JP5754792B2 - 大腸癌の予後予測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の遺伝子の発現に着目した大腸癌の予後予測方法に関し、より詳しくは、被検細胞におけるHomo sapiens twist homolog 1(Drosophila)遺伝子(以下「TWIST1」という)及び/またはEnhancer of zeste homolog 2(Drosophila)遺伝子(以下「EZH2」という)の発現増大を検出することを特徴とする、大腸癌の予後予測方法に関する。
盲腸、結腸、直腸に発生する癌腫の総称である「大腸癌」は、我が国において現状2番目に罹患者数の多い疾患であり、多くは消化管内面の粘膜上皮細胞の突然変異によって生じることが知られている。粘膜上皮細胞の癌化の主因は細胞増殖を制御するゲノムDNA上の変異であると考えられており、その他環境因子(リスク因子)、遺伝、ウィルス感染などが癌化に影響する因子として知られている。
多くの癌と同様、大腸癌も早期の発見がその治療にとっては何より重要であり、これまでに多くの検査手法が開発されてきた。主な検査手法としては便鮮血検査、血液検査、直腸指診、大腸内視鏡を用いた診断などがあるが、便鮮血検査は早期の癌の検出感度に問題があり、血液検査(血中に含まれる腫瘍マーカー検査)も進行癌でしか陽性にならないという問題があり、直腸指診は指の届く範囲内しか診断できないという問題、大腸内視鏡による診断も視認しにくい早期の癌では検出感度が落ちるという問題、等々、それぞれの検査手法には特に早期の癌における感度において課題があった。
癌診断においては、近年、癌関連遺伝子の発見に伴い、特定の遺伝子のメチル化や発現の増大/減少に着目して癌の診断や予測をするという技術が開発されてきた。例えば、被検細胞の癌の悪性度の進行度をモニターするための表現型及び遺伝子型の不動を検出し少なくとも1種類の治療薬に対する腫瘍細胞の化学療法応答を予測するためのシステム(特許文献1)、乳癌の管内治療で標的となる特定遺伝子のメチル化されたプロモーター(特許文献2)、染色体上のゲノム変化領域(RAR)上に位置する癌抑制遺伝子の一種CAMTA1の発現減少を測定し、大腸癌の診断を行う方法(特許文献3)などがこれまでに開示されているが、いずれの手法も既存の腫瘍マーカー検出による癌診断の精度を凌駕するものではなく、また癌の予後(これは適切な癌治療法の選択につながる)を適切に予測可能なものではなかった。また一口に癌と言っても、その由来により性質が異なることが明らかになっていることから、特に大腸癌の予後を特異的に予測可能な手法の開発が望まれていた。
特表2009−506777号公報 特表2004−525151号公報 特開2008−011860号公報
上記の現状に鑑み、本発明は、大腸癌の予後・進展と高い相関を持つ遺伝子の発現増大を指標とする大腸癌の予後予測方法、及び前記予測方法を実施するためのキットを提供することを目的とする。
上記課題の解決のため、本発明者らは、大腸癌の予後を予測可能で、かつ癌組織だけではなく癌周辺組織でも発現の変動があるマーカー遺伝子の探索を進め、その結果、TWIST1遺伝子及び/またはEZH2遺伝子が大腸癌の予後予測マーカーとして目的に適合した性質を有することを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、大腸癌罹患者の正常大腸粘膜に由来する細胞におけるHomo sapiens twist homolog 1(Drosophila)遺伝子及び/またはEnhancer of zeste homolog 2(Drosophila)遺伝子の発現上昇を検出することを特徴とする、大腸癌の予後予測方法において、ROC曲線に基づいて求められるカットオフ値よりも高い遺伝子発現レベルのとき、予後不良の可能性有りと判定することを特徴とする、大腸癌の予後予測方法を提供する。
