JP2008242418A - 光ファイバコリメータ、光デバイスおよびこれを用いた光送受信器 - Google Patents
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Abstract
【課題】屈折率分布ファイバに生じる非軸対称な側圧を抑制したファイバコリメータを用
い、PDLおよび光の挿入損失の小さい光ファイバコリメータ、光デバイスおよびこれを
用いた光送受信器を提供する。
【解決手段】基体と、光ファイバと、該光ファイバの一端に接続された屈折率分布ファイ
バと、を備え、前記屈折率分布ファイバは、その両端部が接着剤を介して前記基体の上面
に接触し、前記両端部を除く中央部が前記基体の上面から離れて固定されていることを特徴とする光
ファイバコリメータである。
【選択図】 図1A
い、PDLおよび光の挿入損失の小さい光ファイバコリメータ、光デバイスおよびこれを
用いた光送受信器を提供する。
【解決手段】基体と、光ファイバと、該光ファイバの一端に接続された屈折率分布ファイ
バと、を備え、前記屈折率分布ファイバは、その両端部が接着剤を介して前記基体の上面
に接触し、前記両端部を除く中央部が前記基体の上面から離れて固定されていることを特徴とする光
ファイバコリメータである。
【選択図】 図1A
Description
本発明は平行光を集光して光ファイバに入射、または光ファイバから出射する光を平行光にする場合に使用する光ファイバコリメータ、および光ファイバコリメータを用いた光デバイスに関するものであり、さらには、この光デバイスを用いた光送受信器に関するものである。
近年、光通信部品の分野においては、高速・大容量の光通信ネットワークの整備が進み、光通信用部品の低コスト化や小型化、高性能化が求められている。なかでも光ファイバコリメータは、光ファイバへ光信号を結合し、または光ファイバから出射した光信号をさらに他の光素子へ導光する際に、光信号を平行光線や集光光線の形状に整形し、結合効率を高め光エネルギーの利用効率を向上する重要な構成部品である。とりわけレンズの小型化が容易でレンズ支持構造を簡略にできる例えば小型のロッド形状のレンズ(ロッドレンズ)やグレーデッドインデックスファイバのような屈折率分散型レンズを用いた光コリメータの高性能化が、光デバイスの低コスト化や小型化を実現するために求められている。
図7は、屈折率分散型レンズ(屈折率分布ファイバ)を用いた従来の光ファイバコリメータを含む従来の光合分波器100を示す。図7(a)は、光合分波器100の斜視図であり、図7(b)は図7(a)をZ−Z方向に見た場合の断面図である。従来の光合分波器100は、図7(a)に示すように、V溝107が形成された基体103と、V溝107に密着して配置され、先端に屈折率分布型レンズ113a〜113cが装着された光導波体117a〜117cとにより構成された光ファイバコリメータを含む。さらに光合分波器100は、V溝107を横断するように基体103に形成された溝部106と、溝部106に設置された光フィルタ109とを有する。
この光合分波器100において、屈折率分布型レンズファイバ113a〜113cは、光ファイバ固定板116によって覆われるとともに、図7(b)に示すように、接着剤105を介して基体103と光ファイバ固定板116で固定されていた(たとえば、特許文献1参照)。
また、光コリメータを用いる光デバイスとしては、光合分波器以外にも、光アイソレータ、光サーキュレータ、光スイッチなどがある。
特開2005−157302号公報
しかしながら、屈折率分布型レンズに非軸対称な力(側圧)が加わると複屈折が生じ、光コリメータを通過する光の損失が大きくなるという問題がある。このような非軸対称な力は、例えば平板状の2つの基体に挟まれ、直交する2軸の一方向にだけ応力が加わる場合や、曲がりにより圧縮応力と引っ張り応力が非対称に生じる場合に生じる。
例えば、光合分波器100を組み立てる際に接着剤105を硬化させると、接着剤105に収縮力が働き、光ファイバ固定板116を基体103側に引き付ける非軸対称な力が生じる。
このような力は、光合分波器100が使用される環境の温度変化に応じて発生する接着剤105の収縮においても生じる。そして、光ファイバ固定板116に生じる基体103側に向かう力が、直接、各光導波体117a〜117cに作用することによって応力が発生し、117a〜117cでの光の挿入損失が大きくなっていた。
特に、各光導波体117a〜117cの屈折率分布型レンズ113a〜113cに上記応力が作用すると、特定の偏波方向における光の損失が大きくなる偏波依存損失(Polarization Dependent Loss:以下、PDLとする)が発生し、その結果、光の損失が著しく大きくなり、信頼性が低下していた。さらに非軸対称な側圧が環境温度の変化にも起因するため、偏波依存損失の温度依存性が大きくなるという実用上の問題があった。また、光合分波器100では、光フィルタ109を固定するフィルタ固定板115の下面の一部が光ファイバ固定板116を介して各光導波体117a〜117cの屈折率分布型レンズ113a〜113cを押圧する構造となっているため、光フィルタ109を基体103に配置する際にも、屈折率分布型レンズ113a〜113cに対して過度に力が作用していた。
屈折率分布型ロッドレンズを細径化し光合分波器全体の軽量小型化が可能となる屈折率分布ファイバ(グレーデッドインデックスファイバ)をレンズに用いた場合には更に上述の現象が発現しやすく、複屈折が生じると偏波方向によって収差が大きくなり挿入損失が増大する。
そこで本発明は、屈折率分布ファイバに生じる非軸対称な側圧を抑制したファイバコリメータを用い、PDLおよび光の挿入損失の小さい光ファイバコリメータ、光デバイスおよびこれを用いた光送受信器の提供を目的とする。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の光ファイバコリメータは、基体と、光ファイバと、該光ファイバの一端に接続された屈折率分布ファイバとを備え、前記屈折率分布ファイバは、その両端部が接着剤を介して前記基体の上面に接触し、前記両端部を除く中央部が前記基体の上面から離れて固定されていることを特徴とする。
