JP2004227993A - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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▲琢▼ 多田
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Abstract

【課題】基板上に仕切部材を形成することなく、発光層を成膜する。
【解決手段】少なくとも、基板11上に膜付けした陽極13と、発光層14と、陰極15とからなる有機エレクトロルミネッセンス素子10を製造する際、陽極13又は陰極15は、導電性高分子材料を用いて成膜した導電性高分子層12上に多価アルコール化合物13を予め形成された所定の印刷パターンに沿って印刷して、多価アルコール化合物13を導電性高分子層12内にドーピングした後に乾燥させて形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と記す)は自発光で高速応答性を有し、視野角依存性がなく、低消費電力が期待される表示素子であり、次世代ディスプレイとして期待されている。現在、車載オーディオ用表示パネルにはモノカラーを部分的に組み合わせたエリアカラー方式が実用化され、また、携帯電話用表示パネルにはエリアカラー方式や赤色(R),緑色(G),青色(B)をマスク蒸着法によりパターン化したフルカラー表示が実用化されている。
【0003】
上記したようにRGB3色フルカラー表示も可能であることから、低電圧で駆動し、発光層から高輝度の発光光を生じさせて、色再現性の高い有機EL素子を得ようとする種々の研究が行われている。
【0004】
有機EL素子の典型的な構造は、例えばインジウム−スズ酸化物(ITO)などの透明電極(陽極)がコートされたガラス等の透明基板上に有機材料からなる発光層を成膜し、更に、発光層上に例えばマグネシウム−銀(MgAg)合金からなる金属電極(陰極)を積層したものである。
【0005】
この際、発光層の有機材料は、蛍光性を有する共役および非共役高分子材料から低分子材料,金属錯体さらには燐光発光性を有し非常に高発光効率で発光する重金属錯体まで幅広く使用されており、発光層の有機材料の種類により溶液からの塗布等の湿式法とか、真空蒸着などの乾式法が選択される。
【0006】
更に、有機EL素子は、単一の発光層よりなる単層型や、複数の異なる材料を電荷注入性,電荷輸送性,発光性等の機能別に積層した積層型に分けられており、発光層から出射した発光光は透明な陽極を膜付けした透明基板側又は透明な陰極側を通して取り出すことができる。
【0007】
そして、有機EL素子を製造する方法は各種の製造方法が開発されているものの、一例として、短時間、低コストで精度の高いパターニング成膜を行うことができるインクジェットパターニングがある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、薄膜基板を作製する電子分野において、ガラス基板上又は透明なプラスチックシート上にインジウム−スズ酸化物(ITO)による電極を蒸着することなく、導電性高分子材料を用いて電極を形成する方法もある(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−106278号公報(第7頁、図1)
【0010】
【特許文献2】
特開平8−48858号公報(第5頁)
【0011】
図7(a)〜(e)は従来の有機EL素子の製造工程断面図である。
【0012】
図7(a)〜(e)に示した従来の有機EL素子100の製造方法及び有機EL素子100は、特許文献1(特開2000−106278号公報)に開示されているものであり、ここでは特許文献1を参照して簡略に説明する。
【0013】
上記した従来の有機EL素子100の製造方法及び有機EL素子100において、まず、図7(a)に示した如く、陽極形成工程では、ガラス基板101上に陽極102としてITO透明電極を0.1μmの厚さで成膜し、100μmピッチでパターニングしている。
【0014】
次に、図7(b)に示した如く、仕切部材形成工程では、ガラス基板101上で隣り合う陽極102,102間に仕切部材103を非感光性ポリイミドを用いて幅20μm、厚さ2.0μmで凸状に形成している。
【0015】
次に、図7(c)に示した如く、正孔注入輸送層用組成物吐出工程では、インクジェットプリント装置104のヘッド105から正孔注入輸送層用組成物106を吐出させて、正孔注入輸送層107を隣り合う仕切部材103,103間に形成した各陽極102上にパターンニング成膜している。この際、正孔注入輸送層107を形成する導電性化合物として、とくに、水を主溶媒として使えること、混合比により特性を調節できることからPEDT(ポリエチレンジオキシチオフェン)とPSS(ポリスチレンスルフォン酸)の混合材料を用い、更に、インクジェットノズル口で乾燥・凝固することを有効に防止するために湿潤剤として、例えば、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコール類を添加している。