本発明の提供する大腸癌の予後予測方法を利用することにより、同一人の正常大腸粘膜と腫瘍におけるTWIST1遺伝子及び/またはEZH2遺伝子の発現を比較し、予後を正確に予測することが可能となる。本発明の提供するこれらのマーカーは、癌患者さんにおいて、癌組織そのものだけでなく正常組織においても予後の予測に利用可能という点が特質であり、これは癌切除後の検査においても予後を予測しうるという点でこれまでのマーカーには無い利点である。また本発明の実施に際しては、常法であるTaqman法(Roche Diagnostics,CH)にてTWIST1遺伝子及び/またはEZH2遺伝子の発現を正常大腸粘膜と腫瘍組織とを対象にして行うので、簡便、安価で再現性に優れた大腸癌診断を小さな施設でも行うことが可能となる。
大腸癌患者の正常大腸粘膜と大腸癌組織におけるTWIST1遺伝子の発現量を比較して示す。 大腸癌組織におけるTWIST1遺伝子の発現量と生命予後の関係を示す。 図2の結果より作成したROC曲線を示す。 大腸癌患者の正常大腸粘膜におけるTWIST1遺伝子の発現量と生命予後の関係を示す。 図4の結果より作成したROC曲線を示す。 大腸癌患者の正常大腸粘膜と大腸癌組織におけるEZH2遺伝子の発現量を比較して示す。 大腸癌組織におけるEZH2遺伝子の発現量と生命予後の関係を示す。 図7の結果より作成したROC曲線を示す。 大腸癌患者の正常大腸粘膜におけるEZH2遺伝子の発現量と生命予後の関係を示す。 図9の結果より作成したROC曲線を示す。 大腸癌組織におけるTWIST1遺伝子の発現とEZH2遺伝子の発現の相関関係を示す。 大腸癌患者の正常大腸粘膜におけるTWIST1遺伝子の発現とEZH2遺伝子の発現の相関関係を示す。
以下に本発明を実施するための形態を示す。本発明の第1の態様は、被検細胞におけるHomo sapiens twist homolog 1(Drosophila)遺伝子、及び/またはEnhancer of zeste homolog 2(Drosophila)遺伝子の発現上昇を検出することを特徴とする、大腸癌の予後予測方法を提供する。本発明におけるTWIST1遺伝子とは、ショウジョウバエ(Drosophila)の形態形成に係る遺伝子twistのヒトホモログであり、これまでの研究でアポトーシスの阻害、化学療法への抵抗性、癌の転移に関与すると指摘されている(Miller SJ et al.2006.Cancer Res.)。またTWIST1遺伝子の突然変異がある種の先天性異状の原因となるとの報告もある(Villavicencio EH et al.2002.Genesis)。また本発明におけるEZH2遺伝子とは、ショウジョウバエで発見されたポリコーム(Polycomb)遺伝子の一種であり、遺伝子の発現抑制に働く遺伝子zesteのヒトホモログである。これまでの研究で、ヒトにおいてはHox遺伝子のサイレンシング、X染色体の不活性化に働き(Cao & Zang Mol.Cell 2004)、またリンパ腫で発現が上昇することなどが報告されている(Visser et al.Br.J.Haematol.2001)。しかしながら、TWIST1遺伝子及び/またはEZH2遺伝子が癌、特に大腸癌の予後予測のマーカーになりうるという知見はこれまでに得られておらず、本発明者らにより初めて明らかにされた点である。
本発明の実施における被検細胞とは、その目的が大腸癌の予後予測にあるという点からも、大腸癌の患者さんより採取された大腸由来の細胞が適しており、特に大腸粘膜由来の細胞が、より具体的には大腸粘膜における腫瘍組織と正常組織(腫瘍化していない組織)に由来する細胞が適している。検査の正確性の観点からは腫瘍組織が適しているが、簡便性の観点からは正常組織、例えばバイオプシーで得られた組織や腸洗浄で得られた組織、便に含まれる粘膜組織であっても良いし、また外科的切除検体に由来する細胞でも良い。
