JP2008243559A - 有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】正孔輸送層を表示領域全体に一括成型する場合でも画素間のリーク電流の発生を防止して有機ELの特性を効率よく発揮できる有機EL表示装置を提供すること。
【解決手段】陽極2および隔壁11が形成された透光性基板1の表示領域全面に正孔輸送層3を成膜する。画素となる部位P同士を隔絶するサブピクセル間Sに形成された隔壁11上の正孔輸送層3を除去して、正孔輸送層3を形成する一括成型された膜を分割する。次いで、発光体層4および陰極6を画素部位Pの正孔輸送層3上に形成する。このように、正孔輸送層3を表示領域全体に一括形成した後、隔壁11を覆う正孔輸送層3のみを除去することで、画素部位辺縁の印刷抜けおよびリーク電流発生が防止された有機EL素子を形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、有機のエレクトロルミネッセンス現象を利用した有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」とする)を複数、配列した有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、「有機EL表示装置」とする)、特に発光体層が高分子化合物からなる有機EL表示装置の製造方法に関するものである。
有機EL素子は、導電性の発光体に電圧を印加し、注入された電子と正孔とを再結合させ、この再結合の際に前記発光体を発光させるものである。一般に、この有機EL素子は、透光性基板上に設けられたインジウムと錫の複合酸化物(ITO)などの透明電極からなる陽極、その上に設けられた発光体層、および陰極が順次積層された構成を有する。
このように前記発光体層の両側に直接両電極を積層することもできるが、発光効率を増大するなどの目的から、発光体層と電極との間に別の層を設ける場合もある。具体的には、陽極と発光体層との間に正孔注入層や正孔輸送層あるいはその両層を設けたり、陰極と発光体層との間に電子注入層や電子輸送層などを設けたりする場合も多い。両電極間に挟まれた積層体の全体は、これら正孔注入層などを合わせて有機発光媒体層と呼ばれている。
有機EL素子は、発光体層に用いられる材料の違いからいくつかのグループに分類することができる。代表的なものの一つは発光体層に低分子量の有機化合物を用いる素子で、主に真空蒸着を用いて作製される。そして今一つは本発明が関与するところの発光媒体層に高分子化合物を用いる高分子有機EL素子である。高分子有機EL素子は各機能層を構成する材料として、溶解した溶液を用いることで、ウエットプロセスによる成膜を可能とした。ウエットプロセスによる成膜方法としては、スピンコート法、インクジェット法、印刷法などがあるが、いずれも真空を必要とせず、したがってエネルギーコストおよび材料コストの面でも有利となり、特に大面積のパターニングに有効となっている。
有機EL表示装置は、この有機EL素子を画素として、この画素を多数、平面上に配列し、画素ごとに有機EL素子の発光を制御して画面表示する表示装置である。なお、以下では一つの画素部位にある1対の電極およびこれら電極に挟まれた有機発光媒体層を、単一の有機EL素子として説明する。
前記画素は、例えば、陽極として透明電極をストライプ状に設け、他方、前記陰極を透明電極と交差する方向のストライプ状に設け、両電極の交点に相当する位置に前記有機発光媒体層を設けることで構成される。そして、これらストライプ状陽極の1本を選択し、また、ストライプ状陰極の1本を選択し、こうして選択された陽極と陰極との間に電圧を印加することによって、その交点の画素部位に配置された有機発光媒体層を選択的に発光させて画面表示する。そして、前記ストライプ状陽極とストライプ状陰極との間に電圧を印加するため、有機EL素子が形成された表示領域の外側の周辺部の前記基板上には、それぞれ、陽極側取り出し電極および陰極側取り出し電極が形成されている。一般には、表示領域にある有機EL素子を金属製封止缶で覆って封止し、封止缶を周辺部で基板に接着固定して前記有機EL表示装置を構成している。
各画素部位には、同一の色彩に発光する発光体層を配列することもできるが、この場合には単一色の表示装置となる。カラー画面を表示する場合には、それぞれの画素部位に互いに異なる色彩に発光する発光体層をパターン状に配列する必要がある。カラー表示を行う画素の発光体層は、一般に、光の三原色に相当する赤(R)、緑(G)および青(B)のいずれかに発光するように設定される。また、赤、緑、および青の補色に相当するイエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンタ(M)が利用されることもある。
それぞれの画素部位に互いに異なる発光体層を形成する際には混色を防ぐため、表示面に平行に隣り合って並ぶ画素同士の間を絶縁層で隔絶することが一般的である。絶縁層は、ある程度の高さを有する隔壁で構成されることが一般的であるが、これに限定されず、以下では画素間を隔絶する隔壁等の要素を「隔絶帯」と称する。隔絶帯の具体例としては、隔壁(凸部)の他、溝(凹部)、および凹凸によらずに画素間を隔絶する帯のような部分などが挙げられる。