【0016】
次に、図7(d)に示した如く、発光層用組成物充填工程では、インクジェットプリント装置104のヘッド105から発光層組成物108を吐出させて、発光層109を各正孔注入輸送層107上にパターンニング成膜している。この際、緑色発光層としてPPV前駆体{ポリ(パラ−フェニレンビニレン)}組成物を用い、また、赤色発光を示すローダミンBをドープしたPPVや、青色発光を示すクマリンをドープしたPPVを用いることで、赤色(R),緑色(G),青色(B)の3原色発光を示す発光層組成物108をそれぞれ正孔注入輸送層107上にパターニングすることにより高精細なフルカラー有機ELディスプレイの製造が可能となる。
【0017】
次に、図7(e)に示した如く、陰極形成工程では、各発光層109を覆うように陰極110を蒸着して有機EL素子100を形成している。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図7(a)〜(e)を用いて説明した従来の有機EL素子100の製造方法及び有機EL素子100では、ガラス基板101上に成膜した陽極102上にインクジェット方式パターニングにより正孔注入輸送層107と発光層109とを順に形成する際に、ガラス基板101上で隣り合う陽極102,102間に仕切部材103を凸状に形成する仕切部材形成工程を必要とするために、この仕切部材形成工程に時間がかかってしまい問題となっている。
【0019】
また、従来の有機EL素子100の製造方法及び有機EL素子100では、PEDT(ポリエチレンジオキシチオフェン)とPSS(ポリスチレンスルフォン酸)の混合材料は正孔注入輸送層107として機能させているものの、PEDT/PSSの混合材料は、上記した特許文献2(特開平8−48858号公報)によると電極材料として用いることが可能となっている。即ち、特許文献2中の実施例1に開示されているように、PEDT(ポリエチレンジオキシチオフェン)とPSS(ポリスチレンスルフォン酸)の混合材料に、ソルビトール及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシランを混合させて、混合物をガラス板に塗布し、空気中で乾燥させた後に200°Cの温度でアニーリングすることにより伝導性被膜を生成することができ、この伝導性被膜をエレクトロルミネッセンスの電極材料として適用が可能なことが開示されている。
【0020】
そこで、上記した特許文献2の技術的思想を一部適用して改良することで、ガラス基板上に仕切部材を形成する仕切部材形成工程を削減でき、且つ、発光層から高輝度の発光光が得られる有機EL素子の製造方法及び有機EL素子を提供するものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、第1の発明は、少なくとも、基板上に膜付けした陽極と、発光層と、陰極とからなる有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法において、
前記陽極又は前記陰極は、導電性高分子材料を用いて成膜した導電性高分子層上に多価アルコール化合物を予め形成された所定の印刷パターンに沿って印刷して、前記多価アルコール化合物を前記導電性高分子層内にドーピングした後に乾燥させて形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
【0022】
また、第2の発明は、少なくとも、基板上に膜付けした陽極と、発光層と、陰極とからなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記陽極又は前記陰極は、多価アルコール化合物を含む導電性高分子層からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子を図1乃至図6を参照して、<第1実施例>〜<第3実施例>の順に詳細に説明する。
【0024】
<第1実施例>
図1(a)〜(f)は本発明に係る第1実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子を工程順に説明するための図、
図2は陽極パターンを説明するための平面図、
図3は陰極パターンを説明するための平面図である。
【0025】
本発明に係る第1実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子において、基板上に膜付けした陽極と、発光層と、陰極とを少なくとも形成する際に、とくに、陽極又は陰極となる電極は、導電性高分子材料を用いて成膜した導電性高分子層上に多価アルコール化合物を予め形成された所定の印刷パターンに沿って印刷して、この多価アルコール化合物を導電性高分子層内にドーピングした後に乾燥させて形成されており、これにより、基板上に従来例のような仕切部材を形成することなく発光層を成膜できることを特徴とするものであり、更に、発光層からの発光光を基板側から出射するように成したものである。
【0026】