本発明の実施においては、被検細胞におけるTWIST1遺伝子及び/またはEZH2遺伝子の発現を定量化し、内因性コントロール遺伝子(βアクチン等)の発現と比較してその上昇を検出し、大腸癌の予後予測、具体的には「大腸癌罹患者においてTWIST1遺伝子及び/またはEZH2遺伝子の発現が通常よりも高い場合には予後が悪い」という予後予測に供するものである。ここで両遺伝子の発現上昇とは、被検細胞における両遺伝子の発現を定量化・数値化した値が所定のカットオフ値よりも高い値を示したとき、予後不良の可能性ありと判定することを特徴とするものであり、被検細胞の腫瘍組織におけるTWIST1遺伝子/EZH2遺伝子の発現と、腫瘍化していない正常大腸粘膜細胞におけるTWIST1遺伝子/EZH2遺伝子の発現との比較において発現上昇の有無を判別したり、特定のパラメーター、例えば年齢、性別、病歴、等々を共有する集団におけるこれらの遺伝子発現量の標準化した値と被検細胞での発現とを比較したりすることで検出されるものである。指標としては相対発現量(Relative expression)のうち比較Ct法(ΔΔCt法:基準となるサンプルと比較して、未知サンプルが何サイクル早く、あるいは何サイクル遅くスレショルドラインに達するかに注目して相対定量する方法。検量線を作成しない相対定量法であり、1サイクルの検出の違いで2倍量の差となる、という理論を使用する。検量線作成が不要なので多サンプルを処理できるというメリットを有する)を用いるのが適している。具体的なカットオフ値は、個体差や細胞での差を考慮し、当業者が利用可能な手法の中から適宜選択し決定する事が可能であるが、下記実施例で示す通り検査データについて特異度と検出感度の2軸によるROC曲線を作成し、最適なカットオフ値を求める手法は適した例である。実施例でも示すとおり、TWIST1遺伝子とEZH2遺伝子は特に腫瘍組織における発現量が正の相関を示し、検出対照はTWIST1遺伝子、EZH2遺伝子単独でも良いし、両方でも良い。
本発明の実施における遺伝子発現の比較については、臨床検査、細胞生物学分野で用いられている手法のうちから適宜選択可能であり、本発明を限定するものでは無いが、細胞から抽出したmRNAを逆転写とPCRにより増幅しその発現量を定量的に検出する手法が適しており、より具体的には上述の通り、TaqMan法やSYBR法(Molecular Probes Inc.)が広く用いられており適している。
本発明は、その第1から第4の態様を実施するための大腸癌の予後予測キットも包含するものである。キットの構成は、大腸癌罹患者の大腸粘膜から採取した細胞におけるTWIST1遺伝子及び/またはEZH2遺伝子の発現を検出・可視化できるようなものであれば特に限定は無い。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は実施例にのみ限定されるものではない。
(臨床検体)本実施例の材料として、山口大学附属病院において、インフォームドコンセントのもと組織採取と研究利用に書面にて同意が得られた大腸癌の患者さんより、正常大腸粘膜の検体を177検体、大腸癌組織の検体を222検体を採取し、TWIST1遺伝子、EZH2遺伝子発現の検証のための材料とした。検体はDNA/RNA抽出まで、凍結保存した。
All Prep DNA/RNA Mini Kit(Qiagen社製)を用いてDNAとtotal RNAの抽出を行った。2mlチューブへ製品付属のRLT plusバッファーを600μl添加し、βメルカプトエタノール6μlを添加後、凍結検体を加え、径が5mmのステンレススチールビーズ(Qiagen社製)を1個加え、Qiagen Mixer Mill MM300(Qiagen社製)を用いて検体の超音波破砕(30Hz,10分間)を行った。破砕した検体をAll Prep DNAスピンカラム(Qiagen社製)に移し、10000rpm、30秒間遠心した。ろ液は後述のRNA抽出に用いた。遠心後のスピンカラムを室温または4℃において、新しい2mlチューブにセットしてインキュベートした。このスピンカラムは後述のDNA抽出に用いた。