正孔輸送層はそれぞれの画素で共通に必要であり塗りわけの必要がないため、パターニングせずに、有機EL表示装置の画像形成に関わる部分(表示領域)全体に全面塗布、いわゆるベタ塗りする方法が一般的である。ベタ塗りの方法としては、スピンコート法、ダイコート法、ディッピング法、スリットコート法などがある。例えば特許文献1ではスリットコート法を用いた正孔輸送層の成膜方法に言及している。
しかし正孔輸送層には一般的に発光体層よりも導電率の高い材料が使われることが多く、隔壁上に形成された正孔輸送層を介して発光させる画素外への電流リークが発生し、表示時にクロストークが発生することが懸念される。
これを防ぐ為に、高い抵抗値を有する正孔輸送層を用いることが提案されているが、発光時の駆動電圧が上昇しEL特性の低下が生じることや、材料選択に制限が課されるなどの問題点があった。
このようなリーク電流を防ぐために、隔壁で仕切られた画素電極内のみに正孔輸送層を形成させる方法として、特許文献2ではインクジェット法を用いて正孔輸送層を成膜する方法が提案されている。インクジェット法とはインクジェットノズルからインキを被印刷部位に複数回、滴下する方式であり、ノズルと被印刷基板に距離があり、インキは自身の重力でのみ隔壁内の被印刷部位に広がる。したがって、インクジェット法では隔壁に囲まれた被印刷部位(すなわち画素部位)全てにインキを塗布することが難しく、特に画素部位の縁部においてはインキが塗布されずに印刷抜けが発生しやすいという問題がある。
特開2004−134213号公報 特開2001−52861号公報
そこで本発明では、正孔輸送層の形成において簡便な塗布法である、スピンコート法、ダイコート法、ディッピング法、スリットコート法などのベタ塗りを用いた際に、材料の導電率によるリーク電流を懸念することなく、EL素子の良好な特性を得られる正孔輸送材料を用いることができるEL表示装置の製造方法を提案する。
本発明の請求項1に係る発明は、透光性基板上に、陽極、正孔輸送層と発光体層とを少なくとも含む有機発光媒体層、および陰極が積層された有機エレクトロルミネッセンス素子が形成され、複数の画素が隔絶帯により互いに隔絶されて配置された表示領域を少なくとも有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法において、前記透光性基板上に、前記陽極を形成し、前記陽極が形成された前記透光性基板の少なくとも表示領域全面に前記有機発光媒体層を構成する有機膜を成膜し、前記有機膜のうち前記隔絶帯を覆う部分を除去することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法である。
本発明の請求項2に係る発明は、前記有機膜をウエットプロセスで一括成膜した後に、前記有機膜のうち前記隔絶帯を覆う部分を除去することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法である。
本発明の請求項3に係る発明は、前記有機膜のうち前記隔絶帯を覆う部分を拭き取ることにより除去することを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法である。
本発明の請求項4に係る発明は、前記有機膜のうち前記隔絶帯を覆う部分を粘着性物質に接触させることにより剥離させ除去することを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法である。
本発明の請求項5に係る発明は、前記有機膜のうち前記隔絶帯を覆う部分をレーザーアブレーションにより除去することを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法である。
本発明の請求項6に係る発明は、前記有機膜は、前記正孔輸送層を構成する第1の有機膜および前記発光体層を構成する第2の有機膜を含み、前記第1の有機膜のうち前記隔絶帯を覆う部分を除去することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法である。
本発明の請求項7に係る発明は、前記第1の有機膜が、水溶液または水分散液によりウエットプロセスで成膜されることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法である。
本発明によれば、正孔輸送層を簡便な方法である、スピンコート法、ダイコート法、ディッピング法、スリットコート法などのベタ塗りで形成する際でも、膜を分割することができるため、画素間のリーク電流を非常に少なくすることができる。よって、インクジェット法などの大規模な装置を用いずとも正孔輸送層を画素部位のみに形成でき、正孔輸送材料の導電率を考慮せず、EL素子の特性を最も効率良く発揮できる材料を広範囲で選択することが可能となる。
