JP5899560B2 - 白色蓄光発光膜材 - Google Patents

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本発明は、蓄光性蛍光機能を有し、可視光下の色相と燐光発光時の色相がともに白色であることで、周囲が明るい環境であっても、消灯時や停電時であっても、印刷部やマーキングフィルム貼着部の発色性に優れ、更に内照式膜材として用いた場合にも透過色が白色である、白色蓄光蓄光膜材に関するものである。
従来より、災害発生時に突然停電に見舞われた場合に備えた安全かつ適切な避難誘導対策として、停電時や夜間においても長時間発光する蓄光性を有する避難誘導標識や、階段、手すり等に貼付する蓄光シート、蓄光テープが使用されている。これらの製品は停電直後から徐々に輝度が低下していくものであるが、最近では蓄光性蛍光顔料の性能向上に伴い、かなりの長時間(長いものでは24時間程度)視認可能な程度の燐光を発し、停電後の暗闇で非常口や避難経路を示し続けることができる。しかし、これらは通常小さなサイズで要所要所に配置されるものであり、停電直後の初期的な輝度が高いものであっても、周辺を照らす光源とするには不充分なものであった。単純にサイズを大きくすれば一時的な照明代わりとすることも可能となるが、極端に大きな避難誘導標識は景観に調和せず、現実的ではなかった。
また、商用施設の室内や地下街の通路、屋外舗道、ビル街店舗、ガソリンスタンド、公園、遊園地、観光地など、屋内外において看板、標識、案内板、横断幕、バナー等の大小様々な形態の掲示物が随所に多数設置されており、形態によっても異なるが、直接照明、間接照明、内部照明のいずれか、またはそれらの併用によって、常時、あるいは夜間のみ照らされている。これらの掲示物は、表示のベースとして可撓性シート膜材、プラスチック板、金属板などを有し、その表面に、スクリーン印刷、インクジェット印刷、およびカッティングシートなどで表示が施された構成であり、ベース部分に蓄光性を与えることができれば、消灯した後でもしばらくの間看板の効果が得られるばかりでなく、停電の際には一時的な照明としての役割を担うことが期待できる。しかし、一般に使用されている蓄光性蛍光顔料は、可視光下において体色が緑,黄,青などであり、これらの蓄光性蛍光顔料を含む場合、可視光下でのベース部分の表面色が、緑,黄,青に着色されて、印刷部やマーキングフィルム貼着部の発色性が阻害されてしまう問題があり、一方、燐光発光は青〜緑であり、消灯後、あるいは停電時の印刷部やマーキングフィルム貼着部の発色性は、可視光下よりも更に阻害されてしまう問題があった。
この問題に対して、本出願人は以前、蓄光性蛍光物質含有樹脂層上に、白色度(JIS Z8722)50〜80、且つ全光透過率(JIS K7105)が40〜70%の半隠蔽樹脂層を設けた、少なくとも2層以上の積層構造体を提案した。(特許文献1参照)この積層構造体の半隠蔽樹脂層を表側に用いることで、可視光下でのベースの色相が白となり、周囲が明るい状態での印刷部やマーキングフィルム貼着部の発色性に優れた膜材が得られる。しかし、暗くなったときの蓄光性蛍光物質含有樹脂層からの燐光発光は青〜緑であり、消灯時あるいは停電時の発色性が阻害されてしまう問題が残されていた。
最近では、可視光下で白い体色を示す蓄光性蛍光物質も開発されており、これを用いれば可視光下でのベースの色相が白となり、周囲が明るい状態での印刷部やマーキングフィルム貼着部の発色性に優れた膜材が得ることができる。しかし、これらの蓄光性蛍光物質も暗くなったときに示す燐光発光はやはり青,緑,黄,橙,赤などであり、単独で使用したのでは停電時の発色性が阻害されてしまう問題があった。これに対して、可視光下で白い体色を示し暗闇での燐光が青紫色の蓄光材と、可視光下で白い体色を示し暗闇での燐光が黄緑色の蓄光材とを混合することで、可視光下と暗闇での燐光の両方が白色である蓄光材に関する技術も開示されている。(特許文献2参照)この蓄光材を含有する樹脂層を用いて膜材を構成すれば、可視光下での色相を白くすることに加えて、暗くなってからの燐光も初期的には白くすることができる。しかし、組み合わせる蓄光材の残光特性の違いにより、経時的に一方の残光輝度が優勢となり、徐々に色相が変化してしまう問題があった。
発光色が互いに補色の関係にある、蓄光性蛍光物質と蛍光体とを混合したり、蓄光性蛍光物質を含む層と蛍光体を含む層を積層したりすることで、白色の燐光発光を得る技術も開示されている。(例えば特許文献3および4参照)これらの技術を膜材に応用すれば、暗闇において白色に発光する膜材を得る事が可能となる。しかし、可視光下での表面色相については着色があり、印刷部やマーキングフィルム貼着部の発色性に問題があった。
以上述べてきた様に、蓄光性蛍光機能を有し、可視光下の色相、暗時の発光色、および内照時の透過色の全てが白色である膜材は、未だ提供されていない。
特開2009−37080号公報 特開2008−101146号公報 特開2009−249396号公報 特開2005−330459号公報
本発明は、以上の様な従来技術の課題を解決して、蓄光性蛍光機能を有し、可視光下の色相と、燐光発光時の色相が、ともに白色であり、周囲が明るい状況でも、消灯時あるいは突然の停電時でも、印刷部やマーキングフィルム貼着部の発色性に優れ、更に内照式膜材として用いた場合にも透過色が白色である、白色蓄光発光膜材を提供しようとするものである。
本発明者は、鋭意検討の結果、蓄光性蛍光顔料を含有する第1樹脂層と、蛍光体を含有する第2樹脂層とを有する積層体において、蓄光性蛍光顔料の燐光のピーク波長と蛍光体の発光のピーク波長とを特定の値とし、かつ、第1樹脂層が所定の透光性を有することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の白色蓄光発光膜材は、蓄光性蛍光顔料を含有する第1樹脂層と、蛍光体を含有する第2樹脂層と、を有する積層体であって、前記蓄光性蛍光顔料の燐光と前記蛍光体の発光が補色の関係にあり、前記蓄光性蛍光顔料の燐光のピーク波長が400〜530nmの間にあり、かつ、可視光下で白の体色を呈し、また、前記蛍光体の発光のピーク波長が530〜750nmの間にあり、前記第1樹脂層の全光線透過率(JIS K7105)が30〜70%であることを特徴とする。
本発明の白色蓄光発光膜材は、前記第1樹脂層が、前記第1樹脂層の燐光と、前記第1樹脂層を透過する前記第2樹脂層の発光との混合による発光色を呈する、ことが好ましい。
本発明の白色蓄光発光膜材は、前記第1樹脂層の質量に対する蓄光性蛍光顔料の含有量が15〜60質量%であり、前記第2樹脂層の質量に対する前記蛍光体の含有量が0.1〜2.0質量%であることが好ましい。
本発明の白色蓄光発光膜材において、前記第1樹脂層が、第1樹脂層の質量に対して0.3〜5質量%の白色顔料を更に含むことが好ましい。
本発明の白色蓄光発光膜材において、前記積層体が、前記第2樹脂層を中間として前記第1樹脂層とは反対側に、もしくは、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層の中間に、光散乱物質を含有する第3樹脂層を更に有し、前記光散乱物質が、白色顔料、パール顔料、ガラスビーズ、ガラス粒子、樹脂ビーズおよび樹脂粒子から選ばれた少なくとも1種であり、前記第3樹脂層の質量に対する前記光散乱物質の含有量が0.5〜50質量%である事が好ましい。
