JP2008246961A - 可変色性シート及び可変色性壁面装飾材 - Google Patents

可変色性シート及び可変色性壁面装飾材 Download PDF

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Abstract

【課題】太陽光、蛍光灯、白熱電球等の種々の外部光源下において、それぞれ異なった色調に変色して見えるように構成され、例えば、昼と夜とでは異なる色調に視認されることにより雰囲気を変えることが可能な可変色性のシートを提供する。
【解決手段】合成樹脂中に、ホルミウム(Ho)、ネオジム(Nd)、エルビウム(Er)から選ばれる希土類元素の酸化物を1種類あるいは2種類以上を添加して形成される可変色性の着色層2に、可視光域の日射反射率が高い反射層3を積層して可変色性シート1を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば昼と夜とにおいて視覚的に認識される色合いを変化させることによって雰囲気を変えることができるように構成された可変色性のシートに関する。より詳しくは、太陽光、蛍光灯、白熱電球等の種々の外部光源を照射することによって、それぞれ異なった色調に変色して見えるように構成された可変色性シート、及びこれを壁紙材として用いられる可変色性壁面装飾材に関するものである。
従来から、種々の物品が、外部刺激の変化により異なった色合いを示すことが知られている。
例えば、室内装飾材として用いられる壁紙、壁布、漆喰、壁面用塗料等は、日中と夜間とでは異なる雰囲気を与えることが知られている。より詳しく述べると、例えば日本では壁面装飾材としては白を基調にしたものが好まれる傾向にあり、このように白を基調にした壁面装飾材は一般に日中の太陽光が降り注ぐ環境において明るい室内を提供することができるという効果を有する。しかしながら、上記白色主体の壁面装飾材は、夜間、照明が蛍光灯や白熱電球を光源とした場合、日中に得られていた明るい白色主体のものではなく、やや暗みがかかった冷たい印象を与える白に認識される傾向にある。
このように同一の物品において、外部刺激の変化、即ち照射される光源が太陽光から、蛍光灯や白熱灯などの室内灯などの異なった光源への変化により、認識される色調が変化することを演色性という。
上記演色性を積極的に利用して物品の色調を変化させる技術が従来から研究されている。例えば、特定の希土類元素の酸化物には、可視光領域の特定波長において特異的な吸収ピークを示すものがあることが知られている。上記希土類元素を利用して、照射される光源の波長分布の変化により、反射されて人間の目に視認される色相が異なって見えることを利用する試みがなされている。これは、分光分布の異なる光源を物体に照射したときに、色の見え方が異なる演色現象を発現させることを利用し、太陽光下、蛍光灯下、白熱電球下等の異なった種類の外部光源に照射されたとき、その光源の波長分布に応じてそれぞれ特有な色調に変化して見えることを利用するものである。
例えば、下記特許文献1には、ホルミウム(以下、「Ho」ともいう。)、ネオジム(以下、「Nd」ともいう。)、プラセオジム(以下、「Pr」ともいう。)の酸化物が可視光域に特異的な吸収ピークを持ち、外部光源の変化に伴い、吸収する光の強さが変わる為に演色性を発現する事が報告されている。
また下記特許文献2には、演色性を発揮させることができるセラミック製品が開示され、特許公報1と同様にHo、Nd、Prの酸化物を用い、これをセラミックに混ぜ込むことにより演色性を持つ陶器に関する記載がなされている。
また下記特許文献3には、ABS系樹脂あるいはポリカーボネート系樹脂に、ポリオルガノシロキサンを添加して、酸化ホルミニウム微粒子を配合してなる可逆変色性を有する熱可塑性樹脂組成物に関する発明が開示されている。特許文献3に開示される発明は、ポリカーボネート系樹脂に酸化ホルミニウムを練り込む際に、ポリオルガノシロキサンも同時に配合することにより、練り込み時の発泡を防止し、機械的強度や熱安定性の向上した熱可塑性樹脂組成物が得られるという知見に基づくものであり、樹脂中に酸化ホルミニウムを練り込むための技術に関する。
また演色性以外にも、外部刺激により色調が変化する材料として、各種のクロミック材料が知られている。
例えばフォトクロミック材料は、ある特定の波長の光を照射することにより化合物が励起し、それが定常状態へ戻るときに別の波長の光として発光するものであり、また、サーモクロミック材料は、熱により化合物が変成し、異なる色として発色するものである。また、エレクトロクロミック材料は、電気的な刺激により、変成し、異なる色を発色するものである。
この様な状況のもと、外部刺激によって色調変化が生じる可変色性のシート材料であって、色調変化が瞬時に現れるとともに、視覚的にはっきり認識されるものであり、且つ変化前後の色調が好ましい色合いの可変色性のシート材料が求められていた。特に、太陽光が光源となる日中と、白熱電球や蛍光灯が光源となる夜間とで、色調の変化が好ましく認識される壁面装飾材の提供が求められていた。
特開平11−246219号公報 特開2002−255673号公報 特開2001−294725号公報
しかしながら、特許文献1においては、演色性の発現が可能な材料の分光特性と材料そのものの製造方法のみが開示されているにすぎず、具体的な使用用途が記されていなかった。
また特許文献2には、セラミック中に希土類元素を混ぜ込んで高温焼成する際に、高温下での該材料の変質を防止する方法に関して記述されているに過ぎず、一方、特許文献3には、熱可塑性樹脂に酸化ホルミニウム微粒子とポリオルガノシロキサンを添加して得られる成形体に関するものであり、単純に熱可塑性樹脂と該微粒子を混合したものが開示されているに過ぎず、いずれもシートとしての利用については何等記載されていなかった。