本発明に係る有機EL表示装置は、透光性基板上に有機EL素子を形成し、各有機EL素子を発光させて画面表示する装置である。有機EL素子は、陽極としてのパターニングされた透明電極、画素部位に配列された有機層、および有機層を挟んで透明電極と対向する陰極としての対向電極をこの順に積層して形成されている。有機EL素子の透明電極(陽極)および対向電極(陰極)には、それぞれ、取り出し電極が接続される。そして、有機EL素子の陽極と陰極との間に電圧を印加する/しないを制御することにより、画面表示を行う。
図1は、隔絶帯としての隔壁11で分画された3画素の有機EL表示装置30の断面模式図である。一つの画素部位は、構成が実質的に同一の有機EL素子で構成されているが、これらの有機EL素子の発光体層4は異なる色に着色されている。発光体層4の色は、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれか、またはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)のいずれかであるが、色の違い以外は有機EL素子の構成は同一であるため、まず、単一の有機EL素子20をそのまま一つの画素とする単一の有機EL素子20で構成された有機EL表示装置31を例として、有機EL表示装置の基本的な構造を説明する。
図2は、単一の有機EL素子20から構成され画素が一つの有機EL表示装置31の断面説明図である。この表示装置31は、透光性基板1と、この上に順に積層された透明電極層(陽極)2、有機発光媒体層5および対向電極層(陰極)6の各層を含んで構成された有機EL素子20と、図示しない陽極取り出し電極と、陰極取り出し電極8とで構成されている。有機EL素子20はその全体が封止缶9で覆われており、封止缶9は電気絶縁性の封止樹脂で透光性基板1に接着固定されている。
陽極取り出し電極および陰極取り出し電極8は、透光性基板1の、有機EL素子20が形成された側の表面のうち、封止缶9に覆われていない部分に形成されている。陰極取り出し電極8は、封止缶9と透光性基板1との間を通り対向電極層(陰極)6から延びる電極層により対向電極層(陰極)6と電気的に接続されている。同様に、陽極取り出し電極は、封止缶9と透光性基板1との間を通り透明電極層(陽極)2から延びる電極層により透明電極層(陽極)2と電気的に接続されている。これら陽極取り出し電極と陰極取り出し電極8とは、後述するように同一工程で、かつ、同一材料で形成することが可能である。
透光性基板1としては、ガラス基板やプラスチック製のフィルムやシートを用いることができる。透光性基板として可撓性のプラスチック製のフィルムを用いれば、長いフィルムを巻き取りながら有機EL素子を形成して有機EL表示装置を製造することが可能になる。よって、有機EL表示装置を安価に提供することが可能になる。
また、透明電極層(陽極)2は、インジウムと錫の複合酸化物(ITO)を真空蒸着またはスパッタリング法により成膜して形成することができる。また、ITOの代わりに、アルミニウム、金、銀などの金属を使用し、これを真空蒸着またはスパッタリング法により成膜して、膜厚100nm以下の半透明薄膜としたものを透明電極層として使用することもできる。この他、オクチル酸インジウムやアセトンインジウムなどの前駆体を前記基板上に塗布後、熱分解によって酸化物を形成する塗布熱分解法などにより薄膜を形成して透明電極層を形成することもできる。
有機発光媒体層の膜厚は、発光体層単層から構成される場合も多層構造の場合も有機発光媒体層全体として1000nm以下であり、好ましくは50〜300nmである。
図1および図2に示した例では、有機発光媒体層5は、正孔輸送層3および発光体層4を含む二層構成とされているが、有機発光媒体層5を発光体層4のみで構成して単一の層とすることもできる。有機発光媒体層5を発光体層4以外の層を含む多層構造とする場合、発光体層4以外の層としては、発光効率を高める働きをする発光補助層を用いることができる。発光補助層は発光体層と陽極との間に設けることができ、また、発光体層と陰極との間に設けることもできる。発光体層と陽極との間に設ける発光補助層としては、例えば、陽極から発光体層への正孔の移動を助ける正孔輸送層および正孔注入層、または電子を堰き止める働きをする電子ブロック層などが例示できる。また、発光体層と陰極との間に設ける発光補助層としては、例えば、陰極から発光体層への電子の移動を助ける電子輸送層および電子注入層、または正孔を堰き止める働きをする正孔ブロック層などが例示できる。
図1および図2に示した例では、発光体層4と透明電極層(陽極)2との間に発光補助層として正孔輸送層3を設け、有機発光媒体層5を発光体層4と正孔輸送層3からなる二層としている。有機発光媒体層は、正孔輸送層に代えて正孔注入層を用いることで正孔注入層と発光体層とを積層した二層構成にすることもできる。また、正孔注入層、正孔輸送層および発光体層を順次積層した三層構成の有機発光媒体層とすることも可能である。さらに、有機発光媒体層を複数の機能を有する単一の層で構成してもよく、例えば発光体層に正孔輸送機能を付与して発光体層が正孔輸送機能を有するように構成することも可能である。
