JP2008241481A - センサエレメント - Google Patents
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Abstract
【課題】センサ特性の温度依存性を小さくでき且つ耐電気ノイズ性の低下を抑制できるセンサエレメントを提供する。
【解決手段】枠状のフレーム部10の内側に配置される可動部にセンシング部の一部が設けられたセンサ本体1と、センサ本体1に重なる形でセンサ本体1に接合された第1のパッケージ用基板2および第2のパッケージ用基板3とを備え、センサ本体1、第1のパッケージ用基板2および第2のパッケージ用基板3が、それぞれ半導体基板であるシリコン基板を用いて形成され、センサ本体1とベース基板である第2のパッケージ用基板3とが第2のパッケージ用基板3におけるセンサ本体1との対向面に形成され表面のRMSあらさが0.3nm以下のシリコン酸化膜からなる絶縁膜41を介して接合されている。
【選択図】図1
【解決手段】枠状のフレーム部10の内側に配置される可動部にセンシング部の一部が設けられたセンサ本体1と、センサ本体1に重なる形でセンサ本体1に接合された第1のパッケージ用基板2および第2のパッケージ用基板3とを備え、センサ本体1、第1のパッケージ用基板2および第2のパッケージ用基板3が、それぞれ半導体基板であるシリコン基板を用いて形成され、センサ本体1とベース基板である第2のパッケージ用基板3とが第2のパッケージ用基板3におけるセンサ本体1との対向面に形成され表面のRMSあらさが0.3nm以下のシリコン酸化膜からなる絶縁膜41を介して接合されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、ジャイロセンサエレメント、加速度センサエレメントなどのセンサエレメントに関するものである。
従来から、マイクロマシニング技術を利用して形成されたセンサエレメントとして、ジャイロセンサエレメントや加速度センサエレメントなどが提案されている。
ところで、上述のセンサエレメントとしては、例えば、シリコン基板を用いて形成され枠状のフレーム部の内側に配置される可動部にセンシング部の一部が設けられたセンサ本体と、センシング部に電気的に接続される貫通孔配線を有しセンサ本体の一表面側でセンサ本体のフレーム部の全周に亘って周部が接合される第1のパッケージ用基板と、センサ本体の他表面側でセンサ本体のフレーム部に全周に亘って周部が接合される第2のパッケージ用基板とを備え、各パッケージ用基板がそれぞれガラス基板を用いて形成されたジャイロセンサエレメントが提案されている(特許文献1参照)。ここにおいて、上記特許文献1に開示されたジャイロセンサエレメントでは、センサ本体と各パッケージ用基板とが、陽極接合により接合されている。
なお、ジャイロセンサエレメントや加速度センサエレメントとしては、センサ本体と、センサ本体に重なる形でセンサ本体に接合されたガラス基板からなるベース基板とを備えたものも提案されており、上記特許文献1に開示されたジャイロセンサエレメントでは、各パッケージ用基板それぞれがベース基板を構成している。
特開2005−292117号公報
しかしながら、上述のようにシリコン基板を用いて形成されたセンサ本体と、それぞれガラス基板を用いて形成された第1のパッケージ用基板および第2のパッケージ用基板とを接合した構成のセンサエレメントでは、シリコンとガラスとの線膨張率差に起因した熱応力の影響でセンサ特性の温度依存性が大きくなってしまう。
そこで、各パッケージ用基板をセンサ本体と同様にシリコン基板を用いて形成することが考えられるが、例えば上記特許文献1に開示されたジャイロセンサエレメントのように、センサ本体の一部を可動電極や固定電極などの電極として利用するセンサエレメントでは、電極のインピーダンス成分を低減して高性能化を図るためにセンサ本体を形成するシリコン基板として集積回路の形成に適したシリコン基板に比べて抵抗率の比較的小さなシリコン基板を用いることが望ましく、パッケージ用基板およびセンサ本体が外来の電気ノイズの伝達経路となってセンシング部の出力信号に重畳されやすくなり、耐電気ノイズ性が低下してしまう。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、センサ特性の温度依存性を小さくでき且つ耐電気ノイズ性の低下を抑制できるセンサエレメントを提供することにある。
請求項1の発明は、半導体基板を用いて形成され枠状のフレーム部の内側に配置される可動部にセンシング部の少なくとも一部が設けられたセンサ本体と、他の半導体基板を用いて形成されセンサ本体に重なる形でセンサ本体に接合された少なくとも1つのベース基板とを備え、当該少なくとも1つのベース基板とセンサ本体とが、互いの対向面の少なくとも一方に形成され表面のRMSあらさが0.3nm以下のシリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜を介して常温接合されてなることを特徴とする。