より具体的に説明すると、図1(a)に示した如く、第1実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子10の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子10では、例えば厚さ0.7mm,50mm角に形成した透明な無アルカリガラス基板11を実験用基台として用意し、この無アルカリガラス基板11を中性洗剤,純水,アセトン,IPA(2−プロパノール)でそれぞれ10分間ずつ超音波洗浄を行った後、酸素プラズマ中で2分間表面処理を行った。
【0027】
次に、図1(b)に示した如く、導電性高分子材料として例えばPEDT(ポリエチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルフォネート(PSS)とを水系分散液により混合して作製したバイエル社製のBaytronを用いて導電性高分子層(以下、PEDT/PSS層と記す)12をスピンコートにより無アルカリガラス基板11上の全面に亘って60nmの厚みで成膜した。この際、バイエル社製のBaytronによるPEDT/PSS層12は、導電性高分子材料を用いているものの、この段階ではPEDT/PSS層12の表面抵抗値は高い状態である。
【0028】
次に、図1(c)に示した如く、多価アルコール化合物として2−プロパノールで希釈したグリセリン10wt%溶液13を、PEDT/PSS層12上に例えば間隔5mm,幅5mm,長さ50mmからなる所定の印刷パターンに沿って2本スクリーン印刷法で印刷すると、グリセリン10wt%溶液13がPEDT/PSS層12内に印刷パターンに沿ってドーピングされる。この際、グリセリン10wt%溶液13の印刷パターンは予め形成されたものであり、図2に示したように、Y軸方向に沿った陽極パターンと等価なものである。この実施例では、多価アルコール化合物として2−プロパノールで希釈したグリセリン10wt%溶液13を用いているが、これに限ることなく、エチレングリコールやソルビトールなどの多価アルコールであっても良いものである。
【0029】
次に、図1(d)に示した如く、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13を印刷パターンに沿ってドーピングしたものを、200℃の乾燥炉H内(又はホットプレート上)で1時間乾燥させた。
【0030】
そして、乾燥後に、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングした部位の表面抵抗値は100Ω/cm程度であり、一方、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングしていない部位の表面抵抗値は100kΩ/cm程度であった。
【0031】
上記により、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングした部位の表面抵抗が100Ω/cm程度の小さな値となるので、このグリセリン10wt%溶液13をドービングした部位は陽極としての機能を備えることになるので、以下の説明では、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングした部位を陽極(13)と記して説明する。
【0032】
次に、図1(e)に示した如く、PEDT/PSS層12上の全面に亘って、発光層14を成膜している。ここでは、発光層14として、ポリビニルカルバゾール(PVK)中へ電子輸送材低分子発光材料として1,3−ビス[5−(4−tert−ブチルフェニル)―[1,3,4]―オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(OXD−7)、発光材料としてfac−トリス(2−フェニルピリジナート)イリジウム(|||)をそれぞれPVKに対して30wt%、2.5wt%クロロホルム溶液中に分散させ、この液をスピンコートして70nmの厚みで成膜して発光層14を形成し、この後、不図示の乾燥炉内で発光層14を乾燥させた。
【0033】
次に、図1(e)に示した如く、図2に示したようなY軸方向の陽極パターンに対して直交するX軸方向の陰極パターンを図3に示したように設定した上で、発光層14上に陰極15としてCaを例えば間隔5mm,幅5mm,長さ50mmのパターンで2本を30nmの厚さで蒸着により成膜し、更に、2本の陰極15上に沿って保護層16としてAlを300nmの厚さで蒸着により成膜している。尚、第1実施例では陰極15としてCa等のアルカリ土類金属を用いた場合を説明したが、これに限ることなく、陰極15として仕事関数の低い金属材料であるAl,Mgとか、Li,Cs等のアルカリ金属とか、Ag等とか、これらの合金等を用いても良い。
【0034】
この後、露点温度−60°CのN(窒素)雰囲気下でガラスキャップと紫外線硬化樹脂を用いて封止を行って第1実施例の有機EL素子10を完成させた。
【0035】