本発明の光デバイスは、基体と、光学素子と、それぞれ光ファイバと該光ファイバの一端に接続された屈折率分布ファイバとを有してなり、前記光学素子を介して前記屈折率分布ファイバ間が光学的に接続されるように配置された複数の光導波体とを備え、前記屈折率分布ファイバのうちの少なくとも1つは、その両端部が接着剤を介して前記基体の上面に接触し、その両端部を除く中央部が前記基体の上面から離れて固定されていることを特徴とする
本発明の光送受信器は、前記光デバイスと、該光デバイスに入射する光を送信する発光手段と、該発光手段から送信された光を、前記光デバイスを介して受信する受光手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の光送受信器は、前記光デバイスと、該光デバイスに入射する光を送信する発光手段と、該発光手段から送信された光を、前記光デバイスを介して受信する受光手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の光ファイバコリメータによれば、屈折率分布ファイバの中央部が基体から離れた状態で屈折率分布ファイバが固定されているので、屈折率分布ファイバに非軸対称な側圧が加わりにくくなり、屈折率分布ファイバに発生する偏波依存損失(PDL)が低減される。また、屈折率分布ファイバを両端部で固定したので、屈折率分布ファイバに非軸対称な側圧が加わることにより生じる局所的な曲がりを抑制することができるため、該曲がりによって発生する光の損失を小さくすることができる。
上述のような本発明の光ファイバコリメータを備えた光デバイスおよび光送受信器では、PDLを低減するとともに、光の挿入損失を小さくすることができる。
1.光コリメータ
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1(a)は、本発明の光ファイバコリメータ10の実施形態を示す斜視図であり、図1(b)は、図1に示す光ファイバコリメータの側面図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1(a)は、本発明の光ファイバコリメータ10の実施形態を示す斜視図であり、図1(b)は、図1に示す光ファイバコリメータの側面図である。
本実施形態にかかる光ファイバコリメータ10は、図1(a)に示されるように、光導波体17と、光導波体17が載置される基体3と、光導波体17を固定するための光学接着剤5とを含む。光導波体17は、光ファイバ11の一端と、屈折率分布型レンズとして機能する屈折率分布ファイバ(グレーデッドインデックスファイバ(GIファイバ))13の一端とを融着接続して構成されている。さらに屈折率分散ファイバ13の他端に基体3上に載置され接着剤5で固定されたコアレスファイバ(図示せず)の一端を融着接合してもよい。
光ファイバ11は、屈折率の高いコア部と該コア部の外周を被覆するクラッド部からなり、コア部とクラッド部との屈折率差による反射を利用することによってコア部内で光を伝送するシングルモードファイバである。光ファイバ11は、たとえば円柱状の石英等から構成され、クラッド部の外径が125μm、コア部の外径が10μm程度である。なお、本実施の形態では、シングルモードファイバ(SMファイバ)が用いられているが、本発明はこのようなSMファイバに限定されるものではなく、たとえばSMファイバよりもコア部の径が大きくかつ、複数のモードの光を伝送可能なマルチモードファイバを用いてもよい。また、光ファイバ11は、屈折率分布ファイバ13と融着接合される端末およびその近傍を除く部分については、被覆層21を有することが好ましい。
屈折率分布ファイバ13は、たとえば円柱状の石英等からなり、クラッド部の外径が125μm、コア部の径が100μm程度であり、コア部は、その長手方向の中心軸に対して軸対称の屈折率分布を有し、屈折率分布型レンズとして機能するように所定の長さを有しており、その好ましい長さはシングルモードファイバの開口数と所望の出射ビーム形状によって決定される。つまり、屈折率分布がGRINレンズと同ようにレンズ効果をもつため、適当な屈折率分布の屈折率分布ファイバを適切な長さで用いれば結合光学系を構成することができる。この屈折率分布ファイバの特性を示すパラメータとしては、クラッドとコア中心の屈折率差Δ、コア径D、収束パラメータAがある。屈折率分布ファイバ13に入射した光信号は周期を持った蛇行を繰り返し導波するが、その1周期に相当する屈折率分布ファイバ13の長さを1ピッチとすると、0.25ピッチや0.75ピッチでは平行光となり、0.25ピッチ乃至0.5ピッチでは集光光にすることができる。なお、屈折率分布は、中心軸の屈折率が最も大きく、外周に向かって漸次屈折率が小さくなるように構成されており、レンズとして用いる場合、屈折率分布ファイバ13のコアとクラッドの屈折率の比は0.5%〜2%程度が好ましい。そのため、屈折率分布ファイバは、例えば、前述したパラメータでいえば、屈折率差Δ=0.85%、コア径D=105μm、収束パラメータA=3.37×10−6/μm2となるものを用い、長さ0.76mmにすると好適である。このような屈折率分布の作用によって、光ファイバコリメータ10では、光ファイバ11に入射した光が、所定の長さの屈折率分布ファイバ13を通ることにより、平行光や集光光として出射される。この屈折率分布ファイバ13と光ファイバ11とは、たとえば放電による熱によって融着接合される。
屈折率分布ファイバ13へのコアレスファイバ15の接合は好適である。これは、屈折率分布型ファイバ13の端面形状を変えることなく、光導波体17の光学素子の光入射面と対向する端面を光軸に対して傾斜させることができるためである。これにより出射される光のスポット形状が最も好ましい略正円状とすることができ、光の挿入損失を小さくしつつ不要な反射戻り光を低減することができる。コアレスファイバ15は、略均一な屈折率分布を有する光ファイバであり、その材質はたとえば石英ガラスからなり、その屈折率は1.45程度、透過損失は0.35×10−6dB/mm以下であり、透過損失が比較的低いものが好ましい。このコアレスファイバ15は、外径が光ファイバ11および屈折率分布ファイバ13と等しく約125μmであり、屈折率分布ファイバ13と、たとえば放電による熱によって融着接合される。