その上、特許文献1〜3に開示される特定の希土類元素の酸化物を利用して得られる演色性の反応は、いずれも瞬時に色調が変化するものの、目視により色調の変化を確認することは難しく、壁面装飾材として求められるに十分な演色性を示すものではなかった。
また上述するクロミック材料は、いずれも応答速度が遅く、瞬時に反応するものではない上、材料の耐久性の問題から使用寿命に限界があり、長期間の可変色性効果を期待できなかった。特にフォトクロミック材料は上記希土類元素と同様に光源の違いにより可変色性を呈する物であるが、有機化合物であるため耐候性や耐熱性に問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、外部刺激によって色調変化が生じる可変色性のシート材料であって、色調変化が瞬時に現れるとともに、視覚的にはっきり認識されるものであり、且つ変化前後の色調が好ましい色合いの可変色性のシート材料を提供することを目的とするものである。
本発明は、特定の希土類元素が呈する演色性を利用する可変色性のシートであって、合成樹脂中に特定の希土類元素を含有せしめて形成した可変色性着色層に反射層を積層させることによって、可変色性着色層に照射された光のうち、該可変色性着色層を透過した光を、上記反射層によって反射させ、再度、可変色性着色層を透過させることを特徴とするものである。
即ち本発明は、
(1)合成樹脂中に少なくともホルミウム(Ho)、ネオジム(Nd)、エルビウム(Er)から選ばれる希土類元素の酸化物を1種または2種以上含有させてなる可変色性着色層の一方の面に、可視光域において反射性を有する反射層が積層されていることを特徴とする可変色性シート、
(2)前記反射層の可視光域の日射反射率が70%以上であることを特徴とする上記(1)に記載の可変色性シート、
(3)前記可変色性着色層の可視光域の日射透過率が60%以上であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の可変色性シート、及び、
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の可変色性シートであって、前記反射層が壁部材側に位置し、前記可変色性着色層が前記反射層よりも外側に位置して用いられることを特徴とする可変色性壁面装飾材、
を要旨とするものである。
尚、本発明において「可視光域」とは、約380nm〜約780nmの波長領域のことを意味する。また「可視光域において反射性」を有するとは、可視光域において有意な日射反射率が示されることをいう。
上記「日射反射率」とはJIS−A−5759に規定される反射率のことをいう。
本発明は、好ましい演色性を発揮することが可能なホルミウム(Ho)、ネオジム(Nd)、エルビウム(Er)から選ばれる希土類元素の酸化物を合成樹脂に含有させてなる可変色性着色層に、可視光域の光を反射することができる反射層を積層させたことにより、入射光の利用効率を高めることを可能とした。即ち、可変色性着色層側から光を照射した場合に、該可変色性着色層において反射あるいは吸収されずに透過した光を、上記反射層で反射させ、その反射光を、上記入射光とは略反対の方向から可変色性着色層に再度入射させることにより、希土類元素の酸化物に吸収される光の量を増加させることに成功した。
この結果、本発明の可変色性シートおよびこれを用いる可変色性壁面装飾材では、上記希土類元素の存在に起因する演色性が十分に発揮され、光源の違いにより変化する色相がいずれも美麗であって、且つ明確に視認される。しかもクロミック材料などとは異なり、瞬時に色調の変化を生じさせることができる。
さらに、上記反射層によって反射された光のうち、可変色性着色層を透過した光は、反射光として視認されるので、可変色性着色層の表面の明度を向上させることができる。したがって、本発明の壁面装飾材を用いて、室内の壁を装飾した場合には、日中の太陽光の下において、明度が高く、且つ色調の美しい壁面を提供することができるだけでなく、夜間、蛍光灯や白色等などの光源下においても、明度が良好で、且つ日中とは明確に色調の異なる壁面を提供することが可能である。
以下に本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(可変色性着色層について)
本発明の可変色性シートは、少なくとも可変色性着色層と反射層とが積層されて形成される積層構造体である。上記可変色性着色層は、合成樹脂中に希土類元素の酸化物が添加されて構成されており、演色性を発揮せしめる層である。
希土類元素について:
本発明者らは、種々の物質、特に希土類元素について検討したところ、ホルミウム(Ho)、ネオジム(Nd)、またはエルビウム(Er)の酸化物は可視光域に複数の吸収ピークを有し、照射される光源の種類によって、異なる色彩であって且つ美麗な色彩を示すという結果を得て、これら酸化物を本発明の可変色性着色層に含有せしめることとした。上記3種類の酸化物は、いずれか1種を用いれば、各酸化物に特有の色調を発揮するシートを得ることができ、またさらに微妙な色彩を発揮するシートを得るために、これら酸化物を任意に組み合わせて添加することも可能である。
尚、その他の希土類元素、例えば従来から演色作用を呈することが知られるプラセオジム(Pr)に関しても同様に検討したが、種々の光源下において呈する色相が、いずれも濃く明度が低いために、好ましい色合いを示すとは言いがたいことがわかった。その上、少量の添加量では有効な演色性を得られず、一方、添加量を増やすと明度が落ちてしまいさらに暗い色調で視認されるため、本発明を構成するに望ましくない。特に壁面装飾材として本発明のシートを用いたときに望ましい効果が得られないため、本発明を構成する希土類元素からは除外した。
上記Ho酸化物(Ho23)は、可視光域において460nm、540nmおよび650nm付近に主要な吸収ピークを有する。この為、太陽光線を照射すると薄い黄色を呈し、通常型蛍光灯(昼白色)の光を照射するとほぼ白色に見え、更に三波長域発光型蛍光灯(昼白色)の光を照射すると濃い桃色から橙色を呈する。