そして、完成した第1実施例の有機EL素子10に対して、陽極(13)と、陰極15との間に電圧を印加えると、陽極(13)と陰極15が直交する発光部位の発光層14が発光して、透明な無アルカリガラス基板11側から発光光が出射され、この第1実施例の有機EL素子10の特性を測定したところ、最高輝度電流効率で21cd/A,最高輝度で11200cd/mが得られた。
【0036】
上記した第1実施例の有機EL素子10の製造方法によれば、無アルカリガラス基板11上に成膜したPEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングすることで陽極(13)を形成するため、無アルカリガラス基板11上に従来例のような仕切部材を凸状に形成することなく、PEDT/PSS層12上に発光層14を成膜することができるので、第1実施例の有機EL素子10の製造時間が短縮化されて製造効率を向上させることができる。
【0037】
<第2実施例>
図4(a)〜(f)は本発明に係る第2実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子を工程順に説明するための図、
図5は本発明に係る第2実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子において、多価アルコール化合物を導電性高分子層内にドーピングさせる際の印刷パターンを示した図である。
【0038】
図4(a)〜(f)に示した本発明に係る第2実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子20の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子20は、先に図1を用いて説明した本発明に係る第1実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子10の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子10に対して、無アルカリガラス基板21上にインジウム−スズ酸化物(ITO)によるITO電極22が予め膜付けされているものを使用している点が異なるものであり、第1実施例と同じ構成部材に対して同一の符番を付し、且つ、第1実施例に対して異なる部材に新たな符番を付して説明する。
【0039】
より具体的に説明すると、図4(a)に示した如く、第2実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子20の実験用基台として、例えば厚さ0.7mm,50mm角に形成し、且つ、上面に例えば間隔5mm,幅5mm,長さ50mmのパターンでITO電極22を2本膜付けした透明な無アルカリガラス基板21を用意し、この無アルカリガラス基板21を中性洗剤,純水,アセトン,IPA(2−プロパノール)でそれぞれ10分間ずつ超音波洗浄を行った後、酸素プラズマ中で2分間表面処理を行った。この際、無アルカリガラス基板21上に形成したITO電極22によるパターンは第1実施例で説明した図2と同じ陽極パターンである。また、無アルカリガラス基板21上に形成したITO電極22の表面抵抗値は20Ω/cm程度である。
【0040】
次に、図4(b)に示した如く、ITO電極22を膜付けした上面側で無アルカリガラス基板21上の全面に亘ってPEDT/PSS層(導電性高分子層)12をスピンコートにより60nmの厚みで成膜した。ここでも、PEDT/PSS層12は、導電性高分子材料を用いているものの、この段階ではPEDT/PSS層12の表面抵抗値は高い状態である。
【0041】
次に、図4(c)に示した如く、2−プロパノールで希釈したグリセリン10wt%溶液13を、ITO電極22上で且つ後述する陰極15と交わる発光部位に相当するPEDT/PSS層12上で図5に示した印刷パターンに沿ってスクリーン印刷法で印刷すると、グリセリン10wt%溶液13がPEDT/PSS層12内に印刷パターンに沿ってドーピングされる。
【0042】
次に、図4(d)に示した如く、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13を印刷パターンに沿ってドーピングしたものを、200℃の乾燥炉H内(又はホットプレート上)で1時間乾燥させた。
【0043】
そして、乾燥後に、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングした部位の表面抵抗値は100Ω/cm程度であり、一方、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングしていない部位の表面抵抗値は100kΩ/cm程度であった。
【0044】
上記により、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングした部位の表面抵抗が100Ω/cm程度の小さな値となるので、このグリセリン10wt%溶液13をドーピングした部位はITO電極22上に積層された陽極としての機能を備えることになるので、両者の合成表面抵抗値が第1実施例よりも低くなる。以下の説明では、ITO電極22とPEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングした部位とが重なり合った部位を合成陽極(22+13)と記して説明する。