光導波体17は、基体3上に載置されている。基体3の上面には、光導波体17を載置するための直線状のV字溝31が形成されている。さらに基体3は、屈折率分布ファイバ13の中央部25直下に基体凹部33を有している。この結果、基体凹部33と対向する屈折率分布ファイバ13の中央部25と基体3とは、非接触の状態である。
基体3の材質は、石英ガラス、低熱膨張ガラス、シリコン、または低熱膨張樹脂(たとえばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂)等で構成され、例えば基体3を石英ガラスで構成する場合には、平板の石英ガラスに切削加工によりV字溝31や基体凹部33を加工し製作される。
本実施形態では、断面が矩形の凹部を形成した例を示したが、凹部の断面形状は矩形に限られるものではなく、例えば円弧形状であってもよい。
一方、屈折率分布ファイバ13の両端部(端部23および端部27)は、図1(b)に示すように基体凹部33の両側で基体3と接触しており、接着剤5を介して、基体3に固定されている。端部23、27はそれぞれ屈折率分布ファイバ13の全長に対し、10%〜35%の長さ、好ましくは10%〜30%の長さ、より好ましくは10%〜25%の長さを有する。端部23または27の長さが、10%〜35%であれば、屈折率分布ファイバの曲がりを抑える効果が優れ、接着剤の収縮による側圧が及ぶ長さも短く問題とはならないとともに、さらに長さが10%〜30%、とりわけ10%〜25%の範囲では、この効果は顕著だからである。
屈折率分布ファイバ13の端部23、27に塗布する接着剤5は、たとえば透光性のあるエポキシ樹脂、アクリル系樹脂、またはシリコン系樹脂のような材質を使用することができる。接着剤5は、端部23、27の全体または一部に塗布され、塗布部の長さ(図1(b)の左右方向の長さ、以下同じ)は、端部から10%〜35%の長さ、好ましくは10%〜30%の長さに亘り塗布される。10%〜35%であれば、屈折率分布ファイバの曲がりを抑える効果が優れ、接着剤の収縮による側圧が及ぶ長さも短く問題とはならないと共に、10%〜30%、とりわけ10%〜25%の範囲では、この効果はさらに顕著だからである。また、接着剤5が端部23、または端部27を越えて中央部25の一部を覆うことは可能であるが、接着剤5同士が相接触するとPDLの劣化が顕著となることから、端部23と端部27とにそれぞれ塗布した接着剤5は、相接触しないように塗布される。
上述のような条件を満たす好適な例として、例えば屈折率分布ファイバ13の長さが0.76mmの場合、各両端から0.2mmまでの領域をそれぞれ端部23、27となるように、基体凹部(離間部)33の長さを0.36mmとする。そして、この長さ0.2mmの端部23、27それぞれを覆うように接着剤5を塗布する。なお、基体凹部33には、図1Cに示すように、緩衝材18を配してもよい。緩衝材18は、接着剤5よりも弾性率が低く、熱膨張係数が小さい材料であることが好ましい。具体的には、接着剤5がエポキシ系樹脂であれば、たとえばゴム系やアクリル系、もしくはウレタン系やシリコン系等の樹脂を用いることができる。このように、緩衝材18を設ければ、光合分波器に外部から力が加わっても、屈折率分布ファイバ13が基体凹部の底面や側面に接触する確率を小さくすることができる。
また、光ファイバコリメータ10では、図1Dに示すように、屈折率分布ファイバの13の両端部を除く外周に、保護部材19を設けてもよい。このような形態によれば、屈折率分布ファイバ13の中央部を、その周方向に亘って保護することができるため、外力等によって生じる屈折率分布ファイバ13の破損を低減することができる。この保護部材19は、たとえばウレタンアクリレート系のUV硬化樹脂で構成されている。保護部材19は、ウレタンアクリレート系のUV硬化樹脂で被覆する場合、光ファイバ11と屈折率分布ファイバ13を融着接続した後、屈折率分布ファイバ13に樹脂を塗布し、紫外光を照射して硬化させて形成される
次に、光ファイバコリメータ10の動作について説明する。光ファイバ11中を伝送された光は、光ファイバ11と屈折率分布ファイバ13との接合部を通り、屈折率分布ファイバ13に入射し、屈折率分布ファイバ13の端部27またはコアレスファイバ15を有する時はコアレスファイバ15の端部より、集光もしくはコリメータ光として出射される。
次に、光ファイバコリメータ10の動作について説明する。光ファイバ11中を伝送された光は、光ファイバ11と屈折率分布ファイバ13との接合部を通り、屈折率分布ファイバ13に入射し、屈折率分布ファイバ13の端部27またはコアレスファイバ15を有する時はコアレスファイバ15の端部より、集光もしくはコリメータ光として出射される。
この際、接着剤5は、環境温度の変化に応じて収縮または膨張(以下、「収縮等」という)する。しかし本発明にかかる光ファイバコリメータ10では、上述したように屈折率分散ファイバ13の中央部25は、接着剤5が塗布されていないか、または塗布されていても一部分のみである。従ってPDLの劣化が発生する屈折率分散ファイバ13、とりわけその中央部25での接着剤5の収縮等による側圧等の非軸対称力の発生が大幅に抑制される。
また、光ファイバ11およびコアレスファイバ15(用いられている場合のみ)に塗布した接着剤5の収縮等により、非軸対称力が生じる。しかし、上述のように屈折率分散ファイバ13の両端部(端部23と端部27)が接着剤5により基体3に固定されている。この結果、生じた軸対称力は、この端部23、27までしか到達せず、すなわち、中央部25すなわち屈折率分散ファイバ13の相当の部分にはこの非軸対称力は及ばない。
加えて、上述したように屈折率分散ファイバ13の中央部25は、直下に基体凹部33が延在し、基体3から離れている。従って、たとえ、微小な非軸対称力が中央部25に及んだとしても、中央部25全体が、緩やかに曲がることにより、この微小な非軸対称力を緩和することができるため、PDLの劣化の原因となる中央部25の局部的な曲がりの発生を防止できる。