また上記Nd酸化物(Nd23)は、太陽光線では薄い藤色を、三波長域発光型蛍光灯(昼白色)では薄い青色を呈する。
また上記Er酸化物(Er23)は、太陽光では、薄い桃色を、三波長域発光型蛍光灯(昼白色)の光を照射するとオレンジ色を呈する。
上述するとおり、本発明の可変色性着色層に含有される希土類元素の酸化物は、太陽光あるいは日常において汎用される光源に対し、いずれも明るく美麗な色調を呈するものである。
本発明に使用される希土類元素の酸化物は、従来公知の各種の方法で製造されたものを任意選択して用いることができる。製造方法の例としては、いずれかの金属またはこれらの金属の水酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩などの化合物をプラズマ法によって加熱気化させ、上記希土類金属の蒸気を酸化、冷却することにより、酸化物を製造する方法が挙げられ、特に、直流アークプラズマ法が生産性などの点から最も好ましい製造方法である。
直流プラズマアーク法は、前記の希土類金属原料をアノード電極とし、カソード電極からアルゴンガスのプラズマフレームを発生させ、前記原料を加熱、蒸発させ、その金属蒸気を酸化、冷却することにより、粒子径がある程度小さな酸化物微粒子を製造することが可能となる。
上記希土類元素の酸化物の平均粒子径としては、好ましくは0.1μm以上20μm以下、より好ましくは0.5μm以上10μm以下の範囲内である。これら希土類元素酸化物の平均粒子径が20μmを越える場合には、外部光源の種類に応じた色調の変化が小さくなり、充分な演色性を発揮させることができなく好ましいものではない。また上記平均粒子径が0.1μmを下回ると粒子同士が凝集しやすいことから好ましくない。
該希土類元素の酸化物の純度は、高い演色性を発揮させるために、95〜100%であるのが好ましく、99〜100%であることがより好ましい。
本発明における可変色性着色層に含有される上記希土類元素酸化物の添加量は、シートにおいて所望される色調変化の度合いなどを勘案して任意に決定することができる。一般的には、添加量を多くすると種々の光源下における色調の変化の度合いの大きいシートを得ることができる。ホルミウム、ネオジム及びエルビウムは、いずれも上述するプラセオジムのように添加量を増加させることによって、好ましくない程度に明度が低減する虞がない。
ただし、主として経済的な理由から、所望される色調変化を呈することが可能な範囲において、なるべく上記希土類元素の添加量を少なくすることが望ましい。ここで、本発明の可変色性シートであれば、後述する反射層が上記可変色性着色層に積層されることから、希土類元素の添加量が少なくても、好ましい色調変化、及び明度を発揮せしめることが可能である。より具体的には、可変色性着色層を構成する合成樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上10重量部以下、より好ましくは1.0重量部以上5.0重量部以下の添加量で、本発明の可変色性着色層を構成することが可能である。
合成樹脂について:
本発明における可変色性着色層を構成する合成樹脂としては、上記希土類元素を含有してシート状に成形可能な合成樹脂であれば従来公知の合成樹脂を適宜選択して用いることができる。特に、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などが好ましい合成樹脂として選択される。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと他のモノマー、例えば酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリルなどとの共重合体のほか、ポリ塩化ビニルと他のポリマーとの混合物を使用することができる。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの単独重合体、エチレンやプロピレンなどのオレフィン系モノマーと他のモノマー、例えば酢酸ビニル、αオレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アルキルビニルエーテル、アクリロニトリルなどとの共重合体のほか、ポリエチレンやポリプロピレンと他のポリマーとの混合物を使用することができる。
上記アクリル系樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの単独重合体、およびこれらのモノマーから選ばれる2種以上の共重合体を使用することができる。また、上記モノマーと共重合可能なモノマー、例えばアクリロニトリル、ブタジエンなど、との共重合体を使用することができる。
上述する合成樹脂のうち、特に可塑剤を添加した軟質ポリ塩化ビニルが好適に使用され、さらにポリ塩化ビニル系樹脂が乳化重合されたことを特徴とするペースト樹脂を使用することがより好ましい。
その他の添加剤について:
また上記可変色性着色層を構成する合成樹脂には、上記特定の希土類元素の酸化物のほか、必要に応じて他の添加剤を添加することができる。他の添加剤の例としては、着色剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗酸化剤、充填剤等の各種添加剤を挙げることができる。以下に、これらの添加剤についてより詳しく述べる。
着色剤としては、従来の公知の顔料あるいは染料を用いてよく、上記希土類元素の酸化物が呈する色合いにさらに微妙な色調を発揮させるために、上記希土類元素の酸化物とともに合成樹脂に混合させることができる。かかる場合において、あまり着色度合いが強く隠蔽性が大きい着色剤を選択すると、シート表面において希土類元素の演色性が視認されにくくなる虞があるので、この点を勘案して添加する顔料や染料、あるいはその添加量を決定する必要がある。特に酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラックの如き隠蔽性の高い着色剤を使用することは演色性の効果を低減させる虞があるため、着色剤として適当ではない。