この発明によれば、センサ本体が半導体基板を用いて形成され、センサ本体に重なる形でセンサ本体に接合された少なくとも1つのベース基板が他の半導体基板を用いて形成されているので、センサ本体と当該1つのベース基板との線膨張率差に起因した熱応力の影響を低減できて、センサ特性の温度依存性を小さくすることができ、しかも、当該少なくとも1つのベース基板とセンサ本体とが、互いの対向面の少なくとも一方に形成され表面のRMSあらさが0.3nm以下のシリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜を介して常温接合されているので、センサ本体とベース基板とを常温接合により安定して高い歩留まりで接合することができ、センサ本体に用いる半導体基板の抵抗率が比較的小さい場合でも耐電気ノイズ性の低下を抑制できる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記センサ本体は、前記センシング部と協働する集積回路が形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、センサエレメントと、センシング部と協働する集積回路を形成したICチップとを1つのパッケージに収納したセンサモジュールに比べて小型化および低コスト化を図れ、また、センシング部と集積回路との間の配線長を短くすることができ、センサ性能の向上を図れる。
請求項1の発明では、センサ特性の温度依存性を小さくでき且つ耐電気ノイズ性の低下を抑制できるという効果がある。
(実施形態1)
以下、本実施形態のセンサエレメントについて図1〜図6を参照しながら説明する。
以下、本実施形態のセンサエレメントについて図1〜図6を参照しながら説明する。
本実施形態のセンサエレメントは、ジャイロセンサエレメントであり、第1の半導体基板を用いて形成されたセンサ本体1と、第2の半導体基板を用いて形成されセンサ本体1の一表面側(図1の上面側)に封着された第1のパッケージ用基板2と、第3の半導体基板を用いて形成されセンサ本体1の他表面側(図1の下面側)に封着された第2のパッケージ用基板3とを備えている。ここにおいて、センサ本体1および第1のパッケージ用基板2および第2のパッケージ用基板3の外周形状は矩形状であり、各パッケージ用基板2,3はセンサ本体1と同じ外形寸法に形成されている。また、本実施形態では、第1の半導体基板として抵抗率が0.2Ωcmのシリコン基板を用い、第2の半導体基板および第3の半導体基板として抵抗率が20Ωcmのシリコン基板を用いているが、各シリコン基板の抵抗率の値は一例であって、特に限定するものではない。なお、本実施形態では、各パッケージ用基板2,3それぞれがセンサ本体1に重なる形でセンサ本体1に接合されたベース基板を構成している。また、本実施形態では、センサ本体1がジャイロセンサ本体を構成している。
センサ本体1は、平面視において外周形状が矩形状である駆動質量体11および検出質量体12が当該センサ本体1の上記一表面に沿って並設されるとともに、駆動質量体11および検出質量体12の周囲を囲む枠状(本実施形態では、矩形枠状)のフレーム部10が形成されている。なお、本実施形態では、図1〜図6の各図の右下に示した直交座標系のように、駆動質量体11と検出質量体12とが並ぶ方向をy軸方向、センサ本体1の上記一表面に沿う面内でy軸方向に直交する方向をx軸方向、x軸方向とy軸方向とに直交する方向(つまり、センサ本体1の厚み方向)をz軸方向として説明する。
上述のセンサ本体1は、駆動質量体11と検出質量体12とが、x軸方向に延長された一対の駆動ばね13を介して連続一体に連結されている。すなわち、センサ本体1は、x軸方向において検出質量体12の全長よりもやや短いスリット溝14aと、駆動質量体11におけるx軸方向の各側縁にそれぞれ一端が開放されx軸方向の一直線上に並ぶ2本のスリット溝14bとが形成され、スリット溝14aと各スリット溝14bとの間にそれぞれ駆動ばね13が形成されている。ここで、各駆動ばね13の一端部はスリット溝14aの各一端と検出質量体12の側縁との間に連続し、各駆動ばね13の他端部は2本のスリット溝14bの間の部位において駆動質量体11にそれぞれ連続している。駆動ばね13は、ねじれ変形が可能なトーションばねであって、駆動質量体11は、検出質量体12に対して駆動ばね13の回りで変位可能になっている。つまり、駆動質量体11は、検出質量体12に対してz軸方向の並進とx軸方向の軸回りの回転とが可能となっている。また、センサ本体1は、駆動ばね13にトーションばねを用いているから、当該センサ本体1の厚み方向における駆動ばね13の寸法を小さくする必要がなく、駆動ばね13を形成する際の加工が容易である。