以上に示す作用により、温度変化による接着剤5の熱膨張・収縮が生じても、屈折率分布ファイバ13に加わる側圧を大幅に低減でき、従って、PDLの劣化が抑制され、損失の少ない光ファイバコリメータを提供できる。なお、これら作用については、光ファイバコリメータ10を使用中のみならず、光ファイバコリメータ10の作製に伴い接着剤5が硬化する際の収縮においても同様の効果を奏する。
2.光デバイス
以下においては、上述の光ファイバコリメータ10を用いた本発明の光デバイスについて、図面を参照しつつ説明する。図2は、本発明の光デバイスの一種である光合分波器50の第1の実施形態を示すものであり、図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)をX−X方向に見た場合の断面図である。
以下においては、上述の光ファイバコリメータ10を用いた本発明の光デバイスについて、図面を参照しつつ説明する。図2は、本発明の光デバイスの一種である光合分波器50の第1の実施形態を示すものであり、図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)をX−X方向に見た場合の断面図である。
光合分波器50は、図2に示されるように、第1乃至第3の光導波体17a〜17c、光導波体17a〜17cが載置される基体3’、光学素子の一種である光フィルタ4、および光フィルタ4を固定するための光学接着剤5により構成される。
光導波体17a〜17cは、光ファイバ11a〜11cの一端にそれぞれ屈折率分布ファイバ13a〜13cが接合され、さらに、屈折率分布ファイバ13a〜13cの端部27a〜27cにそれぞれコアレスファイバ15a〜15cが接合されてなる光ファイバで構成されている。
光ファイバ11a〜11c、屈折率分布ファイバ13a〜13cおよびコアレスファイバ15a〜15cは、それぞれ上述の光ファイバ11、屈折率分布ファイバ13およびコアレスファイバ15と同じものが使用可能である。本実施形態において、光ファイバ11aに入射された光が、屈折率分布ファイバ13aを通ることにより、平行光で出射され、更に光導波体17bもしくは光導波体17cに入射する際には、集光して入射することになる。
光ファイバ11a〜11cと屈折率分布ファイバ13a〜13cとの間および、屈折率分布ファイバ13a〜13cとアレスファイバ15a〜15cの間は、たとえば放電による熱によって融着接合されている。
コアレスファイバ15a〜15cは、屈折率分布ファイバ13a〜13cと光フィルタ4の間に配置され、レンズとして機能する屈折率分布ファイバ13a〜13cと光フィルタ4との間の距離を調整する機能を担う。この光学距離の調整により、最適の光結合効率が得られるように光フィルタ4を介して光導波体17a〜17c同士を配置することが可能になり、その結果、光を挿入したときに生じる挿入損失を小さくすることができる。
なお、本実施の形態では、光導波体17a〜17cは光ファイバ11a〜11c、13a〜13cおよび15a〜15cを備えているが、これらの一部または全部は、光ファイバに限定されるものではなく、たとえば樹脂材料で形成されるような光導波路部材を用いてもよい。
基体3’は、一方の面に一直線上にV溝7a〜7dが形成され、基体3’の略中心部でV溝7a〜7dと交差する様に、一直線上にV溝8a〜8dが形成されている。また、基体3’の略中心部には、光フィルタ4を設置するための溝6が設けられている。そして、図2(b)に示す屈折率分布ファイバ13a〜13c(13bは図示せず)のそれぞれの中央部25a〜25c(25bは図示せず)の直下には、基体凹部33a、33bが設けられ離間部を形成している。図2に示す実施の形態では、溝6と基体凹部33a、33bは、それぞれ分離して形成されているが、溝6および基体凹部33、33bの底面が同一平面になるように一体的に設ければ、これらを同一の加工工程で形成することが可能となるため、製造工程の簡略化という観点から好適である。基体3’の材質は、上述の基体3と同じものを使用することができる。
屈折率分散ファイバ13a〜13cの両端部(端部23a〜23c(23bは図示せず)と端部27a〜27c(27bは図示せず))は、基体3’と接触しており、接着剤5を介して基材3’に固定されている。端部23a〜23c、27a〜27cの長さは、上述した端部23、27と同じ範囲の長さを有する。
中央部25a〜25cは好ましくは接着剤5と接触していない。また、接着剤5が端部23a〜23c、または端部27a〜27cを越えて中央部25a〜cの一部を覆ってもよいが、接着剤5同士が相接触するとPDLの劣化が顕著となることから、端部23a〜23cと端部27a〜27cとにそれぞれ塗布した接着剤5は、相接触しないように塗布される。
離間部33a、33bは、図2(b)に示すように空隙であることが好ましいが例えば緩衝材(図示なし)を挿入してもよい。緩衝材は、接着剤5よりも弾性率が高く、熱膨張係数が小さい材料であることが好ましい。具体的には、接着剤5がエポキシ系樹脂であれば、たとえばゴム系やアクリル系、もしくはウレタン系やシリコン系等の樹脂を用いることができる。また、光合分波器50では、屈折率分布ファイバの13a〜13cの両端部を除く外周に、保護部材(図示なし)を設けてもよい。なお、保護部材は、上述した光ファイバコリメータ10と同様のものを利用できる。
光フィルタ4は、たとえば透光性部材4aとフィルタ膜4bにより構成されたものである。ここで、透光性部材4aは、たとえば光学ガラス(硼珪酸ガラスや白板ガラス)や石英ガラスからなり、屈折率は1.45〜1.55程度のものを用いることが好ましい。また、その大きさは、光の有効径以上あればよく、たとえば、ハンドリング等を考慮し、0.5mm程度で、形状は四角柱が好ましい。
フィルタ膜4bは、複数の異なる波長領域の光を含む光を波長領域ごとに選択的に分離(分波)する機能を有する膜である。具体的には、フィルタ膜4bは例えば、波長λ1の光を透過し、波長λ2の光を反射する機能を担う。すなわち、フィルタ膜4bは、所定の波長(波長領域)の光を透過し、それ以外の波長(波長領域)の光を反射することによって波長領域ごとに光を分波する機能を有し、以下のように作製される。