【0045】
次に、図4(e)に示した如く、第1実施例と同様に、PEDT/PSS層12上の全面に亘って、発光層14を成膜している。ここでも、発光層14として、ポリビニルカルバゾール(PVK)中へ電子輸送材低分子発光材料として1,3−ビス[5−(4−tert−ブチルフェニル)―[1,3,4]―オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(OXD−7)、発光材料としてfac−トリス(2−フェニルピリジナート)イリジウム(|||)をそれぞれPVKに対して30wt%、2.5wt%クロロホルム溶液中に分散させ、この液をスピンコートして70nmの厚みで成膜して発光層14を形成し、この後、不図示の乾燥炉内で発光層14を乾燥させた。
【0046】
次に、図4(f)に示した如く、第1実施例と同様に、発光層14上に陰極15としてCaを例えば間隔5mm,幅5mm,長さ50mmのパターン(図3)で30nmの厚さで2本蒸着により成膜し、更に、2本の陰極15上に沿って保護層16としてAlを300nmの厚さで蒸着により成膜している。この後、露点温度−60℃のN(窒素)雰囲気下でガラスキャップと紫外線硬化樹脂を用いて封止を行って第2実施例の有機EL素子20を完成させた。
【0047】
そして、完成した第2実施例の有機EL素子20に対して、合成陽極(22+13)と、陰極15との間に電圧を印加えると、合成陽極(22+13)に対応した発光部位の発光層14が発光して、透明な無アルカリガラス基板21側から発光光が出射され、この第2実施例の有機EL素子20の特性を測定したところ、第1実施例よりも性能良く最高輝度電流効率で24cd/A,最高輝度で12400cd/mが得られた。
【0048】
上記した第2実施例の有機EL素子20の製造方法によれば、ITO電極22を膜付けした無アルカリガラス基板21上に成膜したPEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングすることで合成陽極(22+13)を形成したために、無アルカリガラス基板21上に従来例のような仕切部材を形成することなく、PEDT/PSS層12上に発光層14を成膜することができるので、第2実施例の有機EL素子20の製造時間が短縮化されて製造効率を向上させることができる。
【0049】
<第3実施例>
図6(a)〜(g)は本発明に係る第3実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子を工程順に説明するための図である。
【0050】
図6(a)〜(g)に示した本発明に係る第3実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子30の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子30は、先図1,図4を用いて説明した第1,第2実施例の技術的思想を適用しており、第1,第2実施例と同じ構成部材に対して同一の符番を付し、且つ、第1,第2実施例に対して異なる部材に新たな符番を付して説明する。
【0051】
より具体的に説明すると、図6(a)に示した如く、第3実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子30の実験用基台として、例えば厚さ0.7mm,50mm角に形成した無アルカリガラス基板31を用意し、この無アルカリガラス基板31を中性洗剤,純水,アセトン,IPA(2−プロパノール)でそれぞれ10分間ずつ超音波洗浄を行った後、酸素プラズマ中で2分間表面処理を行った。この後、直ちに、無アルカリガラス基板31を不図示の真空蒸着機内に入れて、無アルカリガラス基板31の上面に例えば間隔5mm,幅5mm,長さ50mmのパターンでAu電極32を2本蒸着により膜付けした。この際、無アルカリガラス基板31上に形成したAu電極32によるパターンも第1実施例で説明した図2と同じ陽極パターンである。
【0052】
次に、図6(b)に示した如く、Au電極32を膜付けした上面側で無アルカリガラス基板31上の全面に亘ってPEDT/PSS層(導電性高分子層)12をスピンコートにより60nmの厚みで成膜した。ここでも、PEDT/PSS層12は、導電性高分子材料を用いているものの、この段階ではPEDT/PSS層12の表面抵抗値は高い状態である。
【0053】
次に、図6(c)に示した如く、2−プロパノールで希釈したグリセリン10wt%溶液13を、Au電極32上で且つ後述する陰極15と交わる発光部位に相当するPEDT/PSS層12上で図5に示した印刷パターンに沿ってスクリーン印刷法で印刷すると、グリセリン10wt%溶液13がPEDT/PSS層12内に印刷パターンに沿ってドーピングされる。
【0054】
次に、図6(d)に示した如く、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13を印刷パターンに沿ってドーピングしたものを、200℃の乾燥炉H内(又はホットプレート上)で1時間乾燥させた。