センサ本体1の検出質量体12におけるx軸方向の各側縁にはy軸方向に延長された検出ばね15の一端部がそれぞれ連続し、両検出ばね15の他端部同士はx軸方向に延長された連結片16を介して連続一体に連結されている。すなわち、一対の検出ばね15と連結片16とにより平面視コ字状の部材が形成されている。ただし、連結片16は駆動ばね13および検出ばね15に比較して十分に剛性が高くなるように設計されている。連結片16の長手方向の中間部には固定片17が突設され、固定片17は第2のパッケージ用基板3に接合され定位置に固定されている。駆動質量体11および検出質量体12と検出ばね15および連結片16との間は、コ字状のスリット溝14cにより分離されており、スリット溝14bの一端は、スリット溝14cに連続している。検出ばね15はx軸方向に曲げ変形が可能であって駆動質量体11および検出質量体12は固定片17に対してx軸方向に変位可能になっている。
ところで、センサ本体1は、検出質量体12に、厚み方向に貫通する4個の切抜孔18が形成されており、各切抜孔18それぞれの内側に固定子20が配置されている。固定子20は、検出質量体12のx軸方向の両端付近に配置される電極片21と、電極片21からx軸方向に延長された櫛骨片22とを有し、電極片21と櫛骨片22とでL字状の形状をなしている。電極片21と櫛骨片22とは第2のパッケージ用基板3に接合され、固定子20は定位置に固定されている。切抜孔18の内側面は固定子20の外周面の形状に沿った形状であって、固定子20との間には間隙が形成されている。検出質量体12のx軸方向の両端部には2個ずつの電極片21が配置されている。図4に示すように、櫛骨片22の幅方向の両端面にはそれぞれ多数本の固定櫛歯片23がx軸方向に列設されている。一方、切抜孔18の内側面であって櫛骨片22との対向面には、図4に示すように、固定櫛歯片23にそれぞれ対向する多数本の可動櫛歯片24がx軸方向に列設されている。各固定櫛歯片23と各可動櫛歯片24とは互いに離間しており、検出質量体12がx軸方向に変位する際の固定櫛歯片23と可動櫛歯片24との距離変化に伴う静電容量の変化を検出できるようにしてある。すなわち、固定櫛歯片23と可動櫛歯片24とにより検出質量体12の変位を検出する検出手段が構成されている。
センサ本体1は、フレーム部10、固定片17および固定子20が第2のパッケージ用基板3に接合されることで第2のパッケージ用基板3に連結されている(言い換えれば、第2のパッケージ用基板3は、センサ本体1を支持する支持基板を兼ねている)。これらに対し、駆動質量体11および検出質量体12は、z軸方向に変位可能でなければならないから、図1に示すように、駆動質量体11および検出質量体12それぞれにおける第2のパッケージ用基板3との対向面を第2のパッケージ用基板3から後退させる(センサ本体1の厚み方向における駆動質量体11および検出質量体12それぞれの厚さをフレーム部10に比べて薄くする)ことにより、駆動質量体11および検出質量体12と第2のパッケージ用基板3との間に間隙を確保している。なお、本実施形態では、駆動質量体11と第2のパッケージ用基板3との間のギャップ長を10μmに設定してあるが、この数値は一例であって特に限定するものではない。
また、センサ本体1は、フレーム部10において固定片17の近傍部位に、固定片17を挟む形で一対の接地片19が形成されるとともに、一方の接地片19の近傍に後述の固定駆動電極25が電気的に接続される電極片27が形成されており(なお、各接地片19および電極片27は、第2のパッケージ用基板3に接合されることで第2のパッケージ用基板3に連結されている)、上記一表面側において、固定片17および各電極片21および他方の接地片19および電極片27それぞれの表面に第1の電気接続用金属層28が形成されている。ここにおいて、1つの固定片17、4つの電極片21、1つの接地片19、1つの電極片27は第2のパッケージ用基板3の一表面側において分離独立して配置されており、第1のパッケージ用基板2をフレーム部10に接合していない状態では、それぞれ電気的に絶縁されている。また、センサ本体1の上記一表面側において、フレーム部10上には第1の封止用金属層26が全周に亘って形成されている。ここで、第1の電気接続用金属層28および第1の封止用金属層26は、Ti膜とAu膜との積層膜により構成されている。要するに、第1の封止用金属層26と第1の電気接続用金属層28とは同一の金属材料により形成されているので、第1の封止用金属層26と第1の電気接続用金属層28とを同時に形成することができるとともに、第1の封止用金属層26と第1の電気接続用金属層28とを同じ厚さに形成することができる。なお、第1の封止用金属層26および第1の電気接続用金属層28は、Ti膜の膜厚を15〜50nm、Au膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。ここにおいて、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。