可塑剤としては、ジ−2−エチルヘキシルフタレートなどのフタル酸エステル系可塑剤;トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル系可塑剤;エポキシ化大豆油などのエポキシ系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルアジペートなどの脂肪酸エステル系可塑剤;トリメリット酸エステル系可塑剤;ポリエステル系可塑剤等から選ばれるものを添加剤として使用することができる。
安定剤としては、ステアリン酸バリウムなどの高級脂肪酸の金属塩;高級脂肪酸のバリウム塩と亜鉛塩の複合などの金属塩; p−t−ブチル安息香酸亜鉛などのアルキル安息香酸の金属塩;リシノール酸バリウムなどの金属石鹸;トリフェニルホスファイトなどの有機ホスファイト系安定剤、ジブチル錫ジラウレートなどの錫系安定剤などを添加剤として使用することができる。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。ノニオン系界面活性剤としては、ソルビタン、グリセリンなどの多価アルコールと脂肪酸のエステル、多価アルコールと脂肪酸および二塩基酸とのエステル、あるいはこれらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加した化合物や、フッ素系界面活性剤を使用することができる。
滑剤としては、ステアリン酸などの脂肪酸系滑剤、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアロアミドなどの脂肪酸アミド系滑剤、ブチルパルミテートなどのエステル系滑剤、バリウムイソデシルホスフェートなどの有機リン酸金属塩系滑剤、ポリエチレンワックス、流動パラフィンから選ばれる1種以上の滑剤を使用することができる。
発泡剤としては、熱可塑性樹脂からなる殻にブタン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素などの熱膨張性物質を包含させたマイクロカプセル型発泡剤、N’,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N’,N’−ジメチル−N’,N’−ジニトロソテレフタルアミド、アゾジカルボアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゼンスルホニルヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ベンゼン−1,3−ジスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジドなどの熱分解型発泡剤などを使用することができる。ただし、可変色性着色層にこれら発泡剤を添加すると、可視光域の日射反射率が大きくなりやすいため、可視光域の日射透過率が小さくなる虞があり、使用する場合には添加量等を適宜調整する必要がある。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤から選ばれる1種以上を使用することができる。
光安定剤としては、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリアジン−2,4,6−トリカルボキシレートなどのヒンダードアミン系光安定剤を使用することができる。
酸化防止剤としては、一般に使用されているフェノール系抗酸化剤、チオプロピオン酸エステル系抗酸化剤、脂肪族サルファイド系抗酸化剤等を使用することができる。
充填剤としては、加工温度で溶融、分解などの物理的、化学的な変化を起こさない耐熱性に優れた無機質および/または有機質の充填剤であればいずれのものでも使用可能である。具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウム系ケイ酸塩、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、ハイドロタルサイトなどの無機質充填剤のほか、架橋塩化ビニル樹脂粉末、アクリル系樹脂粉末、ポリウレタン粉末などの架橋された合成樹脂の粉末などの有機質充填剤を挙げることができる。
可変色性着色層の日射透過率について:
上記可変色性着色層は、上述のとおり合成樹脂に少なくとも特定の希土類元素の酸化物が添加されて構成され、且つ該可変色性着色層に後述する反射層が積層されることによって本発明の可変色性シートの該可変色性着色層側表面において良好な演色性が発揮されるものである。かかる本発明において、後述する反射層の反射効果を十分に獲得し、上記演色性が良好に視認されるためには、可変色性着色層の可視光域の日射透過率が60%以上であることが望ましい。可変色性着色層の可視光域の日射透過率が60%未満となると、該可変色性着色層を透過し、反射層により反射されて、再度、可変色性着色層を通過する光量が少なく、また、光源の変化による演色が視認されにくい。上記望ましい日射透過率を得るためには、用いられる合成樹脂の透明性や添加剤の種類及び添加量などを勘案することが望ましい。
上記「日射透過率」とは、可視光域における波長が透過する率を示すもので、JIS−A−5759に準拠して計測される。
可変色性着色層の厚みについて:
尚、可変色性着色層の厚みは特に限定はなく、本発明のシートが用いられる用途や、添加される希土類元素の酸化物の量、あるいは該着色層を構成する合成樹脂の透過率などを勘案して、適宜決定することができる。本発明の可変色性シートが壁紙として用いられる場合も同様であるが、壁紙としては一般的には、上記可変色性着色層の厚みは、50μm〜200μm程度であることが好ましい。
