JP2008249466A - 凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ及びその製造方法 - Google Patents

凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】2つのスパイラル状接触子の間に形成された溝に微細なゴミが侵入しても、ショートしない凸形ケルビン・スパイラルコンタクタおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 接続端子を有する被検査物の電子部品と電気的接続を行って電気的測定をするケルビンコンタクト型接触子であり、絶縁基板上に前記接続端子と接触する平面視してスパイラル形状を有する2つの凸形のスパイラル状接触子2,3を備え、電極端子2e,3eからそれぞれの先端をフリーとした各1つからなり、2つが対峙して前記スパイラル状接触子2の渦巻き状のすきまに、もう1つの渦巻き状のスパイラル状接触子3が配置された凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ1であって、前記スパイラル状接触子2,3は、前記接続端子と接触する接触部を残して、少なくとも側面2c,3cを電気的絶縁物7でコーティングした凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ1である。
【選択図】図1

Description

高密度化を可能にし、微小のゴミが侵入してもショートしない微細な電子機器の凸形スパイラル状接触子を用いた凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ、及び、その製造方法に関する。
図8は、従来の2本探針によりケルビン接合する構成を示す斜視図である。図8に示すように、2本の探針27,28が上下(Z軸)方向へ移動可能に構成されており、被検査物にケルビン接合することにより、微小物の物性の抵抗値を測定する(特許文献1参照)。この2探針ケルビン方式の最大の問題点は、鋭利な探針27,28が被検査物を突き刺すため、被検査物が損傷する。このため、この2探針27,28を突き刺すのではなくて、2探針27,28の間に挟み込みの方式(図示せず)も採用されているが、挟み込みの方式では使い込むと、左右に開口する力がへたり、耐久性に問題があった。
図9は、従来のフラット形のケルビン・スパイラルコンタクタを示し、(a)は球状接続端子と接続する前の状態を示す平面図、(b)は(a)に示すE−E線の断面図である。図9の(a)に示すように、これを解決したのが、ケルビン・スパイラルコンタクタ21である(特許文献2参照)。このケルビン・スパイラルコンタクタ21は、2つで1セットとなり、設置スペースを拡大することなく、微細で薄いスパイラル状接触子22,23を備えている。ケルビン・スパイラルコンタクタ21は、2つが1セットになり、2重の渦巻き状に構成されている。
図9の(b)の断面図に示すように、スパイラル状接触子22とスパイラル状接触子23とが交互に並んでいる。その中央にはスルーホール24が配置されている。
図10は、従来のケルビン・スパイラルコンタクタの断面を示し、(a)は球状接続端子と接続する前の状態を示す断面図、(b)は球状接続端子と接続した状態を示す断面図である。図10の(a)に示すように、被検査物の接続端子である球状接続端子26に接触させた状態でガイドフレーム22g,23gに当接するまでスルーホール24に落とし込み、スパイラル状接触子22,23と接触させる。そして、電流を流し、その時の電圧を電圧計で測定することによって、球状接続端子26と球状接続端子26の間の電気物性の測定、例えば、電気抵抗を極めて高精度に測定できる。これがケルビン(Kelvin)測定である。
図10の(b)に示すように、さらに、スパイラル状接触子22,23は、球状接続端子26の球面にスパイラル状接触子22,23の角22a,23aが押圧されながら摺動し、球状接続端子26の球面上に生じた極薄の酸化膜を切り込むことで、確実な通電をすることが可能である。つまり、スパイラル状接触子22,23の角22a,23aは、ニッケルメッキにてスパイラル状接触子22,23を製造する際のメッキ析出現象によって鋭角な角が形成される特性を有している。
特許3252410号公報(段落0013〜0017、図5〜図8) 特許3785401号公報(段落0013〜0017、図1、図4)
しかしながら、スパイラル状接触子22,23の上面に付着した微細なゴミは、エアーブローによって吹き飛ばすため何ら支障はないが、多重巻きにしたスパイラル状接触子22,23にできた渦巻き状のすきまに微細なゴミが侵入した場合は、エアーブローによってさらにこの溝の間に侵入し、その後の通電によって、ショートするという問題があった。
そこで、本発明は、2つのスパイラル状接触子の間に形成された溝に微細なゴミが侵入しても、電気的接触しない、ショートしない凸形ケルビン・スパイラルコンタクタおよびその製造方法を提供することを課題とする。
請求項1に記載された発明の凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ(1)は、接続端子を有する被検査物の電子部品と電気的接続を行って電気的測定をするケルビンコンタクト型接触子であり、絶縁基板上に前記接続端子と接触する平面視してスパイラル形状を有する2つの凸形のスパイラル状接触子(2,3)を備え、電極端子(2e,3e)からそれぞれの先端をフリーとした各1つからなり、2つが対峙して前記スパイラル状接触子(2)の渦巻き状のすきまに、もう1つの渦巻き状のスパイラル状接触子(3)が配置された凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ(1)であって、前記スパイラル状接触子(2,3)は、前記接続端子と接触する接触部を残して、少なくとも側面(2c,3c)を電気的絶縁物(7)でコーティングしたことを特徴とする。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ(10)であって、前記2つのスパイラル状接触子(2,3)の電極端子(2e,3e)の一方を片側に寄せて配置したことを特徴とする。
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2に記載された凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ(1,10)の製造方法であって、Cu箔(11)の上面をフォトレジスト(13)で覆い、露光・現像して、フォトレジスト(13)を、スパイラル状接触子(2,3)の形状を空洞にするように凹状に抜けた形に形成し、その上に金属メッキ(12)を施し、フォトレジスト(13)を薬品にて除去した後、プラズマにより、スパッタリングして膜状に電気的絶縁物(7)をコーティングする工程と、表面にスパッタエッチング加工を施し、表面の電気的絶縁物(7)を除去し、少なくとも側面(2c,3c)に電気的絶縁物(7)を残すスパッタエッチング工程と、を含むことを特徴とする。
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載された凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ(1,10)の製造方法であって、前記Cu箔(11)を反転し、フォトレジスト(13)で覆い、露光・現像する工程と、前記Cu箔(11)にエッチングによって穴を開ける工程と、前記スパイラル状接触子(2,3)にスパッタエッチングを施し、スパイラル状接触子(2,3)の側面(2c,3c)にコーティングされた電気的絶縁物(7)の角(7a)を除去する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載された凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ(1,10)の製造方法であって、前記電気的絶縁物(7)は、SiO(二酸化珪素)であることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、2つのスパイラル状接触子によって形成されたすきま(スリット)に微細なゴミが侵入した場合であっても、前記接続端子と接触する接触部を残して、少なくとも側面(2c,3c)を電気的絶縁物(7)でコーティングしたことにより、微細なゴミの侵入が原因の電気的接触しない、ショートしない凸形ケルビン・スパイラルコンタクタを提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、2つの電極端子を片側に寄せて配置したことにより、扱いが容易になるため、より加工精度の向上が図れ、一体加工が容易にできる。なお、電極端子を片側に寄せることによって、スパイラル状接触子の全長の長さが異なるが、測定値には全く影響が無いレベルである。
請求項3に係る発明によれば、製造方法は、Cu箔の上面をフォトレジストで覆い、露光・現像して、フォトレジストを、スパイラル状接触子の形状を空洞にするように凹状に抜けた形に形成し、その上に金属メッキを施し、フォトレジストを薬品にて除去した後、プラズマにより、スパッタリングして膜状に電気的絶縁物をコーティングする工程と、表面にスパッタエッチング加工を施し、表面の電気的絶縁物を除去し、少なくとも側面に電気的絶縁物を残すスパッタエッチング工程と、を含むことにより、スパイラル状接触子の側面に電気的絶縁物をコーティングすることができ、さらに、電気的接触部を確保するために、プラズマで電気的絶縁物のコーティングの上部の角を、あたかも面取りをしたように削ぎ落とすことができるため、電気的接触部を形成することができ、容易に、しかも、安価に製造することができる。
請求項4に係る発明によれば、Cu箔を反転し、フォトレジスを塗布し、露光・現像する工程と、Cu箔にエッチングによって穴を開ける工程と、スパイラル状接触子にスパッタエッチングを施し、スパイラル状接触子の側面にコーティングされた電気的絶縁物の角を除去する工程とを含むことにより、プラズマで電気的絶縁物のコーティングの上部の角を、あたかも面取りをしたように削ぎ落とすことができるため、電気的接触部を形成することができ、容易に、しかも、安価に製造することができる。
請求項5に係る発明によれば、電気的絶縁物をSiO(二酸化珪素)としたことにより、容易に電気的絶縁部を形成することができ、ショートしない凸形ケルビン・スパイラルコンタクタを提供することができる。しかも、安価に製造することができる。
<第1実施の形態>
以下、本発明の第1実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施の形態の凸形ケルビン・スパイラルコンタクタを示し、(a)は接続端子と接続する前の状態を示す拡大平面図である。
図1の(a)に示すように、凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ1は、2つのスパイラル状接触子2,3で1セットになる。電極端子2e,3eを左右対称に配置して、お互い接近する方向(内側)に向って干渉することなく、お互いが所定間隔をもって2回転する渦巻き状で形成されている。つまり、直交座標(x軸、y軸)を用いて説明すると、電極端子2eは−x軸上に配置され、電極端子3eは+x軸上に配置されており、直交するy軸に対して左右対称の位置に配置されている。この凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ1は、平面視してスパイラル(渦巻き)形状を有する2つのスパイラル状接触子2,3を備え、絶縁基板20上に配置されている。また、スパイラル状接触子2,3の電極端子2e,3eを基端部にして先端をフリーとした各1本からなり、根元から先端に進むにしたがって幅が狭くなるように形成されている。
なお、この電極端子2e,3eの配置は、前記した左右対称に限らず、上下対称、右斜め対称、左斜め対称、その他の対称としてもよい。また、図1の(a)に示す凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ1のサイズ(渦巻き径)はφ0.6mm〜0.1mmであり、被検査物の接続端子のサイズが、φ1.2mm〜0.05mmに対応できる。
凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ1は、ここでは左回り(反時計回り)の渦巻き状になっているが、右回り(時計回り)の渦巻き状にしてもよい。絶縁基板20上の左側に設けられたスパイラル状接触子2と、対峙して右側に設けられ、同じく反時計方向に渦巻き状になっているスパイラル状接触子3がそれぞれ独立して構成されている。スパイラル状接触子3は、スパイラル状接触子2に干渉のないすきま8を確保して根元から先端に進むにしたがって幅も狭くなっている。したがって、この断面図(図1の(b)参照)では交互に配置されている。このように、凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ1は、設置スペースを拡大することなく2つのスパイラル状接触子2,3が入り組んだ形で構成されている。
なお、スパイラル状接触子2,3の渦巻き数は2回転巻きとしたが、幅をより細くして3回巻き、4回巻き、その他であってもよい。また、スパイラル状接触子2,3の渦巻き形状は、図1(a)、図4(a)では曲線状にしたが、多角形、例えば、…8、10、12、16、24角形…等、どんどん角数を増やすことで曲線状に近づけることができることから、これらの多角形をした渦巻き形状であっても構わない。
図1の(b)は(a)に示すA−A線の断面図である。
図1の(b)に示すように、凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ1は、凸形に形成されている。断面に示すように、スパイラル状接触子2,3も凸形に形成されている。
図1の(c)は、(b)に示すスパイラル状接触子のB部拡大図である。
図1の(c)に示すように、前記凸形ケルビン・スパイラルコンタクタのスパイラル状接触子3は、上面3dと下面3bを除く側面3c、3cが電気的絶縁物7でコーティング(被膜)されている。被検査物の接続端子である、たとえば、球状接続端子6(図2参照)との接触面となる角3aはスパイラル状の稜線として露出している。この凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ1のスパイラル状接触子3の角度αは、91〜150度の範囲で角7aが面取りされ、被検査物の接続端子と接触する接触部の角3aが露出している。
球状接続端子6とスパイラル状接触子3との接触角はそれぞれ異なるが、図2(a)に示すように、球状接続端子6と接触しているスパイラル状接触子dの場合で、球状接続端子6の中心位置から20度の位置であるため、図1の(c)に示す角度βは89〜30度が好ましい。
電気的絶縁物7は、SiO(二酸化珪素)である。しかし、SiOに限定するものではなく、その他の絶縁材料の電気的絶縁物7であっても構わない。
電気的絶縁物7とは、分子と分子が接触できないように間に介在し、絶縁(insulation)状態を形成する物質をいい、電気を通さない材料をいう。
図2は、本発明の第1実施の形態のスパイラル状接触子と各種接続端子との接合状態を示し、(a)は球状接続端子と接続した状態を示す断面図である。
図2の(a)に示すように、スパイラル状接触子2,3は、球状接続端子6の球面にスパイラル状接触子の角2a,3aが押圧されながら摺動し、球状接続端子6の球面上に生じた極薄の酸化膜を切り込むことで、確実な通電をする。
従来の極小のコイルバネを内蔵した探針のポゴピン接触子(図示せず)では、1本に対する押圧力が10gであるのに対して、このスパイラル状接触子2,3の1本による押圧力は、0.05gであり、約1/20の押圧力で安定した通電接触ができる。例えば、1000本の接触子を有する従来のデバイスの場合、10kgにもなるが、このスパイラル状接触子2,3を採用したデバイスの押圧力は、たった50gでよく、より軽量な構成での設計ができる。また、スパイラル状接触子2,3の製造方法は、光や電子ビームを用いた写真印刷技術(リソグラフィー)により行うことができるため、微細加工が容易である。
図2の(b)はフラット状接続端子と接続した状態を示す断面図である。
図2の(b)に示すように、スパイラル状接触子2,3は、フラット状接続端子6′のフラット面にスパイラル状接触子の角2a,3aが押圧されながら摺動し、フラット状接続端子6′の面に生じた極薄の酸化膜を切り込むことで、確実な通電をすることが可能である。なお、フラット状接続端子6′は、パット状接続端子6′ともいう。
<第2実施の形態>
本発明の第2実施の形態を示す図4を説明する前に、その発明の過程から説明する。
図3は、凸形ケルビン・スパイラルコンタクタの構成に至る過程の説明図であり、(a)は基本形を示すスパイラル状接触子の拡大平面図、(b)は中央に溝を設けて2つにしたスパイラル状接触子の拡大平面図、(c)は、電極端子の一方を移動し、さらに、スパイラル状接触子の先端部の他方を延長した状態を示すスパイラル状接触子の拡大平面図、(d)は、電極端子の半円を円形に変形させ、一方を近傍に配置した状態を示すスパイラル状接触子の拡大平面図である。
図3の(a)に示すように、この凸形ケルビン・スパイラルコンタクタのスパイラル状接触子は1本から構成された平面視のスパイラル状接触子である。このスパイラル状接触子はa,b,c,d,e,fの順に幅が細く、かつ、凸形に上方へ向って延びている。
図3の(b)に示すように、スパイラル状接触子10の中央に切り目が入り、すきま8が形成されると、2つの電極端子2e,3eになり、先端まで2ピースになる。
図3の(c)に示すように、今度は、電極端子3eの位置を移動させて、電極端子2eから離間させ、所望のスペースを確保する。
最後は、図3の(d)に示すように、電極端子2e、3eの双方を円形(円柱形)にまとめてそれぞれの近傍に配置する。
なお、この円形の電極端子2e、3eは、円柱形の信号線(ケーブル)としてもよい。
このように、スパイラル状接触子を2つに分割することにより、電極端子2e、3eが近いため、渦巻き状に2つを添わせることができる。また、セットにしやすく、取り扱いが容易になるため、組立作業も容易である。
図4は、本発明の第2実施の形態の凸形ケルビン・スパイラルコンタクタを示し、(a)は球状接続端子及びフラット状接触子と接続する前の状態を示す拡大平面図、(b)は(a)に示すC−C線の断面図、(c)は、(b)に示すスパイラル状接触子のB部拡大図である。なお、図4(a)に示す凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ1のサイズはφ0.6mm〜0.1mmであり、被検査物の接続端子のサイズが、φ1.2mm〜0.05mmに対応できる。
図4の(a)に示す凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ10と、前記した図1(a)に示す凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ1との相違点について説明する。
図4の(a)に示す凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ10は、図1に示すスパイラル状接触子2,3の電極端子2e,3eのうち、一方の電極端子2eをそのままの配置にし,他方の電極端子3eの位置を電極端子2eの近傍に寄せて配置した点が異なる。
つまり、直交座標(x軸、y軸)を用いて説明すると、電極端子2eは、−x軸上に配置されている。また、電極端子3eは、第2象限に配置されている。
ここでは、電極端子2e,3eを接近させて干渉することなく、お互いが所定間隔をもって2回転する渦巻き状で構成されている。このように、電極端子2e,3eが近いと、渦巻きを沿わせることが容易にできる。また、セットにしやすく、取り扱いが容易であるといったメリットがあり、都合がよい。
なお、電極端子3eの位置は、x軸を対称軸にして第2象限から第3象限としてもよい。さらには、これらを、y軸を対称軸にした左右対称位置の第1象限であってもよいし、それ以外であっても構わない。なお、2つの電極端子2e,3eを近づけたことにより電気的接触しないように充分なすきまが設けられている。
図4の(b)、図4の(c)については、図1の(b)、図1の(c)の説明と重複するため、省略する。
ここで、凸形ケルビン・スパイラルコンタクタの製造方法について説明する。
図5は、凸形ケルビン・スパイラルコンタクタの製造方法を示す前半の工程図、図6は、後半の工程図である。
図5に示すように、(a)は、Cu箔(11)の上面をフォトレジスト(13)で覆い、露光・現像して、フォトレジスト(13)を、スパイラル状接触子(2,3)の形状を空洞にするように凹状に抜けた形に形成し、その上に金属メッキ(12)を施し、フォトレジスト(13)を薬品(溶剤)にて除去する工程である。これは、先に同じ出願人が出願した特開2001−175859号公報の段落番号[0050]にて、その詳細を説明した通りである。
(b)は、プラズマにより、スパッタリングして膜状に電気的絶縁物7をコーティングする工程である。電気的絶縁物7はSiO(二酸化珪素)で、この膜の厚みは、0.1〜0.05μである。
(c)は、表面にスパッタエッチングを施し、表面の電気的絶縁物7を除去し、少なくとも側面2c,3c(図1の(c)参照)に電気的絶縁物7を残すスパッタエッチング工程である。表面の電気的絶縁物7をスパッタエッチングによって除去する。この際、側面2c,3cにコーティングされた電気的絶縁物7、例えば、SiO(二酸化珪素)は、角7aが面取りされるが、側面の電気的絶縁物7は残る。
(d)は、表裏を反転し、フォトレジスト13を塗布し、露光・現像する工程である。
(e)は、エッチングによってCu箔11に、穴を開ける工程である。
(f)は、スパイラル状接触子2,3にスパッタエッチングを施し、スパイラル状接触子2,3の側面2c,3cにコーティングされた電気的絶縁物7の角7a(図1の(c)参照)を除去する工程である。
(g)は、図示しない微細な凸型を使用して凸形にアニールフォーミングし、熱処理を施して内部応力を除去する工程である。
(h)は、裏面に保護シート14を貼付する工程である。
図6は、後半の工程図である。図6に示すように、
(i)は、凸形のスパイラル状接触子2,3にフォトPIQ15を塗布し、フォトマスク17して露光する工程である。
(j)は、露光後、光の照射部分が除去され、熱をかけて固める工程である。
(k)は、保護シート14を剥がし、粘着シート18を貼付する工程である。粘着シート18にはリバーアルファーが好適である
(l)は、Cu箔11をエッチングによって除去する工程である。
(m)は、リバーアルファー18を剥がし、プリント基板20を貼付し、ハンダリフロー19で接着する工程である。
(n)は、フォトPIQ15を溶剤で溶かし、フォトPIQ15を除去する工程である。
図7は、図6に示す凸形ケルビン・スパイラルコンタクタの後半の製造方法の変形例である。図7に示すように、
(i)は、凸形のスパイラル状接触子2,3にフォトPIQ15を塗布する工程である。
(j)は、保護シート14を剥がす工程である。
(k)は、下面から光を照射し、露光する工程である。
(l)は、光の照射部分が固まり、陰の部分が除去される工程である。
(m)は、Cu箔11をエッチングによって除去し、プリント基板20のランド16にハンダリフロー19で接着する工程である。
(n)は、フォトPIQ15を溶剤で溶かして除去する工程である。
なお、フォトPIQ(Photosensitive PolyImide Insulated Quinones:感光性ポリミド)は絶縁膜材料をいい、たとえば、半導体用高耐熱ファインポリマや、超LSI用高耐熱ポリイミド、半導体絶縁膜用ポリミイドなどをいう。
また、本発明はその技術思想の範囲内で種々の改造、変更が可能である。本発明は、フォトリソグラフィ技術、メッキ製造技術により微細加工を施すことを特徴としており、これを用いた製造方法やスパッタリングによるコーティング法、コーティングされた電気的絶縁物をプラズマで除去、そして、面取りをする方法等を組み合わせた加工方法は、本発明の権利範囲内のものである。さらに、ここでいう電気的絶縁物は、SiO(二酸化珪素)やフォトPIQに限定されるものではない。
本発明の第1実施の形態の凸形ケルビン・スパイラルコンタクタを示し、(a)は接続端子と接続する前の状態を示す拡大平面図、(b)は(a)に示すA−A線の断面図、(c)は、(b)に示すスパイラル状接触子のB部拡大図である。 本発明の第1実施の形態のスパイラル状接触子と各種接続端子との接合状態を示し、(a)は球状接続端子と接続した状態を示す断面図、(b)はコーン状接続端子と接続した状態を示す断面図、(c)は、フラット状接続端子と接続した状態を示す断面図である。 凸形ケルビン・スパイラルコンタクタの構成に至る過程の説明図であり、(a)は基本形を示すスパイラル状接触子の拡大平面図、(b)は中央に溝を設けて2つにしたスパイラル状接触子の拡大平面図、(c)は、電極端子の一方を移動し、さらに、スパイラル状接触子の先端部の他方を延長した状態を示すスパイラル状接触子の拡大平面図、(d)は、電極端子の半円を円形に変形させ、一方を近傍に配置した状態を示すスパイラル状接触子の拡大平面図である。 本発明の第2実施の形態の凸形ケルビン・スパイラルコンタクタを示し、(a)は接続端子と接続する前の状態を示す拡大平面図、(b)は(a)に示すC−C線の断面図、(c)は、(b)に示すスパイラル状接触子のD部拡大図である。 凸形ケルビン・スパイラルコンタクタの製造方法を示す前半の工程図である。 凸形ケルビン・スパイラルコンタクタの製造方法を示す後半の工程図である。 凸形ケルビン・スパイラルコンタクタの製造方法の変形例を示す後半の工程図である。 従来の2本探針によりケルビン接合する構成を示す斜視図である。 従来のフラット状のケルビン・スパイラルコンタクタを示し、(a)は球状接続端子と接続する前の状態を示す平面図、(b)は(a)に示すE−E線の断面図である。 従来のケルビン・スパイラルコンタクタの断面を示し、(a)は球状接続端子と接続する前の状態を示す断面図、(b)は球状接続端子と接続した状態を示す断面図である。
符号の説明
1,10 ケルビン・スパイラルコンタクタ
2,3 スパイラル状接触子
2a,3a 角
2b,3b 下面
2c,3c 側面
2d,3d 上面
2e,3e 電極端子
2f,3f ランド
2g,3g ガイドフレーム
4 絶縁基板(インターポーザ)
5 被検査物(電子部品)
6 球状接続端子
6′ フラット(パッド)状接続端子
7 電気的絶縁物(SiO:二酸化珪素)
7a 角
8 すきま(すきま)
11 Cu箔
12 金属(ニッケル(Ni))メッキ
13 フォトレジスト
14 保護シート
15 フォトPIQ
16 ランド
17 フォトマスク
18 粘着シート(リバーアルファー)
19 ハンダリフロー
20 絶縁(プリント)基板
α,β 角度
x,y 座標軸

Claims (5)

  1. 接続端子を有する被検査物の電子部品と電気的接続を行って電気的測定をするケルビンコンタクト型接触子であり、絶縁基板上に前記接続端子と接触する平面視してスパイラル形状を有する2つの凸形のスパイラル状接触子(2,3)を備え、電極端子(2e,3e)からそれぞれの先端をフリーとした各1つからなり、2つが対峙して前記スパイラル状接触子(2)の渦巻き状のすきまに、もう1つの渦巻き状のスパイラル状接触子(3)が配置された凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ(1)であって、
    前記スパイラル状接触子(2,3)は、前記接続端子と接触する接触部を残して、少なくとも側面(2c,3c)を電気的絶縁物(7)でコーティングしたことを特徴とする凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ(1)。
  2. 前記2つのスパイラル状接触子(2,3)の電極端子(2e,3e)の一方を片側に寄せて配置したことを特徴とする請求項1に記載された凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ(10)。
  3. 請求項1または請求項2に記載された凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ(1,10)の製造方法であって、
    Cu箔(11)の上面をフォトレジスト(13)で覆い、露光・現像して、フォトレジスト(13)を、スパイラル状接触子(2,3)の形状を空洞にするように凹状に抜けた形に形成し、その上に金属メッキ(12)を施し、フォトレジスト(13)を薬品にて除去した後、
    プラズマにより、スパッタリングして膜状に電気的絶縁物(7)をコーティングする工程と、
    表面にスパッタエッチング加工を施し、表面の電気的絶縁物(7)を除去し、少なくとも側面(2c,3c)に電気的絶縁物(7)を残すスパッタエッチング工程と、
    を含むことを特徴とする凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ(1,10)の製造方法。
  4. 前記Cu箔(11)を反転し、フォトレジスト(13)で覆い、露光・現像する工程と、
    前記Cu箔(11)にエッチングによって穴を開ける工程と、
    前記スパイラル状接触子(2,3)にスパッタエッチングを施し、スパイラル状接触子(2,3)の側面(2c,3c)にコーティングされた電気的絶縁物(7)の角(7a)を除去する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項3に記載された凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ(1,10)の製造方法。
  5. 前記電気的絶縁物(7)は、SiO(二酸化珪素)であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載された凸形ケルビン・スパイラルコンタクタ(1,10)の製造方法。
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