第1のパッケージ用基板2は、センサ本体1側(図1における下面側)に駆動質量体11および検出質量体12の変位空間を確保する変位空間形成用凹部29が形成されるとともに、厚み方向に貫通する複数の貫通孔32が形成されており、厚み方向の両面と各貫通孔32の内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜33が形成され、貫通孔配線34と貫通孔32の内面との間に絶縁膜33の一部が介在している。ここにおいて、貫通孔配線34の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
また、第1のパッケージ用基板2は、変位空間形成用凹部29の内底面において駆動質量体11との対向面には上記絶縁膜33の一部を介してTi膜とAu膜との積層膜からなる上述の固定駆動電極25(図1および図6参照)が形成されている。なお、本実施形態では、駆動質量体11と固定駆動電極25との間のギャップ長を10μmに設定してあるが、この数値は一例であって特に限定するものではない。
また、第1のパッケージ用基板2は、センサ本体1側の表面に、各貫通孔配線34それぞれと電気的に接続された複数の第2の電気接続用金属層38が形成されている。また、第1のパッケージ用基板2は、センサ基板1側の表面の周部の全周に亘って枠状(矩形枠状)の第2の封止用金属層38が形成されている。ここにおいて、第2の電気接続用金属層38は、センサ本体1の第1の電気接続用金属層28と接合されて電気的に接続されるように配置してあり、第2の封止用金属層36は、センサ本体1の第1の封止用金属層26と接合されて電気的に接続されるように配置してある。また、第2の封止用金属層36および第2の電気接続用金属層28は、絶縁膜33上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されている。要するに、第2の封止用金属層36と第2の電気接続用金属層38とは同一の金属材料により形成されているので、第2の封止用金属層36と第2の電気接続用金属層38とを同時に形成することができるとともに、第2の封止用金属層36と第2の電気接続用金属層38とを同じ厚さに形成することができる。なお、第2の封止用金属層36および第2の電気接続用金属層38は、Ti膜の膜厚を15〜50nm、Au膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。ここで、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、本実施形態では、各Au膜と絶縁膜33との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。
また、第1のパッケージ用基板2におけるセンサ本体1側とは反対側の表面には、各貫通孔配線34それぞれと電気的に接続された複数の外部接続用電極35が形成されている。なお、各外部接続用電極35の外周形状は矩形状となっている。また、各外部接続用電極35は、Ti膜とAu膜との積層膜により構成されている。
一方、第2のパッケージ用基板3は、厚み方向の両面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜41,42が形成されている。なお、絶縁膜41,42は、熱酸化法により形成しているが、絶縁膜41,42の形成方法は、熱酸化法に限らず、例えば、CVD法(熱CVD法、プラズマCVD法など)やスパッタ法などでもよい。ただし、同じ膜厚で絶縁耐圧を高めるには、より緻密なシリコン酸化膜の形成が可能な熱酸化法を採用することが望ましい。
ところで、本実施形態のジャイロセンサエレメントにおけるセンサ本体1と第1のパッケージ用基板2とは、第1の封止用金属層26と第2の封止用金属層36とが接合される(第2のパッケージ用基板2はセンサ本体1のフレーム部10の全周に亘って周部が封着される)とともに、第1の電気接続用金属層28と第2の電気接続用金属層38とが接合されて電気的に接続され、センサ本体1と第2のパッケージ用基板3とは、互いの対向面の周部同士が接合されている(第2のパッケージ用基板3はセンサ本体1のフレーム部10の全周に亘って周部が封着されている)。したがって、センサ本体1の複数の第1の電気接続用金属層28は、それぞれ、第2の電気接続用金属層38および貫通孔配線34を介して外部接続用電極35と電気的に接続されている。ここにおいて、第2のパッケージ用基板2は、固定駆動電極25から変位空間形成用凹部29の周部まで延長された配線部25a(図6参照)が、センサ本体1の電極片27上の第1の電気接続用金属層28に接合される第2の電気接続用金属層38と連続一体となっている。