本発明の白色蓄光発光膜材において、前記第3樹脂層が、紫顔料、青顔料、青緑顔料、および、波長400nm以下の紫外線領域の光を吸収して400〜500nmの間にピーク波長を有する光に変えて放出する蛍光体、から選ばれた少なくとも一種の着色剤を、前記第3樹脂層の質量に対して0.1〜2.0質量%更に含むことが好ましい。
本発明の白色蓄光膜材において、前記積層体が繊維基布を更に含む事が好ましい。
本発明により、可視光下、暗時、内照時の全ての色相が白色であり、しかも、蓄光性蛍光機能を有する膜材を提供する事ができる。そのため、屋内外で用いる内照式・外照式の看板、案内板、標識向けの膜材や、横断幕、バナーなどの膜材として好適に用いることができ、それらは、印刷部やマーキングフィルム貼着部の発色性に優れており、突然の停電時には一時的な照明として機能することができる。
本発明の白色蓄光発光膜材の一例を示す図 本発明の白色蓄光発光膜材の一例を示す図 本発明の白色蓄光発光膜材の一例を示す図 本発明の白色蓄光発光膜材の一例を示す図
本発明の白色蓄光発光膜材は、蓄光性蛍光顔料を含有する第1樹脂層と、蛍光体を含有する第2樹脂層と、を必須として有する積層体である。更に、これらの樹脂層に加えて、光散乱物質を含有する第3樹脂層を、第2樹脂層を中間として第1樹脂層とは反対側に含むか、あるいは、第1樹脂層と第2樹脂層の中間に第3樹脂層を含むことが好ましい。その形態は、第1樹脂層と第2樹脂層のみからなる樹脂積層シート(フィルム)、第1樹脂層と第2樹脂樹脂層と第3樹脂層からなる樹脂積層シート(フィルム)、ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,ポリプロピレン樹脂などからなる透明フィルム、あるいは白色フィルムを基材として更に含む樹脂積層シート、または、繊維基布を基材として含むターポリンや帆布等のシートを包含する。樹脂積層シートは、カレンダー成型法、Tダイス押出法またはキャスティング法などによりフィルム状またはシート状に成型した各樹脂層を、溶融状態でラミネートしたり、接着剤を介してラミネートして積層することで得られる。また、有機溶剤に可溶化した可撓性樹脂、水中で乳化重合された可撓性樹脂エマルジョン(ラテックス)、あるいは可撓性樹脂を水中に強制分散させ安定化したディスパージョン樹脂などの水分散樹脂、軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾル、等の加工液を用いて、工程フィルム上に各樹脂層を順次コーティング法によって形成してから、工程フィルムを取り除く事によっても得られる。透明フィルムや白色フィルムを基材として含む場合も、上述のラミネートによる方法およびコーティング法によって得ることができる。繊維基布を基材として含む場合は、上述のラミネートによる方法、コーティング法に加えて、上述した様な加工液を用いたディッピング加工法により樹脂層を形成することもできる。
それぞれの樹脂層を形成するマトリクスとしては、常温で可撓性を有し、透光性の高い樹脂が好ましく用いられ、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、フッ素含有共重合体樹脂、シリコーン系熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などから選択した1種または2種以上から、それぞれの樹脂層毎に独立して使用することができる。
本発明の第1樹脂層は、蓄光性蛍光顔料を含有する樹脂層である。蓄光性蛍光顔料としては、燐光のピーク波長が400〜530nmの間にあり、かつ、可視光下で白の体色を呈するものが用いられる。第1樹脂層に含まれる蓄光性蛍光顔料が可視光下で白の体色を呈するため、ベースの色相が白となり、周囲が明るい状態での印刷部やマーキングフィルム貼着部の発色性に優れた膜材が得られる。蓄光性蛍光顔料の燐光のピーク波長が400nm未満では、燐光の多くが紫外線領域となって残光輝度に寄与せず、突然の停電時に一時的な照明として機能することができないことがあり、また第2樹脂層の発光との混合による発光を白くすることが困難となることがある。ピーク波長が530nmを超えると、第2樹脂層に含まれる蛍光体の発光との混合で白い発光色を得る事ができなくなることがあり、第2樹脂層が含有する蛍光体が蓄光性蛍光顔料の燐光を吸収して発光することができないことがある。なお、本発明において「可視光下で白の体色を呈する」とは、蓄光性蛍光顔料を口径70mm深さ20mmのシャーレに5mmの厚さで敷き詰め、デジタルカメラ(パナソニック社製、品名:DMC-FX33)を用いて以下の条件で撮影した画像データを、コンピュータに取り込み、画像ソフト(Adobe社製 商標:Photoshop Elements)を用いて、中心部付近のHSB色空間のS(彩度)の値(%)を取得(カラーピッカー機能使用:5ピクセル四方の平均)し、Sの値が10%以下であることをいう。
<ホワイトバランスセット条件>
壁面を暗幕で囲い、窓からの光や壁面からの光反射の影響をなくした暗室において、白
色度90%(JISP8148)のコピー用紙を10枚重ねて配置し、コピー用紙表面に対して
垂直に1.5m離れた位置で、高演色性蛍光灯(パナソニック社製40型、品名:
FL40S・N-EDL)2灯を点灯し、デジタルカメラのセットモードからホワイトバランスを
セットした。
<撮影環境>
ホワイトバランスをセットした暗室において、上記蓄光性蛍光顔料を敷き詰めたシャー
レを設置し、蓄光性蛍光顔料表面に対して垂直に1.5m離れた位置で、高演色性蛍光
灯(パナソニック社製40型、品名:FL40S・N-EDL)2灯を点灯し、30分静置後に撮
影した。
<撮影方法>
蓄光性蛍光顔料表面に対して45度の角度で、レンズ先端から表面のと距離30cmで
デジタルカメラで撮影した。
本発明で用いることのできる蓄光性蛍光顔料としては、例えば、アルカリ土類金属アルミネート系,アルカリ土類金属シリケート系、アルカリ土類金属シリケート・アルミネート系などの市販のものから、上述の「可視光下で白の体色を呈する」条件を満たすものを適宜選択して、1種のみを用いることが好ましい。燐光のピーク波長の異なる2種以上の蓄光性蛍光顔料を併用して用いると、それぞれの残光特性の差により経時的に発光色が変化する事がある。蓄光性蛍光顔料の含有量は、第1樹脂層の質量に対して15〜60%である事が好ましく、20〜55%が更に好ましい。蓄光性蛍光顔料の含有量が15%未満であると、残光輝度が不十分となり、突然の停電に見舞われた際に照明として利用できるだけの輝度が得られない事があり、また、第1樹脂層の全光線透過率が高くなりすぎ、周辺が明るい状態で第2樹脂層が透けて見え、白い色相が得られなくなることがある。含有量が60質量%を超えると第1樹脂層の樹脂強度が弱くなり耐久性が低くなる事があり、また、折り曲げなどの力が加わった際に、表面が白化するなどの問題を引き起こす事がある。