フィルタ膜4bは、たとえば二酸化ケイ素と二酸化チタン等の屈折率の異なる2種類以上の誘電体を交互に積層して形成される多層膜により構成される。この誘電体多層膜は、誘電体膜間の繰り返しの反射干渉により波長選択性を示し、各膜の膜厚は、反射させる光の波長の1/4波長分に設定される。このように、誘電体膜の膜厚を1/4波長分とすることにより、各誘電体膜界面における多重反射において、ある特定の波長の光の位相が一致し、干渉して強めあうことで波長選択性を有する膜が得られる。そして、このようなフィルタ膜4bの成膜方法としては、たとえば透光性部材4aの主面に蒸着、スパッタリング等の方法によって容易に作製することができる。
光合分派器50は、図3に示すように、蓋体9を有してもよい。蓋体9は、第1の光導波体17aおよび第2の光導波体17bを覆う蓋体9aと、第3の光導波体17cを覆う蓋体9bよりなる。蓋体9は、各光導波体17a〜17cの上部に配置され、屈折率分布型レンズ13a〜13cの中央部25a〜25cを除く部位で接着剤(図示せず)を介して基体3’と接合すると同時に各光導波体17a〜17cを固定する。この結果、蓋体9は、光導波体17a〜17cを保護するとともに、基体3’のV溝7a〜7dおよびV溝8a〜8dに沿うように光導波体17a〜17cを位置決めする機能を有する。
蓋体9の材質は、たとえば石英ガラス、低熱膨張ガラス、シリコン、または低熱膨張樹脂(たとえばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂)で構成され、例えば、蓋体9を石英ガラスで構成する場合には、平板の石英ガラスに切削加工を施すことで所定の形状にすることが可能である。
光学接着剤5は、光フィルタ4を基体3’に固定するのにも用いられる。この光学接着剤5は、光フィルタ4を構成する透光性部材4aとコアレスファイバ15a〜15cと略同等の屈折率あるいは両部材の中間の屈折率を有するような材質を用いることが好ましい。このように、光学接着剤5とコアレスファイバ15a〜15cおよび光フィルタ4を構成する透光性部材4aとの屈折率が整合されていれば、それらの界面で生じる光の反射を抑制することができ、光の挿入損失を小さくできる。
たとえばコアレスファイバ15a〜15cが石英ガラス、透光性部材4aが光学ガラス(硼珪酸ガラスや白板ガラス)で構成されている場合、光学接着剤5は、たとえば透光性のあるエポキシ樹脂、アクリル系樹脂、またはシリコン系樹脂のような材質を使用することができる。なお、エポキシ樹脂、シリコン樹脂およびアクリル系樹脂は、その添加物によって紫外線硬化または熱硬化するものであり、これらの併用硬化を利用してもよい。
次に、光合分波器50の動作について説明する。光合分波器50は、光導波体17aから波長λ1、波長λ2の光が入射されると、屈折率分布ファイバ13aを介して集光もしくはコリメータ光となり、その集光位置付近又はコリメータ光の中心付近に配置した光フィルタ4に入射される。光フィルタ4は、λ1の光を透過し、それ以外の波長の光、たとえばλ2の光を反射するように構成されている。光フィルタ4を通過した波長λ1の光は、屈折率分布ファイバ13cを介して光ファイバ11cから出力される。一方、光フィルタ4で反射された波長λ2の光は、屈折率分布ファイバ13bを介して光ファイバ11bから出力される。
光合分波器50は、このように、光導波体17aを介して入射された波長λ1、λ2の光を含む光を、波長ごとに分波し、それぞれ光導波体17b、光導波体17cから出射するという光の分波機能を備えた光デバイスである。一方で、たとえば光導波体17bに波長λ1の光を、光導波体17cに波長λ2の光を入射した場合には、光合分波器50は光フィルタ4で波長λ1および波長λ2の光を合波して光導波体17aから出射するという光の合波機能を備えた光デバイスとなる。
接着剤5は、環境温度の変化に応じて収縮等する。しかし上述したように中央部25a〜25cは、接着剤5が塗布されていないか、または塗布されていても一部分のみである。従ってPDLの劣化が発生する屈折率分散ファイバ13a〜13c、とりわけ、その中央部25a〜25cでの接着剤5の収縮等による側圧等の非軸対称力の発生を大幅に抑制することが可能となる。
また、光ファイバ11a〜11cおよびコアレスファイバ15a〜15cに塗布した接着剤5の収縮等により、非軸対称力が生じる。しかし、上述のように屈折率分散ファイバ13a〜13cの両端部(端部23a〜23cと端部27a〜27c)は接着剤5により基体3’に固定されている。この結果、生じた軸対称力は、この端部23a〜23c、端部27a〜27cまでしか到達せず、すなわち、中央部25a〜25cすなわち屈折率分散ファイバ13a〜13cの相当の部分にはこの非軸対称力は及ばないこととなる。
加えて、上述したように屈折率分散ファイバ13a〜13cの中央部25a〜25cは、直下に基体凹部33a、33bが延在し、基体3’から離れている。これにより、たとえ、微小な非軸対称力が生じたとしても、中央部25a〜25c全体が、緩やかに曲がることにより、この微小な非軸対称力を緩和することができるため、PDLの劣化の原因となる中央部25a〜25cの曲がり、特に局部的な曲がりの発生を防止できる。
以上に示す作用により、温度変化による接着剤5の収縮等が生じても、屈折率分布ファイバ13に加わる側圧等の応力を大幅に低減でき小さくすることができる。なお、これら作用については、光合分波器50の使用中のみならず、光合分波器50の作製に伴い接着剤5が硬化する際の収縮においても同様の効果を奏する。
次に光合分波器50の製造方法の一例について説明する。
<基体の作製>
石英ガラスからなる平板状部材の一方の面に、ダイシング等の切削加工を施し、V溝7a〜7dを一直線上に形成する。次に、平板状部材の中心部にV溝7a〜7dと交差するV溝8a〜8dを形成する。最後に、屈折率分布ファイバ13a〜13cの直下に相当する部位を、屈折率分布ファイバ13a〜13cを搭載したときに、その中央部25a〜25cが、基体3’と当接しない程度の深さ及び幅になるように切削加工を施し、基体凹部33a、33bを形成し、基体3’を作製する。ここで、基体凹部33a、33bの深さは、たとえば基体3’を平面から見てV溝7a〜7dもしくはV溝8a〜8dが目視で確認できなくなる程度の深さであれば良い。