なお、正孔注入層は陽極から正孔を輸送する機能を持った層であり、正孔輸送層は発光体層に正孔を輸送する機能を持った層である。これらの層は正孔輸送機能と正孔注入機能とを併せ持つ場合もあり、その程度に応じてどちらかあるいは両方の名称で呼ばれることになる。
このような正孔注入層または正孔輸送層3を構成する材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物などの高分子材料を用いることができる。この他にも導電率10−2〜10−6S/cmの導電性高分子を好ましく用いることができる。湿式法による層形成が可能である点で、高分子材料を用いることが好ましい。これらの材料を水または溶剤を用いて溶液化若しくは分散液化して使用することで正孔注入層または正孔輸送層3を形成できる。
一方、電子注入層は陰極から電子を輸送する機能を持った層であり、電子輸送層は発光体層に電子を輸送する機能を持った層である。これらの層は電子輸送機能と電子注入機能とを併せ持つ場合もあり、その程度に応じてどちらかあるいは両方の名称で呼ばれることになる。このような電子注入層または電子輸送層を構成する材料としては、例えば、1,2,4−トリアゾール誘導体(TAZ)などのニトロ置換フルオレン、ジフェニルキソン誘導体などが挙げられる。
発光体層4は、陽極2および陰極6の間に電圧を印加することによって注入された電子と正孔とを再結合させ、この再結合の際に発光するものである。発光した光は、透明電極(陽極)2と透光性基板1とを通して外部に放射される。
発光体層4の材料としては、発光性色素を高分子ポリマー(例えば、分子量1,000以上)に溶解させたものが使用できる。発光性色素としては、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィリン系、キナクドリン系、N,N’−ジアルキル置換キナクドリン系、ナフタルイミド系、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系などの発光性色素が挙げられる。発光性色素を溶解させる高分子ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾールなどが挙げられる。また、デンドリマー材料、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)系やポリフルオレン(PF)系、ポリパラフェニレン系などの高分子発光材料を用いることも可能である。好ましくは、水または溶剤に可溶で溶液化できる材料である。
対向電極層(陰極)6としては、電子注入をしやすくするため、例えば、AlLi、FLi、MgIn、Li、Na、Mg,CaなどのWF(仕事関数)の小さい金属を単体であるいは合金で用いることができる。また、これら金属と金、銀などの安定な金属との合金の薄膜を用いて対向電極層(陰極)6を形成することも可能である。また、対向電極層(陰極)6は、これら金属薄膜または合金薄膜を二層以上積層して構成される多層構造とすることもできる。また、インジウム酸化物、亜鉛酸化物、錫酸化物などの導電性酸化物の薄膜を対向電極層(陰極)6として用いることもできる。なお、これらの薄膜は、真空成膜法で形成することができる。真空成膜法としては、抵抗加熱、EB加熱などによる真空蒸着法やスパッタ法などが利用できる。対向電極層(陰極)6の膜厚は特に限定されないが、1nm以上500nm以下が好ましい。
図3は、多数の画素を有する有機EL表示装置33の平面模式図であり、透光性基板1上に、透明電極層(陽極)2と対向電極層(陰極)6とをストライプ状にパターニングして形成し、複数の陽極取り出し電極7、および複数の陰極取り出し電極8と接続した状態を示す。直線状の複数の陽極2は、複数の陽極取り出し電極7とそれぞれ1対1で接続されている。すなわち、1本の直線状にされた陽極に対して1つの陽極取り出し電極が接続されている。同様に、複数の直線状の陰極6は、複数の陰極取り出し電極8とそれぞれ1対1で接続されている。
ストライプ状の陽極2と陰極6とは互いにほぼ直角に交差し、これら陽極2と陰極6の交点が一つの画素とされる部位(画素部位)となる。カラー画像を表示する有機EL表示装置では、図1に示すように隣接する画素21同士は異なる色に着色された発光体層4を有するので、隣接する画素21G、21B、21R同士の間には、隔壁11のような隔絶帯が設けられ、異なる色に着色された発光体層4を隔絶して混色を回避する。有機EL表示装置では、この画素ごとに電圧を印加して、その部位の前記有機発光媒体層を選択的に発光させ、発光させた画素と発光させない画素の全体で画像を表示する。
次に、本発明に係る有機EL表示装置の製造法および構成を述べる。
まず、前述した材料を用いて透光性基板1上に、ITO薄膜などの薄膜を成膜して透明電極層(陽極)2を形成する。透光性基板1片側全面に形成された薄膜を、フォトエッチングなどの方法によりパターニングすることにより、ストライプ状の陽極2を複数、形成する。陽極取り出し電極7と陰極取り出し電極8とは、ストライプ状の陽極2を形成する工程と同一の工程で薄膜をパターニングすることで形成できる(図3参照)。
