JP2008245335A - ヨーク及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気特性を損なうことなく、ヨークの軽量化を図る。
【解決手段】ヨーク21は有底筒状に形成されて、その周壁内面に断面円弧状のマグネット22が装着される。ヨーク21は、有底筒状のヨークハウジング21aと、ヨークハウジング21aとマグネット22の間に介装したマグネット装着部材21bとを備えている。 マグネット装着部材21bは、その肉厚が相隣接するマグネット22,22間の中央と対応する箇所で最大になり、そこから離れるほど徐々に小さくなり、マグネット22の周方向中央と対応する箇所で分割されている三日月状のセグメント21cからなる。ヨークハウジング21aはマグネット装着部材21bよりも比重の小さい材料で成形してある。
【選択図】図5

Description

本発明は、周壁内面に断面円弧状のマグネットを装着する有底筒状のヨーク及びその製造方法に関する。
ワイパ装置やパワーウィンド装置などの車載用機器では、アクチュエータとして電動モータと減速機構を組み合わせたモータ装置が使用されている。電動モータは有底筒状のヨークに収容され、その開口端には、減速機構を収容するギヤハウジングが連結されている。ヨークの内周面にはマグネットが装着されているので、磁気特性を良くするためには、ヨークの肉厚を大きくする必要がある。しかし、ヨーク全体の肉厚を大きくすると、重量が嵩むばかりでなく、成形が困難になる。そこで、ヨークのマグネット装着部分の肉厚だけを大きくする成形方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−186225号公報
ところで、マグネットの背面側における磁力線の密度は、相隣接するマグネット間の中央と対応する箇所で最大になり、そこから離れるほど徐々に小さくなり、マグネットの周方向中央に対応する箇所で最小になる。このため、ヨークの肉厚は、相隣接するマグネット間の中央と対応する箇所の付近を大きくする必要があるが、マグネットの周方向中央に対応する箇所の付近の肉厚は然程大きくしなくてもよい。しかし、上記従来の成形方法によれば、マグネット装着部分の肉厚が均一になり、磁力線の密度が疎な部分も肉厚が大きくなるため、ヨークの重量が必要以上に増加してしまう。
本発明の目的は、磁気特性を損なうことなく、ヨークの軽量化を図ることにある。
本発明のヨークは、周壁内面に断面円弧状のマグネットを装着する有底筒状のヨークであって、マグネット装着部の肉厚を磁力線の密度に応じて変化させたことを特徴とする。
本発明のヨークは、上記マグネット装着部は、その肉厚が相隣接するマグネット間の中央と対応する箇所で最大になり、そこから離れるほど徐々に小さくなり、マグネットの周方向中央と対応する箇所で最小になることを特徴とする。
本発明のヨークは、周壁内面に断面円弧状のマグネットを装着する有底筒状のヨークであって、有底筒状のヨークハウジングと、該ヨークハウジングと上記マグネットの間に介装した筒状のマグネット装着部材とを備え、該上記マグネット装着部は、その肉厚が相隣接するマグネット間の中央と対応する箇所で最大になり、そこから離れるほど徐々に小さくなり、マグネットの周方向中央と対応する箇所で最小になる一方、上記ヨークハウジングはマグネット装着部材よりも比重の小さい材料で成形してあることを特徴とする。
本発明のヨークは、上記マグネット装着部材は複数の板材を積み重ねてなることを特徴とする。
本発明のヨークは、周壁内面に断面円弧状のマグネットを装着する有底筒状のヨークであって、有底筒状のヨークハウジングと、該ヨークハウジングと上記マグネットの間に介装したマグネット装着部材とを備え、該マグネット装着部材は、その肉厚が相隣接するマグネット間の中央で最大になり、そこから離れるほど徐々に小さくなり、マグネットの周方向中央と対応する箇所で分割されている複数のセグメントからなる一方、上記ヨークハウジングはマグネット装着部材よりも比重の小さい材料で成形してあることを特徴とする。
本発明のヨークは、上記マグネット装着部材は複数の板材を積み重ねてなることを特徴とする。
本発明のヨークの製造方法は、有底筒状のヨークハウジングの内周面にマグネット装着部材を成形固着するヨークの製造方法であって、リング状または三日月状の板材を作成する工程と、上記板材を積み重ねて上記マグネット装着部材を形成する工程と、上記マグネット装着部材よりも比重の小さい材料で上記ヨークハウジングを成形するとともに、該ヨークハウジングの内周面に上記マグネット装着部材を成形固着する工程とからなることを特徴とする。
本発明によれば、磁力線密度の高い部分の肉厚が大きくなるが、磁力線密度の低い部分の肉厚は大きくならないので、磁気特性を損なうことなく、ヨークの軽量化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1はワイパ装置を備えた車両の概略を示している。