【0055】
そして、乾燥後に、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングした部位の表面抵抗値は100Ω/cm程度であり、一方、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングしていない部位の表面抵抗値は100kΩ/cm程度であった。
【0056】
上記により、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングした部位の表面抵抗が100Ω/cm程度の小さな値となるので、このグリセリン10wt%溶液13をドーピングした部位はAu電極32上に積層された陽極としての機能を備えることになるので、両者の合成表面抵抗値が第1実施例よりも低くなる。以下の説明では、Au電極32とPEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングした部位とが重なり合った部位を合成陽極(32+13)と記して説明する。
【0057】
次に、図6(e)に示した如く、第1,第2実施例と同様に、PEDT/PSS層12上の全面に亘って、発光層14を成膜している。ここでも、発光層14として、ポリビニルカルバゾール(PVK)中へ電子輸送材低分子発光材料として1,3−ビス[5−(4−tert−ブチルフェニル)―[1,3,4]―オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(OXD−7)、発光材料としてfac−トリス(2−フェニルピリジナート)イリジウム(|||)をそれぞれPVKに対して30wt%、2.5wt%クロロホルム溶液中に分散させ、この液をスピンコートして70nmの厚みで成膜して発光層14を形成し、この後、不図示の乾燥炉内で発光層14を乾燥させた。
【0058】
次に、図6(f)に示した如く、第1,第2実施例と同様に、発光層14上に陰極15としてCaを例えば間隔5mm,幅5mm,長さ50mmのパターン(図3)で5nmの厚さで2本蒸着により成膜し、更に、第1,第2実施例とは異なって、2本の陰極15上に沿って保護層33としてAlを5nmの厚さで蒸着により成膜している。
【0059】
次に、図6(g)に示した如く、陰極15及び保護層33を成膜していない発光層14上と、保護層33上とに全面保護層34としてMgF(フッ化マグネシウム)を20nmの厚さで蒸着した。この後、露点温度−60℃のN(窒素)雰囲気下で紫外線硬化樹脂を100nm塗布し硬化封止を行って第3実施例の有機EL素子30を完成させた。この際、Caによる陰極15と、Agによる保護層33と、MgFによる全面保護層34は、共に略透明であるために、陰極15側から発光光を出射できるようになっている。
【0060】
そして、完成した第3実施例の有機EL素子30に対して、合成陽極(32+13)と、陰極15との間に電圧を印加えると、合成陽極(32+13)に対応した発光部位の発光層14が発光して、略透明な陰極15及び保護層33並びに全面保護層34側から発光光が出射され、この第3実施例の有機EL素子30の特性を測定したところ、最高輝度電流効率で20cd/A,最高輝度で9970cd/mが得られた。
【0061】
上記した第3実施例の有機EL素子30の製造方法によれば、Au電極32を膜付けした無アルカリガラス基板31上に成膜したPEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングすることで合成陽極(32+13)を形成したために、従来例のような仕切部材を形成することなく、PEDT/PSS層12上に発光層14を成膜することができるので、第3実施例の有機EL素子30の製造時間が短縮化されて製造効率を向上させることができる。
【0062】
ところで、上記した第1,第2,第3実施例の有機EL素子10,20,30で用いた無アルカリガラス基板11,21,31は一例であり、基板としては200°Cの乾燥炉H内で変形しない材料であれば良い。
【0063】
また、上記した第1〜第3実施例で成膜した発光層14に用いた材料は一例であり、発光層14としては、発光させる色に応じて周知の低分子発光材料,高分子発光材料を適宜用いれば良いものである。
【0064】
また、上記した第1〜第3実施例では、基板上に膜付けした陽極と、発光層と、陰極とを少なくとも形成した例を示したが、これに限ることなく、図示を省略するものの、陽極と発光層との間に正孔注入層,正孔輸送層を介在させたり、発光層と陰極との間に電子輸送層,電子注入層を介在させても良い。
【0065】
また、上記した第1〜第3実施例では、PEDT/PSS層12内にグリセリン10wt%溶液13をドーピングする際に、PEDT/PSS層12上にグリセリン10wt%溶液13を予め形成された所定の印刷パターンに沿ってスクリーン印刷により行う場合を説明したが、これに限ることなく、フレキソ印刷やグラビア印刷などの既存の印刷法を適用しても良い。
【0066】