本発明の白色蓄光発光膜材において、第1樹脂層の全光線透過率(JISK7105)は、30〜70%であることが好ましい。全光線透過率が30%未満であると、残光輝度が低下する事があり、第2樹脂層の蛍光が第1樹脂層を透過しにくくなって第1樹脂層の燐光との混合による発光色を得られなくなることがあり、更に、内照式膜材として用いた場合の明るさが不足することがある。全光線透過率が70%を超えると、残光輝度が低くなることがあり、周辺が明るい状態で第2樹脂層の色相が透けて見え、白い色相が得られなくなることがある。
第1樹脂層はまた、第1樹脂層の質量に対して0.3〜5質量%の白色顔料を更に含んでもよい。第1樹脂層が白色顔料を含むことで、可視光下での色相をより白くし、燐光発光時に、第1樹脂層の厚さむらに起因する輝度むらを軽減する事ができる。白色顔料の量が0.3質量%未満では添加の効果がほとんど得られないことがあり、5質量%を超えて含むと第1樹脂層の全光線透過率が低下し、残光輝度が低下する事があり、第2樹脂層の蛍光が第1樹脂層を透過しにくくなって第1樹脂層の燐光との混合による発光色を得られなくなることがある。第1樹脂層に含まれる白色顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、シリカ、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムなどの白色の無機粒子から1種または2種以上選択して用いる事ができる。これらの無機粒子は、光触媒活性を抑制するため、あるいは樹脂への分散性を向上させるために、表面をシリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、及び高級脂肪酸で被覆されたものを用いても良い。
本発明において第2樹脂層は蛍光体を含有する樹脂層である。蛍光体としては、特に発光のピーク波長が530〜750nmの間にあり、第1樹脂層が含有する蓄光性蛍光顔料の燐光を吸収して、第1樹脂層に含まれる蓄光性蛍光顔料の燐光と補色の関係にある色相で発光するものが用いられる。発光のピーク波長が530nm未満であると、第1樹脂層の燐光と補色の関係の色相とすることが困難であり、白色の発光が得られないことがある。発光のピーク波長が750nmを超えると、発光の多くが赤外線領域となり、やはり混合により白の発光色を得られないことがある。本発明において蛍光体としては、有機・無機蛍光顔料、および蛍光染料から適宜選択して用いる事ができ、中でも、吸収波長と発光波長のピークがある程度離れており、耐久性にも優れることから、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系,TAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体,オルトシリケート・アルカリ土類金属系,αサイアロン(珪素(Si)・アルミニウム(Al)・酸素(O)・窒素(N):SiAlON)系,βサイアロン系,カズン(カルシウム(Ca)・アルミニウム(Al)・珪素(Si)・窒素(N):CASN)系,La酸窒化物系などの無機蛍光顔料が好ましく用いられる。第2樹脂層が含有する蛍光体は、1種のみであってもよく、発光色の異なる2種以上の蛍光体を併用しても良い。例えば、第1樹脂層に含まれる蓄光性蛍光顔料の燐光が青である場合、第2樹脂層には青と補色の関係にある黄に発光する蛍光体を選択して単独で用いる事ができるが、それぞれの発光特性によってはやや着色のある発光となる場合がある。その様な場合には、赤に発光する蛍光体と緑に発光する蛍光体を混合して黄の発光を得ることもでき、赤の蛍光体と緑の蛍光体の混合比を調整することで、より白色に近い混合発光を得る事ができる。
第2樹脂層における蛍光体の含有量は、第2樹脂層の質量に対して0.1〜2.0質量%であることが好ましく、0.3〜1.5質量%がより好ましい。蛍光体の含有量が0.1質量%未満では、相対的に蓄光性蛍光顔料の発光色が優位となって白色の発光が得られない事があり、2.0質量%を超えると、蛍光体の発光が優位となって白色の発光が得られない事がある。第2樹脂層の全光線透過率(JISK7105)は、30〜80%であることが好ましい。全光線透過率が30%未満であると、蓄光発光の輝度が低くなることがあり、内照式膜材として用いた場合の明るさが不足することがある。全光線透過率が80%を超えると、蛍光体の発光が不足し、白色の発光が得られない事がある。
本発明の白色蓄光発光膜材は、第1樹脂層、第2樹脂層に加えて、光散乱物質を含む第3樹脂層を有することが好ましい。第3樹脂層は、第2樹脂層を中間にして、第1樹脂層とは反対側に位置するか、または、第1樹脂層と第2樹脂層の中間に位置することが好ましい。本発明の白色蓄光発光膜材が、第1樹脂層および第2樹脂層に加えて第3樹脂層を有することで、燐光発光時の第1樹脂層および第2樹脂層の厚さむらに起因する輝度むらや色むらを軽減し、輝度を向上させ、しかも燐光発光の色相をより白に近づけることができる。また、周囲が明るい状態における色相がより白くなり、内照式膜材として用いた場合に背面からの光を散乱して光源の形状や位置を目立ち難くする事ができる。
第3樹脂層に含まれる光散乱物質としては、白色顔料、パール顔料、ガラスビーズ、ガラス粒子、樹脂ビーズ、及び樹脂粒子から選ばれた少なくとも1種または2種以上が用いられる。白色顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、シリカ、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムなどの白色の無機粒子から選択して用いる事ができる。これらの無機粒子は、光触媒活性を抑制するため、あるいは樹脂への分散性を向上させるために、表面がシリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、及び高級脂肪酸で被覆されたものを用いても良い。パール顔料は、天然雲母に高屈折率の金属酸化物をコートした顔料が例示される。ガラスビーズは、中空ガラスビーズ、中実ガラスビーズが例示され、ガラス粒子は、ガラス粉末、ガラスビーズ破砕体が例示される。樹脂ビーズは、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ系樹脂等からなる樹脂ビーズが例示さる。これらの樹脂ビーズはコア−シェル複層構造を有していてもよく、また架橋構造を有していてもよい。また樹脂粒子とは、これらの樹脂ビーズを破砕して得られる不定形粒子である。これらの光散乱物質の平均粒子径は、0.1〜50μmであることが好ましい。白色顔料、ガラスビーズ、ガラス粒子、樹脂ビーズ、及び樹脂粒子のアスペクト比は1〜6が好ましく、また、パール顔料のアスペクト比は6〜60が好ましい。
第3樹脂層に含まれる光散乱物質の量は、第3樹脂層の質量に対して0.5〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%がより好ましい。光散乱物質が0.5質量%未満では光散乱物質の添加効果が得られず、50質量%を超えると、樹脂強度が低下したり、折り曲げなどの力が加わった際に、表面が白化するなどの問題を引き起こす事がある。