石英ガラスからなる平板状部材の一方の面に、ダイシング等の切削加工を施し、V溝7a〜7dを一直線上に形成する。次に、平板状部材の中心部にV溝7a〜7dと交差するV溝8a〜8dを形成する。最後に、屈折率分布ファイバ13a〜13cの直下に相当する部位を、屈折率分布ファイバ13a〜13cを搭載したときに、その中央部25a〜25cが、基体3’と当接しない程度の深さ及び幅になるように切削加工を施し、基体凹部33a、33bを形成し、基体3’を作製する。ここで、基体凹部33a、33bの深さは、たとえば基体3’を平面から見てV溝7a〜7dもしくはV溝8a〜8dが目視で確認できなくなる程度の深さであれば良い。
<蓋体の作製>
蓋体9は、部品組み立て時は一体物とし、組み立て後にダイシング等の切削加工によって溝6を形成することで、蓋体9aと蓋体9bに分離するため、まず、蓋体9aと蓋体9bとが一体的に形成された大型の蓋体9を作製する。この大型の蓋体9は、たとえば石英ガラス板をダイシング等により、基体3’の外形と同寸法になるように加工することによって得ることができる。また、この石英ガラス板の表面に板の厚みが薄くなる部位を形成する場合には、同様に、ダイシング等の加工を施してもよい。
蓋体9は、部品組み立て時は一体物とし、組み立て後にダイシング等の切削加工によって溝6を形成することで、蓋体9aと蓋体9bに分離するため、まず、蓋体9aと蓋体9bとが一体的に形成された大型の蓋体9を作製する。この大型の蓋体9は、たとえば石英ガラス板をダイシング等により、基体3’の外形と同寸法になるように加工することによって得ることができる。また、この石英ガラス板の表面に板の厚みが薄くなる部位を形成する場合には、同様に、ダイシング等の加工を施してもよい。
<光導波体の作製>
光導波体17aと光導波体17cは、部品組み立て時は一直線上に繋がったものとして作製し、組み立て後にダイシング等の切削加工によって基体3’に溝6を形成すると同時に光導波体17aと光導波体17cに分離するため、まず、光導波体17aと光導波体17cとが一体的に形成された光導波体17dを作製する。
光導波体17aと光導波体17cは、部品組み立て時は一直線上に繋がったものとして作製し、組み立て後にダイシング等の切削加工によって基体3’に溝6を形成すると同時に光導波体17aと光導波体17cに分離するため、まず、光導波体17aと光導波体17cとが一体的に形成された光導波体17dを作製する。
次いで、光ファイバ11a、屈折率分布ファイバ13a、コアレスファイバ15a、コアレスファイバ15c、屈折率分布ファイバ13c、光ファイバ11cを、一直線上になるように放電による融着等の接合手段を利用して1本の光導波体17dを作製する。一方で、光ファイバ11b、屈折率分布ファイバ13b、コアレスファイバ15bを、一直線上になるように放電による融着等の接合手段を利用して1本の光導波体17bを作製する。以上のような工程によって、光導波体が作製される。
屈折率分布ファイバ13のコア形状は、真円状であることが望ましいが、実際には製造上、楕円状のものも存在する。屈折率分布ファイバ13aと屈折率分布ファイバ13cは、互いの屈折率分布ファイバのコア形状が異なる、すなわち、コア形状が楕円状の場合、その長軸と短軸の向きが異なった状態でコアレスファイバ15aを介して融着接続すると、接続損失が大きくなる。このようなコア形状の不一致による光の接続損失を低減するためには、1本の屈折率分布ファイバを準備し、2つに切断した後、屈折率分布ファイバが互いに回転しないようにコアレスファイバ15に融着し、長軸および短軸の方向をあわせることが望ましい。
<光合分波器の組立>
まず、基体3’のV溝7a〜7cと8a〜8cとの交点に光導波体17dのコアレスファイバの中心が来るように位置決めするとともに、屈折率分布ファイバ13a、13cが基体3’の基体凹部33a、33bの直上になるように光導波体17dを基体3’のV溝に配置する。次に、光導波体17dの屈折率分布ファイバ13aと同位置、すなわち、基体3’の基体凹部33aの直上に屈折率分布ファイバ13bが位置するように、光導波体17bを基体3’のV溝に位置決めする。その後、たとえばエポキシ樹脂からなる紫外線硬化型樹脂等よりなる接着剤5を各V溝7a〜7c、8a〜8cに塗布し、大型の蓋体9を載置した後、上方から各光導波体を押さえて接着剤に紫外線を照射することによって固定する。
まず、基体3’のV溝7a〜7cと8a〜8cとの交点に光導波体17dのコアレスファイバの中心が来るように位置決めするとともに、屈折率分布ファイバ13a、13cが基体3’の基体凹部33a、33bの直上になるように光導波体17dを基体3’のV溝に配置する。次に、光導波体17dの屈折率分布ファイバ13aと同位置、すなわち、基体3’の基体凹部33aの直上に屈折率分布ファイバ13bが位置するように、光導波体17bを基体3’のV溝に位置決めする。その後、たとえばエポキシ樹脂からなる紫外線硬化型樹脂等よりなる接着剤5を各V溝7a〜7c、8a〜8cに塗布し、大型の蓋体9を載置した後、上方から各光導波体を押さえて接着剤に紫外線を照射することによって固定する。
次いで、V溝交点の中心を結ぶ線を中心として、ダイシング等の加工により溝6を形成し、光フィルタ4を配置する空間を確保すると同時に、コアレスファイバ15dをコアレスファイバ15a、15cに、また蓋体9をそれぞれ蓋体9a、9bに分離する。なお、溝6の幅は、光フィルタ4の幅より若干大きくなるようにする。
光学接着剤5を溝6に充填した後に、溝6の所定の位置に光フィルタ4を配置する。そして、この光学接着剤5を硬化させる前に光フィルタ4の光学調整を行う。具体的には、まず、光導波体17aから光を入力し、光導波体17bから出力する光が最も多くなる角度と位置に光フィルタ4を調整する。この状態で、光学接着剤5を紫外線照射することによって硬化して位置決め固定する。なお、光フィルタ4と各コアレスファイバ15a〜15cの間には、光学接着剤5が十分充填されるようにする。
本実施の形態では、このようにコアレスファイバ15a〜15cを屈折率分布ファイバ13a〜13cの一端に接続し、光フィルタ4の表面近くまで配置することにより、物理的に位置決めがしやすく、光フィルタ4とコアレスファイバ15a〜15cを接合する光学接着剤5の量を低減することができる。これにより、光学接着剤5の光吸収や、光学接着剤5の熱膨張によるズレや応力の影響を抑制でき、挿入損失を低減することができる。