更に、上記した第1〜第3実施例では、導電性高分子材料を用いて成膜した導電性高分子層上に多価アルコール化合物を予め形成された所定の印刷パターンに沿って印刷して、多価アルコール化合物を導電性高分子層内にドーピングした後に乾燥させて陽極を形成する例を説明したが、この技術的思想を適用して、発光層上に導電性高分子材料を用いて導電性高分子層を積層し、且つ、この導電性高分子層上に多価アルコール化合物を予め形成された印刷パターン(陰極パターン)に沿ってシルク印刷などの印刷法により印刷して、多価アルコール化合物を導電性高分子層内にドーピングさせた後に乾燥させることにより陰極を形成することも可能である。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述した本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子によると、基板上に膜付けした陽極と、発光層と、陰極とを少なくとも形成する際、陽極又は陰極は、導電性高分子材料を用いて成膜した導電性高分子層上に多価アルコール化合物を予め形成された所定の印刷パターンに沿って印刷して、多価アルコール化合物を導電性高分子層内にドーピングした後に乾燥させて形成することで、基板上に従来例のような仕切部材を形成することなく、PEDT/PSS層と発光層を成膜することができるので、有機EL素子の製造時間が短縮化されて製造効率を向上させることができると共に、発光層から高輝度の発光光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(f)は本発明に係る第1実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子を工程順に説明するための図である。
【図2】陽極パターンを説明するための平面図である。
【図3】陰極パターンを説明するための平面図である。
【図4】(a)〜(f)は本発明に係る第2実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子を工程順に説明するための図である。
【図5】本発明に係る第2実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子において、多価アルコール化合物を導電性高分子層内にドーピングさせる際の印刷パターンを示した図である。
【図6】(a)〜(g)は本発明に係る第3実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子を工程順に説明するための図である。
【図7】(a)〜(e)は従来の有機EL素子の製造工程断面図である。
【符号の説明】
10…第1実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、
11…無アルカリガラス基板、
12…導電性高分子層(PEDT/PSS層)、
13…グリセリン10wt%溶液(陽極)、
14…発光層、15…陰極、16…保護層、
20…第2実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、
21…無アルカリガラス基板、22…ITO電極、
30…第3実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、
31…無アルカリガラス基板、32…Au電極、
33…保護層、34…全面保護層、
H…乾燥炉。

Claims (2)

  1. 少なくとも、基板上に膜付けした陽極と、発光層と、陰極とからなる有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法において、
    前記陽極又は前記陰極は、導電性高分子材料を用いて成膜した導電性高分子層上に多価アルコール化合物を予め形成された所定の印刷パターンに沿って印刷して、前記多価アルコール化合物を前記導電性高分子層内にドーピングした後に乾燥させて形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 少なくとも、基板上に膜付けした陽極と、発光層と、陰極とからなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記陽極又は前記陰極は、多価アルコール化合物を含む導電性高分子層からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007080917A (ja) * 2005-09-12 2007-03-29 Seiko Epson Corp 有機el素子、有機el装置及びその製造方法、並びに有機装置及びその製造方法
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DE102006026478B4 (de) * 2005-06-08 2017-10-19 Koito Manufacturing Co., Ltd. Fahrzeugscheinwerfer

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