja) | 大腸ガンの診断または検出のための組成物及び方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090721 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120110 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120309 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120417 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120425 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20121030 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |