図1は、本発明の第1実施形態における輸送管20と、包囲体21とを表す斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る包囲体21を、輸送管20の軸線方向Xに垂直な平面で切断して表す断面図である。本発明の第1実施形態に係る包囲体21は、輸送管20を輸送管20の半径方向外方から包囲し、輸送管20および輸送管20周囲の気体間の熱移動を遮断し、輸送管20の半径方向外方から、輸送管20の半径方向外方の外周面近傍への水の移動を防ぐ材料である。輸送管20の一部において、輸送管20の軸線方向Xに垂直で、輸送管20の軸線L1を通る直線を、前記輸送管20の一部における「半径方向」と称する。この名称は、輸送管20が円筒形でない場合、たとえば輸送管20が角パイプで形成される場合においても、適用する。また半径方向外方の外周面近傍の外部空間を「周囲」と称することがある。
包囲体21は、断熱体22と、複数の防水体23とを含んで構成され、各防水体23は、熱収縮シート24と、接着層26と、係合部27とを含んで構成される。防水体23のうち、係合部27を除く残余の部分を「防水体本体」と称し、防水体本体28と係合部27を含めて「防水体」と称する。第1実施形態において係合部27は、ファスナ29である。本発明において、シート状部材の厚み方向に垂直な表面の面積が減少することを「熱収縮」と称し、温度上昇によって熱収縮するシートを「熱収縮シート」と称する。可撓性を有し、薄く平らな部材を「シート」と称し、シートはフィルムをも含む。係合部27は、熱収縮シート24の一部分と、同一の熱収縮シート24の他の部分とを係合する部分である。
第1実施形態における断熱体22は、包囲体21に含まれ、半径方向外方から輸送管20の外周面全体を包囲し、輸送管20および輸送管20周囲の気体間の熱移動を遮断する。各防水体23は、熱収縮シート24と接着層26と係合部27とを含み、断熱体22よりも半径方向外方に配置される。熱収縮シート24は、接着層26を介して断熱体22よりも半径方向外方に配置され、接着層26は、水の浸透を防ぎ、熱収縮シート24と断熱体22とを接着する。隣接する防水体23の接着層26同士は、接着層26の自己接着力によって一体化して形成され、輸送管20の軸線に関して環状に形成される。
第1実施形態において防水体本体28は矩形のシート状の材料である。防水体本体28の厚み方向一方は、熱収縮シート24であり、防水体本体28の厚み方向他方は接着層26である。接着層26は熱収縮シート24に対して積層され、熱収縮シート24に固着している。防水体23は、接着層26を半径方向内方に向け、熱収縮シート24を半径方向外方に向けて装着される。防水体23が装着された状態において、接着層26は熱収縮シート24と断熱体22とを接着する。係合部27は、防水体本体28の平行な2つの辺部またはその付近にそれぞれ設けられかつ互いに係合される。
第1実施形態において、輸送管20は低温液体31を輸送する円筒形状の輸送管20であるものとし、具体的には、第1実施形態において低温液体31は、液化天然ガス(
Liquefied Natural Gas, 略称:「LNG」)である。輸送管20の外径は輸送管20の部位によって異なり、5mm以上1m以下である場合が多い。輸送管20に形成される内部空間には、温度が−162℃に設定されたLNGが通過する。
輸送管20の半径方向外方には、断熱体22が設置される。断熱体22は、複数の断熱材32を含み、発泡プラスチックで形成され、可撓性を有する。断熱体22は、円筒形状の部材を円筒の軸線を含む平面で切断した半円筒の形状である。断熱材32は、輸送管20の軸線方向Xに同じ位置に2つ配置され、2つの断熱材32が輸送管20に関して反対側に位置し、2つの断熱材32によって、輸送管20の軸線方向Xの一部分を半径方向外方から全周にわたって包囲する。2つの断熱材32が輸送管20の一部を包囲した状態において、軸線方向Xに垂直な平面で断熱材32を切断した断面の外形は、円形であり、この円の円周の長さを「断熱材外周長さ」と称する。換言すれば、断熱材32外周長さは、断熱材32の半径方向外方の表面における、輸送管20の軸線まわりの断熱材32の外周の長さである。断熱材32は、輸送管20に密着して配置される。太さの違いによる輸送管20の複数の種類に対応して、断熱材32も大きさの違いによって複数の種類が用意される。
図3は、本発明の第1実施形態において、輸送管20が設置される海底地下トンネル33と、輸送管20とを表した部分断面図である。図4は、本発明の第1実施形態において、海底地下トンネル33と、海底地下トンネル33内の輸送管20とを、輸送管20の軸線方向Xに垂直な平面で切断して表した断面図である。第1実施形態において輸送管20は、海底地下トンネル33内に配置される。海底地下トンネルは、輸送管を配置するために海底の地下に設けたトンネルである。海底地下トンネル33に形成される内部空間は、高さ数メートルの空間であり、全長1km以上にわたって形成される。
トンネル内の温度は−162℃よりも高い温度である。トンネル内の輸送管20は、トンネルよりも長く、全長1km以上にわたって形成される。輸送管20は、数百メートルごとに支柱34によって支持され、支柱34はトンネルを形成する底部または側壁に固定される。断熱体22は、輸送管20の全長にわたって半径方向外方から輸送管20を包囲する。輸送管20の外周面部のうち、支柱34と接触する部位には断熱材32は設けられない。
断熱体22および防水体23は、輸送管20を設置しながら設置してもよいけれども、第1実施形態において断熱体22および防水体23は、輸送管20を設置し終えた後に設置される。隣接する断熱材32同士の接触面は、接着剤によって接合される。断熱材32は発泡プラスチックであるので、断熱材32内部には、連通、独立またはその両方の空間が複数形成され、断熱材32の表面に水滴が付着すれば、断熱材32には断熱材32の水が浸透するおそれがある。断熱材32に水が浸透すれば、断熱材32の断熱効果は低下する。また断熱材32に浸透した水が輸送管20内部を通るLNGによって冷却されると、水が凍り、氷となる。氷が形成された場合、氷の体積は液体状の水よりも大きいので、断熱材32が破損するおそれがある。従来技術によって設置された断熱材32の耐久年数は、20年〜30年である。
図5は、本発明の第1実施形態に係る包囲体21の装着方法の工程を表すフローチャートである。第1実施形態に係る包囲体21の装着方法は、断熱体配置段階と、包囲工程と、熱収縮工程とを含んで構成される。本処理開始後、ステップa1の断熱体配置段階に移行し、断熱体22によって、半径方向外方から輸送管20の外周面部を包囲する。次にステップa2の包囲工程に移行し、防水体23によって、断熱体22を半径方向外方から包囲する。次にステップa3の熱収縮工程に移行し、防水体23を加熱し、防水体23の軸線方向X一端部から軸線方向X他端部に向けて、温度上昇によって熱収縮シート24を順次熱収縮させる。この工程において接着層26は、断熱体22の前記半径方向外方の表面に密着させ、一体として形成され、輸送管20全体を半径方向外方から包囲して環状に形成される。
次にステップa4の繰返し工程に移行し、ステップa2の包囲工程と同様の工程およびステップa3と同様の工程とを繰返す。すなわち、防水体23によって断熱体22を半径方向外方から包囲し、次に防水体23を加熱して防水体23の軸線方向X一端部から軸線方向X他端部に向けて、熱収縮シート24を順次熱収縮させることを繰返す。繰返し工程によって、輸送管20全体を半径方向外方から包囲体21によって包囲し終えた後、本処理は終了する。
図6は、図5に示した、本発明の第1実施形態に係る包囲体21の装着方法の工程をさらに詳細に表すフローチャートである。第1実施形態において防水体本体28は矩形のシート状の材料であり、第1実施形態における包囲工程は、巻掛け段階と係合段階とを含んで構成される。本処理開始後、ステップb1の断熱体配置段階に移行し、次にステップb2の巻掛け段階に移行する。巻掛け段階では、係合部27の係合が解除されたシート状の状態で、防水体23が断熱体22を外方から包囲するように、防水体23を断熱材32の半径方向外方に巻掛ける。次にステップb3の係合段階に移行し、巻掛けられた防水体23の各係合部27を互いに係合する。次にステップb4の熱収縮工程に移行し、次にステップb5の繰返し工程に移行する。繰返し工程によって、輸送管20全体を半径方向外方から包囲体21によって包囲し終えた後、本処理は終了する。
ステップb1の断熱体配置段階は、図5においてステップa1の断熱体配置段階として示した工程である。ステップb2の巻掛け段階とステップb3の係合段階は、図5においてステップa2の包囲工程として示した工程に含まれる。ステップb4の熱収縮工程は、図5においてステップa3の熱収縮工程として示した工程であり、ステップb5の繰返し工程は、図5においてステップa4の繰返し工程として示した工程である。
包囲体21は、断熱体22と複数の防水体23を含んでおり、防水体23は断熱体22を輸送管20の外周面に密着して固定する。各防水体23は、熱収縮シート24を含んで構成される。防水体23を、防水体23よりも半径方向外方から加熱し、防水体23の温度を上昇させると、防水体23は、断熱体22を輸送管20に対して押し付け、断熱体22と輸送管20との密着は確実になる。
また防水体23は、接着層26を含み、隣接する防水体23の接着層26同士は、接着層26の自己接着力によって一体化して形成され、輸送管20の軸線に関して環状に形成される。これによって接着層26は、輸送管20の半径方向外方から断熱体22に水が浸透することを防止し、断熱体22の劣化を抑制する。また輸送管20の外表面に水が接触することが防止され、輸送管20の腐食を防止する。
包囲体21の装着方法は、断熱体配置段階を含む。これによって、輸送管20および輸送管20周囲の気体間の熱移動を遮断する断熱材32は、輸送管20の半径方向外方に配置され、断熱材32は輸送管20と輸送管20周囲の気体との熱移動を遮断する。また包囲体21の装着方法は、包囲工程を含む。包囲工程では、熱収縮シート24と接着層26とを有する防水体23によって、輸送管20周囲の断熱体22を包囲する。熱収縮シート24は、加熱して温度を上昇させると熱収縮する性質を有し、熱収縮する以前は表面積が熱収縮した後に比べて広い。これによって、防水体23は、輸送管20の半径方向外方の断熱材32を容易に配置される。
また包囲体21の装着方法は、熱収縮工程を含む。熱収縮工程では、防水体23を加熱し、防水体23を加熱し、軸線方向X一端部から軸線方向X他端部に向けて、温度上昇によって前記熱収縮シート24を順次熱収縮させる。熱収縮工程において、熱収縮シート24が順次熱収縮するにつれて、防水体23と断熱体22との間の空気は除かれるとともに、防水体23は、断熱体22を輸送管20に対して押し付け、断熱体22と輸送管20との密着は確実になる。
また包囲体21の装着方法は、繰返し工程を含み、繰返し工程では、包囲工程と熱収縮工程とを繰返しながら、熱収縮工程において隣接する防水体23の接着層26同士を、接着層26の自己接着力によって一体化させる。これによって、隣接する防水体23の接着層26同士の間を通して、輸送管20の半径方向外方から断熱体22に水が浸透することを防止する。これによって、断熱材32の断熱効率の低下を防ぎ、輸送管20および輸送管20周囲の気体間の熱移動を遮断する。また断熱体22の劣化を抑制し、輸送管20の外表面に水が付着することを防止する。これによって、輸送管20が腐食されることを防止する。
包囲工程は、巻掛け段階と係合段階とを含む。係合段階では巻掛け段階で巻掛けられた防水体23の各係合部27は、互いに係合される。これによって、防水体23が断熱体22を、輸送管20の半径方向外方から包囲した状態において、防水体23が輸送管20および断熱体22によって支持された状態が形成される。これによって、防水体23を断熱体22の周囲に支持するために、防水体23を外部から支持する必要がなくなり、係合段階を含まない方法に比べて、包囲工程の作業効率が高くなる。
また広げた状態において矩形である防水体23を装着する方法において、係合段階を含まない場合には、輸送管20が長ければ長いほど、包囲工程と、熱収縮工程とを多く繰返す必要があるけれども、係合段階を含む包囲体21の装着方法では、熱収縮工程に先立って、包囲工程において多くの防水体23を輸送管20周囲に配置することが容易になるので、包囲工程と熱収縮工程とを繰返す回数を低減することが可能になる。これによって、熱収縮工程において、多くの防水体23を連続的に加熱することが可能になるので、係合段階を含まない方法に比べて、包囲体21を装着する作業の効率が高くなる。
図7は、本発明の第1実施形態における防水体23を、係合部27の係合を解除した状態で表した防水体23の斜視図である。図8は、本発明の第1実施形態における防水体23を、装着した後に、装着した防水体23に隣接する防水体23を輸送管20に巻掛けた状態を表す側面図である。図9は、本発明の第1実施形態における包囲体20を、図8に示す切断面線A−Aで切断して見た断面図である。図10は、本発明の第1実施形態における包囲体20を、図8に示す切断面線B−Bで切断して見た断面図である。
断熱体22の半径方向外方には、防水体23を設ける。第1実施形態において防水体本体28は矩形のシート状の材料である。防水体本体28の厚み方向一方は、熱収縮シート24であり、防水体本体28の厚み方向他方は接着層26である。接着層26は熱収縮シート24に対して積層され、熱収縮シート24に固着している。防水体本体28の1つの辺を成す一端部36には、この辺に沿ってファスナの一部分29aが形成される。この辺と平行な他の辺を成す他端部37付近の厚み方向一方には、防水体本体28の他の辺に平行に、ファスナの他の部分29bが形成される。防水体本体28の他端部とファスナの他の部分29bとは平行であって、防水体本体の他端部の端面37aとファスナの他の部分29bとの距離d1は、熱収縮工程前の状態において、2cm以上3cm以内である。包囲工程よりも後の状態においては、前記ファスナの一部分29aと前記ファスナの他の部分29bとが係合する。
包囲工程よりも前の状態で、ファスナ29の係合を解除した状態において、ファスナ29の一部分からファスナ29の他の部分までの、防水体本体28の長さは、防水体23が装着される部分の断熱体22の、断熱材32外周長さよりも長い。包囲工程で防水体23が断熱体22に巻掛けられた状態においては、防水体本体の他端部37とファスナの他の部分29bとの間の領域の防水体本体28は、防水体本体の前記一端部36付近と重なる。この部分が重なった状態においてファスナ29の一部分とファスナ29の他の部分とを係合することによって、防水体23は断熱材32を包囲する。ファスナ29が閉じられ、防水体本体28に重なった部分が形成された状態において、重なった部分を「係合部付近重畳部分」と称する。防水体本体の前記一端部36付近の係合部付近重畳部分38aは、防水体本体の前記他端部38bと半径方向に重なる。
熱収縮工程より後の状態においては、図2に示すように、係合部付近重畳部分38で半径方向に互いに重なる熱収縮シート24は、接着層26によって接着される。熱収縮工程よりも前の状態において接着層26は、熱収縮シート24に積層され固着しているけれども、防水体23の厚み方向他方の接着層26表面は、粘着力を有していない。熱収縮工程において防水体23が加熱され、防水体23の温度が上昇すると、熱収縮シート24の厚み方向に垂直な表面の表面積は減少し、接着層26は溶融して半固体、半液体のペースト状となる。接着層26が温度上昇によってペースト状となった材料を「接着剤」と称する。接着剤は粘着力を有する。
断熱材32の半径方向外方の表面に接着層26が接触した状態で、防水体23が加熱され、温度が上昇すると、接着層26は接着剤となって、断熱材32の半径方向外方の表面と、熱収縮シート24の半径方向内方の表面とに粘着する。温度が上昇したことによって熱収縮シート24が熱収縮すると、接着剤の厚み方向に垂直な表面の面積は、およそ熱収縮シート24とともに減少する。熱収縮工程によって熱収縮シート24は、熱収縮工程よりも前の状態と比較して、長さが最大で4分の1になり、したがって厚み方向に垂直な表面の表面積は、最大で16分の1となる。
熱収縮工程においては、断熱材32の半径方向外方の表面に接触した接着層26は溶融し、輸送管20の周方向の熱収縮シート24の長さおよび軸線方向Xの熱収縮シート24の長さは短くなる。これによって、接着剤は熱収縮シート24よりも周方向および軸線方向Xに長くなる。したがって、係合部付近重畳部分38において、半径方向内方の接着剤と半径方向外方の接着剤とが接触し、互いに一体化する。
熱収縮工程では、防水体23を加熱し、軸線方向一方から軸線方向他方に順次熱収縮させるので、防水体23の接着層26と、隣接する防水体23の熱収縮シート24との間、および防水体の一端部36の接着層26と防水体の他端部37の接着層26との間の空気層が除かれる。熱収縮工程を経た防水体23の係合部27と、これに隣接する防水体23の係合部27とは、周方向にことなる位置に位置させる。これによって、係合部付近重畳部分38と、軸線方向重畳部分39とが半径方向に重なることは防止される。
図11は、本発明の第1実施形態で、熱収縮工程の途中の状態における輸送管20および防水体23を表す斜視図である。図12は、本発明の第1実施形態で、熱収縮工程の途中の状態における輸送管20および防水体23を、輸送管20の軸線L1を含む平面で切断して見た断面図である。図11および図12において係合部は省略した。熱収縮によって、防水体は周方向および軸線方向に縮む。熱収縮は、軸線方向一方から軸線方向他方に向けて行い、軸線方向他方の向きを、図11および図12において、矢符Yによって示した。したがって、熱収縮よりも前の防水体の半径と、熱収縮した後の防水体の半径とは異なり、その差d3は50mm程度である。
熱収縮工程に先立って、防水体21は、輸送管20の半径方向外方に配置された断熱体22のさらに半径方向外方に配置され、断熱体22と防水体21との間には、一定の間隔を全周にわたって形成して配置することが好ましい。
この差d3が小さければ小さいほど、防水体を係合するときの作業が困難になる。しかし、ファスナは、加熱しても熱収縮しないので、防水体の熱収縮が大きければ大きいほど、熱収縮の後、ファスナ近傍の防水体に応力が生じるので、その差d3は前記の程度であることが好ましい。また、熱収縮シートは、熱収縮による周方向の長さの変化が、熱収縮による軸線方向の長さの変化よりも大きく、熱収縮について異方性のある材料であれば、さらに好ましい。
図4に示したように、本発明の第1実施形態に係る包囲体21の装着方法は、断熱体配置段階と、包囲工程の巻掛け段階と、包囲工程の係合段階と、熱収縮工程と、繰返し工程とを含んで構成される。本処理開始後、ステップb1の断熱体配置段階に移行し、断熱体22によって、半径方向外方から輸送管20の外周面部を包囲する。次にステップb2の巻掛け段階に移行し、ファスナ29の係合が解除されたシート状の状態で、防水体23が断熱体22を外方から包囲するように、防水体23を断熱材32の半径方向外方に巻掛ける。次にステップb3の係合段階に移行し、巻掛けられた防水体23の各ファスナ29を閉じることによって、各防水体23を断熱材32の半径方向外方に配置する。第1実施形態においてファスナ29は、軸線方向Xに延びて形成されるので、係合段階においてファスナ29は、軸線方向Xに沿って係合されていく。ファスナ29を閉じて行く向きは、軸線方向Xの両方の向きのいずれでも構わない。
次にステップb4の熱収縮工程に移行し、防水体23を加熱し、防水体23の軸線方向X一端部から軸線方向X他端部に向けて、温度上昇によって熱収縮シート24を順次熱収縮させる。この工程において接着層26は温度上昇によって溶融し、接着剤となる。接着剤は熱収縮シート24よりも周方向および軸線方向Xに長くなる。これによって、係合部付近重畳部分38において、半径方向内方の接着剤と半径方向外方の接着剤とが接触し、互いに一体化する。したがって、接着剤は、輸送管20を周方向全体から包囲して環状に形成される。この状態から温度が接着層26の溶融温度よりも低くなると、接着剤は固化して接着層26となる。接着層26に対して水が浸透することはなく、接着層26は半径方向外方から断熱層内部への水の浸透を防止する。また塩分を含む海水も、接着層26に対して浸透せず、接着層26は半径方向外方から断熱層内部への海水の浸透をも防止する。
次にステップb5の繰返し工程に移行し、ステップb2の巻掛け段階、ステップb3の係合段階およびステップb4の熱収縮工程と同様の操作を繰返す。繰返し工程において、断熱材32の半径方向外方に巻掛けられる防水体23は、直前に加熱されて熱収縮した熱収縮シート24に対して、軸線方向Xに隣り合う位置に巻掛けられる。このとき、防水体23は、直前に加熱されて熱収縮した熱収縮シート24に対して、軸線方向Xに部分的に重なるように巻き掛けられる。直前に熱収縮した熱収縮シート24と、巻掛けられる防水体23との軸線方向Xの重なりの、軸線方向Xの長さd2は、2cm以上3cm以内が好ましい。この軸線方向Xの重なりを「軸線方向重畳部分」と称する。
直前に防水体23を加熱したときに、熱収縮シート24の熱収縮に伴って接着層26は溶融し、接着剤となるので、接着剤が断熱材32の半径方向外方の表面に対して粘着した状態で、熱収縮シート24は熱収縮する。これによって、軸線方向重畳部分39では、接着層26または接着剤が、熱収縮した熱収縮シート24から半径方向外方に露出している。したがって、繰返し工程において、軸線方向重畳部分39を設けて防水体23を巻掛けることによって、巻掛けられた防水体23の接着層26と露出している接着層26または接着剤とが接触する。
繰返し工程においては、巻掛けられた防水体23のファスナ29を閉じ、防水体23を加熱する。これによって、軸線方向Xに隣り合う防水体23の接着層26同士は、一体化する。これによって、隣接する防水体23端部同士の境目を通して、半径方向外方から内方に水が通過することが防止される。巻掛けられた防水体23を加熱して熱収縮シート24の熱収縮を行った後、この熱収縮が行われた熱収縮シート24に軸線方向Xに隣接して、防水体23の断熱材32に対する巻掛けを行う。
繰返し工程において、ステップb2の巻掛け段階、ステップb3の係合段階およびステップb4の熱収縮工程と同様の操作を繰返すことによって、輸送管20と輸送管20の半径方向外方の断熱体22とは、軸線方向X一方から軸線方向X他方に向けて順次、防水体23によって包囲されていく。ステップb2の巻掛け段階およびステップb3の係合段階を含む包囲工程と、熱収縮工程と、繰返し工程とによって、輸送管20は軸線方向Xの全長にわたって、断熱体22と防水体23とによって包囲される。
第1実施形態によれば、包囲体21は、断熱体22と複数の防水体23を含んでいるので、複数の防水体23によって断熱体22を輸送管20の外周面に密着して固定することができる。また各防水体23は、熱収縮シート24を含んで構成されるので、防水体23を、半径方向外方から加熱し、温度を上昇させることによって、防水体23と断熱体22との間の空気を除きながら、断熱体22を輸送管20に対して押し付け、断熱体22と輸送管20との密着を確実にすることができる。
また各防水体23は、接着層26を含んで構成され、隣接する防水体23の接着層26同士は、接着層26の自己接着力によって一体化して形成され、輸送管20の軸線に関して環状に形成される。これによって、半径方向外方から断熱体22に水が浸透することを防止することができる。したがって、断熱材32の断熱効率の低下を防ぎ、輸送管20および輸送管20周囲の気体間の熱移動を遮断することができる。また断熱体22の劣化を抑制することができ、また輸送管20の外表面に水が接触することを防止することができる。これによって、輸送管20が腐食されることを防止することができる。
また第1実施形態によれば、包囲体21の装着方法は、断熱体配置段階を含んで構成される。これによって、輸送管20および輸送管20周囲の気体間の熱移動を遮断する断熱材32を、半径方向外方に配置することができる。また包囲体21の装着方法は、包囲工程を含んで構成される。包囲工程では、熱収縮シート24と接着層26とを有する防水体23によって、輸送管20周囲の断熱体22を包囲する。熱収縮シート24は、加熱して温度を上昇させると熱収縮する性質を有し、熱収縮する以前は表面積が熱収縮した後に比べて広いので、防水体23は、輸送管20周囲の断熱材32を容易に包囲することができる。
また包囲体21の装着方法は、熱収縮工程を含んで構成される。熱収縮工程では、防水体23を加熱し、防水体23を加熱し、軸線方向X一端部から軸線方向X他端部に向けて、温度上昇によって前記熱収縮シート24を順次熱収縮させるので、防水体23と断熱体22との間の空気を除きながら、断熱体22を輸送管20に対して押し付け、断熱体22と輸送管20との密着を確実にすることができる。
また包囲体21の装着方法は、繰返し工程を含み、繰返し工程では、包囲工程と熱収縮工程とを繰返しながら、熱収縮工程において隣接する防水体23の接着層26同士を、接着層26の自己接着力によって一体化させる。これによって、隣接する防水体23の接着層26同士の間を通して、半径方向外方から断熱体22に水が浸透することを防止することができる。したがって、断熱材32の断熱効率の低下を防ぎ、輸送管20および輸送管20周囲の気体間の熱移動を遮断することができる。また断熱体22の劣化を抑制することができ、また輸送管20の外表面に水が付着することを防止することができる。これによって、輸送管20が腐食されることを防止することができる。
また第1実施形態によれば、包囲工程は、巻掛け段階と係合段階とを含んで構成され、係合段階では巻掛け段階で巻掛けられた防水体23の各係合部27を、互いに係合する。これによって、防水体23が断熱体22を、半径方向外方から包囲した状態において、防水体23が輸送管20および断熱体22によって支持された状態を形成することができる。これによって、防水体23を断熱体22の周囲に支持するために、防水体23を外部から支持する必要がなくなる。したがって、係合段階を含まない方法に比べて、包囲工程の作業効率を高くすることができる。
また広げた状態において矩形である防水体23を装着する方法において、係合段階を含まない場合には、輸送管20が長ければ長いほど、包囲工程と、熱収縮工程とを多く繰返す必要があるけれども、係合段階を含む包囲体21の装着方法では、熱収縮工程に先立って、包囲工程において多くの防水体23を輸送管20周囲に配置することが容易になるので、包囲工程と熱収縮工程とを繰返す回数を低減することが可能になる。これによって、熱収縮工程において、多くの防水体23を連続的に加熱することが可能になるので、係合段階を含まない方法に比べて、包囲体21を装着する作業の効率を高くすることができる。
また第1実施形態において断熱材32の形状は半円筒形状であるので、輸送管20の軸線を挟む2つの半径方向外方から、断熱材32を輸送管20の周囲に装着することができる。これによって、輸送管20を支持する市中に輸送管20を取付けた後に、断熱材32を輸送管20の半径方向外方に配置することが可能になる。したがって、断熱材32がテープ状であって、断熱材32を輸送管20に対して巻付けて装着する場合に比べて、断熱材32の装着を容易にすることができる。
また第1実施形態において、防水体23は、係合部27を解除した状態で筒状ではなくシート状であるので、輸送管20を支持する支柱34に輸送管20を取付け、断熱体22を輸送管20の半径方向外方に配置した後に、防水体23を輸送管20の周囲に配置することが可能になる。
また第1実施形態において、包囲工程よりも前の状態で、係合部27の係合を解除した状態において、係合部27の一部分から係合部27の一部分に係合する他の部分までの、防水体本体28の長さは、防水体23が装着される部分の断熱体22の、断熱材32外周長さよりも長い。これによって、包囲工程で輸送管20周囲に配置された防水体23の、輸送管20の周方向の長さは、断熱材32外周長さよりも長く、係合部付近重畳部分38が形成される。したがって、係合部27を通して半径方向外方から水が浸透することを防止することができる。
また第1実施形態において、熱収縮行程では、断熱材32の半径方向外方の表面に接触した接着層26は溶融し、輸送管20の周方向の熱収縮シート24の長さおよび軸線方向Xの熱収縮シート24の長さは短くなる。これによって、接着剤は熱収縮シート24よりも周方向および軸線方向Xに長くなる。したがって、係合部付近重畳部分38において、半径方向内方の接着剤と半径方向外方の接着剤とを接触させ、互いに一体化させることができる。また繰返し工程において、隣接する防水体23の接着層26同士または接着層26と接着剤とを接触させ、一体化させることができる。これによって、防水体23端部同士のつなぎ目において、半径方向外方から水が浸透することを防止することができる。
図13は、本発明の第2実施形態において使用する防水体23の斜視図である。図14は、本発明の第2実施形態において使用する防水体23を、図13とは異なる向きから見た防水体23の斜視図である。第2実施形態において防水体23は、筒状に形成され、軸線方向Xに折畳まれた状態で供給される。折畳まれた防水体23には、断熱体22によって包囲された輸送管20が断熱体22とともに貫通できる内部空間41が形成される。この内部空間41は、防水体23を切断または切欠くことによって形成されるものではなく、展開された筒状の防水体23が規定する内部空間と、位相幾何学的に同じ空間である。筒状の防水体23は、折畳みによって形成される形状が、軸線方向Xに繰返されて形成される。図13には、折畳まれることによって、軸線方向Xに見て、大略的に四角の形状に形成される防水体23を示した。しかし折畳まれた防水体23は、軸線方向Xに折畳まれ、展開された筒状の防水体23が規定する内部空間と、位相幾何学的に同じ内部空間41が形成され、断熱体22によって包囲された輸送管20が断熱体22とともに貫通できる内部空間41が形成されていれば、足りる。たとえば他の実施形態において折畳まれた防水体23は、軸線方向Xに見て大略的に六角形の形状に形成されていてもよく、さらに他の実施形態においては、軸線方向Xに見て大略的に円形に形成されていてもよい。
図15は、本発明の第2実施形態に係る包囲体21の装着方法の工程を表すフローチャートである。第2実施形態において、包囲体21の装着方法は、断熱体配置段階と、包囲工程と、熱収縮工程と、繰返し工程とを含んで構成され、包囲工程は、配置段階と展開段階とを含んで構成される。本処理開始後、ステップc1の断熱体配置段階に移行し、輸送管20の周囲に断熱体22を配置する。次にステップc2の配置段階に移行する。配置段階では、折畳まれた防水体23を、輸送管20周囲の断熱体22のさらに半径方向外方に、配置する。配置される防水体23は、1つであっても、また複数であってもよい。
次にステップc3の展開段階に移行し、折畳まれた防水体23を軸線方向Xに展開する。これによって、断熱体22および輸送管20の、軸線方向Xの少なくとも一部は、防水体23によって包囲される。次にステップc4の熱収縮工程に移行し、防水体23の半径方向外方から防水体23を加熱することによって、熱収縮シート24を熱収縮させる。次にステップc5の繰返し工程に移行し、配置段階と同様の操作、展開段階と同様の操作および熱収縮行程と同様の操作を繰返す。
繰返し工程において、断熱材32の半径方向外方に配置される防水体23は、直前に加熱されて熱収縮した熱収縮シート24に対して、軸線方向Xに隣り合う位置に配置され、展開される。展開されたとき、防水体23は、直前に加熱されて熱収縮した熱収縮シート24に対して、軸線方向Xに部分的に重なるように配置される。直線に熱収縮した熱収縮シート24と、新たに配置される防水体23との軸線方向Xの重なりの軸線方向Xの長さd2は、2cm以上3cm以内が好ましい。換言すれば、繰返し工程において防水体23は、展開された後、軸線方向重畳部分39を形成して配置される。
直前に防水体23を加熱したときに、熱収縮シート24の熱収縮に伴って接着層26は溶融し、接着剤となるので、接着剤が断熱材32の半径方向外方の表面に対して粘着した状態で、熱収縮シート24は熱収縮する。これによって、軸線方向重畳部分39では、接着層26または接着剤が、熱収縮した熱収縮シート24から半径方向外方に露出している。したがって、繰返し工程において、軸線方向重畳部分39を設けて防水体23を配置することによって、新たに配置された防水体23の接着層26と露出している接着層26または接着剤とは接触する。
繰返し工程においては、折畳まれた防水体23を展開した後、防水体23を加熱する。これによって、軸線方向Xに隣り合う防水体23の接着層26同士は、一体化する。これによって、隣接する防水体23端部同士の境目を通して、半径方向外方から内方に水が通過することが防止される。展開して配置された防水体23を加熱して熱収縮シート24の熱収縮を行った後、この熱収縮が行われた熱収縮シート24に軸線方向Xに隣接して、防水体23の断熱材32に対する配置を行い、また防水体23を展開する。繰返し工程によって、輸送管20全体を半径方向外方から包囲体21によって包囲し終えた後、本処理は終了する。
ステップc1の断熱体配置段階は、第1実施形態におけるステップb1の断熱体配置段階と同様である。ステップc4の熱収縮工程は、第1実施形態におけるステップb4の熱収縮工程と同様である。
図16は、本発明の第2実施形態において包囲体が輸送管を半径方向外方から包囲した状態を表す斜視図である。折畳まれた状態における防水体を、軸線方向に見たときの形状は、矩形であったけれども、熱収縮工程を経て熱収縮シートが熱収縮すると、防水体は輸送管の半径方向外方の外周面に密着し、輸送管の形状にあった形状となる。
第2実施形態によれば、包囲工程は、配置段階を含み、配置段階では、折り畳まれた防水体23に対して、断熱体22で包囲された輸送管20を断熱体22とともに貫通させる。防水体23は軸線方向Xに折り畳まれた状態であるので、軸線方向Xの防水体23の長さが、防水体23を広げた状態に比べて短い。したがって、防水体23を展開した状態で防水体23を輸送管20の半径方向外方に配置するときに比べて、防水体23を輸送管20の半径方向外方に配置することが容易になる。また輸送管20の軸線方向Xに延びる一定の長さの領域において、多くの防水体23を配置することができる。
また第2実施形態において、熱収縮行程では、断熱材32の半径方向外方の表面に接触した接着層26は溶融し、軸線方向Xの熱収縮シート24の長さは短くなる。これによって、接着剤は熱収縮シート24よりも軸線方向Xに長くなる。また繰返し工程において、隣接する防水体23の接着層26同士または接着層26と接着剤とを接触させる。これによって、軸線方向Xに隣り合う防水体23の接着層26を一体化させることができる。したがって、防水体23端部同士のつなぎ目において、半径方向外方から水が浸透することを防止することができる。
図17は、本発明の第3実施形態において使用する複数の防水体23の斜視図である。第3実施形態において防水体23は、筒状に形成され、1つの防水体23内に他の防水体23の軸線方向Xの少なくとも一部が収納され、半径方向に重畳される複数の防水体23として供給される。重畳される複数の防水体23の周方向の長さは、それぞれ互いに異なり、軸線方向Xの各防水体23の長さは、いずれも同じであるものとする。第3実施形態において重畳された複数の防水体23は、いずれも軸線方向Xに同じ長さであり、他の防水体23に収納される防水体23は、その軸線方向Xの長さ全体にわたって収納される。
図18は、本発明の第3実施形態に係る包囲体21の装着方法の工程を表すフローチャートである。第3実施形態において、包囲体21の装着方法は、断熱体配置段階と、包囲工程と、熱収縮工程と、繰返し工程とを含んで構成され、包囲工程は、配置段階と重畳解除段階とを含んで構成される。本処理開始後、ステップd1の断熱体配置段階に移行し、輸送管20の周囲に断熱体22を配置する。次にステップd2の配置段階に移行する。配置段階では重畳された複数の防水体23を、輸送管20周囲の断熱体22のさらに半径方向外方に、配置する。
次にステップd3の重畳解除段階に移行し、1つの防水体23内に他の防水体23の軸線方向Xの少なくとも一部が収納され、半径方向に重畳される複数の防水体23を、軸線方向Xに並べ、これによって、断熱体22および輸送管20の、軸線方向Xの少なくとも一部は、防水体23によって包囲される。防水体23同士が半径方向に重なる部分の、軸線方向Xの長さを、防水体23同士の相対位置を変化させることによって短くすることを「重畳の解除」と称する。次にステップd4の熱収縮工程に移行し、防水体23の半径方向外方から防水体23を加熱することによって、熱収縮シート24を熱収縮させる。次にステップd5の繰返し工程に移行し、配置段階と同様の操作、重畳解除段階と同様の操作および熱収縮工程と同様の操作を繰返す。
繰返し工程において、断熱材32の半径方向外方に配置される防水体23は、直前に加熱されて熱収縮した熱収縮シート24に対して、軸線方向Xに隣り合う位置に配置され、重畳が解除される。重畳の解除が行われて断熱体22の半径方向外方に配置されたときに、防水体23は、直前に加熱されて熱収縮した熱収縮シート24に対して、軸線方向Xに部分的に重なるように配置される。直線に熱収縮した熱収縮シート24と、新たに配置される防水体23との軸線方向Xの重なりは、2cm以上3cm以内が好ましい。換言すれば、繰返し工程において防水体23は、展開された後、軸線方向重畳部分39を形成した状態で配置される。
直前に防水体23を加熱したときに、熱収縮シート24の熱収縮に伴って接着層26は溶融し、接着剤となるので、接着剤が断熱材32の半径方向外方の表面に対して粘着した状態で、熱収縮シート24は熱収縮する。これによって、軸線方向重畳部分39では、接着層26または接着剤が、熱収縮した熱収縮シート24から半径方向外方に露出している。したがって、繰返し工程において、軸線方向重畳部分39を残して防水体23を配置することによって、新たに配置された防水体23の接着層26と露出している接着層26または接着剤とは接触する。
繰返し工程においては、半径方向に重畳された防水体23について重畳の解除を行った後、防水体23を加熱する。これによって、軸線方向Xに隣り合う防水体23の接着層26同士は、一体化する。これによって、隣接する防水体23端部同士の境目を通して、半径方向外方から内方に水が通過することが防止される。展開して配置された防水体23を加熱して熱収縮シート24の熱収縮を行った後、この熱収縮が行われた熱収縮シート24に軸線方向Xに隣接して、防水体23の断熱材32に対する配置を行い、また防水体23を展開する。繰返し工程によって、輸送管20全体を半径方向外方から包囲体21によって包囲し終えた後、本処理は終了する。
ステップd1の断熱体配置段階は、第1実施形態におけるステップb1の断熱体配置段階と同様である。ステップd4の熱収縮工程は、第1実施形態におけるステップb4の熱収縮工程と同様である。第3実施形態において輸送管の半径方向外方に装着された包囲体は、第2実施形態において図11に示した状態と同じである。
第3実施形態によれば、包囲工程は、配置段階を含み、配置工程では、防水体23が重畳された状態で、防水体23を輸送管20の半径方向外方に配置する。防水体23は重畳された状態であるので、輸送管20の軸線方向Xに延びる複数の防水体23の長さは、複数の防水体23の重畳を解除した状態に比べて短い。したがって、複数の防水体23を、重畳されない状態で輸送管20の半径方向外方に配置するときに比べて、複数の防水体23を輸送管20の半径方向外方に配置することが容易になる。また輸送管20の軸線方向Xに延びる一定の長さの領域において、多くの防水体23を配置することができる。これによって、重畳解除段階において輸送管20の半径方向外方に防水体23を配置するときの作業効率を高くすることができる。
また第3実施形態において、熱収縮行程では、断熱材32の半径方向外方の表面に接触した接着層26は溶融し、軸線方向Xの熱収縮シート24の長さは短くなる。これによって、接着剤は熱収縮シート24よりも軸線方向Xに長くなる。また繰返し工程において、隣接する防水体23の接着層26同士または接着層26と接着剤とを接触させる。これによって、軸線方向Xに隣り合う防水体23の接着層26を一体化させることができる。これによって、防水体23端部同士のつなぎ目において、半径方向外方から水が浸透することを防止することができる。
第1〜第3実施形態において輸送管20は、LNGを輸送する輸送管20であるものとしたけれども、本発明において輸送管20は、流体を輸送する管であれば、足りる。たとえば他の実施形態において輸送管20は、液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas, 略称:「LPG」)を輸送する輸送管20であってもよく、さらに他の実施形態において輸送管20は、環境温度よりも低い温度の気体を輸送する輸送管20であってもよい。
第1〜第3実施形態において輸送管20は、円筒形状の筒状の管であるものとしたけれども、本発明において輸送管20の形状は規定しない。たとえば他の実施形態において輸送管20は、角パイプであってもよい。
第1〜第3実施形態において断熱体22に含まれる断熱材32は、半円筒の形状であるものとしたけれども、本発明において断熱材32は、輸送管20の半径方向外方から輸送管20を包囲し、輸送管20を熱移動に関して遮蔽する材料であれば、足りる。たとえば他の実施形態において断熱材32は、テープ状の形状でもよく、また筒状の形状で、周方向の一部が切断された材料であってもよい。
第1実施形態において係合部27は、ファスナ29であるものとしたけれども、本発明において係合部27は、防水体本体28の平行な2つの辺部またはその付近にそれぞれ設けられ、かつ互いに係合され、互いに係合する係合部27のうちの一部分は、防水体本体28の1つの辺を成す一端部に、その辺に沿って形成され、係合部27のうちの他の部分は、その辺と平行な他の辺を成す他端部付近に、防水体23の他の辺に平行に形成されるならば、足りる。たとえば他の実施形態において係合部27は、ボタンを含んで形成されてもよい。また、第1実施形態において、防水体本体28の他端部と係合部27の他の部分との距離d1は、2cm以上または3cm以内に設定されるものとしたけれども、他の実施形態において防水体本体28の他端部と係合部27の他の部分との距離は、2cm以内であっても、また3cm以上であってもよい。
第1〜第3実施形態において、断熱体配置段階では、断熱体22によって輸送管20全体を包囲するものとし、繰返し工程は、包囲工程と同様の操作と熱収縮工程と同様の操作とを含んで構成されるとしたけれども、他の実施形態では、断熱体配置段階において断熱体22のうちの一部の断熱材32を輸送管20周囲に配置し、繰返し工程ではは、断熱材32を輸送管20に対して半径方向外方から配置する操作を、さらに行ってもよい。
第1実施形態における繰返し工程では、防水体23の巻掛けを行う操作と防水体23の係合部27を係合させる操作とを含む処理が行われるけれども、他の実施形態において繰返し工程では、複数の防水体23の巻掛けを行う操作と、複数の防水体23の係合部27の係合を行う操作とを含む処理が行われてもよい。
第2実施形態における繰返し工程では、折畳まれた防水体23に形成される内部空間41に、断熱体22によって包囲された輸送管20を断熱体22とともに貫通させて、防水体23を断熱体22の半径方向外方に配置する操作と、折畳まれた防水体23を軸線方向Xに展開する操作とを含む処理を行う。この繰返し工程は、軸線方向Xに繋がる輸送管20に対して、折畳まれた複数の防水体23を配置し、折畳まれた複数の防水体23を軸線方向Xに展開する操作とを含む処理であってもよい。
第3実施形態における繰返し工程では、重畳された複数の防水体23を、断熱体22の半径方向外方に配置する操作と、重畳された複数の防水体23を軸線方向Xに並べて配置する操作とを含む処理を行うけれども、他の実施形態において繰返し工程では、重畳された複数の防水体23を1組として、複数の組の重畳された防水体23を軸線方向Xに並べて輸送管20の周囲に配置する操作と、複数の組の重畳された防水体23を軸線方向Xに並べる操作とを含む処理を行ってもよい。
第1〜第3実施形態において断熱体22および防水体23は、輸送管20を半径方向外方から包囲するものとしたけれども、他の実施形態において断熱体22および防水体23は、輸送管20を支持する支柱34に対して、支柱34の外周部をも包囲するように配置されてもよい。
第2実施形態において包囲体21の装着方法は、断熱体配置段階と、包囲工程と、熱収縮工程と、繰返し工程とを含んで構成されるけれども、他の実施形態において包囲体21の装着方法は、防水体23を、軸線方向Xに折畳み、展開された筒状の防水体23が規定する内部空間と位相幾何学的に同じ内部空間41が形成し、断熱体22によって包囲された輸送管20が断熱体22とともに貫通できる内部空間41を形成する折畳み工程をさらに含んで構成されてもよい。
第3実施形態において防水体23の、他の防水体23に収納される部分の軸線方向Xの長さは、防水体23の軸線方向Xの長さと同じであるものとしたけれども、他の実施形態において防水体23の、他の防水体23に収納される部分の軸線方向Xの長さは、防水体23の軸線方向Xの長さよりも短くてもよい。他の防水体23に収納される部分の軸線方向Xの長さが長ければ長いほど、重畳された複数の防水体23は、軸線方向Xに短くなるので、複数の防水体23を断熱体22の半径方向外方に配置する操作は容易になるけれども、重畳される防水体23が軸線方向Xにずれることは構わない。