透明電極層をパターニングしてストライプ状の陽極2を形成した後、隣接する陽極2の間に感光性材料を用いて、フォトリソグラフィ法により隔絶帯としての隔壁11を形成する(図2参照)。隔壁11を形成する工程を詳しく説明すると、まず、陽極2が形成された透光性基板1上に感光性絶縁樹脂を塗布する。次いで、感光性絶縁樹脂をパターン露光、現像して隔壁11のパターンを形成する。そして、隔壁パターン11を焼成した後、光照射などを施して親水化させ、隔壁11を形成する。
隔壁11を形成する感光性樹脂としてはポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらであってもよく、公知の感光性樹脂を用いればよいが、絶縁性を有する感光性樹脂を用いる。隔壁11が十分な絶縁性を有さない場合に、ある画素に電圧を印加すると、隔壁11を挟んでその画素と隣り合う画素にも電流が流れてしまい表示不良が発生してしまう。隔壁11を形成する感光性樹脂の具体例としては、ポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、フルオレン系といった樹脂が挙げられるがこれに限定するものではない。また、有機EL素子の表示品位を上げる目的で、光遮光性の材料を感光性樹脂に含有させても良い。
隔壁11を形成する感光性樹脂はスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布方法を用いて塗布される。塗布した感光性樹脂をパターン露光、現像して隔壁パターンを形成する工程では、公知の露光、現像方法により隔壁となる部分のパターンを形成できる。また焼成に関してはオーブン、ホットプレートなどでの公知の方法により焼成を行うことができる。
焼成した隔壁パターンに光照射を施して親水化させる工程では、隔壁パターンを形成した透光性基板の上面から紫外線などを照射して隔壁11となる部分および陽極2部分を親水化させる。照射する光としては、一般に親水化処理などの紫外線洗浄に用いられる紫外線が好ましく、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどによる紫外線照射処理が好ましい。なお、親水化処理の工程は正孔輸送層3を形成する直前に行われることが好ましい。
隔壁11は、厚み、すなわち積層方向に平行な方向の高さが0.5μmから5.0μmの範囲にあることが望ましい。隣接する画素間に隔壁11を設けることにより、各画素に印刷形成された正孔輸送層3を構成するインキの広がりを抑え、また画素部位の電極の端部からのショート発生を防ぐことができる。隔壁11が低すぎるとショートの防止効果が得られないことがあり注意が必要である。
また、例えばパッシブマトリックスタイプの有機EL表示装置において、画素間に隔壁11を設けた場合、図1に示すように陰極となる対向電極層6は隔壁11を乗り越えて延伸することになる。このように隔壁11をまたぐ形で対向電極層6を形成する場合、隔壁11が高すぎると(例えば高さが5.0μmを超えるような場合)対向電極層6の断線が起こって表示不良となる場合がある。
有機発光媒体層5は、対向電極層(陰極)6を形成する前に、隔壁11を形成した後の透光性基板1に正孔輸送層3および発光体層4を順に積層して形成される。本実施態様では、有機発光体層5を構成する膜の一つである正孔輸送層3が成膜後に一部除去され、画素と同様のパターンを描くように分割されている。
以下、図4および図5を参照して正孔輸送層3を形成し、分割する方法について説明する。
まず、ストライプ状の透明電極(陽極)2、陽極取り出し電極7および、陰極取り出し電極8を設けて隔壁11を形成した透光性基板1上の表示領域全面に正孔輸送層3を一括形成する(図4(a))。正孔輸送層3は、前述した正孔輸送材料を水、有機溶剤、あるいはこれらの混合溶剤に溶解してインキとして、スピンコート法、ダイコート法、ディッピング法、スリットコート法などの簡便な方法により一括形成できる。有機溶剤としては、トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、テトラリン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが使用できる。またインキには、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤などを添加してもよい。
次に、正孔輸送層3のうち、画素となる部分(画素部位)Pの間にある部分(サブピクセル間)Sを除去する(図4(b))。サブピクセル間Sにある正孔輸送層3を除去する方法としては、発泡ウレタンなどの吸水性の弾性体に水または有機溶剤を含ませてワイピングにより除去してもよいし、粘着性物質に接触させ剥離してもよいし、レーザーアブレーションを用いて除去してもよい。