(DNA抽出)インキュベートしたDNAスピンカラムに500μlのAW1バッファー(製品付属)を添加し、10000rpm、30秒間遠心して廃液を捨てた後にスピンカラムを2mlのコレクションチューブにセットした。次いで、製品付属のAW2バッファーを500μl添加し、15300rpm、2分間遠心を行った。これらの操作によりDNA試料の洗浄を行った。スピンカラムを新しい1.5mlチューブに移し、100μlのEBバッファー(製品付属)を直接カラムのメンブレンに添加し、室温で1分間インキュベートした後、10000rpm、1分間遠心して、DNAを溶出した。
(RNA抽出)
上述のRNAを含むろ液に、70%エタノールを400μl添加し、ピペットでよく混和した後、RNeasyスピンカラムに600μlをアプライし、11000rpm、20秒間遠心した。廃液を捨て、残りのろ液を同じカラムにアプライし、11000rpm、20秒間遠心した。700μlのRW1バッファー(製品付属)をカラムに添加し、15分間インキュベート後、11000rpm、20秒間遠心して液を捨てた。スピンカラムを2mlコレクションチューブに移し、500μlのRPEバッファー(製品付属)を加えて11000rpm、20秒間遠心し、ろ液を捨てた。更に500μlのRPEバッファーを加えて11000rpm、20秒間遠心し、ろ液を捨てた。これらの操作によりRNA試料の洗浄を行った。カラムを新しい1.5mlチューブに移し、50μlのRNaseフリー水を直接カラムのメンブレンに添加し、11000rpm、1分間遠心して全RNA(total RNA)を溶出した。
(cDNAの合成)上記で抽出したtotalRNAを鋳型に、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit with RNase Inhibitor(Applied Biosystems社製)を用いて逆転写を行い、cDNAを合成した。チューブに2μlの10×RTバッファー(製品付属)、0.8μlの25×dNTP mix(100mM)、2μlの10×RT Random Primers(製品付属)、1μlのRNase阻害剤、1μlのMultiscribe Reverse Transcriptase、2μgのtotal RNAを加え、ヌクレアーゼフリー水を加えて全量を20μlとした。25℃−10分間、37℃−2時間、85℃−5秒間のプログラムで逆転写反応を行った。試薬類はキット添付のものを使用した。
(定量的PCR)上記で合成したcDNAを鋳型とし、TWIST1遺伝子とEZH2遺伝子の発現を比較するためにTaqMan法(Roche)による定量的PCRを行った。プライマー及びプローブはApplied Biosystems社製の以下のものを用いた。
内因性コントロール:βアクチン(製品番号:4326315E)
ターゲット遺伝子:TWIST1(製品番号:Hs01675818_s1)、及びEZH2(Hs00544830_m1)
10ngのcDNA、1×TaqMan Gene Expression Master Mix(製品付属)、1×TaqMan Probe Mix(900nM each primer、250nM FAM dye−labeled TaqMan MGB probe)に滅菌水を加え、全量を20μlとした。ABI Prism 7900HT sequence detection system(Applied Biosystems,Warrington,UK)を使用して定量PCRを行った。温度条件は、(1)50℃−2分、95℃−10分の後、(2)95℃−15秒、60℃−30秒にて40サイクル行った。全ての反応は二重測定にて行い、またmRNAの発現レベルは検体番号528を標準サンプル(発現量=1)とし、2−ΔΔCT法(ΔΔCt法,Applied Biosystems)にて解析し相対発現量を求めた。上述の通り、本法においては基準となるサンプル(標準サンプル)と比較して、未知サンプルにおける値を測定するため、標準サンプルは任意の検体で良いが、発現量が極端に高くも低くもない検体からNo.528を選択した。