次に、本発明の第1の実施形態の変形例について図4を参照しつつ説明する。
図4は、本発明にかかる光合分波器の第1の実施形態である光合分波器50の変形例である光合分波器50’を示す。光合分波器50’は、基体3’の基体凹部33a、33bに加えて、蓋体9a、9bが屈折率分布ファイバ13a〜13cの中央部25a〜25cの直上に蓋体凹部(離間部)9c、9dを有している。この結果、蓋体9a、9bと屈折率分布ファイバ13a〜13cの中央部25a〜25cとが離れている点が光合分波器50’と異なっている。光合分波器50’では、中央部25a〜25cが蓋体9および基体3’の両方に接触しない構造であるため、蓋体9と基体3との間に配された接着剤5が収縮したとしても、各屈折率分布ファイバ13a〜13cが、蓋体9と基体3’とから同時に、かつ直接的に押圧されるのを抑制でき、屈折率分布ファイバ13a〜13cに生じる応力を低減させることができる。
なお、図2〜図4に示す光合分波器50、50’の基体凹部33a、33bおよび蓋体凹部9c、9dは、好ましくは空隙であるが、弾性部材で満たされてもよい。弾性部材は、屈折率分布ファイバ13a〜13cの中央部25a〜25cと基体3’とが、または、中央部25a〜25cと基体3’および蓋体9とが接触しないようにするための緩衝材として作用するものである。この弾性部材は、蓋体9と基体3’とを接着固定する接着剤5よりも弾性率が高く、熱膨張係数が小さい材料であることが好ましい。具体的には、接着剤5がエポキシ系樹脂であれば、たとえばゴム系やアクリル系、もしくはウレタン系やシリコン系等の接着剤を用いることが出来る。このように、光合分波器50、50’は、弾性部材を設けることにより、各屈折率分布ファイバ13a〜13c1を押圧する応力を緩和することができる。
さらに、光合分波器50、50’では、全ての光導波体17a〜17cが、屈折率分散ファイバの両端部が基体3’に接着剤5で固定され、屈折率分散ファイバの中央部が基体3’から離れていたが、必要に応じて、一部の光導波体(即ち光導波体17a〜17cの1つまたは2つ)のみについて、両端部を基体3’に接着剤5で固定し、中央部を基体3’から離れてもよい。
3.光送受信装置
以下に、本発明の光デバイスの一種である光合分波器を用いた光送受信装置について、図5を用いて説明する。
以下に、本発明の光デバイスの一種である光合分波器を用いた光送受信装置について、図5を用いて説明する。
図5は、本発明の光送受信装置70を示す構成図である。光送受信装置70は、2つの光合分波器50と、一方の光合分波器50(以下、第1光合分波器50とする)に入射する光を送信する発光手段71a、71bと、第1光合分波器50で合波された光を伝送する伝送ファイバ72と、該伝送ファイバ72を伝送する光が入射される他方の光合分波器50(以下、第2光合分波器50とする)と、第2光合分波器50で分波された光を受光する受光手段73a、73bと、を備えている。本発明の光送受信装置では、光合分波器50を備えることにより、屈折率分布型レンズに発生する応力を緩和し、光の損失を低減することが可能となるため、信頼性を向上させることができる。
次に、光送受信装置70の機能について説明する。まず、外部から入力される2つの送信信号74a、74bは発光手段71a、71bによって互いに波長の異なる光信号に変換された後、第1光合分波器50の合波機能により1つに合波される。そして合波された光は、伝送ファイバ72内を受信手段側に向かって伝送される。次いで、伝送ファイバ72によって伝送された波長多重信号光(合波光)は、第2光合分波器50の分波機能によって分離され、分離された光が受光手段73a、73bによりもとの信号74a、74bに変換される。
光送受信装置70では、1本の伝送ファイバ72を用い、さらに2つの光合分波器50を用いることによって大容量の情報を簡単な構成で安価に伝送できる利点がある。また、本発明の光送受信装置70においては波長多重システムに関して実施例を示したが、本発明における光デバイスを用いた光送受信装置であればこれに限定されるものではなく、各種用途に応じた光デバイス50を組み込んだ光送受信装置を構成すればよい。なお、上述した実施の形態では、光合分波器にかかる形態を説明したが、本発明は光合分波器に限られるものではなく、光学素子を光アイソレータ、光スイッチ素子、ビームスプリッタ素子、波長板、反射ミラー、回折素子、またはプリズム等に置き換えて、光合分波器とは全く異なる機能を有する光デバイスに適用できる。
本発明の光デバイスの一種である光合分波器について、以下に示す方法で実験を行った。本発明の実施例として図2に示す光合分波器50と、比較例として、図7に示す従来の光合分波器100をそれぞれ10個ずつ作製し、各製品に−40〜+85℃の温度をかけた時に最大となるPDLを測定した。
まず、使用した各部材の材質や、その製作方法について説明する。
基体3’および103の材質は、1.0mm厚の石英を使用し、外形形状、V溝7a〜7d、8a〜8d、107および基体の凹部33a、33b、6、106は、ダイシングにより形成した。また、蓋体9やフィルタ固定板115、さらに光ファイバ固定板116は、0.3mm厚の石英を使用し、ダイシングにより外形形状を形成した。さらに光フィルタ4、109は、透光性部材の材質を0.5mm角の石英とし、その表面に二酸化ケイ素と二酸化チタン等の屈折率の異なる2種類以上の誘電体を交互に蒸着することで、1310nmの光を透過し、1550nmの光を反射するフィルタ膜を形成した。光導波体17a〜17c、117a〜117cについては、融着により屈折率分布ファイバ13a〜13cおよび113a〜113cに、それぞれ光ファイバ11a〜11cおよび111a〜111cを接続したものを使用した。なお、V溝に塗布し、各光導波体や蓋体等を固定する接着剤5、105は、UV硬化型のエポキシ系接着剤を使用した。また、フィルタを固定する接着剤5、105は、UV硬化型のアクリル系接着剤を使用した。
次に、PDLおよび光の挿入損失の測定方法について説明する。