また、本実施形態のジャイロセンサエレメントは、センサ本体1と第1のパッケージ用基板2および第2のパッケージ用基板3との接合方法として、センサ本体1の残留応力を少なくするためにより低温での直接接合が可能な常温接合法を採用している。常温接合法では、接合前に互いの接合表面へアルゴンのプラズマ若しくはイオンビーム若しくは原子ビームを真空中で照射して各接合表面の清浄化・活性化を行ってから、真空中で接合表面同士を接触させ、常温下で直接接合する。本実施形態では、上述の常温接合法により、真空中において常温下で適宜の荷重(例えば、2〜50kg/cm2)を印加して、第1の封止用金属層26と第2の封止用金属層36とを常温接合するのと同時に、第1の電気接続用金属層28と第2の電気接続用金属層38とを常温接合しており、また、上述の常温接合法により、真空中において常温下で適宜の荷重(例えば、0〜0.5kg/cm2)を印加してセンサ本体1のフレーム部10と第2のパッケージ用基板3の周部とを常温接合している。要するに、本実施形態のジャイロセンサエレメントでは、センサ本体1と第1のパッケージ用基板2とがAu−Auの組み合わせの常温接合により接合され、センサ本体1と第2のパッケージ用基板3とがSi−SiO2の組み合わせの常温接合により接合されている。ここにおいて、センサ本体1と第2のパッケージ用基板3とは、Si−SiO2の組み合わせの常温接合に限らず、Si−SiO2、SiO2−SiO2、Si−Si3N4、Si3N4−Si3N4、SiO2−Si3N4群から選択される1種類の組み合わせの常温接合であればよい。
次に、本実施形態のジャイロセンサエレメントの動作について説明する。
本実施形態のジャイロセンサエレメントは、駆動質量体11に規定の振動を与えておき、外力による角速度が作用したときの検出質量体12の変位を検出するものである。ここにおいて、駆動質量体11を振動させるには固定駆動電極25と駆動質量体11との間に正弦波形ないし矩形波形の振動電圧を印加すればよい。振動電圧は、交流電圧が望ましいが、極性を反転させることは必須ではない。駆動質量体11は駆動ばね13と検出質量体12と検出ばね15と連結片16とを介して固定片17に電気的に接続され、固定片17の表面には第1の電気接続用金属層28が形成されており、また、固定駆動電極25は電極片27上の第1の電気接続用金属層28に電気的に接続されているから、固定片17上の第1の電気接続用金属層28と電極片27上の第1の電気接続用金属層28との間に振動電圧を印加すれば、駆動質量体11と固定駆動電極25との間に静電力を作用させて駆動質量体11をz軸方向に振動させることができる。振動電圧の周波数は、駆動質量体11および検出質量体12の質量や駆動ばね13および検出ばね15のばね定数などにより決まる共振周波数に一致させれば、比較的小さい駆動力で大きな振幅を得ることができる。
駆動質量体11を振動させている状態において、ジャイロセンサエレメントにy軸方向の軸回りの角速度が作用したときに、x軸方向にコリオリ力が発生し、検出質量体12(および駆動質量体11)は固定子20に対してx軸方向に変位する。可動櫛歯片24が固定櫛歯片23に対して変位すれば、可動櫛歯片24と固定櫛歯片23との距離が変化し、結果的に可動櫛歯片24と固定櫛歯片23との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化は、4個の固定子20に接続された第1の電気接続用金属層28から取り出すことができるから、上述のジャイロセンサエレメントでは、4個の可変縁容量コンデンサが形成されているとみなすことができ、各可変容量コンデンサの静電容量をそれぞれ検出したり、可変容量コンデンサを並列に接続した合成容量を検出したりすることにより、検出質量体12の変位を検出することができる。駆動質量体11の振動は既知であるから、検出質量体12の変位を検出することにより、コリオリ力を求めることができる。なお、本実施形態では、駆動質量体11と駆動ばね13と検出質量体12と検出ばね15と連結片16とでフレーム部10の内側に配置される可動部を構成しており、固定櫛歯片23と検出質量体12に設けられた可動櫛歯片24とでセンシング部を構成している。要するに、フレーム部10の内側に配置される可動部にセンシング部の一部が設けられている。