(結果)図1に、大腸癌罹患者の正常大腸粘膜と大腸癌組織におけるTWIST1遺伝子の発現量の比較を示した。グラフ縦軸は相対発現量(対数値)を、横軸は正常大腸粘膜と大腸癌組織とをそれぞれ表し、グラフ中の白丸(○)は各々の発現量を示している。正常大腸粘膜におけるTWIST1発現量の中央値は0.710(グラフ中の横棒)であったのに対し、大腸癌組織では1.835と正常大腸粘膜の2.5倍以上の値を示し、有意に高値であった(P<0.0001、Mann−Whitney U test、以下同じ)。
図2に、大腸癌組織におけるTWIST1の発現量と生命予後との関係を示す。グラフ縦軸は相対発現量(対数値)を、横軸は生存群(N=94)と死亡群(N=27)をそれぞれ示し、グラフ中の白丸(○)は各々の発現量を示している。大腸癌組織におけるTWIST1の発現量の中央値は、生存群で0.627と正常大腸粘膜と変わらないレベルであったのに対し、死亡群では4.251と6.5倍以上という高い発現量を示し、統計的にも有意に高値であった(P<0.0001)。図2の結果を基に作成したROC曲線(Receiver operating characteristic curve)を図3に示す。ROC曲線の作成法は常法に従い、特異度、感度ともに最も良い値をカットオフ値とした。グラフ縦軸は検出感度を、横軸は100.0%−特異度を示している。解析の結果より、TWIST1遺伝子発現のカットオフ値を1.289とした時に最適である事が示され、このときの予後予測の感度は74%、特異度は64%であった。下記表1に、カットオフ値1.289を適用したときのデータを示した。
Figure 0005754792
*感度=74% (20/27), 特異度=64% (60/94), 陽性的中率=37% (20/54), 陰性的中率=90% (60/67)
P = 0.0008, Odd比5.042(95%信頼区間 1.934-13.146 Fisherテストによる)
図4に、大腸癌患者の正常大腸粘膜におけるTWIST1発現量を生存群と死亡群で比較した結果を示す。グラフ縦軸はTWIST1発現量(相対値)を、横軸は生存群(N=85)と死亡群(N=25)をそれぞれ示し、グラフ中白丸(○)が各々のデータである。正常大腸粘膜におけるTWIST1の発現に着目すると、生存群では中央値が0.244と低い値であったのに対し、死亡群では同値が3.283であり、生存群の13倍以上と非常に高い値を示しまた統計的に有意な差であった(P=0.0010)。図4の結果を基に作成したROC曲線を、図5に示す。ROC曲線の作成法は常法に従った。グラフ縦軸は検出感度を、横軸は100.0%−特異度を示している。解析の結果より、TWIST1遺伝子発現のカットオフ値を1.286とした時に最適である事が示され、このときの予後予測の感度は72%、特異度は74%であった。下記表2に、カットオフ値1.286を適用したときのデータを示した。
Figure 0005754792
*感度=72% (18/25), 特異度=74% (64/87), 陽性的中率=44% (18/41), 陰性的中率=90% (64/71)
P = 0.0001, Odd比7.155(95%信頼区間 2.646-19.350 Fisherテストによる)
図6に、大腸癌患者の正常大腸粘膜と大腸癌組織におけるEZH2遺伝子の発現量(相対値)比較を示す。グラフ縦軸はEZH2発現量の相対値(対数値)を、横軸は正常大腸粘膜(N=118)と大腸癌組織(N=137)をそれぞれ示している。EZH2遺伝子の発現量の中央値は、正常大腸粘膜では0.505であったのに対し、大腸癌組織では0.769(グラフ横棒)であり、大腸癌組織で有意に高値であった(P=0.0001)。