第3樹脂層はまた、紫顔料,青顔料,青緑顔料および、波長400nm以下の紫外線領域の光を吸収して400〜500nmの間にピーク波長を有する光に変えて放出する蛍光体、などから選ばれた少なくとも1種以上の着色剤を含む事が好ましい。第3樹脂層がこれらの着色剤を含むことで、第1樹脂層および第2樹脂層の厚さむらに起因する燐光発光の輝度むらや色むらを軽減する効果がより高くなる。また、周囲が明るい状態で呈する表面の色相や、内照式膜材として用いて背面から光を照射した場合に呈する透過光の色相が黄みを帯びて見える弊害を軽減する事もできる。紫顔料,青顔料,青緑顔料は、従来公知の有機・無機顔料から適宜選択して用いることができる。波長400nm以下の紫外線領域の光を吸収して400〜500nmの間にピーク波長を有する光に変えて放出する蛍光体としては、例えばアルカリ土類金属アルミネート系(BAM系、SAM系など)、アルカリ土類金属チオアルミネート系などの無機蛍光体の他、オキサゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベンジスルホン酸誘導体、スチリルビフェニレン誘導体など従来公知の有機蛍光増白剤などから適宜選択して、1種のみまたは2種以上併用して用いることができる。着色剤の量は、第3樹脂層の質量に対して0.1〜2.0質量%が好ましく、0.2〜1.5質量%がより好ましい。着色剤が0.1質量%未満では添加の効果が得られない事があり、2.0質量%を超えると、発光の輝度が低下したり、周辺が明るい状態で呈する白色蓄光膜材のおもて面側の色相や、内照式膜材として用いた場合に呈する透過光の色相に影響を及ぼす事がある
本発明の白色蓄光発光膜材は、一方の面あるいは両方の面の最外層に、透明保護層を更に有してもよい。透明保護層を有することで、屋外で用いる場合の耐候性と耐水性を付与することができ、表面の傷つき、汚れの付着、各種添加剤の表面への移行、などを防止することができる。透明保護層を形成する樹脂は、透明性であれば特に限定はなく、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、フッ素含有共重合体樹脂、シリコーン系熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱可塑性樹脂、硬化性樹脂から、単独で、あるいは、2種以上併用して用いる事ができる。前記透明保護層を形成する方法についても特に限定は無く、例えば、溶剤あるいは水に可溶な樹脂の溶液、または樹脂を水などの分散媒に分散したエマルジョン液をスプレーコート、グラビアコート、バーコートなどのコーティング法で塗布してから乾燥する事によって形成することができ、また、透明樹脂から、Tダイスによる押出法やカレンダー法などにより形成されたフィルムを、接着剤もしくは熱溶融加工により積層することでも形成可能である。その他、透明樹脂からなる基体フィルム上に、第1樹脂層,第2樹脂層をコーティング法、ラミネート法などにより順次形成し、基体フィルムの側をおもて面側として用いることで、基体フィルムが透明保護層を兼ねる構成としても良い。透明保護層は更にその上に防汚層を有してもよい。防汚層の形成方法及び素材に特に限定はなく、例えば、溶剤に可溶化されたアクリル系樹脂もしくはフッ素系樹脂の少なくとも1種以上からなる樹脂溶液を塗布して形成した塗膜、これらにシリカ微粒子、またはコロイダルシリカを含む塗膜、オルガノシリケート及び/又はその縮合体を含む塗布剤で塗布し親水性被膜層を形成したもの、光触媒性無機材料(例えば光触媒性酸化チタン)と結着剤とを含む塗布剤を塗布し光触媒層を形成したもの、少なくとも最外表面がフッ素系樹脂により形成されたフィルムを接着剤もしくは熱溶融加工により積層したもの、等から適宜選択して用いることができる。
本発明の白色蓄光発光膜材において、第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層、および透明保護層は、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、それぞれ独立して、必要に応じて公知の添加剤を含んでも良い。添加剤としては、例えば、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、可撓性付与剤、接着剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、加工助剤、レベリング剤、消泡剤、抗菌剤、防黴剤などが挙げられる。
本発明の白色蓄光発光膜材は、強度、耐久性、寸法安定性などを付与するために、繊維基布を含む積層体である事が好ましい。繊維基布に用いられる繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維などの合成繊維、木綿、麻などの天然繊維、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などの無機繊維が挙げられ、これらは単独または2種以上からなる混用繊維によって構成されていてもよい。その形状はマルチフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、モノフィラメント糸条、スプリットヤーン糸条、テープヤーン糸条などいずれであってもよい。本発明に使用される繊維基布は、織布、編布、不織布のいずれでもよい。織布を用いる場合、平織、綾織、繻子織、模紗織などいずれの構造をとるものでもよいが、平織織物は、得られる近赤外線遮蔽性シートの縦緯物性バランスに優れているため好ましく用いられる。編布を用いるときはラッセル編の緯糸挿入トリコットが好ましく用いられる。これら編織物は、少なくともそれぞれ、糸間間隙をおいて平行に配置された経糸及び緯糸を含む糸条により構成された粗目状の編織物(例えば空隙率が50%を超えて90%程度までのネット状編織物や、空隙率5〜50%の編織物)、及び非粗目状編織物(糸条間に実質上間隙が形成されていない編織物)を包含する。不織布としてはスパンボンド不織布などが使用できる。繊維基布には必要に応じて撥水処理、吸水防止処理、接着処理、難燃処理、漂白処理、染色処理などが施されていても良い。