(反射層について)
次に本発明における反射層について述べる。本発明の反射層は、上記可変色性着色層に積層される層であって、可視光域の光に対して反射性を示す層である。本発明の可変色性シートにおいて十分に豊かな演色性を獲得するためには、上記反射層の反射性は、JIS−Aー5759に規定される380nm以上780nm以下の可視光領域における日射反射率が70%以上の高反射性であることが望ましい。
以下に、本発明における反射層を設けることにより、希土類元素の演色性が良好に発揮される理由について説明する。
一般的に、物質に入射される光は、一部が反射され、一部が吸収され、残りは透過される。上記光の反射、吸収及び透過の量は、当該物質に含有される添加剤や当該物質の透過性などによって異なるが、物質の透過性が高くなるほど、光の透過量は多くなる。
ここで希土類元素を含有する単層の着色層を検討すると、該着色層に入射される可視光域の光のうち、特定の吸収ピークを有する波長が該着色層内に含有される希土類元素に吸収されるとともに、それ以外の光の一部が反射して、看者の網膜を刺激し、特定の色調を視認させる。そして光の波長の分布が異なる各光源を照射した際には、上記希土類元素に吸収される波長とそれ以外の波長とのバランスから、看者に視認される色調に変化が生じ、所謂、演色性が発揮され得る。
しかしながら、本発明者らが希土類元素を含有する単層の着色層を詳細に検討したところ、上記単層の着色層では一般的に光の透過率が高く、換言すると光の反射率が低く、希土類元素に可視光域における特定の波長のみを吸収させて残りの波長を反射させることによって、該希土類元素に特有の色調を十分に発揮させることができず、また各種の光源において示される色調の差異が現れにくく(問題1)、また明度も十分でない(問題2)ことがわかった。これに対し多量の希土類元素を添加することによって演色性を向上させることも可能であるが経済的に不利であって実質的でない(問題3)ということもわかった。即ち、上記問題1〜3などの理由から、希土類元素を含有する単層の着色層では、豊かな演色性を得ることが困難であった。
上記問題1及び問題2を解決するために、着色層に、酸化チタンなどの白色顔料を添加して、該着色層自体の反射性を高めるよう作成すると、確かに反射率が向上し高い明度は得られるが、入射する光は、主として該着色層の表面域において反射してしまうので、着色層内に存在する希土類元素に到達する入射光量が少なくなり、演色性がむしろ乏しくなってしまった。
そこで本発明者らは鋭意努力した結果、希土類元素を含有する着色層を透過する光を有効に活用することによれば、従来では得られなかった良好な演色性を発揮し得ることを見出した。具体的には、希土類元素を含有する着色層に、可視光域の光に対し反射性を示す反射層を積層することによって、着色層側から入射された光のうち、該着色層を透過した光を上記反射層によって反射させることができる。そして、その反射光が、上記入射光とは略反対の向きから再度、着色層を透過するため、希土類元素が吸収する光の量が増大する。この結果、希土類元素によって示される特有の色調が明瞭に示されることとなり、光源を変えたときの色調の変化、即ち演色性も良好に示すことができるのである。
本発明における反射層としては、可視光域における良好に反射することができる層であれば、特に限定されず、例えば、白色系のシート、アルミなどの金属光沢層、あるいは鏡面仕上げがなされたシートなどを適宜選択して用いることができる。
上記白色系のシートとしては、例えば白色系の合成樹脂シートを用いることができる。該白色系の合成樹脂シートは、上述する可変色性着色層を構成するために用いられる合成樹脂として列挙したいずれかの樹脂を用い、白色顔料や金属粉末などを添加してシート形成することにより容易に得ることができる。上記白色顔料としては、酸化チタンや硫酸バリウム等の無機化合物を比較的多量に混合させることにより、好ましい白色を得ることができる。さらに、中実ガラスビーズ、中空ガラスバルーン、シラスバルーン等の充填剤を混合することによって反射率を上げることも可能である。
反射層を構成する合成樹脂は、可変色性着色層を構成する合成樹脂と同じものを用いてもよいし、異なる種類のものを用いることもできる。
またさらに、上記の如き合成樹脂に白色顔料等を添加するのに加えて、上述する可塑剤、安定剤、界面活性剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗酸化剤、充填剤、着色剤等の各種添加剤を1種または2種以上の組み合わせで、同様に添加することが可能である。
例えば、合成樹脂に発泡剤を添加して、発泡樹脂シートである反射層を採用する態様によれば、発泡樹脂シートを構成するセル構造により該反射層の反射性をさらに高めることが可能である上、衝撃吸収性を付与することができるという効果を奏する。また、反射層を構成する合成樹脂を発泡させることにより、反射層表面において凹凸の陰影を示すことが可能であり、シート外面に露出する反射層部分(即ち、着色層が積層されていない反射層部分)において上記凹凸の陰影によりシートの装飾性を向上させることが可能である。あるいは発泡する反射層上に可変色性着色層を積層させることによって、反射層表面の凹凸に由来する陰影を該可変色性着色層表面にも付与することが可能である。したがって反射層を発泡させることによって、可変色性着色層表面においても、凹凸の陰影による装飾効果を示すことが可能である。
(支持基材について)
以上、本発明の可変色性シートは、希土類元素の酸化物を含有する可変色性着色層と、これに積層される反射層との二層構造を基本構造とするが、上記反射層にさらに支持基材を積層してもよい。支持基材としては、種々の紙基材または不織布基材などを適宜使用することができる。尚、上記支持基材に反射性が備わっている場合には、該支持基材を反射層と支持基材との兼用部材として利用することも可能である。