ここに、可動櫛歯片24の変位は、(駆動質量体11の質量)/(駆動質量体11の質量+検出質量体12の質量)に比例するから、駆動質量体11の質量が検出質量体12の質量に比較して大きいほど可動櫛歯片24の変位が大きくなり、結果的に感度が向上することになる。そこで、本実施形態では駆動質量体11の厚み寸法を検出質量体12の厚み寸法よりも大きくしてある。
以上説明した本実施形態のジャイロセンサエレメントでは、センサ本体1が第1の半導体基板を用いて形成され、第1のパッケージ用基板2が第2の半導体基板を用いて形成されるとともに、第2のパッケージ用基板3が第3の半導体基板を用いて形成されているので、センサ本体1と第1のパッケージ用基板2および第2のパッケージ用基板3との線膨張率差に起因した熱応力の影響を低減できて、センサ特性の温度依存性を小さくすることができ、しかも、センサ本体1と第2のパッケージ用基板3とが第2のパッケージ用基板3におけるセンサ本体1との対向面に形成された絶縁膜41を介して接合されているので、耐電気ノイズ性の低下を抑制できる。また、上記各半導体基板がシリコン基板であり、絶縁膜41がシリコン酸化膜なので、センサ本体1と各パッケージ用基板2,3とを常温接合により接合することができ、センサ特性の温度依存性をより小さくすることができる。
ここにおいて、本願発明者らは、封止用金属層26,36同士および電気接続用金属層28,38同士をAu−Auの組み合わせで常温接合する接合工程の歩留りを向上するために、封止用金属層26,36および電気接続用金属層28,38のAu膜の膜厚、接合表面の表面あらさについて検討したところ、Au膜の膜厚を500nm以下とし、Au膜における接合表面のRMSあらさを1.83nm以下とすることが望ましいという知見を得た。
一方、本願発明者らは、センサ本体1と第2のパッケージ用基板3とをSi−SiO2の組み合わせで常温接合する接合工程において、シリコン酸化膜(SiO2膜)のRMSあらさを1.83nmとしたものでは、Au−Auの組み合わせの場合と同じ荷重を印加しても常温接合による接合ができないという知見を得た。そこで、センサ本体1と第2のパッケージ用基板3とをSi−SiO2の組み合わせで常温接合する接合工程の歩留まりを向上するために、接合表面のRMSあらさについて検討した。具体的には、センサ本体1の基礎となるシリコン基板と同じ仕様のシリコン基板からなる第1の接合試験用シリコン基板と、第2のパッケージ用基板3の基礎となるシリコン基板と同じ仕様のシリコン基板の一表面側の全面にシリコン酸化膜(第2のパッケージ用基板3の絶縁膜41と同じ条件で成膜した絶縁膜)を形成した第2の接合試験用シリコン基板とを用意し、上述の活性化の条件(活性化時間)などを変えることで接合表面のRMSあらさを種々変化させて常温接合の接合試験を行った。その結果を表1に示す。なお、RMSあらさは、AFM(atomic force microscope)を用いて測定した。
表1の結果から、RMSあらさが0.3nm以下であれば、Si−SiO2の組み合わせでの常温接合が可能であり、接合工程の歩留りの向上を図れることが分かる。なお、SiO2−SiO2の組み合わせ、Si−Si3N4、Si3N4−Si3N4の組み合わせにおいても、接合表面のRMSあらさを0.3nm以下とすることが望ましい。要するに、第2のパッケージ用基板3とセンサ本体1とは、互いの対向面の少なくとも一方に形成され表面のRMSあらさが0.3nm以下のシリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜を介して常温接合されていればよい。
しかして、本実施形態のセンサエレメントは、第2のパッケージ用基板3とセンサ本体1とが、互いの対向面の少なくとも一方に形成され表面のRMSあらさが0.3nm以下のシリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜を介して常温接合されているので、センサ本体1と第2のパッケージ用基板3とを常温接合により安定して高い歩留まりで接合することができ、センサ本体1に用いる半導体基板の抵抗率が比較的小さい場合でも耐電気ノイズ性の低下を抑制できる。
なお、本実施形態のジャイロセンサエレメントでは、製造にあたって、ウェハレベルパッケージ技術を利用することで低コスト化および小型化を図れるが、多数のセンサ本体1それぞれの形成予定領域ごとにセンサ本体の構成要素の一部を形成したセンサウェハと第2のパッケージ用基板3を多数形成したパッケージウェハとを常温接合した後に、センサ本体1における可動部を他の部位から分離するエッチングなどの工程を行ってから、第1のパッケージ用基板2を多数形成したパッケージウェハを常温接合すればよい。
(実施形態2)
以下、本実施形態のセンサエレメントについて図7および図8を参照しながら説明する。