この車両11には、フロントウィンドガラス12を払拭するために運転席側のワイパブレード13aと助手席側のワイパブレード13bとが設けられている。運転席側のワイパブレード13aはワイパアーム14aの先端に取り付けられ、助手席側のワイパブレード13bはワイパアーム14bの先端に取り付けられており、それぞれのワイパブレード13a,13bは、ワイパアーム14a,14bに内装された図示しないばね部材等によりフロントウィンドガラス12に弾圧的に接触するようになっている。ワイパアーム14a,14bはリンク機構を介してワイパモータと連結され、フロントウィンドガラス12上の上反転位置とフロントウィンドガラス12の下端に位置する下反転位置との間の払拭範囲12a,12bを同一方向に向けて揺動運動して払拭動作を行うようになっている。すなわち、これらのワイパブレード13a,13bの払拭パターンはタンデム式となっている。
図2は、図1のワイパ装置を駆動するワイパモータの断面図である。
このワイパモータ15はモータ本体16と減速機構17とからなり、モータ本体16はヨーク21に収容されている。ヨーク21は有底筒状に形成されており、その内周面には2つのマグネット22が装着されている。ヨーク21の内部にはアマチュア(電機子)23が設けられており、このアマチュア23はシャフト24を有し、シャフト24は軸受25を介してヨーク21に回転自在に支持されている。なお、符号26はシャフト24を軸方向に支持する支持球であり、この支持球26によって、シャフト24の軸方向への移動が規制されている。
シャフト24にはアマチュアコア27が固定されており、このアマチュアコア27はヨーク21の内部に位置し、微小隙間(エアギャップ)を介してマグネット22と対向している。アマチュアコア27には複数のスロット27aが長手方向に形成されており、これらのスロット27にはアマチュアコイル(図示せず)が重ね巻きで装着されている。アマチュアシャフト24には、アマチュアコア27に隣接して整流子(コンミテータ)31が固定されている。この整流子31は複数の整流子片31aを備えており、これらの整流子片31aにはアマチュアコイルが接続されている。整流子31にはブラシ32が摺接されている。このブラシ32はブラシホルダ34に支持され、スプリング35により付勢されて整流子31に押し付けられている。
ヨーク21の開口端には、減速機構17を収容しているギヤハウジング51が連結されている。シャフト24の先端はギヤハウジング51の内部に突出し、このギヤハウジング51内に突出する部分にはウォーム53が形成されている。このウォーム53をウォームホイール54に噛み合わせることで、シャフト24の回転を減速してウォームホイール54の軸54aから出力するようになっている。軸54aに出力されたシャフト24からの回転力は図示しない伝達機構により各々のワイパブレードをウインドガラス面上を往復揺動させる。
次に、本発明の要部であるヨーク21の構造について説明する。
図3はヨーク21の正面図、図4はヨーク21の平面図、図5は図3のA−A線断面図、図6は図4のB−B線断面図、図7は図4のC−C線断面図、図8はヨーク21を構成するマグネット装着部材の斜視図、図9は磁力線の分布を説明する図、図10は図8の変形例を示す図、図11は図5の変形例を示す図である。
このヨーク21は、比重の小さい材料(アルミニウム、マグネシウム、樹脂など)で成形した有底筒状のヨークハウジング21aと、ヨークハウジング21aの内周面に成形固着した鋼製のマグネット装着部材21bとからなり、マグネット装着部材21bの内周面にはマグネット22が装着される。
マグネット装着部材21bは一対の三日月状セグメント21cからなり、各セグメント21cは鋼板を積み重ねて構成してある(図8参照)。マグネット装着部材21bは、セグメント21cの肉厚が相隣接するマグネット22,22間の中央と対応する箇所、つまりマグネット装着部材21bの内周面でマグネットの外周面と接触していない部分(マグネット非接触部)で最大になり、そこから離れるほど徐々に小さくなり、マグネット22の周方向中央と対応する箇所、つまりマグネット外周の周線の中間位置で分割されるようにしてヨークハウジング21a内に配置してある。なお、ヨークハウジング21aの開口端には、ギヤハウジング51を締結固定するためのフランジ21dが設けてある。
ヨーク21の製造に際しては、まず、鋼板を打ち抜いて三日月状のセグメント21cを作成し、これを積み重ねて成形金型内にセットし、成形金型に成形材料を射出してヨークハウジング21aを成形する。すると、ヨークハウジング21aの内周面にマグネット装着部材21bが成形固着された製品が得られる。
ところで、図9に示すように、マグネット22の背面側における磁力線の密度は、相隣接するマグネット22,22間の中央と対応する箇所bb´で最大になり、そこから離れるほど徐々に小さくなり、マグネット22の周方向中央に対応する箇所aa´で最小になるため、ヨークの肉厚は、相隣接するマグネット22,22間の中央と対応する箇所bb´の付近を大きくする必要があるが、マグネット22の周方向中央に対応する箇所aa´の付近の肉厚は然程大きくしなくてもよい。そこで、磁力線の密度に応じて肉厚が変化するマグネット装着部材21bを用いることで、磁力線の密度が疎な部分の肉厚を小さくしてヨーク21の軽量化を図っている。また、磁気特性に影響のない他の部分は低比重の材料で成形することで、ヨーク21の一層の軽量化を図っている。