(表面保護層について)
また本発明における可変色性着色層側に、さらに保護層を積層形成してもよい。保護層は、可変色性着色層が示す演色性を妨げない程度に透明であることが望ましいが、色調に微妙なニュアンスを出すという観点から、例えば有色透明、あるいは部分的に有色であってもよい。表面保護層は、一般的には光透過性の硬化性樹脂などから構成することができるが、これに限定されるものではない。
(層構成について)
上記可変色性着色層及び反射層、あるいはさらに支持基材から構成される本発明のシートは、各層が略平坦な単純な積層構造であってもよいし、あるいは、任意の層を印刷形成するなどして、図柄層として形成することもできる。例えば、図1(A)に示すように、本発明の可変色性シート1として、可変色性着色層2と反射層3との二層構造として構成することもできるし、あるいは図1(B)に示すように、本発明の可変色性シート1’としてさらに、反射層3側に支持基材4を積層してもよい。図示はしないが、可変色性シート1あるいは1’には、可変色性着色層2の表面に表面保護層を設けることもできる。また別の例として、図2(A)に示すように、本発明の可変色性シート11として、反射層3の上に、任意の図柄で設けられた不連続の可変色性着色層2を設けてもよく、あるいは、図2(B)に示す可変色性シート11’のごとく、支持基材4の一方の面に、任意の図柄であって不連続の反射層3を形成し、反射層3を覆って、支持基材4の略全面に可変色性着色層2を設けてもよい。さらなる別の態様として図2(C)に示す可変色性シート11’’のごとく、基材シート4上に、任意の図柄であって不連続の反射層3を形成するとともに、反射層3と同じ図柄であって反射層3の上面に積層される可変色性着色層2aあるいは反射層3とは異なる図柄であって反射層3を覆って積層される可変色性着色層2bを形成し、反射層3及び可変色性着色層2a、2bを覆って、支持基材4の略全面に表面保護層5を設けることもできる。尚、可変色性シート11’’における表面保護層5は任意であって、表面保護層5が省略されたものであってもよい。
上記図2に示される可変色性着色層2あるいは反射層3の図柄とは、連続的に設けられる略平坦な一層として形成されるもの以外を意味し、例えば任意の図形、文字、あるいはストライプや格子上などの任意のラインパターンなどであってよい。
(可変色性壁面装飾材について)
本発明の可変色性シートは、室内装飾材として用いることができ、特に壁紙として用いることができる。上記可変色性シートを用いる本発明の可変色性壁面装飾材は、反射層を壁面側に位置させ、可変色性着色層を該反射層より外側面に位置するように用いられることを予定しており、一般的に裏打紙などの支持基材を備え、該支持基材の一方の面に反射層が設けられ、さらに反射層の表面に可変色性着色層が設けられた構造が望ましい。かかる可変色性壁面装飾材は、石膏ボード、木材等からなる壁面に、適宜の接着剤を用いて支持基材と壁面とが貼り合わせられるようにして使用されることが一般的である。
以下に、本発明の可変色性壁面装飾材について、現在広く行われている塩化ビニル壁紙の製造方法に即して、より詳しく説明する。ただし、本発明は以下に限定されるものではなく、従来公知の種々の壁紙の製造方法を参考に製造することが可能である。
ビニル壁紙を製造する場合、紙基材または不織布などの支持基材上に、可視光域の光に対し反射性を有する反射層を形成するためのペースト状ポリ塩化ビニル系組成物を、ナイフコーター、コンマコーターなどの手段によりコーティングし、これを加熱ゲル化させて反射層として塩化ビニル樹脂層を形成し、さらにその表面に、演色性を呈する可変色性着色層を形成するためのペースト状ポリ塩化ビニル系樹脂に、特定の希土類元素の酸化物を添加して調製した組成物を、反射層の形成方法と同様の方法、あるいはロータリースクリーン印刷法などの手段によりコーティングし、加熱ゲル化させることにより可変色性着色層を形成し、必要に応じてさらにその表面に似透明な合成樹脂溶液層を積層させたり、エンボス加工を施して表面の凹凸を強調させたりすることにより製造することができる。
反射層および可変色性着色層は、均一な層であっても部分的に設けられていてもよく、可変色性着色層の少なくとも一部が反射層上に設けられていれば、この可変色性着色層と反射層とが積層された部分おいて選択的に本願発明の効果を奏することができる。
また、同様の塩化ビニル壁材製造方法において、ポリ塩化ビニル系の樹脂の最表面に積層する似透明な合成樹脂の溶液に演色性を呈する希土類金属酸化物を添加することも可能である。
この際使用する合成樹脂溶液としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂等の溶液が使用され、合成樹脂溶液としては、合成樹脂を各種有機溶媒に溶解させたもののほか、合成樹脂を液体中に分散させた合成樹脂分散液(所謂エマルジョン)でも良い。
さらに、必要に応じて各種の添加剤を適宜添加することも何ら問題はない。
(本発明の評価)
本発明の可変色性シートあるいは可変色性壁面装飾材は、上述するとおり、合成樹脂中に特定の希土類元素を含有せしめ、良好な演色性を発揮し得るものである。本発明のシートの効果、即ち演色性が十分に発揮されているか否かは、各種光源を用い、色差計にてL*値、a*値及びb*値を測定することにより評価することができる。
具体的にはコニカミノルタ製分光測色計CM−3600dにて、D65光源(太陽光の測定光源)、F10光源(蛍光ランプの測定用光源:3波長形昼白色)、A光源(白熱電球の測定用光源)の3種類の光源を用い、それぞれの光源下において測色を行い、光源の違いによる測定値の差を求めることにより演色性を評価することができる。ここで、L*値は色の明度を示し、a*値及びb*値は色度を表している。したがって、光源を代えたときのa*値及び/またはb*値の変化が色調の変化を反映し、その変化率(即ち、絶対値で表される測定値の差異)が大きいほど演色性が高いことを意味するものである。