以下、本実施形態のセンサエレメントについて図7および図8を参照しながら説明する。
本実施形態のセンサエレメントであるジャイロセンサエレメントの基本構成は実施形態1と略同じであり、センサ本体1の基礎となる第1の半導体基板としてシリコン基板1a上に当該シリコン基板1aよりも高抵抗率の単結晶のシリコン層1bをエピタキシャル成長させた所謂エピ基板を用いており、センサ本体1に、CMOSを用いた集積回路(CMOS IC)であってセンシング部と協働する集積回路40が形成されている点などが実施形態1と相違する。ここにおいて、本実施形態では、シリコン基板1aの抵抗率を0.2Ωcm、シリコン層1bの抵抗率を20Ωcmに設定してあるが、これらの数値は特に限定するものではない。また、集積回路40は、実施形態1にて説明したセンシング部の出力信号に対して増幅、オフセット調整、温度補償などの信号処理を行って出力する信号処理回路や、信号処理回路において用いるデータを格納したEEPROMなどが集積化されている。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態におけるセンサ本体1は、駆動質量体11と検出質量体12との並設方向に沿った方向の外形寸法が実施形態1よりも長く設定してあって、駆動質量体11、検出質量体12などが形成されたセンサ領域部E1と、集積回路40が形成されたIC領域部E2とが当該センサ本体1の上記一表面に沿って並設されており、フレーム部10が、センサ領域部E1とIC領域部E2とを囲むように形成されている。なお、見方を変えれば、本実施形態では、実施形態1におけるセンサ本体1のフレーム部10の一部の幅寸法を大きくしてあり、フレーム部10に集積回路40を形成してある。
ところで、センサ本体1は、上述の集積回路40がシリコン層1bの表面側に形成されており、IC領域部E2では、多層配線技術を利用してセンサ本体1における当該IC領域部E2の占有面積の縮小化を図っている。このため、センサ本体1のIC領域部E2では、シリコン層10b上の絶縁膜45の表面側に、層間絶縁膜やパッシベーション膜などからなる多層構造部41が形成され、上記パッシベーション膜の適宜部位を除去することにより複数のパッド42を露出させてあり、各パッド42が、金属材料(例えば、Auなど)からなる引き出し配線43を介して、シリコン層1b上の絶縁膜45上に形成された第3の電気接続用金属層44と電気的に接続されている。ここで、第3の電気接続用金属層44は第1のパッケージ用基板2の第2の電気接続用金属層38と常温接合されて電気的に接続されている。また、第1のパッケージ用基板2には、第2の電気接続用金属層38とセンサ領域部E1に形成されている第1の電気接続用金属層28とを電気的に接続するための金属配線層(図示せず)が形成されており、金属配線層と第1の電気接続用金属層28とが常温接合されて電気的に接続されている。また、上述の第1の封止用金属層26は、絶縁膜45上に形成されている。なお、ジャイロセンサエレメントの高感度化の観点からは、上述のシリコン層1bのうちセンサ領域部E1に対応する部位の抵抗率がシリコン基板1aの抵抗率と略同じになるように不純物をドーピングすることが望ましい。
また、本実施形態では、実施形態1と同様に、第2の半導体基板を用いて形成された第1のパッケージ用基板2および第3の半導体基板を用いて形成された第2のパッケージ用基板3がセンサ本体1と同じ外形寸法に形成されており、第1のパッケージ用基板2は、実施形態1にて説明した変位空間形成用凹部29の開口面の投影領域内にセンサ領域部E1およびIC領域部E2が収まるように変位空間形成用凹部29の開口面積を実施形態1に比べて大きくしてあり、IC領域部E2の多層構造部41が変位空間形成用凹部29内に配置されるようになっている。
以上説明した本実施形態のジャイロセンサエレメントでは、実施形態1と同様に、センサ本体1が第1の半導体基板を用いて形成され、第1のパッケージ用基板2が第2の半導体基板を用いて形成されるとともに、第2のパッケージ用基板3が第3の半導体基板を用いて形成されているので、センサ本体1と第1のパッケージ用基板2および第2のパッケージ用基板3との線膨張率差に起因した熱応力の影響を低減できて、センサ特性の温度依存性を小さくすることができ、しかも、センサ本体1と第2のパッケージ用基板3とが第2のパッケージ用基板3におけるセンサ本体1との対向面に形成された絶縁膜41を介して接合されているので、耐電気ノイズ性の低下を抑制できる。
また、本実施形態のジャイロセンサエレメントでは、実施形態1のジャイロセンサエレメントと、実施形態1のジャイロセンサエレメントのセンシング部と協働する集積回路を形成したICチップとを1つのパッケージに収納したセンサモジュールに比べて小型化および低コスト化を図れ、また、センシング部と集積回路との間の配線長を短くすることができ、センサ性能の向上を図れる。