ワイピングにより正孔輸送層3を除去する場合に用いる溶剤の特性としては、正孔輸送材料を適度に溶解させること、および沸点が、好ましくは20〜200℃、より好ましくは50〜150℃であることが挙げられる。沸点が高すぎる、また溶解度が高すぎる溶媒を用いた場合は、溶剤が十分に乾燥されず隔壁上に残ったり、画素内に形成された正孔輸送層をも溶かしてしまい膜の平坦性を下げるなどの現象が生じたりして、EL特性の劣化原因となる。沸点が低すぎる、また溶解度が低すぎる溶媒を用いた場合は、正孔輸送層の除去が不十分となる、もしくはコンタミが生じてしまうといった現象が生じて、EL特性の劣化原因となる。ワイピングに用いる有機溶剤としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、テトラリン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。ただし、本発明はこれらを用いることに限定されない。
図5は、粘着性物質を用いて正孔輸送層を剥離させる方法を説明する模式図である。図5に示すように、粘着性物質12を表面に付着させた粘着フィルムなどが巻き取られたロール13を回転させ、粘着性物質12を隔壁11上に形成された正孔輸送層3と接触させる。そしてロール13を回転させることで、粘着性物質12と接触した部分の(すなわち隔壁11上に形成された)正孔輸送層3を剥離する。粘着フィルムを正孔輸送層3と接触させる時の接触圧を調整することにより、どの程度正孔輸送層3を除去するかを制御することができる。粘着性物質12としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルエーテル、エチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、セルロース、寒天、カラギーナン、アルギン酸、ファーセレラン、ローカストビーンガム、グアガム、サイリュウガム、タマリンドガム、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、ペクチン、アラビノガラクタン、キサタンガム、プルラン、デキストラン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。尚、本発明はこれらを用いることに限定されない。
レーザーアブレーションを用いて正孔輸送層3を除去する方法では、エネルギーの強いパルスレーザーをザブピクセル間Sに照射し、瞬間的にレーザー照射された部分の正孔輸送層3を昇華させる。例えば、用いるレーザーとしてはKrFエキシマレーザー(波長:248nm)、ArFエキシマレーザー(波長:193nm)などが挙げられる。尚、本発明はこれらを用いることに限定されない。
透明電極(陽極)2上に設けられた有機発光媒体層5は、その層構成および材質のいずれについても、前述の有機EL素子の場合と同様である。ただし、発光体層4は、画素ごとに発光色の異なる発光体材料を用いて構成することが望ましい。例えば、図1では、第1の画素部位21Rに赤色発光の発光体層4R、第2の画素部位21Gに緑色発光の発光体層4G、第3の画素部位21Bに青色発光の発光体層4Bを配列しており、フルカラーの画面を表示することが可能である。
これら各発光体層4R、4G、4Bは、画素部位21R、21G、21Bにそれぞれパターン状に設けられている。サブピクセル間Sにある有機発光媒体層5は、少なくとも正孔輸送層3が除去されていればよい。そこで、本実施態様では、透明電極層(陽極)2および隔壁11を形成した透光性基板1の全面に正孔輸送層3を形成した後、サブピクセル間Sにある正孔輸送層3を除去した後、発光体層4を形成する。
これら各発光体層4R、4G、4Bは、スクリーン印刷法、インクジェット法などの印刷法によって形成することができる。これらの印刷法を用いれば、発光体層4を画素部位21R、21G、21Bに形成する一方、サブピクセル間S(すなわち隔壁11上)に発光体層4が形成されてしまうことを回避できる。これら印刷法で形成する場合には、前記発光材料を、有機溶剤、水、あるいはこれらの混合溶剤に溶解してインキとすることができる。有機溶剤としては、トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、テトラリン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが使用できる。また、インキには、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤などを添加してもよい。
なお、本実施態様では発光体層4をパターン状に印刷することにより発光体層4が隔壁11の頂部を覆うことを回避して、正孔輸送層3および発光体層4の両方について隔壁11の頂部を覆わないようにしている。ただし、本発明では、有機発光媒体層に含まれる2以上の層を構成する有機膜のいずれかについて、隔絶帯を覆う部分が除去されていればよい。すなわち、本実施態様について述べれば、有機発光媒体層5を構成する正孔輸送層3と発光体層4のうちのいずれか一方のみについて、隔絶帯(本実施態様では隔壁11)を覆う部分が除去されていればよい。