即ち、複数の光源を用いてa*値及びb*値を測定し、異なる光源下におけるa*値及びb*値の差異を算出したとき、この差異(つまり光源の種類による色度の変化率)が大きいほど演色性が高いことを意味する。この差異は、用いる全ての光源間での比較において大きい必要はなく、少なくともD65光源(太陽光の測定光源)とF10光源あるいはA光源とのいずれかのa*値及び/またはb*値の差異が十分に大きければ、良好な演色性を備えると評価できる。上述によれば、日中の太陽光下における色度と、夜間などにおける人工灯として汎用される光源下における色度とにおいて、有意に異なる色調を示すことが可能か否かを評価することができる。
上述する良好な演色性を備えると評価できる程度の色度の差異とは、演色性が確実に視認されるレベルであるためには、2以上であることが求められ、さらに良好で豊かな演色性であると認識されるためには、上記差異が3.5以上であることがより望ましい。
また特に、壁面装飾材としての使用の観点からは、良好な演色性に加えて、日中及び夜間のいずれにおいても明度が高いことが望まれるため、上記良好な程度の差異を有することに加えて明度が十分に高いことが望ましい。室内において壁面が明るく感じられる程度は、上記明度において60以上であり、より好ましくは70以上、さらに好ましくは75以上である。たとえ、上述する色度の差異が2以上であっても、明度が60未満であると、有意に演色性は視認されるものの室内が暗く感じられたり、つめたく感じられる虞がある。
また、反射層の可視光領域の日射反射率の測定の方法としては、JIS―A5759に規定される実太陽光の波長分布を考慮した強度関数を実際の分光反射率の測定値に加味した形で算出することができる。
具体的には日本分光(株)社製自記分光光度計V−570にて380nm〜780nmの可視光領域の分光反射率を積分球にて測定し、JIS―A5759付表3に規定される重価係数を加味して算出される値である。
なお、可変色性着色層が全面にではなく、反射層表面において部分的に設けられているような場合(例えば図2(A)の態様)、少なくとも該可変色性着色層が積層されている部位の反射層が可視光域の光を良好に反射することができ、望ましくは、該反射層の可視光域の日射反射率が70%以上であれば良く、必ずしも上面に可変色性着色層を有しない部分においてまで、上記反射性を求められるものではない。
以下に本発明の可変色性シートの実施例について記載するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(反射層構成用ペースト)
ポリ塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ(株)社製 PX−QHPN)100重量部に対し、各種の添加剤を添加して反射層構成用の塩化ビニル樹脂ペーストB1〜B4(以下、「塩化ビニル樹脂ペースト」を省略し、単に「B1」等記載する場合がある。)を調製した。B1〜B4において添加されている添加剤の種類及び量については、表1に示す。なお、表中の数値は日射反射率以外すべて重量部で記してある。
(可変色性着色層構成用ペースト)
ポリ塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ(株)社製 PX−QHPN)100重量部に対し、各種の添加剤を添加して可変色性着色層構成用の塩化ビニル樹脂ペーストA1〜A9(以下、「塩化ビニル樹脂ペースト」を省略し、単に「A1」等記載する場合がある。)を調製した。A1〜A9において添加されている添加剤の種類及び量については、表2に示す。なお、表中の数値はすべて重量部で記してある。
(実施例1〜8)
抄紙された紙基材(中越パルプ工業(株)社製 CP−65(目付65g/m)を支持基材として用い、該紙基材上略全面に、表1に示す塩化ビニル樹脂ペーストB1を厚さ0.15mmとなるようにコーティングした後、140℃で1分間加熱してゲル化させて反射層を形成し、更に上記反射層上に、表2に示す塩化ビニル樹脂ペーストA2を用いてスクリーン印刷によりストライプ状に可変色性着色層を厚さ0.1mmとなるようにコーティングした後、200℃で40秒間加熱処理して上記反射層を発泡させて、可変色性シートを作成し実施例1とした。
また塩化ビニル樹脂ペーストA2の代わりに塩化ビニル樹脂ペーストA4を用いたこと以外は実施例1と同様に可変色性シートを作成し実施例2とした。また実施例1と同様の方法によりB1及びA5を用いて実施例3を、B1及びA3を用いて実施例4を、B1及びA1を用いて実施例5を、B2及びA2を用いて実施例6を、B2及びA4を用いて実施例7を、B1及びA9を用いて実施例8をそれぞれ作成した。
(比較例1〜7)
塩化ビニル樹脂ペーストA2の代わりに塩化ビニル樹脂ペーストA8を用いたこと以外は実施例1と同様に可変色性シートを作成し比較例1とした。また実施例1と同様の方法により、B3及びA2を用いて比較例2を、B3及びA4を用いて比較例3を、B4及びA2を用いて比較例4を、B4及びA4を用いて比較例5を、B1及びA6を用いて比較例6を、B1及びA7を用いて比較例7をそれぞれ作成した。
(参考例1及び2)
塩化ビニル樹脂ペーストBを用いず、紙基材上に直接、実施例と同様のストライプ状に塩化ビニル樹脂ペーストA3を用いてスクリーン印刷により厚さ0.1mmとなるようにコーティングし、200℃で40秒間加熱処理してシートを作成し参考例1とした。また塩化ビニル樹脂ペーストA3の代わりにA1を用いたこと以外は、参考例1と同様にシートを作成し参考例2とした。
(評価1)
本発明の可変色性シートである実施例1〜8、これに対する比較例1〜7、参考例1について、以下の方法により複数の光源における色度a*値及びb*値を測定し、演色性を評価した。また各シートの着色層側表面の明度L*値もあわせて測定した。なお、測定は、可変色性着色層と反射層とが積層されている部分においておこなった。