次に、本発明の白色蓄光発光膜材について、図を参照しながら説明する。図1は、本発明の白色蓄光発光膜材の一例を示す図であり、第1樹脂層と、第2樹脂層とからなる積層体である。第1樹脂層は燐光のピーク波長が400〜530nmの間にあり、可視光下で白の体色を呈する蓄光性蛍光顔料を含有し、第2樹脂層は発光のピーク波長が530〜750nmの間にある蛍光体を含有する。これら蓄光性蛍光顔料の燐光と、蛍光体の発光が補色の関係にあり、第1樹脂層の全光線透過率が30〜70%であることで、消灯あるいは停電などで周囲が暗くなったときに、第1樹脂層の燐光と、第1樹脂層を透過した蛍光体の発光との混合により、第1樹脂層の側から見て、白い発光色を得ることができる。また、第1樹脂層に含まれる蓄光性蛍光顔料が白の体色を呈することで、周囲が明るい環境において、第1樹脂層の側からみて、白色蓄光発光膜材の表面が白く見える。この第1樹脂層が更に白色顔料を含有すれば、可視光下での色相をより白くする事ができ、第1樹脂層の厚さむらに起因する燐光発光時の輝度むらが軽減される。図2は本発明の白色蓄光発光膜材の別の例を示す図であり、第2樹脂層を中間として、第1樹脂層とは反対側に第3樹脂層を更に有する積層体である。第3樹脂層が光散乱物質を含有することで、第2樹脂層を透過した第1樹脂層の燐光と、第2樹脂層の発光を反射して、白色蓄光発光膜材の残光輝度を向上させる効果が得られる。また、光を散乱させることで、第1樹脂層および第2樹脂層の厚さむらに起因する輝度むらや色むらを軽減する。更に、内照式膜材として使用する場合には、背面からの光を散乱して光源の形状や位置を目立ち難くする事ができる。第3樹脂層にはまた、紫顔料,青顔料,青緑顔料および、波長400nm以下の紫外線領域の光で励起され発光のピーク波長が400〜500nmの範囲にある蛍光体、などから選ばれた着色剤が含有されてもよく、これにより第1樹脂層および第2樹脂層の厚さむらに起因する輝度むらや色むらを軽減する効果が、より高くなる。また、内照式膜材として用いて背面から光を照射した場合に、透過光が黄ばんで見えるのを軽減する事もできる。図3もまた、本発明の白色蓄光発光膜材の別の例を示す図であり、第3樹脂層が第1樹脂層と第2樹脂層の中間に位置している積層体である。第3樹脂層が光散乱物質を含むことで、周囲が明るい環境において、第1樹脂層の側から見た場合、白色蓄光発光膜材の表面はより白く見え、燐光発光時には、第1樹脂層および第2樹脂層の厚さむらに起因する輝度むらや色むらを軽減する効果も得られ、更に、内照式膜材として使用する場合には、背面からの光を散乱して光源の形状や位置を目立ち難くする事ができる。図4は本発明において白色蓄光発光膜材が繊維基布を含む例を示す図である。図4では繊維基布は第3樹脂層の中に含まれているが、本発明において、繊維基布は第1第2第3の各樹脂層のいずれに含まれても良く、第1第2第3樹脂層および透明保護層を含めた各樹脂層のいずれかの間に位置することもできる。
本発明を下記実施例、および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限
定されるものではない。
実施例及び比較例で得られた膜材について、以下の評価を行った。なお、膜材のどちらの面を表側として評価を行ったかについては、各実施例・比較例に記載した。
<色相>
実施例・比較例で得られた膜材について、以下に示す条件下で、膜材おもて面側に対して45度の角度で、レンズ先端から膜材表面の距離30cmでデジタルカメラ(パナソニック社製、品名:DMC-FX33、ホワイトバランスを下記条件でセット)で撮影してデータをコンピュータに取り込み、画像ソフト(Adobe社製 商標:Photoshop Elements)を用いて、膜材中心部付近のHSB色空間のS(彩度)の値(%)を取得(カラーピッカー機能使用:5ピクセル四方の平均)して、以下の様に評価した。
1:Sの値が5%以下であり、目視で着色が確認できない
2:Sの値が5%を越え10%以下であり、僅かに着色が認められるものの、
ほぼ白色である
3:Sの値が10%を越え15%以下であり、やや着色が見られる
4:Sの値が15%を越え、はっきりとした着色が見られる
ホワイトバランスセット条件
壁面を暗幕で囲い、窓からの光や壁面からの光反射の影響をなくした暗室において、白
色度90%(JISP8148)のコピー用紙を10枚重ねて配置し、コピー用紙表面に対して
垂直に1.5m離れた位置で、高演色性蛍光灯(パナソニック社製40型、品名:
FL40S・N-EDL)2灯を点灯し、カメラのセットモードからホワイトバランスをセットし
た。
撮影条件1:周辺が明るい状態の可視光下での色相
ホワイトバランスセットに使用した暗室において、実施例・比較例で得られた膜材を、
おもて面側を上にして水平に設置し、膜材表面に対して垂直に1.5m離れた位置で、
高演色性蛍光灯(パナソニック社製40型、品名:FL40S・N-EDL)2灯を点灯し、30
分静置後に撮影。
撮影条件2:燐光発光時の色相
撮影条件1の撮影後、蛍光灯を消し、1分後と30分経過後にそれぞれ撮影。
撮影条件3:内照時透過光の色相
厚さ10mmの木の板を用い、外側寸法が長さ20cm×幅15cm×高さ20cmで
上部のあいた箱を作成し、内部を黒く塗り、箱底部中心に高演色性蛍光灯(三菱電機オ
スラム社製27型、品名FPL27ANX)を配置したものを試験箱として用意。次に、実施例
・比較例で得られた膜材を、試験箱の寸法に合わせてカットし、箱上部におもて面側を
上にして四辺をテープで固定し、ホワイトバランスセットで使用した暗室に設置。周囲
が暗い状態で、試験箱内の蛍光灯を点灯し、30分静置後に撮影。
<残光輝度>
実施例・比較例で得られた膜材を、上述の色相評価で使用した暗室内において、24時
間光を遮断して保管した後、おもて面側を上にして、照度1000Lxの光を30分間
照射してから光を消し、1分後、30分後、60分後の輝度を測定した。
測定機器:LS−100輝度計(コニカミノルタ(株)製)
測定条件:距離/0.4m,測定角度/90°
また、各実施例・比較例の第1樹脂層について、JIS K7105に従って全光線透過率を測定した。なお、実施例・比較例の膜材作成後では、第1樹脂層単独の全光線透過率を評価する事ができないため、評価に当たっては、第1樹脂層と同じ組成物から、面積あたりの質量が同じとなるシートを作成して、全光線透過率を測定した。
[実施例1]
厚さ100μmの離型用ポリエステルフィルム上に、下記配合1の蓄光性蛍光顔料含有加工液をコーティングし、150℃で1分間乾燥して、350g/mの第1樹脂層用コート層(蓄光性蛍光顔料39質量%)を形成した。なお、コーティングはクリアランスコーターにより行い、ポリエステルフィルムとコーティングドクターのクリアランスを調整することでコーティング量を調整した。同様にして、第1樹脂層用コート層上に、下記配合2の蛍光体含有加工液をクリアランスコート後150℃で1分間乾燥して、100g/mの第2樹脂層用コート層(蛍光体0.6質量%)を形成し、ついで、185℃で1分半熱処理してから離型用ポリエステルフィルムを取り除き、第1樹脂層と第2樹脂層からなる実施例1の膜材を得た。なお、配合1には、燐光のピーク波長440nmで、可視光下の体色が白色であるCa(カルシウム)アルミネート系の蓄光性蛍光顔料を用い、配合2には、発光のピーク波長が586nmの黄色発光αサイアロン系蛍光体を用いた。この膜材について、第1樹脂層側をおもて面として各種評価を行った結果を表1に記す。
<配合1>青色発光蓄光性蛍光顔料含有加工液
ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート(可塑剤) 30質量部
トリクレジルフォスフェート(難燃性可塑剤) 20質量部
エポキシ化大豆油(安定剤) 4質量部
Ba−Zn系安定剤(安定剤) 2質量部
Caアルミネート系蓄光性蛍光顔料(青色発光) 100質量部(39質量%)
トルエン(溶剤) 10質量部

<配合2>黄色発光蛍光体含有加工液
ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート(可塑剤) 30質量部
トリクレジルフォスフェート(難燃性可塑剤) 20質量部
エポキシ化大豆油(安定剤) 4質量部
Ba−Zn系安定剤(安定剤) 2質量部
αサイアロン系蛍光体(黄色発光) 1質量部(0.6質量%)
トルエン(溶剤) 10質量部
[実施例2]
厚さ100μmの離型用ポリエステルフィルム上に、下記配合3の蓄光性蛍光顔料・白色顔料含有加工液をコーティングし、150℃で1分間乾燥して、350g/mの第1樹脂層用コート層(蓄光性蛍光顔料39質量%、白色顔料0.8質量%)を形成した。つぎに、第1樹脂層用コート層上に、配合2の蛍光体含有加工液をクリアランスコート・150℃で1分間乾燥して100g/mの第2樹脂層用コート層(蛍光体0.6質量%)を形成し、ついで、185℃で1分半熱処理してから離型用ポリエステルフィルムを取り除き、実施例2の膜材を得た。なお、配合3には、燐光のピーク波長440nmで、可視光下の体色が白色であるCa(カルシウム)アルミネート系の蓄光性蛍光顔料と、白色顔料として平均粒径0.3μmの酸化チタンを用いた。この膜材について、第1樹脂層側をおもて面として各種評価を行った結果を表1に記す。
<配合3>青色発光蓄光性蛍光顔料・白色顔料含有加工液
ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート(可塑剤) 30質量部
トリクレジルフォスフェート(難燃性可塑剤) 20質量部
エポキシ化大豆油(安定剤) 4質量部
Ba−Zn系安定剤(安定剤) 2質量部
Caアルミネート系蓄光性蛍光顔料(青色発光) 100質量部(39質量%)
酸化チタン(白色顔料:平均粒径0.3μm) 2質量部(0.8質量%)
トルエン(溶剤) 10質量部
[実施例3]
厚さ100μmの離型用ポリエステルフィルム上に、実施例1と同様にして第1樹脂層用コート層と第2樹脂層用コート層を形成し、更に185℃で1分半熱処理して離型用ポリエステルフィルム上に第1樹脂層と第2樹脂層を有するシートを得た。次に、カレンダー法により下記配合4の樹脂組成物からなるフィルム(厚さ:0.15mm、光散乱物質6.0質量%)を作成してから、熱圧着により第2樹脂層上に貼着して、第3樹脂層を形成し、ついで、離型用ポリエステルフィルムを取り除いて実施例2の膜材を得た。なお、配合3には光散乱物質として平均粒径0.3μmの酸化チタンを用いた。この膜材について、第1樹脂層側をおもて面として各種評価を行った結果を表1に記す。
<配合4>光散乱物質含有フィルム用組成物
ストレート塩化ビニル樹脂 100質量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート(可塑剤) 30質量部
トリクレジルフォスフェート(難燃性可塑剤) 20質量部
エポキシ化大豆油(安定剤) 4質量部
Ba−Zn系安定剤(安定剤) 2質量部
酸化チタン(光散乱物質:粒径3μm) 10質量部(6.0質量%)
[実施例4]
厚さ100μmの離型用ポリエステルフィルム上に、配合1の蓄光性蛍光顔料含有加工液をクリアランスコートし、150℃で1分間乾燥した後185℃で1分半熱処理して、350g/mの第1樹脂層(蓄光性蛍光顔料39質量%)を形成し、次に、配合4の樹脂組成物からなるフィルム(厚さ:0.15mm、光散乱物質6.0質量%)をカレンダー法で作成して、第1樹脂層上に熱圧着により貼着して第3樹脂層を形成した。更に、第3樹脂層上に、配合2の蛍光体含有加工液をクリアランスコート・乾燥(150℃×1分)した後、185℃で1分半熱処理して100g/mの第2樹脂層を形成し、ついで、離型用ポリエステルフィルムを取り除いて、実施例4の膜材を得た。この膜材について、第1樹脂層側をおもて面として各種評価を行った結果を表1に記す。
[実施例5]
下記組織のポリエステルラッセル織物からなる繊維基布1の両面に、配合4からなるカレンダーフィルム(厚さ:0.15mm、光散乱物質6.0質量%)を積層して第3樹脂層を形成した。次いで、一方の側の第3樹脂層上に、配合2の加工液をクリアランスコート・乾燥(150℃×1分)して100g/mの第2樹脂層用コート層(蛍光体0.6質量%)を形成した。更に、第2樹脂層用コート層上に、配合3の加工液をクリアランスコート・乾燥(150℃×1分)して350g/mの第1樹脂層用コート層(蓄光性蛍光顔料39質量%、白色顔料0.8質量%)を形成してから185℃で1分半熱処理して、実施例5の膜材を得た。この膜材について、第1樹脂層側をおもて面として各種評価を行った結果を表1に記す。
(繊維基布1)ポリエステルラッセル織物
420d×420d
18×18 質量:85g/m
[実施例6]
繊維基布1の両面に、下記配合5からなるカレンダーフィルム(厚さ:0.15mm)を積層して第3樹脂層を形成した。配合5は配合4に、更に着色剤として2,5’−ビス[(5−tert−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェン(蛍光増白剤)を加えた加工液であり、第3樹脂層における光散乱物質の含有量は6.0質量%、着色剤の含有量は0.3質量%であった。次いで、一方の側の第3樹脂層上に、配合2の加工液をクリアランスコート・乾燥(150℃×1分)して100g/mの第2樹脂層用コート層(蛍光体0.6質量%)を形成した。更に、第2樹脂層用コート層上に、配合1の加工液をクリアランスコート・乾燥(150℃×1分)して350g/mの第1樹脂層用コート層(蓄光性蛍光顔料39質量%)を形成してから185℃で1分半熱処理して、実施例6の膜材を得た。この膜材について、第1樹脂層側をおもて面として各種評価を行った結果を表1に記す。
<配合5>光散乱物質・着色剤含有フィルム用組成物
ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート(可塑剤) 30質量部
トリクレジルフォスフェート(難燃性可塑剤) 20質量部
エポキシ化大豆油(安定剤) 4質量部
Ba−Zn系安定剤(安定剤) 2質量部
酸化チタン(光散乱物質:平均粒径0.3μm) 10質量部(6.0質量%)
着色剤(蛍光増白剤) 0.5質量部(0.3質量%)
[実施例7]
下記組織のガラスクロス平織物からなる繊維基布2を、配合2の加工液に浸漬して樹脂液を含浸し、マングルロールで絞り、150℃で1分間乾燥後、185℃で1分間熱処理し、繊維基布2の両面に合計で150g/mの第2樹脂層を形成した。次いで、一方の側の第2樹脂層上に配合5からなるカレンダーフィルム(厚さ:0.15mm、光散乱物質6.0質量%、着色剤0.3質量%)を積層して第3樹脂層を形成し、もう一方の面には配合5から酸化チタンと着色剤を省略した配合からなるカレンダーフィルム(厚さ:0.15mm)を積層して透明な樹脂層を形成した。ついで、配合5からなる第3樹脂層上に、配合3の加工液をクリアランスコート・乾燥(150℃×1分)して350g/mの第1樹脂層用コート層(蓄光性蛍光顔料39質量%、白色顔料0.8質量%)を形成してから、185℃で1分半熱処理して、実施例7の膜材を得た。
(繊維基布2)ガラスクロス平織物
DE75 1/0 × DE75 1/0
44 × 33 質量:215g/m