なお、上述の各実施形態では、センサエレメントとして、ジャイロセンサエレメントを例示したが、本発明の技術思想は、ジャイロセンサエレメントに限らず、例えば、容量形の加速度センサエレメントやピエゾ抵抗形の加速度センサエレメントなど他のセンサエレメントにも適用でき、ピエゾ抵抗形の加速度センサエレメントではフレーム部の内側に配置される重り部とフレーム部と重り部とを連結する薄肉の撓み部とで可動部を構成し、撓み部に形成されたピエゾ抵抗がセンシング部を構成することなる。また、Si−SiO2、SiO2−SiO2、Si−Si3N4、Si3N4−Si3N4、SiO2−Si3N4の群から選択される1種類の組み合わせの常温接合に関する技術は、赤外線センサ、圧力センサ、MEMSリレー(マイクロリレー)、マイクロバルブ、流量センサなど他のデバイスにも適用できる。
1 センサ本体
2 第1のパッケージ用基板
3 第2のパッケージ用基板
10 フレーム部
11 駆動質量体
12 検出質量体
23 固定櫛歯片
24 可動櫛歯片
25 固定駆動電極
34 貫通孔配線
35 外部接続用電極
41 絶縁膜(シリコン酸化膜)
42 絶縁膜
2 第1のパッケージ用基板
3 第2のパッケージ用基板
10 フレーム部
11 駆動質量体
12 検出質量体
23 固定櫛歯片
24 可動櫛歯片
25 固定駆動電極
34 貫通孔配線
35 外部接続用電極
41 絶縁膜(シリコン酸化膜)
42 絶縁膜
Claims (2)
- 半導体基板を用いて形成され枠状のフレーム部の内側に配置される可動部にセンシング部の少なくとも一部が設けられたセンサ本体と、他の半導体基板を用いて形成されセンサ本体に重なる形でセンサ本体に接合された少なくとも1つのベース基板とを備え、当該少なくとも1つのベース基板とセンサ本体とが、互いの対向面の少なくとも一方に形成され表面のRMSあらさが0.3nm以下のシリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜を介して常温接合されてなることを特徴とするセンサエレメント。
- 前記センサ本体は、前記センシング部と協働する集積回路が形成されてなることを特徴とする請求項1記載のセンサエレメント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007083043A JP2008241481A (ja) | 2007-03-27 | 2007-03-27 | センサエレメント |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007083043A JP2008241481A (ja) | 2007-03-27 | 2007-03-27 | センサエレメント |
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Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2008241481A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102009041945A1 (de) | 2008-09-19 | 2010-04-22 | Noritsu Koki Co., Ltd. | Buchbindevorrichtung |
WO2011111540A1 (ja) * | 2010-03-08 | 2011-09-15 | アルプス電気株式会社 | 物理量センサ |
CN103058123A (zh) * | 2013-01-14 | 2013-04-24 | 北京大学 | 一种自封装的mems器件及红外传感器 |
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-
2007
- 2007-03-27 JP JP2007083043A patent/JP2008241481A/ja not_active Withdrawn
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US10651150B2 (en) | 2014-03-10 | 2020-05-12 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Multichip module including surface mounting part embedded therein |
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