図7に、大腸癌患者の大腸癌組織におけるEZH2遺伝子の発現量を生存群と死亡群で比較した結果を示す。グラフ縦軸はEZH2発現量(相対値)を、横軸は生存群(N=95)と死亡群(N=27)をそれぞれ示し、グラフ中白丸(○)が各々のデータである。また生存群の中央値は0.617であったのに対し、死亡群では1.957(グラフ横棒)と3倍も高く、死亡群において有意に高値であった(P=0.0032)。また図7の結果を基に作成したROC曲線を、図8に示す。ROC曲線の作成法は常法に従った。グラフ縦軸は検出感度を、横軸は100.0%−特異度を示している。解析の結果より、EZH2遺伝子発現のカットオフ値を1.067とした時に最適である事が示され、このときの予後予測の感度は63%、特異度は70%であった。下記表3に、カットオフ値1.067を適用したときのデータを示した。
Figure 0005754792
*感度=63% (17/27), 特異度=70% (66/96), 陽性的中率=37% (17/46), 陰性的中率=87% (66/76)
P = 0.0032, Odd比3.869(95%信頼区間 1.581-9.469 Fisherテストによる)
図9に、大腸癌患者の正常大腸粘膜におけるEZH2遺伝子の発現量を生存群と死亡群で比較した結果を示す。グラフ縦軸はEZH2発現量(相対値)を、横軸は生存群(N=80)と死亡群(N=23)をそれぞれ示し、グラフ中白丸(○)が各々のデータである。正常大腸粘膜におけるEZH2の発現に着目すると、生存群では中央値が0.438と低い値であったのに対し、死亡群では同値が0.680であり、統計的に有意な差であった(P=0.0032)。図9の結果を基に作成したROC曲線を、図10に示す。ROC曲線の作成法は常法に従った。グラフ縦軸は検出感度を、横軸は100.0%−特異度を示している。解析の結果より、EZH2遺伝子発現のカットオフ値を0.5747とした時に最適である事が示され、このときの予後予測の感度は74%、特異度は66%であった。下記表4に、カットオフ値0.5747を適用したときのデータを示した。
Figure 0005754792
*感度=74% (17/23), 特異度=66% (53/80), 陽性的中率=39% (17/44), 陰性的中率=90% (53/59)
P = 0.0008, Odd比5.562(95%信頼区間 1.966-15.735 Fisherテストによる)
上記の結果より、大腸癌組織におけるTWIST1遺伝子とEZH2遺伝子の発現量の関係を統計解析した結果を図11に示す。統計解析はSpearman検定を用い、グラフ横軸はTWIST1の相対発現量を、縦軸はEZH2遺伝子の相対発現量をそれぞれ示し、白丸(○)が生存群、黒丸(●)が死亡群を示し、丸一つが各々のサンプルを表している。検定の結果、r値は0.7456、P<0.0001と有意な正の相関関係が見られた。
一方、大腸癌患者の正常大腸粘膜におけるTWIST1遺伝子とEZH2遺伝子の発現量の関係を統計解析した結果を図12に示す。統計解析はSpearman検定を用い、グラフ横軸はTWIST1の相対発現量を、縦軸はEZH2遺伝子の相対発現量をそれぞれ示し、白丸(○)が生存群、黒丸(●)が死亡群を示し、丸一つが各々のサンプルを表している。検定の結果、r値は0.5357、P<0.0001と有意な正の相関関係が見られた。

Claims (1)

  1. 大腸癌罹患者の正常大腸粘膜に由来する細胞におけるHomo sapiens twist homolog 1(Drosophila)遺伝子及び/またはEnhancer of zeste homolog 2(Drosophila)遺伝子の発現上昇を検出する、大腸癌の予後予測方法において、ROC曲線に基づいて求められるカットオフ値よりも高い遺伝子発現レベルのとき、予後不良の可能性有りと判定することを特徴とする、大腸癌の予後予測方法
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