よって、本実施態様において、発光体層4をパターン状に印刷する代わりに、表示領域全体に全面塗布、すなわちベタ塗りしてもよい。本実施態様では、有機発光媒体層5を構成する2層のうちの1層である正孔輸送層3について隔壁11を覆う部分を除去しているので、発光体層4をベタ塗りしても、有機発光媒体層を構成する有機膜の一部であって隔絶帯を覆う部分が除去されていることになるためである。
また、隔壁11が、第1の方向(例えば縦方向)および第1の方向と直交する第2の方向(例えば横方向)に延びる格子状に設けられる場合、発光体層4をストライプ状に印刷してもよい。例えば、発光体層4を縦方向に平行なストライプ状に印刷すると、縦方向に延びる隔壁11の頂部は発光体層4に覆われない一方、横方向に延びる隔壁11の頂部は、発光体層4で覆われることになる。しかし、この場合も正孔輸送層3について隔壁11を覆う部分が除去されているので、横方向に延びる隔壁11の頂部が発光体層4に覆われていてもよい。さらに、このように格子状に設けた隔壁11の頂部を覆う正孔輸送層3を除去する場合、発光体層4はベタ塗りしてもよい。
本実施態様では、発光体層4をした後、対向電極層(陰極)6を形成する。対向電極層(陰極)6は、前記金属または合金の薄膜を真空成する際に、蒸着マスクを使用して、この蒸着マスクの開口部に選択的に成膜することにより、前記ストライプ状パターンに形成すると共に、陰極取り出し電極8との導通を図ることができる。蒸着マスクとしては、金属製、セラミック製のものが利用できる。
なお、対向電極(陰極)6の上に、無機物や樹脂などにより絶縁性保護層を設けることができる。
そして封止缶9で表示画面全体を覆って表示領域とし、封止缶9の端部を電気絶縁性の封止樹脂10で透光性基板1に接着固定し、図2の有機EL表示装置33を製造することができる。
このように本実施態様では、表示領域全面に正孔輸送層を一括形成した上で、サブピクセル間にある正孔輸送層を除去するため、画素同士を隔絶する隔絶帯の頂部は正孔輸送層に覆われずに露出される。正孔輸送層は、表示領域全面に一括形成され、表示領域に設けられた複数の画素部位にある正孔輸送層は実質的に同一の膜で構成されるため、正孔輸送層をインクジェット法で形成する場合に比べ、表示領域にある複数の画素部位の正孔輸送層は均質化される。また、一括形成された正孔輸送層の一部を除去することにより画素同士を隔絶する隔絶帯の頂部が露出されるため、画素部位の辺縁の正孔輸送層の印刷抜けが防止でき、正孔輸送層が隔絶帯に存在してしまうことによる電流リークの発生も回避できる。
以下、本発明の有機EL表示装置の実施例を挙げるが、本発明は下記実施例に何ら制限されるものではない。
[実施例1]
対角1.8インチサイズのガラス基板を透光性基板として用いて、このガラス基板上にスパッタ法を用いてITO(インジウム-錫酸化物)薄膜を形成し、フォトリソグラフィ法により陽極のパターンを描き、酸溶液によるエッチングでITO膜をパターニングして、陽極を形成した。陽極のラインパターンは、線幅136μm、スペース30μmでラインが約32mm角の中に192ライン形成されるパターンとした。
次に隔壁を以下のように形成した。陽極を形成したガラス基板上にポジ型感光性ポリイミド(東レ社製フォトニース DL-1000)を全面スピンコートした。スピンコートの条件は、150rpmで5秒間回転させた後、500rpmで20秒間回転させ1回コーティングとした。感光性ポリイミドは、隔壁の高さを1.5μmとするように約1.5μmの厚さで塗布した。次いで、全面に塗布した感光性ポリイミドに対し、フォトリソグラフィ法により露光、現像を行い、陽極の間に配置される隔壁となる部分のラインパターンを形成した。隔壁のパターンは230℃30分でオーブンにて焼成を行い、隔壁を形成した。
次に、正孔輸送層を印刷する前の基板(陽極および隔壁が形成されたガラス基板)に、前処理としてオーク製作所製 UV/O洗浄装置にて3分間紫外線照射を行い親水化させた。親水化処理した基板に、正孔輸送層を形成するインキとして、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸(以下PEDOT/PSS)の1wt%水分散液を、スピンコート法を用いて表示領域となる部分全面に厚さ40nmで成膜した。
次いで、サブピクセル間(すなわち隔壁上)に成膜された正孔輸送層のみを、水と1−プロパノールの混合溶媒を含ませた発泡ウレタンでワイピングすることにより除去した。その後200℃30分大気中で正孔輸送層の焼成を行った。このときの正孔輸送層の膜厚は50nmとなった。形成された正孔輸送層のパターニング状態を観察したところ、各画素内の正孔輸送層は均一な膜形状を保持し、サブピクセル間に成膜された正孔輸送層は綺麗に除去され、隔壁の頂部が露出されていることが確認できた。
そこで次に、有機発光材料であるポリフェニレンビニレン誘導体を濃度1%になるようにトルエンに溶解させた有機発光インキを用い、隔壁に挟まれた画素部位にある陽極の真上に、そのラインパターンにあわせて有機発光材料を凸版印刷法で印刷して発光体層を形成し、乾燥させた。印刷、乾燥後の発光体層の膜厚は100nmとなった。