図6は光合分波器のPDLおよび光の挿入損失の測定方法を説明する模式図である。図に示すように、光源80からの光を、光スクランブラ81を介して光導波体の一端に接続することで、不特定の偏波方向の光を光合分波器に入射した。透過側及び反射側の光導波体には、パワーメータ82を接続して透過及び反射されてきた光の量を測定することで、入力した光と透過及び反射してきた光の量の比によって光の損失を計測した。この時、光の損失の最大値と最小値との差をPDLとし、その平均値を挿入損失とした。以上のサンプルでの評価結果、従来の光合分波器100では低温時(−40°)および高温時(25°)において最大1.5dBのPDLが1310nmの波長で計測された。これに対し本発明の光合分波器50では、低温時(−40°)および高温時(25°)において、最大0.05dBのPDLが得られ、従来品に比べ、PDLの温度依存性を著しく低減することができた。
3,3’ 基体、4 光フィルタ(光学素子)、4a 透光性部材、4b:フィルタ膜、5 光学接着剤、6 溝、7a〜7c,8a〜8c,31 V溝、9,9a〜9b 蓋体、9c,9d 蓋体凹部、11,11a〜11c 光ファイバ、13,13a〜13c 屈折率分布ファイバ(屈折率分布レンズ)、15,15a〜15c コアレスファイバ、17,17a〜17d 光導波体、21 被覆層、23,27 屈折率分布ファイバ端部、25 屈折率分布ファイバ中央部、33,33a,33b 基体凹部、50,50’ 光合分波器、70 光送受信装置、71,71a,71b 発光手段、72 伝送ファイバ、73,73a,73b 受光手段、74a,74b 信号、80 光源、81 光スクランブラ、82 パワーメータ
Claims (18)
- 基体と、光ファイバと、該光ファイバの一端に接続された屈折率分布ファイバと、を備え、
前記屈折率分布ファイバは、その両端部が接着剤を介して前記基体の上面に接触し、前記両端部を除く中央部が前記基体の上面から離れて固定されていることを特徴とする光ファイバコリメータ。 - 前記屈折率分布ファイバの前記中央部は、空隙を介して前記基体の上面から離れていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバコリメータ。
- 前記基体の前記上面は凹部を有し、その凹部によって前記屈折率分布ファイバの前記中央部が前記基体の上面から離れていることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバコリメータ。
- 前記屈折率分布ファイバの前記中央部は、緩衝材を介して前記基体の上面から離れていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバコリメータ。
- 下面を有し、該下面が前記屈折率分布ファイバの前記両端部と接触し、かつ前記中央部と離れた蓋体をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光ファイバコリメータ。
- 前記蓋体の前記下面は凹部を有し、その凹部によって前記屈折率分布ファイバの前記中央部が前記下面から離れていることを特徴とする請求項5に記載の光ファイバコリメータ。
- 前記屈折率分布ファイバの一端にコアレスファイバを融着接続し、該融着接続部および前記コアレスファイバを前記基体の上面に固定することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光ファイバコリメータ。
- 前記屈折率分布ファイバの両端部を除く外周を覆う保護部材をさらに有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光ファイバコリメータ。
- 基体と、
光学素子と、
それぞれ光ファイバと該光ファイバの一端に接続された屈折率分布ファイバとを有してなり、前記光学素子を介して前記屈折率分布ファイバ間が光学的に接続されるように配置された複数の光導波体とを備え、
前記屈折率分布ファイバのうちの少なくとも1つは、その両端部が接着剤を介して前記基体の上面に接触し、その両端部を除く中央部が前記基体の上面から離れて固定されていることを特徴とする光デバイス。 - 前記少なくとも1つの屈折率分布ファイバの中央部は、空隙を介して前記基体の上面から離れていることを特徴とする請求項9に記載の光デバイス。
- 前記基体の前記上面は凹部を有し、その凹部によって前記少なくとも1つの屈折率分布ファイバの前記中央部が前記基体の上面から離れていることを特徴とする請求項9または10に記載の光デバイス。
- 前記屈折率分布ファイバの前記中央部は、緩衝材を介して前記基体の上面から離れていることを特徴とする請求項9に記載の光デバイス。
- 下面を有し、該下面が前記少なくとも1つの屈折率分布ファイバの前記両端部と接触しかつ前記中央部と離れた蓋体をさらに有することを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の光デバイス。
- 前記蓋体の前記下面は凹部を有し、その凹部によって前記少なくとも1つの屈折率分布ファイバの前記中央部が前記下面から離れていることを特徴とする請求項10に記載の光デバイス。
- 前記屈折率分布ファイバの両端部を除く外周を覆う保護部材をさらに有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光ファイバコリメータ。
- 前記少なくとも1つの屈折率分布ファイバの一端にコアレスファイバを融着接続し、該融着接続部および前記コアレスファイバを前記基体の上面に固定したことを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載の光デバイス。
- 少なくとも3つ以上の前記光導波体を有し、前記光学素子が、前記複数の前記光ファイバ体から出射される光を合波して他の前記光ファイバ体に入射する、あるいは前記光ファイバ体から出射される光を分波して他の複数の前記光ファイバ体に入射する光フィルタであることを特徴とする請求項9〜16のいずれかに記載の光デバイス。
- 請求項9〜17のいずれかに記載の光デバイスと、該光デバイスに入射する光を送信する発光手段と、該発光手段から送信された光を前記光デバイスを介して受信する受光手段と、を備えた光送受信器。
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