実施例1から7の膜材は何れも、燐光のピーク波長が400〜530nmの間にあって、可視光下で白の体色を呈する蓄光性蛍光顔料を含有する第1樹脂層と、発光のピーク波長が530〜750nmの間にある蛍光体を含有する第2樹脂層を有し、蓄光性蛍光顔料の燐光と蛍光体の発光が補色の関係にあり、かつ、第1樹脂層の全光線透過率(JISK7105)が30〜70%の条件をみたす積層体である。これらの膜材の第1樹脂層側をおもて面側として各種評価を行ったところ、可視光下、燐光発光時、および、内照時の透過光、の全てについて、HSB色空間のS(彩度)の値が10%以下(色相の評価が1または2)であり、この膜材のおもて面側に印刷やマーキングフィルム貼着を行った場合の、発色性に優れた膜材であった。実施例2は、第1樹脂層が蓄光性蛍光顔料に加えて更に白色顔料を含有することで、周辺が明るい状態においてHSB色空間のS(彩度)の値が実施例1よりも小さく、より白い外観を示していた。実施例3の膜材は、第2樹脂層を中間として第1樹脂層とは反対側に光散乱物質を含む第3樹脂層を有することで、残光輝度が実施例1より優れており、燐光発光の色相についても実施例1よりもHSB色空間のS(彩度)の値が小さく、また、内照式膜材として用いた場合に光源の位置や形状が目立ち難い膜材であった。実施例4は、第1樹脂層と第2樹脂層の中間に第3樹脂層を有することで、周辺が明るい状態においてHSB色空間のS(彩度)の値が実施例1よりも小さく、更に残光輝度も高く、内照式膜材として用いた場合に光源の位置や形状が目立ち難い膜材であった。実施例5は、第2樹脂層を中間として、第1樹脂層とは反対側に第3樹脂層を有し、第1樹脂層が蓄光性蛍光顔料に加えて更に白色顔料を含有することで、周辺が明るい状態、燐光発光の色相が、ともに優れており、更に残光輝度も高く、内照式膜材として用いた場合に光源の位置や形状が目立ち難い膜材であった。実施例6は、第2樹脂層を中間として、第1樹脂層とは反対側に光散乱物質を含む第3樹脂層を有し、第3樹脂層が光散乱物質に加えて更に着色剤を含有することで、燐光発光の色相、内照時の透過光の色相が、ともに優れており、更に残光輝度も高く、内照式膜材として用いた場合に光源の位置や形状が目立ち難い膜材であった。実施例7は第1樹脂層と第2樹脂層の中間に第3樹脂層を有し、第1樹脂層が蓄光性蛍光顔料に加えて更に白色顔料を含有し、第3樹脂層が光散乱物質に加えて更に着色剤を含有することで、周辺が明るい状態、燐光発光の色相、内照時の透過光の色相の全てが優れており、更に残光輝度も高く、内照式膜材として用いた場合に光源の位置や形状が目立ち難い膜材であった。
[比較例1]
配合1の代わりに下記配合6を用いて第1樹脂層を形成し、配合2の代わりに下記配合7を用いて第2樹脂層を形成した以外は実施例3と同様にして、比較例1の膜材を得た。この膜材について、第1樹脂層側をおもて面として各種評価を行った結果を表2に記す。配合6には、配合1で用いた青色発光のCaアルミネート系蓄光性蛍光顔料の代わりに、燐光のピーク波長620nm(橙色発光)で、可視光下の体色が白色であるイットリウム酸化物系の蓄光性蛍光顔料を用い、配合7には、配合2で用いた黄色発光のαサイアロン系蛍光体の代わりに、発光のピークが520nm(緑色発光)のαサイアロン系蛍光体を用いた。
<配合6>橙色発光蓄光性蛍光顔料含有加工液
ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート(可塑剤) 30質量部
トリクレジルフォスフェート(難燃性可塑剤) 20質量部
エポキシ化大豆油(安定剤) 4質量部
Ba−Zn系安定剤(安定剤) 2質量部
イットリウム酸化物系蓄光性蛍光顔料(橙色発光) 100質量部(39質量%)
トルエン(溶剤) 10質量部

<配合7>緑色発光蛍光体含有加工液
ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート(可塑剤) 30質量部
トリクレジルフォスフェート(難燃性可塑剤) 20質量部
エポキシ化大豆油(安定剤) 4質量部
Ba−Zn系安定剤(安定剤) 2質量部
αサイアロン系蛍光体(緑色発光) 1質量部(0.6質量%)
トルエン(溶剤) 10質量部
比較例1の膜材は、可視光下と内照時の透過光については、実施例1と同様色相の評価は2であったが、燐光発光時の色相には、はっきりと着色が確認された。第1樹脂層に含まれる蓄光性蛍光顔料の燐光と、第2樹脂層に含まれる蛍光体の発光は、ほぼ補色の関係にあり、蓄光性蛍光顔料の燐光と蛍光体の発光を混合すれば、白い発光色を呈するはずであるが、比較例1で第1樹脂層に用いた蓄光性蛍光顔料の燐光のピーク波長が620nmであり、第2樹脂層に含まれる蛍光体がその燐光を吸収して発光することができないため、燐光発光時には、蓄光性蛍光顔料の燐光のみとなり、はっきりとした着色が認められたものと思われる。
[比較例2]
配合1の代わりに下記配合8を用いて第1樹脂層を形成した以外は、実施例3と同様にして比較例2の膜材を得た。配合8には、配合1と同じ燐光のピーク波長440nmで、可視光下の体色が白色であるCa(カルシウム)アルミネート系の蓄光性蛍光顔料を用い、第1樹脂層における蓄光性蛍光顔料の含有量は6質量%であった。この膜材について、第1樹脂層側をおもて面として各種評価を行った結果を表2に記す。
<配合8>青色発光蓄光性蛍光顔料・白色顔料含有加工液
ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート(可塑剤) 30質量部
トリクレジルフォスフェート(難燃性可塑剤) 20質量部
エポキシ化大豆油(安定剤) 4質量部
Ba−Zn系安定剤(安定剤) 2質量部
Caアルミネート系蓄光性蛍光顔料(青色発光) 10質量部(6質量%)
トルエン(溶剤) 10質量部
比較例2の膜材は、第1樹脂層の全光線透過率が82%と高く、周辺が明るい状態で第2樹脂層の色相の影響を受け着色が見られた。また、燐光発光時の色相にも着色がみられ、更に、第1樹脂層が含有する蓄光性蛍光顔料の量が少ないため、残光輝度が低かった。
[比較例3]
厚さ100μmの離型用ポリエステルフィルム上に、下記配合9の蓄光性蛍光顔料・白色顔料含有加工液をコーティングし、150℃で1分間乾燥して、350g/mの第1樹脂層用コート層(蓄光性蛍光顔料39質量%、白色顔料0.8質量%)を形成した。配合9には、配合3と同様、燐光のピーク波長440nmで、可視光下の体色が白色であるCa(カルシウム)アルミネート系の蓄光性蛍光顔料と、白色顔料として平均粒径0.3μmnの酸化チタンを用いたが、酸化チタンの量を増やし、第1樹脂層における酸化チタンの含有量を7.0質量%とした。つぎに、第1樹脂層用コート層上に、配合2の蛍光体含有加工液をクリアランスコート・150℃で1分間乾燥して100g/mの第2樹脂層用コート層(蛍光体0.6質量%)を形成し、ついで、185℃で1分半熱処理して、離型用ポリエステルフィルム上に第1樹脂層と第2樹脂層を有するシートを得た。次に、カレンダー法により配合4の樹脂組成物からなるフィルム(厚さ:0.15mm、光散乱物質6.0質量%)を作成してから、熱圧着により第2樹脂層上に貼着して、第3樹脂層を形成し、ついで、離型用ポリエステルフィルムをはがして比較例3の膜材を得た。この膜材について、第1樹脂層側をおもて面として各種評価を行った結果を表2に記す。