その上にCa、Alからなる対向電極(陰極)層を陽極のラインパターンと直交するようなラインパターンで抵抗加熱蒸着法によりマスク蒸着して形成した。以上の手順で有機EL素子を形成し、最後に、有機EL素子を外部の酸素や水分から保護するためにガラスキャップで覆い、接着剤を用いてガラスキャップを接着して有機EL素子を密閉封止し、有機EL表示装置を作製した。
得られた有機EL表示装置の表示部の周辺部には各画素の電極に接続されている陽極側の取り出し電極と、陰極側の取り出し電極とがあり、これらを電源に接続することにより、得られた有機ELディスプレイパネルの点灯表示確認を行った。
得られた有機EL表示装置を駆動したところクロストークはなく、選択した画素のみ綺麗に点灯できた。
[実施例2]
サブピクセル間に成膜された正孔輸送層を除去する方法として、粘着性物質による剥離方法を用いた以外は実施例1と同様に作製した。具体的には、ポリビニルカルバゾールと増粘多糖類の混合物である粘着性物質が塗布されているフィルムをロール状にしてフィルムと正孔輸送層とを接触させることにより、サブピクセル間に成膜された正孔輸送層を剥離させた。この方法を用いて作製した有機EL表示装置を駆動したところクロストークは見られなかった。
[実施例3]
サブピクセル間に成膜された正孔輸送層を除去する方法としてレーザーアブレーションを用いた以外は実施例1と同様に作製した。レーザーアブレーションの方法としては、正孔輸送層を成膜した基板をXYステージ付きの台に固定し、KrFの284nmのUVパルスレーザーを100mJ/cmの出力で3ショット照射し行った。この方法を用いて作製した有機EL表示装置を駆動したところクロストークは見られなかった。
[比較例]
正孔輸送層を形成するインキとしてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸(以下PEDOT/PSS)の1wt%水分散液を、スピンコート法を用いて表示領域全面に50nm成膜した後、サブピクセル間に成膜された正孔輸送層の除去を一切行わなかった。その他の条件は実施例1と同様である。
得られた有機EL表示装置を駆動したところクロストークが生じてしまった。
このように、本発明によればクロストークの発生を防止できる。
本発明の一実施態様に係る3画素の有機EL表示装置の断面模式図。 単一の有機EL素子で構成され画素が一つの有機EL表示装置の断面模式図。 陽極、陰極、陽極取り出し電極、および陰極取り出し電極のパターンを示す平面説明図。 本発明の一実施態様に係る正孔輸送層の形成方法についての説明図。 本発明の正孔輸送層を剥離させる一方法についての説明図。
符号の説明
1 透光性基板
2 陽極
3 正孔輸送層
4 発光体層
5 有機発光媒体層
6 陰極
7 陽極取り出し電極
8 陰極取り出し電極
9 封止缶
10 封止樹脂
11 隔壁(隔絶帯)
12 粘着性物質
13 ロール

Claims (7)

  1. 透光性基板上に、陽極、正孔輸送層と発光体層とを少なくとも含む有機発光媒体層、および陰極が積層された有機エレクトロルミネッセンス素子が形成され、複数の画素が隔絶帯により互いに隔絶されて配置された表示領域を少なくとも有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法において、
    前記透光性基板上に、前記陽極を形成し、
    前記陽極が形成された前記透光性基板の少なくとも表示領域全面に前記有機発光媒体層を構成する有機膜を成膜し、
    前記有機膜のうち前記隔絶帯を覆う部分を除去することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  2. 前記有機膜をウエットプロセスで一括成膜した後に、前記有機膜のうち前記隔絶帯を覆う部分を除去することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  3. 前記有機膜のうち前記隔絶帯を覆う部分を拭き取ることにより除去することを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  4. 前記有機膜のうち前記隔絶帯を覆う部分を粘着性物質に接触させることにより剥離させ除去することを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  5. 前記有機膜のうち前記隔絶帯を覆う部分をレーザーアブレーションにより除去することを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  6. 前記有機膜は、前記正孔輸送層を構成する第1の有機膜および前記発光体層を構成する第2の有機膜を含み、前記第1の有機膜のうち前記隔絶帯を覆う部分を除去することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
  7. 前記第1の有機膜が、水溶液または水分散液によりウエットプロセスで成膜されることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
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