上記色度及び明度の測定は、コニカミノルタ製分光測色計CM−3600dを用い、2°角度にてD65光源(太陽光の測定光源)、F10光源(蛍光ランプの測定用光源:3波長形昼白色)、A光源(白熱電球の測定用光源)でのL*値、a*値及びb*値を測定した。測定結果は、実施例については表3に、比較例及び参考例については表4に示す。
上記測定において得られた値より演色性を評価するために、a*値及びb*値それぞれについて、D65(太陽光の測定光源)を基準にし、F−10(3波長型蛍光灯光源)またはA(白熱球光源)との差を|D65−F10|および|D65−A|として絶対値で算出した。算出結果については、実施例については表3−2に、比較例及び参考例については表4−2に示す。
上記評価1より、実施例1〜8はいずれも、a*値及び/またはb*値において、少なくとも|D65−F10|または|D65−A|のいずれか一方において2以上の値を示すことが確認された。これは、太陽を光源としたときに示される色度と、室内灯として汎用されている蛍光ランプあるいは白熱電球を光源としたときに示される色度とが、目視にて違う色調であると感じさせることができることを意味しており、実施例1〜8がいずれも良好な演色性を備えることが確認された。さらに、実施例1〜8は、本評価において用いられたいずれの光源下においても、明度が75を上回っており、壁面装飾材として用いた場合において、壁面を望ましい程度に明るく感じさせることができるものであることが確認された。
一方、比較例1〜7は、色度の差異として求められた絶対値|D65−F10|及び|D65−A|がいずれも2未満であり、演色性が乏しく、太陽光下と蛍光ランプあるいは白熱電球下とにおいて、色調の変化が感じられないものであることが確認された。
また参考例1は、色度の差異として求められた絶対値|D65−F10|及び|D65−A|において2以上の数値が示された。しかしながら、酸化ホルミニウム10重量部を添加されて作成された参考例1の色度の差異は、酸化ホルミニウム3重量部が添加されて作成された可変色性着色層を備える実施例5の色度の差異と同等以下であった。また参考例1の明度は、本評価において用いた光源のいずれの下においても60未満であった。これにより、反射層を備える本発明では、添加される希土類元素の量が少なくても、豊かな演色性が示される上、十分な明度を確保することができるということが示唆された。
(評価2)
反射層の有無におけるシートの反射率を評価するために、実施例4、実施例5、参考例1及び参考例2を用いて、希土類元素が添加された層側の反射率を自記分光光度計にて測定した。測定条件はJIS―A5759に則り、日本分光(株)社製自記分光光度計V−570にて380nm〜780nmの可視光領域の分光反射率を積分球にて測定し、JIS―A5759付表3に規定される重価係数を加味して算出される値をその波長における反射率とした。結果を図3に示す。図3において、実施例4を四角のシンボル(10phr Ho/白)として示し、実施例5をひし形のシンボル(3phr Ho/白)として示し、参考例1を三角のシンボル(10phr Ho単層)として示し、参考例2を丸いシンボル(3phr Ho単層)として示した。
評価2の結果より、反射層を備える実施例4及び実施例5は、参考例1及び参考例2に比較して、顕著に反射率が高いことがわかった。また全てのサンプルにおいて、酸化ホルミニウム特有の特定波長の吸収ピークが460nm、540nmおよび650nm付近に確認されたが、酸化ホルミニウムの添加量が等しい、実施例4と参考例1、及び実施例5と参考例2とにおいて、その吸収ピークを比較してみると、いずれも実施例の方が鋭い吸収ピークを示すことがわかった。
以上、評価2の結果から、希土類元素を含有する着色層に反射層を積層することによって、着色層の表面の反射率を高めることができ、この結果、高い明度が示されるということ、さらには、希土類元素の添加量は同じであっても、反射層の存在により各吸収ピークが顕著に大きくなり、演色性が有意に向上することが示唆された。
Figure 2008246961
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図1(A)及び(B)は、本発明の可変色性シートの実施態様を示す断面図である。 図2(A)〜(C)は、本発明の可変色性シートの実施態様を示す断面図である。 実施例4、実施例5及び参考例1、参考例2の反射率を示すグラフである。
符号の説明
1’、11、11’、11’’ 可変色性シート
2 可変色性着色層
3 反射層
4 支持基材
5 保護層

Claims (4)

  1. 合成樹脂中に少なくともホルミウム(Ho)、ネオジム(Nd)、及びエルビウム(Er)から選ばれる希土類元素の酸化物を1種または2種以上含有させてなる可変色性着色層の一方の面に、可視光域において反射性を有する反射層が積層されていることを特徴とする可変色性シート。
  2. 前記反射層の可視光域の日射反射率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の可変色性シート。
  3. 前記可変色性着色層の可視光域の日射透過率が60%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の可変色性シート。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の可変色性シートであって、前記反射層が壁部材側に位置し、前記可変色性着色層が前記反射層よりも外側に位置して用いられることを特徴とする可変色性壁面装飾材。
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