本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、以上の実施の形態おいては、鋼板の歩留まりを良くするため、マグネット装着部材21bを三日月状のセグメント21cに分割してあるが、図10に示すようなリング状のマグネット装着部材21bを用いてもよい。このようにすると、鋼板の歩留は悪くなるが、成形金型へのマグネット装着部材21bのセットが容易になる。
また、マグネット装着部材は、パイプ材を用いてもよい。この場合、相隣接するマグネット間の中央と対応する箇所で最大とし、そこから離れるほど徐々に小さくなるように成形した後に、成形品を成形金型内にセットし、成形金型に成形材料(低比重材)を射出してヨークハウジングを成形してもよい。さらに焼結により成形されたマグネット装着部材を用いてもよい。つまり、マグネット装着部材は一体に成形されたものでもよい。
図11に示す4極機の場合は、マグネット装着部材21の肉厚は、相隣接するマグネット22間の中央と対応する4箇所で最大なり、マグネット22の周方向中央と対応する4箇所で最小になるようにすればよい。
ところで、以上の実施の形態では、ヨークハウジング21aを低比重の材料で成形してあるので、ヨーク21の大幅な軽量化が可能になるが、ヨーク21全体を鋼で成形し、マグネット装着部の肉厚を磁力線の密度に応じて変化させるようにしてもよい。このようにしても、ヨーク21のある程度の軽量化が可能になる。
ワイパ装置を備えた車両の概略を示す図である。 同ワイパ装置を駆動するワイパモータの断面図である。 本発明のヨークを示す正面図である。 同ヨークの平面図である。 図3のA−A線断面図である。 図4のB−B線断面図である。 図4のC−C線断面図である。 同ヨークを構成するマグネット装着部材の斜視図である。 磁力線の分布を説明する図である。 図8の変形例を示す図である。 図5の変形例を示す図である。
符号の説明
11 車両
12 フロントウィンドガラス
12a 払拭範囲
13a ワイパブレード
13b ワイパブレード
14a ワイパアーム
14b ワイパアーム
15 ワイパモータ
16 モータ本体
17 減速機構
21 ヨーク
21a ヨークハウジング
21b マグネット装着部材
21c セグメント
21d フランジ
22 マグネット
23 アマチュア
24 シャフト
25 軸受
26 支持球
27 アマチュアコア
27a スロット
31 整流子
31a 整流子片
32 ブラシ
34 ブラシホルダ
35 スプリング
51 ギヤハウジング
53 ウォーム
54 ウォームホイール
54a 軸

Claims (7)

  1. 周壁内面に断面円弧状のマグネットを装着する有底筒状のヨークであって、マグネット装着部の肉厚を磁力線の密度に応じて変化させたことを特徴とするヨーク。
  2. 請求項1記載のヨークにおいて、上記マグネット装着部は、その肉厚が相隣接するマグネット間の中央と対応する箇所で最大になり、そこから離れるほど徐々に小さくなり、マグネットの周方向中央と対応する箇所で最小になることを特徴とするヨーク。
  3. 周壁内面に断面円弧状のマグネットを装着する有底筒状のヨークであって、
    有底筒状のヨークハウジングと、
    該ヨークハウジングと上記マグネットの間に介装した筒状のマグネット装着部材とを備え、
    該マグネット装着部材は、その肉厚が相隣接するマグネット間の中央と対応する箇所で最大になり、そこから離れるほど徐々に小さくなり、マグネットの周方向中央と対応する箇所で最小になる一方、
    上記ヨークハウジングはマグネット装着部材よりも比重の小さい材料で成形してある
    ことを特徴とするヨーク。
  4. 請求項3記載のヨークにおいて、上記マグネット装着部材は複数の板材を積み重ねてなることを特徴とするヨーク。
  5. 周壁内面に断面円弧状のマグネットを装着する有底筒状のヨークであって、
    有底筒状のヨークハウジングと、
    該ヨークハウジングと上記マグネットの間に介装したマグネット装着部材とを備え、
    該マグネット装着部材は、その肉厚が相隣接するマグネット間の中央と対応する箇所で最大になり、そこから離れるほど徐々に小さくなり、マグネットの周方向中央と対応する箇所で分割されている複数のセグメントからなる一方、
    上記ヨークハウジングはマグネット装着部材よりも比重の小さい材料で成形してある
    ことを特徴とするヨーク。
  6. 請求項5記載のヨークにおいて、上記マグネット装着部材は複数の板材を積み重ねてなることを特徴とするヨーク。
  7. 有底筒状のヨークハウジングの内周面にマグネット装着部材を成形固着するヨークの製造方法であって、
    リング状または三日月状の板材を作成する工程と、
    上記板材を積み重ねて上記マグネット装着部材を形成する工程と、
    上記マグネット装着部材よりも比重の小さい材料で上記ヨークハウジングを成形するとともに、該ヨークハウジングの内周面に上記マグネット装着部材を成形固着する工程と、
    からなることを特徴とするヨークの製造方法。
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