<配合9>青色発光蓄光性蛍光顔料・白色顔料含有加工液
ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート(可塑剤) 30質量部
トリクレジルフォスフェート(難燃性可塑剤) 20質量部
エポキシ化大豆油(安定剤) 4質量部
Ba−Zn系安定剤(安定剤) 2質量部
Caアルミネート系蓄光性蛍光顔料(青色発光) 100質量部(35質量%)
酸化チタン(白色顔料:平均粒径0.3μm) 20質量部(7.0質量%)
トルエン(溶剤) 10質量部
配合9が白色顔料を7.0質量%含むことで、第1樹脂層の全光線透過率は21%となり、30%を下回った。その結果比較例3の膜材は、燐光発光時に第2樹脂層からの発光が相対的に弱くなって、第1樹脂層からの燐光による着色がみられ、また、第1樹脂層の全光線透過率が低いため、残光輝度がやや低かった。
[比較例4]
離型用ポリエステルフィルムの一方の面に、下記配合10の蓄光性蛍光顔料・蛍光体含有加工液をクリアランスコート・乾燥(150℃×1分)・熱処理(185℃×1分半)して、450g/mの蓄光性蛍光顔料と蛍光体を同時に含む樹脂層(蓄光性蛍光顔料39質量%、蛍光体0.6質量%)を形成した。配合10には、燐光のピーク波長440nmで、可視光下の体色が白色であるCa(カルシウム)アルミネート系の蓄光性蛍光顔料と、発光のピーク波長が586nmの黄色発光αサイアロン系蛍光体を用いた。次に、カレンダー法により配合4の樹脂組成物からなるフィルム(厚さ:0.15mm、光散乱物質6.0質量%)を作成してから、熱圧着により第2樹脂層上に貼着して、第3樹脂層を形成し、ついで、離型用ポリエステルフィルムを取り除いて比較例4の膜材を得た。この膜材について、蓄光性蛍光顔料と蛍光体を同時に含む樹脂層の側を表面として、各種評価を行った結果を表2に記す。
<配合10>黄色発光蛍光体・青色発光蓄光性蛍光顔料含有加工液
ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート(可塑剤) 30質量部
トリクレジルフォスフェート(難燃性可塑剤) 20質量部
エポキシ化大豆油(安定剤) 4質量部
Ba−Zn系安定剤(安定剤) 2質量部
Caアルミネート系蓄光性蛍光顔料(青色発光) 100質量部(39質量%)
αサイアロン系蛍光体(黄色発光) 1.5質量部(0.6質量%)
トルエン(溶剤) 10質量部
比較例4の膜材は、燐光発光時の色相や内照時透過光の色相はほぼ白色であったが、蛍光体と蓄光性蛍光顔料を同じ層に含むため、周辺が明るい状態での可視光下の色相に着色がみられた。
[比較例5]
配合2から第2樹脂層を形成する代わりに、下記配合11を用いて蓄光性蛍光顔料含有樹脂層を形成した以外は、実施例3と同様にして、比較例5の膜材を得た。この膜材について、第1樹脂層側をおもて面として各種評価を行った結果を表2に記す。配合11は、黄色発光のαサイアロン系蛍光体0.6質量%の代わりに、可視光下での体色が白で、ピーク波長が520nmで黄緑色の燐光を有するするストロンチウム(Sr)アルミネート系蓄光性蛍光顔料を、固形分で28質量%含む加工液である。
<配合11>黄緑色発光蓄光性蛍光顔料含有加工液
ペースト塩化ビニル樹脂 100質量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート(可塑剤) 30質量部
トリクレジルフォスフェート(難燃性可塑剤) 20質量部
エポキシ化大豆油(安定剤) 4質量部
Ba−Zn系安定剤(安定剤) 2質量部
Srアルミネート系蓄光性蛍光顔料(黄緑色発光) 60質量部(28質量%)
トルエン(溶剤) 10質量部
比較例5の膜材は、黄色発光の蛍光体を含む第2樹脂層の代わりに、黄緑色発光の蓄光性蛍光顔料を含む樹脂層を設けたものである。可視光下と内照時透過光の色層はほぼ白色であり、燐光発光時の色相も、第1樹脂層に含まれる青色発光の蓄光性蛍光顔料の燐光と、第1樹脂層を透過した黄緑色発光の蓄光性蛍光顔料の燐光とが、補色の関係にあるため、燐光を混合することにより、燐光発光時の色相は初期的にほぼ白色であった。しかし、それぞれの蓄光性蛍光顔料の残光特性の違いにより、経時的に色相の変化が確認され、30分経過時には着色がみられた。
本発明の白色蓄光膜材は、可視光下の色相、暗時の発光色、および内照時の透過色の全てが白色であるため、可視光下、暗時、内照時の全てにおいて、印刷部やマーキングフィルム貼着部の発色性が優れており、しかも、蓄光性蛍光機能を有しているため、突然の停電時には一時的な照明として機能する。そのため、屋内外で用いる内照式・外照式の看板、案内板、標識、更に横断幕、バナーなどに好適に用いることができる。
1:白色蓄光発光膜材
2:第1樹脂層
3:第2樹脂層
4:第3樹脂層
5:繊維基布

Claims (7)

  1. 蓄光性蛍光顔料を含有する第1樹脂層と、蛍光体を含有する第2樹脂層と、を有する積層体であって、前記蓄光性蛍光顔料の燐光と前記蛍光体の発光が補色の関係にあり、前記蓄光性蛍光顔料の燐光のピーク波長が400〜530nmの間にあり、かつ、可視光下で白の体色を呈し、また、前記蛍光体の発光のピーク波長が530〜750nmの間にあり、前記第1樹脂層の全光線透過率(JIS K7105)が30〜70%であることを特徴とする白色蓄光発光膜材。
  2. 前記第1樹脂層が、前記第1樹脂層の燐光と、前記第1樹脂層を透過する前記第2樹脂層の発光との混合による発光色を呈する、請求項1に記載の白色蓄光発光膜材。
  3. 前記第1樹脂層の質量に対する蓄光性蛍光顔料の含有量が15〜60質量%であり、前記第2樹脂層の質量に対する前記蛍光体の含有量が0.1〜2.0質量%である、請求項1または2に記載の白色蓄光発光膜材。
  4. 前記第1樹脂層が、第1樹脂層の質量に対して0.3〜5質量%の白色顔料を更に含む、請求項3に記載の白色蓄光発光膜材。
  5. 前記積層体が、前記第2樹脂層を中間として前記第1樹脂層とは反対側、または、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層の中間、のいずれかに、光散乱物質を含有する第3樹脂層を更に有し、前記第3樹脂層の質量に対する光散乱物質の含有量が0.5〜50質量%であり、前記光散乱物質が、白色顔料、パール顔料、ガラスビーズ、ガラス粒子、樹脂ビーズおよび樹脂粒子から選ばれた少なくとも1種である、請求項1から4いずれか1項に記載の白色蓄光発光膜材。
  6. 前記第3樹脂層が、紫顔料、青顔料、青緑顔料、および、波長400nm以下の紫外線領域の光を吸収して400〜500nmの間にピーク波長を有する光に変えて放出する蛍光体、から選ばれた少なくとも一種の着色剤を、前記第3樹脂層の質量に対して0.1〜2.0質量%更に含む、請求項5に記載の白色蓄光発光膜材。
  7. 前記積層体が繊維基布を更に含む、請求項1から6いずれか1項に記載の白色蓄光発光膜材。
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